本記事では、鳥栖市職員採用試験の面接対策で必要な、鳥栖市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
鳥栖市役所の面接では、「なぜ鳥栖市を志望したのか」、「市職員として何をしたいのか」、「自分の経験を市政にどう生かすのか」といった問いが想定されます。鳥栖市がほかの市と決定的に違うのは、合格者の決め方が試験案内に書き切られている点です。
最終合格は、第3次試験の面接試験の得点の高点順のみで決まります。
第2部で扱う試験の内容は、令和8年度鳥栖市職員採用試験(令和9年4月採用予定)の一般事務Aを基準に整理しています。鳥栖市は年度内に複数回の試験を実施した実績がありますので、受験する回の試験案内を必ず確かめてください。
第1部|自治体研究編
鳥栖市の特徴
鳥栖市は、佐賀県のなかでかなり異質な条件を持つ市です。ほかの市と同じ枠で理解しようとすると、志望動機が空回りします。
- JR・国道・高速自動車道が交わる九州陸路交通の要衝で、市自身が「九州のクロスロード」と呼んでいる。日本最初の四つ葉のクローバー型構造である鳥栖ジャンクションで、九州縦貫自動車道と九州横断自動車道が交差する。
- JR鳥栖貨物ターミナル駅が鉄道輸送の拠点として機能している。
- 人口は74,337人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。市域71.72km²に対して、人口密度は1平方キロメートルあたり約1,036人。
- 高齢化率は24.4%。同じ住民基本台帳でみた県全体の31.8%を7.4ポイント下回り、県内10市のなかで最も低い。
- 境を接するのは三養基郡基山町・みやき町と、福岡県の久留米市・小郡市・筑紫野市・那珂川市。隣接6市町のうち4つが福岡県にあたる。
- 令和2年国勢調査では人口74,196人(県総人口の9.14%)で、佐賀市・唐津市に次ぐ県内3番目の規模だった。
- 令和8年度の職員採用は、一般事務A・B・社会人枠で合わせて15名程度のほか、土木・建築・水質・社会福祉士・保育士を募集している。
- 市の花はハナショウブ、市の木はモチノキ。市役所は宿町1118番地に置かれている。
鳥栖市の基礎データ
鳥栖市の数字は、県平均と並べたときにはじめて意味が立ち上がります。人口規模ではなく、年齢構成と密度に注目してください。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 74,337人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 18,108人(高齢化率24.4%。同じ基準の県全体は31.8%) |
| 75歳以上人口 | 10,120人(総人口の13.6%。同じ基準の県全体は17.7%) |
| 県内での人口規模 | 令和2年国勢調査では74,196人で、佐賀市・唐津市に次ぐ県内3番目 |
| 総面積 | 71.72km²(佐賀県全体の約2,400km²のおよそ3%) |
| 人口密度 | 約1,036人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体(県内) | 三養基郡基山町・三養基郡みやき町 |
| 隣接自治体(県外) | 福岡県久留米市・福岡県小郡市・福岡県筑紫野市・福岡県那珂川市 |
| 市の花・木 | ハナショウブ(花)・モチノキ(木) |
| 市役所の所在地 | 鳥栖市宿町1118番地 |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の数値です。県内での人口規模は佐賀県が公表した令和2年国勢調査の結果によるもので、基準が異なるため住民基本台帳の値と並べて増減を計算することはできません。県と市の面積、隣接自治体、市の花と木、市役所の所在地は、当研究会が整理した基礎データによります。
県内で最も若い年齢構成
高齢化率24.4%、75歳以上13.6%という値は、同じ住民基本台帳でみた県全体の31.8%・17.7%を大きく下回ります。
県内10市の高齢化率を同じ基準で並べると、鳥栖市の値がいちばん低い水準です。佐賀県のなかで、鳥栖市だけが人口構成の局面が違うといっても言い過ぎではありません。
とはいえ、これを「高齢化は関係ない」と読むのは誤りです。65歳以上は18,108人、75歳以上は10,120人と実数では相応の規模があり、しかも今後この層が厚くなる方向に動きます。
いま比較的若いということは、これから急に高齢化が進む可能性を抱えているということでもあります。県内のほかの市がすでに直面している課題を、少し遅れて引き受ける立場だと考えておきましょう。
71.72km²に74,337人という密度
