本記事では、米原市職員採用試験の面接対策で必要な、米原市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

米原市役所の面接試験では、「なぜ米原市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。米原市は採用試験の特長として人物重視を掲げ、第1次試験から最終試験まですべての選考過程で面接試験を実施すると明言している市です。

以下で扱う試験の構成は、令和8年度のA日程で募集された行政職・土木技術職・保健師のものです。米原市は同じ年度に社会人経験者枠・早期採用枠・A日程・B日程という4つの区分で募集を行っていますので、B日程や経験者枠を受ける方は、区分の違いを意識しながら読み進めてください。

第1部|自治体研究編

米原市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは米原市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 米原駅は滋賀県で唯一の新幹線停車駅で、近畿・中京・北陸の三つの経済圏の結節点にあたる。市内から車で名古屋・京都まで約50分、大阪まで約1時間20分、金沢まで約2時間。
  • 人口は36,522人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。面積は250.39平方キロメートルで、住民基本台帳の人口をこの面積で割ると1平方キロメートルあたり約146人となる。
  • 65歳以上の割合は31.1%、75歳以上は18.0%。同じ統計で滋賀県全体は27.3%・15.8%であり、市はその上に位置する。
  • 市内の伊吹山は標高1,377メートルで滋賀県の最高峰。石灰岩の山体と、薬草や高山植物で知られる。
  • 日本の最深積雪記録11.82メートルは、昭和2年2月14日に伊吹山山頂で観測されたもので、山岳観測史上の記録として現在も破られていない。
  • 市域のうち旧伊吹・旧山東の区域が豪雪地帯に指定されている。
  • 長浜市・彦根市・多賀町と接するほか、県境をまたいで岐阜県の大垣市・揖斐川町・関ケ原町とも接する。
  • 滋賀県を代表自治体とする日本遺産「琵琶湖とその水辺景観」の構成自治体の一つ(平成27年認定、令和6年に認定継続)。

米原市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「米原市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

人口3万人台の市がどれだけの面積を受け持ち、どこと接しているのか。この二つを押さえるだけで、市政の話は具体的になります。

項目内容
総人口36,522人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)
65歳以上人口11,343人(31.1%。滋賀県全体は27.3%)
75歳以上人口6,575人(18.0%。滋賀県全体は15.8%)
総面積250.39km²
人口密度約146人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
接している自治体長浜市・彦根市・多賀町、岐阜県大垣市・揖斐川町・関ケ原町
市内の最高峰伊吹山(標高1,377m。滋賀県の最高峰)
市役所所在地米原市米原1016

総人口と65歳以上・75歳以上の人口および割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。滋賀県全体の27.3%・15.8%も同じ統計によります。国勢調査や県の推計人口は調査の基準が異なるため、これらの数値とそのまま並べて比べることはできません。総面積・接している自治体・市役所所在地は当研究会が整理した基礎データ、伊吹山の標高は米原市の公表値によります。

数字から考えられる市政課題

米原市で最初に見ておきたいのは、通り過ぎる人の多さと、住んでいる人の数の落差です。

新幹線がとまり、三つの経済圏が交わる位置にありながら、定住人口は36,522人、65歳以上の割合は31.1%で県全体の27.3%を上回ります(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。交通の便がそのまま人口の増加につながるわけではない、という現実がここにあります。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)

もう一つは面積です。250.39平方キロメートルの市域を3万6千人ほどで支えており、そこには伊吹山地の山あいも含まれます。

道路も水道も除雪も、人口の割に長い距離を相手にするという条件は、財政、公共交通、施設の維持といった話題すべての土台になります。

たとえば面接では、米原市の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。

「米原市は新幹線がとまる駅があって、名古屋にも京都にも1時間かからないと知りました。ただ住んでいる方は3万6千人ほどで、65歳以上の割合は3割を超えていると聞きました。通る人の多さを、どうやって住む人の数につなげていくか。そこが一番の勝負どころだと思っています」

米原市の経済・産業

交通の結節点という資源

  • 米原駅は滋賀県で唯一の新幹線停車駅。名古屋から約27分、東京から約134分の位置にある。
  • 市は近畿・中京・北陸の三つの経済圏の中間にあたる立地を、企業立地の強みとして打ち出している。
  • 米原駅は「米原駅周辺地区社会資本総合整備計画」で交通拠点機能の強化が図られる主要な結節点に位置づけられている。
  • 滋賀県全体としても、国土軸が県内を貫き、東西方向の人と物の流れを担う広域交通基盤が集中する交通環境にある。

