本記事では、長浜市職員採用試験の面接対策で必要な、長浜市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

長浜市役所の面接試験では、「なぜ長浜市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。長浜市は人材育成基本方針の中で「人物を重視した採用」を掲げ、めざす職員像まで文章にして公表している市です。

以下で扱う採用の数字は、断りのない限り一般事務職・上級のものです。民間企業等の経験者を対象とした「キャリアチャレンジ」は募集の枠組みも選考の入り口も別に設計されていますので、そちらを受ける方は枠の違いを意識しながら読み進めてください。

第1部|自治体研究編

長浜市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは長浜市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 平成22年1月1日に旧長浜市と虎姫町・湖北町・高月町・木之本町・余呉町・西浅井町の1市6町が合併してできた市。滋賀県の東北部にあり、北は福井県、東は岐阜県と接する。
  • 人口は111,156人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。面積は681.02平方キロメートル(琵琶湖を含む)で、住民基本台帳の人口をこの面積で割ると1平方キロメートルあたり約163人となる。
  • 65歳以上の割合は30.0%、75歳以上は17.7%。県全体を同じ統計で見ると27.3%・15.8%で、長浜市はその両方より高い。
  • 中心市街地は北国街道の宿場町として栄えた区域で、黒壁ガラス館を中心とする黒壁スクエアには明治期の建造物や伝統的町家が残る。
  • 「長浜曳山祭の曳山行事」は昭和54年に国の重要無形民俗文化財に指定され、平成28年にはユネスコ無形文化遺産にも登録されている。
  • 市域の広さに対して可住地面積は165.76平方キロメートルにとどまり、人が住み暮らす区域は面積の一部に集まっている。
  • 市域の一部(旧長浜・旧浅井・旧木之本・旧西浅井・旧余呉の各区域)が豪雪地帯に指定され、旧余呉町区域は特別豪雪地帯にも指定されている。
  • 採用では、民間企業等の経験者を対象とした「キャリアチャレンジ」という枠を設け、新しい価値観や発想で市政に変化を起こす人材の獲得を目的に掲げている。

長浜市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「長浜市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口と年齢構成、市域の広さと住める範囲、接している自治体など、長浜市の位置づけを一言で言い表すのに使える項目を並べました。

項目内容
総人口111,156人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)
65歳以上人口33,398人(30.0%。滋賀県全体は27.3%)
75歳以上人口19,676人(17.7%。滋賀県全体は15.8%)
総面積681.02km²(琵琶湖を含む。滋賀県の総面積約4,017km²のおよそ17%にあたる)
可住地面積165.76km²
人口密度約163人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
世帯数42,570世帯(令和2年国勢調査。同調査の人口は113,636人)
接している自治体米原市・高島市、岐阜県揖斐川町、福井県敦賀市・南越前町
市の花・市の木梅・けやき
市役所所在地長浜市八幡東町632番地

総人口と65歳以上・75歳以上の人口および割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。滋賀県全体の27.3%・15.8%も同じ統計によります。世帯数と同時点の人口は令和2年国勢調査の値で、調査の基準が住民基本台帳とは異なるため、両者の間で増減を計算することはできません。総面積・可住地面積は長浜市および当研究会が整理した基礎データ、滋賀県の総面積は県公表値によります。接している自治体・市の花と木・市役所所在地も当研究会が整理した基礎データによります。

数字から考えられる市政課題

長浜市の年齢構成は、滋賀県の平均より一歩先を進んでいます。65歳以上が30.0%、75歳以上が17.7%で、県全体の27.3%・15.8%をどちらも上回ります(いずれも令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。

県内では若い層の多い市町もありますから、県全体の数字だけを引いて話すと、長浜市の現在地からはずれてしまいます。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)

もう一つの特徴は、市域の広さと住める範囲のずれです。総面積681.02平方キロメートルに対し、可住地面積は165.76平方キロメートル。

人が住む区域は限られる一方で、道路も水路も山林も市域の全体に広がっています。1人あたりで見た維持すべき面積が大きいという構造は、除雪、公共交通、施設の再編といった話題に共通して効いてきます。(参考:長浜市公式サイト「長浜市の位置・地勢」)

