本記事では、出雲市職員採用試験の面接対策で必要な、出雲市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

出雲市役所の面接試験では、「なぜ出雲市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。市が何を目指し、どんな条件の中で仕事をしているのかを掴んでおけば、答えの輪郭がはっきりします。

出雲市の令和8年度の採用試験は、先行試験(面接重視型)と前期試験という二つの枠組みで実施されています。段階の数も第1次試験の種目もまったく異なりますので、第2部では両方を分けて扱います。

自分がどちらを受けるのかを決めてから読み進めてください。

第1部|自治体研究編

出雲市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは出雲市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 島根県の東部に位置し、人口は171,488人(令和8年1月1日現在)。島根県全体の634,459人のおよそ27%にあたり、県内の市では松江市に次ぐ規模。
  • 市域は624.32km²。松江市・大田市・雲南市・飯石郡飯南町と接する。
  • 高齢化率は30.4%で、島根県全体の35.2%を下回る(いずれも令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口による)。
  • 出雲大社の観光入込客延べ数は令和5年で7,114,000人(前年比15.5%増)と、島根県の主要観光地で最も多い。
  • 旧暦10月は全国から神々が集まるとされる神在月。稲佐の浜での神迎祭に続き、神在祭が行われる。
  • 市内には出雲縁結び空港がある。昭和41年に滑走路1,200mの第3種空港として開港し、平成3年に2,000mへ拡張された。
  • 市政の基本となる出雲市総合振興計画(令和4年9月策定)は、「出雲力で夢☆未来へつなげ誰もが笑顔になれるまち」を掲げる。
  • 令和8年度の職員採用試験は、先行試験(面接重視型)と前期試験の二本立てで行われている。
  • 市の花はキク、市の木はクロマツ。

出雲市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「出雲市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

人口と年齢の構成、市域の広さ、県内での位置づけを並べます。

項目内容
総人口171,488人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口52,131人(30.4%。島根県全体は35.2%)
75歳以上人口30,660人(17.9%。島根県全体は21.1%)
県人口に占める割合約27%(島根県全体は634,459人)
総面積624.32km²
人口密度約275人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体松江市・大田市・雲南市・飯石郡飯南町
市の花・木キク(花)・クロマツ(木)

総人口・年齢別人口・高齢化率・県人口に占める割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の値によります。島根県全体の数値も同じ調査の県の値です。面積・隣接自治体・市の花木は公表値をもとに整理し、人口密度は上記の人口と面積から当研究会が算出しました。島根県が公表する国勢調査を基礎とした推計人口とは基準が異なりますので、本表の数値と並べて増減を計算しないようご注意ください。

数字から考えられる市政課題

出雲市の高齢化率30.4%は、島根県全体の35.2%より5ポイント近く低い数字です。75歳以上の割合も17.9%で、県全体の21.1%を下回ります(令和8年1月1日現在)。

県内では若い部類に入りますが、それでも市民のおよそ3人に1人が65歳以上という水準に変わりはありません。

面接で使いたいのは、この年齢構成と、県人口の4分の1以上が集まっているという事実の組み合わせです。県全体で人が減っていく局面で、人が残っている側の市に何ができるかが問われる位置にあります。

数字を読み上げるだけで終わらせず、市の役割まで踏み込みましょう。たとえば次のような言い方です。

「出雲市には島根県全体の4分の1を超える方が暮らしていて、県の中では年齢構成も若いほうだと知りました。それでも市民の3割ほどが65歳以上ですので、いま住んでいる方の暮らしを守りながら、県内外から人が集まる流れをつくる仕事に関わりたいと考えています」

出雲市の経済・産業

島根県経済のなかでの位置

  • 島根県の事業所数は32,637事業所(全国比0.6%)、従業者数は296,596人(全国比0.5%)。いずれも令和3年6月1日現在の値。
  • 産業大分類別では、事業所数・従業者数ともに卸売業、小売業が最多(事業所8,218、従業者57,786人)。
  • 製造品出荷額等は1兆3,838億円で全国第44位。従業者数42,265人、付加価値額4,571億円(2024年調査)。
  • 製造品出荷額等の業種別上位は、電子部品・デバイス・電子回路、鉄鋼、情報通信機械器具の順。

