加賀市消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴・基礎データ・管轄地域の災害リスク・消防課題・重点方針)と、面接本番の流れ・想定される質問・評価の観点を、1ページに整理しました。

加賀市消防本部の面接試験では、「なぜ加賀市消防本部を志望したのか」「消防官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を消防の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。加賀市の地域事情や、石川県内で起きた災害を知っておくことで、他の消防本部にも当てはまる一般論を避け、この本部に固有の事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と加賀市消防本部の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|組織研究編

加賀市消防本部の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは加賀市消防本部の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 加賀市消防本部は、石川県加賀市を単独で管轄する市直営の消防本部である。石川県ではなく加賀市の組織であり、採用も加賀市職員採用候補者試験の一区分として行われる。
  • この本部で働く消防吏員は121人、そのうち女性は5人である(令和7年4月1日現在)。
  • 令和6年中の出動件数は火災21件・救急4,129件・救助45件で、救急が火災の200倍近くを占めている。
  • 本部は総務課・予防課・警防課・消防署の体制で編成されている。
  • 消防職の採用試験は、市総務部人事課が実施する「加賀市職員採用候補者試験」の一区分で、行政職とは別の試験区分〈A14消防職(高校卒)〉が用いられる。
  • 加賀市は令和6年(2024年)能登半島地震で最大震度5強を観測し、人的被害はなかったものの、住家被害2,420棟を受けた地域である(詳細は次章以降)。

加賀市消防本部の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「加賀市消防本部の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

管内人口と職員数、4部門という組織の形、年間の出動件数、そして試験の段階。この5点を並べると、本部の規模と仕事量がひととおり見えてきます。(出典:全国の消防本部データ|総務省消防庁(本部別))

項目内容
設置形態単独(加賀市が単独で設置・運営する市直営の消防本部)
管轄加賀市(石川県)
所在地〒922-0422 加賀市弓波町257
組織消防本部総務課・消防本部予防課・消防本部警防課・消防本部消防署の4部門体制(令和8年度組織一覧)
管内人口60,859人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
消防吏員数121人(うち女性5人)※令和7年4月1日現在
火災出動件数21件(令和6年中)
救急出動件数4,129件(令和6年中)
救助出動件数45件(令和6年中)
試験の段階(令和8年度実施・A14消防職〈高校卒〉)2段階選抜(第1次:SPI3能力検査・性格検査・小論文・体力試験/第2次:口述試験)

管内人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の値です。消防吏員数・出動件数は総務省消防庁が公表する全国の消防本部データによる、令和7年4月1日現在・令和6年中の値です。組織は加賀市公式サイトの組織一覧、試験の段階は加賀市が公表する令和8年度実施のA14消防職(高校卒)試験公告(公告第61号)によります。(参考:加賀市消防本部|加賀市公式サイト)

数字から考えられる加賀消防の課題

火災と救急の件数を見比べると、その差の大きさに気づきます。令和6年中の火災は21件、救急出動は4,129件で、200倍近くの開きです。消火の技術は当然の土台としても、日々の活動量の大部分は救急が占めるのが実際の姿だと理解しておきましょう。

総務・予防・警防の各課と消防署という4部門で、この出動量を受け止めている点も押さえておきたい規模感です。

また、加賀市の高齢化率は36.2%、75歳以上率は22.1%です(いずれも住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。石川県全体の高齢化率30.9%(令和6年10月1日現在)を上回る水準にあり、県内でも高齢化が進んだ地域であることがうかがえます。

高齢化の進み方は、そのまま救急需要や住宅防火の課題の重さに直結します。

「加賀市消防本部の管内では、令和6年中の救急出動が4千件を超える一方、火災は20件ほどと聞きました。ここまで開きがあると、救急が仕事の中心になるのだろうと思いました。加賀市は高齢化率が3割を超えていて石川県全体より高いとのことなので、救急の需要はこれからもっと増えていくのではと感じています」