たとえば面接では、長浜市の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。

「長浜市は65歳以上の割合が3割ほどで、滋賀県全体よりも高齢化が進んでいると聞きました。しかも市域が広くて、人が住んでいる範囲は面積の一部ですので、離れて暮らす方にどう手を届かせるかが難しいところなのではと感じています」

長浜市の経済・産業

黒壁スクエアと歴史の資産

  • 中心市街地は北国街道の宿場町として栄えた区域で、現在は黒壁スクエアに観光客が集まる。
  • 黒壁スクエアはガラスのショップや工房、海洋堂フィギュアミュージアムなど約30施設で構成される。
  • 周辺には明治期の建造物や伝統的町家が残り、歴史情緒のある街並み景観をつくっている。
  • 「長浜曳山祭の曳山行事」は昭和54年に国の重要無形民俗文化財に指定され、平成28年に「山・鉾・屋台行事」の一つとしてユネスコ無形文化遺産に登録された。

つまり、歴史的な町並みと、そこで続いてきた祭りという二つの資産が、そのまま観光の中身になっているのが長浜市です。観光の話題を志望動機に使うなら、来訪者を増やす話だけでなく、町家や祭りを担う人が減ったときに何が起きるかまで考えておくと、行政の仕事として語れます。(参考:長浜市公式資料「産業・観光」)

県の統計に現れる長浜

滋賀県の令和5年の延べ観光入込客数は50,328,036人(前年比10.7%増)で、県が挙げる上位観光地の筆頭が長浜市の黒壁ガラス館(1,701,489人)です。県内の観光の話をするとき、長浜市は数を語れる側に立っています。

ただし数の大きさは、そのまま市内での消費や雇用にはなりません。滞在時間、宿泊、周辺の商いへの回り方まで含めて考えるのが、市役所の側の視点です。(出典:滋賀県観光入込客統計調査(確定値)|令和5年)

製造業に寄った県の産業構造

観光の話だけで長浜市の経済を語ると、働く場の姿が抜け落ちます。滋賀県の令和5年度の県内総生産(名目)は7兆3,625億円で、産業別の構成比は第1次産業0.4%・第2次産業46.7%・第3次産業52.4%。

製造業だけで41.6%を占め、特化係数は2.02と全国値のおよそ2倍です。観光の顔をもつ長浜市も、雇用の面ではものづくりの比重が大きい県の中にあります。

産業振興を語るなら、観光と製造の両方に触れられるようにしておきましょう。(出典:滋賀県民経済計算|令和5年度)

長浜市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、長浜市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

県の平均より一歩先を行く高齢化

65歳以上30.0%、75歳以上17.7%という数字は、県全体より高い水準です。滋賀県全体でも総人口は2013年の約142万人をピークに減少へ転じており、国立社会保障・人口問題研究所の平成30年推計をもとにした県の総合戦略では、県の高齢化率は35%近くに達し、一部の市町では40%を超える可能性があるとされています。

長浜市は、その見通しに県内の平均より早く近づく位置にいると押さえておきましょう。(出典:人口減少を見据えた幸せが続く滋賀総合戦略(概要版))

広い市域と、限られた可住地

総面積681.02平方キロメートルに対し、可住地面積は165.76平方キロメートル。1市6町の合併でできた市であることも重なり、旧町の区域ごとに暮らしの条件が違います。

買い物、通院、通学、除雪、公共交通のどれをとっても、中心部と山あいでは必要なものが同じにはなりません。市域を一律に語らず、地区によって条件が違うという前提を持てるかどうかは、面接での具体性にそのまま出ます。

