本記事では、大田市職員採用試験の面接対策で必要な、大田市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

大田市役所の面接試験では、「なぜ大田市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。世界遺産を抱える市の事情を知っているかどうかで、答えの説得力は変わってきます。

大田市の令和8年度の職員採用は、回次で実施される試験と、通年試験・通年採用という二つの系統で動いています。対象となる職種も試験科目も別ですので、第2部ではどちらの話かを明示しながら整理します。

第1部|自治体研究編

大田市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは大田市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 島根県の中部にあり、人口は30,786人(令和8年1月1日現在)。市域は435.34km²。
  • 高齢化率は42.0%で、島根県全体の35.2%を上回る。75歳以上の割合も25.4%(県全体は21.1%)と高い(いずれも令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口による)。
  • 「石見銀山遺跡とその文化的景観」が2007年7月に世界遺産へ登録された。国内では14件目、鉱山遺跡としてはアジアで初めての登録。
  • 石見銀山は1527年の発見から1923年の休山まで、約400年にわたって操業された。銀鉱山跡と鉱山町、港と港町、それらをつなぐ街道から構成される。
  • 国が選定する重要伝統的建造物群保存地区は島根県内に3地区あり、そのうち大森銀山と温泉津の2地区が大田市にある。
  • 市内の三瓶山は標高1,126mの活火山で、気象庁が常時観測を行う火山に選定されている。
  • 出雲市・江津市・邑智郡川本町・美郷町・飯石郡飯南町と接する。
  • 令和8年度の職員採用は、回次で実施される試験と通年試験・通年採用の二つの系統で行われている。
  • 市の花はれんげつつじ、市の木はうめ。

大田市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「大田市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

人口と年齢の構成、市域の広さ、隣接する自治体を並べます。

項目内容
総人口30,786人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口12,940人(42.0%。島根県全体は35.2%)
75歳以上人口7,808人(25.4%。島根県全体は21.1%)
総面積435.34km²
人口密度約71人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体出雲市・江津市・邑智郡川本町・邑智郡美郷町・飯石郡飯南町
市の花・木れんげつつじ(花)・うめ(木)

総人口・年齢別人口・高齢化率は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の値によります。島根県全体の数値も同じ調査の県の値です。面積・隣接自治体・市の花木は公表値をもとに整理し、人口密度は上記の人口と面積から当研究会が算出しました。島根県が公表する国勢調査を基礎とした推計人口とは基準が異なりますので、本表の数値と並べて増減を計算しないようご注意ください。

数字から考えられる市政課題

大田市の高齢化率42.0%は、島根県全体の35.2%を7ポイント近く上回ります。75歳以上の割合も25.4%で、市民のおよそ4人に1人が75歳以上という構成です(令和8年1月1日現在)。

人口3万人台の市が、435.34km²の市域と、世界遺産に登録された文化的景観を抱えています。

守るべき資産の大きさに対して、それを担う人の数が限られている。これが大田市の置かれた条件です。

文化財の保存も、山あいの集落の暮らしも、少ない人手で回していく必要があります。面接で市の現状を語るときは、この釣り合いに触れると話が具体的になります。

たとえば次のような言い方です。

「大田市は市民の4割以上が65歳以上で、世界遺産の町並みや広い山あいの地域を抱えていると知りました。守るものが多いぶん、地域の方と一緒に手を掛けていく仕組みが要ると思いますので、その調整に関わる仕事をしたいと考えています」

大田市の経済・産業

島根県経済のなかでの位置

  • 島根県の事業所数は32,637事業所(全国比0.6%)、従業者数は296,596人(全国比0.5%)。いずれも令和3年6月1日現在の値。
  • 産業大分類別では、事業所数・従業者数ともに卸売業、小売業が最多(事業所8,218、従業者57,786人)。
  • 製造品出荷額等は1兆3,838億円で全国第44位。業種別の上位は電子部品・デバイス・電子回路、鉄鋼、情報通信機械器具の順(2024年調査)。

つまり、県全体では商業とサービスが雇用の中心にあり、製造業は特定の業種に集まっているという構造です。県内中部に位置する大田市では、これに観光と、地域の暮らしを支える生業が重なります。