つまり、雇用の最大の受け皿は卸売・小売で、製造業は電子部品と鉄鋼に厚みがあるのが島根県経済の骨格です。県人口の4分の1以上が暮らす出雲市は、この商業とサービスの需要が集まる場所にあたります。

雇用や産業の話題では、この二層を前提に組み立てると話が通ります。(出典:経済センサス‐活動調査の島根県結果|令和3年/経済構造実態調査(製造業事業所調査)の島根県結果|2024年)

出雲大社と観光

令和5年の島根県の観光入込客延べ数は30,194千人で、前年より4,243千人増えました。観光入込客実人数は12,592千人(前年比12.9%増)、全県の観光消費額は約1,143億円です。

主要観光地別では出雲大社の7,114,000人が最も多く、前年比15.5%増と伸びも大きくなっています。玉造温泉494,495人、足立美術館464,873人、松江城373,237人と続く中で、桁が一つ違う数字です。(出典:島根県観光動態調査|令和5年)

この集客を支えているのが、旧暦10月の神在月です。全国から神々が集まるとされ、旧暦10月10日に稲佐の浜で神迎祭、11日から17日にかけて神在祭が営まれます。

この期間だけ十九社の扉が開かれるという行事の作法まで含めて、市が発信している文化です。観光を志望動機に使うなら、参拝者数の多さで終わらせず、訪れた人の時間とお金をどう市内に留めるかという角度まで用意しておきましょう。(参考:神在月の出雲|出雲市)

空の玄関口

出雲縁結び空港は昭和41年に滑走路1,200mの第3種空港として開港し、平成3年に2,000mへ拡張されました。島根県内にはもう一つ、平成5年7月2日に開港した萩・石見空港(益田市)があります。

県内の空港が二つとも県外との行き来を担っている中で、出雲市は県東部の入口にあたります。観光にも企業の往来にも関わる基盤ですので、交流人口を語るときの土台として押さえておいてください。(参考:島根県内の空港|島根県)

出雲市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、出雲市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

人口減少と少子化

島根県の推計人口は令和7年10月1日現在で633,105人となり、前年から8,291人(対前年比1.29%減)減りました。減少幅は前年より広がっています。

合計特殊出生率は令和5年で1.46、人口の社会移動は同年で2,041人の転出超過(仮の値)でした。県は第2期島根創生計画(令和7〜11年度)で、2045年までに合計特殊出生率2.07、2040年までに社会移動の均衡という長期目標を掲げています。

圏域別に見ると、出雲圏域に比べて石見圏域・隠岐圏域の減少率が高いという傾向もあります。県内で人が集まっている側にいる出雲市の役割は、その分だけ重くなります。(参考:第2期島根創生計画|島根県)

交流人口を地域の仕事につなげる

出雲大社の入込客延べ数711万人余りは、島根県全体の観光入込客延べ数3,019万人余りのうち大きな部分を占めます。一方で、全県の観光消費額は約1,143億円です(いずれも令和5年)。

人が来ていることと、そのお金が地域に回っていることは別だという構造は、参拝を目的とした来訪が中心の地域ではとくに意識されます。宿泊や飲食、土産物、二次交通をどう組み合わせるかは、観光担当部署だけの課題ではありません。

地震と水害への備え

平成30年4月9日1時32分、島根県西部を震源とするマグニチュード6.1の地震が発生し、出雲市では震度5弱を観測しました。この地震では出雲市で軽傷3名の人的被害が生じています。

県の地震・津波被害想定調査(平成30年3月)では、陸域で被害が最大となるのは宍道断層の地震(マグニチュード7.1)で、全壊約3,260棟、死者は計102人という想定です。海域では鳥取県沖合(F55)断層のケースで死者計約397人(うち津波による死者176人)が見込まれます。

