伊万里・有田消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴・基礎データ・管轄地域の災害リスク・消防課題・重点方針)と、面接本番の流れ・想定される質問・評価の観点を、1ページに整理しました。

伊万里・有田消防本部の面接試験では、「なぜ警察官や自衛官ではなく消防官なのか」「なぜ伊万里・有田消防本部なのか」「自分の経験を消防の仕事でどう生かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。

伊万里市と有田町という2つの自治体が1つの組合をつくって消防を運営している成り立ちや、市域全体が原子力災害対策重点区域に含まれる備えを知っておくことで、一般論に終わらない受け答えがしやすくなります。

気になる章から先に読んでいただいて構いません。読み終えたときに「なぜ伊万里・有田消防本部なのか」を自分の言葉で語れる状態を、この記事のゴールにしましょう。

第1部|組織研究編

伊万里・有田消防本部の特徴

面接対策の本題に入る前に、伊万里・有田消防本部がどのような組織かを確認しておきましょう。(急いでいる方はここだけでも目を通してください)

  • 伊万里・有田消防本部は、伊万里市と有田町が共同で設立した一部事務組合「伊万里・有田消防組合」が設置する消防本部である。どちらか一方の市や町が単独で運営する組織ではなく、2つの自治体が1つの組合として消防事務を担っている。
  • 消防本部・伊万里消防署は伊万里市立花町に置かれ、管轄区域は伊万里市の一円。有田消防署は有田町南原甲に置かれ、管轄区域は有田町の一円である。
  • 2つの署を合わせた消防吏員は131人(うち女性1人)で、百人あまりの体制で組合全体の消防事務を担っている(令和7年4月1日現在)。
  • 出動件数は令和6年中で救急4,050件・火災18件・救助34件である。
  • 消防吏員は、組合が伊万里市・有田町の職員採用試験とは別に直接実施する伊万里・有田消防組合職員採用試験の試験区分「消防士」として採用される。
  • 管轄区域は玄海原子力発電所からおおむね30km圏内にあり、伊万里市の全域が原子力災害対策重点区域(UPZ)に位置づけられている。

伊万里・有田消防本部の基礎データ

面接に向けた組織研究では、細かな数字をすべて覚える必要はありませんが、伊万里・有田消防本部が2つの自治体をどのような体制で支えているかを知っておくことは重要です。管内人口・組織体制・出動件数を、次の表に整理しました。

項目内容
管内人口約6.9万人(69,156人・伊万里市50,905人+有田町18,251人の合算、住民基本台帳人口・令和8年1月1日現在)
高齢化率伊万里市34.1%・有田町37.1%(いずれも同時点)
設置形態伊万里市・有田町による一部事務組合(伊万里・有田消防組合)
組織体制伊万里消防署(伊万里市一円)・有田消防署(有田町一円)の2署体制
消防吏員数131人(うち女性1人)※令和7年4月1日現在
出動件数火災18件・救急4,050件・救助34件(令和6年中)

管内人口・高齢化率は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の伊万里市・有田町の合算・団体別、消防吏員数・出動件数は総務省消防庁が公表する消防本部データによります。管内人口は2団体の合算値、高齢化率は団体ごとの数値で、まとめた平均ではありません。消防吏員数は令和7年4月1日現在、出動件数は令和6年中の集計で、基準となる時点が異なる点にご注意ください。(出典:総務省消防庁が公表する消防本部データ|令和7年4月1日現在)

数字から見える伊万里・有田消防の課題

この表からまず読み取りたいのは、2つの自治体を1署ずつで分担しているという組織のかたちです。

伊万里市の一円を伊万里消防署が、有田町の一円を有田消防署が受け持ち、合わせて約6.9万人の管内を131人の消防吏員で支えています。

高齢化率は伊万里市34.1%・有田町37.1%(いずれも令和8年1月1日現在)と有田町側が高く、市と町を一つの平均でならさずに捉えておくことが、組合の実情を理解する出発点になります。

「受験を考えているこの消防本部では、救急の出動が令和6年中で4,000件を超えたと聞きました。管内の高齢化率も30%台後半まで進んでいるので、限られた人数で救急にどう対応していくかが、これからも重要なテーマになっていくのではと感じています」

