本記事では、金沢市職員採用試験の面接対策で必要な、金沢市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

金沢市役所の面接試験では、「なぜ金沢市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。金沢市は試験種目ごとの配点を公表しており、第2次試験の面接は500点(消防士は600点)です。

数字がそのまま、準備の優先順位を示しています。

ここで整理した市の姿と試験の構造を突き合わせながら、自分の経験と金沢市政の接点を組み立ててください。

第1部|自治体研究編

金沢市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは金沢市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 石川県の県庁所在地であり、平成8年(1996年)に中核市へ移行した市。明治22年(1889年)の市制施行以来、近隣町村との度重なる編入・合併によって市域を広げてきた。
  • 人口は441,947人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積は468.81km²、東西23.3km・南北37.3km、人口密度は943人/km²。
  • 住民基本台帳(令和8年1月1日現在)で見ると、石川県の人口のおよそ4割が金沢市に暮らしている。
  • 65歳以上の割合は28.1%、75歳以上は16.6%で、いずれも石川県全体(30.7%・18.4%)を下回る。
  • 中核市として金沢市保健所を設置している。
  • 都市像は「未来を拓く世界の共創文化都市・金沢」で、令和5年12月に策定。その実現に向けた行動計画が、市政運営の最上位計画である「未来共創計画」。
  • 大学卒業程度の採用試験は、専門試験のある一般区分Aと、SPI3を導入した一般区分Bの2本立て。同じ職種であれば併願できる。
  • 市の木は梅。市役所は広坂一丁目に置かれている。隣接するのは白山市、野々市市、河北郡津幡町、内灘町と、富山県の小矢部市、南砺市。

金沢市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「金沢市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

金沢市を数字でつかむ軸は、県内での重みと、県平均より若い年齢構成の2つです。石川県全体の値と並べて確認してください。

項目内容
総人口441,947人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積468.81km²(東西23.3km・南北37.3km)
人口密度943人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
65歳以上の割合28.1%(石川県全体は30.7%)
75歳以上の割合16.6%(石川県全体は18.4%)
県人口に占める割合およそ4割(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
都市の位置づけ中核市(平成8年移行)。金沢市保健所を設置
隣接自治体白山市/野々市市/河北郡津幡町/内灘町/富山県小矢部市/富山県南砺市
市役所所在地金沢市広坂一丁目1番1号
(参考)石川県の面積4,186.20km²(11市8町の計19市町で構成)

65歳以上・75歳以上の割合と県人口に占める割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。この統計における金沢市の人口は441,947人、石川県全体は1,089,861人で、割合の分母にもこれらの数値を用いています。総面積・隣接自治体・市役所所在地は公表値をもとに整理したもので、人口密度は住民基本台帳・令和8年1月1日現在による値です。国勢調査や県の推計人口とは調査の基準が異なるため、異なる統計の数値をそのまま並べて比較することはできません。

数字から考えられる市政課題

金沢市の輪郭を一言で表すなら、県民の4割が集まる県都、ということになります。東西23.3km・南北37.3kmという市域は、明治22年の市制施行から近隣町村の編入を重ねて広がってきたもので、県内の人と仕事が集まる中心部と、あとから加わった周辺部の両方を、一つの市役所が受け持っています。

年齢構成を見ると、65歳以上・75歳以上の割合は、いずれも石川県全体を下回ります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。ただしこれは、県内の他の市町に比べて高齢化が緩やかだという相対的な話にすぎません。

県全体の人口が減っていく局面では、県都の役割はむしろ重くなります。人が集まる場所であればあるほど、周辺自治体との連携や、県全体を見据えた判断が必要になるからです。

たとえば面接では、次のように数字と市の立場を結び付けて語れます。

「石川県の人口のおよそ4割が金沢市に集まっていると聞いて、正直おどろきました。高齢化の割合が県の平均より低いのも、進学や就職で若い人が集まってくるからではないかと思います。ただ、県全体では人口が減っていますので、その分だけ県都としての役割は重くなるのではと感じています」

金沢市の経済・産業

県のものづくりという土台

令和元年の石川県の製造品出荷額等は、従業員4人以上の事業所の合計で30,059億円あり、うち機械が20,766億円と約7割(69.1%)を占めます。次いで食料品2,003億円(6.7%)、繊維1,929億円(6.4%)という構成です(出典:石川県の現状と課題(成長戦略会議資料))。

生産用機械や電子部品の集積が県経済の柱であり、金沢市の企業と働き手も、この構造の中にあります。観光都市というイメージが先に立ちますが、県の経済を語る場面では、製造業が支えているという土台を落とさないでください。

