本記事では、珠洲市職員採用試験の面接対策で必要な、珠洲市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

珠洲市役所の面接試験では、「なぜ珠洲市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。珠洲市の第2次試験は口述試験だけですから、人物を見る場はこの一度に絞られます。

そこで何を話せるかが、そのまま評価の材料になります。

ここに集めた事実を材料にして、自分の関心と珠洲市政の接点を組み立て、面接での受け答えに使ってください。

第1部|自治体研究編

珠洲市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは珠洲市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 能登半島の先端に位置し、三方を海に囲まれた市。陸で接するのは輪島市と鳳珠郡能登町の2団体だけ。
  • 人口は10,420人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、面積は248.92km²、人口密度は41.9人/km²。石川県内11市のうち、人口は最も少なく、人口密度も最も低い。
  • 65歳以上の割合は53.2%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。石川県全体の30.7%を大きく上回り、県内19市町で最も高い水準。
  • 75歳以上の割合も33.9%で、市民のおよそ3人に1人にあたる。
  • 令和6年元日の能登半島地震と、同年秋の奥能登豪雨で被災した地域。石川県は令和7年度を「復興元年」と位置づけている。
  • 市の採用情報は、行政職/カムバック採用・公務員経験者採用/総合病院/斎場という4つの系統に分かれて掲載されている。
  • 令和8年度実施(令和9年4月採用)の行政職採用は、受付が初夏から晩秋まで数か月にわたり開かれる一方で、採用予定人員に達し次第、受付けと採用を終了する。申し込んだ時期によって第1回と第2回に振り分けられ、第2回は実施されない場合がある。
  • 市の花はツバキ、市の木は赤松。市役所は上戸町北方に置かれている。

珠洲市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「珠洲市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

珠洲市を数字で見るときの軸は2つあります。人口1万人前後という小ささと、県内で突出した高齢化の水準です。

県全体の値と並べて、差がどれくらいあるかを確かめてください。

項目内容
総人口10,420人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積248.92km²
人口密度41.9人/km²(上記の総人口と総面積から算出。石川県内11市で最も低い)
65歳以上の割合53.2%(石川県全体は30.7%。県内19市町で最も高い)
75歳以上の割合33.9%(石川県全体は18.4%)
隣接自治体輪島市/鳳珠郡能登町
市役所所在地珠洲市上戸町北方1字6番地2
(参考)石川県の人口1,098,531人(令和6年10月1日現在の推計人口)
(参考)石川県の面積4,186.20km²(11市8町の計19市町で構成)

65歳以上・75歳以上の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。この統計における珠洲市の人口は10,420人で、割合の分母にもこの数値を用いています。並記した石川県全体の割合と県内19市町での順位も同じ統計にもとづきます。総面積・隣接自治体・市役所所在地は公表値をもとに整理したもので、人口密度は住民基本台帳・令和8年1月1日現在による値です。参考欄の石川県の人口は県の推計人口(国勢調査を基礎とするもの)で、住民基本台帳の値とは調査の基準が異なるため、そのまま並べて比較することはできません。

数字から考えられる市政課題

珠洲市の248.92km²という市域に、1万人あまりが暮らしています。人口密度は41.9人/km²で、石川県内11市のうち最も低い値です。

集落は海沿いと山あいに分かれて点在し、一つの用件のために職員が移動する距離が長くなるのが、この市の行政サービスの前提です(参考:石川県の概要(位置と面積))。

もう一つの軸が年齢構成です。令和8年1月1日現在の住民基本台帳では、65歳以上が53.2%、75歳以上が33.9%。

市民の半数を超える方が高齢者で、3人に1人が75歳以上という構成は、石川県全体の30.7%、18.4%と比べても大きな開きがあります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。移動、見守り、除雪、通院の足といった生活の基盤に関する仕事が、どの部署にいても視界に入ってきます。

たとえば面接では、次のように数字と自分の関心を結び付けて話せます。

「珠洲市は市民の半数以上が65歳以上で、高齢化率は県内で最も高いと知りました。3人に1人が75歳以上ということは、通院や買い物の足をどう確保するかが、日々の暮らしに直結する課題だと思います。私はそこに関わる仕事がしたいです」

珠洲市の経済・産業

能登の里山里海という土台

珠洲市が属する能登地域は、里山と里海が一体となった営みが世界農業遺産「能登の里山里海」として認定されている地域です。石川県の農業産出額は令和2年で535億円、うち米が281億円と最大で、次いで野菜101億円、鶏35億円、果実34億円という構成です(出典:石川県の現状と課題(成長戦略会議資料))。

