本記事では、相馬市職員採用試験の面接対策で必要な、相馬市の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

相馬市役所の面接試験では、「なぜ相馬市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。第2次試験の個別面接は1回15分です。

限られた時間で伝えるには、市の輪郭を自分の言葉で持っておくことが効きます。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と相馬市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

相馬市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは相馬市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 太平洋に面する浜通りの北部にあり、宮城県伊具郡丸森町と県境を接する市。福島県は中通り・会津・浜通りの3つの地域に分かれ、相馬市はそのうち浜通りに属する。
  • 人口は31,710人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。福島県全体のおよそ170万人に対して2%弱にあたる規模。
  • 面積は197.79km²で、福島県の県土13,783.90km²の約1.4%。人口密度は160人/km²で、県全体を平均した密度(約123人/km²)を上回る。
  • 接する自治体は、南相馬市・伊達市・相馬郡新地町・飯舘村と、宮城県伊具郡丸森町の5自治体。名前の似た南相馬市は別の自治体で、職員採用試験も別に実施されている。
  • 市の花は季節ごとに定められており、春はサクラ、夏はハマナス、秋はキキョウ、冬はサザンカ。市の木はクロマツ
  • 東日本大震災では、福島県全体で津波の最大波高21.1メートル、住家の全壊15,435棟、直接死1,605人という被害が記録された(いずれも県全体の値)。相馬市を含む浜通りの沿岸自治体は、その被害を受けた地域にあたる。
  • 令和8年度の職員採用は前期と後期の年2回に分けて実施され、一般行政職(前期)の採用予定人員は2区分を合わせて4名程度。少人数の採用で市政の幅広い分野を担う体制である。

相馬市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「相馬市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、県内での位置づけなど、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
総人口31,710人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積197.79km²(福島県の県土13,783.90km²の約1.4%)
人口密度160人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体5自治体(南相馬市・伊達市・相馬郡新地町・飯舘村・宮城県伊具郡丸森町)
市の花・市の木春はサクラ、夏はハマナス、秋はキキョウ、冬はサザンカ。市の木はクロマツ
市役所の所在地相馬市中村字北町63-3(採用試験の会場となる3階正庁を含む庁舎)
(参考)福島県の総人口1,699,510人(令和8年6月1日現在の推計人口。世帯数754,392世帯)
(参考)福島県の高齢化率31.7%(2020年国勢調査ベース)

総面積・隣接自治体・市の花と木は、公表値をもとに整理しました。福島県の総人口は福島県現住人口調査月報(令和8年6月1日現在)、高齢化率は福島県人口ビジョン(2020年国勢調査ベース)の値です。市の統計は更新されますので、受験前に市公式サイトの最新値もあわせて確認してください。(出典:福島県現住人口調査月報|令和8年6月総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。

数字から考えられる市政課題

相馬市の輪郭は、3万人台という人口規模と、197.79km²という市域の組み合わせで捉えられます。県土に占める割合は1.4%ほどですが、人口密度は県平均より高く、市街地に人が集まる形をしています。市役所からの距離が暮らしの便利さを大きく左右する規模だ、と考えるとイメージしやすいはずです。

そこに県全体の人口の動きが重なります。福島県人口ビジョンは、このままの傾向が続けば県人口が2040年に145万人、2070年に85万人まで減ると推計し、県はこれに対して2040年に150万人程度を維持するという目標を掲げています。

市町村はこの流れのなかで、限られた職員数で暮らしを支える方法を探すことになります(出典:福島県人口ビジョン|令和6年12月更新

たとえば面接では、相馬市の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。

「相馬市は3万2千人ほどが暮らすまちですけれども、福島県全体では人口のピークだった1998年から40万人くらい減ってきたと聞きました。市役所の採用も一般行政職で4名程度と伺っていますので、少ない人数で幅広い仕事を回す前提で、まずは目の前の窓口を確実にこなせるようになりたいと考えています」

相馬市の経済・産業

福島県の経済規模と、そのなかの相馬市

相馬市の経済は、県全体の動きと切り離しては読めません。まずは市が属する福島県全体の姿を土台にして、そこから浜通り、相馬市へと絞り込んでいきます。

  • 福島県の県内総生産は名目で8兆3,950億円(令和5年度)。経済成長率は名目6.7%・実質5.4%。
  • 1人当たり県民所得は321万5千円(令和5年度)。
  • 令和5年度は、第1次産業が農業等の増加、第2次産業が製造業の増加、第3次産業が電気・ガス・水道・廃棄物処理業等の増加で、いずれの産業も県内総生産が増えた。