管轄地域の特性と災害リスク

管轄地域の全体像

  • 伊万里市の伊万里港は昭和26年に重要港湾の指定を受けた県内唯一の工業港で、七ツ島工業団地には造船・鉄鋼・セメントなどの企業が立地する。
  • 伊万里市の大川内山は江戸時代に佐賀藩鍋島家の御用窯(鍋島藩窯)が置かれた「秘窯の里」で、今も約30の窯元が伝統の製法を受け継ぐ。(出典:大川内山|佐賀県公式観光サイト)
  • 有田町の有田内山地区は平成3年4月30日に選定された重要伝統的建造物群保存地区(15.9ha)で、江戸時代に始まった磁器生産の中心地である。(出典:有田内山重要伝統的建造物群保存地区|有田町)

つまり伊万里・有田消防本部は、港湾工業地帯と伝統的な焼き物のまちという異なる顔を持つ2つの自治体を1つの組合として支え、原子力災害への備えにも向き合う本部だと整理できます。

玄海原子力発電所と市域全体を覆うUPZ

伊万里市には玄海町のような避難を優先するPAZ地区はなく、市の全域が原子力災害対策重点区域(UPZ・おおむね半径5〜30km圏)に位置づけられています。

原子力災害対策重点区域は玄海町・唐津市・伊万里市の30km圏内に設定されており、防護措置は全面緊急事態にPAZ住民が避難する一方、UPZは基準値以上の放射線が観測された地域から避難し、その他の地域は屋内退避(毎時20マイクロシーベルト超の地域は1週間以内に一時移転、毎時500マイクロシーベルト超の地域は1日以内に避難)とする内容です。(出典:原子力防災のてびき|佐賀県 令和6年12月改訂)

また、佐賀県が公表した令和6年度佐賀県原子力防災訓練の実施要領によれば、この訓練は佐賀県・玄海町・唐津市・伊万里市の主催で令和6年11月30日に実施されています。

港湾のまちが向き合った豪雨災害

令和元年8月の佐賀豪雨(同年8月27日からの大雨)では、伊万里市内の鉄工所で油が流出する事故が発生しました。

地元の消防がオイルロープを設置して油吸着マットで処置にあたる一方、伊万里港側の油の除去や漂流物の回収は、港湾管理者である佐賀県が担いました。(出典:令和元年8月の前線に伴う大雨等に係る被害状況等|内閣府)

工業港を抱える地域ならではの事故対応であり、災害の種類が水害にとどまらないことを示す事例だといえます。

佐賀県内の地震想定との比較

内閣府が公表した南海トラフ巨大地震の被害想定(令和7年3月31日公表)によれば、佐賀県内20市町の市町村別最大震度のうち伊万里市・唐津市・玄海町・有田町の想定震度は4にとどまり、県内の平野部より低い水準とされています。(出典:南海トラフ巨大地震・被害想定一覧|内閣府 令和7年3月31日公表)

揺れの想定が大きいのは、管内の外側です。県の被害等予測調査(平成27年3月公表)は、佐賀平野北縁断層帯の全体が活動した場合にM7.5程度・最大震度7の地震を想定し、冬深夜のケースで建物の全壊・焼失約55,000棟、死者数約4,300人という被害を見込んでいます。

この断層帯が延びるのは小城市小城町松尾付近から佐賀市・神埼市を経て吉野ヶ里町立野付近までの東西約22kmで、伊万里市・有田町はその経路に挙げられていません。(出典:佐賀県地震被害等予測調査|平成27年3月)

地震そのものへの備えと原子力災害への備えとでは求められる知識が異なるため、この本部にとってどちらの重みが大きいのかを、面接では整理して語れるようにしておきましょう。

伊万里・有田消防本部の主な消防課題

ここまでの数字と地域の特性を踏まえると、伊万里・有田消防本部が向き合う課題が見えてきます。面接で「消防の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

救急需要の増加

全国では、救急自動車による令和6年中の出動が771万8,380件に達しました。昭和38年の統計開始以来もっとも多い数字で、増加傾向は今も続いています。(出典:令和7年版 救急・救助の現況)

