本記事では、本宮市職員採用試験の面接対策で必要な、本宮市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
本宮市役所の面接試験では、「なぜ本宮市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。本宮市の口述試験は「人物について、面接及び集団討論等を行います」と案内されていますので、一人で話す準備と、複数人で議論する準備の両方が要ります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と本宮市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
本宮市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは本宮市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 人口は29,551人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積は88.02km²。福島県の県土13,783.90km²のおよそ0.6%にあたり、県人口のおよそ1.7%が暮らす。
- 人口密度は336人/km²。福島県全体の平均およそ123人/km²の2.7倍にあたり、福島市の341人/km²に近い水準にある。
- 接するのは郡山市、二本松市、安達郡大玉村、田村郡三春町の4自治体だけ。隣り合う二本松市の面積344.42km²と比べると、市域は4分の1ほどにとどまる。
- 市役所は本宮字万世212番地にあり、市の花はボタン、市の木はマユミと定められている。
- 職員採用候補者試験は第1次試験と第2次試験の2段階。第2次試験は全職種共通で作文試験と口述試験が課される。
- 口述試験は受験案内に「人物について、面接及び集団討論等を行います。」と記載されており、面接に加えて集団討論が実施される。
- 受験案内は「本宮市では令和8年4月より初任給を見直し、福島県職員と同じ初任給としました。」と明記している。
- 採用職種は一般事務A(大学卒)5名程度、土木(大学卒)1名程度、保育士2名程度、助産師1名程度。
- 受験申込みは原則としてメールによる方式で、市公式サイトから申込書(Excel)をダウンロードして送信する。
本宮市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「本宮市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、接している自治体など、本宮市の位置づけを説明できる項目を整理しました。本宮市単独の市民経済計算や財政指標は市公式サイトで直接確かめられますので、ここでは市の位置づけが見えるように福島県全体の数値を並べています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 29,551人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 88.02km²(福島県のおよそ0.6%) |
| 人口密度 | 336人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 市役所所在地 | 〒969-1192 福島県本宮市本宮字万世212番地 |
| 隣接自治体 | 郡山市、二本松市、安達郡大玉村、田村郡三春町(4自治体) |
| 市の花・市の木 | ボタン/マユミ |
| (参考)隣接する2市の規模 | 郡山市309,563人・757.20km²、二本松市49,597人・344.42km²(人口はいずれも住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| (参考)福島県の総人口 | 1,699,510人(令和8年6月1日現在の推計) |
| (参考)福島県の総面積 | 13,783.90km²(北海道、岩手県に次いで全国3番目) |
| (参考)福島県の高齢化率 | 31.7%(2020年国勢調査ベース) |
本宮市の面積・所在地・隣接自治体・市の花・市の木、および隣接2市の規模は、自治体の公表値による数値で、市公式の推計人口との照合は済んでいません。受験や提出書類で用いる際は市公式サイトの最新値をご確認ください。福島県の総人口は県の現住人口調査月報(令和8年6月1日現在)、総面積と全国順位は県公式「県のすがた」、高齢化率は福島県人口ビジョンの2020年国勢調査ベースの値です。県の平均人口密度と県土・県人口に占める比率は当研究会の算出です。市と県で時点が異なるため、おおよその水準感として捉えてください。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。
