本記事では、山形県職員採用試験の面接対策で必要な、県の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
山形県庁の面接試験では、「なぜ山形県を志望したのか」「県職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を県政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。県の実情や政策を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、山形県ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と山形県政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
山形県の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは山形県の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 県庁所在地は山形市。東北地方の南西部、日本海側に位置し、宮城県・秋田県・福島県・新潟県の4県と接する。
- 県土の面積は9,323.15km²で全国第9位と広く、東西約97km・南北約164kmに及ぶ。県土は南から置賜(おきたま)・村山(むらやま)・最上(もがみ)・庄内(しょうない)の4つの地域に分かれる。
- 人口は約99万人で、令和7年国勢調査の速報値では総人口が100万人を割り込んだ。全国的にも人口減少の進行が速い県のひとつである。
- 蔵王・月山・鳥海・朝日など日本百名山に数えられる山々に囲まれ、米沢・山形・新庄の各盆地と庄内平野を『母なる川』最上川が流れる。東京から北に約300km、山形新幹線で約3時間の位置にある。
- さくらんぼをはじめとする果樹の全国有数の産地であり、米や酒米などとあわせた県産品のブランド化を進めている。
- 内陸部を中心に電子部品・デバイスなどの製造業が集積する一方、蔵王・山寺・出羽三山といった観光資源を各地に持つ、ものづくりと観光の両面を備えた県である。
- 県財政は自主財源に乏しい構造が続いている。財政力指数は0.35801(令和5年度)と低く、県税収入だけでは歳出を賄いきれないため地方交付税などに依存する。将来負担比率は218.3%と高く、社会保障関係費や県有施設・インフラの更新費用の増加も見込まれるなか、限られた財源を効果的に配分する財政運営が課題となっている。(参考:都道府県財政指数表|令和5年度)
山形県の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「山形県の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、県土の広さ、経済規模、市町村構成など、県政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 約99万人(令和7年国勢調査速報 993,127人、令和7年10月1日現在)。令和2年比7.0%減 |
| 総世帯数 | 398,213世帯(1世帯当たり2.49人) |
| 総面積 | 9,323.15km²(全国第9位) |
| 県庁所在地 | 山形市 |
| 隣接する県 | 宮城県・秋田県・福島県・新潟県 |
| 市町村数 | 35市町村(13市19町3村) |
| 名目県内総生産 | 4兆3,367億円(令和元年度) |
| 財政力指数 | 0.35801(令和5年度) |
総人口・世帯数は令和7年国勢調査人口速報集計(令和7年10月1日現在)、面積・市町村数・県庁所在地は山形県公表資料、名目県内総生産は令和元年度の数値、財政力指数は総務省「令和5年度都道府県財政指数表」による数値です。全国順位は面積のもののみ掲載しています。
数字から考えられる県政課題
山形県の総人口は令和7年国勢調査の速報で99万3,127人となり、令和2年の前回調査から74,900人・7.0%の減少となりました。(出典:令和7年国勢調査人口速報集計|山形県)
県の推計では、およそ10年後の2035年に県人口は88.6万人となり、65歳以上人口の割合は38.8%に達すると見込まれています。
さらに社人研の令和5年推計をもとにした分析では、2050年に71.1万人と、2020年比で33.4%の減少となる見通しです。(出典:将来人口推計に関する報告書|令和6年)
単に人口が多いか少ないかではなく、減少のスピードと、その中で暮らしをどう支えるかを考える必要があります。
とりわけ山形県は、1997年に死亡数が出生数を上回る自然減の局面に入っており、若年層を中心とした県外への転出(社会減)も長く続いています。子育て支援だけでなく、若い世代の定着、医療・介護人材の確保、地域交通の維持などを関連づけて考えることが重要です。
