本記事では、益田市職員採用試験の面接対策で必要な、益田市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
益田市役所の面接試験では、「なぜ益田市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「これまでの経験を市の仕事にどうつなげるのか」といった、市の事情を知らないまま答えると中身が薄くなる質問が想定されます。市の数字と地理的な条件を先に押さえておけば、他の受験者と同じ言葉で終わることを避けられます。
益田市が公表している令和9年4月採用の職員募集では、第1次試験の筆記から第2次試験の人物試験までの2段階で選考が進みます。この形を頭に置きながら、自分の経験と市政の接点を探していってください。
第1部|自治体研究編
益田市の特徴
面接の準備に入る前に、益田市がどんな条件のもとにある市なのかを掴んでおきましょう。(急ぐ方はこの章だけでも構いません)
- 島根県の西部にあり、日本海に面する市。隣接するのは県内の浜田市・津和野町・吉賀町に加えて、山口県の萩市・岩国市、広島県の廿日市市・北広島町・安芸太田町で、2つの県と県境を接している。
- 人口は4万2,166人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口)。
- 面積は733.19km²で、島根県全体(6,707km²)の約11%にあたる。
- 市内には萩・石見空港があり、東京(羽田)線が1日2往復と大阪(伊丹)線が就航している。平成5年7月2日の開港で、滑走路2,000mは中型ジェット機に対応する。
- 県は、益田道路(久城〜高津)の早期事業着手や山陰道の未事業化区間の事業化を国へ要望している。
- 消防は益田市・津和野町・吉賀町を管轄する広域の消防本部が担っており、市の職員採用試験の区分に消防職は含まれていない。
- 市の花はスイセン、市の木はケヤキ。
益田市の基礎データ
数字は覚える対象ではなく、話を支える足場です。益田市の人口と面積を、聞かれたその場で言える状態にしておく。
それだけで受け答えの安定感が変わります。
下の表には、規模を問われたときにそのまま口に出せる項目を集めました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 42,166人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 1万6,825人(39.9%。島根県全体は35.2%) |
| 75歳以上人口 | 10,007人(23.7%。島根県全体は21.1%) |
| 総面積 | 733.19km²(島根県の約11%) |
| 人口密度 | 約58人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 浜田市、鹿足郡津和野町・吉賀町、山口県萩市・岩国市、広島県廿日市市・山県郡北広島町・安芸太田町 |
| 市役所の所在地 | 益田市常盤町 |
| 市の花/市の木 | スイセン/ケヤキ |
人口と年齢別人口、および島根県全体の割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の市区町村別の値によります。人口密度は、この表の総人口を面積で割って求めた値です。面積・隣接自治体・市の花木は、当研究会が整理した基礎データからまとめました。なお、島根県が国勢調査を基準に公表する推計人口は集計の基準が違いますので、この表の値と国勢調査系列の値を続けて増減を出すことはできません。比較は必ず同じ基準の値どうしで行ってください。
数字から考えられる市政課題
年齢構成から見ていきます。65歳以上が39.9%、75歳以上が23.7%で、どちらも島根県全体の割合を上回ります。
県内でも高齢化が先に進んだ地域だと分かる数字です。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)
もう一つ効いてくるのが位置関係です。面積733.19km²・人口密度約58人/km²という広さに加え、市の周囲には山口県と広島県の市町が並びます。
買い物も通院も進学も、県境を越えて動く人がいる前提で市政を考えることになります。たとえば面接では、この条件を次のように言葉にできます。
益田市の経済・産業
萩・石見空港が担う広域のアクセス
萩・石見空港は平成5年7月2日に開港し、滑走路2,000mで中型ジェット機に対応しています。就航路線は東京(羽田)線が1日2往復と大阪(伊丹)線。
県内のもう一つの空港である出雲縁結び空港は昭和41年に滑走路1,200mで開港し、平成3年に2,000mへ拡張されました。市内から羽田・伊丹へ直接つながる路線があるという条件は、県西部の交通を考えるうえで大きな意味を持ちます。(出典:萩・石見空港|島根県)
空港がある市では、企業誘致、観光の誘客、移住の相談といった仕事が、路線の維持や利用促進と結び付きます。産業振興や企画の分野を志望するなら、この結び付き方を自分の言葉で説明できるようにしておきたいところです。
整備の途上にある陸の交通
