本記事では、大津市職員採用試験の面接対策で必要な、大津市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

大津市役所の面接では、「なぜ大津市を志望したのか」「中核市の職員として何に取り組みたいのか」「これまでの経験を大津市政のどこで生かせるのか」といった質問が想定されます。本記事は令和8年度(6月実施)の上級事務職を軸に整理しており、3回の試験のうち2回が面接という設計を前提に読み進めてください。

市の実情を数字と制度の両面から押さえておくと、志望動機も取り組みたい仕事の説明も一段具体的になります。読みながら、自分の経験と結び付けられそうな事実に印を付けていきましょう。

第1部|自治体研究編

大津市の特徴

質問への答えを作る前に、大津市がどんな市なのかをひととおり見渡しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 滋賀県の県庁所在地であり、平成21年4月1日に中核市へ移行した市。
  • 住民基本台帳人口は343,316人(令和8年1月1日現在)。県全体のおよそ4分の1にあたる人口が、この市に集まっている。
  • 市域面積は464.51平方キロメートル。平成19年9月28日の琵琶湖の市町境界確定でいったん464.10平方キロメートルとなり、平成26年10月1日の計測方法の変更で現在の値になった。
  • 明治31年10月1日の市制施行時の面積は14.20平方キロメートル。その後、昭和7年の滋賀村、昭和8年の膳所町・石山町、昭和26年の雄琴・坂本・下阪本・大石・下田上の各村、昭和42年の瀬田町・堅田町、そして平成18年3月20日の志賀町との合併を重ねて、現在の市域になっている。
  • 県内では草津市・栗東市・甲賀市・高島市と接し、府県境をまたいで京都市・宇治市・綴喜郡宇治田原町とも隣り合う。京都側と生活圏が連続している市でもある。
  • 高齢化率は28.2%、75歳以上の割合は16.4%(令和8年1月1日現在)。いずれも県全体(27.3%・15.8%)を上回る。
  • 健康福祉部に大津市保健所を設置しており、保健総務課・保健予防課・衛生課などが置かれている。
  • 琵琶湖と湖辺の暮らしを主題とする日本遺産「琵琶湖とその水辺景観」の構成自治体のひとつ。

大津市の基礎データ

面接に向けた自治体研究で、統計値を細かく暗記する必要はありません。ただし大津市がどれくらいの規模の市なのかという感覚は、志望動機を語るうえでの土台になります。

並べたのは、人口と年齢構成、市域の広さ、そして市が自ら担っている事務の範囲です。中核市という言葉を、数字で裏づけるための材料だと思ってください。

項目内容
総人口343,316人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口96,831人(高齢化率28.2%。県全体は27.3%)
75歳以上人口56,265人(75歳以上の割合16.4%。県全体は15.8%)
市域面積464.51km²(滋賀県の面積約4,017km²の約1割強)
人口密度約739人/km²(上記の総人口を市域面積で割った値)
市制施行明治31年10月1日(当時の面積14.20km²)
中核市への移行平成21年4月1日
保健所健康福祉部に大津市保健所を設置
隣接する自治体草津市・栗東市・甲賀市・高島市/京都市・宇治市・綴喜郡宇治田原町

人口・年齢別人口・高齢化率は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。市と県を同じ基準で比べるため、県の数値も同じ住民基本台帳ベースの値を用いています。滋賀県が別に公表している推計人口は国勢調査を基準とする系列で、ここに挙げた数値とは調査の土台が異なるため、直接の比較はできません。市域面積・市制施行・沿革は大津市の公表資料、県の面積は滋賀県の公表資料によります。

34万人という規模から見えてくること

まず目を引くのは、県都でありながら高齢化が県平均より進んでいる点です。高齢化率は市が28.2%、県が27.3%。

75歳以上の割合でも市16.4%に対し県15.8%で、県内の人口が最も集まる市で、後期高齢者の比率も県平均を上回っているという状態にあります。医療や介護、見守りの需要は、人口規模の分だけまとまって発生します。

もうひとつは市域の形です。面積464.51平方キロメートルは県の面積の1割強にあたり、湖岸に沿って南北に長く広がっています。

人口密度は約739人/平方キロメートルですが、これは市域全体をならした値で、市街地と山間部・湖辺部では暮らし方も行政サービスの届け方も同じではありません。たとえば面接では、次のように数字と課題をつないで話せます。

「大津市には34万人あまりが暮らしていて、県内では一番人口の多い市だと聞きました。それでも高齢化率は3割近くで、県の平均より少し高いそうです。しかも市域は湖沿いに南北へ長く伸びていますので、同じ支援でも届け方は地域ごとに変わってくるのではと感じています」