たとえば面接では、山形県の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
山形県の経済・産業
経済・産業構造の概要
- 名目県内総生産は4兆3,367億円(令和元年度)で、産業別の構成比は製造業が25.6%と最も高い。
- 産業別の就業人口構成比(令和2年国勢調査)は第一次産業8.8%・第二次産業28.7%・第三次産業62.6%で、全国と比べて農林水産業の比重が高い。
- 製造業の製造品出荷額等の業種別内訳(令和元年)は電子部品・デバイスが最多で、情報通信・食料品・化学がこれに続く。
つまり、「就業では第三次産業が6割を占める一方、生産額では製造業が県経済を牽引する」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。(出典:山形県の産業の現状|令和元年度)
農林水産業
山形県といえば、まず思い浮かぶのが農業です。とりわけさくらんぼ(おうとう)は栽培面積・収穫量ともに全国有数を誇る県の看板農産物で、県は栽培面積・収穫量・産出額などの生産流通統計を継続して公表しています。
米沢盆地から庄内平野まで広がる米づくりに加え、高温に強い水稲新品種「ゆきまんてん」の導入や、衛星データを使ったスマート農業、森林資源を活かす「やまがた森林ノミクス」など、担い手不足と気候変動に備えた産地の維持・強化に力を入れています。
志望動機で農業や地域振興に触れるなら、「ブランドを守り、次の担い手へつなぐ」視点を持っておくと厚みが出ます。(参考:さくらんぼの生産流通統計)
ものづくり産業
農業県のイメージが強い山形県ですが、県内総生産に占める割合が最も大きいのは製造業です。製造品出荷額等の業種別では電子部品・デバイスが最多で、情報通信・食料品・化学がこれに続きます。
内陸部を中心に精密機械や電子デバイスの工場が立地し、県は米沢商工会議所の新会館内に産学官連携拠点を設けるなど、新事業の創出を後押ししています。
また、年間売上100億円以上の企業を増やす成長戦略の伴走支援や、東北芸術工科大学と連携したデザイン・アニメ・ゲームなどのクリエイティブ産業の育成にも取り組んでいます。産業や雇用を語るなら、基幹であるものづくりをどう次の時代につなぐかが軸になります。
観光業
山形県の主要観光地における観光者数は4,128万9千人(令和6年度)で、前年度比6.8%増となりました。蔵王や山寺、出羽三山、最上川舟下りといった自然と歴史文化の資源に加え、温泉地も各地に点在します。
令和6年度はインバウンド(訪日外国人)の受入延人数が2年連続で過去最高となったことが増加の要因のひとつです。
近年は「ナショナルジオグラフィック」の2026年に行くべき世界の旅行先に選ばれるなど、海外からの注目も高まっており、県は二次交通の実証や多言語対応など受入環境の整備を進めています。宿泊や地域内消費への波及、季節や地域による偏りへの対応が観光政策の論点になります。(出典:主要観光地入込者数調査|令和6年度)
交通・広域ネットワーク
山形県には、内陸を縦貫する奥羽本線、庄内を走る羽越本線、両者を結ぶ陸羽西線などの鉄道網と、山形空港(東根市)・庄内空港(酒田市)の2つの空港があります。東北中央自動車道の整備も進んでいますが、新庄金山道路など県内には建設中の未開通区間が残ります。
県はさらに、奥羽・羽越新幹線のフル規格化を「オール山形」で目指すなど、広域交通ネットワークの充実を将来の発展基盤と位置づけています。
日本海側と太平洋側を結ぶ結節点としての立地は、産業立地や広域防災を語るうえでも押さえておきたい山形県の特徴です。
山形県の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、山形県が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「県の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
人口減少と少子高齢化
山形県が最重要課題として掲げているのが人口減少です。令和7年国勢調査の速報では前回から7.0%減少し、県の推計では2050年に約71万人まで減少する見込みとされています。
1997年から自然減が続き、2035年には65歳以上人口の割合が38.8%に達すると見込まれるなか、子育て世代への支援と、若い世代の定着を同時に進めることが急務です。
若者・女性の県外流出
人口減少の背景には、若年層とりわけ女性の県外への転出があります。県の人口ビジョンは、県内高校卒業生の大学等進学者の約69%、就職者の約22%が県外へ進み、卒業生全体で約53%が県外へ転出していることを課題として示しています。
進学や就職を機に県を離れた若者に戻ってきてもらう「回帰」と、県内にとどまってもらう「定着」の両面から、若者や女性を惹きつける魅力ある仕事と暮らしをどうつくるかが問われます。
大規模災害への備え
山形県では、令和6年7月の大雨で最上・庄内地域を中心に被害が生じ、死者3人・軽傷4人のほか住家の全半壊・浸水が多数発生しました。(出典:令和6年7月25日からの大雨による被害状況|山形県)