この流れは管内でも同じで、伊万里・有田消防本部の令和6年中の救急出動は4,050件、火災18件との差は200倍を超えます。

伊万里市34.1%・有田町37.1%という高齢化率(いずれも令和8年1月1日現在)を踏まえると、131人の体制でこの件数をどう支え続けるかが課題になっています。

原子力災害を含む大規模災害への備え

伊万里市の全域が玄海原子力発電所のUPZに位置づけられていることから、原子力災害など多様で高度な災害への対応が求められる組織です。

令和元年の佐賀豪雨で鉄工所の油流出に対応した実績が示すように、備えるべき災害は原子力だけにとどまりません。

全国の消防本部の約99%にあたる718本部(6,661隊・令和6年4月1日現在)が緊急消防援助隊に登録されており、伊万里・有田消防本部もその一員として広域応援の枠組みに加わっています。(出典:緊急消防援助隊|消防庁)

予防・住宅防火

住宅火災で亡くなった人(放火自殺者等を除く)のうち65歳以上が占める割合は、全国で74.5%(令和5年中762人)です。(出典:令和6年版消防白書)

管内は伊万里市34.1%・有田町37.1%と、いずれも高齢化が進んだ地域です。火災の発生件数自体は令和6年中で18件と少ないものの、ひとたび起きれば被害が広がりやすい高齢世帯への予防の呼びかけが欠かせません。

人材確保と女性吏員の活躍

伊万里・有田消防本部の消防吏員131人のうち女性は1人で、割合は約0.8%にとどまります。国が掲げる目標は「令和8年度当初までに5%」ですが、全国の実績は令和7年4月1日現在で消防吏員168,230人中6,386人・約3.8%にとどまります。(出典:女性消防吏員の活躍推進|消防庁)

伊万里・有田消防本部の実際の比率はこの全国平均を大きく下回っており、性別を問わず多様な人材を確保していくことは、規模の小さい本部にとって特に重い課題だと考えられます。

重点方針|採用試験の設計と原子力防災への参画

伊万里・有田消防組合が独自に公表する運営方針や基本計画は、2026年9月時点では見当たりません(当研究会調べ)。ここでは、採用試験の段階の分け方と、市域を越えて築かれている原子力防災の体制から、組織の重点を読み解いていきます。

合否の区切りが明確な二段階の採用試験

伊万里・有田消防組合職員採用試験は、第一次試験(教養試験)に合格した人だけが第二次試験に進める、区切りの明確な二段階制です。

第一次試験は五肢択一式の教養試験(40問・試験時間2時間)のみで、第二次試験では作文試験・適性検査・体力試験(反復横跳び、立幅跳び、握力、上体起こし、シャトルラン)・個別面接の4つが実施されます。(出典:伊万里・有田消防組合職員採用試験|令和8年度試験要綱)

第一次試験を通過しなければ面接に進むことすらできない設計であるため、教養試験の対策を軽視できません。

市域全体で担う原子力防災

伊万里市の全域がUPZに含まれていることは、佐賀県・玄海町・唐津市・伊万里市の4者が共同で進める原子力防災の体制にも表れています。令和6年度の佐賀県原子力防災訓練はこの4者の主催で実施されており、自組合単独ではなく周辺自治体と連携した備えが、組織の重点の一つになっていると考えられます。

POINT|第二次試験は複数種目を一度に見られる

伊万里・有田消防組合の第二次試験は、作文・適性検査・体力・面接をまとめて実施します。面接だけを単独で仕上げるのではなく、作文で伝えた内容と面接での受け答えに食い違いがないかまで意識して準備することが大切です。

悪い例「小さいころから消防車にあこがれていたので、消防官を志望しました」

改善例「学生時代に地域の防災訓練に参加した経験があります。この消防本部は伊万里市の全域が原子力災害対策重点区域に含まれる組織だと知り、その経験を生かして地域の安全に関わりたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

  • 伊万里・有田消防組合職員採用試験の試験要綱・組合公式サイトの採用情報
  • 佐賀県が公表する原子力防災のてびき
  • 総務省消防庁が公表する伊万里・有田消防本部の吏員数・出動件数データ

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、伊万里・有田消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。伊万里・有田消防本部の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