つまり、米原市の経済を語るときの出発点は、産業の規模ではなく位置そのものです。物流や企業立地を志望動機に使うなら、駅があるという事実の先で、市が何を誘い込み、何を市内に残そうとしているのかまで考えておきましょう。(出典:米原市公式サイト「アクセス環境」/滋賀県 新広域道路交通計画|令和3年3月)

伊吹山という資源

標高1,377メートルの伊吹山は滋賀県の最高峰で、石灰岩の山体と薬草・高山植物で知られます。山は観光の対象であると同時に、登山者の安全、土砂災害、野生動物との関係といった行政課題の現場でもあります。

山を魅力として語るなら、その裏にある管理の仕事にも触れられると、話に厚みが出ます。(参考:米原市公式サイト「伊吹山の沿革」)

県の産業構造の中で見る

立地の話を数字で裏づけるなら、県全体の産業の姿を借りるのが早道です。滋賀県の令和5年度の県内総生産(名目)は7兆3,625億円で、産業別の構成比は第1次産業0.4%・第2次産業46.7%・第3次産業52.4%。

製造業だけで41.6%を占め、特化係数は2.02と全国値のおよそ2倍です。

米原市が交通の位置を企業立地の強みとして掲げているのは、この製造業の厚い県で、物流と生産の拠点をどう呼び込むかという文脈の中にあります。(出典:滋賀県民経済計算|令和5年度)

米原市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、米原市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

県内でも進んだ高齢化と、3万人台という規模

65歳以上31.1%、75歳以上18.0%という数字は、県全体より高い水準です。

滋賀県全体でも総人口は2013年の約142万人をピークに減少へ転じており、国立社会保障・人口問題研究所の平成30年推計をもとにした県の総合戦略では、県の高齢化率は35%近くに達し、一部の市町では40%を超える可能性があるとされています。

人口3万人台の市では、一つの部署が受け持つ守備範囲が広くなりますから、高齢化の進行は職員の仕事の量にも直結します。(出典:人口減少を見据えた幸せが続く滋賀総合戦略(概要版))

通過する交通を、市内にとどめられるか

新幹線と高速道路網が交わる位置は、それだけで人と物を運んできます。ただし、通り過ぎるだけの流量は市の税収にも雇用にもなりません。

市が企業立地の窓口で立地環境を打ち出しているのは、通過を滞在や立地へ変える取り組みにほかなりません。志望動機で交通を挙げるなら、駅がある事実の紹介ではなく、その先の一手まで自分の考えを持っておきましょう。

雪と山に向き合う市政

米原市は旧伊吹・旧山東の区域が豪雪地帯に指定されています。滋賀県全体では雪崩危険箇所が443箇所を数え、日本の最深積雪記録11.82メートルは伊吹山山頂で観測されたものです。

除雪の体制、道路の確保、山あいで暮らす高齢の住民の孤立防止は、毎年決まって立ち上がる仕事です。防災の話題では、地震だけでなく雪と山を扱えるようにしておきましょう。(出典:滋賀県公式サイト「豪雪地帯・特別豪雪地帯の指定状況」)

県全体の災害想定の中での位置

滋賀県の地震被害想定は、琵琶湖西岸断層帯(マグニチュード7.8)や花折断層帯(同7.4)など内陸活断層の6ケースと、南海トラフ巨大地震を対象としています。被害が甚大とされる琵琶湖西岸断層帯地震(大津・南部・高島地域が中心。冬夕方のケース2)では、最大震度7、建物全壊38,504棟、死者1,992人、全避難者249,534人と想定されました。

米原市はこの想定で中心に置かれた地域ではありません。

ただし県は、水害については「地先の安全度マップ」で確率降雨ごとの浸水リスクを県内ほぼ全域にわたって公表しており、市域も対象に含まれます。県の資料を借りて話すときは、どの想定のどのケースかを言い添えるようにしましょう。(出典:滋賀県地震被害想定(概要版)|平成26年3月)

