本記事では、佐賀県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、佐賀県警察の特徴・基礎データ・県内の治安情勢・令和8年の運営指針と活動重点・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
佐賀県警察の面接試験では、「なぜ佐賀県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。佐賀県の治安の現状と県警察の方針を知っておくことで、抽象的な回答を避け、佐賀県警察ならではの事情を踏まえた説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と佐賀県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|組織研究編
佐賀県警察の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは佐賀県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 佐賀県全域を管轄し、管轄人口は約77万9千人。令和8年3月1日現在の推計人口は778,856人で、前年の同じ月から6,068人減っています。(出典:佐賀県の推計人口|令和8年3月)
- 管轄区域は10市10町。九州の北西部に位置し、東は福岡県、西は長崎県に接し、北は玄界灘、南は有明海に面しています。県の面積は約2,400平方キロメートルです。(出典:佐賀県の紹介|佐賀県公式)
- 県警本部は佐賀市松原一丁目1番16号に置かれ、内部部局は総務部・警務部・生活安全部・地域部・刑事部・交通部・警備部の7部で構成されています。
- 県内の人口は一様ではありません。令和2年国勢調査では佐賀市が233,301人で県総人口の28.75%を占め、次いで唐津市117,373人、鳥栖市74,196人と続きます。最も少ない玄海町は5,609人です。(出典:国勢調査結果の概要|令和2年)
- 年齢構成には特徴があります。同じ国勢調査で15歳未満の年少人口の割合は13.45%と全国3位(沖縄県・滋賀県に次ぐ水準)である一方、65歳以上の高齢化率も30.63%と3割を超えています。子どもの層も高齢者の層も厚い県だということです。
- 令和7年の刑法犯認知件数は4,162件で、件数の水準そのものは全国でも少ない部類に入ります。ただし、前年から4.6%増え、増加の側に振れたという点が、いまの佐賀県の治安情勢を読むうえでの起点になります。
佐賀県警察の基礎データ
面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「佐賀県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、管轄する県土と人口、本部の組織、犯罪情勢など、組織の置かれた環境を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管轄区域 | 佐賀県全域・10市10町 |
| 管轄人口 | 約77万9千人(令和8年3月1日現在の推計人口778,856人) |
| 管轄面積 | 約2,400平方キロメートル(九州北西部。北は玄界灘、南は有明海に面する) |
| 県警本部の所在地 | 佐賀市松原一丁目1番16号 |
| 本部の組織 | 総務部・警務部・生活安全部・地域部・刑事部・交通部・警備部の7部 |
| 刑法犯認知件数 | 4,162件(令和7年・前年比4.6%増) |
| 刑法犯検挙率 | 53.1%(令和7年) |
管轄人口は佐賀県の推計人口(令和8年3月1日現在)、面積と地勢は県公式「佐賀県の紹介」、市町別人口は令和2年国勢調査、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)と検挙率は令和7年の犯罪統計(確定値)にもとづく数値です。警察署・交番・駐在所の設置数や職員定数はこの記事では扱っていないため、必要な方は佐賀県警察の公表資料をご確認ください。
数字から考えられる治安課題
佐賀県の犯罪情勢は、二つの数字を並べると輪郭がはっきりします。
令和7年の刑法犯認知件数4,162件は全国的に見て少ない水準ですが、前年からは4.6%増えました。一方で刑法犯全体の検挙率は53.1%あり、認知された事件の半数以上で犯人にたどり着いている計算になります。