数字から考えられる市政課題
本宮市の輪郭は、面積と密度を並べると一目で見えてきます。88.02km²という市域は福島県のおよそ0.6%にすぎず、隣の二本松市の4分の1ほど。
ところが人口密度は336人/km²で、県平均およそ123人/km²の2.7倍にあたります。県土の0.6%の広さに県人口の1.7%が暮らす、狭くて密な市だということです。市域が狭いぶん、市役所や施設への距離の問題は相対的に小さい一方、市の中だけで完結しない暮らしが前提になります。(出典:福島県現住人口調査月報|令和8年6月1日現在)
接する相手も見ておきましょう。4自治体のうち郡山市は人口309,563人・面積757.20km²と、本宮市の10倍を超える人口を抱えます。大きな市と隣り合っているという条件は、暮らしやすさにも、人と消費の流出にもつながります。
県全体の動きも押さえておきましょう。福島県の人口は1998年の約214万人をピークに減り続け、2024年10月1日現在の推計人口は約174万人になりました。
26年間でおよそ40万人が減った計算です。高齢化率は2020年の国勢調査ベースで31.7%で、1980年の10.5%、2010年の24.9%から一貫して上がってきました。
県の推計では、いまの趨勢が続けば総人口は2040年に145万人、2070年には85万人まで減るとされ、県は2040年に150万人程度の維持を人口目標として掲げています。(出典:福島県人口ビジョン|令和6年12月更新)
本宮市の経済・産業
福島県の経済規模と本宮市の位置
地域経済は、本宮市が属する福島県全体の姿から押さえていきます。
- 福島県の県内総生産は名目8兆3,950億円(令和5年度)。経済成長率は名目6.7%・実質5.4%。
- 1人当たり県民所得は321万5千円(令和5年度)。
- 令和5年度は、第1次産業が農業等の増加、第2次産業が製造業の増加、第3次産業が電気・ガス・水道・廃棄物処理業等の増加により、いずれの産業でも県内総生産が増えた。
ここでつかんでおきたいのは金額ではなく縮尺です。県人口の1.7%にあたる市の経済は、県の統計のなかでは輪郭が見えない規模であることを前提にすると、県の数字をそのまま市の話に流用しない構えができます。市域の経済がどう動いているかは、市の広報紙や決算資料で確かめる必要があります。(出典:福島県民経済計算|令和5年度)
採用職種から見える市の仕事の重心
市単位の産業統計を持たない場合でも、市が何に人を割こうとしているかは採用の枠から読めます。本宮市の採用予定は一般事務A(大学卒)5名程度、土木(大学卒)1名程度、保育士2名程度、助産師1名程度です。
人口3万人規模の市が、保育士と助産師を同じ年に採ろうとしているという事実は、市が子どもの育ちと出産の場面に人を置こうとしていることを示しています。
土木職の募集要件にも特徴があります。受験資格ではないものの、令和8年5月末時点で2級土木施工管理技士以上の資格を有する場合は、第1次試験の得点に10点が加算されます。
資格を評価する仕組みを試験の中に組み込んでいるということです。一般事務を志望する場合でも、市がこうした職種と組んで仕事を進める前提は、志望動機の解像度を上げてくれます。(出典:本宮市職員採用候補者試験受験案内|令和9年度採用)
県の復興施策という背景
福島県の令和8年度一般会計当初予算は総額1兆2,606億円で、このうち1,970億円が復興・創生分として計上されています。(出典:福島県一般会計当初予算|令和8年度)
東日本大震災と原子力災害で失われた浜通り地域等15市町村の産業を回復するため、新たな産業基盤の構築をめざす福島イノベーション・コースト構想という国家プロジェクトも進められています。
県は広い範囲の方向づけと財源の配分を受け持ち、市は目の前の市民の手続と暮らしを受け持ちます。この分担を自分の言葉で説明できると、県庁との比較を問われたときに慌てずに済みます。(出典:福島イノベーション・コースト構想|ふくしま復興情報ポータルサイト)
本宮市の主な行政課題
ここまでの数字と職種の姿を踏まえると、本宮市が向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
大きな市の隣で、3万人規模の市であり続けること
人口309,563人の郡山市と隣り合うという条件は、強みにも弱みにもなります。働く場も買い物先も選べるという意味では暮らしやすさにつながる一方、市内の店や仕事が選ばれ続けるとは限らないという意味では市政の課題です。