大津市の経済・産業

製造業の県のなかの県都

滋賀県の令和5年度の県内総生産(名目)は7兆3,625億円で、経済成長率は名目4.4%増・実質1.3%増と3年連続の増加でした。産業別の構成比は第1次産業0.4%、第2次産業46.7%、第3次産業52.4%。

なかでも製造業の構成比は41.6%と高く、製造業の特化係数は2.02で全国値のおよそ2倍にあたります。1人当たり県民所得は346万1千円(前年度比4.6%増)でした。(出典:滋賀県民経済計算|令和5年度)

つまり滋賀県は、内陸県でありながら工場の集積で経済が回る県です。その製造業中心の県のなかで、大津市は県庁所在地として県の行政機能が集まる市という位置づけになります。

工業の集積という県全体の話題と、県都としての大津市の話題は、同じ県の中でも重なり方が違います。この違いを意識しておくと、「滋賀県の産業」と「大津市の暮らし」を混ぜずに語れます。

京阪神と接する立地

滋賀県は近畿圏・中部圏・北陸圏の結節点にあたり、東西方向の人と物の流れを担う広域交通の基盤が集中しています。その県の南西部にあって、京都市・宇治市・綴喜郡宇治田原町と境を接しているのが大津市です。通勤・通学や買い物の圏域が府県境をまたいで連続しているため、市の人口や経済は、市内の事情だけでは説明しきれません。住まいを大津に置いて京都・大阪へ働きに出る人の存在を前提に、住環境や子育て環境をどう整えるかという発想が要ります。(参考:滋賀県 新広域道路交通計画|令和3年3月)

琵琶湖と観光

令和5年の滋賀県の延べ観光入込客数は50,328,036人(前年比10.7%増、令和元年比では6.9%減)で、内訳は延べ日帰り客数46,536,602人・延べ宿泊客数3,791,434人でした。日帰りが9割以上を占める構造です。

大津市は、琵琶湖とその水辺の暮らしを主題とする日本遺産「琵琶湖とその水辺景観」の構成自治体に名を連ねています。観光を語るなら、名所を挙げるより「通り過ぎる客をどう滞在に変えるか」という角度のほうが、行政の仕事に近づきます。(出典:滋賀県観光入込客統計調査(確定値)|令和5年)

大津市の主な行政課題

ここまでの数字を並べ替えると、大津市が向き合っている課題が浮かび上がってきます。面接で「市の課題は何だと思いますか」と聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

人口減少局面と高齢化の進み方

滋賀県の総人口は2013年の約142万人をピークに減少局面へ入り、2016年以降は死亡数が出生数を上回る自然減、2013年以降は日本人のみでみた社会減が続いています。国立社会保障・人口問題研究所の平成30年推計では、県の総人口は126.3万人(2015年比10.6%減)、高齢化率は35%近くに達すると見込まれ、一部の市町では40%を超える可能性も示されています。

県内で最も人口の多い大津市でも、高齢化率はすでに28.2%。人口の規模と高齢化の速さが同時に効いてくるのが、この市の難しさです。

琵琶湖西岸断層帯地震への備え

滋賀県の地震被害想定は、琵琶湖西岸断層帯(マグニチュード7.8)・花折断層帯(同7.4)など内陸活断層6ケースと南海トラフ巨大地震を対象としています。このうち大津・南部・高島地域を中心とする琵琶湖西岸断層帯地震(冬夕方の想定ケース)では、想定最大震度7、建物全壊38,504棟・半壊83,856棟、死者1,992人・負傷者17,199人、全避難者249,534人と見積もられました。

被害が集中すると想定されている地域に、県内で最も人口の多い市が含まれているという事実は、防災を語るうえで外せません。(出典:滋賀県地震被害想定(概要版)|平成26年3月)

水害リスクと流域治水

滋賀県は「滋賀県流域治水基本方針」(平成24年3月)に基づき、河川改修だけに頼らない総合的な治水を進めてきました。独自の「地先の安全度マップ」では、10年確率降雨(時間最大50ミリ)・100年確率降雨(同109ミリ)・200年確率降雨(同131ミリ)ごとの浸水リスクを県内ほぼ全域で公表しています。

湖に面し、山地から湖岸まで高低差のある市域を抱える大津市にとって、住まいの位置ごとにリスクが違うことを住民に伝える仕事は、日常業務の一部です。(参考:地先の安全度マップの更新について(滋賀県))

