本記事では、倉吉市職員採用試験の面接対策で必要な、倉吉市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

倉吉市役所の面接試験では、「なぜ倉吉市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。令和8年度の倉吉市職員採用試験は年3回の実施が予定されており、第1次試験の得点は第2次試験に持ち越されない仕組みが採られています。

本記事の第2部は、令和8年9月に実施される回(令和9年4月採用予定)の受験案内をもとに、一般事務職を基準として整理しています。ご自身が受ける回と職種区分の記載を、あわせてご確認ください。

第1部|自治体研究編

倉吉市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは倉吉市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 鳥取県のほぼ中央に位置し、天神川の流域に開けた鳥取県中部の中心都市。
  • 人口は42,994人(令和8年1月1日現在)。市域の面積は272.06km²で、鳥取県全体(3,507km²・令和6年4月1日現在)のおよそ7.8%にあたる。
  • 人口密度は約158人/km²。市街地と中山間地の両方を抱える。
  • 隣接するのは東伯郡北栄町・琴浦町・湯梨浜町・三朝町と日野郡江府町、加えて岡山県真庭市。県境を越えて接する市がある。
  • 高齢化率は35.8%、75歳以上は8,915人(20.7%)。いずれも鳥取県全体の33.7%・19.4%を上回る(令和8年1月1日現在)。
  • 古代に伯耆国の国府が置かれ、室町時代には打吹山に城が築かれて城下町となり、江戸時代は鳥取藩家老荒尾氏の陣屋町として発展した。
  • 本町通りと玉川沿いに残る商家の町並みは、国選定の重要伝統的建造物群保存地区「倉吉市打吹玉川」として保存されている。
  • 平成28年10月の鳥取県中部地震では、市内で震度6弱を観測した。
  • 市の花はツツジ、市の木はツバキ。

倉吉市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「倉吉市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

下の表には鳥取県全体の値も並べています。倉吉市の場合、県の数字を借りてくると年齢構成の説明がずれますので、その差から先に確かめてください。

項目内容
総人口42,994人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口15,398人(総人口の35.8%)
75歳以上人口8,915人(総人口の20.7%)
総面積272.06km²(鳥取県全体のおよそ7.8%)
人口密度約158人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体東伯郡北栄町、琴浦町、湯梨浜町、三朝町、日野郡江府町、岡山県真庭市
市役所所在地〒682-8611 鳥取県倉吉市葵町722番地
市の花・市の木市の花はツツジ、市の木はツバキ
(参考)鳥取県の総人口527,236人(令和8年1月1日現在)
(参考)鳥取県の高齢化率33.7%(同日現在。75歳以上は19.4%)

総人口・年齢別人口・高齢化率は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の市区町村別の値です。面積・隣接自治体・市の花木は公表値をもとに整理し、人口密度はこの表の総人口と面積から当研究会が算出しました。鳥取県が別途出している推計人口は調査の基準が違うため、この表の数値と組み合わせて増減を出すことはできません。

数字から考えられる市政課題

倉吉市の年齢構成でまず押さえたいのは、高齢化率35.8%が鳥取県全体の33.7%を2.1ポイント上回っている点です。75歳以上の割合も市20.7%に対して県は19.4%で、市のほうが高くなっています(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。

県の平均像を借りて市を語ると、実態より軽く見積もることになります。

65歳以上15,398人のうち8,915人、つまりおよそ58%が75歳以上という内訳も見ておきたいところです。支援の必要が増える年代のほうに重心が寄っているということで、福祉や医療、交通、住まいといった分野の相談が同時に持ち込まれやすくなります。

272.06km²の市域に市街地と中山間地の両方があり、暮らし方も移動の条件も一様ではありません。数字と仕事を結ぶなら、次のような話し方ができます。

「倉吉市は65歳以上の方が3割半ばで、県全体より高いと知りました。しかも、そのうちの6割近くが75歳以上だそうです。市街地と山あいで暮らしの条件も違うと思いますので、相談の入口をどう近づけるかを考える仕事に関わってみたいです」

