本記事では、唐津市職員採用試験の面接対策で必要な、唐津市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

唐津市役所の面接では、「なぜ唐津市を志望したのか」、「唐津市職員になったら何に取り組みたいのか」、「これまで何を目標にし、何を達成してきたのか」といった問いが想定されます。

唐津市の場合、この3つ目までが対面の面接より前に、動画と書類で問われます。第1部で市の中身を押さえたうえで、第2部でその特殊な構成を見ていきましょう。

なお、第2部で扱う試験の内容は、令和8年度の一般採用枠(令和9年4月1日採用予定)について市が公表している範囲を基準にしています。試験の区分や種目は年度や採用枠によって変わりますので、必ず最新の受験案内とあわせてお読みください。

第1部|自治体研究編

唐津市の特徴

唐津市は、文化財の厚みと、原子力防災という現実的な備えを同時に抱えています。観光地としての顔だけを覚えて臨むと、話が半分で止まります。

  • 唐津くんちの曳山行事は国の重要無形民俗文化財で、平成28年(2016年)12月にユネスコ無形文化遺産(「山・鉾・屋台行事」)に登録された。毎年11月2日・3日・4日に14台の曳山が旧城下町を巡行する。
  • 虹の松原は国の特別名勝で、三保の松原・気比の松原とともに日本三大松原の一つ。全長約4.5キロメートル・幅約500メートルに約100万本のクロマツが続く。
  • 人口は112,472人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。同じ基準の佐賀県全体787,887人の約14.3%にあたる。
  • 市域は487.58平方キロメートルで、佐賀県の面積約2,400平方キロメートルのおよそ5分の1。同じ住民基本台帳の人口から計算した人口密度は1平方キロメートルあたり約231人。
  • 高齢化率は34.4%、75歳以上の割合は19.1%。同じ基準の県全体は31.8%・17.7%で、いずれの指標でも県より高い。
  • 陸で境を接するのは佐賀市・伊万里市・多久市・武雄市・東松浦郡玄海町と福岡県糸島市・長崎県松浦市。加えて長崎県壱岐市とは海上で隣接する。
  • 市の花は藤、市の木は松。市役所は西城内1番1号に置かれている。

唐津市の基礎データ

面接で数字を使うとき、唐津市は少し扱いの難しい市です。人口も面積も県内で上位に入りますが、どちらの数字も一言では説明が足りません。

項目内容
総人口112,472人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口38,640人(高齢化率34.4%)
75歳以上人口21,456人(総人口の19.1%)
総面積487.58km²(佐賀県の面積約2,400km²のおよそ5分の1)
人口密度約231人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体佐賀市・伊万里市・多久市・武雄市・東松浦郡玄海町(佐賀県)/糸島市(福岡県)/松浦市・壱岐市(長崎県。壱岐市とは海上で隣接)
市の花・木藤(花)・松(木)
市役所の所在地唐津市西城内1番1号

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の数値です。佐賀県が国勢調査に基づいて公表している統計とは、そもそもの数え方が違います。この表の数値と国勢調査の数値を突き合わせて差を出す使い方はできません。面積、境を接する自治体、市の花と木、市役所の所在地は、当研究会が整理した基礎データから取っています。

広い市域に、県平均を上回る高齢化

高齢化率34.4%は、同じ住民基本台帳の基準でみた県全体の31.8%を2.6ポイント上回ります。

75歳以上の割合も19.1%で、県の17.7%より高い水準です。人数でみると65歳以上が38,640人、75歳以上が21,456人になります。

この人数が、県の面積のおよそ5分の1にあたる487.58平方キロメートルに散らばっているところが、唐津市の難しさです。人口密度は約231人。

市街地に集まっている部分と、そうでない部分の差が大きいということでもあります。同じ制度を市内のどこにでも同じように届けるのは、この広さでは簡単ではありません。

「唐津市は人口が11万人ほどで、高齢化率が3割半ばだと聞きました。市域が県の5分の1くらいあると知って、同じサービスを市内のどこにでも届けるには、それだけ工夫が要るのだろうと感じています」

