本記事では、湖南市職員採用試験の面接対策で必要な、湖南市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
湖南市役所の面接試験では、「なぜ湖南市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。
先に一点だけ整理しておきます。「湖南市」は滋賀県の一つの市の名前で、大津市や草津市などを含む広域の呼び方である「湖南地域」とは範囲が違います。消防を担う枠組みも別で、名称の似た湖南広域消防局は草津市・守山市・栗東市・野洲市を管轄しており、湖南市はここに含まれません。以下は一般行政職(上級)の採用試験を軸に整理した内容です。ほかの職種や区分を受ける方は、該当する受験案内と読み比べながら使ってください。
第1部|自治体研究編
湖南市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは湖南市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 外国人住民の比率が滋賀県内の市町で最も高い市。県の令和7年の調査では湖南市は8.07%で、県全体の3.19%を大きく上回る。
- 面積は70.40平方キロメートルと小さく、県南部の内陸に位置する。
- 接しているのは野洲市、栗東市、甲賀市、竜王町の4市町のみで、府県境には面していない。
- 人口は5万4,063人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。市の花はサツキ、市の木はウツクシマツ。
- 65歳以上は26.5%、75歳以上は14.5%(同)。滋賀県全体の27.3%、15.8%をいずれも下回る、県内では若い側の市。
- 消防は市単独ではなく、甲賀市とともに構成する甲賀広域行政組合消防本部が担う。名称の近い湖南広域消防局とは別の組織。
- 一般行政職(上級)の採用試験は年度内に複数回実施されており、令和7年度採用では1回目と2回目が行われた。
- 市役所は湖南市中央一丁目一番地の東庁舎に置かれている。
湖南市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「湖南市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
湖南市の場合、押さえておきたいのは人口の絶対数よりも、狭い市域にどれだけ人が集まっているかという密度と、住んでいる人の内訳です。次の表にまとめました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 54,063人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 1万4,307人(26.5%) |
| うち75歳以上人口 | 7,822人(14.5%) |
| 総面積 | 70.40平方キロメートル |
| 人口密度 | 約768人/平方キロメートル(上記の総人口と総面積から算出) |
| 接している自治体 | 野洲市、栗東市、甲賀市、蒲生郡竜王町 |
| 市の花・木 | サツキ(花)・ウツクシマツ(木) |
| 市役所の所在地 | 湖南市中央一丁目一番地(東庁舎) |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。本文で比べている滋賀県全体の割合も同じ統計から取っています。人口密度は、この総人口を総面積で割って算出しました。総面積・接している自治体・市の花と木・市役所の所在地は、当研究会が整理した基礎データによります。滋賀県が別に公表している推計人口は調査の基準が異なりますので、この表の値と並べて増減を計算することはできません。
数字から考えられる市政課題
まず密度から見てみます。5万4,063人が70.40平方キロメートルに暮らし、1平方キロメートルあたりは約768人。滋賀県全体は、びわ湖を含む約4,017平方キロメートルに約140万人ですから、単純に割れば1平方キロメートルあたり約350人です。
湖南市は、県の平均の2倍を超える密度で人が住んでいる市だといえます。上下水道も通学路も公共交通も、限られた面積の中に高い密度で必要とされるという条件です。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在/滋賀県の位置・県章|滋賀県)
年齢の内訳では、65歳以上26.5%、75歳以上14.5%と、いずれも滋賀県全体(27.3%、15.8%)を下回ります。ただし県全体の見通しは楽観できるものではありません。
滋賀県は2013年の約142万人をピークに人口の減少局面へ入っており、県の総合戦略の資料は、国立社会保障・人口問題研究所の平成30年推計として、県の総人口が126.3万人(2015年より10.6%減少)まで縮み、高齢化率は35%近くに達し、一部の市町では40%を超える可能性があるという見通しを示しています。いまは若い側にいるからこそ、備えの時間が残されているという読み方をしておきましょう。(出典:人口減少を見据えた幸せが続く滋賀総合戦略(概要版)|滋賀県)
湖南市の経済・産業