地震では、大石田町から山形市を経て上山市に至る全長約60kmの山形盆地断層帯でマグニチュード7.3程度の地震が想定されています。(出典:山形盆地断層帯の長期評価|地震調査研究推進本部)
県は、この山形盆地断層帯に新庄盆地断層帯・長井盆地西縁断層帯・庄内平野東縁断層帯を加えた4つの断層帯について、想定震度を示す震度マップを公表しています。(出典:地震ハザードマップ|山形県)
豪雪や近年増加するクマ被害への対応も含め、地域ごとに性格の異なる災害リスクを正面から見据えた備えが必要です。
産業の高付加価値化と担い手の確保
農業でも製造業でも、担い手の高齢化と人手不足が共通の課題です。県は、さくらんぼをはじめとする農産物のブランド化やスマート農業の導入、100億円企業の育成、デジタルの徹底活用による生産性の向上などを通じて、量を追うのではなく付加価値を高める産業構造への転換を図っています。
若い世代や女性に選ばれる魅力的な就業の場をどうつくるかは、人口対策とも直結する論点です。
地域間の状況の違い
山形県は、村山・最上・置賜・庄内の4つの地域で、人口規模も産業も暮らしの事情も大きく異なります。県の総合計画も、地域ごとの取り組みを4地域に分けて整理しています。
「取り組みたい仕事」を考えるときも、どの地域のどんな課題を想定しているのかまで具体化しておくと、回答に説得力が出ます。
| 地域 | 主な市町村 | 人口(令和7年国勢調査速報)と特徴 |
|---|---|---|
| 村山 | 山形市、天童市、東根市、寒河江市など | 約50.2万人。県庁所在地を含む県内最大の圏域。都市機能と工業・観光が集積 |
| 庄内 | 鶴岡市、酒田市、遊佐町など | 約24.2万人。庄内平野の米づくりと港湾・空港を持つ日本海側の拠点 |
| 置賜 | 米沢市、南陽市、長井市など | 約18.6万人。米沢を中心とした産学官連携とものづくり、果樹・畜産 |
| 最上 | 新庄市、金山町、真室川町など | 約6.3万人。人口規模が最も小さく、中山間地域の暮らしと交通の維持が課題 |
山形県の重点政策|第4次山形県総合発展計画
山形県の最上位計画は「第4次山形県総合発展計画」(令和2年3月策定)です。概ね10年間の県づくりの方向性を示す長期構想と、令和7年度から令和11年度までの後期実施計画(山形県版総合戦略第3期)によって構成されています。(出典:第4次山形県総合発展計画)
計画を貫く考え方
この計画が基本目標として掲げるのは「人と自然がいきいきと調和し、真の豊かさと幸せを実感できる山形県」です。県に受け継がれてきた「共生」「共創」の価値を活かし、将来の発展に向けて積極的に「挑戦」していくという姿勢を、計画に通底する行動指針としています。
受験生としては、豊かな自然や食などの地域資源を活かしながら、デジタルも使って県民一人ひとりの暮らしの質を高めていく方向性、と大づかみに理解しておくとよいでしょう。
5つの政策の柱
| 政策の柱 | 扱う主な分野 |
|---|---|
| 柱1 次代を担い地域を支える人材の育成・確保 | 学校教育、生涯学習、若者の定着・回帰、人材の呼び込み |
| 柱2 競争力のある力強い農林水産業の振興・活性化 | 農業の担い手・基盤、収益性の高い農業、森林ノミクス、水産業 |
| 柱3 高い付加価値を創出する産業経済の振興・活性化 | 先端技術による産業イノベーション、中小企業、観光・交流 |
| 柱4 県民が安全・安心を実感し、総活躍できる社会づくり | 危機管理、健康長寿、少子化対策、地域コミュニティ、多様な活躍 |
| 柱5 未来に向けた発展基盤となる県土の整備・活用 | ICTなど未来技術、交通ネットワーク、持続可能な地域・社会資本 |
これら5つの柱の上に、若者・女性を惹きつける地域づくりやデジタルの徹底活用など、分野を超えて重点的に取り組む7つの重点テーマが置かれています。面接では、自分の取り組みたい仕事がどの政策の柱に位置づくのかを一言添えられるだけで、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります。
令和8年度の県政運営のポイント
山形県の令和8年度の一般会計当初予算は7,002億8,400万円で、「生活経済対策・新生やまがた未来予算」と名づけられました。
県政150周年という節目にあたり、県は「県民のウェルビーイングの向上」「県内経済の持続的な成長」「安全・安心な地域づくり」という3つの重点化の方向性に沿って施策を展開する方針を示しています。
予算の規模だけでなく、「何にお金を使おうとしているのか」を大づかみに知っておくと、志望動機に具体性が出ます。(出典:知事説明要旨|令和8年2月定例会)
POINT|事業名をすべて暗記しなくてよい
施策名をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②県はどんな状態を目指すか → ③現在の事業 → ④県だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。