管轄地域の特性と災害リスク

管轄地域の全体像

  • 加賀市は石川県南部に位置し、片山津・山代・山中・粟津の4つの温泉地からなる「加賀温泉郷」を擁する観光地である。
  • 管内人口は60,859人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)である。
  • 高齢化率は36.2%、75歳以上率は22.1%で、石川県全体の高齢化率30.9%(令和6年10月1日現在)を上回る水準にある。
  • 石川県内では、令和6年(2024年)元日の令和6年能登半島地震に加え、同じ年の秋には令和6年奥能登豪雨も起きている。県は令和7年度を「復興元年」と位置づけている。

つまり加賀市消防本部は、温泉地を抱える観光都市の日常的な業務と、石川県内で起きた大規模災害への備えの両方に向き合う本部だと整理できます。

令和6年能登半島地震における加賀市の被害

令和6年能登半島地震では、加賀市も最大震度5強を観測しました。人的被害はなく、住家被害は全壊14棟・半壊50棟・一部破損2,356棟の合計2,420棟に上ります(いずれも令和6年8月21日14時現在の県のまとめによる)。(出典:石川県災害対策本部 被害状況(第154報)|令和6年8月21日時点)

能登地方から距離のある加賀市でも、これだけの住家被害が出たことは、面接で災害を語るうえで押さえておきたい事実です。

県の被害想定が示す内陸直下型地震のリスク

石川県は令和7年5月、県内・隣接県の陸海域にある9つの断層帯を対象に地震被害想定を公表しています。想定の中で被害が最大になるのは森本・富樫断層帯で、金沢市で最大震度7、冬の朝5時に発生した場合の想定として死者は最大2,212人、建物の全壊・全焼は最大46,947棟、負傷者は最大9,344人、1週間後の避難者は最大191,898人が見込まれています(今後30年以内の発生確率は2〜8%)。(出典:石川県地震被害想定調査(概要)|令和7年5月公表)

加賀市は震源となる断層から距離がありますが、令和6年能登半島地震でも震度5強を観測した経緯を踏まえると、内陸直下型地震への備えは石川県内で広く共有すべき課題だといえます。

加賀市の主な消防課題

ここまでの数字と地域の姿を重ねてみると、加賀市消防本部が今向き合っている課題がはっきりしてきます。面接で管内の課題について問われたときに支えとなるのが、次の4つです。

救急需要への対応

令和6年中、全国の救急自動車による出動は771万8,380件(前年比1.0%増)を数え、昭和38年に統計を取り始めてから最も多い水準となりました。(出典:令和7年版 救急・救助の現況|令和6年中の値)加賀市の4,129件(令和6年中)も、この増加の流れの中にあります。

搬送された人のうち65歳以上が63.3%(令和6年中)を占めることを踏まえれば、高齢化率36.2%の加賀市ではこの傾向をいっそう重く受け止める必要があります。

限られた人員で件数の増加に応じ続けるためには、現場活動だけでなく、地域や関係機関との連携もあわせて考えていく視点が求められます。

大規模災害への備え

令和6年能登半島地震で最大震度5強・住家被害2,420棟を経験したことを踏まえると、大規模災害への備えは加賀市消防本部にとっても重い課題です。

こうした規模の災害に全国の消防が対処する枠組みが緊急消防援助隊で、全国の消防本部の約99%にあたる718本部(6,661隊・令和6年4月1日現在)が登録し、都道府県の境を越えて応援に入ります。

自らの管内で被災した経験と、全国規模の相互応援の仕組みの両方を理解しておくことは、志望動機に厚みを与えます。

予防・住宅防火

全国の住宅火災による死者(放火自殺者等を除く)を年齢で見ると、65歳以上が74.5%を占めています(令和5年中762人)。(参考:住宅火災による死者の状況|令和6年版 消防白書)

加賀市の火災は令和6年中21件と件数こそ少ないものの、高齢化率が県平均を上回る地域である以上、住宅用火災警報器の設置や高齢者世帯への働きかけは今後も欠かせません。