米原市の重点政策|試験の作り替えから見える考え方

米原市は採用試験の特長として人物重視を掲げ、第1次試験から最終試験まで、すべての選考過程において面接試験を実施すると明記しています。加えて「公務員試験対策不要」を打ち出し、法律等の知識を問う従来型の公務員試験は課さず、筆記は民間企業の入社試験等で行われている適性検査で代えるとしています。(出典:米原市公式サイト「職員募集」|令和8年度)

令和8年度に変えたこと

令和8年度からは一部職種に「採用日選択方式」が導入され、あわせてこれまで選考過程で実施していた論文試験が廃止されました。試験区分も社会人経験者枠(採用日選択可)・早期採用枠(採用日選択可)・A日程・B日程の4つに分かれています。

書いて示す工程を減らし、入り口の数と入り方を増やす方向へ動いている、と読むことができます。

この方向は、働き手の確保という現実的な事情とも切り離せません。人口3万人台の市が、公務員試験の勉強をしてきた層だけを相手にしていては、必要な人数も多様さも埋まりにくい。

受験のハードルを下げたぶん、選考では話す力と考える力を直接見る、という組み立てになっています。

選考の設計から見える職員像

市が何を大切にしているかは、選考の組み立て方そのものからも読み取れます。動画で撮った受け答え、集団の中でのふるまい、課題に対するプレゼンテーション、そして個別面接。

言葉で人に伝える場面を、形を変えて4回くぐらせる設計になっているからです。ここまで手数をかけるということは、市が採用でつかみたいものが、書いて示せる知識の側にはないということでもあります。

ここから先は、市の公表資料には書かれていない部分です。人口3万6千人の役所が250.39平方キロメートルの市域を受け持ち、しかも県境をまたいで岐阜県の3市町と接しているという条件から、当研究会が引き出した見通しを置きます。

この規模の市役所では、一つの担当が扱う分野が自然と広くなり、同じ職員が窓口にも現場にも顔を出すことになりがちです。担当の外にある話でもまず自分で当たってみるという構えは、そうした職場では働きどころが多いはずです。

志望動機を組み立てるときも、この市のどの課題に関心があるのかを一つ具体的に挙げられるようにしておきましょう。

POINT|市の取り組みを一覧で覚えなくてよい

取り組みの名前を並べられることは、自治体研究の成果ではありません。関心のある分野を一つか二つに決めたうえで、「①何が課題か → ②市はどんな状態をめざすか → ③いま動いている取り組み → ④市役所だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験をどう使えるか」まで一本の線でつないでおくほうが、話す場面では効きます。

悪い例「交通の便がよい米原市の魅力を発信していきたいです」

改善例「新幹線がとまることは大きな強みですけれども、通り過ぎる方が多いままでは市の力にはなりにくいと思います。まずは窓口や現場で市内の事業者の方の話をうかがって、立ち寄ってもらう理由をどうつくるかを一緒に考えたいです」

あわせて確認したい公式資料

資料は数をこなすより、志望に近い一つを深く読むほうが面接では効きます。読み終えたら、そこで知ったことを一つ選んで口に出して説明してみてください。

  • 志望する区分の受験申込方法の案内(最新年度)。A日程・B日程・社会人経験者枠・早期採用枠で内容が異なります
  • 米原市公式サイトの職員募集ページ(人物重視・公務員試験対策不要・採用日選択方式の説明)
  • 米原市の企業立地・アクセス環境のページ(3つの経済圏との距離)
  • 伊吹山に関する市のページ(自然と観光、山の管理)
  • 滋賀県の県民経済計算・総合戦略(市を県の中に置いて見るとき)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、米原市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。米原市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

米原市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

米原市役所の面接の概要

ここからは、米原市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

米原市役所の面接の流れ

令和8年度A日程の行政職・土木技術職・保健師は、3段階の構成です。第1次試験の時点ですでに動画面接があり、第2次は集団面接、第3次はプレゼンテーションと個別面接という並びになっています。