中核市として担う保健・衛生の現場

大津市は健康福祉部に大津市保健所を置き、保健総務課・保健予防課・衛生課などを配置しています。感染症対策、食品や環境の衛生、精神保健や難病の相談といった分野を、県ではなく市の職員が直接担うということです。

34万人規模の人口に対してこれらの機能を維持し続けられるかどうかは、財源だけでなく専門職の確保にも関わります。(出典:大津市 健康福祉部の組織(大津市保健所))

南北に長い市域とサービスの届け方

市制施行時に14.20平方キロメートルだった市域は、合併を重ねて464.51平方キロメートルまで広がりました。直近は平成18年3月20日の志賀町との合併です。(出典:大津市の市域の変遷)

同じ市の中に、駅前の市街地も、湖辺の集落も、山あいの地域も含まれているのが今の大津市で、公共交通、学校、消防、除雪、見守りといった行政サービスは、どこでも同じやり方というわけにいきません。

県が公表する雪崩危険箇所の資料では、旧堅田の区域が豪雪地帯に指定されています。市域内の条件差は、雪の面にも表れているということです。(出典:滋賀県 雪崩危険箇所と豪雪地帯の指定)

大津市の重点政策|中核市としての守備範囲

大津市の政策を理解するときの最初の手がかりは、この市が中核市だという点です。平成21年4月1日の移行にあわせて、社会福祉法第7条第1項と大津市社会福祉審議会条例に基づく大津市社会福祉審議会が設置されました。

移行によって市の仕事の範囲そのものが動いたことが、こうした付属機関の設置経緯からも読み取れます。(出典:大津市社会福祉審議会について(大津市))

中核市への移行が変えたもの

中核市への移行で、保健所が扱う仕事が県の手から市の手に移りました。感染症の発生時に動くのも、飲食店の衛生を見るのも、精神保健の相談を受けるのも市の職員です。

志望先を大津市に絞る理由を聞かれたとき、この点は具体的な答えの材料になります。「住民に近いところで働きたい」という言い方は誰でもできますが、大津市の場合は、近さの中身を保健所という制度で説明できるからです。

採用の設計から読み取れる力点

市が何を大事にしているかは、試験のつくり方にも表れます。大津市は令和7年度から、上級事務職の試験を4次から3次に、技術職を3次から2次に短縮しました。

同時に第1次試験のSPI試験をテストセンター方式に切り替え、全国各地の会場や自宅での受検を可能にしています。最終合格の発表も、上級事務職で9月中旬頃、技術職で8月下旬頃へ繰り上げられました。

受験しやすさを上げて人材の間口を広げる方向に、はっきり舵を切っているとみてよいでしょう。

あわせて、令和7年度に採用支援システム「Be-smart」を導入し、令和8年4月には職員採用ポータルサイトを開設しています。申込は「事前登録」と「本登録」の2段階で、本登録ではエントリーシートの入力が必要です。

応募の入口をデジタルで整えたぶん、書いた内容と面接での発言の一貫性は、これまで以上に見られやすくなったと考えておきましょう。

あわせて確認したい公式資料

市政の方向を自分で確かめたい人向けに、当たっておくとよい資料を挙げます。志望分野に近いものから順に開けば十分です。

  • 大津市職員採用試験の受験案内(最新年度)と職員採用ポータルサイト
  • 大津市の総合計画と、その年度の予算・市政運営に関する市長の説明資料
  • 関心分野の個別計画(保健・福祉、防災、都市計画など。中核市として市が策定するものが多い)
  • 滋賀県の統計・防災情報(地先の安全度マップ、地震被害想定など、市域のリスクを知るための県資料)

POINT|分野を1つ決めてから調べる

資料の名前を覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心のある分野を1つ決め、「①何が困っているのか →②市はどうなった状態を目指しているのか →③そのために今どんな事業があるのか →④県ではなく市だから担える部分はどこか →⑤自分の経験のどこが役に立つか」の順に調べると、面接で使える形になります。

悪い例「大津市の福祉に携わりたいです」

改善例「大津市は保健所を持つ中核市だと知りました。感染症の対応や食品衛生のように、県ではなく市の職員が直接動く分野で、市民の相談を受けながら制度を回していく仕事に関わりたいです」

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、大津市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。大津市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

大津市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

大津市役所の面接の概要

ここからは、大津市役所の試験がどう組まれているか、何が問われるか、どう備えるかを見ていきます。事実の拠り所は大津市が公表している令和8年度の職員採用試験案内です。

配点のように案内に載っていない事柄は、個人面接を2回置く大津市の段階構成から当研究会が補って書いた部分として、公表内容と分けて記します。

大津市役所の面接の流れ

令和8年度(6月実施)の上級事務職は、第1次から第3次までの3段階です。第1次はSPI3による基礎能力・性格検査(テストセンター方式)、第2次は個人面接と集団討論、第3次は個人面接。