水害では、令和3年7月6日からの大雨で出雲市に災害救助法が適用されました。(出典:島根県地震・津波被害想定調査(概要版)|平成30年3月)

原子力災害への備え

島根地域の原子力災害対策重点区域(おおむね半径30kmの範囲)の人口は457,496人(令和2年12月末現在)です。おおむね5〜30km圏にあたるUPZには、島根県の松江市・出雲市・安来市・雲南市と鳥取県の米子市・境港市を合わせて448,009人が暮らしており、出雲市もその関係6市の一つです。

避難計画を含む「島根地域の緊急時対応」は令和3年7月30日に協議会で確認され、同年9月7日に原子力防災会議へ報告・了承されました。住民への情報提供や避難の受け入れといった実務が、平時から市の業務に組み込まれています。

交通基盤の整備

島根県内の高速自動車国道等は、令和7年4月1日現在で路線延長289kmに対し開通延長244km(開通比率84%)です。うち山陰道は路線延長197km、開通延長152kmで開通比率77%にとどまり、県は暫定2車線区間の4車線化や未事業化区間の事業着手を国に要望しています。

空港を抱え、県東部の入口にあたる出雲市にとって、道路網の整備状況は観光にも物流にも、災害時の輸送路にも関わってきます。(出典:高速道路の整備状況と要望|島根県)

出雲市の重点政策|出雲市総合振興計画とめざす職員像

出雲市が令和4年9月に策定した出雲市総合振興計画は、「出雲力で夢☆未来へつなげ誰もが笑顔になれるまち」という将来像を掲げています。将来像の言葉に、市の名がそのまま織り込まれています。

参拝者を集める文化、県内で二番目の人口規模、空港と道路でつながる立地。こうした条件を持つ市が、自らの持ち味を将来像の中心に据えたと読むことができます。

計画と職員像がつながっている

注目したいのは、出雲市がこの将来像の実現に向けて、同じ令和4年9月に出雲市人材育成基本方針を策定していることです。まちの目標と、それを担う職員の姿を同じ時期にそろえて示している、という組み立てになっています。

方針が掲げる行動規範は次の7つです。

  • 誰もが笑顔になれるまちを目指し、自ら笑顔で前向きに取り組む。
  • 常に市民に寄り添いながら業務を行う。
  • デジタルの力や民間の力を活用して業務を推進する。
  • 社会の変化を敏感に感じ取り、勇気と行動力をもって新しいことに挑戦する。
  • 市民及び事業者等との様々な交流の場を通じて地域と積極的に関わる。
  • 縦割り行政に陥らないよう、広い視点で横断的に連携する。
  • 「全体の奉仕者」としての高い倫理観を持ち、法令や服務規律を守る。

7つのうち、デジタルと民間の活用、変化への挑戦、地域との関わり、横断的な連携という4つが、日々の窓口対応そのものではなく仕事のやり方に関する項目です。市が職員に求めているものの重心が読み取れます。(出典:出雲市人材育成基本方針|令和4年9月)

POINT|行動規範を暗記するのではなく、一つ選んで自分の経験と結ぶ

7つの規範をそらんじても、面接では評価につながりません。自分の経験に近いものを一つか二つ選び、「①その規範が必要になる場面は市のどこか → ②今どんな取り組みがあるか → ③自分の経験のどこが重なるか → ④入庁後に何から始めたいか」の順に整理していきましょう。

悪い例「市民に寄り添える職員になりたいです」

改善例「出雲市は職員の行動規範に、デジタルや民間の力を使って仕事を進めることを挙げていました。私はアルバイト先で紙の在庫表を表計算に置き換えた経験がありますので、まずは自分の担当の中で手間を減らす工夫から始めたいと思っています」