島根県内の高速自動車国道等は、令和7年4月1日現在で路線延長289km・開通延長244km、開通比率84%です。ただし山陰道に限れば路線延長197kmに対し開通延長152km、開通比率は77%にとどまります。
県は県内優先区間(5区間68km)の4車線化に加え、山陰道の小浜〜田万川・大井〜萩の事業化、益田道路(久城〜高津)の早期事業着手を国へ要望しています。(出典:高速道路網の整備に関する要望|令和7年)
要望の対象に益田市の名を冠した道路が入っていることは、面接で市の課題を語るときに使えます。道路の話は産業だけでなく、救急搬送や通学といった暮らしの話にもつながります。
島根県全体の産業構造と雇用の受け皿
令和3年経済センサス‐活動調査によれば、島根県の事業所数は3万2,637事業所(全国比0.6%)、従業者数は29万6,596人(全国比0.5%)でした。産業大分類でみて事業所数・従業者数とも最も多いのは卸売業、小売業(事業所8,218、従業者5万7,786人)です。(出典:経済センサス‐活動調査の島根県結果|令和3年)
製造業は、2024年経済構造実態調査で島根県の製造品出荷額等が1兆3,838億円(全国第44位)、従業者数4万2,265人。業種別の上位は電子部品・デバイス・電子回路、鉄鋼、情報通信機械器具でした。
県全体の産業の柱を知っておくと、雇用の話題で市の役割と県の役割を分けて述べられます。(出典:経済構造実態調査(製造業事業所調査)の島根県結果|2024年)
益田市の主な行政課題
ここまでの数字を並べると、益田市が抱える論点の輪郭が見えます。面接で「市の課題」を聞かれたときの持ち駒として、次の4つを押さえておきましょう。
人口減少と高齢化の進行
島根県の推計人口は令和7年10月1日現在で63万3,105人。前年から8,291人(1.29%)減り、令和2年と比べると5.67%減っています。
年齢3区分別では65歳以上が22万3,987人で2.8人に1人、75歳以上は13万3,300人で4.7人に1人という割合です。県は圏域ごとの差にも触れ、出雲圏域に比べて石見圏域・隠岐圏域の減少率が高いと整理しています。(出典:島根県の推計人口|令和7年10月1日現在)
この推計人口は島根県が国勢調査を基準に公表している値で、前掲の基礎データ表(住民基本台帳)とは集計の基準が異なります。両者をつないで増減を計算することはできません。
県境をまたぐ生活圏をどう支えるか
益田市が接するのは、島根県内の3市町のほか、山口県の萩市・岩国市と広島県の3市町です。県は、山陰道の小浜〜田万川や大井〜萩といった、県境をまたぐ区間の事業化を要望し続けています。
生活圏が行政の区域と一致しない地域では、医療・交通・観光のいずれについても、隣の県の自治体と足並みをそろえる場面が出てきます。市単独では完結しない仕事があるという理解は、志望動機の説得力に直結します。
日本海に面する市の災害への備え
島根県の地震・津波被害想定調査(平成30年3月)は、陸域5・海域5の計10地震を想定しています。県全体でみると、陸域の想定地震で被害が最大となる宍道断層(マグニチュード7.1)のケースで全壊約3,260棟・死者計102人、海域では鳥取県沖合(F55)断層のケースで死者計約397人(うち津波による死者176人)と見込まれています。
県は平成29年3月に、最大クラスの津波に対する津波浸水想定も設定しました。(出典:島根県地震・津波被害想定調査 報告書概要版|平成30年3月)
海に面し、市域が広く、高齢化率が県平均を上回る市です。逃げる力が弱い方をどう把握し、どう動いてもらうか。
防災を語るなら、この順で考えると具体性が出ます。
県全体で共有する財政の制約
島根県は、臨時財政対策債を合わせた県債残高(普通会計)が令和7年度末で8,500億円程度になる見込みで、財政調整のための基金残高は同年度末181億円の見込みです。県は令和6年11月に第2期中期財政運営方針を策定し、島根創生の実現と健全な財政運営を両立させる方針を掲げました。(出典:島根県の財政|令和7年度)
市の予算もこの環境の内側にあります。やりたいことを並べるだけでなく、限られた財源のなかで何を先にするかを考えられるかどうかが、面接でも見られる部分です。
益田市の重点政策|募集要項と島根創生計画に表れた力点
この章で見るのは、島根県全体の計画に置かれた長期目標と、益田市が令和9年4月採用の募集要項で示している職務の中身です。片方は20年先を見据えた数値目標、もう片方は来年度の職場に必要な人手。
時間軸の違う2つを突き合わせると、市政の力点が見えてきます。益田市自身の総合計画や分野別計画は市の公式サイトに掲載されています。
志望する分野の章だけでも、受験前に本文へ目を通しておいてください。
島根県が掲げる長期目標
第2期島根創生計画(令和7年度から11年度)は「人口減少に打ち勝ち、笑顔で暮らせる島根をつくる」ことを掲げ、合計特殊出生率を2045年までに2.07へ、人口の社会移動を2040年までに均衡させるという長期数値目標を置いています。足元では合計特殊出生率が令和5年で1.46、人口の社会移動は同年で2,041人の転出超過(暫定値)でした。
第1期計画の達成目標時期を10年延長したのは、東京一極集中が再び加速したためです。(出典:島根創生計画|島根県)
募集要項が示す職務の中身