筆記で人を絞ってから面接に入る試験とは、準備の順番が変わります。

項目内容(令和8年度A日程・行政職/土木技術職/保健師)
試験の段階3段階構成。第1次試験・第2次試験・第3次試験と進みます
第1次試験動画面接試験と適性検査(基礎能力、性格)。適性検査は全国のテストセンターで受験します
第2次試験集団面接試験(米原市役所本庁舎)
第3次試験プレゼンテーション試験(課題に対するプレゼンテーションによる口述試験)と個別面接試験
動画面接試験の方式出題されたテーマに対して面接動画を撮影し、録画面接専用サイトに登録します。登録期間内に登録が完了しなかった場合は適性検査を受験できません
適性検査の中身能力検査(多肢選択式)は文書読解能力・数的能力・推理判断能力・人文・社会・自然に関する一般知識・基礎英語。あわせて職務遂行における性格の特徴や適応性をみる検査があります
採用予定(令和8年度)A日程の行政職は5人程度、B日程の行政職は1人程度です
併願各試験職種間の併願はできません
結果の通知応募者のマイページで、各試験の総合得点および順位が通知されます
実施主体米原市総務部人事課

この並びで効いてくるのは、最初の関門が筆記ではなく、カメラに向かって話す試験だという点です。動画の登録が期限に間に合わなければ適性検査すら受けられません。

しかも通過するたびに、集団の中で話す、資料をもとに構成して話す、一対一で掘られる、と求められる話し方が変わっていきます。動画も含めた四つの場面で同じ内容を語れるように整えておくことが、この市の対策そのものになります。

上記の試験構成は、米原市が公表した令和8年度A日程の受験申込方法の案内と、市の職員募集ページにもとづく行政職・土木技術職・保健師の内容です。保育教諭のA日程は2段階構成(第1次=集団面接試験と適性検査、第2次=実技試験と個別面接試験)で、職種によって組み立てが異なります。配点については、これらの案内に記載がありません。試験の構成・日程・配点等は年度や区分・職種によって変わりますので、受験の際は必ずご自身の区分の最新の受験案内をご確認ください。

米原市役所が求める人物像

確認した米原市の職員募集ページと受験申込方法の案内には、「求める人物像」として定型化された一文は置かれていませんでした。代わりに市が繰り返し示しているのが、人物重視という選考方針と、公務員試験対策を必要としないという入り口の設計です。

この二つを面接対策の言葉に翻訳すれば、知識の量ではなく、考えて話す過程そのものが評価の対象になっている、ということになります。

とくに第3次のプレゼンテーション試験は、覚えてきた答えでは形になりません。課題を受け取り、自分で組み立て、限られた時間で人に伝える。

順序立てて話す力が、そのまま評価の対象になる場面があるのがこの試験の特徴です。

面接での自己紹介を組み立てるときは、この試験の作りから逆算するのが近道です。動画では表情と話し出しの明快さ、集団面接では他人の話を受けてからの発言、プレゼンテーションでは構成、個別面接では細部の説明。

同じ経験を語るにしても、場面ごとに前に出す面が変わります。用意すべきは4種類の自分ではなく、4通りの角度から語れる一つの経験です。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。米原市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はここまでどうやって来られましたか?第1次で動画を見ている面接官と、はじめて対面する場面です。画面越しの印象と生身の印象がそろっているか
② 動機・志望米原市を志望した理由を教えてくださいA日程の行政職は5人程度の採用です。通勤圏だからという理由の外に、選んだ根拠があるか
③ 自己理解ご自身の苦手なことは何ですか?性格や適応性をみる検査を併せて受ける試験です。語る自己像と検査の傾向がかけ離れていないか
④ 経験・行動周りの意見が割れた場面で、あなたは何をしましたか?集団面接がある試験です。他人の発言を受け止めたうえで自分の考えを置けるか
⑤ 学業・経歴取り組んできたことを、3分で説明してくださいプレゼンテーション試験と地続きの質問です。時間の枠に合わせて話を構成できるか
⑥ 適性・将来山あいの地区を担当することになったら、どう動きますか?250平方キロメートル余りの市域を抱える市で、現場まで足を運ぶ働き方が想像できているか
⑦ 公共性・社会性雪の多い地域で行政がすべきことは何だと思いますか?豪雪地帯を抱える市です。暮らしの実感と行政の役割を結びつけて考えられるか

この7つの枠組み自体は、どの受験先でも大きくは変わりません。だから受験者はみな一通り準備してきますし、準備の有無では差がつきません。

違いが出るのは、次に挙げる米原市固有の質問のほうです。

合否を分けるのは「米原市役所ならでは」の質問

「なぜ滋賀県庁ではなく、米原市役所なのですか?」
「米原市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