人口密度は約1,036人で、同じ計算を県全体に当てはめた約328人の3倍を超えます。狭い市域に人と機能が集まっている都市型の構造であり、道路や上下水道、学校といった基盤への需要もその範囲に集中します。
鳥栖市の経済・産業
九州のクロスロード
鳥栖市は、JR・国道・高速自動車道の分岐点として九州陸路交通の要衝に位置し、市自身がこれを「九州のクロスロード」と表現しています。日本最初の四つ葉のクローバー型構造である鳥栖ジャンクションで九州縦貫自動車道と九州横断自動車道が交差し、JR鳥栖貨物ターミナル駅が鉄道輸送の拠点として機能しています。(出典:九州のクロスロード|鳥栖市)
この立地は、物流や企業立地の話に直結します。
人ではなく荷物と車が集まる場所として発展してきた市であり、そこが県内のほかの市との決定的な違いです。志望動機で産業を語るなら、観光資源の話ではなく、交通の結節点であることの意味から入ったほうが噛み合います。
製造業の県に、物流の拠点があるということ
令和5年度の佐賀県の県内総生産(名目)は3兆4,363億円で、対前年度4.1%増と3年連続のプラス成長でした。構成比は第1次産業2.3%・第2次産業31.5%・第3次産業66.5%で、製造業が単独で最大の25.4%(8,734億24百万円)を占めます。
一人当たり県民所得は304万4千円で、国を100とすると86.4の水準です。(出典:佐賀県県民経済計算|令和5年度)
製造業が県経済の柱であることと、鳥栖市が物流の結節点であることは、無関係ではありません。
作ったものを動かす仕組みが県内にあるという構図です。産業振興の話をするなら、この2つを並べて語れると説得力が増します。
人と機能が集まる市の経済
県内3番目の人口規模と、県平均の3倍を超える人口密度。そして隣接6市町のうち4つが福岡県という位置。
福岡都市圏と佐賀県の両方に足がかりを持つ市だといえます。
ただし、この条件は放っておいても続くものではありません。人が集まる理由が交通の便にあるなら、その便が相対的に落ちれば人の流れも変わります。
市の経済を語るときは、いまの強みがどこから来ているのかまで踏み込んで説明したいところです。
鳥栖市の主な行政課題
異質な条件は、そのまま異質な課題を生みます。鳥栖市が抱える次の4つを、自分の言葉で説明できるようにしてください。
県全体の人口減少と、市の年齢構成の先行き
佐賀県の推計人口は令和8年3月1日現在で778,856人、前年同月比6,068人減です。令和8年2月の1か月では、自然動態が556人減、社会動態が60人減でした。(出典:佐賀県推計人口|令和8年3月1日現在)
県全体が減少局面にあるなかで、鳥栖市の高齢化率は24.4%と県平均を7.4ポイント下回っています。県の縮小と市の相対的な若さが同時に存在しているのが、鳥栖市の現在地です。
この状態をどう維持するのか、あるいは維持できない前提で何を準備するのか。市政の判断が問われる領域です。
都市基盤への需要が集中するという課題
71.72km²に74,337人。人口密度約1,036人という条件は、道路・上下水道・学校・保育といった基盤への需要が狭い範囲に集中することを意味します。
交通の要衝であるがゆえに通過交通も多く、生活道路と広域交通の折り合いをどうつけるかという論点も生じます。
都市型の課題を抱えているという点で、鳥栖市の仕事は県内のほかの小規模市とはかなり違う顔をしています。人口減少への対応と、集中への対応を同時に考える必要がある市だと理解しておきましょう。
災害への備え
佐賀県地震被害等予測調査(平成27年3月)は、佐賀平野北縁断層帯が全体で活動した場合にマグニチュード7.5程度・最大震度7の地震を想定し、冬深夜の発生で県全体の建物の全壊・焼失約55,000棟、死者数約4,300人、被災1週間後の避難者約177,000人と見込んでいます。(出典:佐賀県地震被害等予測調査報告書|平成27年3月)
一方、南海トラフの巨大地震については、内閣府が令和7年3月に公表した市町村別の一覧で鳥栖市の最大震度は5弱とされ、佐賀県内には最大津波高が数値化された市町がありません。(参考:南海トラフ巨大地震の市町村別最大震度・津波高一覧|令和7年3月)
交通の結節点である以上、市内の被害だけでなく、九州の物流が止まったときの影響まで視野に入る立場でもあります。
県の財政環境
佐賀県の令和8年度一般会計当初予算は5,470億66百万円で、歳入は県税1,001億06百万円(18.3%)、地方交付税1,732億44百万円(31.7%)、県債454億04百万円(8.3%)と、依存財源が56.0%を占めます。(出典:佐賀県一般会計当初予算の概要|令和8年度)
県内の市町も同じ財政環境の中にあります。基盤への需要が集中する市であればなおのこと、どの投資を先にするかという判断が重くなります。