火災件数の少なさを「課題が小さい」と受け取るのではなく、予防を積み重ねてきた結果として捉え直す視点を持てると、面接での説明に厚みが出ます。

人材確保と女性消防吏員の活躍

加賀市消防本部の消防吏員121人のうち女性は5人で、割合はおよそ4.1%です。全国の女性比率は約3.8%(消防吏員168,230人中女性6,386人・令和7年4月1日現在)なので、これはわずかに上回る水準です。

ただし、国が掲げる「令和8年度当初までに5%」という目標には届いていません。(参考:女性消防吏員の活躍推進|消防庁)

121人のうち5人という実数で見れば、まだ限られた人数です。性別を問わず働き続けられる職場をどうつくるかは、これから採用される受験者自身が当事者として引き受けるテーマでもあります。

重点方針|令和6年地震の経験と加賀市消防が向き合う課題

加賀市消防本部が、消防に特化した運営方針や基本理念を明文で公表しているかは、本記事作成時点では確認できませんでした(当研究会調べ)。代わりに手がかりとなるのは、地域が置かれた状況です。

加賀市は令和6年能登半島地震で最大震度5強を経験し、石川県全体は令和7年度を「復興元年」と位置づけています。ここに全国の消防に共通する動きを重ねると、この本部が向かう方向が見えてきます。

震災の経験を踏まえた防災力の強化

加賀市は令和6年能登半島地震で住家被害2,420棟という被害を受けた地域です。震源から離れた地域でもこれだけの被害が出た経験は、住宅の耐震化や地域の防災訓練の支援、大規模災害時の広域応援への備えを、加賀市消防本部としても軽視できない課題にしています。

121人・4部門で救急の増加を受け止める

増え続ける救急需要への対応も、多様な人材の確保・育成も、121人・4部門という体制の中で並行して進めていくことになります。面接では、自分の取り組みたい仕事がこのどちらにつながるのかを一言添えられるだけで、加賀市の実情を踏まえた志望だと伝わります。

POINT|観光地というイメージだけで語らない

加賀市には片山津・山代・山中・粟津の4つの温泉地からなる加賀温泉郷がありますが、消防の仕事を語るときの中心はあくまで市民の暮らしを支える救急・防火の実務です。温泉地であることに触れるなら、そこから消防の業務にどうつなげるのかまで自分で組み立てておきましょう。

悪い例「加賀市は温泉地としても有名で魅力があるので、消防官になりたいです」

改善例「まずは消防官として、SPI3や小論文、体力試験で問われる基礎的な力をしっかり身につけたいです。そのうえで、加賀市は救急出動が火災の200倍近くに上ると知りましたので、日々増えていく救急の現場で落ち着いて対応できる職員になりたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

公告61号のA14消防職(高校卒)試験区分を軸に、手続き面の確認と志望動機の材料になるものをあわせて4点そろえました。

  • 加賀市のA14消防職(高校卒)試験公告(公告第61号)
  • 加賀市消防本部・加賀市の公式サイトの職員採用ページ
  • 石川県の地震被害想定調査(森本・富樫断層帯の想定)
  • 石川県災害対策本部の被害状況資料(令和6年能登半島地震)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、加賀市消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。加賀市消防本部の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

加賀市消防本部の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

加賀市消防本部の面接の概要

ここからは、加賀市消防本部の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

加賀市消防本部の面接の流れ

加賀市消防本部の消防職員は、加賀市総務部人事課が実施する「加賀市職員採用候補者試験」の一区分、試験区分〈A14 消防職(高校卒)〉として募集されます。第1次のSPI3能力検査・性格検査・小論文・体力試験を突破した人だけが、第2次の口述試験に進む2段階選抜です。

項目内容(令和8年度実施・A14消防職〈高校卒〉)
試験の段階2段階選抜(第1次・第2次)。消防職は他の職種と別の試験区分〈A14消防職(高校卒)〉で実施
第1次試験SPI3能力検査(高校卒程度)・性格検査(択一式)、小論文、体力試験(消防職のみ実施)。試験会場は加賀市消防本部
第2次試験口述試験
面接の種類受験案内での個別面接・集団面接の別の公表は確認できず。最新の受験案内でご確認ください
初任給200,300円(A13保育士以外の職種に共通)
申込方法全国高等学校統一応募書類・卒業(見込)証明書・返信用封筒の郵送または持参による書類申込(A13保育士のみ電子申込)