大きな市の隣にあることは、住みやすさの理由にも、市外へ出ていく理由にもなる。この二面性を押さえておくと、市の魅力と課題を同時に問われたときに一貫した答えを組み立てられます。
人口減少と高齢化が同時に進む局面
福島県の人口は1998年の約214万人から2024年には約174万人まで落ち、高齢化率は2020年時点で31.7%です。県人口ビジョンは、この動きが引き起こす問題として、地域経済では人手不足や消費市場の縮小による経済活力の低下、地域社会では地域コミュニティや社会保障など様々な分野で従来の水準を保つことが難しくなることを挙げます。
行政に求められる仕事は増え、それを担う人と財源は細っていく。この向きの違いが、これからの市政の前提になります。
県はあわせて、過疎地域の高齢化率が39.2%(2020年)と県全体を7.5ポイント上回り、過疎地域が県人口の13.9%にあたる一方で県土の54.9%を占めることも示しています。買い物・生活交通・医療・子育て・教育といった日常のサービス、町内会や消防団などの共助の機能の維持が、県の公式文書で課題として名指しされているということです。
職員という担い手をどう確保するか
県人口ビジョンは、高齢化に伴う社会保障関連支出の増加や、老朽化した社会インフラの維持・更新費用の増加によって財政の硬直化が進むおそれに加え、人口減少による職員のなり手の減少で行政サービスの水準を保つことが難しくなるおそれを挙げています。この文脈で読むと、本宮市が令和8年4月に初任給を見直し、福島県職員と同じ水準に引き上げたという事実の意味がはっきりします。
人材の確保そのものが、市政の課題として動いているということです。
新しい事業を提案する形で志望を語るなら、その財源と人手をどこから持ってくるのかという問いが返ってくることを想定しておきましょう。
地震への備え
福島県は令和元年度から4年度にかけて地震・津波被害想定調査を実施し、福島盆地西縁断層帯を震源とする地震(M7.8)、会津盆地東縁断層帯を震源とする地震(M7.7)、想定東北地方太平洋沖地震(M9.0)、各市町村直下の地震(M7.3)を想定しました。内陸の断層帯についても、福島盆地西縁断層帯地震で県内の死者1,471人・全壊焼失33,618棟、会津盆地東縁断層帯地震で死者1,624人・全壊焼失35,970棟(最大震度7)と算出されています。(出典:福島県地震・津波被害想定調査結果の概要)
これらはいずれも福島県全体の想定値であり、本宮市単独の被害想定ではありません。海に面していない地域であっても、内陸の断層帯と市町村直下の地震が県の想定に入っている点は押さえておく価値があります。
88.02km²という市域は、災害時に職員が回りきれる広さでもあります。県の想定であることを断ったうえで、その条件で何ができるかへ話を進めましょう。
本宮市の重点政策|受験案内が示す本宮市職員の仕事
本宮市の総合計画や重点施策の名称は、市公式サイトの市政情報のページで最新のものを確かめられます。本記事では、市が受験案内と募集ページで公表している条件から、市政を理解する土台をつくります。
初任給の見直しに表れた市の判断
令和9年度採用の受験案内には、初任給について踏み込んだ記載があります。令和8年4月1日現在で大学新卒者242,500円、短大新卒者226,600円としたうえで、「本宮市では令和8年4月より初任給を見直し、福島県職員と同じ初任給としました。」と明記されているのです。
自治体が受験案内でこの種の説明を書くことは、そう多くありません。3万人規模の市が、県と同じ処遇を用意してでも人を採ろうとしている。志望動機を組み立てるときは、待遇の話としてではなく、市が人材の確保をどれだけ重く見ているかという文脈で受け止めておきましょう。
受験案内が示す試験と手続
試験の枠組みと申込みの方法について、公表されている内容を整理すると次のとおりです。
| 項目 | 受験案内の記載(令和9年度採用試験) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験と第2次試験の2段階 |
| 採用職種・採用予定人数 | 一般事務A(大学卒)5名程度、土木(大学卒)1名程度、保育士2名程度、助産師1名程度 |
| 第1次試験(一般事務A) | 教養試験【大学卒程度】(択一式40題。時事、社会・人文、自然に関する一般知識20題と、文章理解、判断・数的推理、資料解釈に関する能力20題)と、職場適応性検査(職務への対応や対人関係面での性格特性をみる検査) |