あわせて確認したい公式資料

次の資料は、志望動機を組み立てるときの土台になります。出雲市は先行試験と前期試験で案内が別々に出ますので、受ける枠組みの案内を取り違えないよう注意してください。

  • 出雲市職員採用試験の受験案内(先行試験と前期試験で試験種目・受験資格が異なります)
  • 出雲市総合振興計画と、その進捗に関する市の公表資料
  • 出雲市人材育成基本方針(めざす職員像と行動規範が示されています)
  • 島根県が公表する観光動態調査や推計人口などの統計

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、出雲市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。出雲市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

出雲市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

出雲市役所の面接の概要

令和8年度の出雲市職員採用試験は、先行試験(面接重視型)と前期試験の二本立てです。この二つは、段階の数も第1次試験の種目も別物ですので、以下では枠組みごとに分けて整理します。

先行試験(面接重視型)の組み立て

先行試験は「行政(面接重視型)」の1区分だけで、採用予定は15名程度です。筆記の教養試験を置かず、SPI3から始めて審査と面接で選ぶ3段階という構成になっています。

項目内容(令和8年度・先行試験(面接重視型))
募集区分と採用予定行政(面接重視型)の1区分。15名程度
試験の段階3段階。第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験と絞り込まれます
第1次試験SPI3(テストセンター方式)。基礎能力検査と性格検査で構成されます
第1次試験の会場全国に開設されるリアル会場、またはオンライン会場
第2次試験プレゼンテーション審査(WEB)
第3次試験個別面接(対面)
受験資格令和9年4月1日時点で22歳から25歳(平成13年4月2日から平成17年4月1日までに生まれた人)。学歴・経験等は問われません

前期試験の組み立て

前期試験は職種の幅が広く、大学卒業程度では行政15名程度、土木技師若干名、保健師若干名、行政(埋蔵文化財保護調査等)若干名が募集されました。短大・高専卒業程度は土木技師若干名、短大卒業程度は栄養士若干名と幼稚園教諭4名程度です。

行政(大学卒業程度)の第1次試験には、教養試験と作文の日にWEB個別面接まで組み込まれているという特徴があります。

項目内容(令和8年度・前期試験)
募集区分と採用予定大学卒業程度は行政15名程度・土木技師若干名・保健師若干名・行政(埋蔵文化財保護調査等)若干名。短大・高専卒業程度は土木技師若干名。短大卒業程度は栄養士若干名・幼稚園教諭4名程度
第1次試験(行政・大学卒業程度)教養試験(120分・択一式)、作文試験(60分)、職場適応性検査(20分・筆記)、個別面接(WEB)
教養試験の出題範囲(行政・大学卒業程度)時事、社会・人文及び自然に関する一般知識、文章理解、判断推理、数的推理、資料解釈に関する能力についての択一式筆記試験
WEB個別面接の対象(行政・大学卒業程度)教養試験結果の上位の人(合格者)が対象と案内に明記されています
作文試験の採点(行政・大学卒業程度)第1次試験日に実施しますが、採点は第1次試験合格者のみ行うと案内に明記されています
第2次試験出雲市役所での個別面接。主として適性・意欲をみる目的での個別面接と定義されています
集団形式前期試験の試験種目に集団討論・集団面接の記載はなく、行政区分の人物試験は個別面接2回(第1次のWEB面接と第2次の対面面接)です
受験資格(行政・大学卒業程度)令和9年4月1日時点で22歳から33歳(平成5年4月2日から平成17年4月1日までに生まれた人)。学歴・経験等は問われません
職務内容(行政)市の機関に勤務し、一般行政事務に従事します。日本国籍を有しない人も受験できますが、採用後は公権力の行使又は公の意思形成への参画に携わる職以外の職に任用されます
申込と提出情報出雲市職員採用システムを用いたWEB申込。マイページで基本情報・学歴・職歴と顔写真を登録し、エントリーフォームで志望動機(300字以内)、自己PR(300字以内)、スポーツ・文化活動・ボランティア活動など(200字以内)を入力します