令和9年4月採用の募集要項は、区分ごとの職務内容を明記しています。一般事務は一般行政事務、社会福祉士又は精神保健福祉士は福祉に関する相談や助言、指導、援助に関する業務、土木技師は建設・農林・水道その他土木関係の設計、積算及び管理業務です。
福祉の国家資格を独立した試験区分として置いていることは、相談支援の体制に人を充てているという事実そのものです。
土木技師の職務は建設にとどまらず、農林・水道まで含みます。733km²の市域に道路と農地と水道が広がっている以上、技術職の守備範囲は自然と広くなります。
市の条件から見える優先度
高齢化率39.9%、733km²の市域、2県と接する位置、そして福祉と土木を独立の区分に置いた募集の形。この4つの条件から当研究会が導いた見取り図が、次の3点です。
市が公表した優先順位ではありませんので、話すときは自分の考えとして述べてください。
- 高齢化率39.9%という状況のもとで、相談から支援までをつなぐ福祉の体制を保つこと
- 萩・石見空港と整備途上の道路を、産業・観光・医療のどこにどう生かすかを決めること
- 県境をまたぐ生活圏の実態に合わせて、隣県の自治体と連携できる仕組みを持つこと
POINT|やりたい仕事は「市の条件」まで下ろす
分野名を挙げるだけでは、志望先を入れ替えても通じる話になります。「①市のどんな条件が気になるか → ②市はそこに何を置いているか → ③自分はどこに関わりたいか」の順に組み立てましょう。
悪い例「益田市の福祉に携わりたいです」
改善例「益田市は65歳以上の方が4割ほどを占めていて、福祉の専門職を独立した区分で採用していると知りました。まずは事務の仕事を覚えたいですけれども、いずれは相談の窓口と地域の支え合いをつなぐ仕事に関わりたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
公式の資料は、面接で使う言葉の出どころです。まず募集要項を通して読み、そのうえで自分の関心に近いものを1つ開いてください。
そこに書かれた一節を自分の経験と結び付けられれば、受け答えは十分に立ちます。
- 益田市職員募集要項(最新のもの)と、市の採用情報のページ
- 益田市の総合計画と、関心のある分野の個別計画(市公式サイトの最新版)
- 第2期島根創生計画(島根県)
- 島根県の統計情報(推計人口・事業所・産業の各調査結果)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、益田市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。益田市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
益田市役所の面接の概要
ここからは、益田市役所の選考がどう組み立てられているかを確かめ、そこから逆算して準備の順番を考えます。
益田市役所の面接の流れ
令和9年4月採用の益田市職員採用試験は、第1次試験と第2次試験の2段階です。第1次試験では検査と筆記が並びますが、第2次試験の内容は「人物試験(面接)を行います。」の1項目だけと募集要項に書かれています。
人物を見る場は、この第2次試験に集約されているということです。
| 項目 | 内容(令和9年4月採用・益田市職員採用試験) |
|---|---|
| 試験の段階 | 2段階。第1次試験 → 第1次試験合格発表 → 第2次試験(全試験区分共通) |
| 試験区分 | 4区分。一般事務(大卒程度)A、一般事務(高卒程度)B、社会福祉士又は精神保健福祉士C(若干名)、土木技師D(若干名)。採用予定人員は一般事務のA・B合わせて5名程度 |
| 第1次試験の種目 (一般事務A) | 事務適性検査(100題10分)、職場適応性検査(150項目20分)、教養試験(大卒程度・40題1時間30分・マークシート方式の択一式)、作文試験(1時間) |
| 第1次試験の種目 (一般事務B・社会福祉士等C) | 事務適性検査、職場適応性検査、教養試験(高卒程度)、作文試験。種目の構成は一般事務Aと同じで、教養試験の程度が異なる |
| 第1次試験の種目 (土木技師D) | 上記に土木専門試験(高卒程度・30題1時間30分・マークシート方式の択一式)が加わる |
| 作文試験の扱い | 第1次試験日に実施するが、採点は第1次試験合格者のみ行うと募集要項に明記 |
| 第2次試験の種目 | 人物試験(面接) |
| 提出書類 | 職員採用試験受験申込書(写真を貼付)とエントリーシート。書面提出のほか電子申請でも申し込める |
上記は、令和9年4月採用の益田市職員募集要項に記載された内容です。人物試験の形式(個別・集団の別)や各種目の配点は、この募集要項には示されていません。試験の構成・区分・種目は年度によって変わりますので、受験の際は必ずご自身が受ける区分の最新の募集要項をご確認ください。(出典:益田市職員募集要項|令和9年4月採用)
この設計で気をつけたいのが作文です。第1次試験日に書かせておいて、採点は第1次試験合格者に限る。
つまり作文は、第2次試験へ進んだ人の評価に効く材料として扱われます。書いた内容と面接で話す内容が食い違えば、その差はそのまま印象に残ります。
作文で述べたことは、面接でもう一度説明できる範囲にとどめておきましょう。
益田市役所が求める人物像