倉吉市の経済・産業

経済・産業構造の概要

倉吉市単独の市民経済計算は公表されていませんので、産業の姿は鳥取県全体の数値から押さえます。以下はいずれも県の値です。

  • 令和4年度の県内総生産(名目・経済活動別)を見ると、製造業が13.4%で最も大きく、保健衛生・社会事業12.6%、不動産業12.1%が続く。
  • 県内は小規模事業者が大半を占め、下請構造から抜け出せていないために産業基盤がぜい弱だと、県自身が公式文書で認識している。
  • 令和8年4月1日現在の鳥取県の推計人口は519,148人で、52万人台を初めて下回った。うち中部地区は91,332人で、県のおよそ18%にあたる。
  • 県は高速道路ネットワークの整備が著しく立ち遅れていることを、公式文書で自県の課題として挙げている。

ここから見えるのは、県全体で最大の産業が製造業でありながら、その担い手の層の薄さを県自身が書いているという構図です(出典:鳥取県県民経済計算|令和4年度)。県内で9万人余りが暮らす中部地区の中心にある市として、いま地域にある事業者が続けられる条件をどう整えるかは、産業振興を志望する場合の出発点になります。

町並みが積み上げてきた歴史

倉吉は古代に伯耆国の国府が置かれた土地で、室町時代に打吹山へ城が築かれて城下町が整い、江戸時代には鳥取藩家老荒尾氏の陣屋町となりました。江戸後期から明治・大正にかけては木綿と稲扱千歯で栄え、その時代の商家の町並みが本町通りと玉川沿いに残っています。

この一帯は国選定の重要伝統的建造物群保存地区で、県内3か所のうちの一つです(出典:倉吉市打吹玉川伝統的建造物群保存地区|市公式)。

観光振興を語るなら、名所として紹介するだけでなく、そこで実際に暮らし商いを続けている人がいる地区だという前提から始めたいところです。

観光は県内で分散している

令和6年の鳥取県の観光入込客数は実人数で9,830千人、前年比1.4%の増加でした。地域別の実人数では鳥取砂丘・いなば温泉郷周辺が3,345千人で最も多く、倉吉市を含むとっとり梨の花温泉郷周辺は1,062千人です(出典:鳥取県観光入込客動態調査|令和6年)。

県の観光は一か所に集中してはおらず、東部・中部・西部それぞれに柱があります。中部の側で人を迎える立場に立つなら、来訪者の数を追うより、滞在の時間をどう伸ばすかという角度のほうが現実的でしょう。

倉吉市の主な行政課題

ここまでの数字を踏まえると、倉吉市が向き合っている課題の形が見えてきます。面接で「市の課題」を問われたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

自然減が主因の人口減少

令和7年4月から令和8年3月までの1年間で、鳥取県の人口は6,542人減っています。内訳は自然動態が4,877人の減少、社会動態が1,665人の減少で、減少をつくっているのは転出よりも自然減です。

同じ期間の出生数は3,020人(前年比38人減)、死亡数は7,897人でした。年齢別に見ると15歳から24歳の転出超過が大きく、20歳から24歳では900人を超えます(出典:鳥取県人口52万人割れについて|令和8年4月1日現在)。

県より高齢化が進んでいる倉吉市では、この構造がより早く表に出ます。

震度6弱を経験したまちの防災

平成28年10月21日、三朝町を震源とするマグニチュード6.6の鳥取県中部地震が発生し、倉吉市では震度6弱を観測しました。県内の被害は重傷8人・軽傷17人、住家は全壊18棟・半壊312棟で、火災は発生していません。

特徴的なのは一部損壊が15,078棟にのぼり、被害が中部の1市4町に集中したことです。古い住宅を中心に土葺きの屋根瓦のズレや落下が多く、外壁のひび割れや塀の倒壊も相次ぎました。

県は発災2日後に被災建物修繕等相談窓口を開設し、職人不足を解消するため県外からの職人招致を支援する事業を設けています(出典:鳥取県中部地震の記録|平成28年10月)。