検挙の力は保てているが、発生そのものは増える側へ動き出したという状態です。
もう一つ、背景として押さえておきたいのが人口の動きです。
令和8年3月1日現在の推計人口は778,856人で、前年の同じ月から6,068人減りました。令和8年2月の1か月だけで見ても、出生と死亡の差である自然動態が556人の減、県外との転出入の差である社会動態が60人の減です。
地域で見守る側の住民が着実に減っていくなかで、犯罪の件数は増加に転じています。この二つが同時に起きているところに、いまの佐賀県警察が置かれた状況があります。
たとえば面接で県内の治安について聞かれたときは、次のように件数と人口の動きをつないで説明できます。
佐賀県の治安情勢
刑法犯認知件数と検挙の状況
令和7年の県内の刑法犯認知件数は4,162件、前年比4.6%の増加でした。
増加率そのものは急激ではありませんが、件数の絶対値が小さい県では、数十件の動きでも住民の実感に届きます。
刑法犯全体の検挙率は53.1%です。
検挙率が5割を超えているのは、届出を受けてから犯人を割り出すまでの捜査が、限られた人員のなかで回っているということです。
ただし検挙は、起きてしまった事件への対応にあたります。
発生そのものを減らす仕事は、防犯の呼びかけや地域との関係づくりという別の側にあり、増加に転じた今はそちらの比重が増していきます。
主な罪種の内訳
発生そのものを抑えるという話につなげるには、何が発生しているのかを知る必要があります。4,162件の令和7年の内訳を、主な罪種に分けました。
| 主な罪種(令和7年・認知件数) | 件数 |
|---|---|
| 殺人 | 3件 |
| 強盗 | 10件 |
| 侵入盗 | 216件 |
| 自動車盗 | 5件 |
| ひったくり | 1件 |
命に関わる重要犯罪はごく限られ、路上でのひったくりに至っては令和7年の認知が1件です。代わりに存在感を持つのが侵入盗の216件で、刑法犯全体のおよそ19件に1件を占めます。
人通りの多い街頭で起きる犯罪よりも、住まいや事業所に入り込む盗みをどう防ぐかが、佐賀の防犯の中心にあるということです。
鍵かけの呼びかけ、留守宅や作業小屋の見回り、住民との日常的な情報のやり取りといった地道な活動が、そのまま数字に返ってくる領域だといえます。
ニセ電話詐欺という県警察の言葉
佐賀県警察は、いわゆる特殊詐欺を「ニセ電話詐欺」と呼んでいます。
令和8年の活動重点でも、この「ニセ電話詐欺等の総合対策」が6項目の筆頭に置かれました。
対象にはSNS型投資詐欺やロマンス詐欺も含まれ、最新の手口に関する情報発信と、金融機関やコンビニエンスストアと連携して利用客に声を掛ける取組、そして暴力団や匿名・流動型犯罪グループの取締りが一つの柱にまとめられています。
この呼び方を使えるかどうかは、佐賀県警察の公表資料に目を通したかどうかの分かれ目にもなります。
面接で詐欺対策に触れるなら、県警察が使っている言葉をそのまま用いるほうが、組織の発信を実際に読んだ受験者だと受け取ってもらえます。
あわせて、令和6年度の作文試験ではSNSの使い方そのものが出題されており、詐欺の入口となるインターネット空間との向き合い方を、受験者自身の問題としても問う姿勢がうかがえます。
人口減少と地域の見守り力
治安の土台になるのは、地域に人が住み続けていることです。その前提が、佐賀県では静かに変わりつつあります。
令和2年国勢調査の総人口は811,442人でした。佐賀県は平成12年から15年連続で全国42位が続いていましたが、この調査では41位に上がっています。
ただし順位はあくまで他県との比べ合いの結果で、実数のほうは減り続けており、令和8年3月には778,856人になりました。
県自身も人口ビジョンのなかで、若い世代の都市部への流出や出生率の低下によって地域の活力が失われていくことへの懸念を、課題として明記しています。
年齢構成を見ると、年少人口の割合は13.45%で全国3位と、子どもの相対的な多さが際立ちます。
一方、前回の平成27年調査から2.99ポイント上昇した高齢化率は30.63%となり、3割の水準に乗りました。
通学路の見守りや少年の非行防止といった仕事と、高齢者を狙う詐欺の被害防止という仕事が、同じ地域のなかに並んで存在しているということです。
人の流れと交通の安全
人口が減る一方で、県内を行き交う人の数は桁違いに多いままです。