上記は、出雲市の令和8年度職員採用試験について、先行試験(面接重視型)と前期試験のそれぞれの受験案内にもとづく内容です。各試験種目の配点は案内に示されていませんので、比重の判断は試験の組み立てから行ってください。試験種目・受験資格・採用予定人数は年度や枠組みによって変わります。受験の際は、必ずご自身が受ける枠組みの最新の受験案内でご確認ください。

出雲市がめざす職員像

出雲市は人材育成基本方針の中で、めざす職員像を「高いプロ意識を持ち、市民満足度を高めるために自ら考え、自ら行動し、信頼される職員」と定めています。抽象的な言葉に見えますが、並んでいる要素は具体的です。

プロ意識、市民満足度、自ら考える、自ら行動する、信頼される。この5つは、そのまま面接での確認項目になり得ます。

とくに「自ら考え、自ら行動し」の部分は、指示を待たずに動いた経験があるかを問う質問につながります。先行試験の第2次でプレゼンテーション審査が課されるのも、与えられた問いに答えるだけでなく、自分で組み立てて示す力を見ようとする設計だと受け止められます。

出雲市役所という職場の広がり

以下の3段落には、当研究会の判断が入っています。市が言葉にしているのは行動規範の7項目までで、その先の職場の姿までは書かれていません。

人口17万人台で市域が624km²余り。中心部に人が集まる一方、農地や海岸線を含む広がりも抱えています。

この規模だと、部署の中で担当が細かく分かれ切るわけではなく、一人が複数の分野に触れながら仕事を進める場面が出てきます。行動規範に「縦割り行政に陥らないよう、広い視点で横断的に連携する」が入っているのは、その実情の裏返しとも読めます。

そこで効いてくるのは、詳しくない分野の話でも要点を掴んで人に渡せること、そして関係する相手を早めに巻き込めることではないでしょうか。出雲市の場合、神在月のような行事や空港・道路といった基盤が絡む仕事は、市の中だけでは完結しません。

社寺や交通の事業者、県の担当部署と日程や役割をすり合わせる場面は、日常の業務として出てくるはずです。

申込時のエントリーフォームで書かせるのは、志望動機と自己PR、そしてスポーツや文化活動、ボランティア活動の経験でした。3つ目の欄があるということは、学業や職歴の外側で人と関わってきた時間も、市は材料として見ているということです。

ですから準備は、これまで人と一緒に何かを動かした場面を書き出すところから始めるのが実際的です。そのうえで、先行試験のプレゼンテーション審査で使う1本と、個別面接で細部まで掘られても答えられる1本を、別々に選んでおくとよいでしょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。出雲市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどのように会場までいらっしゃいましたかWEB面接から対面へと場が変わる試験です。相手が変わっても崩れない受け答え
② 動機・志望なぜ出雲市で働きたいと思ったのですか先行試験と前期試験のどちらでも最初に問われます。市を選んだ理由の具体性
③ 自己理解ご自身の長所と短所を教えてください前期試験には職場適応性検査もあります。自己評価に裏づけがあるか
④ 経験・行動人と協力して何かをやり遂げた経験を教えてください行動規範に横断的な連携を掲げる市です。相手を巻き込めたかどうか
⑤ 学業・経歴これまでに力を注いできたことを教えてください学歴も経験も問わない試験です。歩んできた道の中身を語れるか
⑥ 適性・将来入庁後、どのような仕事に取り組みたいですかめざす職員像にある「自ら考え、自ら行動し」に届く具体性があるか
⑦ 公共性・社会性最近気になった出来事を一つ挙げてください前期試験には作文試験もあります。考えを短く組み立てて述べられるか

とはいえ、この見取り図が届く範囲は他の受験者も同じように埋めてきます。違いが出るのは、出雲市の中身を知らなければ言葉が続かない質問のほうです。

合否を分けるのは「出雲市役所ならでは」の質問

「なぜ島根県庁ではなく、出雲市役所を志望するのですか?」
「出雲市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