唐津市の経済・産業

文化財が観光の柱になっている

唐津くんちの曳山行事は国の重要無形民俗文化財に指定されており、2016年12月にはユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の一つとして登録されました。毎年11月2日から4日にかけて、14台の曳山が旧城下町を巡行します。(出典:唐津くんちの曳山行事|唐津市公式サイト)

虹の松原は国の特別名勝で、三保の松原・気比の松原と並ぶ日本三大松原の一つとされます。全長約4.5キロメートル・幅約500メートルに約100万本のクロマツが続き、唐津藩初代藩主の寺沢志摩守広高が防風・防潮林として植林したのが始まりと伝えられます。(参考:虹の松原|唐津観光協会)

ここで一歩踏み込んでおきましょう。松原はもともと観光施設ではなく、風と潮から暮らしを守るためのものでした。

景観として守るのか、防災の機能として守るのか。行政が扱う対象としては、この2つの見方が重なっています。

観光をどう地域の収入へ変えるか

県単位の統計で、来訪の全体像を押さえておきます。令和6年(2024年)に佐賀県を訪れた日本人は4,644万人で、前年より2.8%減りました。

このうち日帰りが4,433万人(同2.6%減)、宿泊は212万人(同6.9%減)です。(出典:佐賀県観光デジタル人流分析|令和6年)

4,644万人のうち、泊まっていくのは212万人。県内の観光は日帰りに大きく寄っています。祭りにも松原にも人は来ます。

問題はそこから先で、滞在してもらうにはまた別の設計が要ります。観光を志望動機に置くなら、来訪者数の話で終えず、泊まる理由をどう作るかまで用意しておきましょう。

県経済のなかでの位置

令和5年度の佐賀県の県内総生産(名目)は3兆4363億円で、対前年度4.1%増と3年連続のプラス成長でした。経済活動別では第3次産業が66.5%、第2次産業が31.5%、第1次産業が2.3%。

業種単位でみると製造業が25.4%で最大です。一人当たり県民所得は304万4千円にとどまり、一人当たり国民所得352万1千円との差は47万7千円でした。(出典:佐賀県県民経済計算|令和5年度)

県全体の重心は製造業にあります。一方で唐津市の顔として広く知られているのは、祭りと松原、そして海です。

県の数字をそのまま市の説明に流用すると足元がずれますので、県の重心は重心として頭に入れたうえで、唐津市の話は市の材料で組み立ててください。

唐津市の主な行政課題

唐津市の課題は、観光と原子力防災という、性格のまったく違う2本の柱の上に乗っています。次の4つで整理しておきましょう。

PAZとUPZの両方を市内に抱える

玄海原子力発電所は東松浦郡玄海町に立地し、30キロメートル圏内には玄海町・唐津市・伊万里市が所在します。唐津市は、PAZ(おおむね半径5キロメートル)に該当する地区とUPZ(おおむね半径5から30キロメートル)の両方を市内に持ちます。

PAZの対象となるのは肥前町の京泊、鎮西町の一部、呼子町の殿ノ浦西・片島・加部島などの地区です。(出典:佐賀県 原子力防災のてびき|令和6年12月改訂)

防護措置の考え方はこうです。全面緊急事態、つまり放射性物質が放出される前の段階で、PAZの住民が避難します。

UPZでは基準値以上の放射線が観測された地域が避難し、それ以外の地域は屋内退避となります。数値の基準も示されており、毎時20マイクロシーベルトを超える地域は1週間以内の一時移転、毎時500マイクロシーベルトを超える地域は1日以内の避難とされています。

同じ市の中で、地区によって最初に取るべき行動が違うという点が唐津市の特殊なところです。令和6年度の佐賀県原子力防災訓練も、県と玄海町・唐津市・伊万里市の主催で実施されました。

地区ごとの説明を届ける仕事は、防災担当だけでは回りません。

人が減れば、続けられなくなるもの

佐賀県の推計人口は、令和8年3月1日現在で778,856人です。1年間で6,068人減った計算になります。

令和8年2月の1か月では自然動態が556人減、社会動態が60人減でした。(出典:佐賀県推計人口月報|令和8年3月1日現在)

高齢化率34.4%の唐津市では、担い手の確保がそのまま行政課題になります。曳山行事のように地域の人が主役となって続いてきたものは、人が減れば維持が難しくなります。