県の観光デジタル人流分析によると、令和6年の総来訪者数(日本人)は4,644万人でした。前年比2.8%減と3年ぶりに減少したものの、なお県人口のおよそ60倍にあたります。
注目したいのはその内訳で、日帰り客が4,433万人と全体の9割を超え、宿泊者は212万人にとどまります。(出典:観光デジタル人流分析|令和6年)
日帰りが中心だということは、県内の移動の多くが道路の上で起きているということです。
令和4年9月には武雄温泉と長崎を結ぶ西九州新幹線が開業し、鉄道のなかった嬉野市に新駅ができました。
新鳥栖と武雄温泉の間は在来線を使う乗換方式が続いており、鉄道と道路を乗り継ぐ移動が県内に残っています。(参考:西九州ルートの概要|佐賀県公式)
九州佐賀国際空港の羽田便も令和6年度に469,287人が利用しました。(出典:九州佐賀国際空港の利用実績|令和6年度)
令和8年の活動重点は、交通分野を「安全で快適な交通社会の実現」と表現し、歩行者も自転車利用者も含む全ての道路利用者を対象に据えています。運転者の取締りだけを指しているのではない、という点が読みどころです。
県内の交通事故の発生件数や死者数は毎年公表され、数値も年ごとに動きます。面接で交通安全に触れる場合は、佐賀県警察が公表する最新の交通事故統計をあわせてご確認ください。
佐賀県の主な治安課題
ここまでの数字を踏まえると、佐賀県警察がいま向き合っている課題が見えてきます。面接で「佐賀県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
増加に転じた刑法犯と体感治安
年に4,162件という水準は、住民一人ひとりから見れば「めったに起きないこと」の側にあります。
だからこそ、身近な場所で一件でも事件が起きれば、その情報は狭い地域社会のなかを速く伝わり、体感治安を大きく揺らします。
件数が全国的に少ない県ほど、統計の改善だけでは住民の安心につながらないという事情を抱えているわけです。令和8年の運営指針が「安全安心を実感できる佐賀県」という言い方をしているのは、この事情と無関係ではありません。
ニセ電話詐欺と匿名・流動型犯罪グループ
活動重点の筆頭に詐欺対策が置かれていることは、それだけで佐賀県警察の問題意識を示しています。
電話も送金もSNSも距離を選ばないため、人口の少ない県であっても手口は同じように届きます。
指示役が匿名の陰に隠れ、実行役だけが短期間で入れ替わる匿名・流動型犯罪グループへの取締りが同じ柱に並べられているのは、末端を捕まえるだけでは被害が止まらないという構造を踏まえたものです。金融機関やコンビニエンスストアとの連携が明記されている点も、警察だけでは完結しない仕事であることを示しています。
サイバー空間の脅威と人材の育成
詐欺の入口がインターネットへ移っていることと表裏の関係にあるのが、サイバー分野です。
令和8年の活動重点は「サイバー空間における脅威への的確な対応」を独立した柱に立て、フィッシングや不正アクセス、ランサムウェアといった犯罪の取締りと、官民が連携した被害防止対策を掲げています。
あわせて、それらに対応するための人材育成の強化まで書き込まれている点が特徴です。専門知識を持った職員を組織の内側で育てていく必要がある、という認識の表れといえます。
情報系の学習経験がある人にとっては、志望動機と接続しやすい領域です。
道路利用者の広がりと交通安全
令和6年の来訪者4,644万人のうち9割超が日帰りという構造は、県内の道路を走る車のなかに県外からの運転者が相応に混じっていることをうかがわせます。
慣れない道での運転は判断の遅れを生みやすく、地元の人にとっての「いつもの道」が、来訪者にとってはそうではありません。
活動重点が歩行者と自転車利用者まで対象に含め、交通安全教育と広報啓発を取締りと並べて書いているのは、道路の使い手が多様であることへの対応でもあります。
現に経験した大雨と、想定されている内陸の地震
佐賀県は、大規模な水害を現実に経験している県です。令和元年8月27日からの大雨(令和元年佐賀豪雨)では六角川や牛津川などが氾濫し、令和5年1月13日現在で武雄市の3名と佐賀市の1名の計4名が亡くなり、2名が重傷を負いました。(出典:令和元年佐賀豪雨の被害状況|令和5年1月現在)
地震についても想定は軽くありません。
県が平成27年3月にまとめた地震被害等予測調査は、小城市から佐賀市・神埼市を経て吉野ヶ里町へ東西に延びる佐賀平野北縁断層帯(長さ約22キロメートル)の全体が動いた場合、マグニチュード7.5程度・最大震度7の揺れを想定しています。