工芸と文化という資産

石川県は、輪島塗、九谷焼、加賀友禅、金沢箔といった伝統工芸を全国に発信してきた県です。金沢市には兼六園があり、県は文化資源を磨き上げた文化観光の推進を政策の柱に掲げています。

都市像に「世界の共創文化都市」という言葉が入っているのは、この蓄積を市が自らの立ち位置として引き受けているからでしょう。文化や観光の分野を志望するなら、名所の紹介ではなく、文化をどう産業や暮らしにつなげるかという角度で準備してください。

新幹線がもたらしたものと、その先

北陸新幹線は平成27年(2015年)3月に金沢まで開業し、令和6年(2024年)春には金沢と敦賀の間が開業しました。石川県は「北陸新幹線県内全線開業効果の最大化と開業効果の持続、県内全域への波及」を課題に掲げ、北陸三県連携の強化に取り組むとしています。

一方、令和6年の県の観光入り込み客数は18,862千人で、前年の21,538千人に対して87.6%にとどまりました。県はこれを、令和6年元日に発生した能登半島地震の影響によるものとしています(出典:石川県観光入込客統計|令和6年)。

新幹線が敦賀まで延びた年でありながら、県全体で見た人の流れは前年に届いていません。金沢に来た人をどう県内の他地域へ送り出すか。

県都に置かれた市役所が向き合う問いの一つです。

金沢市の主な行政課題

県都であること、市街地の直下に断層帯が走っていること、中核市であること、そして災害からの復興が続く県の中心にあること。金沢市の課題は、この4つの条件が重なるところに生まれます。

面接で使える引き出しとして、順に押さえておきましょう。

県全体の人口減少と県都の役割

石川県の人口は平成12年(2000年)の1,180,977人をピークに減少しており、国立社会保障・人口問題研究所の令和5年推計では、令和22年(2040年)に979千人と100万人を割り込み、令和32年(2050年)には897千人まで減ると見込まれています。老年人口の割合も2020年の29.8%から2050年には38.3%へ上昇する見通しです(出典:石川県の将来推計人口|令和5年推計)。

県民の4割が暮らす市として、県内から人を集めるだけの成長は続きません。周辺自治体と共に県全体の受け皿をどう保つかという視点が要ります。

森本・富樫断層帯への備え

石川県は令和7年5月に、県内・隣県の陸海域9断層帯を対象とした地震被害想定を公表しました。このうち県内で最大の被害が見込まれているのが、森本・富樫断層帯(マグニチュード7.2、今後30年以内の発生確率2〜8%)で、金沢市で最大震度7が想定されています。

県全体の被害予測は、死者が最大2,212人(冬の朝5時に発生した場合)、建物の全壊・全焼が最大46,947棟、負傷者が最大9,344人、1週間後の避難者が最大191,898人と見込まれています(出典:石川県地震被害想定調査(概要)|令和7年5月公表)。県内最大の被害想定が、市街地の直下を通る断層で示されているという事実は、防災を語るときの出発点になります。

中核市としての守備範囲

中核市は、都道府県が担う事務の一部を市が引き受ける制度です。金沢市は平成8年にこの制度へ移行し、金沢市保健所を設置しています。

保健所を持つということは、感染症対策、食品衛生、動物愛護、精神保健といった分野の事務を、県ではなく市が担うということです。「なぜ県庁ではなく市役所か」を問われたときに、制度上の裏づけをもって答えられる材料がここにあります。

窓口の近さという情緒的な説明にとどめず、市が引き受けている事務の広さから話を起こせるようにしておきましょう。

復興を抱える県の中での財政

石川県は令和6年能登半島地震と令和6年奥能登豪雨への対応に、令和7年度までの累計で1兆3,105億4,309万円を投じ、令和7年度を「復興元年」と位置づけました。令和5年度の県の財政力指数は0.478、経常収支比率は92.3%で、県債残高は標準財政規模の3.69倍と、全国平均の3.08倍を上回り、全国で9番目に高い水準にあります(出典:石川県の財政状況|令和7年6月)。

県の財源が復興に重点配分される局面では、県都の市であっても、事業の優先順位をつける作業から逃れられません。何を始めるかと同じ重みで、何をやめるかが問われます。

金沢市の重点政策|未来共創計画

金沢市がまちづくりの指針として掲げる都市像は「未来を拓く世界の共創文化都市・金沢」で、「すべての人々と共に、心豊かで活力ある未来を創る」という副題が添えられています。20年先、30年先を見据えつつ、おおむね10年後の令和16(2034)年を目標年次として令和5年12月に策定されました。