米を中心とする農業と、海に囲まれた地形を生かした水産が、この地域の暮らしを長く支えてきました。

面接で珠洲市の産業を語るなら、名産品の紹介で終わらせないことです。担い手の高齢化と、田畑や里海の手入れが行き届かなくなることは、同じ問題の裏表です。

53.2%という高齢化率の数字と、この土地の産業のかたちは、切り離さずに考えてください。

ものづくりの県という背景

石川県全体で見ると、産業の中心は製造業です。令和元年の製造品出荷額等は30,059億円で、そのうち機械が20,766億円と約7割(69.1%)を占めます。

次いで食料品2,003億円(6.7%)、繊維1,929億円(6.4%)という順です。あわせて、輪島塗・九谷焼・加賀友禅・金沢箔といった伝統工芸を全国に発信してきた県でもあります。

県の経済を語る場面では、観光の話に流れる前に、この製造業と工芸という土台に一度触れておくと、話の芯が定まります。

交流人口という課題

石川県の令和6年の観光入り込み客数は18,862千人で、前年の21,538千人に対して87.6%にとどまりました。内訳は県内から6,761千人(前年比82.0%)、県外から12,101千人(同91.1%)で、令和6年元日の地震の影響が数字にはっきり表れています(出典:石川県観光入込客統計|令和6年)。

珠洲市のように交流人口が地域経済で大きな比重を占める市にとって、この落ち込みは長く尾を引きます。観光を志望動機にするのであれば、来訪者を増やす話だけを述べるのではなく、まず受け入れる側の暮らしの再建があり、その先に交流の回復があるという順序で語れるようにしておきましょう。

珠洲市の主な行政課題

珠洲市の課題は、震災と豪雨からの立て直しと、その前から進んでいた人口構造の変化が重なっている点に特徴があります。面接で市の課題を問われたときの引き出しとして、次の4つを用意しておきましょう。

県内で最も高い高齢化の水準

石川県の人口は平成12年(2000年)の1,180,977人をピークに減少が続き、国立社会保障・人口問題研究所の令和5年推計では、令和22年(2040年)に979千人と100万人を割り込み、令和32年(2050年)には897千人になる見通しです。県全体の老年人口の割合も、2020年の29.8%から2050年には38.3%へ上昇すると見込まれています(出典:石川県の将来推計人口|令和5年推計)。

珠洲市の53.2%は、県全体が2050年に迎える見通しの水準をすでに上回っています。県がこれから向き合う人口構造に、珠洲市は先に直面しています。

この対比は、市の課題を県の将来像と重ねて語るときの手がかりになります。

震災と豪雨からの立て直し

石川県では令和6年元日に能登半島地震が発生し、同年秋には奥能登豪雨が重なりました。県はこの2つの災害への対応として、令和7年度までの累計で1兆3,105億4,309万円を投じており、令和7年度を「復興元年」と位置づけています(出典:石川県当初予算の概要|令和7年度)。

被災地の生活と生業の再建に加え、トキの放鳥に向けた取組や能登駅伝の開催準備といった、地域の先を見た事業も動き始めています。市の窓口には、住まい、事業、道路、農地といった相談が、制度の区切りとは関係のない形で持ち込まれます。

復興の仕事とは何かを、災害対応の場面だけで想像しないほうがよいでしょう。

担い手をどう確保するか

令和8年度実施(令和9年4月採用)の行政職採用では、試験区分ごとの採用予定人員が、行政事務A6名程度、行政事務B3名程度、行政事務C(社会人経験)7名程度、行政事務S若干名、保健師1名程度、管理栄養士1名程度、学芸員1名程度、土木4名程度、建築2名程度、電気若干名、保育士2名程度と設定されています。

人口1万人台の市としては幅の広い構成で、社会人経験を対象とする行政事務Cに、区分の中で最も多い枠が置かれている点が目を引きます(出典:令和8年度珠洲市職員採用候補者試験案内(行政職採用)|令和8年度実施)。

これに加えて、市は行政職とは別枠で、カムバック採用と公務員経験者採用を実施しています。カムバック採用の受験資格には、結婚、出産、育児、介護に並んで「災害による生活環境の変化などにより珠洲市職員を退職した方」が明記されています。

一度離れた人にもう一度戻ってもらう道を、市が制度として用意しているということです。

次の災害への備え

石川県は令和7年5月に、県内・隣県の陸海域9断層帯を対象とした地震被害想定を公表しています。能登に関わるものとしては能登半島北岸断層帯のマグニチュード8.1、七尾湾東方断層帯のマグニチュード7.6などが対象に含まれています(出典:石川県地震被害想定調査(概要)|令和7年5月公表)。