鳥栖市の重点政策|西九州ルートと交通のまち
鳥栖市には、市の名前が県をまたぐ議論のなかに直接出てくる論点があります。この章ではそれを取り上げます。市が定める総合計画や個別計画は公式サイトで公開されていますので、あわせて開いておいてください。
新鳥栖から先が、まだつながっていない
九州新幹線西九州ルートは博多~長崎間約143kmで、武雄温泉~長崎間は令和4年9月23日に西九州新幹線として開業しました。しかし、博多~新鳥栖間は鹿児島ルートを共用し、新鳥栖~武雄温泉間はフル規格新線が未整備で、武雄温泉駅での対面乗換方式(リレー方式)が続いています。(出典:西九州ルートの概要|佐賀県)
この未整備区間の起点が新鳥栖です。
鳥栖市の名前が、九州の広域交通をめぐる議論のなかに直接置かれているということでもあります。市単独で結論を出せる話ではありませんが、交通を看板に掲げる市の職員として、この論点の所在を知らないままでは済みません。
交通の便を、市民の暮らしにどう返すか
高速道路の結節点であること、貨物ターミナルがあること、新幹線の議論の中に市の名前があること。これらはいずれも広域の話です。
一方で市役所の仕事の大半は、目の前の市民の暮らしに向いています。
広域の強みを、市民一人ひとりの生活の利便にどう翻訳するか。ここが鳥栖市の職員に問われる視点です。面接で交通の話に触れるなら、地図の上の話で終わらせず、そこから市民に何が届くのかまで言葉にしてください。
POINT|作文課題は市が公表している
鳥栖市は、過去の作文試験の課題を公表しています。一般事務A・Bでは「将来の鳥栖市の都市像を描き、その実現に向けて市職員として自分は何をしようと考えるか具体的に述べよ。」「鳥栖市職員として持つべき自覚と将来の夢について述べよ。」が出ています。第2次試験で60分の作文が課される以上、都市像を自分の言葉で語れる状態は必須です。
悪い例「交通の便がよい鳥栖市の魅力を、さらに伸ばしていきたいです」
改善例「高速道路と貨物の拠点があるまちだとうかがいました。荷物が集まる場所であることを、市民の働く場や暮らしの便利さにどうつなげるかという仕事に関わりたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
鳥栖市の受験に向けて、優先度の高いものから並べました。
- 令和8年度鳥栖市職員採用試験の試験案内(市公式サイトの職員採用のページ)
- 鳥栖市が公表する過去の作文試験課題と、採用試験の実施状況
- 鳥栖市の総合計画をはじめとする市の主要な計画(市公式サイト掲載の最新版)
- 鳥栖市の地域防災計画・ハザードマップなど防災に関する市の公表資料
- 佐賀県の西九州ルートに関する公表資料
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、鳥栖市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。鳥栖市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
鳥栖市役所の面接の概要
令和8年度の鳥栖市職員採用試験は、第1次から第3次までの三段階です。この試験の要点は、合格者の決め方が試験案内に一つずつ書かれていることにあります。
令和8年度試験(一般事務A)の流れ
| 項目 | 内容(令和8年度・一般事務A/令和9年4月採用予定) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験の三段階構成 |
| 第1次試験 | 基礎能力検査(基礎的な能力及びその応用力、学力等を総合的に測定する五肢択一式・120問・60分。言語・数理・論理・常識・英語の5尺度)と適性検査(約35分)。全国のテストセンターで実施 |
| 第2次試験 | 事務能力検査(正確さ、迅速さ等の作業能力をみる検査・50分)、作文試験(表現力・文章構成力・知識等についての筆記試験・60分)、面接試験(約15分)。会場は鳥栖市役所(予定) |
| 第3次試験 | 面接試験(約20分)のみ。会場は鳥栖市役所(予定) |
| 第1次合格者の決定 | 基礎能力検査の得点の高点順。ただし適性検査の結果が一定の基準に満たない場合は不合格 |
| 第2次合格者の決定 | 第2次試験(作文試験及び面接試験)の得点を合計した得点の高点順。ただし事務能力検査の結果が一定の基準に満たない場合は不合格 |
| 最終合格者の決定 | 第3次試験(面接試験)の得点の高点順 |
| 提出書類 | 申込専用サイトでの受験者情報の本登録と受験票用顔写真データのアップロード。「面接カード」に相当する様式は試験案内に記載がありません |