製造業の比重が高い県の内側で
滋賀県の県内総生産(名目)は令和5年度で7兆3,625億円、名目で前年度比4.4%の増加でした。産業別の構成比は第1次産業0.4%、第2次産業46.7%、第3次産業52.4%。
製造業だけで41.6%を占め、その特化係数は2.02と全国値のおよそ2倍にあたります。滋賀県の経済は、内陸県でありながら製造業が全国平均の倍近い比重を持つ構造です。
湖南市もこの構造の内側にあり、市の経済を語るときは、まずこの前提を置くと話が通りやすくなります。(出典:滋賀県民経済計算|令和5年度)
県内で最も高い外国人住民の比率
滋賀県の外国人住民は44,735人(前年比3,260人増、増加率7.9%)で、県の総人口に占める割合は3.19%(前年2.95%)です。市町別に見ると、湖南市の8.07%は県内で最も高い水準にあたります。
国籍別ではベトナムが12,030人(26.9%)、ブラジルが8,782人(19.6%)、中国が4,692人(10.5%)。在留資格別では永住者10,955人と技能実習6,610人が多く、前年から最も増えたのは特定技能で1,232人の増加でした。(出典:外国人の住民基本台帳人口調査|令和7年・滋賀県)
製造業に厚みのある県の産業構造と、外国人住民の比率が県内で最も高いという湖南市の姿は、無関係な二つの事実として並んでいるわけではないでしょう。働く場所があるところに人が集まり、その人たちが暮らす場所として市が選ばれているという関係で捉えておくと、産業振興の話と多文化共生の話を一つの流れでつなげられます。
面積70平方キロメートルの市が担うもの
湖南市の面積は70.40平方キロメートルで、接しているのも4つの市町だけです。府県境に面していないため、他県との調整というより、県内の隣接市町や滋賀県との関係の中で仕事が進みます。
市域が狭いということは、移動の距離が短く施設を集約しやすいという利点がある一方、用途の異なる土地が近接し、住宅と工場と農地の折り合いをつける場面が多いということでもあります。都市計画や環境の分野を志望するなら、この密度の高さを議論の出発点に置いてください。
湖南市の主な行政課題
ここまでの数字を、市役所の仕事の側から見直してみます。面接で「湖南市の課題」を問われたときのために、次の4つを手元に置いておきましょう。
多文化共生を日常の実務として回すこと
外国人住民の比率が8.07%ということは、市民のおよそ1割近くが外国籍だということです。この規模になると、多文化共生は理念を掲げる段階ではなく、日々の実務そのものになります。
窓口での手続きの案内、子どもの就学と日本語の支援、ごみ出しや自治会のルールの共有、災害時に避難情報をどう届けるか。どの部署にいても、言葉の通じにくい相手にどう伝えるかという場面が生じるのが、この市の職員の日常です。
志望動機でこの分野に触れるなら、交流イベントの話に寄せるのではなく、伝達の実務まで踏み込みましょう。
いま緩やかな高齢化への備え
65歳以上26.5%、75歳以上14.5%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)という構成は、県平均より若いとはいえ、市民の4人に1人以上が65歳以上ということでもあります。滋賀県全体では2016年以降の自然減が続き、日本人住民に限れば2013年以降の社会減も重なっていて、県は令和8年度の予算編成でも人口構造の変化を正面に据えました。
県内で相対的に若い市が、その時間の余裕をどう使うか。介護や見守りの体制を、必要になってから急いで整えるのではなく、いまのうちに設計しておけるかどうかが問われます。
水害と地震への備え
滋賀県が想定の対象としているのは、琵琶湖西岸断層帯や花折断層帯を含む内陸活断層6ケースの地震と、南海トラフ巨大地震です。水害については、県が平成24年3月の「滋賀県流域治水基本方針」にもとづく総合的な治水を進めており、独自の「地先の安全度マップ」で10年確率降雨(時間最大50ミリメートル)、100年確率降雨(同109ミリメートル)、200年確率降雨(同131ミリメートル)ごとの浸水リスクを県内ほぼ全域で公表しています。
人口密度の高い市では、同じ浸水域でも影響を受ける人の数が多くなります。避難の呼びかけを外国語でどう届けるかという課題も、ここで前項と重なります。(出典:地先の安全度マップの更新について|滋賀県)
職員をどう確保していくか
湖南市は一般行政職(上級)の採用試験を年度内に複数回実施しています。令和7年度採用では1回目と2回目が行われ、1回目は受験者37名に対し最終合格7名(競争率5.2倍)、2回目は受験者16名に対し最終合格2名(競争率8.0倍)でした。
1回で必要な人数をそろえる形ではなく、回を分けて募集する運用がとられているということです。人口5万人規模の市が、必要な専門性を持つ職員をどう確保し続けるかは、市政の裏側にある恒常的な課題だといえます。(出典:過去の採用試験実施状況|湖南市)
重点政策|狭い市域に集まる多様な暮らし
湖南市の政策の方向は、これまで並べた数字が組み合わさるところに現れます。70.40平方キロメートルという狭い市域、県平均の2倍を超える人口密度、県内で最も高い外国人住民の比率、そして県平均よりまだ緩やかな高齢化。