米原市の場合、この二問はほとんど同じ素材から答えることになります。交通の便という魅力は、そのまま「通過されてしまう」という課題の裏面だからです。

両面を一続きで語れると、話が一段深くなります。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

面接で使いやすい形に絞って、米原市の事実と答え方を並べました。

質問テーマ知っておきたい米原市の事実答え方のヒント
交通の位置米原駅は滋賀県で唯一の新幹線停車駅。名古屋から約27分、東京から約134分。市内から車で名古屋・京都まで約50分、大阪まで約1時間20分、金沢まで約2時間速さの紹介で終えず、その速さが市内の商いや雇用にどう返っているかを問う形に置き換えると、志望動機として成立します
人口と年齢構成人口36,522人、65歳以上31.1%・75歳以上18.0%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。県全体の27.3%・15.8%をどちらも上回る3万人台という規模を、職員一人あたりの受け持ちの広さの話につなげると、働き方への理解を示せます
市域と自然総面積250.39km²。伊吹山は標高1,377mで県の最高峰。旧伊吹・旧山東の区域は豪雪地帯に指定自然を観光資源としてだけ扱わず、除雪や登山者の安全といった管理の仕事に触れると、行政の視点になります
雪の記憶日本の最深積雪記録11.82メートルは、昭和2年2月14日に伊吹山山頂で観測された数字を披露する話にせず、それだけ雪が生活と隣り合ってきた土地だという理解の裏づけとして一言添えます
選考の設計第1次から最終まですべての選考過程で面接を実施。公務員試験対策不要を掲げ、筆記は適性検査。令和8年度から採用日選択方式を導入し論文試験を廃止市が話す場面を重ねて設けている事実に触れ、自分がなぜこの入り口を選んだのかを一言で言えるようにしておきます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

米原市は求める人物像を定型の文章では示していませんので、選考の設計そのものから評価の軸を読み取ります。動画・集団・プレゼンテーション・個別と形を変えて話す場面が並ぶ以上、確かめられているのは、これまでに実際どう行動してきたかです。

いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
伝える力動画面接とプレゼンテーション試験で、聞き手のいない状態と資料をもとにする状態の両方から見られます同じ経験を1分、3分、5分の三通りの長さで話す練習をしておきます。削る順番を決めておくと崩れません
他人と場をつくる力集団面接で、他の受験者の発言を受けてから自分の意見を置けるかが見られます自分の主張を通した経験ではなく、意見が割れた場面で話を前に進めた経験を選んでおきます
初めての仕事を形にする力個別面接で、経験のない役割を任されたときの動き方を具体的に問われます3万人台の市役所で受け持ちが広くなることを踏まえ、調べ方と人への頼り方を手順として説明できるようにします

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。米原市は面接の場面が三つの段階にわたりますから、同じ話題が別の形式で繰り返し戻ってくることも考えられます。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 受ける区分を決める。米原市は同じ年度に社会人経験者枠・早期採用枠・A日程・B日程を設けており、職種間の併願はできません
  2. 受験申込方法の案内で、動画の登録期間と適性検査の受験方法を最初に確認する。動画の登録が終わらないと次に進めません
  3. 自分の経験を3つ選び、それぞれ1分・3分・5分の三通りの長さで話せるように削り方を決めておく
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. この記事の第1部を読み返し、交通・自然・人口の中から志望に近い事実を2〜3個選んで、自分の言葉で説明できるようにする
  6. スマートフォンで自分の受け答えを録画して見返す。動画面接があるこの市では、練習の形式を本番にそろえられます

優先順位に注意

時間が足りないときに削ってよいのは、ステップ5の自治体研究のほうです。米原市は最初の関門が動画面接ですから、ステップ3で自分の話を短く整えることと、ステップ6の録画練習を先に済ませてください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、米原市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

米原市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

米原市役所の想定問答集を見る

さいごに

本記事で見てきた令和8年度A日程の行政職・土木技術職・保健師は、動画面接から始まり、集団面接を経て、プレゼンテーションと個別面接で終わる3段階の試験でした。市は第1次から最終まで全過程で面接を行うと明言し、筆記は適性検査に置き換えています。

知識の暗記で埋められる部分が少ない分、自分の経験をどう語るかがそのまま結果に届く試験だといえます。新幹線がとまる駅と、県の最高峰と、11.82メートルの積雪記録を持つ土地。

そこで暮らす3万6千人の生活を自分の言葉で語れるようになったとき、4つの場面は同じ話の別の面を見せる機会に変わります。