その実現に向けた行動計画が、市政運営の最上位計画である「未来共創計画」で、都市像に掲げる5つの基本方針ごとに、講じるべき主要な施策が取りまとめられています(出典:金沢市職員採用サイト(仕事を知る)|令和8年度)。

「共創」という言葉の重さ

都市像にも計画名にも「共創」が入っています。行政が単独で答えを出すのではなく、市民や事業者と一緒につくるという構えを、市が言葉として選んだということです。

面接対策の言葉に翻訳すれば、誰と組んで何を動かしたのかを語れる経験が効いてくる、ということになります。自分ひとりで完結した成果よりも、立場の違う相手を巻き込んだ場面のほうが、この市の方向性には合います。

計画を読むときの順序

計画の名称や基本方針の数を暗記しても、面接では役に立ちません。志望する分野を1つ決め、その分野について「①何が課題とされているか → ②市はどんな状態を目指しているか → ③今どんな事業が動いているか → ④県ではなく市が担う理由は何か → ⑤自分の経験をどこで生かせるか」の順にたどってください。

総合計画と最新年度の予算資料は年度ごとに更新されますので、受験する年の版を市公式サイトで開いて確かめることをおすすめします。

POINT|計画の「どこ」で働きたいのかを言う

面接官が知りたいのは、計画を読んだかどうかではなく、その中のどこで働きたいのかです。分野を一つに絞り、市がやろうとしていることと自分の経験を並べて話せる状態にしておきましょう。

悪い例「金沢市の文化を生かしたまちづくりに携わりたいです」

改善例「まずは配属された職場の仕事を覚えて、地道に力をつけたいです。そのうえで、金沢は工芸が受け継がれてきた街ですので、観光で来た方に見てもらうだけで終わらせず、つくり手の仕事が次の世代まで続いていくように、事業者の方の相談に乗る仕事に関わりたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

下に挙げた4点は、必要な部分だけ拾えば十分です。志望分野に近いものから開いてください。

  • 金沢市職員採用試験の受験案内(受験する区分の最新年度分)と金沢市職員採用サイト
  • 未来共創計画と、都市像を示した市の資料
  • 最新年度の予算に関する市の説明資料と、志望分野の個別計画
  • 石川県の地震被害想定調査(森本・富樫断層帯の想定を含む防災の基礎資料)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、金沢市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。金沢市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

金沢市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

金沢市役所の面接の概要

ここからは、金沢市の試験がどんな配点で組まれ、面接がどこに置かれているのかを、市の受験案内と当研究会の分析から見ていきます。

金沢市役所の試験の構成

金沢市は各試験種目の配点を公表しています。大学卒業程度の一般区分Aの第1次試験は、教養試験100点と論文50点に、職種に応じて専門試験100点が加わる構成です。

これに対して第2次試験の面接は500点(消防士は600点)です。専門試験がなくSPI3を使う一般区分Bでも第2次試験の面接は500点で、こちらは第1次試験にも100点の面接が置かれています。

区分Bを選ぶと、面接を2回受けたうえで合否が決まるということです。

第2次試験には、どちらの区分にも、人物の把握や相互理解を深めるための個別面談が置かれています。こちらは配点がなく、面接とは連続しない日程で実施される予定です。

点数はつきませんが、面接とは別の日に足を運ぶ前提で予定を空けておきましょう。なお、論文50点は第1次試験で実施されるものの、第1次試験の合否判定には使われず、第1次と第2次を総合して判定する第2次試験の段階で効いてきます。