この4つが重なると、市の仕事は「限られた面積に集まった多様な暮らしを、同時にどう支えるか」という一点に収束していきます。総合計画は市公式サイトに最新版が置かれています。
志望する分野に近い章から開いて、この市が何をどの順で進めようとしているのかを確かめておきましょう。
志望分野を絞り込む視点
自治体研究は、事業の一覧を書き写す作業ではありません。湖南市なら、狭い市域に多様な暮らしが集まっているという条件のうち、自分がいちばん引っかかったものを一つ選ぶところから始めてください。
その一点について市がどこを変えようとしているのか、自分の経験のどこが接するのかを言葉にできれば、面接では十分に戦えます。
POINT|「多文化共生」を言葉で終わらせない
湖南市を志望する方は、外国人住民の多さに触れたくなるはずです。ただ、比率を挙げて共生の大切さを述べるだけでは、面接官の次の一言に答えられません。自分ならどの場面のどの手続きを変えたいのか、一点に絞って話しましょう。
悪い例「多文化共生のまちづくりを進める湖南市で、誰もが暮らしやすい地域をつくりたいです」
改善例「市民の1割近くが外国籍だと知りました。私は大学で留学生の相談窓口を手伝っていて、書類の日本語が難しくて手続きが止まってしまう場面を何度も見ました。窓口の案内をもっと届く形にする仕事に関わりたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
湖南市の場合、採用の情報と政策の情報が同じ市公式サイトの中に並んでいます。次の順で当たると、志望動機と試験対策の両方が同時に進みます。
- 湖南市の職員採用のページ(受験案内、申込みの手順、受験票の受け取り方)
- 湖南市が公表する過去の採用試験実施状況(受験者数と合格者数の推移がわかります)
- 湖南市人材育成基本方針(市が職員に何を期待しているかが読み取れます)
- 湖南市の総合計画(市公式サイトの最新版を、志望分野に関わる章に絞って読む)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、湖南市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。湖南市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
湖南市役所の面接の概要
ここからは、湖南市の選考がどんな形で進むのか、質問の全体像、そして湖南市ならではの問いへの備え方を順に見ていきます。
三段階の選考と、年度内に複数回という運用
湖南市が公表している過去の採用試験実施状況を見ると、各年度の表が第1次試験・第2次試験・第3次試験の欄で構成されています。
つまり最終合格までに三つの段階を越える必要がある選考です。加えて、一般行政職(上級)は年度内に複数回の募集が行われており、令和7年度採用では1回目と2回目が実施されました。
| 令和7年度採用・一般行政職(上級) | 受験者数 | 第1次合格 | 第2次合格 | 最終合格 | 競争率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1回目 | 37名 | 23名 | 13名 | 7名 | 5.2倍 |
| 2回目 | 16名 | 10名 | 6名 | 2名 | 8.0倍 |
ここでの競争率は、受験者数を最終合格者数で割った値です。注目したいのは、応募が多かった1回目より、規模の小さい2回目のほうが競争率が高かったという点です。
採用予定の人数が少ない回では、受験者が減っても競争は緩まないという関係が見て取れます。年度によって状況は変わりますが、募集の回によって通りやすさが違いうる試験だという前提は持っておきましょう。
| 項目 | 内容(一般行政職・上級) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験・第2次試験・第3次試験の三段階です |
| 実施の回数 | 年度内に複数回。令和7年度採用では1回目と2回目が実施されました |
| 試験の科目 | 受験する回の受験案内でご確認ください |
| 面接の形式と回数 | 個別面接か集団面接かの別、集団討論の有無は、受験する回の受験案内でご確認ください |
| 配点 | 人物試験にどれだけの比重が置かれるかは、その回の案内で確かめられます。公表されている内容を読んでから、筆記と面接の時間の割り振りを決めてください |
| 提出書類 | エントリーシートや面接カードにあたる様式が課されるかどうかも、受験案内に示されます |
| 申込みと受験票 | オンライン申込サイト「PUBLIC CONNECT」から申し込み、完了後に届くお知らせから受験票をダウンロードして印刷し、第1次試験に持参します。これは申込みの受付に外部のサービスを使っているもので、近隣自治体との共同実施ではありません |
上記は、2026年8月19日時点で湖南市が公表していた採用情報および過去の採用試験実施状況にもとづく、一般行政職(上級)についての内容です。裏づけの取れない項目に、当研究会の推測を書き足すことはしていません。試験の構成・科目・配点等は年度や職種、募集の回によって異なりますので、受験の際は必ずご自身が受ける回の最新の受験案内をご確認ください。(参考:職員採用|湖南市)