文化の継承は、文化行政の話であると同時に人口の話でもあると押さえておきましょう。

災害の想定をどう理解しておくか

内閣府が令和7年3月31日に公表した南海トラフ巨大地震の計算結果では、佐賀県は最大津波高の一覧(都道府県別・市町村別)に掲載がありません。市町村別最大震度は県内20市町すべてが5弱以下で、唐津市は震度4とされています。(参考:南海トラフ巨大地震の市町村別被害想定一覧|令和7年3月)

一方、令和元年8月の佐賀豪雨では、県内で死亡4名(武雄市3名・佐賀市1名)、重傷2名の人的被害が生じています。(出典:令和元年佐賀豪雨の被害状況|佐賀県)

広域の地震想定では大きな数字が出ない地域であっても、豪雨では現実に犠牲が出ています。想定の種類ごとにリスクの見え方が変わることを理解しているかどうかは、防災を語るときの厚みに直結します。

広い市域で行政を届ける

487.58平方キロメートルの市域に、人口密度約231人。市街地と、そうでない地域の条件差は小さくありません。

窓口へ来てもらう前提の仕組みだけでは届かない範囲が生まれます。移動、医療、買い物、そして避難。

この距離の問題は、原子力防災とも高齢化とも直結する論点です。

唐津市の重点政策|県の方向づけと市の計画

原子力防災の枠組みは、県や国が決めた設計の上に市の役割が乗る形になっています。唐津市の計画を読む前に、その上位にある県の課題認識を押さえておくと、市の取組の位置づけが見えてきます。

「集落機能の低下」という言葉

県が人口減少をどう捉えているかは、佐賀県人口ビジョン(平成27年6月策定)に書かれています。若い世代の都市部への流出と出生率の低下によって人口減少時代を迎えた、というのが県の現状認識です。

このままでは経済活動や集落機能の低下など地域の活力が失われていくことが懸念される、と県は課題を明記しました。国立社会保障・人口問題研究所の2013年3月推計を基礎とした試算では、県の総人口は2040年に68.0万人、2060年に54.3万人とされています。(出典:佐賀県人口ビジョン|平成27年6月)

注意したいのは年次です。試算も、その基礎になった推計も、10年以上前のものになります。

いまの見通しとして口にすると足元をすくわれますので、引用するなら年次もあわせて言いましょう。

押さえたいのは、県が集落機能の低下を課題として名指ししている点です。広い市域に集落が点在する唐津市にとって、これは他人事の記述ではありません。

観光をどう地域の力に変えるか

県外や海外から人と収入を呼び込むことは、県にとっても市にとっても共通の課題です。唐津市は、ユネスコ無形文化遺産に登録された祭りと、国の特別名勝という、名前の通った素材を2つ持っています。

ただし、素材の知名度と地域の収入は自動ではつながりません。県内の来訪が日帰りに大きく寄っていることは先に見たとおりです。

祭りの日に来た人へ、翌日も市内にいる理由を用意できるか。観光を語るなら、この問いに自分なりの答えを持っておきましょう。

POINT|1分の動画で言えることは多くない

唐津市の第2次試験では、取り組みたいことを1分以内の動画で述べます。計画名や事業名を並べる時間はありません。曳山行事、虹の松原、PAZとUPZ、広い市域。どれか1つに絞って、そこから自分の経験へ橋を架けてください。

悪い例「唐津市の豊かな観光資源を生かしたまちづくりに貢献したいです」

改善例「唐津くんちは地域の方が担ってこられた行事だとうかがいました。人が減るとお祭りを続けること自体が難しくなりますので、担い手をどう増やすかというところから関わってみたいです」

あわせて確認したい公式資料

動画と600字を用意する前に、開いておきたいものを挙げます。受験案内は必須で、あとの4点は書く材料になります。

  • 唐津市職員採用試験の受験案内(市公式サイトの採用情報に掲載される最新のもの)
  • 唐津市の総合計画をはじめとする市の主要な計画(市公式サイト掲載の最新版)
  • 唐津市の地域防災計画・原子力災害に関する市の公表資料
  • 佐賀県 原子力防災のてびき(令和6年12月改訂)
  • 佐賀県人口ビジョン(平成27年6月)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、唐津市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。唐津市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