雪と向き合う市政

長浜市は市域の一部(旧長浜・旧浅井・旧木之本・旧西浅井・旧余呉の各区域)が豪雪地帯に指定され、旧余呉町区域は特別豪雪地帯にも指定されています。ここでいう旧浅井は、平成18年に長浜市・浅井町・びわ町の1市2町が合併したときの旧浅井町の区域で、平成22年の1市6町の合併より前に長浜市へ入った地域です。

滋賀県全体では雪崩危険箇所が443箇所を数えます。雪は毎年必ず来る災害であり、除雪の体制、道路の確保、高齢の住民の孤立防止といった仕事が季節ごとに立ち上がります。

防災を語るとき、地震や水害と並べて雪を置けるかどうかは、この市を実際に見てきたかどうかの分かれ道になります。(出典:滋賀県公式サイト「豪雪地帯・特別豪雪地帯の指定状況」)

祭りと町家を誰が担うか

曳山祭は昭和54年の国指定を経てユネスコ無形文化遺産にまで位置づけられた行事ですが、山組を支えるのは地域に暮らす人たちです。黒壁スクエア周辺の町家も、所有者と使い手がいて初めて街並みとして残ります。

文化財を守るという言葉は、実務では担い手を確保し、費用を工面し、暮らしと折り合いをつける仕事の連なりです。文化に関心があると述べるなら、その連なりのどこに関わりたいのかまで置いておきましょう。

県北部の振興という県側の論点

滋賀県は令和8年度の予算編成にあたり、6つの柱で施策を組み立てるとともに、県北部地域の振興に集中的に取り組むことを課題に掲げました。

どの市町を県北部と扱うかは資料によって幅がありますが、県政の側でこの論点が立っていること自体は、県の東北部に位置すると市自身が説明する長浜市で働くうえで押さえておきたい背景です。県と市が同じ方向を向いているときに、市の側で何ができるのかを考える材料になります。(参考:滋賀県 令和8年度当初予算案|令和8年2月)

長浜市の重点政策|めざす職員像とキャリアチャレンジ

長浜市が職員に向けて示している文書のうち、面接対策に直結するのが人材育成基本方針(令和3年12月改定)です。市はこの方針で、めざす職員像として「キラキラ煌めく職員」を掲げ、市民に信頼され、責任と誇りを持って自己成長していく職員を育てる、としています。

標語のようでいて、後述のとおり中身は具体的に分解されています。(出典:長浜市人材育成基本方針|令和3年12月改定)

主事級に示された5つの姿

新規採用職員が属する主事級について、方針は次の5つをめざす職員像として挙げています。志望動機や自己PRを組み立てるときの見出しとして、そのまま使える粒度です。

  • 何事も挑戦:積極的にチャレンジする人
  • 頑張る気力:忍耐強く最後までやり抜く人
  • 地域の課題発見:解決に向けて自ら考える人
  • 真心こめておもてなし:誠実に対応できる人
  • 視野が広く豊かな想像力:未来を創造する人

方針はさらに、主事級に期待される行動を「主体性に基づき、正確に業務を遂行するとともに、周りとコミュニケーションをとりながら業務に取り組む」と定義し、主体性、働きかけ力、発信力、実行力、計画力、情況把握力、課題発見力、規律性、傾聴力、柔軟性といったキーワードを、経済産業省が提唱する社会人基礎力から引いて並べています。

列挙をすべて暗記する必要はありませんが、自分の経験がどの語に当てはまるかを一度あてがってみると、話の輪郭がはっきりします。

採用の設計に通っている考え方

同じ方針の「採用」の項で、市は公務員試験(教養試験)だけでなく基礎能力検査を取り入れるなど受験しやすい筆記試験を実施し、受験者本人の個性や熱意などを面接等で見極め、人物を重視した採用を行うと明記しています。民間企業等の経験者を対象とした「キャリアチャレンジ」の枠も同じ方針に位置づけられており、新しい価値観や斬新な発想力で市政にイノベーションを起こす人材の獲得が目的だとされています。

市は受験予定者向けに面接練習・相談会も開いています。現職の人事担当者による面接練習とフィードバック、自己PR作成のコツ、先輩職員の仕事紹介といった内容で、令和7年12月には翌々春卒業予定の学生を対象に定員15人で実施されました。