| 採用予定 | 一般事務A・一般事務B・一般事務【社会人枠】で合わせて15名程度。ほかに土木3名程度、建築1名程度、水質1名程度、社会福祉士1名程度、保育士1名程度 |
上記は令和8年度鳥栖市職員採用試験の試験案内に記載された内容です。各試験種目の配点は同案内に記載がなく、点数としては公表されていません。面接が個別面接か集団面接かの別も同案内には明記されておらず、確認できるのは第2次が約15分、第3次が約20分という所要時間です。募集の回や年度によって内容が変わりますので、必ずご自身が受験する回の試験案内をお確かめください。(出典:令和8年度鳥栖市職員採用試験案内)
各段階で得点がリセットされるという設計
もう一度、合格者の決定方法を並べてみてください。第1次は基礎能力検査の得点順、第2次は作文と面接の合計得点順、第3次は面接試験の得点順。
前の段階の得点が次の段階へ持ち越される記載は、どこにもありません。
つまり、筆記でどれだけ高得点をとっても、それは第1次を通過する切符にしかなりません。第2次では作文と15分の面接だけで順位が決まり、最終合格は第3次の約20分の面接の得点順のみで決まります。
人物試験の比重が高いという一般論ではなく、案内の文面からそう読める試験です。
この設計は、準備の配分をはっきり変えます。第1次の筆記は通過ラインを越えるための工程、面接は順位を作るための工程。同じ時間を投じるなら、後者の密度を上げたほうが結果に直結します。
決定方法の文面には、種目ごとの役割の違いも書き込まれています。第1次の適性検査と第2次の事務能力検査は、いずれも「一定の基準に満たない場合は不合格」という形でしか登場せず、順位を決める材料には挙がっていません。
順位をつけるのは基礎能力検査、作文試験、面接試験の3つです。この2種類は、準備の仕方を分けたほうがよいということでもあります。
適性検査と事務能力検査は、形式に慣れて時間内に手が止まらない状態にしておけば足ります。持ち時間を厚く割くべきなのは、順位がつく側の3つです。
段階ごとに得点が切り替わるということは、前の段階の失敗も持ち越されないということでもあります。第2次の15分で言い残したことがあっても、通過さえすれば第3次は白紙の状態から評価が始まります。
逆に、第2次で手応えがあっても、それが第3次の20分に足されることはありません。二度の面接は続きものではなく、別々の勝負だと考えて臨むほうが、切り替えは早くなります。
実施状況の数字が示すもの
鳥栖市は採用試験の実施状況も公表しています。令和7年度第2回実施分(令和8年4月採用)の一般事務Aは、申込者数174・受験者数129・第1次試験合格者13・第2次試験合格者4・最終合格者2。一般事務Bは申込者数130・受験者数123・第1次37・第2次12・最終合格6。一般事務【社会人枠】は申込者数55・受験者数49・第1次11・第2次7・最終合格4でした。(出典:令和7年度鳥栖市職員採用試験の実施状況)
技術系では、土木Bが申込26・受験26・第1次20・第2次8・最終合格2、建築Aが申込3・受験3・第1次1・第2次1・最終合格0、水質Aが申込3・受験2・第1次1・第2次1・最終合格1、社会福祉士が申込5・受験5・第1次2・第2次1・最終合格1、保育士が申込4・受験4・第1次1・第2次1・最終合格1。土木A・土木【社会人枠】・建築B・機械A・機械B・水質Bは申込者数が0でした。
令和7年度は第1回(令和7年12月採用)、第2回(令和8年4月採用)、第3回(令和8年4月採用の追加募集)と3回実施されており、第3回では一般事務Aが申込39・受験37・第1次試験合格者8・最終合格者5という結果でした。年度内に複数回の入口が開かれている市であり、募集が一度きりだという前提で予定を組むのは危険です。
20分の面接が順位を決める試験で、何が効くか
鳥栖市は、求める人物像や職員像を文章にしていません。令和8年度試験案内にも職員採用試験のページにも、それにあたる記載はありませんでした。
代わりに使えるのが、細かく公表されている選考の設計です。
まず、最終合格が約20分の面接の得点順だけで決まるという事実です。この長さで順位をつけるには、受け答えの一貫性と具体性が短時間で伝わる必要があります。
長く話せることよりも、問われたことに芯から答えられることのほうが効いてくる形式です。
15分・20分という長さは、持ち込む材料の量も変えます。冒頭の確認や経歴の聞き取りを差し引けば、掘り下げて聞かれる話はそう多く残りません。
用意した経験を順に披露していく場ではない、ということです。中心に据える経験を1本か2本に決め、志望動機を聞かれてもそこへ、強みを聞かれてもそこへ戻れるようにしておく。
同じ材料を角度を変えて出せる状態にしておけば、質問の数が少なくても伝わる量は落ちません。面接が二度あるこの市では、この作り方がそのまま第3次の備えにもなります。