悪い例「山形県の農業の振興に携わりたいです」
改善例「まずは県の職員として、地域や農家の方の声を聞くところから地道に取り組みたいです。その上で、さくらんぼをはじめ山形の農産物には強いブランドがあると聞いていますので、若い担い手がこの県で農業を続けていける仕組みづくりに、少しずつでも関わっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 山形県職員採用試験の受験案内/職員採用案内・職種紹介
- 第4次山形県総合発展計画(後期実施計画・概要版)
- 最新年度の当初予算・県政運営に関する資料/関心分野の個別計画
- 山形県勢要覧・県の統計(人口・産業・福祉・観光などの統計)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、山形県庁専用の面接想定問答集をご用意しています。山形県の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
山形県の面接の概要
ここからは、山形県の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
山形県の面接の流れ
山形県の大学卒業程度(行政)は、第1次試験で教養試験と専門試験を、第2次試験で論文試験と人物試験を課す構成です。人物試験は集団討論と個別面接2回、適性検査で行われ、配点は人物試験に大きく偏った人物重視の試験となっています。
第2次試験600点のうち、集団討論と個別面接を合わせた人物試験だけで500点を占めます。
| 項目 | 内容(令和8年度・大学卒業程度〈行政〉) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験(教養試験150点・専門試験150点)→ 第2次試験(論文試験・人物試験) |
| 面接の種類 | 個別面接を2回(個別面接1・個別面接2)実施 |
| 集団形式 | 集団討論を実施(配点100点) |
| 人物試験の配点 | 集団討論100点+個別面接1が100点+個別面接2が300点=計500点 |
| 論文試験 | 第2次試験で実施(1,000字・60分・配点100点) |
| そのほかの検査 | 第2次試験で適性検査を実施。第1次試験には外国語資格による加点(行政は最大12点)あり |
注目してほしいのは配点の偏りです。第2次試験600点のうち、個別面接2だけで300点と、2回目の個別面接に全体の半分が配点されています。
用意した答えを言えるかではなく、掘り下げられても自分の言葉で答え続けられるかが問われる構造だと言えます。
上記の試験構成は、山形県人事委員会発出の令和8年度受験案内にもとづく大学卒業程度(行政)のものです。区分や年度によって試験の構成・配点・提出書類等は異なる可能性があります。個別面接で用いる面接カード等の提出書類の有無を含め、受験の際は必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。
山形県が求める人物像
山形県は、公表している「求める人材像」として次の3つを示しています。「公務員として必要な倫理観と使命感を持ち、自らを高める努力を続け、周りから信頼される人」「組織の中で自らの責任を自覚し、目標達成に向けて粘り強く行動することができる人」「様々な人と関わり、対話し、協働して課題解決に取り組むことができる人」です。
自己PRでは、「粘り強さがあります」と述べるだけでなく、その力を使って何を行い、周囲や相手にどのような変化をもたらしたのかまで説明しましょう。(参考:県の求める人材像)
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。山形県の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 試験会場までは、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | なぜ本県を志望するのですか? | 「県で働く」という選択の理由を、自分の言葉で筋道立てて話せるか |
| ③ 自己理解 | あなたの長所と短所を教えてください | 自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 過去の行動パターンから、入庁後にも再現できる強みを確かめています |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に力を入れて取り組んだことは何ですか? | 自分の選択を説明できるか。学んだことと仕事の接点を作れているか |