唐津市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

唐津市役所の面接の概要

唐津市の試験は、一般的な公務員試験の形とはっきり違います。第2次試験は面接ではなく、1分以内の動画2本と600字の書類を審査する「動画および書類審査」です。

対面の個別面接は、その先の第3次試験に置かれています。

令和8年度・一般採用枠の枠組み

令和8年度の一般採用枠で募集された職種は、一般事務(学芸員を含む)A〜F、土木A〜C、建築、電気、機械、消防、保健師、社会福祉士、保育士で、採用予定者数はいずれも若干名です。

段階・職種内容(令和8年度・一般採用枠)
第1次試験(全職種)能力検査。職務を遂行するために必要な基礎的な能力として、言語・数理・論理・常識・英語を検査する(試験時間は約60分・テストセンター方式)。一般事務A・D・土木A・建築・電気・機械は大学卒業程度、一般事務B・C・土木B等は高校卒業程度の難易度
第2次試験(全職種)動画および書類審査。所定のテーマについて提出した自己PR等の内容により、職員として適する人物かを審査する
第2次試験の動画①自己PR(1分以内)②唐津市職員になったら取り組みたいこと(1分以内)の2本を、専用URLから提出する
第2次試験の書類「これまでの人生で、目標としてきたこと、達成できたことについて、600字以内で入力してください」という設問に、エントリーの際にマイページから記入する
第2次試験(消防のみ)体力試験を追加。男性は走力(シャトルラン)・けんすい・握力・反復横とび・上体起こし、女性は走力(シャトルラン)・斜めけんすい・握力・反復横とび・上体起こし
第3次試験(全職種)適性検査(受験者が用意した端末で実施し、専用の受験会場は設けない)、事務能力検査(唐津市役所で実施)、個別面接(唐津市役所で実施)の3科目
合否の判定方法試験区分ごとに得点の高い順に決定し、第2次試験では第1次試験の結果を、第3次試験では第2次試験の結果を考慮する。成績が一定の基準に満たない場合は合格者なしとすることがある
未提出等の扱い期限までに動画の提出がなかった場合、または体力試験を受験しなかった場合は、第2次試験のすべての科目が採点されない
申込方法すべてインターネットでの受付のみ。持参や郵送では受け付けない。受験者ごとに「マイページ」を設定し、日程変更の通知、第1次試験の合格通知、試験結果の開示もマイページを通じて行う(電話等による開示請求はできない)
第1次試験の性格案内は「択一式による試験であり、特別な公務員試験対策は不要です」と明記している
第1次試験の免除土木Cについては、一定の条件を満たす場合に第1次試験を免除する

上記は、令和8年度の唐津市職員採用試験(一般採用枠)について市が公表している内容です。各試験の満点や、人物にあたる部分の比重は、案内の全11ページを通じて示されていません。市公式の試験案内ページには一般事務UJIターン枠についての記載もありますが、本記事が基準にした一般採用枠の受験案内には、この枠の試験内容までは記されていません。UJIターン枠を志望する場合は、市の採用情報ページで枠ごとの最新の案内をご確認ください。試験の区分・種目・配点は年度や採用枠によって変わりますので、受験の際は必ずご自身の区分の最新の受験案内をご確認ください。(出典:令和8年度唐津市職員採用試験(一般採用枠)受験案内|令和8年度)

この構成で最も重いのは、判定の仕方です。第2次試験は第1次試験の結果を、第3次試験は第2次試験の結果を考慮して合格者を決めます。

つまり、動画と600字の評価は第2次試験で使い切られるのではなく、最終段階まで持ち越されます。

加えて、動画を期限までに出さなければ第2次試験のすべての科目が採点されません。提出そのものが合否の前提条件になっているということです。

この考慮のされ方は、第1次試験の受け止め方にも関わります。案内は能力検査について「特別な公務員試験対策は不要です」と書いていますが、不要とされているのは公務員試験向けの対策であって、取った点が次の段階で消えるとは書かれていません。