筆記で一気に絞ったあと、形式の違う面接を2回重ねて人物を確かめる設計になっています。

項目内容(令和8年度・6月実施)
試験の段階上級事務職は第1次・第2次・第3次の3段階。技術職と教育保育職は第2次試験が最終試験
第1次試験基礎能力・性格検査(SPI3、テストセンター方式)。教育保育職を除くすべての職種でSPI3を実施
第2次試験(上級事務職)個人面接および集団討論
第2次試験(他職種)上級事務職(福祉)・技術職・管理栄養士・薬剤師・発達相談員・教育保育職は個人面接と専門面接。学芸員(歴史)はこれに実技試験が加わる
第3次試験(上級事務職)個人面接(最終試験)
配点受験案内に各試験の配点や人物試験の比重の記載はなく、非公表。不合格となった試験については、合格発表の日から1か月間、得点および順位の提供を求めることができます
申込・提出書類職員採用ポータルサイトで「事前登録」と「本登録」の2段階。本登録でエントリーシートを入力。学芸員(歴史)は調査研究等履歴、発達相談員は成績証明書の提出が必要
採用予定人員上級事務職26人程度、事務職(福祉)5人程度、上級技術職(土木)5人程度、教育保育職20人程度など
実施主体大津市職員選考委員会(総務部人事課内)

上記は大津市の令和8年度職員採用試験案内(6月実施)にもとづく内容で、区分は主に上級事務職を想定しています。試験の構成・区分・実施時期は年度によって変わる可能性があります。受験の際は、必ずご自身が受ける職種と年度の最新の試験情報をご確認ください。

この試験でとくに意識しておきたいのは、合否を分ける材料の重みが公表されていないという点です。開示されるのは、不合格になった試験の得点と順位だけ。

どの科目が何点かを逆算して戦略を立てることはできませんから、3段階すべてで基準を割らないという前提で準備するほかありません。

加えて第2次には集団討論があり、第3次では同じ話題を角度を変えて問い直されることがあります。暗記した答えの再生では、二度目の質問で止まります。

大津市役所が求める人物像

大津市は受験案内のなかで、求める人物像を明確に示しています。掲げられているのは「未来を『想像・創造』する意欲を持ち、高い使命感でチームワークを築いて行動できる職員」という一文です。(出典:令和8年度 大津市職員採用試験案内)

短い文ですが、要素は4つに分かれます。思い描く力(想像)と形にする力(創造)、その原動力としての使命感、そして一人で完結せずチームで進める姿勢、最後に「行動できる」という結果までの詰め。

自己PRでは「協調性があります」で止めず、集団討論で実際に取る振る舞いと、エントリーシートに書いた経験とが同じ像を結ぶところまで整えておきましょう。

公表文言の外側にある条件から考える

この4つの言葉は簡潔なぶん、実際の働き方までは読み取れません。そこで、人口34万人・面積464平方キロメートル・保健所を持つ中核市という条件から、どんな職員が動きやすいのかを補って考えてみます。

この規模の市では、高齢化への対応も、湖岸から山あいまで続く市域の維持も、府県境をまたぐ生活圏への対応も、市役所の判断だけでは前に進みません。県や隣接する市、地元で活動する団体、民間の事業者と手順をすり合わせながら進める場面が繰り返し訪れます。

そのため、立場の違う相手のあいだで話をまとめ、使える人手と予算の範囲で実際に回る段取りまで仕上げられるかどうかが、問われる場面は多くなるはずです。

実際、第2次試験に集団討論が置かれ、上級事務職だけで26人程度というまとまった採用が予定されていることは、この読み方と矛盾しません。準備の実務としては、本登録でエントリーシートを書く段階で「自分のどの経験を、大津市のどの仕事に接続して見せるか」を先に決めておくことです。

ここが定まっていれば、集団討論でも個人面接でも、語り口がぶれません。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。大津市の面接も、この見取り図の上で準備すれば大きな抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク緊張していますか?面接を2回重ねる試験では、最初の一往復で受け答えの温度が読まれます
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?民間との比較で止まらず、中核市が担う事務の広さを知ったうえでの選択か
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?集団討論の場で出やすい自分の癖を、自覚したうえで語れるか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください出来事の大きさではなく、その場面で何を判断し、誰に相談したか
⑤ 学業・経歴卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください専門を知らない相手に届く言葉へ置き換えられるか
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?保健所を持つ市の仕事の幅を踏まえた希望になっているか
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?関心が身の回りの暮らしや地域にまで及んでいるか。それを短く言い切れるか