| 第1次試験(土木・保育士・助産師) | 土木は適性検査(ペーパーテスティング【SPI3-U】)と専門試験(択一式30題。数学・物理、応用力学、水理学、土質工学、測量、土木計画、材料・施工)。保育士・助産師は適性検査のみ |
| 第2次試験 | 全職種共通で作文試験と口述試験。保育士のみ実技試験(ピアノ演奏等)が加わります |
| 口述試験の内容 | 「人物について、面接及び集団討論等を行います。」 |
| 作文試験の内容 | 「職員として必要な表現力、課題に対する理解力等について、記述式による筆記試験を行います。(800字程度)」 |
| 一般事務Aの受験資格 | 学校教育法による大学(短期大学を除く)を卒業した方、または令和9年3月末日までに卒業見込みの方。年齢要件は平成8年4月2日から平成17年4月1日までに生まれた方 |
| 土木職の資格加点 | 受験資格ではないものの、令和8年5月末時点で2級土木施工管理技士以上の資格を有する場合は第1次試験の得点に10点加算(証明書類等の写しを申込書に添付) |
| 申込方法 | 原則としてメールによる方式。市公式サイトの職員採用候補者試験のお知らせページから申込書(Excel)をダウンロードして入力し、受験申込メールへ添付して送信します。受験票は審査完了メールの案内に従い受験者自身が印刷し、写真を貼って当日持参します |
| 試験会場 | 第1次試験は本宮市立本宮第一中学校、第2次試験は本宮市役所。第2次試験の時間等は第1次試験の合格通知の際に知らされます |
| 採用候補者名簿 | 合格者は名簿に登載され成績順に採用されます。名簿の有効期間は1年間で、登載されても採用されないことがあります |
| 試験結果の開示 | 不合格者に限り口頭で開示請求ができ、開示内容は総合順位及び総合得点。合格発表の日から1か月間、本人が写真入り身分証を持参して総務課職員係へ直接請求します |
この表で注目したいのは、第2次試験の中身です。作文と口述試験が全職種に課され、その口述試験には面接だけでなく集団討論が含まれると明記されています。一人で語る準備と、他の受験者と議論する準備は別のものですから、どちらかに偏らないよう時間を配ってください。
POINT|計画名を言えなくても、面接の準備はできる
計画の名称を覚えることが自治体研究の目的ではありません。①人口29,551人・面積88.02km²・人口密度336人/km²という本宮市の輪郭を知る → ②郡山市と隣り合う立地という条件を受け止める → ③その条件のもとで自分が携わりたい仕事を考える → ④市の公式サイトや広報紙で、実際に動いている取組を確かめる、という順で準備しましょう。
悪い例「本宮市の子育て支援に携わりたいです」
改善例「本宮市は3万人ほどのまちですが、今回の採用で保育士と助産師をどちらも募集していると知りました。子どもが生まれてから育つまでを市が続けて支えようとしているのだと思います。私は事務の立場で、その現場の方が動きやすくなるように、手続や情報の届け方を整える仕事に関わりたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 本宮市職員採用候補者試験の受験案内(市公式サイトには採用年度の異なるページが併存し、URLの数字と採用年度が対応していないことがあります。採用時期で読み合わせてください)(参考:本宮市 一般職員の採用情報|本宮市)
- 本宮市公式サイトの市政情報・広報紙・統計のページ(人口や産業の市単位の数値はここで確かめます)
- 福島県の人口ビジョン・当初予算の資料(市政が置かれた県全体の背景をつかむために)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、本宮市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。本宮市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
本宮市役所の面接の概要
ここからは、本宮市役所の試験の構成と、面接で問われやすい質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理します。
本宮市役所の試験の流れ
本宮市の試験は第1次と第2次の2段階で、人物を見る場は第2次試験に集約されています。その第2次で課されるのが、800字程度の作文試験と、面接および集団討論を含む口述試験です。合格に必要な人物面の評価が、第2次試験というひとつの段階に集中している構造だと考えると、準備の重みが分かります。
受験案内の書き方にも注意が要ります。口述試験の説明は「人物について、面接及び集団討論等を行います。」の一文だけで、面接が個別なのか集団なのか、回数は何回か、集団討論のテーマや時間はどうかといった点は公表されていません。文末に「等」が付いていることから、他の人物試験が加わる可能性も残されています。