一度大きな災害を経験した地域が、次への備えをどう組み直すか。防災を志望分野に挙げるなら、市の地域防災計画や避難所運営に関する公表資料まで目を通しておくと、話の解像度が変わります。

重点政策|石川県の創造的復興と珠洲市

珠洲市がどの計画に沿って市政を進めているかは、市公式サイトに掲載されている最新の総合計画で確かめるのが確実です。ここでは、その計画が置かれている外側の枠組みとして、石川県の動きと財政の条件を押さえておきます。

復興元年という県の枠組み

石川県は、令和6年能登半島地震と令和6年奥能登豪雨からの創造的復興を最重点に据えています。令和7年度の実質当初予算は9,341億1,800万円(このうち当初予算分は8,379億8,900万円)で、被災地の生活と生業の再建に加え、輪島塗の創造的復興プロジェクトなど、地域の産業を立て直す事業が並びます。

県の予算資料を一度眺めておくと、市の事業がどの流れの中にあるかが見えてきます。

県の財政という条件

石川県の令和5年度の財政力指数は0.478、経常収支比率は92.3%(全国18位、全国平均92.9%)、実質公債費比率は12.3%です。県債残高は標準財政規模に対して3.69倍と全国9位の水準で、県自身が公債費を財政の大きな圧迫要因として挙げています(出典:石川県の財政状況|令和7年6月)。

復興に多額の財源が必要な局面でも、恒常的な支出の余裕が広がるわけではありません。何かを始めるには何かを組み替えるという判断が、県にも市にも求められています。

あわせて確認したい公式資料

読む順番を決めるより、読む目的を先に決めるほうが効きます。復興や防災を志望動機にするなら3番目と4番目、窓口や福祉から入るつもりなら2番目。

面接で自分が話すテーマを一つ決めて、その裏づけになる資料から開いてください。

  • 珠洲市職員採用候補者試験案内(受験する系統の最新年度分)と、市の職員採用情報のページ
  • 珠洲市の総合計画と、その年度の予算に関する市の説明資料
  • 市の復興計画・地域防災計画(防災や復興の分野を志望する場合)
  • 石川県の当初予算の概要(県の復興施策の全体像を押さえるため)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、珠洲市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。珠洲市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

珠洲市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

珠洲市役所の面接の概要

ここからは、珠洲市の試験がどう組み立てられ、面接がどこに置かれているのかを、市の試験案内と当研究会の分析をもとに見ていきます。

珠洲市役所の試験の構成

令和8年度実施(令和9年4月採用)の行政職採用は、第1次試験が筆記と適性検査、第2次試験が口述試験という2段階です。案内には、第2次試験の内容として「主として人物について、面接により試験を行います」と書かれています。

筆記を通過した先に置かれている人物試験は、この一つだけです。

項目内容(令和8年度実施・令和9年4月採用の行政職採用)
年度表記の注意「令和8年度試験案内」は令和9年度の採用候補者を決定するための試験。実施年度と採用年度が1年ずれる
受付の仕組み受付期間は初夏から晩秋まで長期に設定。採用予定人員に達し次第、受付けと採用を終了する
試験の回次受験者が選ぶのではなく、受け付けられた時期で振り分けられる。案内が定める基準日までの受付分が第1回、それ以降の受付分が第2回として後日実施。案内には「採用予定人員に達し次第、受付け・採用を終了するため、第2回試験は実施しない場合があります」と注記されている
第1次試験の種目教養試験(社会、国語、英語、理科、判断推理、数的処理、資料解釈等の択一式。行政A・B・S、保健師、管理栄養士、学芸員、保育士が対象)または職務基礎力試験(論理的に思考する力、文章を正確に理解する力、統計等の資料を分析する力、国内外の社会情勢への理解等を確認。行政C、土木、建築、電気が対象)、作文試験、適性検査
第2次試験の種目口述試験(主として人物について、面接により試験を行う)。学芸員のみ専門試験(実技)が加わる
試験区分と採用予定人員行政事務A6名程度、行政事務B3名程度、行政事務C(社会人経験)7名程度、行政事務S若干名、保健師1名程度、管理栄養士1名程度、学芸員1名程度、土木4名程度、建築2名程度、電気若干名、保育士2名程度
試験会場第1次試験は奥能登行政センター(能登空港ターミナルビル内・輪島市三井町)、第2次試験は珠洲市役所(珠洲市上戸町北方)。第1次試験だけ市外の会場になる
提出書類申込書・履歴書1通(学芸員は研究概要書を加えて1通)。電子メールによるPDFデータの送付、郵送、持参のいずれかで提出する。面接カードやエントリーシートにあたる様式は案内に記載がない
結果の開示不合格者に限り、試験内容別の得点と順位を合格発表の通知で知らせる。代理人、電話、電子メール等による照会には応じない
別枠の採用行政職とは別に、カムバック採用(行政事務・土木・保育士)と公務員経験者採用(行政事務・土木・建築・電気)を実施。試験種目は作文試験、適性検査(カムバック採用は免除)、口述試験