採用する側が面接の練習まで用意しているという事実自体が、この市が選考のどこに重心を置いているかを示しています。

POINT|5つのめざす職員像を丸暗記しなくてよい

5つの見出しを言えるようになることが自治体研究の到達点ではありません。関心の近い分野を一つか二つに決めて、「①何が課題か → ②市はどんな状態をめざすか → ③いま動いている取り組み → ④市役所だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験をどう使えるか」と順に掘っていくほうが、面接では使えます。

悪い例「地域の課題を自分で見つけて解決できる職員になりたいです」

改善例「長浜市は市域が広くて、旧町ごとに暮らしの条件がかなり違うと聞きました。まずは窓口で市民の方の困りごとを直接うかがって、地区ごとに何が足りていないのかを自分の目で確かめるところから始めたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

次に挙げる資料のうち、まず一つを選んでください。長浜市は方針も実施結果もそろって公開されていますので、志望に近いものを一本読み通すだけでも、面接で使える言葉が手に入ります。

  • 志望する職種・枠の受験案内(最新年度)。一般事務職とキャリアチャレンジは枠が別です
  • 長浜市人材育成基本方針(めざす職員像・主事級に期待される行動)
  • 長浜市の職員採用試験の実施状況と実施結果(申込者数・受験者数・合格者数)
  • 長浜市公式サイトの市の位置・地勢のページ(面積、可住地、合併の経緯)
  • 滋賀県の観光入込客統計調査・県民経済計算(市を県の中に置いて見るとき)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、長浜市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。長浜市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

長浜市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

長浜市役所の面接の概要

ここからは、長浜市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

長浜市役所の面接の流れ

令和8年度の長浜市職員採用試験は、第1次試験と第2次試験の段階構成で実施されました。一般事務職・上級について見ると、採用予定18人に対して申込みは205人。

第2次試験の合格者は40人と公表されています。採用予定の人数は、申込みの数から見ればおよそ1割弱にあたります。

なお、この3つの数字は意味が異なります。採用予定は募集時の見込みで、実際の合格者数がこれを上回ることもあります。

前年の令和7年度は、同じ一般事務職・上級で採用予定18人に対して最終合格者が26人でした。

項目内容(令和8年度・一般事務職 上級を中心に)
試験の段階第1次試験と第2次試験の段階構成で実施されました
採用予定と申込者数(令和8年度)一般事務職・上級は採用予定18人に対し申込205人。キャリアチャレンジは3人に対し73人、幼児教育職は15人に対し28人、保健師・上級は1人に対し5人です
第2次試験の結果(令和8年度)一般事務職・上級の第2次試験合格者は40人と公表されています
前年度の実績(令和7年度・一般事務職 上級)採用予定18人、第1次試験受験者116人、最終合格者26人で最終倍率4.5倍でした
経験者枠の入り口(令和7年度・キャリアチャレンジ)第1次試験が「書類審査」で、受験者36人・最終合格3人(12.0倍)。追加募集は38人・7人(5.4倍)でした
筆記試験の考え方市は人材育成基本方針で、教養試験だけでなく基礎能力検査を取り入れるなど受験しやすい筆記試験を実施すると明記しています
申込み受験申込・合否通知は民間の採用プラットフォームを通じて行われます。近隣自治体との共同実施・統一試験ではありません
実施主体長浜市職員選考委員会(長浜市総務部人事課内)

数字で見ると、申込みの多さに対して選考の工程は第1次と第2次の二段階です。令和7年度の一般事務職・上級は最終倍率4.5倍で、第1次試験を受けた116人のうち26人が最終合格しました。