湖南市が求める職員像
湖南市は人材育成基本方針のなかで、求める職員像を「情熱とチャレンジ精神を持ち、市民とともに歩む実行力のある職員」と定めています。これを実現する人材育成の3つの柱として、「人事制度」「職員研修」「職場環境」を掲げているのも同方針です。(出典:湖南市人材育成基本方針|湖南市)
この一文は、面接の準備の単位に置き直すと「情熱」「チャレンジ精神」「市民とともに歩む姿勢」「実行力」の4つに分解できます。
とくに末尾の「実行力」は、意欲や関心だけを語る自己PRとの相性がよくありません。やろうと思った話ではなく、実際に最後までやり切った話を持っているかどうかが、この一文の重心にあります。
方針が言葉にしているのは、ここまでです。その「実行力」が実際の職場のどの場面で試されるのかまでは書かれていませんので、ここから先は市の規模と選考の形を材料に当研究会が推し量った話として読んでください。
人口5万4,063人。この人数を担当分けして支える市役所では、職員の看板に書かれた担当名と、市民が窓口へ持ち込む相談の中身が、きれいに一致しません。
自分の所管ではない制度についても、最初の一言は返すことになります。「担当に回します」で終わらせず、相手が何に困っているのかをその場でつかめるかは、この市の選考でも軽くない要素だと当研究会はみています。
市域の狭さも、働き方に効いています。70.40平方キロメートルに5万人が暮らすということは、一度対応した相手と別の用件で再び向き合う場面が起きやすいということです。
市民のおよそ1割近くが外国籍という環境では、一度目の説明が伝わったかどうかが、そのまま二度目の相談の重さを決めます。丁寧さが望ましい態度としてではなく、次の仕事の負荷として返ってくる。
この関係は、規模の大きな役所より強く働くはずです。
準備をどう組むかは、三段階という選考の形が決めてくれます。第1次から第3次まで越えるということは、同じ話を違う面接官に、少しずつ角度を変えて何度も差し出すということです。
回を重ねても崩れない話は、実際にあった出来事からしか作れません。言い回しを覚え込むより、一つの経験を三通りの角度から話してみて、どこから崩れるのかを先に見つけておきましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。湖南市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどちらからお越しになりましたか? | 本題前の一往復。答えの中身よりも、初対面の相手と言葉のやりとりを始められるか |
| ② 動機・志望 | 公務員という進路を選んだきっかけを教えてください | 安定という言葉に寄りかからず、5万人台の市で働く選択として言葉にできているか |
| ③ 自己理解 | 自分の短所をどう補っていますか? | 弱みを認めたうえで、補うための手立てを自分で用意しているか |
| ④ 経験・行動 | 途中で投げ出さずにやり切った経験を教えてください | 市が掲げる「実行力」に直結する問い。最後まで進めた事実と、その過程の粘り方 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学んだことのうち、市の仕事に活かせそうなことはありますか? | 学問の高度さではなく、湖南市の業務のどこへ接続するかを自分で見つけているか |
| ⑥ 適性・将来 | 言葉が通じにくい相手への説明を任されたら、どう進めますか? | 外国人住民の比率が高い市の実務を、具体的な場面として想像できているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近のニュースで、市の仕事に関わりそうだと思ったものはありますか? | 社会の出来事を、5万人規模の市の窓口で起きることまで引き寄せて考えられるか |
ただし、この7つの枠組みは受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「湖南市ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「湖南市役所ならでは」の質問
どちらも湖南市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
面接で使いやすい湖南市の事実を絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい湖南市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 外国人住民の比率 | 湖南市の8.07%は滋賀県内の市町で最も高い水準(令和7年)。県全体は3.19%で、国籍別ではベトナムが最多 | 比率を挙げるだけで終わらせず、就学、窓口、避難情報のうち自分が関わりたい場面を一つ選んで話します |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 湖南市は消防を甲賀市との組合で運営する一方、窓口や福祉、就学の支援は市が直接担う。広域で担う仕事と単独で担う仕事が分かれている | 県と市のどちらが何をするのかを一つの例で説明し、そのうえで自分が窓口に近い側を選ぶ理由を述べます |