冬の深夜に発生した場合の被害は、建物の全壊と焼失が約55,000棟、死者約4,300人、負傷者約16,000人、被災1週間後の避難者約177,000人という規模です。
令和8年の活動重点が「テロ・災害等の緊急事態対策」に自治体や重要インフラ事業者との連携と実践的な訓練を掲げているのは、この二つのリスクを前提にしたものです。(出典:佐賀県地震被害等予測調査|平成27年)
重点方針|令和8年佐賀県警察運営指針及び活動重点
佐賀県警察は、佐賀県公安委員会とともに、毎年の警察活動の方向を示す運営指針と活動重点を定めています。令和8年の運営指針は「県民の期待と信頼に応える力強い警察」で、副題として「安全安心を実感できる佐賀県を目指して」が掲げられました。(出典:令和8年佐賀県警察運営指針及び活動重点|令和8年)
指針を貫く考え方
この運営指針と副題には、押さえておきたい言葉が三つ入っています。
まず「期待と信頼」で、警察の側が良い仕事をしたと思うかどうかではなく、県民がどう受け止めるかを基準に置いています。
次に副題の「実感できる」という語で、統計上の数字が改善しても、住民の安心につながらなければ達成とはみなさないという構えです。
そして「力強い」という語には、事件事故に正面から向き合う実行力が込められています。面接で「どんな警察官になりたいか」を考えるときも、この三語は軸になります。
6つの活動重点
活動重点は次の6項目です。あわせて、それぞれが指している内容を受験生向けに当研究会の言葉でかみ砕きました。
| 活動重点(公式の項目名) | 受験生向けの解説 |
|---|---|
| ① ニセ電話詐欺等の総合対策 | 詐欺対策を筆頭に据えた柱。SNS型投資詐欺やロマンス詐欺を含めた被害防止と、最新の手口の情報発信、金融機関やコンビニエンスストアの窓口で利用客に呼びかける取組、暴力団や匿名・流動型犯罪グループの取締りまでを一つにまとめている |
| ② 重要犯罪等の徹底検挙と県民の安全安心の確保 | 起きた事件を確実に検挙する柱。殺人・強盗・性犯罪などの重要犯罪と身近な窃盗の検挙に加え、人身の安全を早急に確保する必要のあるストーカー、DV、虐待の事案への的確な対応を含む |
| ③ 安全で快適な交通社会の実現 | 歩行者や自転車利用者まで含めた全ての道路利用者を対象に、交通ルールの遵守とマナー向上を図る柱。交通安全教育と広報啓発、事故抑止につながる指導取締りが並ぶ |
| ④ サイバー空間における脅威への的確な対応 | フィッシングや不正アクセス、ランサムウェアなど、サイバー空間を悪用した犯罪の取締りと官民連携による被害防止。あわせて対応できる人材を育てる取組も明記されている |
| ⑤ テロ・災害等の緊急事態対策 | 緊急事態に備える柱。情報の収集と分析、自治体や重要インフラ事業者との連携強化、警戒活動と実践的な訓練による対処能力の向上、そして事態が起きたときの警察力の集中投入までを含む |
| ⑥ 高い規律と士気を有する組織運営 | 組織そのものを支える柱。全体の奉仕者としての高い倫理観と基本の徹底、優秀な人材の採用と育成、働きやすい職場環境の整備が挙げられている |
面接では、自分の取り組みたい仕事がこの6つのどれに位置づくのかを一言添えられるだけで、組織の方向性を踏まえた志望だと伝わります。各項目の説明文の全文は、県警察の公式ページで確認できます。
POINT|6つの活動重点をすべて暗記しなくてよい
項目名を覚えることが組織研究の目的ではありません。関心のある柱を1〜2つ選び、「①県内で何が起きているか(数字) → ②県警察はどう対処しようとしているか(活動重点) → ③自分はどの現場で何をしたいか」の順で調べましょう。
悪い例「地域の安全を守れる警察官になりたいです」
改善例「はじめは交番で地域のことを覚えたいです。そのうえで、佐賀県警察は活動重点の一番目にニセ電話詐欺の対策を挙げていて、金融機関やコンビニの方と一緒にお客さんへ声をかける取組をしていると知りました。声をかけるかどうかで被害が止まるかどうかが決まる場面だと思いますので、私もその一歩を踏み出せる警察官になりたいです」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。
- 採用試験実施計画
試験種目・配点・面接の形式はこの資料に記載されています。採用案内のページからたどれます - 警察官募集のページ
受験資格・採用予定数・日程・申込期間のほか、仕事内容や職員の紹介を確認できます - 運営指針及び活動重点