全壊が少ない代わりに数万棟規模で修繕が必要になる災害でしたので、住まいの復旧をどう回すかという論点は、この地域では具体性を持ちます。

災害を経た地域の支え合いの仕組み

県は中部地震や豪雨災害を踏まえ、被災者一人ひとりの事情に沿って支援を組み立てる「災害ケースマネジメント」と、災害時に手助けを必要とする人、声をかけられる人、避難先などを書き込む「支え愛マップ」に取り組んでいます。支え愛マップは平成24年度に始まり、平成29年度から取り組みが強化されました。

高齢化率が県を上回る倉吉市では、名簿を整えるだけでは足りず、実際に誰が誰へ声をかけるのかまで地域と決めておく作業が必要になります。防災を志望分野にするなら、設備や備蓄の話に加えて、この人のつながりの側にも触れておきましょう。

中部の中心という役割の重み

鳥取県は三つの河川の流域にそれぞれ平野が形成され、鳥取市・倉吉市・米子市が流域ごとの中心都市として発達してきました。倉吉市の人口は42,994人と、県庁所在地の鳥取市や米子市に比べれば小さな規模ですが、中部地区9万人余りの生活圏では中心の役割を担っています。

市域の内側だけを見ていては説明のつかない仕事があるということで、周辺の町と一緒に考える場面は日常的に生じます。「なぜ県庁ではなく市役所か」を語るときは、この距離の近さを自分の言葉にできると強くなります。

倉吉市の重点政策|鳥取県中部の中心という立ち位置

倉吉市の政策を考えるときの軸になるのは、この市が中部地区の生活圏の中心にありながら、人口42,994人・高齢化率35.8%という条件のもとで市政を運営しているという点です。県内で最も人口の多い市と同じやり方は取れませんし、周辺の町とまったく同じ立場でもありません。

規模は小さいが役割は広いという不均衡が、倉吉市の政策の前提になっています。加えて、平成28年の中部地震で震度6弱を経験し、数万棟規模の一部損壊からの復旧を経てきた市でもあります。

志望分野を絞り込む視点

並んでいる事業名を覚え切ることが、自治体研究のゴールではありません。関心のある分野を一つか二つに決めて、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指しているか → ③今どんな事業があるか → ④市役所だからこそ担える部分はどこか → ⑤自分の経験や強みをどう生かせるか」の順にたどってみてください。

倉吉市の場合、④の答えは伝統的建造物群保存地区の維持や、震災を経た住まいの支援、中部の町と組んで進める分野のいずれかに見つかりやすいはずです。なお、倉吉市は過去の作文テーマを市のサイトで公開していますので、計画を読み込む前にそちらへ目を通しておくと、市が受験者に何を書かせてきたかの見当がつきます。

POINT|計画の名称を丸暗記しなくてよい

名称を並べるより、志望分野と倉吉市の事情がどこで結び付くかを説明できるほうが、個別面接では効きます。

悪い例「歴史ある町並みが残る倉吉市の魅力を、もっと多くの人に発信していく仕事がしたいです」

改善例「まずは窓口の仕事から覚えたいです。その上で、町並みが残る地区には実際に暮らしている方がいると聞きましたので、住み続けられることと見に来てもらうことを両立させる側の仕事に関わっていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

志望分野が固まっていない段階でも、次の4つには目を通しておきたいところです。読み終えたら、要点を自分の言葉で言い直せるか試してください。

  • 令和8年度倉吉市職員採用試験の受験案内(自分が受ける回と職種区分のもの)
  • 倉吉市の総合計画と、福祉、防災、まちなみ保存の分野別計画(いずれも現行版)
  • 最新年度の当初予算と、市政運営に関する市長の説明
  • 市が公開している過去の採用試験の実施状況と、過去の作文テーマの一覧

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、倉吉市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。倉吉市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

倉吉市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

倉吉市役所の面接の概要

ここからは、倉吉市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、差がつく質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