益田市の職員募集要項には、求める人物像として定型化された記載はありません。そこで、募集要項に書かれた選考の設計から、評価の軸になりそうなものを読み取ります。
手がかりは作文試験の定義です。募集要項は作文を、「益田市役所の職員としての必要な表現力、課題に対する理解力等について試験を行います」と説明しています。
ここに並ぶのは、伝える力と、課題を掴む力の2つです。加えて第1次試験には職場適応性検査(職務への対応や対人関係に関連する検査)が置かれています。
作文と検査の設計をそのまま面接の観点に置き換えると、課題を自分の言葉で説明できるか、人と組んで仕事を進められるかの2点が、選考全体を貫いていると読めます。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。益田市の人物試験も、この見取り図を土台にすれば大きな抜けは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどちらから来られましたか? | 県境に接する市の試験です。生活圏や移動の話は自然に出る。作った答えではなく、その場の言葉で返せるか |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 民間でも成り立つ理由で止まっていないか。職業選択の道筋が自分の経歴と噛み合っているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 職場適応性検査を課す市です。自分の傾向を把握し、どう折り合いをつけているかまで話せるか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 出来事の大きさではなく、その場面で何を考えどう動いたか。人物試験1回で確かめられる中心部分 |
| ⑤ 学業・経歴 | これまでの学習や仕事で力を入れたことを説明してください | 大卒程度と高卒程度の区分がある市です。専門用語に寄りかからず、聞き手に伝わる言葉へ置き換えられるか |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 一般事務は一般行政事務が職務です。希望の分野を語りつつ、どの部署でも働ける構えがあるか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 作文でも問われる課題理解の力。関心のある出来事を短く筋道立てて述べられるか |
ここまでの7つに答えられれば、人物試験の前半は形になります。ただ、そこで止まると、他の受験者と似た答えの束のなかに埋もれます。
開きが出るのは次の2問です。
合否を分けるのは「益田市役所ならでは」の質問
この2問には、その場で考えて埋められる部分がほとんどありません。市の数字と地理を知っているかどうかが、そのまま答えの厚みに出ます。
裏を返せば、下調べをした人としていない人の差が、いちばんはっきり表に出る2問です。答えるための材料を、市の資料から拾える範囲で下の表にまとめました。
| 質問テーマ | 知っておきたい益田市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口と高齢化の現在地 | 人口4万2,166人、65歳以上39.9%・75歳以上23.7%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口)。いずれも島根県全体の割合を上回る | 数字を述べたあと、そこから生じる困りごとを一つだけ挙げます。通院、買い物、除雪など、自分が想像できる場面を選ぶと話が続きます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 市は福祉の国家資格を独立した試験区分に置き、相談・助言・指導・援助を職務として明記している。住民一人ひとりに直接届く仕事を市が担っている | 役割分担の解説で終わらせないことです。自分が関わりたい場面を一つ挙げ、それが市の仕事に当たると示せば十分伝わります |
| 交通と広域アクセス | 萩・石見空港は東京(羽田)線1日2往復と大阪(伊丹)線が就航。山陰道の県内開通比率は令和7年4月1日現在で77%、県は益田道路の早期事業着手を要望 | 空港と道路を並べて、人と物の流れがどう変わるかという形で話します。誘客だけでなく、通院や物流に触れると視野の広さが伝わります |
| 県境をまたぐ生活圏 | 隣接自治体は県内3市町のほか山口県の萩市・岩国市、広島県の廿日市市・北広島町・安芸太田町 | 市の外に人が流れることを弱みとしてだけ語らないことです。連携できる相手が近くにあるという読み替えを一言添えます |
| 防災 | 県の被害想定は陸域5・海域5の計10地震。海域では鳥取県沖合(F55)断層のケースで県全体の死者計約397人。県は平成29年3月に最大クラスの津波浸水想定を設定 | 想定の数字を並べるより、高齢化率の高い広い市域で避難をどう成り立たせるかという問いに引き寄せると、市職員の仕事の話になります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、募集要項が示す選考の組み立てに照らして、これまで実際にどう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの整い方ではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 課題を掴んで説明する力 | 作文で扱ったテーマについて、その場で口頭でも説明できるか。話の筋が通っているか | 作文で書きそうな社会の話題を2つ決め、原因と対処を1分で述べる練習をしておきます。書いた内容と話す内容をそろえるのが前提です |