令和8年の運営指針と6つの活動重点について、それぞれの説明文の全文が載っています - 犯罪統計・交通事故統計
数字は毎年更新されるため、面接で使う値は必ず最新のものを確認しましょう
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、佐賀県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。佐賀県警察の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
佐賀県警察の面接の概要
ここからは、佐賀県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
佐賀県警察の面接の流れ
佐賀県警察の採用に関する情報は、公表されている場所が二層に分かれています。
公式サイトの採用案内と各試験区分のページでは受験資格・採用予定数・日程・申込期間が示され、試験種目・配点・面接の形式は「採用試験実施計画」に記載されています。
公表資料から確認できる範囲を整理すると、次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 採用区分 | 警察官A・警察官Bの区分があります(当研究会が収集した論作文過去問の収録区分にもとづく) |
| 記述式の種目 | 警察官A=論文、警察官B=作文。当研究会が収集した過去問ではいずれも試験時間60分 |
| 記述式の字数 | 公表されていません(当研究会の過去問整理では、おおむね800字程度を目安としています) |
| 試験種目・配点 | 採用試験実施計画に記載されています。最新の受験案内でご確認ください |
| 面接の形式 | 採用案内ページの本文では確認できていません。最新の受験案内でご確認ください |
| 採用案内ページで分かること | 受験資格・採用予定数・日程・申込期間 |
この構成から読み取れることが二つあります。
一つ目は、公式の採用案内ページで分かるのは受験の入口にあたる情報までで、種目と配点は実施計画を自分で開かないと分からないということです。
募集の日付だけ確認して終わる受験生と、実施計画まで目を通す受験生とでは、準備の設計が最初から変わります。(出典:警察官採用試験の案内|佐賀県警察)
二つ目は、配点が手元で確認できない以上、面接の比重を軽く見積もるのは危険だということです。
記述式に60分が充てられ、そのテーマが人物と倫理に寄っていることを踏まえると、書く準備と話す準備は切り離せません。
数字が分からないからこそ、人物を見られる場に厚く時間を配るほうが安全です。
上記の整理は、佐賀県警察が公表する採用案内ページの本文と、当研究会が収集した論作文過去問にもとづくものです。試験の種目・配点・面接形式・提出書類・日程等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報(採用試験実施計画を含む)をご確認ください。
佐賀県警察が求める人材
佐賀県警察は、「求める人物像」として定式化した文言を採用案内ページの本文には掲げていません。そのため、公表された言葉から人物像を読み解く必要があります。
最大の手がかりは、令和8年の運営指針「県民の期待と信頼に応える力強い警察」と、活動重点の6番目にある「全体の奉仕者として高い倫理観を保持し、基本の徹底に努める」という一文です。
もう一つの手がかりが、論文・作文の出題テーマです。ここに佐賀県警察のはっきりした傾向が出ています。
令和7年度は論文が「規律やモラルを守る必要性を感じた経験」、作文が「県民から信頼される警察官となるために必要なもの」でした。
令和4年度の論文では「警察官という職業には、なぜ高い倫理観や規律を遵守することが求められるのか」が問われ、令和5年度の作文は「人から信頼されるために大切にしていること」です。規律・倫理観・信頼という同じ主題が、区分を越えて何年も繰り返されています。
これは、活動重点の6番目が掲げる組織運営の考え方と、そのまま重なります。
書かせている内容が、面接で確かめたいことと同じだということです。