| ⑥ 適性・将来 | 10年後、どんな職員になっていたいですか? | 働く姿をどこまで具体的に描けているか。組織の中で成長する見通し |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近、気になっている社会問題はありますか? | 社会への関心の深さと、それを行政の仕事として捉え直す視点 |
ただし、この7カテゴリーは山形県に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「山形県ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「山形県ならでは」の質問
どちらも、山形県の現状と県の計画を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「山形県の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい山形県の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口減少・県外流出 | 令和7年国勢調査速報で総人口は99万3,127人と100万人を割り込み、令和2年比7.0%減。高校卒業生の約53%が県外へ転出 | 「人口が減っていく前提」に立ち、若者や女性が戻り、とどまれる県づくりに自分の関心を結びつけます |
| 基幹産業と担い手 | 製造業が県内総生産の約4分の1(令和元年度25.6%)を占め、さくらんぼは全国有数の産地。いずれも担い手不足が課題 | ものづくりと農業という2つの強みの、高付加価値化や担い手確保に自分の経験を重ねて語ります |
| 大規模災害への備え | 令和6年7月の大雨で最上・庄内に被害。山形盆地断層帯(全長約60km)でM7.3程度の地震が想定される | 身近な水害や地震を具体例に、日ごろの備えや地域防災の視点から取り組みを語ります |
| 県の総合計画 | 「第4次山形県総合発展計画」。後期実施計画は5つの政策の柱で構成。基本目標は「人と自然がいきいきと調和し…山形県」 | やりたい仕事を5つの柱のどれかに位置づけて話すと、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります |
| 地域ごとの違い | 村山・最上・置賜・庄内の4地域で人口も産業も異なり、村山に約50万人が集中する一方、最上は約6万人 | どの地域のどんな課題を想定しているかまで具体化し、地域に合った関わり方を語ります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 県職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、前述の「求める人材像」に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 倫理観・使命感と信頼 | 責任ある立場で人から信頼された経験や、自分を高めるために続けてきたことを尋ねられます | 学業や部活動で「任された役割を最後までやり遂げた」経験を、県民のために働く姿勢に重ねて言葉にする |
| 粘り強い行動力 | 目標に向けてやり切った経験、うまくいかない中で工夫を続けた経験を確かめられます | 人口減少という答えの出にくい課題に向き合う県の仕事に通じるよう、結果より過程の粘り強さで語る |
| 対話と協働 | 立場の異なる人と対話し、協力して物事を進めた経験を掘り下げられます | 4つの地域や多様な世代を相手にする県職員を意識し、「相手に合わせて動いた」場面を具体的に話す |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新年度の受験案内を読み、試験の全体像と、人物試験(集団討論・個別面接2回)に配点が偏っていることを確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を県の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で県の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、山形県庁専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
山形県の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
山形県の採用試験は、第2次試験の大きな部分を人物試験が占め、とりわけ2回目の個別面接に配点が集中しています。
用意した言葉を並べるだけでは、深く問われたときに答えに詰まってしまいます。
県の人口が100万人を割り込み、若い世代の県外流出という課題を抱えるいま、なぜこの土地で、県職員として働きたいのか。その理由を、自分自身が歩んできた経験の言葉で語れるようにしておくことが、いちばんの備えになります。
この記事で押さえた県の姿を土台に、面接官との対話を思い描きながら、一つずつ準備を進めていきましょう。