倉吉市役所の面接の流れ

令和8年度の倉吉市職員採用試験は、年3回の実施が予定されています。最後の回は、それ以前の回で採用予定人数に達しない場合に実施するとされていますので、募集の有無そのものが年度の途中で決まります。

令和8年度からは第1次試験をテストセンター方式に切り替え、受験者の都合のよい日時と場所で受けられるようになりました。あわせて、資格職・専門職も含めて専門試験は行わないことが明記されています(出典:令和8年度倉吉市職員採用試験の実施予定|令和8年度)。

この試験でとくに注意したいのが、合格者の決め方です。第1次試験は第1次の得点の合計が高い順に決まりますが、第2次試験は第1次試験の得点にかかわらず、第2次試験の得点の合計が高い順と定められています。

つまり、第1次で稼いだ点は最終の判定に持ち越されません。第1次を通過した時点で、受験者は横一線に戻るということです(出典:倉吉市職員採用試験|令和8年度)。

項目内容(令和8年9月実施分・令和9年4月採用予定)
実施主体倉吉市が実施します。鳥取県人事委員会が実施する鳥取県職員採用試験とは、申込先も試験種目も切り離されています
試験の段階第1次試験・第2次試験の2段階。受験案内には、いずれの職種区分も第2次試験まで行うと明記されています
第1次試験テストセンター方式。全職種共通で、職務能力試験〔多肢選択式60問・60分〕と職務適応性検査〔多肢選択式150問・20分〕の2種目
職務能力試験の内容地方行政への関心と理解、論理的に思考する力、文章を正確に理解する力、統計等の資料を分析する力、国内外の社会情勢への理解等を確認する基礎的な出題。案内には特別な対策や勉強は不要と記されています
第2次試験集合方式(倉吉市役所会議室を予定)。全職種共通で、作文試験〔1問・60分〕と面接試験(個別面接)の2種目
集団形式集団討論の実施はありません
合格者の決め方第1次は得点の合計が高い順。第2次は第1次の得点にかかわらず、第2次の得点の合計が高い順。第1次の職務適応性検査の結果は判定の参考資料として使われます
職種区分と採用予定一般事務A6人程度、一般事務(IJUターン)C2人程度、一般事務(学芸員)D2人程度、保育士G3人程度、土木技師H3人程度
提出書類第1次試験の合格者は、市ウェブサイトの「自己紹介カード」をダウンロードして作成し、メールで提出します。このカードは第2次試験の個別面接に使われます
申込方法とっとり電子申請サービスによる電子申請のみ。書面での申込みはできません。申込時に、3か月以内に撮影した本人単身で胸から上の顔写真データ(縦4横3・640×480ピクセル)の添付が必要です
採用候補者名簿最終合格者は職種ごとの名簿に成績順で登載されます。辞退等に備えて採用予定人数より多く登載されることがあり、登載された人がすべて採用されるとは限りません
成績開示受験者本人が直接来庁して請求でき、試験種目ごとの得点、合計得点、順位が開示されます。期間は合格発表の翌日から1か月間、場所は総務部職員課(本庁舎4階)です
初任給大学新卒者232,000円、短大新卒者216,500円、高校新卒者200,300円(令和8年4月1日現在・月額)

上記の試験構成は、令和8年9月実施分(令和9年4月採用予定)の倉吉市職員採用試験受験案内に記載された内容にもとづくもので、一般事務職を基準に整理しています。各種目の配点は公表されていません。試験の構成・種目・実施回は年度や職種区分によって変わりますので、受験の際は必ずご自身の回と区分の最新の受験案内でご確認ください。

倉吉市役所が求める人物像をどう補うか

確認した令和8年9月実施分の倉吉市職員採用試験受験案内と、市の採用試験情報のページには、求める職員像や期待する職員像として定型化された一文が置かれていません。最新の案内に記載が加わっていないかは、受験前に確かめておきましょう。