通過すればそれで役目が終わる段階は、唐津市の試験にはありません。

提出物の種類から読めること

唐津市の評価軸を探すなら、公表された文言よりも提出物の一覧を見るほうが早いでしょう。受験案内にも試験案内ページにも人物像を言葉で掲げていない一方、動画2本と600字という出させ方には、市の関心がはっきり出ています。

まず、人口112,472人・市域487.58平方キロメートルという規模です。県内で上位に入る人口を持ちながら、市域は県の面積のおよそ5分の1。

地域の団体や事業者と組んで進める場面と、担当者が一人で広い範囲を受け持つ場面の、どちらもあります。どちらか一方に寄せて考えないほうがよいでしょう。

次に、職種の幅です。一般事務から土木・建築・電気・機械、消防、保健師、社会福祉士、保育士まで並びます。

市が直接持っている現場がそれだけ広いということです。行政職として入るなら、これらの現場を支える側に立つ想像力が問われます。

そして、PAZの地区とUPZの地区を同じ市内に抱えるという条件です。同じ説明を全市民に流せばよいという仕事ではありません。

地区ごとに違う内容を、正確に、誤解なく届ける。この慎重さは、日常の窓口業務の丁寧さと地続きです。

ここまでの3点は、動画2本と600字という提出物の設計から当研究会が逆にたどった見立てで、唐津市が公表した評価基準ではありません。備えの側へ話を戻すと、要点は分量にあります。

1分の動画2本と600字。この分量では、話を大きく見せる余地がありません。実際にやったことを、短く、具体的に言える形にしておいてください。

60秒2本と600字の割り振り

提出物は3つですが、扱う時間軸は同じではありません。自己PRの動画はこれまでの自分、取り組みたいことの動画はこれからの自分、600字の書類は「目標としてきたこと、達成できたこと」ですから、また過去へ戻ります。

自己PRと600字は素材が重なりやすく、放っておくと同じ話を二度出すことになります。先に600字を書き、そこに収まらなかった面を自己PRの動画へ回すと、3つがそれぞれ別の役目を持ちます。

分量の見当もつけておきましょう。落ち着いた速さで話す場合、60秒に入るのは目安として300字ほどです。

原稿を書き、読み上げ、はみ出した分を削る。この往復を何度か通しておかないと、本番で早口になるか、言い終わらないうちに1分が来ます。

取り組みたいことの動画なら、市の材料は1つに絞り、残った秒数を自分の経験に充てるのが現実的なところです。

もうひとつ、映像で出させる試験では、撮る条件そのものが伝わり方を左右します。明るい方を向いて座り、背後に生活の物が入らない位置を選び、端末は手に持たずに固定する。

撮り終えたら必ず自分で再生し、音がこもっていないか、話の切れ目で目線が下へ落ちていないかを確かめてください。提出は専用URLからですので、通信が不安定な場所は避け、締切当日ではなく前日までに送り終えるつもりで動きましょう。

機材や提出手順の細かい指定は、受験する年度の案内に従ってください。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。唐津市の場合も、第3次試験の個別面接に向けて、この7分類で一度ずつ答えを作っておきましょう。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどのように会場まで来られましたか?第3次試験は市役所で実施。動画で見た印象と、その場の受け答えがつながるか
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?動画で述べた「取り組みたいこと」と、志望の理由が一本の線でつながっているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?1分の自己PRに入れなかった側面を、口頭でどう補うか
④ 経験・行動これまでで最も苦労した経験と、その乗り越え方を教えてください600字で書いた「目標としてきたこと」の中身が、口頭で細部まで出るか
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れたことを教えてください書類の記述と話す内容にずれがないか
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?一般事務から消防・保健師まで職種の幅が広い市。行政職として何を支えるかの解像度
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?PAZとUPZを市内に抱える地域。世の中の出来事を、この市の事情に置き換えて話せるか

ここまでは、どの自治体を受けても用意できる中身です。唐津市の場合、それより前に動画と600字で何を語るかが問われますから、市固有の材料は早い段階で要ります。

次の2問がその中身に直結します。

合否を分けるのは「唐津市役所ならでは」の質問

「なぜ佐賀県庁ではなく、唐津市役所なのですか?」
「唐津市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