つまり、「第1次から第3次まで足並みをそろえて総生産が伸びた局面にある」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。ただしこれは県全体の数字で、相馬市の数字ではありません。

県の規模を知る意味は、自分が働こうとしている市がどれくらいの経済のなかに置かれているかを見積もるところにあります。(出典:福島県県民経済計算|令和5年度

浜通りという地域で動いているもの

相馬市が属する浜通りでは、東日本大震災と原子力災害で失われた産業を回復させるため、新たな産業基盤の構築をめざす福島イノベーション・コースト構想が国家プロジェクトとして進められています。対象は浜通り地域等の15市町村です。

あわせて令和5年4月には、国の法人である福島国際研究教育機構(F-REI)が浪江町に設立されました。研究分野はロボット、農林水産業、エネルギー、放射線科学・創薬医療および放射線の産業利用、原子力災害に関するデータや知見の集積・発信の5分野です。(参考:福島国際研究教育機構の研究5分野|F-REI

面接でこの話題に触れるなら、構想の名前を挙げて終わりにしないことです。新しい産業が地域に入るとき、住民の暮らしとの間をつなぐのは市町村の仕事になります。相馬市役所を志望する立場から語るなら、大きな構想の説明よりも、その動きが市民の生活にどう届くのかという視点を持っておきましょう。

観光と交流人口

令和6年の福島県内の観光客入込総数は57,573千人で、前年より6.8%(3,650千人)増えました。3つの方部別にみると、中通り地方27,717千人、会津地方17,568千人に対し、相馬市が属する浜通り地方は12,288千人です。3方部のなかでは最も少ないものの、前年を上回っています。(出典:福島県観光客入込状況|令和6年

数字が示すのは、浜通りには伸びしろがあるという事実です。観光を志望分野にするなら、名所を並べる語り方ではなく、訪れた人にどう滞在してもらい、市内の事業者の売上まで届けるかという設計の話まで踏み込んでください。宮城県と接する位置は、県境をまたいだ人の行き来を考えるうえでの手がかりになります

相馬市の主な行政課題

ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、相馬市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

人口減少の中身が自然減へ移っていること

福島県の高齢化率は31.7%(2020年国勢調査ベース)で、1980年の10.5%、2010年の24.9%から一貫して上がってきました。直近の動きはさらに具体的です。

令和8年6月の県人口は1か月で1,503人減り、その内訳は自然減が1,409人、社会減が94人でした。転出による減少よりも、亡くなる方が生まれる子どもより多いという構造のほうが、はるかに大きくなっています。転入を増やす取組だけでは追いつかない局面で、相馬市の仕事も組み立てられています

震災の経験を踏まえた、地震と津波への備え

福島県は、地震・津波被害想定調査(令和元年度から令和4年度に実施)で、福島盆地西縁断層帯の地震(マグニチュード7.8)、会津盆地東縁断層帯の地震(マグニチュード7.7)、想定東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0)、そして各市町村の直下で起こる地震(マグニチュード7.3)を想定しています。このうち想定東北地方太平洋沖地震では、県全体で死者1,651人、全壊・焼失31,971棟、半壊99,560棟、負傷者14,276人、1週間後の避難者155,053人と算出され、県内の津波の最大遡上高は23.5メートルと見込まれています(出典:福島県地震・津波被害想定調査結果の概要|福島県

同じ調査は、東日本大震災の実績も比較として示しています。県内の津波最大波高21.1メートル、県内最大震度6強、住家の全壊15,435棟、直接死1,605人。

いずれも県全体の値です。相馬市そのものの被害と復旧の歩みは、市が公表している記録や計画で確かめてください。沿岸の自治体で防災を語るときは、想定の規模に触れたうえで、避難所を開け、情報を届け、その後の暮らしの再建に付き合う市職員の側から何ができるかへ話を進めると、地に足のついた説明になります。

財政の前提と、担い手そのものの減少

市政が立っている財政の土台は、県全体の数字からその輪郭を読み取れます。福島県の財政力指数は0.51927、経常収支比率は95.8%(いずれも令和6年度決算・普通会計ベース)。令和8年度の県一般会計当初予算は1兆2,606億円で、うち1,970億円が復興・創生分にあてられています。(出典:福島県の主要な財政指標|令和6年度決算福島県当初予算|令和8年度