ここまでの7つは、受験先を問わず似た形で問われる領域です。裏を返せば、受験者の多くが対策してくるため差はつきにくい。

差がつくのは、次に挙げる「大津市を知らなければ答えようがない質問」のほうです。

合否を分けるのは「大津市役所ならでは」の質問

「なぜ滋賀県庁ではなく、大津市役所なのですか?」
「大津市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

大津市は県庁所在地ですから、1問目は避けて通れません。県の本庁舎も市役所も同じ市内にあり、受験者が両方を併願していてもおかしくないからです。

どちらも市の実情を知らなければその場では答えられない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との差をはっきり示せる質問でもあります。答えるための事実を、使いやすい形に絞って整理しました。

質問テーマ知っておきたい大津市の事実答え方のヒント
人口と高齢化の現在地住民基本台帳人口は343,316人で県全体の約4分の1。高齢化率28.2%・75歳以上の割合16.4%は、県全体の27.3%・15.8%を上回る(令和8年1月1日現在)県内で最も人口が多い市でありながら高齢化は県平均より進んでいる、という二面を先に置くと、施策の話へ自然に移れます
なぜ県庁ではなく市役所か平成21年4月1日に中核市へ移行し、健康福祉部に大津市保健所を設置。保健総務課・保健予防課・衛生課などを置いている「住民に近い」で終わらせず、保健所という制度を挙げて近さの中身を説明し、自分の関心分野へ引き寄せます
市域の成り立ち明治31年10月1日の市制施行時は14.20km²。合併を重ね、平成18年3月20日の志賀町との合併を経て現在の464.51km²広さの数字だけで終えず、湖岸に沿って南北へ長い市域がサービスの届け方を変える、というところまで踏み込みます
防災・危機管理県の地震被害想定では、大津・南部・高島地域を中心とする琵琶湖西岸断層帯地震(冬夕方の想定ケース)で最大震度7、全壊38,504棟、死者1,992人と見積もられている条件付きの想定値であることを添えたうえで、市民として備えられることと、市職員として担いたいことを分けて話します
大津市の魅力日本遺産「琵琶湖とその水辺景観」の構成自治体。県全体では令和5年の延べ観光入込客数が5,032万人で、うち9割以上が日帰り名所を並べるのではなく、湖と歴史という資源を滞在や暮らしにどうつなげるか、という視点で語ります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

大津市が受験案内に掲げる求める人物像は、面接では「これまで実際にどう行動してきたか」を通して確かめられます。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの整い方ではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
未来を「想像・創造」する意欲決められた枠をなぞるだけでなく、こうなったらいいという像を自分で描き、形にした経験があるか中核市の守備範囲の広さを踏まえ、「自分ならどの分野で何を変えたいか」を1つ言い切れる状態にしておく
高い使命感成果が見えにくい場面や面倒な場面で、それでも続けた理由を語れるか第2次・第3次と面接が続く設計上、同じ経験を角度を変えて問われます。動機の根っこまで掘り下げておく
チームワークを築いて行動できる第2次試験の集団討論と個人面接の双方で、他者との関わり方が見られる議論をまとめた経験だけでなく、意見が割れたときに何を言い、どこを譲ったかまで具体化しておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と掘り下げられることが多いです。

大津市は上級事務職で個人面接が2回ありますから、この傾向はいっそう強く出ます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを、事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新年度の受験案内を読み、自分が受ける職種の段階構成と提出物を確認する(技術職や教育保育職は第2次が最終試験です)
  2. 職員採用ポータルサイトの本登録で入力するエントリーシートの下書きを作り、面接での発言と食い違わないようにする
  3. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. この記事の第1部から、志望分野に近い事実を2〜3個選び、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 集団討論と個人面接の両方を想定して声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

時間が足りないときに削るなら、ステップ5の事実集めからにしてください。優先すべきはステップ3の棚卸しと、その経験を大津市の仕事へどうつなぐかという整理です。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、大津市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

大津市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

大津市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度(6月実施)の上級事務職では、3段階のうち2段階が面接で、しかも形式の違う集団討論と個人面接が組み合わされています。配点は公表されていませんから、どこかで稼いでどこかを捨てるという発想は使えません。

県内で最も人口の多い市が、保健所を自ら持ちながら、南北に長い市域と進む高齢化にどう向き合っていくのか。その問いに対する自分なりの答えを、経験の言葉で語れるところまで持っていければ、面接の場で迷うことは減っていきます。