記述式の準備は面接の準備と切り離さず、同じ材料で進めてください。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。佐賀県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 試験会場までは、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく、なぜ警察官なのですか? | 他の進路と比べたうえでの職業理解の深さと、選択の理由の一貫性 |
| ③ 自己理解 | あなたの強み(自己PR)を教えてください | 自分の強みを、警察の仕事の場面と結びつけて説明できているか |
| ④ 経験・行動 | 学生時代に最も力を入れたことは何ですか? | 実績の大きさではなく、実際にとった行動の事実と、そこから学ぶ姿勢 |
| ⑤ 学業・経歴 | 専攻分野(学科・コース)を選んだ理由を教えてください | 自分の選択の理由を、後づけでなく話せるか。意思決定の一貫性 |
| ⑥ 適性・将来 | 体力に自信はありますか? | 交替制勤務や訓練に耐える体力の裏づけと、日頃の健康管理の習慣 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 警察官に最も必要な資質は何だと思いますか? | 職業観の成熟度と、県民を守る仕事への当事者意識 |
ただし、この7カテゴリーは佐賀県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
なお、警察官の採用面接では、規律ある集団生活への適応や、危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問がされることがあります。そうした質問が存在することをあらかじめ知っておくだけでも、当日の落ち着きが変わります。
合否を分けるのは「佐賀県警察ならでは」の質問
どちらも、佐賀県の現状と県警察の方針を知らなければ、その場では答えようがない質問です。
逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「佐賀県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい佐賀県警察の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 治安の現状 | 令和7年の刑法犯認知件数は4,162件で前年比4.6%増。検挙率は53.1%。侵入盗が216件ある一方、ひったくりは1件 | 件数が全国的に少ないことを認めたうえで、増加に転じた事実と侵入盗の多さまで踏み込む。「佐賀は静かな県だから」という印象論から一歩出るだけで、調べた人だと伝わる |
| 志望動機・やりたい仕事 | 令和8年の運営指針は「県民の期待と信頼に応える力強い警察」。活動重点は詐欺、重要犯罪の検挙、交通、サイバー、テロと災害、組織運営の6項目で、筆頭がニセ電話詐欺等の総合対策 | 詐欺対策が筆頭に置かれている事実を出発点にして、自分のやりたい仕事が6つのどこに入るかを一言添える。「ニセ電話詐欺」という県警察の呼び方をそのまま使うと、公表資料を読んだことが伝わる |
| 佐賀で働く規模感 | 管轄人口は約77万9千人。10市10町のうち佐賀市に県人口の28.75%が集まり、最も少ない玄海町は5,609人。本部の内部部局は7部 | 県庁所在地と小さな町が同じ管轄内に並ぶ点を押さえる。配属先によって仕事の見え方が変わることを、自分がどう受け止めているかまで話せると厚みが出る |
| 災害への備え | 令和元年佐賀豪雨では六角川などが氾濫し4名が亡くなった。県の地震被害等予測調査は、佐賀平野北縁断層帯の地震(冬深夜)で死者約4,300人・全壊焼失約55,000棟を想定 | 想定の数字を並べるより、令和元年の豪雨という実際の出来事を知っているかどうかで言葉の重みが変わる。活動重点の「テロ・災害等の緊急事態対策」と結び付けて話す |
| 人の流れと交通 | 令和6年の総来訪者数は4,644万人で、うち4,433万人が日帰り。鉄道は令和4年に西九州新幹線が武雄温泉と長崎の間で開業。空の便では、九州佐賀国際空港の羽田線を令和6年度に469,287人が利用 | 日帰り客が9割を超えるということは、県内の移動の多くが道路上で起きるということ。歩行者や自転車まで対象に含む「安全で快適な交通社会の実現」につなげる |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 警察官としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、運営指針と活動重点が示す組織の価値観に照らして、「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 信頼を積み上げる姿勢 | 相手から信頼を得るために、自分が何を続けてきたかを具体的に話せるか | 令和7年度の作文は「県民から信頼される警察官となるために必要なもの」、令和5年度は「人から信頼されるために大切にしていること」。同じ問いに自分の答えを一つ決め、その答えを裏づける行動を添えておく |