産業の話題では、県の全体像を押さえたうえで市の資源へ引き付けると、話が浮つきません。(出典:経済センサス‐活動調査の島根県結果|令和3年/経済構造実態調査(製造業事業所調査)の島根県結果|2024年)

石見銀山と観光

令和5年の島根県の観光入込客延べ数は30,194千人、全県の観光消費額は約1,143億円でした。主要観光地別では出雲大社の7,114,000人が最も多く、石見銀山は246,100人です。

世界遺産という看板の大きさに比べると、実際に訪れる人の数は県内の他の観光地と並ぶ規模にとどまっています。だからこそ、来訪者を増やすことと、来た人に長く滞在してもらうことのどちらに力を割くのかという判断が要ります。

観光を志望動機にするなら、この現実の数字から出発しましょう。(出典:島根県観光動態調査|令和5年/石見銀山遺跡とその文化的景観|島根県)

二つの町並みを抱えるということ

大田市には、国が選定した重要伝統的建造物群保存地区が2地区あります。大森銀山が昭和62年12月5日、温泉津が平成16年7月6日の選定です。

島根県内の3地区のうち2地区が大田市に集まっている形になります。町並みの保存は、建物を凍結して守る作業ではありません。

そこに住む人がいて、店があり、修理の職人がいて初めて続きます。人口3万人台の市がこの仕事を担っているという点は、志望動機の材料としても、課題認識の材料としても使えます。(出典:重要伝統的建造物群保存地区|島根県)

大田市の主な行政課題

ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、大田市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

人口減少と高齢化

島根県の推計人口は令和7年10月1日現在で633,105人となり、前年から8,291人(対前年比1.29%減)減りました。合計特殊出生率は令和5年で1.46、人口の社会移動は同年で2,041人の転出超過(仮の値)です。

県は第2期島根創生計画(令和7〜11年度)で、2045年までに合計特殊出生率2.07、2040年までに社会移動の均衡という長期目標を掲げています。圏域別では、出雲圏域に比べて石見圏域・隠岐圏域の減少率が高い状況です。

高齢化率42.0%の大田市は、県が描く将来像をすでに現在の姿として抱えているといえます。(参考:第2期島根創生計画|島根県)

文化的景観をどう受け継ぐか

石見銀山遺跡は、銀鉱山跡と鉱山町、港と港町、そしてそれらをつなぐ街道という広い範囲で構成されています。点として建物を守るのではなく、面として景観を維持する仕事です。

重要伝統的建造物群保存地区も2地区あります。担い手の高齢化と、維持に要する費用の確保が同時にのしかかる構造で、観光による収入をどう保存に還元するかという循環をつくれるかが問われます。

地震と火山という災害リスク

平成30年4月9日1時32分、島根県西部を震源とするマグニチュード6.1の地震が発生し、大田市では県内最大となる震度5強を観測、重傷2名、住家被害は981棟(半壊65棟・一部破損916棟)に及びました。断水は最大1,459戸で、4月14日に解消しています。

県の被害想定は主な活断層地震の一つに大田市西南方断層(マグニチュード7.3)を挙げており、陸域で被害が最大となる宍道断層の地震(マグニチュード7.1)では全壊約3,260棟、死者計102人が想定されています。加えて三瓶山は気象庁が常時観測する活火山で、島根県は「三瓶山の火山災害にかかる連絡会議」を毎年開催しています。(出典:島根県西部を震源とする地震に係る被害状況|平成30年4月/三瓶山の火山観測|島根県)

市自身が見据えている社会の変化

大田市は職員人材育成基本方針(令和3年1月改定)の中で、考慮すべき社会経済情勢として、2040年頃にかけての人口減少の加速とインフラの老朽化、東京一極集中による人材の偏在、大規模災害のリスクを挙げています。そのうえで、対応としてデジタル化の推進とスマートシティへの変革の必要性を掲げました。

人が減る前提で、仕事のやり方そのものを変えるという方向を、市が自ら文書に書いているということです。面接でこの方針に触れられると、市の課題認識を共有していることが伝わります。