どちらの段階で届かなくても結果は同じですから、筆記の対策と並行して、口頭で自分を説明する準備を早い時期から始めておくほうが安全です。

上記の内容は、長浜市が公表した令和8年度職員採用試験の申込状況・第2次試験合格発表と、令和7年度の実施結果、および長浜市人材育成基本方針にもとづくものです。令和8年度一般事務職・上級の面接の形式(個別か集団か)や配点は、これらの資料からは確認していません。試験の構成・日程・配点等は年度や職種・枠によって変わりますので、受験の際は必ずご自身の区分の最新の受験案内をご確認ください。

長浜市役所が求める人物像

長浜市の場合、めざす職員像が方針として文章になっている点が準備の助けになります。主事級に示された5つの姿のうち、「積極的にチャレンジする人」と「忍耐強く最後までやり抜く人」は対になっており、始めた人と続けた人の両方が見られていると読めます。

面接対策の言葉に翻訳すれば、始めた話と、途中でうまくいかなくなってからの話を、同じ経験の中で語れる状態が理想です。始めた動機より、続けた過程のほうが分量を必要とします。

市が文書にしているのはここまでです。ここから先は、長浜市固有の条件から当研究会が推測した部分になります。

人口11万人台という規模は、部門の分かれ方が細かい大都市と、職員数が限られる小規模市の中間にあたります。

長浜市はそこに、681.02平方キロメートルという市域の広さと、1市6町の合併という経緯が重なります。旧町ごとに事情の違う地域を相手にしながら、本庁の制度としては一つの答えを出さなければなりません。

この二重性に耐える力、つまり現場の差を聞き取ったうえで全体の筋を通す力は、この市では働かせどころが多いはずです。

実務的な結論を一つだけ置きます。長浜市の採用は第1次と第2次の二段階で、面接の場で受け止めてもらえる情報の量にはおのずと限りがあります。

ならば準備は、材料を増やす方向ではなく、自分の経験のうち「広い地域を相手にする仕事」と重なる部分を選び出して深める方向が合理的です。市が面接練習の機会まで設けている試験ですから、話す内容だけでなく、掘られたときにどこまで具体を出せるかを、人に聞いてもらいながら確かめておきましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。長浜市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク長浜には来られたことがありますか?広い市域のどこを見たのか。中心市街地だけを答える人と、旧町の区域まで足を運んだ人で厚みが変わります
② 動機・志望他の市ではなく長浜市を選んだ理由を教えてください採用予定18人に対して申込205人という市です。並んだ受験者の中で、理由が自分のものになっているか
③ 自己理解ご自身の短所は、どんな場面で表に出ますか?「忍耐強く最後までやり抜く人」を掲げる市です。弱さを認めたうえで、続けるための工夫まで語れるか
④ 経験・行動自分から始めて、途中でうまくいかなくなった経験を教えてください始めた話と続けた話が同じ経験の中でつながっているか。挑戦と忍耐は方針で対に置かれています
⑤ 学業・経歴学んできたこと(または前職の仕事)を、市の仕事にどう結びつけますか?キャリアチャレンジの枠を別に設けている市です。経歴の中身を市政の言葉へ置き換えられるか
⑥ 適性・将来中心部から離れた地区の担当になったら、どう働きますか?旧町の区域ごとに条件が違う市で、地域の差を前提にして考えられるか
⑦ 公共性・社会性最近、地域の行事や祭りに関わったことはありますか?曳山祭のような行事が地域の担い手に支えられている市です。担う側に回った経験の有無

これら7つの問いに答えを持っていることは、受験者の標準装備だと考えてください。差が生まれるのはこの先、長浜市を知らないままでは一言も足せない質問に移ってからです。

合否を分けるのは「長浜市役所ならでは」の質問

「なぜ滋賀県庁ではなく、長浜市役所なのですか?」
「長浜市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

二つ目の質問で、魅力に黒壁スクエアや曳山祭を挙げる受験者は多いはずです。そこから課題の側に渡るときに、同じ資産の裏側(担い手、費用、暮らしとの折り合い)まで見えているかどうかで差が開きます。

逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。答えの土台になる長浜市の事実を5つ選び、それぞれの使い方と一緒に整理しました。