この2問への答えは、対面の面接だけでなく、動画1分と600字の中身にもそのまま反映されます。先に作っておけば3か所で使えるということです。使える事実を並べておきます。

質問テーマ知っておきたい唐津市の事実答え方のヒント
人口と年齢構成住民基本台帳ベースで人口112,472人、高齢化率34.4%、75歳以上19.1%(令和8年1月1日現在)。県全体は同じ基準で31.8%・17.7%県との差の指摘で終えず、市域487.58km²にその人数が散らばっているという広がりまで話を進めます
なぜ県庁ではなく市役所か募集職種は一般事務から土木・建築・電気・機械、消防、保健師、社会福祉士、保育士まで及び、採用予定はいずれも若干名県と市の優劣を論じず、市が直接持っている現場の広さに触れ、そこで自分が誰を支えたいのかを述べます
唐津くんちと文化の継承曳山行事は国の重要無形民俗文化財で、2016年12月にユネスコ無形文化遺産に登録。毎年11月2日から4日に14台の曳山が旧城下町を巡行する祭りの紹介で止めず、担い手が減れば継承そのものが難しくなるという人口の論点に接続します
虹の松原国の特別名勝で日本三大松原の一つ。全長約4.5km・幅約500mに約100万本のクロマツ。もとは防風・防潮林として植林された景観としての価値だけでなく、暮らしを守る機能として植えられたという成り立ちに触れると、話に厚みが出ます
原子力防災玄海原発の30km圏にあり、市内にPAZ該当地区(肥前町京泊、鎮西町の一部、呼子町の殿ノ浦西・片島・加部島など)とUPZの両方を持つ危険性の指摘で止めず、同じ市内でも地区によって最初に取る行動が違うという枠組みの理解を示します

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

唐津市の選考では、動画と書類の評価が最終段階まで持ち越されます。つまり、早い段階で出した自分の言葉が、後の面接で確かめられる形です。

いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
短く、具体的に語る力1分の動画と600字で伝えたことが、口頭でも同じ密度で出てくるか主要な経験を1つ選び、60秒で話す版と600字で書く版の両方を作って、内容をそろえておく
目標を立てて達成した経験書類審査の設問そのもの。何を目指し、何をして、どこまで届いたか結果の大きさより、途中で何を変えたかが語れる題材を選ぶ。数字が出せるものがあれば添える
正確に伝える慎重さ複雑な内容を、省略しすぎず、誤解のない形で説明できるかPAZとUPZで対応が分かれるような、条件付きの話を1つ選び、順序立てて説明する練習をしておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 市の採用情報ページで受験する年度の受験案内を手に入れ、自分の職種の難易度区分と、動画の提出期限を最初に確認する
  2. これまでの経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイト・仕事から、話せる具体例を1つずつ書き出す
  3. 書類審査の設問「目標としてきたこと、達成できたこと」に、600字で一度書いてみる。書いた内容が面接で掘られる前提で選ぶ
  4. 自己PRと「取り組みたいこと」を、それぞれ60秒で言い切れる長さに削る。声に出して時間を計る
  5. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  6. 固有質問の対応表から材料を選び、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編み、ステップ3と4の中身にも反映させる

優先順位に注意

ステップ6の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。ただし唐津市の場合、ステップ3と4の提出物が先に来ますので、時間配分だけは注意してください。動画の提出がなければ第2次試験は採点されません。自分のことを語れない状態で唐津市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、唐津市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

唐津市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

唐津市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度の一般採用枠では、一般事務から消防・保健師・社会福祉士・保育士まで幅広い職種が募集され、採用予定はいずれも若干名でした。第2次試験は1分以内の動画2本と600字の書類審査、対面の個別面接は第3次試験です。

前の段階の結果が次の段階でも考慮されますから、最初に出した言葉が最後まで効いてきます。

人口11万人あまり、県の面積のおよそ5分の1という市域、ユネスコ無形文化遺産となった祭り、そして市内にPAZとUPZの両方を抱えるという条件。最初の1分で、この中のどれを選んで語るのか。

その取捨選択そのものが、唐津市では準備の中身になります。職種ごとの種目と提出物は、受験する年度の受験案内で必ず確かめましょう。