項目内容(令和8年度・大学卒業程度)
試験区分専門試験のある一般区分Aと、専門試験がなく教養試験にSPI3を導入した一般区分B。同一職種であれば併願できる
一般区分Aの第1次試験教養試験100点(120分)、適性検査(50分・配点なし)、論文50点(70分)、専門試験100点(事務、土木、建築、機械、電気、農業、林業、造園は120分、事務(社会福祉)、事務(心理)、司書は90分)
一般区分Aの第2次試験個別面談(配点なし)、面接500点(個別面接。消防士は600点)、体力測定50点(消防士のみ)
一般区分Aの合否判定第1次試験は教養試験・専門試験・面接の結果で判定し、第2次試験は第1次試験と第2次試験の結果を総合して判定する。ただし第1次試験の面接(100点・個別面接)が課されるのは事務(埋蔵文化財)のみ
一般区分Bの第1次試験SPI3基礎能力検査100点(65分)、SPI3性格検査(配点なし)、面接100点(個別面接)。SPI3はテストセンター方式、面接はオンライン方式で行われ、金沢市外からでも受験できる
一般区分Bの第2次試験個別面談(配点なし)、面接500点(個別面接。消防士は600点)、体力測定(消防士は参考測定)
個別面談人物の把握や相互理解を深めるために置かれ、オンライン方式(Zoom)と対面方式から選べる。面接とは連続しない日程となる予定
提出書類面接試験の参考資料として「面接調査票」を使用する。様式は金沢市職員採用サイトに掲載される
試験会場一般区分Aの第1次試験は金沢会場(金沢市第二本庁舎)のほか、東京会場(全国都市会館)と京都会場(TKP京都四条カンファレンスセンター)でも受験できる
申込・結果の開示申込はインターネットによる電子申請のみ。結果は不合格者に限り、合格発表の日から起算して1か月間、人事課で科目別点数・合計点数等を口頭で開示する(一般区分BはSPI3基礎能力検査のみの得点は開示不可)

上記は金沢市の令和8年度の大学卒業程度(一般区分A・一般区分B)の受験案内にもとづく内容です。令和8年度は短大・高校卒業程度、職務経験者(長期間募集)、カムバック採用(復職制度)、中途採用者(就職氷河期世代)などの区分が並行して実施され、同一年度内に2回目の試験が行われる場合もあります。試験の構成・配点・職種は年度や区分によって異なりますので、受験の際は必ずご自身の区分と回次の最新の案内をご確認ください。なお、採用試験の実施主体は金沢市総務局人事課で、受験案内や求める人物像は市公式サイトからリンクされた金沢市職員採用サイトに集約されています。

令和8年度の実施状況

令和8年度の大学卒業程度(一般区分A)のうち、令和8年6月に第1次試験を実施した回の状況は、全職種の合計で採用予定78人程度に対し、申込221人、申込倍率2.8倍、受験156人、第1次試験合格79人、第2次試験合格51人でした。職種別に見ると、事務は採用予定40人程度に申込140人で申込倍率3.5倍、受験89人、第1次合格49人、第2次合格33人。

消防士は採用予定8人程度に申込44人で5.5倍、受験37人、第1次合格13人、第2次合格8人です(出典:令和8年度金沢市職員採用候補者試験実施状況(大学卒業程度・一般区分A)|令和8年度)。ここで気をつけたいのが、申込倍率2.8倍という数字の読み方です。

これは採用予定数に対して何人が申し込んだかを示す比であり、実際に受験した156人のうち第2次試験まで残ったのは51人ですから、受験した人を基準にすると3倍を超える計算になります。申込の段階の数字だけを見て構えを緩めないでください。

金沢市役所が求める人物像

金沢市職員採用サイトは、職員に求められることとして「多様化複雑化する課題や社会環境の急速な変化にスピード感を持って対応すること」と「市民の方や事業者の方々と対話しながらともにまちづくりを進めること」の2つを挙げています(出典:金沢市職員採用サイト(求められる職員像)|令和8年度)。都市像に掲げられた「共創」と、そのまま重なる文言です。

この2つは、面接での自己PRの組み立て方を決めるだけの具体性を持っています。前者を語るなら、状況が変わったときに判断を切り替えた経験。

後者を語るなら、立場の違う相手と話しながら物事を進めた経験です。どちらも、結果の大きさより、何を考えてそう動いたのかが問われます。

公表された文言と並べて見ておきたいのが、試験の組み立て方です。金沢市は500点の面接とは別に、点数のつかない個別面談を、日をあらためて置いています。

採点の対象にしない場を用意してまで、受験者と向き合う設計だということです。この設計に市が何を託しているかまでは公表されていませんので、ここから先は当研究会が試験の形から読み取ったものになります。

県民の4割が集まる県都では、市の力だけで片づく課題は多くありません。都市基盤、交通、観光の流れ、そして災害への備えは、いずれも周辺自治体や県、事業者との調整を伴います。

現場で見聞きしたことを政策の言葉へ橋渡しできる人や、限られた財源と人手の中で実行できる形まで落とし込める人が、評価の対象になりやすいと想定されます。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。金沢市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイクここまでの移動はいかがでしたか準備していない一言に出る、受け答えのリズム
② 動機・志望民間企業ではなく公務員を選んだ理由は何ですか職業選択の筋道が、自分の経験とつながっているか
③ 自己理解ご自身の短所をどう補っていますか短所の申告ではなく、その扱い方まで語れるか
④ 経験・行動立場の違う相手と物事を進めた経験はありますか調整の場面での具体的な振る舞いと判断
⑤ 学業・経歴専門分野を、専門外の人にどう説明しますか相手に合わせて言葉を選び直す力
⑥ 適性・将来採用後に取り組みたい分野はどこですか市の仕事への理解の解像度と、配属への構え
⑦ 公共性・社会性関心を持って追っている社会の動きはありますか社会へのアンテナと、意見を一言でまとめる力