上記は、本宮市の令和9年度採用の職員採用候補者試験受験案内にもとづく内容です。試験種目ごとの配点や人物試験の比重は記載がなく、非公表です。合否決定についても「合格者は採用候補者名簿に登載され、成績順に採用されます」という記載以上の情報は確認できていません。面接カード・自己PRシート等の事前提出書類の記載もなく、提出物として明記されているのは申込書(Excel様式・メール添付)と写真のみです。また市公式サイトには採用年度の異なるページが併存し、URLの数字と採用年度が対応していない場合があります。受験の際は必ず、ご自身が受ける年度の最新の受験案内をご確認ください。
本宮市役所が求める人物像
「求める人物像」「求める職員像」に相当する公表文言を、採用情報ページ・受験案内の範囲では見つけられていません。ここでは、公表されている試験の設計と募集の内容から、評価されやすい資質を読み解きます。
手がかりは3つあります。第1次試験で一般事務Aに職場適応性検査を課し、職務への対応や対人関係面の性格特性をみていること。
第2次の口述試験に集団討論が含まれること。そして作文試験が「表現力」だけでなく「課題に対する理解力」を見るとされていること。
これらを面接対策の言葉に翻訳すると、「組織のなかで安定して働ける落ち着き」「初対面の相手と議論を進める力」「課題を読み取って筋道を立てる力」のあたりが評価の軸になると考えられます。自己PRでは資質を名乗るだけで終わらせず、その力を使って何を行い、周囲がどう変わったのかまで説明しましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。本宮市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 会場までは迷わず来られましたか | 身構えていない問いへの返し方。声の大きさと表情の初期値 |
| ② 動機・志望 | 隣の郡山市ではなく本宮市を選んだ理由を教えてください | 比べたうえでの選択か。動機が自分のこれまでと地続きか |
| ③ 自己理解 | 自分を一言で表すとどんな人ですか | 自己像を短くまとめる力。誇張でも卑下でもない距離の取り方 |
| ④ 経験・行動 | 意見が分かれた場面で、どう話をまとめましたか | 集団討論に直結する観点。押し切ったのか、相手の案を取り込んだのか |
| ⑤ 学業・経歴 | 大学で学んだことを、市役所の仕事でどう使えると考えますか | 学びを仕事へ翻訳する力。専門外の相手にも伝わる言葉にできるか |
| ⑥ 適性・将来 | 希望と違う部署に配属されたら、どう働きますか | 市の仕事の広がりをどこまで見込んでいるか。与えられた場所での構え方 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 市の広報紙で目にとまった記事はありますか | 市が出している情報にどこまで触れているか。読んだ内容に自分の意見を添えられるか |
ただし、この7カテゴリーは本宮市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「本宮市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「本宮市役所ならでは」の質問
どちらも、本宮市の現状を知らないままその場で組み立てるのは難しい質問です。裏を返せば、調べた材料をどれだけ持ち込めるかで、答えの密度が変わる質問でもあります。こうした質問に答えるための「本宮市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい本宮市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模と立地 | 人口29,551人・面積88.02km²・人口密度336人/km²。県土の0.6%に県人口の1.7%が暮らす。接するのは郡山市、二本松市、大玉村、三春町の4自治体のみ | 「小さい市です」で止めず、狭くて密という条件まで出します。市域が狭いことは、窓口や施設に届きやすいという強みとしても語れます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 一般事務A(大学卒)の採用予定は5名程度。同じ年に土木、保育士、助産師も募集している | 事務職一人が受け持つ分野が自然と広くなる規模だ、という読み方を添えます。そのうえで、専門職と同じ庁舎で働き、暮らしの場面に直接手が届く役所を選んだという筋で話すと説得力が出ます |