県の人口ビジョンは、高齢化に伴う社会保障関係費の増加や、老朽化するインフラの維持・更新費の増加によって財政の硬直化が進むおそれを挙げ、あわせて人口減少によって職員のなり手そのものが減り、行政サービスの水準維持が難しくなるおそれを課題として明記しています。一般行政職の採用が4名程度という規模の市役所では、この指摘はそのまま日々の仕事の条件になります。

県境をまたぐ人の流れと、定住の選択

相馬市は宮城県伊具郡丸森町と接しています。県境は行政の線であって、暮らしの線ではありません

通勤や通学、買い物や通院といった日々の動きは県境をまたいで起こり、進学や就職の時期には県外へ出る道も現実に開けています。だからこそ面接では、県外へ出る道があるなかで、あえて相馬市役所を選ぶ理由が確かめられます。

地元出身の方なら「なぜ戻るのか」、市外出身の方なら「なぜこの市なのか」という形で問われます。どちらの立場でも、自分の経験に接続した答えが要ります。

相馬市の重点政策|募集要項と県の計画

相馬市の総合計画や個別計画は、市公式サイトの市政情報のページで最新のものを確かめられます。本記事では、市が令和8年度の採用で公表している募集要項と、相馬市が属する福島県の計画を組み合わせて、市政を理解する土台をつくります。

募集要項が示す「相馬市の採り方」

令和8年度の一般行政職(前期)の募集は、「A:一般行政(大学卒業程度)」と「B:一般行政(社会人経験者)」の2区分で、採用予定人員は両区分を合わせて4名程度です。Bの区分には勤務経験3年以上という要件が加わり、Aは昭和61年4月2日以降に生まれた大学卒業者または令和9年3月の卒業見込者が対象で、要項は受験可能年齢を概ね40歳までと案内しています。

新卒だけを想定した採用ではない、ということです。(出典:令和8年度相馬市職員(一般行政職)採用候補者試験募集要項|相馬市

試験の中身にも市の考え方が出ています。第1次試験の筆記は教養試験のみで、専門試験は課されません。

要項は「今年度のポイント」として、この点と、一般行政職(大学卒業程度)の初任給が令和8年4月1日現在で月額242,500円へ増額されたことを挙げています。そのうえで、第2次試験の3種目のうち2つが個別面接(口述試験①・口述試験②)という構成をとっています。

法律科目の知識量よりも、人物を複数回確かめる設計だと読み取れます。

試験会場にも触れておきましょう。前期の一般行政職は、第1次試験・第2次試験とも会場が相馬市役所です。

受験する場所が、そのまま採用後に働く場所になります。庁舎の位置や周辺の様子を自分の目で見ておくことは、当日の緊張を和らげるだけでなく、志望動機を具体的に語る材料にもなります。

福島県の計画から見た、市政の方向

県の計画は、相馬市がどちらへ向かって仕事をしているかの背景を教えてくれます。福島県人口ビジョンは、このままの傾向では県人口が2040年に145万人まで減ると推計したうえで、地方創生の取組によって2040年に「150万人程度の維持」を人口目標に掲げています

県の令和8年度当初予算に復興・創生分として1,970億円が計上されていることも、県全体の課題設定の重さを示しています。

県が方向を定め、市が暮らしの単位でそれを運ぶ。県と市の違いを権限の上下ではなく市民との距離だと捉えると、志望理由の輪郭がはっきりします。相馬市役所を選ぶ理由を説明するときは、この距離の話を自分の経験に重ねてください。

POINT|計画名を言えなくても、自治体研究はできる

名称を覚えることが自治体研究の目的ではありません。①相馬市の人口31,710人と面積197.79km²、宮城県と接する位置を知る → ②福島県全体で人口が減り続けているという前提を重ねる → ③その条件のもとで自分が携わりたい仕事を考える → ④市公式サイトや広報で、実際に動いている取組を確かめる、という順で準備しましょう。

悪い例「相馬市の復興と地域振興に貢献したいです」

改善例「相馬市は3万人ほどのまちで、一般行政職の採用も4名程度だと知りました。まずは窓口で市民の方のお話を正確に受け止められるようになりたいです。そのうえで、海に面したまちですので、災害への備えを次の世代に伝えていく仕事にも関わっていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 職員採用の募集要項
    受験する年度と時期(前期・後期)、そして区分ごとに内容が異なります。自分が受けるものを取り違えないでください
  • 市公式サイトの職員募集ページ
    一部事務組合の職員募集が同じページに載ることがあります。相馬市役所の採用と別枠であることを確認しておきます
  • 市の総合計画・地域防災計画
    志望分野に関係するものを1〜2つ選び、市の言葉づかいのまま押さえます
  • 福島県の統計・計画
    人口ビジョンや県民経済計算は、市の課題を県全体の流れのなかに位置づけるときの物差しになります