上記は珠洲市の令和8年度実施(令和9年4月採用)の試験案内にもとづく内容です。各種目の配点と人物試験の比重は案内に記載がなく、公表されていません。第1次試験の会場である奥能登行政センターは、能登空港ターミナルビル内(輪島市三井町)にあります。珠洲市外の会場になりますが、試験を実施するのはあくまで珠洲市で、輪島市の採用試験ではありません。会場の場所と実施団体は分けて捉え、当日の移動時間も見込んでおいてください。試験の構成・区分・受付方法は年度によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身が受ける系統の最新の案内をご確認ください。

受付の時期で回次が決まる

珠洲市の行政職採用には、他の自治体ではあまり見かけない仕組みがあります。受付は初夏から晩秋まで数か月間開いていますが、第1回と第2回のどちらを受けるかを、受験者が選ぶことはできません。

案内が定める基準日までに受け付けられた分が第1回、それ以降の分が第2回と、申し込んだ時期で振り分けられます。

そのうえで案内には、採用予定人員に達し次第、受付けと採用を終了するため第2回試験は実施しない場合がある、と注記されています。第1回で予定人員が埋まれば、遅く申し込んだ人には受験の機会そのものが残らないということです。

締切に間に合うかどうかではなく、どれだけ早く動けるかが問われる設計だと考えて、日程を組んでください。

珠洲市役所が求める人物像

珠洲市の行政職採用の試験案内と、市の職員採用情報のページを確認しましたが、求める人物像を項目立てて示した記載は見当たりません。そのぶん、市が何を必要としているかは、募集の設計そのものから読み取ることになります。

手がかりは3つあります。11の試験区分を用意していること、社会人経験のある人を対象とする行政事務Cに7名程度と最も多い枠を置いていること、そして退職者に戻ってきてもらうカムバック採用を別枠で走らせていることです。

ここから先は、その組み合わせを当研究会が読み解いた内容になります。

人口1万人台の市が、行政事務のほかに保健師、管理栄養士、学芸員、土木、建築、電気、保育士までを自前でそろえるとなれば、一つの部署が受け持つ範囲は自然と広くなります。しかも珠洲市がいま抱えているのは、震災と豪雨からの立て直しという、手順の定まっていない仕事です。

初めて向き合う課題でも、資料を調べ、周囲に確認しながら形にしていける人が力を発揮しやすい環境だと考えています。社会人経験の区分に厚みがあるのは、そうした場面で即戦力となる人を必要としているからかもしれません。

もう一つは、人と人との距離の近さです。市民が1万人台という規模では、担当した相談の相手が、同じ地域で暮らす顔なじみであることも起こります。

丁寧な受け答えや、公私の切り分けといった点が、日々の仕事の信頼に直結します。

市外から申し込む場合も、なぜこの市なのか、どの課題に関心があるのか、生活する者としてどう関わりたいのかは、自分の経験に引き寄せて説明できるようにしておきましょう。見られているのは、珠洲市の課題に自分のどの経験を当てられるかという一点です。

持っていないものを補って見せるより、いまの市の仕事に手が届く経験を一つ選び、その中身を具体的に話すほうが伝わります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。珠洲市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までは迷わずに来られましたか身構える前の一言に出る、受け答えの間合いと表情
② 動機・志望公務員を志望した理由を教えてくださいどこでも通じる理由で止まっていないか。経験に根があるか
③ 自己理解ご自身の弱みはどこにあると思いますか自分を見つめる視点と、その弱みとの付き合い方
④ 経験・行動これまでで一番苦労した場面を教えてください苦労の大きさではなく、その場で何を考えどう動いたか
⑤ 学業・経歴学んできたことを仕事にどうつなげますか知識の量ではなく、実務への橋の架け方
⑥ 適性・将来採用後に取り組みたい仕事はありますか市の業務への理解の深さと、配属に対する構え
⑦ 公共性・社会性関心を持っている社会の動きはありますか世の中への関心と、意見を短くまとめる力