次に、第2次で作文試験が課される点です。
公表されている過去の課題には「将来の鳥栖市の都市像を描き、その実現に向けて市職員として自分は何をしようと考えるか具体的に述べよ。」があります。(参考:鳥栖市職員採用試験|過去の作文試験課題)市の将来像を描く力が、筆記でも面接でも問われるということです。
そして、一般事務で15名程度という採用規模です。人口74,337人の市としては相応の規模ですが、それでも一人が受け持つ範囲は広くなります。
都市基盤への需要が集中し、広域交通の議論が市の名前で語られる環境では、目の前の業務と広い視野の往復が日常的に求められるでしょう。
以上の3点は、当研究会が合格者の決め方と市の条件から導いた読み方です。試験案内にこのとおり書かれているわけではありませんので、そのつもりで使ってください。
受験資格については、案内に明記された事実がいくつかあります。まず「資格等の「大学(高校)卒業程度」とは、試験の程度を示すものであり、学歴により受験を制限するものではありません。」という記載。
そして鳥栖市の採用試験は「国籍は問いません」とされ、永住者や特別永住者も受験できます(就職が制限される在留資格の人は受験できず、採用後は公権力の行使に該当する職務等以外の職に任用されます)。この扱いは同じ佐賀県内でも市によって異なりますので、他市の情報をそのまま当てはめないでください。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。約15分の第2次面接と約20分の第3次面接、どちらもこの7分類が土台になります。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はここまで、待ち時間は長かったですか? | 約15分と約20分の短い面接。冒頭のやりとりで話のテンポをつかめるか |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 福岡県の4市と境を接する市。あえて佐賀県の市役所を選んだ筋道が語れるか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 短い持ち時間で自分を説明できるか。前置きが長くなっていないか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 提出するのは受験者情報と顔写真のみ。経験の中身を口頭でどこまで具体的に出せるか |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に力を入れたことを教えてください | 第2次で60分の作文が課される市。話の筋道を組み立てる力が受け答えにも出るか |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 一般事務で15名程度を採用する市。配属の幅を理解したうえで希望を語れるか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 九州の交通の要衝にある市。広域の出来事と市民生活のつながりに目が向いているか |
ここまでは、どの自治体を受けるとしても用意しておく内容です。最終合格が面接の得点順だけで決まる鳥栖市では、次の2問への答えが順位に直接効きます。
合否を分けるのは「鳥栖市役所ならでは」の質問
この2問は、鳥栖市では答えの素材が豊富です。交通の要衝という強み、県内で最も低い高齢化率、そして福岡県に囲まれた位置。
素材が多いぶん、どれを選び、どうつなぐかで差が出ます。素材を5つに整理しましたので、どれを使うかを先に決めておいてください。
| 質問テーマ | 知っておきたい鳥栖市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 交通の要衝としての立地 | JR・国道・高速自動車道の分岐点。日本最初の四つ葉のクローバー型構造である鳥栖ジャンクションで九州縦貫自動車道と九州横断自動車道が交差し、JR鳥栖貨物ターミナル駅が鉄道輸送の拠点となる | 強みとして挙げるだけでなく、荷物と車が集まることが市民の暮らしに何を返すのかまで踏み込みます |
| 人口と年齢構成 | 住民基本台帳ベースで人口74,337人、高齢化率24.4%、75歳以上13.6%(令和8年1月1日現在)。同じ基準の県全体は31.8%・17.7%で、県内10市では最も低い水準 | 若さを誇る話にせず、いま比較的若いことがこれから何を意味するのかという時間軸で語ります |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 隣接6市町のうち4つが福岡県(久留米市・小郡市・筑紫野市・那珂川市)。市域71.72km²に74,337人が暮らし、人口密度は約1,036人 | 県外の都市に囲まれた位置を踏まえ、それでもこの市の現場で働きたい理由を自分の経験から述べます |