とはいえ、この7つの領域は金沢市に限った話ではなく、どの官公庁でも共通して問われます。受験者全員が準備してくる以上、差はつきにくいと考えてください。

差がつくのは、次の「金沢市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「金沢市ならでは」の質問

「なぜ石川県庁ではなく、金沢市役所なのですか」
「金沢市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも金沢市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「金沢市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい金沢市の事実答え方のヒント
なぜ県庁ではなく市役所か金沢市は中核市として金沢市保健所を設置し、感染症対策や食品衛生などの事務を市が担っている保健所が担う分野のうち、自分の関心に近いものを一つ選んで話しましょう。その仕事を県ではなく金沢市が決めているという具体まで下りると、説得力が出ます
県都という立場住民基本台帳では石川県の人口のおよそ4割が金沢市に集まる。高齢化率は県平均を下回る集中を強みとしてだけ語らず、県全体が減っていく中で県都が何を引き受けるべきかという問いまで進めてください
都市像と最上位計画都市像は「未来を拓く世界の共創文化都市・金沢」(令和5年12月策定、目標年次は令和16年)。行動計画が「未来共創計画」計画名を挙げるだけで終えないでください。未来共創計画の5つの基本方針を市公式サイトで確かめ、自分がやりたい仕事がどれに当たるかまで言えると説得力が増します
防災と危機管理県内最大の被害が想定される森本・富樫断層帯(マグニチュード7.2、30年以内の発生確率2〜8%)で、金沢市は最大震度7が想定されている被害の規模に触れたうえで、市の備えへの理解と、自分が住民として取る行動をあわせて述べると具体性が出ます
文化と観光県は文化資源を磨き上げた文化観光の推進を掲げる。北陸新幹線は令和6年春に敦賀まで延伸し、開業効果の県内全域への波及が課題兼六園などの紹介にとどめず、金沢に来た人をどう県内の他地域へ送り出すかという広域の視点を一つ加えましょう

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、公表されている求められる職員像に照らして、これまでの行動を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
変化に合わせて動く速さ前提が崩れたときに、どう判断を切り替えたか市が挙げる「スピード感を持って対応すること」に直接つながる観点です。状況が変わった場面と、そこで下した判断を組にして用意しましょう
対話しながら進める力相手の言い分を聞いたうえで、案をどう修正したか都市像にも計画名にも「共創」が入っています。まとめ役を務めた話より、意見が割れた場面で誰にどう働きかけ、何を譲ったのかまで言えるように整理しておきましょう
実行できる形にする力限られた時間や人手の中で、優先順位をどうつけたか県が復興に財源を重点配分する局面です。何かをやめる判断まで含めて話せると、行政の仕事への理解が伝わります

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。金沢市では個別面談と面接が別の日に置かれますから、同じ経験に二度触れられる前提で備えてください。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 一般区分Aと一般区分Bのどちらで受けるかを決める。同一職種なら併願できるので、専門試験の準備状況から逆算して判断する
  2. 受験案内で自分の区分の配点を書き出す。面接500点という数字を、勉強時間の配分に反映させる
  3. 面接調査票の記入項目を確認し、書いた内容と面接での発言が食い違わないように整える
  4. 学生生活や職務の経験を棚卸しし、調整や工夫が必要だった場面を中心に書き出す
  5. 金沢市の事実を2つか3つ、メモを見ずに30秒で説明できるか試す(材料は第1部)
  6. 個別面談と面接で同じ話題に触れられる前提で、掘り下げへの返答を書き足していく

優先順位に注意

ステップ5〜6の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ4の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、金沢市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

金沢市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

金沢市役所の想定問答集を見る

さいごに

金沢市の試験は、配点が公表されているぶん、準備の設計がしやすい試験です。一般区分Aの事務なら、第1次で問われる教養と専門が合わせて200点、論文が50点で、第2次の面接が500点です。

ここまで差がある以上、筆記を通過した後にどれだけ話せるかで結果は動きます。県民の4割が暮らす県都で、市民や事業者と何を一緒につくりたいのか。

都市像に置かれた「共創」という言葉に、自分の経験のどれで応えるかを決めてから、面接の席に着いてください。