| 人と組んで進める力 | 意見の違う相手とどう折り合いをつけたか。役割をどう引き受けたか | 職場適応性検査がある市です。うまくいった話だけでなく、噛み合わなかった相手にどう歩み寄ったかを一つ用意しておきます |
| 地域に関わる姿勢 | 益田市を選んだ理由が、暮らしの実感まで届いているか | 出身地にかかわらず、この市で生活しながら働く姿を具体化します。何をしに市内のどこへ行ったかというレベルまで話せると強いです |
なお、公務員の面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と掘り下げられます。益田市は人物試験が第2次試験の1項目に集約されている分、この場で深さまで確かめられると見ておくのが無難です。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを、事前に用意しておきましょう。
益田市の規模から考える働き方
令和9年4月採用の一般事務は、大卒程度と高卒程度を合わせて5名程度の採用予定です。福祉と土木はそれぞれ若干名。
この人数で733km²の市域を受け持つ組織では、担当の区切りは大都市の役所ほど細かくなりません。一つの事業を、案を立てる段階から住民への説明、実際の運営、後片付けまで同じ人が見届ける場面が出てきます。
専門の担当が別にいるとは限らない職場です。前例のない相談が持ち込まれたときに、手を止めずに調べ、必要な相手を巻き込んで答えを出せる人は、当研究会の見るところ、こうした市役所で仕事を任されやすくなります。
もう一つ効いてくるのが日常の振る舞いです。人口4万2千人台の市では、職員の言動が勤務時間の内側で完結するとは限りません。
約束を守る、記録を残す、私的な立場と職務を混ぜない。こうした地味な部分が、長く働くうえでの信用を作ります。
益田市に親類も友人もいないという状態から受けても構いません。むしろ、なぜこの市なのかを言葉にする機会が増えるぶん、志望理由の解像度は上げやすいはずです。
関心のある課題と、この市でどう暮らすつもりかを一段細かく語れれば十分に届きます。そのうえで意識したいのが、益田市の選考が申込時のエントリーシート、第1次試験の作文、第2次試験の人物試験という3つの場面で構成されている点です。
早いのは、エントリーシートに載せる出来事を先に1つ決めてしまうことです。作文でも面接でもそこへ戻れるようにしておけば、3つの場面は放っておいても噛み合います。
同じ人物が3回立ち上がれば、それが最も強い自己PRになります。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、手順に落とし込みます。
- 最新の募集要項を読み、自分が受ける区分の第1次試験の種目と、申込時に出すエントリーシートの記入欄を確認する
- これまでの経験を棚卸しする。成果が出たこと、うまくいかなかったこと、人と関わったことを1つずつ書き出す
- 作文で扱いそうな社会のテーマを2つ選び、原因と対処を短くまとめる練習をする
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- この記事の第1部に戻り、益田市の数字と条件から語れるものを2つ選んで自分の言葉に直し、固有質問の対応表と結び付ける
- エントリーシート・作文・面接で同じ話が通るかを確かめながら、声に出して練習する
優先順位に注意
時間の使い方を間違えないでください。自治体研究は差をつける工程であると同時に、余裕がなくなったときに真っ先に削られる工程でもあります。市の知識をいくら足しても、自分の経験を語れなければ人物試験は乗り切れません。エントリーシートと作文で書く内容を先に固めてから、市の研究へ手を伸ばしましょう。
なお、独学で仕上げきれるか不安が残るなら、益田市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
益田市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までを解説しているので、人物試験で何をどこまで話すかを具体的に思い描けるようになります。本番までの時間が限られている方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
令和9年4月採用の益田市職員採用試験は、第1次試験で検査と筆記と作文を課し、第2次試験の人物試験で人を見る2段階の構成でした。作文の採点が第1次試験の合格者に限られる以上、書いた文章と話す言葉は同じ人物のものとして読まれます。
人口4万2千人台、面積733km²あまり、隣は山口県という市で、自分は何を引き受けたいのか。そこが言葉になったとき、エントリーシートも作文も面接も、同じ答えを返すようになります。