| 人口密度と市域の狭さ | 面積70.40平方キロメートルに5万4,063人。1平方キロメートルあたり約768人で、滋賀県平均の2倍を超える | 狭さを制約としてだけ語らず、施設を集約しやすい、移動時間が短いといった利点も併せて挙げると見え方が立体になります |
| 高齢化の現在地 | 65歳以上26.5%、75歳以上14.5%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、滋賀県全体の27.3%、15.8%を下回る | まだ緩やかだという事実を、備えの時間が残っているという前向きな論点に置き換えて話します |
| 採用試験の実施のされ方 | 一般行政職(上級)は年度内に複数回実施。令和7年度採用は1回目が競争率5.2倍、2回目が8.0倍だった | 数字を暗記して披露するのではなく、複数回の募集が続く背景として人材確保の難しさに触れると、市の側の事情まで見えていると伝わります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、人材育成基本方針が掲げる求める職員像に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。方針の一文を4つに分けて、確かめられそうな観点を並べました。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 情熱 | 関心の強さが、時間や手間のかけ方に表れているか | 好きだと言うかわりに、そのために何時間を何に使ったのかを具体的な数と行動で示せるようにします |
| チャレンジ精神 | やったことのない領域に踏み出した経験があるか | 成功談でなくてかまいません。踏み出す前に何が怖かったのか、どう見切りをつけたのかまで話せるようにします |
| 市民とともに歩む姿勢 | 立場や背景の違う相手と、同じ目標に向かって動いた経験があるか | 湖南市では言葉や文化の違う相手と接する場面が多くなります。相手の事情に合わせて伝え方を変えた場面を用意しておきます |
| 実行力 | 着手だけで終わらず、結果が出るところまで進めたか | 途中で失速しかけた場面と、そこから立て直すために何を変えたのかをセットで語れるようにします |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
湖南市は三段階の選考ですから、同じ経験を別の面接官から改めて問われる場面も想定されます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 湖南市の職員採用のページで、自分が受ける職種と回の受験案内を読み、試験の科目・面接の形式・提出書類・申込みの手順を書き出す
- 申込みから受験票の印刷までの流れを一度確認しておく。オンラインで申し込み、届いたお知らせから受験票を自分でダウンロードして印刷する手順のため、直前に慌てないよう先に把握しておく
- これまでの経験を棚卸しし、最後までやり切った話を2つ以上、途中で立て直した話を1つ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- この記事の前半を読み返し、外国人住民の比率・人口密度・高齢化の現在地・採用試験の実施のされ方のうち、志望分野に近い事実を2つか3つ選んで自分の言葉で説明できるようにする
- 対応表で選んだ事実を出発点に、自分の問題意識とやりたいことまで一本につないで声に出す。三段階の選考を想定し、同じ話を角度を変えて2通り話せるところまで持っていく
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究と、ステップ6でそれを自分の話につなぐ作業は、他の受験生に差をつけるための上積みにあたります。ただし湖南市は年度内に複数回の募集があり、回ごとに案内の内容が変わりえます。まずステップ1で自分が受ける回の条件を確定させ、ステップ3の経験の棚卸しに時間を回してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、湖南市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
湖南市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
一般行政職(上級)の採用試験は、第1次から第3次まで三つの段階を越える選考です。同じ話を違う面接官へ、角度を変えて何度も差し出すことになります。
70平方キロメートルほどの市域に5万人が暮らし、そのうち1割近くが外国籍。県全体と比べれば高齢化はまだ緩やかで、手を打てる時間が残っています。
その湖南市で、自分は何を引き受けたいのか。市が掲げる「情熱とチャレンジ精神を持ち、市民とともに歩む実行力のある職員」という一文のどこに自分の経験が重なるのかを、回を重ねても崩れない言葉になるまで書き直してみてください。
ほかの職種や区分を受ける方は、条件が異なりますので、該当する受験案内を確かめてから準備に入りましょう。