注目したいのは、第1次試験の内容です。SPI3能力検査・性格検査に加えて小論文と体力試験が同じ段階で課され、知識・適性・文章力・体力の4つをまとめて確認する設計になっています。

第1次試験の会場が加賀市消防本部である点も特徴で、早い段階から本部の雰囲気に触れる機会になります。(出典:加賀市職員採用候補者試験|令和8年公告第61号)

上記の試験構成は、加賀市が公表する令和8年度実施のA14消防職(高校卒)試験公告(公告第61号)によります。大学卒業程度区分の有無は本記事作成時点で確認できていません。試験の構成・区分・配点等は年度によって異なる可能性があり、行政職とも試験構成が異なります。受験の際は、必ず最新の受験案内をご確認ください。

加賀市消防本部が求める人材

加賀市消防本部が、採用向けの「求める人物像」を独自の文言で示しているかどうかは、加賀市公式サイト・試験公告からは確認できません(当研究会調べ)。手がかりになるのは、第1次試験の設計です。

SPI3・性格検査に加えて小論文と体力試験を同じ選考段階でまとめて課す構成からは、知識や適性だけでなく、文章で自分の考えを伝える力と基礎体力の両方を、早い段階から求めていることが読み取れます。

あわせて、加賀市消防本部のように吏員が百人程度で、総務・予防・警防の各課と消防署という4部門体制の単独本部では、部門ごとの人員に余裕が少ない分、一人の職員が経験を重ねながら消火・救急・予防など複数の業務を横断的に担うことが多いとされます。

特定の分野を極めることだけでなく、配属が変わるたびに一から学び直す姿勢や、少人数の当番編成で長時間を共にする仲間との呼吸の合わせ方が、評価の軸として重みを持ちやすいと考えられます。

試験の入口がSPI3・小論文・体力試験という異なる種類の力を並べて問う設計になっている点も、特定の得意分野だけに偏らない人物を求めていることの表れだと読み取れます。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。加賀市消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク試験会場までは、どのような経路で来られましたか?緊張をほぐす何気ないやり取りに、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ加賀市消防本部を志望するのですか?消防官という仕事と加賀市を、自分の言葉で選べているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分自身をどれだけ客観的に見つめられているか。弱みを補うための工夫まで語れるか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか
⑤ 学業・経歴部活動や学業の中で、特に力を注いだことを教えてください取り組みの筋道。自分の選択や努力を順序立てて説明できるか
⑥ 適性・将来交替制の勤務や体力試験に、しっかり対応できる自信はありますか?現場活動を続けるための体力・生活習慣・覚悟
⑦ 公共性・社会性消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか?仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識

この7つの枠組み自体は、消防官を目指す受験者の多くが押さえてくる範囲です。ここから先、加賀市消防本部を選んだ理由まで踏み込めるかどうかが、次の固有質問で試されます。

合否を分けるのは加賀市消防本部に固有の質問

「消防官ではなく警察官や自衛官という道もあったと思いますが、なぜ消防官を選んだのですか?」
「加賀市消防本部を志望する理由を、加賀市の地域事情を踏まえて教えてください」