| 市が人材確保に向ける姿勢 | 受験案内は「本宮市では令和8年4月より初任給を見直し、福島県職員と同じ初任給としました。」と明記。大学新卒者242,500円、短大新卒者226,600円 | 待遇の話として持ち出すと印象がよくありません。市が人の確保を市政の課題として扱っている証拠として引き、自分が長く働く前提をどう考えているかへつなげます |
| 子どもの育ちを支える体制 | 人口3万人規模の市が、保育士2名程度と助産師1名程度を同じ年の採用で募集している | 出産から保育までを市が続けて支える構えとして読みます。事務職志望なら、専門職が動きやすくなる仕組みづくりという立場から語ると重なりを避けられます |
| 防災 | 県の被害想定調査は、津波を伴う想定東北地方太平洋沖地震だけでなく、福島盆地西縁断層帯地震(M7.8)や各市町村直下の地震(M7.3)も対象としている | 県全体の想定であることを明示したうえで、内陸でも震度の大きな地震が想定されている点を押さえます。88.02km²という市域なら職員が回りきれるという規模感まで言えると具体的です |
| 試験の性格 | 2段階構成で、人物評価は第2次試験に集中。作文(800字程度)と口述試験(面接及び集団討論等)が全職種共通で課され、配点は非公表 | 一人で語る練習と集団で議論する練習を、別々に日程を取って進めます。作文の「課題に対する理解力」という観点は、集団討論の準備とも重なることを意識しておきましょう |
使い方のコツは、6つ全部を覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、先ほど整理した「本宮市で評価されやすい資質」に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 組織のなかで安定して働ける落ち着き | 思いどおりにならない状況で、どう自分を保ったか | 一般事務Aには職場適応性検査が課され、職務への対応や対人関係面の特性が見られます。うまくいかない時期を過ごした経験を一つ選び、そのとき自分が守ったやり方まで話せるようにしておく |
| 初対面の相手と議論を進める力 | 集団討論で、意見の違う相手にどう向き合うか | 受験案内は口述試験に集団討論を含むと書いています。話がまとまらなかった場面を一つ選び、自分が場に対して出した提案と、それが受け入れられた理由まで整理しておく |
| 課題を読み取って筋道を立てる力 | 与えられたテーマから、何を論点として取り出すか | 作文試験は「表現力」に加えて「課題に対する理解力」を見るとされています。800字程度で書く練習をするとき、いきなり書き出さず、論点を3つ書き出してから選ぶ手順を身につけておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。本宮市では人物試験が第2次に集まっている分、限られた時間で掘り下げられます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける年度の受験案内を確認する。市公式サイトには採用年度の異なるページが併存するため、採用時期で読み合わせる
- これまでの経験を棚卸しする。学業、部活動、アルバイト、地域での活動から、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、人口29,551人・面積88.02km²・人口密度336人/km²という本宮市の輪郭と、郡山市と隣り合う立地を自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 800字程度の作文を実際に書き、同じテーマで集団討論をする想定で、自分の立場と譲れる点を分けておく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、本宮市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
本宮市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
本宮市の試験は2段階で、人物を見る場は第2次試験に集まっています。そこで課されるのは800字程度の作文と、面接および集団討論を含む口述試験です。
市は令和8年4月に初任給を見直し、福島県職員と同じ水準にしたと受験案内に書きました。県土のわずか0.6%にあたる88.02km²の市域で、3万人が暮らす市が、それだけの手を打って人を探しているということです。
その市で自分は何を引き受けるのか。ここから考えを組み立ててみてください。