そこで本記事では、言葉で掲げられた人物像がない代わりに、得点の扱い方が何を重く見るかを語っていると考えて読み進めます。

もっとも、得点の扱い方から意図を読み取るのは当研究会の作業であって、市が選考の考え方を言葉にしているわけではありません。そのうえで続けます。

第2次試験で第1次の得点が持ち越されないという設計は、筆記の出来をそのまま最終判定へ運ばないという意思表示です。しかも第1次の職務能力試験には、特別な対策や勉強は不要と案内に書かれています。

第1次で受験者を大きくふるいにかけるつもりがないということですから、作文試験と個別面接という第2次の2種目に、判断のほとんどが集まると読むことになります。

次に、受け入れる側の事情を並べてみます。人口42,994人、一般事務Aの採用予定は6人程度。

市街地と中山間地を含む272.06km²の市域で、中部地区9万人余りの生活圏の中心を担い、震災の復旧まで経験しています。この人数で市政のすべてを回すとなると、分野ごとに担当を細かく割り振る余裕はありません。

一つの分野を受け持った職員が、制度を調べる段階から住民に説明する場面まで通しで見ることになります。震災のあとの住まいの相談のように、想定していなかった仕事が短い期間で膨らむこともあります。

そうした職場で効いてくるのは、前例のない話を持ち込まれたときに手順を自分で組み立て直せる姿勢のほうだと、当研究会は考えています。市民と職員が日々の暮らしの場でも顔を合わせる規模ですので、丁寧さや誠実さといった目立ちにくい資質も、静かに評価の対象になっていると考えてよさそうです。

ここまでを踏まえると、準備の重心は自己紹介カードに置くことになります。倉吉市では、第1次試験の合格発表から提出期限までが短いと案内自身が注意を促しています。

しかもこのカードは、そのまま個別面接で使われます。合格を知ってから書き始めるのでは、材料をそろえる時間がないということです。

申し込んだ段階で書けるところまで書いておき、通過後は日付と細部を整えるだけにしておくのが現実的です。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。倉吉市の個別面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどちらから来られましたか?第2次試験は市役所の会議室に集まって行われる。移動や待ち時間を経ても、受け答えの調子が保てるか
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?一般事務Aの採用予定が6人程度という枠に対し、なぜこの市なのかが自分の経験から出てくるか
③ 自己理解自己紹介カードに書いた強みを、別の言い方で説明してください提出した文章と口頭の説明が、同じ出来事を指しているか
④ 経験・行動やり方が決まっていない仕事を任されたとき、どう進めましたか?手順が用意されていない場面での動き出し方。調べる先や相談する相手を自分で見つけられるか
⑤ 学業・経歴これまで学んできたことを、短く説明してください作文試験と同じで、限られた分量に収めながら要点を落とさない力
⑥ 適性・将来入庁したあとは、どんな仕事に取り組みたいですか?職員数の限られた市役所で、希望の分野以外も引き受ける前提が持てているか
⑦ 公共性・社会性最近気になった、倉吉市や県中部に関わる出来事はありますか?関心が市の仕事の範囲まで届いているか。紹介で終わらせず自分の受け止めを添えられるか

ここまでの範囲は、他の受験者も同じように用意してきます。自己紹介カードに書き込む一行を厚くしてくれるのは、次に挙げる倉吉市の側の事実のほうです。

合否を分けるのは「倉吉市役所ならでは」の質問

「なぜ鳥取県庁ではなく、倉吉市役所を志望するのですか?」
「倉吉市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

この2問は、どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがありません。裏を返せば、正解が用意されていない質問であり、倉吉市を調べた量がそのまま答えの厚みになるということです。