大田市の重点政策|人材育成基本方針が示す職員の基本姿勢

大田市がどんな職員を必要としているかは、職員人材育成基本方針(令和3年1月改定)に明記されています。方針が掲げる職員の基本姿勢は次の3点です。

  • 市を取り巻く状況や、市民の声に敏感であること
  • よく考え、よく議論すること
  • チャレンジ精神をもって行動すること

状況を感じ取る、考えて議論する、行動するという三段構えです。人口減少とインフラ老朽化を見据えて仕事のやり方を変えていく市の方向と、この基本姿勢は重なっています。(出典:大田市職員人材育成基本方針|令和3年1月改定)

職員に求められる10の能力

同じ方針は、職員に求められる能力として次の10項目を挙げています。面接対策としては、この一覧を評価項目の手がかりとして読んでおくと役に立ちます。

  • 自らも地域の一員として、市民の立場に立った対応意識をもっているか
  • コスト意識があるか
  • 仕事を迅速に処理できるか
  • 仕事に対する問題意識をもち、業務改善・改革ができるか
  • 他の職員と協力し、課題解決に取り組む姿勢ができるか
  • 業務に関する十分な知識・技術があるか
  • 服務規律、職場マナーを守っているか
  • 自分の考えや市の方針を分かりやすく説明することができるか
  • 関係者との交渉や調整ができるか
  • 他の職員に業務処理の方法を上手に教えることができるか

並べてみると、専門知識よりも説明する、調整する、教えるという他者との関わりに関する項目が目立ちます。方針はさらに、大田市職員として必要な知識として、市政の状況(年間スケジュール、組織、財政等)と市の運営方針の2つを挙げています。

市の仕組みを自分で調べる姿勢まで含めて求められている、と読み取れます。

POINT|10項目を並べ直すのではなく、2つに絞って経験を当てる

10項目をそのまま語っても、面接では響きません。自分の経験に近いものを2つ選び、「①その能力が要る場面は市のどこか → ②その場面で今どんな取り組みがあるか → ③自分の経験のどこが重なるか → ④入庁後にまず何をしたいか」の順に組み立てましょう。

悪い例「石見銀山を生かした観光振興に関わりたいです」

改善例「石見銀山は世界遺産ですけれども、訪れる方の数は県内の他の観光地と大きくは変わらないと知りました。町並みに住んでいる方の暮らしを守りながら、来た方に長く滞在してもらう工夫を、地元の方と話し合いながら考える仕事に関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

志望動機の材料は、次の資料から集められます。大田市は募集の系統が分かれていますので、自分が受ける側の案内を選んでください。

  • 大田市職員採用試験の受験案内(回次の試験と通年試験・通年採用で対象職種が異なります)
  • 大田市職員人材育成基本方針(職員の基本姿勢と求められる能力が示されています)
  • 大田市の総合計画や分野別の計画、最新年度の当初予算に関する市の公表資料
  • 島根県が公表する石見銀山・重要伝統的建造物群保存地区・観光動態調査などの資料

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、大田市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。大田市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

大田市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

大田市役所の面接の概要

大田市の令和8年度の採用は、回次で行われる試験と、通年試験・通年採用の二つの系統に分かれています。対象となる職種も試験科目も異なりますので、混同しないように整理していきます。

二つの入口を分けて見る

令和8年度第1回の試験区分は、一般事務A、一般事務B、土木技師、建築技師、幼稚園教諭・保育士、文化財技師(建造物)でした。文化財技師の区分が置かれているところに、世界遺産と伝統的建造物群を抱える市の事情が表れています。