質問テーマ知っておきたい長浜市の事実答え方のヒント
人口と年齢構成人口111,156人、65歳以上30.0%・75歳以上17.7%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。県全体の27.3%・15.8%をどちらも上回る県より高齢化が進んでいるという事実を、悲観ではなく「先に来る課題に先に取り組める」という順番の話に置き換えると、前向きさが理屈になります
市域の条件総面積681.02km²に対して可住地面積は165.76km²。平成22年に1市6町が合併してできた市市域を一つのまとまりとして語らず、旧町の区域ごとに条件が違うという前提を先に置くと、その後の話が具体的になります
なぜ県庁ではなく市役所か市の仕事は中心市街地と山あいの集落の両方を同時に相手にする。県は令和8年度予算編成で県北部地域の振興を課題に掲げている県と市の役割を説明するのではなく、同じ地域を相手にする二つの立場のうち、自分がどちらの距離で働きたいかを述べます
観光と文化令和5年の県の統計で上位観光地の筆頭が黒壁ガラス館(1,701,489人)。曳山祭の曳山行事は昭和54年に国指定、平成28年にユネスコ無形文化遺産へ来訪者数の大きさで止めず、祭りと町並みを担う人の減少という裏側に触れると、観光の話が行政の話になります
雪への備え市域の一部が豪雪地帯、旧余呉町区域は特別豪雪地帯に指定。滋賀県全体の雪崩危険箇所は443箇所防災を地震だけで語らず、毎年必ず来る雪を挙げます。除雪と高齢の住民の孤立防止をつなげると市政の話になります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

長浜市が人材育成基本方針で掲げる5つのめざす職員像に照らすと、面接で確かめられるのは、これまでに実際どう行動してきたかです。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
積極的にチャレンジする力誰にも頼まれていないのに動いた場面があるか、その動機まで聞かれます始めたきっかけを一文で言えるようにしておきます。周囲を巻き込んだ相手の顔が浮かぶ話だと強くなります
忍耐強くやり抜く力うまくいかなくなった時点から先を、時系列で追われます途中でやめたくなった理由と、それでも続けられた条件を書き出します。方針が挑戦と対に置いている資質です
地域の課題を自分で見つける力与えられた課題ではなく、自分で気づいた問題を扱った経験を問われます広い市域を抱える市であることを踏まえ、現場を歩いて気づいたという性質の話を選ぶと接続します

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。長浜市は方針でも人物を重視した採用を掲げていますので、面接の形式がどうであれ、掘られたときに答えが続くかどうかが問われます。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 志望する職種と枠を決める。一般事務職とキャリアチャレンジでは募集の枠組みも選考の入り口も別に設計されています
  2. 最新年度の受験案内と、市が公表する前年度の実施結果を読み、受験者数と合格者数の規模をつかむ
  3. 人材育成基本方針の主事級の5つの姿を開き、自分の経験がどれに当てはまるかを一つずつ書き出す
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. この記事の第1部を読み返し、人口・市域・観光文化の中から志望に近い事実を2〜3個選んで、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 市が開く面接練習・相談会のような機会も活用しながら、声に出して練習し、掘られた箇所を書き足していく

優先順位に注意

時間が足りないときは、ステップ3を先に片づけてください。方針の5つの姿に自分の経験をあてがう作業が終わっていないと、ステップ5で集めた長浜市の材料を置く場所がありません。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、長浜市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

長浜市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

長浜市役所の想定問答集を見る

さいごに

本記事で見てきた一般事務職・上級は、令和8年度も第1次と第2次の二段階で選考が行われ、採用予定18人に対して205人が申し込みました。市はめざす職員像を文章にし、受験予定者向けの面接練習まで用意しています。

それだけ、口頭で自分を説明する場面に重心を置いた試験だということです。広い市域と、旧町ごとに異なる暮らしの条件、そして祭りや町並みを担ってきた人たち。

そのどれかと自分の経験が重なる地点を見つけられれば、5つのめざす職員像は暗記の対象ではなく、自分の話の見出しに変わります。