伊万里・有田消防本部の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

伊万里・有田消防本部の面接の概要

ここからは、伊万里・有田消防本部の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

伊万里・有田消防本部の面接の流れ

前述のとおり、伊万里・有田消防組合職員採用試験は第一次試験(教養試験のみ)と、その合格者だけが進める第二次試験(作文・適性検査・体力・面接)の二段階制です。面接として公表されているのは第二次試験の個別面接1回のみで、作文試験・適性検査・体力試験と同じ第二次試験の中で実施されます。

項目内容(令和8年度)
受験方式第一次試験は五肢択一式の教養試験(40問・試験時間2時間)。会場は伊万里消防署の研修室
試験の段階二段階制。第一次=教養試験、第二次=作文試験+適性検査+体力試験+個別面接(第一次試験の合格者のみ)
面接の種類個別面接(第二次試験で1回実施)。集団面接・集団討論の記載は確認できず
面接以外の検査第二次試験で作文試験・適性検査・体力試験(反復横跳び、立幅跳び、握力、上体起こし、シャトルラン)を同時に実施
面接カード専用の面接カードの名称は確認できず。提出書類は職員採用試験申込書と受験票(官製はがき)が中心

上記の試験構成は、組合が公表する令和8年度の試験要綱にもとづくものです。配点は公表されていません。年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ず最新の試験要綱でご確認ください。

この設計で注目したいのは、教養試験に合格しなければ面接そのものに進めないという点です。面接の受け答えをどれだけ磨いても、第一次試験を突破できなければ評価してもらう機会自体が得られません。

教養試験の対策と、面接・作文の準備を並行して進める計画が必要になります。

手続き面では、申込書は組合ホームページからのダウンロード、伊万里・有田消防本部総務課での配布、郵送請求の3つの方法で入手でき、提出は持参または簡易書留の郵送によります。

試験の結果は不合格になった本人に限り、総合得点と順位を各試験の合格発表から1か月間開示請求できる仕組みが用意されています。

最終合格者は採用候補者名簿に登載され、名簿の有効期間は原則として1年間です。名簿に載ったからといって必ず全員が採用されるとは限らない点も、あわせて理解しておきましょう。

伊万里・有田消防本部が求める人材

伊万里・有田消防組合は「求める人物像」を明文では公表していません(2026年9月時点・当研究会調べ)。手がかりになるのは、伊万里市と有田町という2つの自治体を、それぞれ1署ずつの体制で分担して支えている組織のかたちです。

このように吏員が百人あまりの規模で運営される本部では、経験を積むにつれて消火・救急・予防・総務といった複数の分野を一人が幅広く担う場面が増えやすく、特定分野への強い専門志向よりも、どの持ち場に配属されても学び直して対応できる柔軟性や、少人数の当直チームで長時間を共にする協調性が重視されやすいと考えられます。

市域全体がUPZに含まれるこの本部では、原子力防災の共同訓練など組合の枠を越えた連携に加わる姿勢もあわせて問われる可能性があります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。伊万里・有田消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク試験会場までは、どうやって来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ伊万里・有田消防本部を志望するのですか?消防官という仕事とこの地域を、自分の言葉で選べているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか
⑤ 学業・経歴専攻分野(学科・コース)を選んだ理由を教えてください進路選択の筋道。自分の決断を順序立てて説明できるか
⑥ 適性・将来体力に自信はありますか?交替制勤務と現場活動を続けるための体力・生活習慣・覚悟
⑦ 公共性・社会性消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか?仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識

この見取り図は幅広い官公庁で共通しますが、伊万里・有田消防本部ならではの理解が問われるのは、ここから先の固有質問です。

合否を分けるのは伊万里・有田消防本部に固有の質問

「なぜ警察官や自衛官ではなく、消防官なのですか?」
「この消防本部が、伊万里市と有田町の2つのまちを1つの組合で運営していることを、どう理解していますか?」

2つのまちを1つの組合で運営していることをどう理解しているかという問いは、組織の説明で終わらせると物足りません。伊万里市の全域が原子力災害対策のUPZに位置づけられ、佐賀県・玄海町・唐津市とともに防災訓練を重ねているところまで踏み込めるかどうかで、理解の厚みに差がつきます。