この2問に具体的な言葉で答えられるかどうかは、加賀市の地域事情や災害の経験をどれだけ自分の頭で整理できているかにかかっています。面接で使いやすい「加賀市の事実」を絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい加賀市の事実答え方のヒント
想定される災害(地震)県内最大の被害想定である森本・富樫断層帯(金沢市で最大震度7)。冬の朝5時発生の想定で死者は最大2,212人(詳細は第1部3章)震源が加賀市から離れている点も含め、県内共通の課題として自分の言葉で説明できるようにしておく
令和6年能登半島地震の経験加賀市は最大震度5強を観測。人的被害はなく、住家被害は計2,420棟(詳細は第1部3章)震源から離れた加賀市でも実際に被害が出た事実を自分の言葉で受け止め、そこから何を学びたいかまで語れると当事者意識が伝わります
救急需要の増加令和6年中の救急出動は4,129件で火災の21件を大きく上回る。全国でも救急出動は同年771万件を超え過去最多を更新(詳細は第1部2章・4章)件数の話だけで終えず、加賀市の高齢化率や予防の取り組みまで自分の言葉でつなげられると厚みが出ます
高齢化と管内人口管内人口60,859人、高齢化率36.2%・75歳以上率22.1%(詳細は第1部2章・3章)県平均を上回る高齢化率を自分なりに解釈し、将来の救急需要とどう向き合うかまで話せると印象に残ります
採用試験の設計A14消防職〈高校卒〉。SPI3・性格検査・小論文・体力試験を第1次でまとめて実施、第2次は口述試験(詳細は第2部1章)知識・文章力・体力のどれか一つに偏らず準備してきた経緯を、自分の言葉で説明できるようにしておく

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 消防官としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

加賀市は、第1次試験の科目構成(SPI3・性格検査・小論文・体力試験)は公表していますが、各種目の配点や第2次口述試験の詳しい内容までは明らかにしていません。そこで、公表されている試験設計から読み取れる範囲を軸に、消防の採用選考で一般に使われる考え方も参考にしながら観点を組み立てます。

設計から言えるのは、知識・適性・文章力・体力という異なる種類の力を、第1次の段階でまとめて確かめるという点です。

補助的に知っておきたいのが、公務員試験の面接で広く採用されている評価の考え方で、面接官が実際の行動事実を聞き取りながら入庁後に同じ行動が再現できるかを見極めるというものです。

加賀市が採点方法として明示しているわけではありませんが、口述試験で人物を確かめる試験ではこの視点が役立ちます。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
基礎力とアウトプット力の両立SPI3・性格検査、小論文、体力試験のすべてで一定の水準を満たしているか知識偏重・体力偏重のどちらにも寄らず、両方を並行して仕上げてきた経緯を説明できるようにする
幅広い持ち場に対応する柔軟性消火・救急・予防など複数の職務に前向きに向き合う姿勢があるかこれまでの経験の中で、慣れない役割を学び直して務めた場面を用意しておく
当直チームでの協調性少人数の当番編成で長時間を共にする相手と、良好な関係を築けているか個人プレーの成果より、周囲と声を掛け合い助け合った具体的な場面を選んで語る

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 令和8年度実施のA14消防職(高校卒)試験公告を読み、第1次試験の科目構成と申込方法(書類申込)を確認する
  2. 高校生活等での経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学業から、チームで動いた具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、加賀市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 実際に口に出してリハーサルする。あわせて小論文の下書きを重ね、体力試験の各種目に向けたトレーニングも並行して進める

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で加賀市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、加賀市消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

加賀市消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。

加賀市消防本部の想定問答集を見る

さいごに

加賀市消防本部の試験は、SPI3能力検査・性格検査・小論文・体力試験を課す第1次と、口述試験による第2次からなる2段階選抜です。第1次の段階で4種類の力を並べて確かめる設計は、どこか一つが突出しているだけでは通らないことを示しています。

加賀市は令和6年能登半島地震で最大震度5強を観測し、住家被害2,420棟という経験をした地域でもあります。

救急出動が火災の200倍近くに上るという数字も、この本部が向き合う仕事の中心を物語っています。総務・予防・警防の各課と消防署が一体となって、121人という限られた体制でこの仕事量を支えている実情も、志望動機を語るうえで押さえておきたい事実です。

知識・適性・文章力・体力という異なる力を第1次でまとめて確かめる設計を踏まえ、どれか一つに偏らない準備を重ねながら、加賀市の事情を自分の経験に重ねていってください。

数字や事実を並べるだけでなく、「加賀市消防本部だからこそ働きたい」という理由を自分の口で説明できる状態を目指しましょう。加賀市で暮らす人々の安全を守る仕事に、皆さんが加わる日を待っています。