| 規律と倫理を自分に課す姿勢 | 決められた約束事を、誰も見ていない場面でも守れるか | 活動重点の6番目は「全体の奉仕者として高い倫理観を保持し、基本の徹底に努める」。令和7年度の論文も規律やモラルを守る必要性を感じた経験を書かせている。守りにくかった場面で守った経験を、事実として一つ言えるようにする |
| 力強さ=やり切る粘り | 成果がすぐに見えない取組を、途中でやめずに続けたか | 侵入盗216件が県内の犯罪像の中心にある佐賀では、鍵かけの呼びかけや見回りの積み重ねが防犯の主軸になる。長く続けたことを一つ選び、続けられた理由まで言葉にする |
| 声をかけ、伝える力 | 相手が受け取れる形に言い換えて伝えた経験があるか | 活動重点の筆頭は、最新の手口を届ける情報発信と、金融機関やコンビニエンスストアの窓口での呼びかけ。伝える相手は高齢の方が多くなる。専門的な話を身近な言葉に置き換えて説明した場面を用意しておく |
評価の観点の4項目は、公表されている令和8年の運営指針・活動重点と、当研究会が収集した論作文の出題テーマをもとに面接対策用に整理したものです。佐賀県警察が「求める人物像」として公表している文言ではありません。
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の受験案内と採用試験実施計画に目を通し、自分が出願する区分(警察官A・警察官B)の試験種目・提出書類・申込方法を確認する。配点や面接の形式は募集ページの本文では分からないため、実施計画の記載を自分で確かめる
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事から、行動の事実を話せる出来事を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自前の言葉に置き換えておく
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む。佐賀県警察の論文・作文で繰り返し問われてきた規律・倫理観・県民からの信頼は面接の質問とも重なるため、記述の準備がそのまま面接の材料になる
- 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。警察官の採用では体力面や身体面の適性も見られるのが通例のため、佐賀県警察の種目を実施計画で確かめたうえで、運動と生活リズムづくりを並行して進める
優先順位に注意
ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で組織の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、佐賀県警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
佐賀県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。本番までの残り日数が少ない場合は、こうした教材で仕上げを前倒しするのも一つの方法です。
さいごに
佐賀県警察の採用試験は、種目も配点も募集ページの本文には書かれておらず、採用試験実施計画を自分で開いて確かめるところから始まります。
裏を返せば、そこまで手を伸ばした人と、日程だけ見て終えた人とでは、準備の設計が出発点から分かれるということです。
そして論文と作文で何年も問われ続けてきたのは、規律やモラルを守る必要性を感じた経験であり、県民から信頼される警察官に必要なものでした。令和8年の運営指針が掲げる「県民の期待と信頼に応える力強い警察」とも、活動重点の「全体の奉仕者として高い倫理観を保持し、基本の徹底に努める」とも、一本の線でつながっています。
778,856人が暮らし、いまも人口が減り続けている県で、その線に自分の経験をどう重ねるのか。書いて、声に出して、当日を迎えましょう。