伊万里港の工業と有田焼という2つの顔も、あわせて押さえておきましょう。面接で使いやすい「伊万里・有田消防本部の事実」を絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい伊万里・有田消防本部の事実答え方のヒント
原子力災害への備え伊万里市の全域がUPZに位置づけられ、佐賀県・玄海町・唐津市・伊万里市の4者で原子力防災訓練を実施(詳細は第1部3章)UPZの範囲を正確に説明し、消防が果たす役割まで結び付けて話す
救急需要の増加令和6年中の救急出動は4,050件で火災の200倍を超える規模。管内の高齢化率も30%台後半に達する(詳細は第1部2章・4章)件数の大きさだけでなく、限られた吏員数でこの需要を支えている実態まで触れる
二段階の採用試験教養試験に合格した人だけが第二次試験(作文・適性・体力・面接)に進める設計(詳細は第1部5章)教養試験の対策も並行して進めていることを、準備の計画性として示す
地域の特性伊万里港を抱える工業のまちと、有田焼で知られる焼き物のまちという2つの顔を持つ(詳細は第1部3章)2つの地域それぞれへの理解を、原子力災害への備えとあわせて語れると具体性が増す
女性吏員の活躍伊万里・有田消防本部の女性吏員は131人中1人(約0.8%)で全国平均約3.8%を大きく下回る(詳細は第1部4章)全国平均との差を正確に示しつつ、規模の小さい組織だからこそ一人ひとりの活躍が目立つ点にも触れる

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、〈事実 → 自分の問題意識 → 消防吏員としてやりたいこと〉という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

令和8年度の試験要綱には試験の段階と種目までが示され、各段階の配点は記載がありません。そこから読み取れるのは、教養試験という明確な基準で一度受験者を絞り込み、通過した人だけを第二次試験の複数種目でまとめて確かめる、区切りのはっきりした仕組みだという点です。

過去の行動や経験の具体的な事実から入庁後の再現性を確かめる、公務員試験で広く使われるコンピテンシー評価の考え方も、面接・作文・体力を同時に評価するこの試験では手がかりになります。

伊万里・有田消防組合自身が評価方法として明言しているわけではありませんが、準備の指針として押さえておきましょう。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
基礎的な知識・思考力教養試験を突破できる基礎学力が備わっているか面接対策だけに偏らず、教養試験の学習時間を早い段階から確保する
地域・組織への理解伊万里市と有田町という2つのまちや、原子力防災の体制まで理解したうえで志望しているか片方の自治体だけでなく、管轄区域全体を自分の言葉で説明できるようにする
体力と生活習慣体力試験の結果に加え、交替制勤務を無理なく続けられる生活リズムを整えているか種目(反復横跳び・立幅跳び等)に応じた準備を、試験より前から計画的に進める

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。伊万里・有田消防本部のように面接の機会が一度きりの試験ではなおさらです。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 令和8年度の試験要綱を読み、教養試験の出題範囲と第二次試験の作文・体力の種目を確認する
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学業から、チームで動いた具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、〈事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと〉の一続きの話に編む
  6. 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。五肢択一40問の教養試験の学習と、立幅跳びやシャトルランを含む体力試験のトレーニングも並行して進める

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で伊万里・有田の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、限られた時間で面接対策を仕上げたい場合は、伊万里・有田消防本部専用の面接想定問答集を活用する方法もあります。

伊万里・有田消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。第一次試験の教養試験を通らなければ面接の場に立てない設計ですから、筆記の勉強と面接の準備は早いうちから両立させておきたいところです。

伊万里・有田消防本部の想定問答集を見る

さいごに

伊万里・有田消防本部は、伊万里市と有田町という2つの自治体が共同で設立した組合が運営する消防本部です。採用試験は教養試験に合格した人だけが第二次試験(作文・適性検査・体力・個別面接)に進む二段階制で、区切りのはっきりした仕組みで人物が確かめられます。

管轄区域である伊万里市の全域は玄海原子力発電所のUPZに含まれ、佐賀県・玄海町・唐津市・伊万里市の4者による原子力防災の体制づくりが進められています。

港湾と焼き物、2つの異なる顔を持つ地域の特性と、原子力災害への備えという課題の両方を自分の言葉で説明できるようにしたうえで、これまでの経験のどこがこの組織で生かせるのかを、伊万里市と有田町の両方に触れながら面接で伝えてください。