一方の通年試験・通年採用は技術職と消防吏員が対象で、試験科目がSPI3-Gと面接試験の2種目だけという組み立てです。

項目内容(令和8年度)
採用の系統回次で実施される試験と、通年試験・通年採用の2系統
第1回の試験区分一般事務A、一般事務B、土木技師、建築技師、幼稚園教諭・保育士、文化財技師(建造物)
第1回の段階構成第一次試験と第二次試験の2段階
通年採用の対象職種土木技師(A公務員経験者・B有資格者・C民間等経験者)、建築技師(A・B)、電気技師、機械技師、消防吏員(救急救命士)、消防吏員。いずれも学歴は問われません
通年採用の試験科目SPI3-G(基礎能力検査及び性格検査)と面接試験の2種目
通年採用の面接職務遂行能力等について個別面接により行われます。面接にあたり、面接カード及び専門性確認シートを提出します
通年採用の試験会場大田市役所
通年採用の申込と日程自治体求人サイトからエントリーし、受付後に受験者と調整のうえ試験日が決められます
通年採用後の職務いずれの試験区分で採用された場合でも、市政に関する幅広い知識を習得し職務能力を向上させるため、一般行政事務に従事すると案内に明記されています
通年採用の国籍要件日本国籍を有しない人(永住者又は特別永住者に限る)も受験できます。エントリーの際に在留資格を証する書類の提出が必要で、採用後は公権力の行使又は公の意思形成への参画に携わる職以外の職に任用されます

上記のうち試験科目・面接形式・提出書類に関する内容は、大田市の令和8年度通年試験・通年採用の受験案内にもとづくものです。一般事務A・Bを含む回次の試験の科目や配点、面接の形式は、募集の時期に大田市が公表する受験案内に示されます。受験の際は、必ずご自身が受ける系統と区分の最新の受験案内でご確認ください。

大田市が求める人物像

大田市は、職員人材育成基本方針の中で職員の基本姿勢を明示しています。市を取り巻く状況や市民の声に敏感であること、よく考えよく議論すること、チャレンジ精神をもって行動することの3点です。

受験案内の「求める人物像」を探すよりも、この方針を読み込むほうが面接対策としては近道になります。

3点のうち2点目に「議論すること」が入っているのは、目を引く点です。指示を受けて動くだけでなく、意見を交わす過程まで職員の仕事に含めている。

求められる能力の一覧に、説明・交渉・調整・指導が並んでいることとも重なります。自己PRでは、静かに続けた努力の話だけでなく、人と意見を交わして物事を進めた場面を一つ用意しておきましょう。

少ない人手で広い市域を担う

3段落だけ、当研究会の見方を書かせてください。人口3万人台の市が、435km²余りの市域と、世界遺産を含む文化財、そして活火山を抱えています。

守るものの量に対して、職員の数には限りがあります。通年採用の案内が、技術職として採用した人にも一般行政事務に従事すると明記しているのは、その事情の表れの一つと見ることもできます。

この環境で効いてくるのは、担当外の仕事が回ってきたときに自分で調べて手順を立てられること、そして地域の人や庁内の関係者に早い段階で相談できることでしょう。文化財の保存にせよ火山の防災にせよ、市の職員だけで完結する仕事ではありません。

県や国の機関、地元の団体と役割を分け合いながら進める場面が、日々の業務として出てくるはずです。

通年採用の面接では、面接カードに加えて専門性確認シートの提出が求められます。書類で経験を示し、その中身を個別面接で確かめるという流れです。

この形式が求めているのは、書類に書いた一行ずつの裏側を、自分の言葉で開けるかどうかということでしょう。回次の試験を受ける場合も、市が求める能力の一覧を手元に置いて、自分の経験と照らし合わせておくと準備が進みます。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。大田市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク大田市までの道のりはいかがでしたか通年採用の試験会場は大田市役所です。土地への関心が受け答えに自然ににじむか
② 動機・志望なぜ大田市で働きたいと思ったのですか県内の他の市ではなくこの市を選んだ理由に、市の事情が入っているか
③ 自己理解ご自身の長所と短所を教えてください通年採用ではSPI3-Gの性格検査も行われます。自己評価に裏づけがあるか
④ 経験・行動意見が食い違った相手と、話し合って進めた経験はありますか市の方針が「よく考え、よく議論すること」を掲げています。議論の運び方
⑤ 学業・経歴これまでに力を注いできたことを教えてください提出書類に書いた経歴と、口頭の説明がそろっているか
⑥ 適性・将来入庁後、どのような仕事に取り組みたいですか文化財から福祉まで守備範囲の広い市です。希望以外の分野への構え
⑦ 公共性・社会性最近気になった出来事を一つ挙げてください市が挙げる社会経済情勢の認識と、話がどこかで接するか