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、相馬市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。相馬市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

相馬市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

相馬市役所の面接の概要

ここからは、相馬市役所の採用試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

相馬市役所の試験の流れ

令和8年度の一般行政職(前期)は、第1次試験と第2次試験の二段階です。特徴が出ているのは第2次試験で、論文試験に続けて「人物についての個別面接による試験(15分)」が2回行われます。市公式サイトも、第2次試験は全職種とも論文試験と面接試験2回を行うと案内しています。

項目内容(令和8年度・一般行政職・前期)
試験区分A:一般行政(大学卒業程度)/B:一般行政(社会人経験者)。採用予定人員は両区分あわせて4名程度
試験の段階第1次試験と第2次試験の二段階
第1次試験の種目筆記試験(教養試験・マークシート方式)と性格特性検査(職務遂行に必要な特性についての検査・20分)。専門試験は課されません
教養試験の内容Aは時事、社会・人文に関する一般知識、文章理解、判断・数的推理、資料解釈(1時間30分)。Bは基礎的な内容の教養試験(1時間)
第2次試験の種目論文試験(職員として必要な表現力等についての試験・1時間)、口述試験①、口述試験②
面接の形式口述試験①・②はいずれも「人物についての個別面接による試験(15分)」。集団面接・集団討論は試験種目に記載がありません
配点各試験種目の配点、人物試験の比重は募集要項に記載がありません
提出書類試験申込書と履歴書(全職種共通様式)。社会人経験者の区分はこれに職務経歴書が加わります。面接カードにあたる様式の記載はありません
申込方法メール、専用フォームへの入力、郵送、持参の4通り
試験会場第1次試験・第2次試験とも相馬市役所(第1次は3階正庁、第2次は3階正庁ほか)
実施回数前期(大学卒業程度・社会人経験者ほか)と後期(高校卒業程度ほか)の年2回
(参考)初任給一般行政職(大学卒業程度)は月額242,500円(令和8年4月1日現在)

この表から読み取れることは二つあります。一つは、筆記が教養試験だけである分、人物を見る時間が二重に確保されているということ。

もう一つは、その1回が15分だということです。長い前置きを置くと本題に入る前に終わります

結論を先に言い、聞かれたら足す。この順番を体に入れておきましょう。

上記の試験構成は、相馬市の令和8年度一般行政職(前期)の募集要項にもとづくものです。各試験種目の配点、人物試験の比重、合否の決定方法(第1次試験の得点を第2次試験に持ち越すか等)は同要項に記載がなく、公表資料からは確認できません(当研究会調べ)。土木技師・電気技師・保健師・運転手は職種別の要項があり、筆記試験の内容等が異なる可能性があります(面接2回は全職種共通と市公式ページに記載)。試験の構成・区分・日程等は年度によって変わる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。(出典:令和8年度(前期)採用候補者試験のご案内|相馬市

相馬市役所が求める人物像

相馬市が公表する「求める人物像」「期待する職員像」にあたる文言を、令和8年度の募集要項と前期・後期の採用案内ページのなかでは確認できていません。公表されたものがない以上、評価されやすい資質は、市が示している事実から読み解くことになります。

手がかりは三つあります。第2次試験で15分の個別面接が2回置かれていること

第1次試験の筆記が教養試験のみで、社会人経験者の区分が並んで用意されていること。そして採用予定人員が4名程度という規模であること。

これらを重ねると、「短い時間で要点から話せること」「経歴の違う人と足並みをそろえられること」「担当の枠を越えて動けること」のあたりが評価の中心になると考えられます。自己PRでは、こうした資質を名乗るだけで終わらせず、その力を使って何を行い、周囲がどう変わったのかまで説明しましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。相馬市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までは、迷わずに来られましたか身構えのない問いへの応じ方。短い受け答えでも声と表情は伝わります
② 動機・志望数ある自治体のなかで、相馬市を選んだ理由を教えてくださいほかと比べたうえでの選択になっているか。動機が自分のこれまでと地続きか
③ 自己理解周囲からどんな人だと言われますか自分の見え方を把握しているか。他者の評価を受け止める素直さ
④ 経験・行動人と意見が食い違ったとき、どう折り合いをつけましたか対立の大きさではなく、その場面で自分がどう振る舞ったか
⑤ 学業・経歴これまでの学業や仕事で、力を入れて取り組んだことは何ですか取り組みの中身と、そこから何を持ち帰ったか
⑥ 適性・将来希望と違う部署に配属されたら、どうしますか市役所の仕事の幅をどこまで見込んでいるか。前提の変化への構え方
⑦ 公共性・社会性最近気になった出来事を一つ挙げてください社会の動きに目を向けているか。自分の受け止めを短い言葉にできるか