こうした質問に答えるための「倉吉市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい倉吉市の事実答え方のヒント
なぜ県庁ではなく市役所か市の採用試験は倉吉市が実施し、申込先も試験種目も県の試験とは別。人口42,994人の市で、一般事務Aの採用予定は6人程度広域と身近という一般論に逃げず、6人程度の採用で自分が引き受けたい範囲を具体的に述べる
年齢構成の重さ高齢化率35.8%、75歳以上20.7%は、いずれも鳥取県全体の33.7%・19.4%を上回る(令和8年1月1日現在)高齢化という言葉で止めず、65歳以上のうち6割近くが75歳以上という内訳まで踏み込む
震度6弱を経験したまち平成28年10月の鳥取県中部地震で市内は震度6弱。県内の住家被害は全壊18棟に対し一部損壊15,078棟で、中部の1市4町に集中した被害の大小を語るより、全壊より修繕の数が圧倒的に多かったという性格の違いを押さえる
町並みの保存本町通りと玉川沿いの商家の町並みが、国選定の重要伝統的建造物群保存地区「倉吉市打吹玉川」に選ばれている観光資源として紹介するのではなく、そこに人が住み続けている地区だという前提から話を始める
中部の中心という位置県内は3つの河川の流域に平野が形成され、倉吉市はその一つの中心都市。中部地区の人口は91,332人で県のおよそ18%市の人口だけで規模を語らず、周辺の町を含む生活圏を相手にしている仕事だと説明する

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

倉吉市は求める職員像を言葉で掲げていませんので、何を見ようとしているかは選考の設計に照らして読み取ることになります。第2次試験で第1次の得点が持ち越されず、作文試験と個別面接の2種目だけで最終の順位が決まるという組み方が示しているのは、いわゆるコンピテンシー評価への傾きです。

答えの体裁ではなく、経験の中身と行動の再現性のほうに重さが置かれています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
書いた内容と話す内容の一致第1次試験の合格後に提出する自己紹介カードが、そのまま個別面接で使われるカードに書く出来事を先に決め、そこに書いた材料だけで面接の受け答えが成り立つか読み返す
限られた時間で組み立てる力第2次試験には60分・1問の作文試験があり、テーマは職種ごとに異なる市が公開している過去の作文テーマを見て、60分で書き切る練習を数回入れておく
手順のない仕事への向き合い方個別面接では、人物、識見、職務適性、対人関係能力等が確かめられる前例のない場面で自分がどこへ確認しに行ったのかを、順を追って説明できるようにする
この地域で働き続ける見通しIJUターン区分が別に設けられているように、市は移り住んで働く人の受け入れも想定している出身地にかかわらず、生活者として倉吉市とどう関わるつもりかを一言で言えるようにしておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。倉吉市は自己紹介カードに書いた内容が起点になりますので、書いた一行ごとに掘られる前提で用意しておきましょう。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えがあれば、何度たどられても話は崩れません。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。倉吉市は第2次試験で得点が仕切り直されますので、そこに合わせて時間の配分を決めておくと迷いません。

  1. 最新の受験案内で、自分が受ける回と職種区分の試験種目を確認する(令和8年度は年3回の実施予定で、最後の回は採用予定人数の充足状況によります)
  2. 申込に必要な顔写真データを用意する。受付は電子申請のみで、3か月以内に撮影した本人単身で胸から上のものという条件があります
  3. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  4. 自己紹介カードに書く内容を、第1次試験の前に下書きしておく。合格発表から提出期限までは短いと案内が注意を促しています
  5. この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い倉吉市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 市が公開している過去の作文テーマで60分の練習を入れ、あわせて下書きした自己紹介カードの各行について、掘り下げられたときの返しを書き足していく

優先順位に注意

自治体研究にあたるステップ5は、差をつけるための工程です。時間が限られているなら、ステップ3とステップ4を先に片づけてください。倉吉市の最終判定は第2次試験の得点だけで決まり、その個別面接では自分が書いた自己紹介カードが使われます。書く材料が手元にない状態では、市の知識をいくら足してもカードが埋まりません。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、倉吉市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

倉吉市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

倉吉市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年9月実施分の倉吉市職員採用試験では、第1次試験の得点が第2次試験に持ち越されません。最終の順位を決めるのは、60分の作文試験と、自己紹介カードを手元に置いて進む個別面接の2つだけです。

県より高齢化が進み、震度6弱の揺れからまちを立て直してきたこの土地で、自分は誰の隣で働きたいのか。カードの一行ずつが自分の記憶とつながるまで、書いては読み返してみてください。