もっとも、この見取り図の範囲は他の受験者も同じように準備してきます。差がつくのは、大田市を調べていなければ答えが薄くなる質問のほうです。

合否を分けるのは「大田市役所ならでは」の質問

「なぜ島根県庁ではなく、大田市役所を志望するのですか?」
「大田市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

2問目は、大田市では答えの幅が出やすい質問です。世界遺産という分かりやすい魅力がある一方で、高齢化率は県平均を大きく上回るからです。

魅力と課題が同じ場所から出てくることに気づけているかが、この市では見どころになります。こうした質問に答えるための「大田市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい大田市の事実答え方のヒント
人口と年齢構成人口30,786人。65歳以上42.0%・75歳以上25.4%で、いずれも島根県全体の35.2%・21.1%を上回る(令和8年1月1日現在)数字の高さを指摘して終えず、文化財の保存や集落の維持を誰が担うのかという話につなげる
大田市の魅力石見銀山遺跡は2007年7月に世界遺産へ登録。国内14件目で、鉱山遺跡としてはアジアで初めて登録の経緯を語るだけにせず、令和5年の入込客246,100人という現実の数字と併せて述べる
まちの継承県内3地区の重要伝統的建造物群保存地区のうち、大森銀山と温泉津の2地区が大田市にある建物を守る話に閉じず、そこに住み続ける人がいてこそ町並みが残るという視点を示す
防災平成30年4月9日の島根県西部の地震で市内は震度5強、重傷2名、住家被害981棟。断水は最大1,459戸に及んだ被害の実績を踏まえ、旧い建物が多い地域での備えという具体的な論点まで踏み込む
市の方針職員人材育成基本方針は、人口減少とインフラ老朽化を見据えてデジタル化の推進とスマートシティへの変革を掲げる方針の言葉を借りるだけでなく、自分がどの場面で手を動かせるのかを具体的に述べる

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

大田市には、職員に求められる能力を10項目にまとめた方針があります。ここではその中から、面接で確かめやすい3つを取り出しました。

面接は、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの整い方ではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
分かりやすく説明する力方針が挙げる「自分の考えや市の方針を分かりやすく説明することができるか」に沿った受け答え専門的な話題を、知らない相手に伝わる言葉へ置き換えて話す練習をしておく
関係者と調整する力方針が挙げる「関係者との交渉や調整ができるか」に沿った経験の深掘り立場の異なる相手と折り合いをつけた場面を、相手の言い分まで含めて説明できるようにする
地域の一員として動く姿勢方針が挙げる「自らも地域の一員として、市民の立場に立った対応意識」の確認暮らす人としてこの市にどう関わりたいかを、出身地であるかどうかと切り離して語れるようにする

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。提出した書類の記述が起点になりますので、書いた一行ずつに「なぜ」と「どうやって」を足せる状態にしておきましょう。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておいてください。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 回次の試験と通年試験・通年採用のどちらが自分の対象かを確かめ、その系統の受験案内で試験区分と科目を確認する
  2. 大田市職員人材育成基本方針を読み、職員の基本姿勢3点と求められる能力10項目に目を通す
  3. 高校・大学生活や職務の経験を棚卸しし、学業・課外活動・アルバイトから話せる具体例を1つずつ用意する
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編み、面接の場を想定して口に出してみる

優先順位に注意

ステップ5〜6の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ2で市の方針に目を通し、ステップ3で自分の経験を洗い出す作業を先に済ませてください。求められる能力の一覧と自分の経験を突き合わせておけば、質問の形が変わっても答えを組み立てられます。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、大田市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

大田市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

大田市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度の大田市は、一般事務A・Bを含む6区分を第1回の試験で募集し、技術職と消防吏員については通年試験・通年採用という別の入口を用意していました。系統によって科目も進み方も違いますので、まずは自分がどちらを受けるのかを確かめてください。

世界遺産と二つの伝統的な町並み、そして活火山を抱えながら、市民の4割以上が65歳以上という市で、自分は何を担いたいのか。市の方針が掲げる「よく考え、よく議論すること」に、自分のどの経験が応えられるのかを書き出すところから始めましょう。

募集の内容は年度によって変わりますので、案内が出たら必ず自分の目で確かめてください。