ただし、ここに並ぶ7つは珠洲市に固有のものではなく、どの官公庁を受けても顔を出す領域です。受験者全員が対策してくるため、差はつきにくいと考えてください。

では、どこで差がつくのか。それが次の「珠洲市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「珠洲市ならでは」の質問

「なぜ石川県庁ではなく、珠洲市役所なのですか」
「珠洲市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも珠洲市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「珠洲市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい珠洲市の事実答え方のヒント
人口と年齢構成人口10,420人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。65歳以上53.2%、75歳以上33.9%。65歳以上の割合は県内19市町で最も高い数字を挙げて終わりにせず、通院や買い物の足など具体の場面を一つ選び、そこに自分がどう関わりたいかまで続けてください
震災と豪雨からの立て直し令和6年元日の能登半島地震と同年秋の奥能登豪雨で被災。石川県は令和7年度を復興元年と位置づけ、2つの災害への対応に累計1兆円を超える財源を投じている復興を大きな言葉で語らず、住まいや生業といった相談が窓口に並ぶ現場として捉えていることを示すと、理解の深さが伝わります
なぜ県庁ではなく市役所か珠洲市は行政事務のほか保健師、管理栄養士、学芸員、保育士まで自前で採用し、市民の暮らしに直接触れる職種をそろえている県が広域を受け持つのに対し、市は生活の現場を引き受ける立場だという整理を、自分の関心分野の具体例に重ねて話しましょう
市域の広さと人口密度面積248.92km²に対し人口密度41.9人/km²で、石川県内11市のうち最も低い。集落は海沿いと山あいに分かれている不便さの説明で止めず、少ない人数でどう手を届かせるかという行政側の工夫に話を進めると、当事者の視点が出ます
採用の設計行政事務C(社会人経験)が7名程度で、区分の中では最も多い枠。加えてカムバック採用の要件に「災害による生活環境の変化」が明記されている市が人手をどこに求めているかを読んだうえで、自分の経験のどの部分がそこに重なるのかを、具体的な業務の場面に落として述べてください

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接では、ここまで整理してきた資質が、あなたの過去の行動として実在するかどうかが確かめられます。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
前例のない仕事を進める力やり方が決まっていない依頼に、どこから手をつけたか復興に関わる業務は手順書のない場面が続きます。調べた先と相談した相手まで説明できる経験を1つ用意しましょう
住民との距離の近さに耐える誠実さ相手の事情を聞いたうえで、自分の対応を変えた経験があるか住まいや生業の相談は、制度の説明だけでは終わりません。相手の事情に合わせて対応を変えた具体的な場面を思い出しておいてください
この地域で働き続ける意思珠洲市を選んだ理由が、思いつきではなく事実に裏づけられているか申し込む時期によって受験する回次が変わる試験です。遅い回次になった場合はその経緯に触れられることもあります。珠洲市を選んだ理由を、申込時期の説明も含めて筋道立てて話せるようにしておきましょう

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。珠洲市の第2次試験は口述試験だけですから、この掘り下げが一度の面接に集中します。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを、あらかじめ手元に置いておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 受験する系統を決める。行政職、カムバック採用、公務員経験者採用では対象も試験種目も違うので、最初にここを固める
  2. 最新の試験案内で、受付の締切と回次の扱いを確認する。申し込んだ時期で受験する回次が決まるため、動き出しの早さが効いてくる
  3. 第1次試験の種目を、自分の区分に合わせて確認する。教養試験の区分と職務基礎力試験の区分では、対策の中身が変わる
  4. 学業、課外活動、アルバイトや仕事から、話せる場面を1つずつ選び出して書き留める
  5. 珠洲市の事実を2つか3つ、メモを見ずに30秒で説明できるか試す(材料は第1部)
  6. 人物を見る場は口述試験の一度だけなので、同じ話題を3回掘られたときの返答まで書き足していく

優先順位に注意

ステップ5〜6の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ4の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、珠洲市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

珠洲市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

珠洲市役所の想定問答集を見る

さいごに

珠洲市の行政職採用は、受付が半年近く開いている一方で、採用予定人員に達した時点で終わります。長く開いているように見えて、実際にはいつ閉じるかがわからない試験です。

そして筆記を通過した先には、人物を見るための口述試験が一度だけ待っています。市民の半数以上が65歳以上で、震災と豪雨からの立て直しが続く市で、自分は何をしたいのか。

その答えを、1万人という規模の実感とともに話せるところまで持っていければ、準備としては十分でしょう。