ただし、この7カテゴリーは相馬市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「相馬市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「相馬市役所ならでは」の質問

「なぜ福島県庁ではなく、相馬市役所なのですか」
「相馬市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも相馬市の現状を知らなければ、その場で組み立てるのは難しい質問です。裏を返せば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「相馬市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい相馬市の事実答え方のヒント
市の規模と輪郭人口31,710人・面積197.79km²・人口密度160人/km²(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。人口は福島県全体の約2%、面積は県土の約1.4%3万人台という規模を、職員一人が受け持つ範囲の広さに言い換えると、志望の話が具体的になります。数字を並べるだけで止めないことです
なぜ県庁ではなく市役所か一般行政職の採用予定は4名程度。第1次試験・第2次試験とも会場は相馬市役所で、受験する場所がそのまま働く場所になる少人数の採用に触れたうえで、市民と直接向き合う距離の近さを、自分の経験と結んで話します。県との役割の違いは自分の言葉で言い切ります
相馬市の魅力市の花を季節ごとに定めており、春はサクラ、夏はハマナス、秋はキキョウ、冬はサザンカ。市の木はクロマツ。宮城県伊具郡丸森町と県境を接する季節ごとに花を掲げるまちだという事実は、暮らしの手触りを語る入口になります。県境の位置と合わせて、人の行き来まで話を広げます
防災と震災の経験東日本大震災では県全体で直接死1,605人・全壊15,435棟・津波最大波高21.1メートル。県の想定では東北地方太平洋沖地震で最大遡上高23.5メートル、1週間後の避難者155,053人県全体の値だと断ったうえで、避難所の運営や情報伝達といった市職員の役割へ話を進めます。経験を語る際は、伝聞と自分の見聞きを分けて話します
試験の性格第2次試験は論文試験と15分の個別面接2回。第1次試験の筆記は教養試験のみで専門試験はない15分という枠を意識し、結論から入る話し方を準備しているとひとこと添えると説得力が出ます。準備の進め方まで具体的に答えます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、先ほど読み解いた「相馬市で評価されやすい資質」に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
短い時間で要点から話せるかひとつの質問に対する答えの長さと組み立て。話がどこへ向かうかが冒頭で分かるか口述試験は1回15分で2回行われます。用意した話を1分で言い切る形と、掘られたときに足す材料に分けて持っておく。声に出して時間を計るところまでやっておく
経歴の違う人と足並みをそろえられるか年齢や立場の違う相手と組んだ経験。前提を共有するために何をしたか相馬市は社会人経験者の区分を並べて募集しています。同期の顔ぶれが同じ年齢とは限りません。世代の違う人と何かを仕上げた場面を選び、自分が引き受けた役割まで書き出しておく
担当の枠を越えて動けるか担当や役割の外にある仕事へ、自分から手を伸ばした場面。相馬市の第2次試験は個別面接が2回ありますから、同じ経験を別の角度から問われても崩れないかが見られます一般行政職の採用は4名程度です。少人数で市政の幅広い分野を担う職場を想定し、人手が足りない場面で自分から動いた経験を、周囲の反応まで含めて用意しておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。相馬市は個別面接が2回ありますから、同じテーマを別の面接官から角度を変えて問われる前提で備えておく必要があります。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 受験する年度と時期(前期・後期)の募集要項を読み、自分がAとBのどちらの区分にあたるか、申込方法4通りのどれを使うかを確かめる
  2. これまでの経験を棚卸しする。学業、部活動、アルバイト、職務、地域での活動から、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、人口31,710人・面積197.79km²・人口密度160人/km²という相馬市の輪郭と、浜通り北部という位置を自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 15分の個別面接を想定し、時間を計りながら声に出して練習する。答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、相馬市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

相馬市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

相馬市役所の想定問答集を見る

さいごに

相馬市の一般行政職の採用は、2つの区分を合わせて4名程度という規模です。第2次試験では1時間の論文に続けて、15分の個別面接が2回。

その会場は、採用されれば毎日通うことになる相馬市役所の庁舎です。東日本大震災を経験した浜通りの沿岸で、これから誰の暮らしをどう支えていくのか。短い持ち時間で伝わる言葉になるまで、自分の経験を一つずつ削って整えていきましょう