| 西九州ルート | 博多~新鳥栖間は鹿児島ルートを共用し、新鳥栖~武雄温泉間はフル規格新線が未整備。武雄温泉駅での対面乗換方式が続く | 結論を断じるのではなく、市の名前が広域交通の議論に置かれている状況を正確に理解していることを示します |
| 選考の設計 | 最終合格は第3次試験(面接試験・約20分)の得点の高点順。第2次は作文試験と面接試験の合計得点の高点順 | 試験の性格を理解していると伝わる形で、短い時間で要点を述べる話し方そのものを実演します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
手がかりになるのは、面接の長さと合格者の決め方です。約15分と約20分という持ち時間、そして最終合格が第3次面接の得点順で決まるという条件から、確かめられやすい観点を3つ取り出しました。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 短時間で要点を届ける力 | 問いに対する答えが最初の一文で立っているか。前置きに時間を使っていないか | 第3次は約20分。1つの経験を60秒で語る形に整え、掘られたら伸ばす練習をする |
| 市の将来像を語る力 | 市がどうなってほしいのかを、自分の言葉で述べられるか | 公表されている過去の作文課題が都市像を問うている。交通の要衝という条件から将来像を組み立てておく |
| 広い視野と目の前の仕事を往復する力 | 広域の話と市民の暮らしを、同じ話の中でつなげられるか | 一般事務で15名程度の採用。物流や高速道路の話を、市民に届く成果の言葉へ落とす練習をする |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。面接が2回ある鳥栖市では、同じ経験を別の角度から問われる場面も想定されます。細部まで自分の言葉で語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
順位が面接でつく試験ですから、時間の配分そのものが戦略になります。次の順で進めてください。
- 市公式サイトの職員採用のページから令和8年度の試験案内を入手し、受験する区分の試験種目と合格者の決定方法を書き出す
- これまでの経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 第1次の基礎能力検査(五肢択一式120問・60分)に向けて、時間配分を意識した演習を積む。ここは通過ラインを越えるための工程と割り切る
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 公表されている過去の作文課題を使い、鳥栖市の都市像を60分で書き切る練習をする
- この記事の第1部を読み返し、交通と年齢構成に関する鳥栖市の事実を2〜3個、資料を見ずに1分で話せるところまで持っていく
優先順位に注意
ステップ6の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ2の経験の棚卸しと、ステップ3の筆記の演習を優先してください。第1次を通過しなければ、順位を作る面接の場に立てません。一方、ステップ5の作文を後回しにできる練習と考えるのは危険です。第2次の順位は作文と面接の合計で決まりますから、ここは差をつけるための工程ではなく、第3次にたどり着くための工程にあたります。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、鳥栖市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
鳥栖市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
令和8年度鳥栖市職員採用試験の一般事務Aは、テストセンターでの基礎能力検査と適性検査による第1次、事務能力検査と作文試験と約15分の面接による第2次、約20分の面接だけの第3次という順に進みます。配点は点数として公表されていませんが、合格者の決定方法は案内に書かれており、最終合格は第3次の面接の得点の高点順で決まります。
九州の陸路交通が交わる市で、県内10市のなかで最も低い高齢化率を持ち、隣接する6市町のうち4つが福岡県。この条件のもとで自分が何をしたいのかを、実際に経験した場面から短く語れるようにしておいてください。
鳥栖市は年度内に複数回の試験を実施した実績がありますので、受験する回の試験案内を必ず確かめましょう。