2問目は、出雲市では答えが分かれやすい質問です。参拝者を集める文化と、県全体の人口減少という二つの顔があるからです。

魅力をどう語るかで、そのまま課題の捉え方まで見えてしまうのがこの市の特徴だと考えてください。こうした質問に答えるための「出雲市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい出雲市の事実答え方のヒント
人口と年齢構成人口171,488人で島根県全体の約27%。65歳以上30.4%・75歳以上17.9%で、いずれも県全体の35.2%・21.1%を下回る(令和8年1月1日現在)県内で若い部類だという事実に、県全体が減っていく中での市の役割を重ねて述べる
出雲市の魅力出雲大社の観光入込客延べ数は令和5年で7,114,000人。前年比15.5%増で、県内の主要観光地では桁が一つ違う参拝者数の紹介で止めず、来訪をどう市内の商いや雇用に結び付けるかまで踏み込む
市の方向性出雲市総合振興計画(令和4年9月策定)は「出雲力で夢☆未来へつなげ誰もが笑顔になれるまち」を掲げる計画名を挙げるだけにせず、自分のやりたい仕事がこの将来像のどこに位置するのかを示す
なぜ県庁ではなく市役所か出雲市は総合振興計画と同じ令和4年9月に人材育成基本方針を定め、めざす職員像と行動規範を示している住民に近いという一般論で終えず、行動規範のどれに自分が応えられるのかを一つ挙げる
防災平成30年4月9日の島根県西部の地震で市内は震度5弱、軽傷3名。県の想定では宍道断層の地震で全壊約3,260棟・死者計102人実際に揺れを経験した地域であることを踏まえ、備えの話を自分の行動として語る

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

出雲市が掲げるめざす職員像と、二つの枠組みの試験の設計を重ねると、確かめられる方向が見えてきます。面接は、これまでに実際どう行動してきたかを確認する場です。

いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの整い方ではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
自ら考えて動く力めざす職員像の「自ら考え、自ら行動し」に照らした深掘り。先行試験ではプレゼンテーション審査でも試されます誰にも言われずに始めた取り組みを一つ用意し、始めた理由と手順を順に説明できるようにする
横断的に関わる姿勢行動規範に掲げる横断的な連携や地域との関わりに沿った経験の確認立場の違う相手と組んだ場面を、相手側の事情まで含めて話せるよう整理する
短い時間で伝える力前期試験は第1次にWEB個別面接、第2次に対面の個別面接と2回の面接が置かれます同じ経験を、短い版と詳しい版の2通りで話せるように準備しておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。出雲市はどちらの枠組みでも面接が複数回置かれますので、一度話した内容が別の場で掘り直される前提で備えておきましょう。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを用意しておいてください。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 先行試験(面接重視型)と前期試験のどちらを受けるかを決め、その枠組みの受験案内で試験種目と受験資格を確認する
  2. エントリーフォームの入力項目を書き出し、志望動機と自己PRを300字以内、スポーツ・文化活動・ボランティア活動などを200字以内で下書きする
  3. 高校・大学生活や職務の経験を棚卸しし、学業・課外活動・アルバイトから話せる具体例を1つずつ用意する
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む。先行試験を受けるなら、この材料を使って画面越しに話す練習まで行う

優先順位に注意

ステップ5〜6の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ2の下書きとステップ3の棚卸しを先に終わらせてください。エントリーフォームに書いた300字は面接で読まれ、そこから質問が伸びていきます。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、出雲市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

出雲市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

出雲市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度の出雲市は、SPI3から始まり審査と面接で選ぶ先行試験(面接重視型)と、教養試験と作文に個別面接を重ねる前期試験という、性格の違う二つの入口を用意していました。どちらを選んでも、人物を見る場面が複数回置かれることに変わりはありません。

参拝者を集める文化を持ちながら、県全体の人口減少の中に置かれた市で、自分は何を担いたいのか。めざす職員像に並ぶ「自ら考え、自ら行動し」に、自分の経験のどれが応えられるのかを書き出すところから始めてください。

受ける枠組みによって試験の中身は変わりますので、案内が出たら必ず自分の目で確かめましょう。