本記事では、熊本市職員採用試験の面接対策で必要な、熊本市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
熊本市役所の面接では、「なぜ熊本県庁ではなく熊本市役所なのか」「政令指定都市の職員として何を実現したいか」「前例にとらわれず行動した経験はあるか」といった質問が想定されます。熊本市は「自ら考え、自ら見直し、自ら行動する職員」をめざす職員像として公式に掲げているため、受け身の姿勢で語る回答は評価につながりにくいと考えておく必要があります。
なお、本記事の試験に関する記述は、熊本市人事委員会が実施する令和8年度(2026年度)夏試験(大学卒業程度等)の受験案内で確認できた範囲のものです。この試験案内では熊本市消防局の消防職も同時に募集していますが、本記事は消防職以外の職種を中心に扱います。
第1部|自治体研究編
熊本市の特徴
本格的な面接対策に入る前に、熊本市の全体像を押さえておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 熊本市は平成24年(2012年)4月、全国で20番目の政令指定都市へ移行し、中央区・東区・西区・南区・北区の5行政区で構成されている。
- 阿蘇カルデラの西約36kmにあり、有明海に臨む熊本平野を中心に位置する。西〜北西部には金峰山を主とする山地、南〜南西部の低地が有明海に面する。
- 令和8年1月1日現在の人口は728,700人で、熊本県全体の4割強を占める九州でも有数の規模の市である。
- 総面積は390.44平方キロメートル。
- 令和8年度は平成28年熊本地震から10年の節目の年度にあたり、当初予算の新たな重点事項として「災害への備えと対応力の強化」が設定されている(市長提案理由説明より)。
- 熊本城は市を代表する観光資源で、令和5年(2023年)の入園者数は130万人を超え、前年から5割以上増加した。
- 市の花は肥後ツバキ、市の木はイチョウ(いずれも昭和49年制定)。市役所は熊本市中央区手取本町1番1号に置かれている。
- 令和8年度(2026年度)夏試験から、口述試験の「集団討論」が廃止され、人物試験は個別面接のみとなった。
熊本市の基礎データ
熊本市の数字は、熊本県全体のなかでの位置づけとあわせて押さえると理解が深まります。県内人口の4割強を占める中心市であることを、まずは押さえてください。
そのうえで、政令指定都市としての規模と区の構成を整理しています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 728,700人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 202,108人(高齢化率27.7%) |
| 75歳以上人口 | 113,360人(75歳以上率15.6%) |
| 総面積 | 390.44km²(熊本県総面積7,409.19km²の約5.3%) |
| 人口密度 | 約1,866人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 行政区数 | 5区(中央区・東区・西区・南区・北区) |
| 隣接自治体 | 宇土市・合志市・宇城市・玉名市・菊池市・山鹿市、上益城郡嘉島町・甲佐町・益城町・御船町、菊池郡菊陽町、玉名郡玉東町(熊本県内)、長崎県島原市(海上で隣接) |
| 市の花・木 | 肥後ツバキ(花)・イチョウ(木) |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の数値です。国勢調査を基準にした熊本市独自の推計人口も公表されていますが、これは別の系列の数値であり、住民基本台帳ベースの数字と混ぜて計算しないよう注意してください。面積・隣接自治体・市の花木は、当研究会が整理した基礎データによります。
5つの区がそれぞれ支える大都市
熊本市の人口を区別にみると、東区190,239人、中央区176,463人、北区138,397人、南区134,118人、西区89,483人という構成です(令和8年1月1日現在、住民基本台帳)。どの区も単独で小規模な市を上回る人口規模を持っており、区ごとに区役所が置かれ、身近な窓口機能を担っています。
熊本市が公式に説明する政令指定都市の意味は、「子育て・教育・都市計画などに関する権限や財源が多く移譲され、自分たちの『まち』のことは自分たちで決定できる『自治』が最も大きく認められている」という点にあります(熊本市公式サイトより)。県庁所在地でありながら、県とは別に多くの事務を自ら担っている市だと理解しておきましょう。
熊本市の経済・産業
卸売・小売と医療・福祉が支える産業構造
熊本市が公式に集計した最新の市単位の経済センサス(平成28年6月1日基準)によると、民営事業所数は28,310事業所、従業者数は305,105人です。
産業別では卸売業・小売業が66,166人(構成比21.7%)で最も多く、次いで医療・福祉57,771人(18.9%)、宿泊業・飲食サービス業30,097人(9.9%)と続き、製造業21,903人、建設業19,748人という構成でした(熊本市の経済センサス活動調査結果より)。第三次産業が中心の都市型の産業構造だといえます。
過去最高を更新した観光消費
令和5年(2023年)の熊本市観光統計では、観光客入込数5,625,542人(前年比+38.8%)、宿泊者数3,533,497人(+35.4%)、観光消費額934億円(+52.1%)と、宿泊者数と観光消費額がいずれも過去最高を記録しました。外国人宿泊者数は433,602人で、前年比+818.2%と急増しました。(出典:熊本市観光統計|令和5年)
熊本城(特別公開エリア)の入園者数が130万人を超えて観光の中心となっており、震災からの復興と観光の勢いが重なっている状況が読み取れます。
半導体関連企業の進出という追い風
熊本県全体では、半導体受託製造の世界最大手TSMCの子会社JASMが令和6年(2024年)2月に熊本市の隣に位置する菊陽町で開所し、第2工場の建設も発表されています。
熊本市第8次総合計画も「半導体関連産業等への新たな投資の後押しや中小企業等の振興」を政策の柱の一つに位置づけており、令和8年度当初予算でも半導体関連企業の誘致強化やスタートアップ支援に取り組むとされています(市長提案理由説明より、詳細は後述)。県全体の産業構造が変わりつつあるなかで、熊本市がその中心市としてどう機能するかが問われています。
県内外を結ぶ交通の結節点
熊本駅は熊本県最大の鉄道駅で、平成23年(2011年)3月に九州新幹線が乗り入れました。JR鹿児島本線・豊肥本線に加え、平成27年から平成30年にかけて連続立体交差事業(高架化)が行われ、平成31年3月に四代目の新駅舎が完成しています。
市内では路面電車(市電)を軸とした公共交通網が整備され、東側の玄関口として阿蘇くまもと空港へのアクセス、有明海側では熊本港からのフェリー航路(島原方面)も市の交通を支えています。(参考:熊本駅周辺の概要と現況)県内外からの人と物の流れを受け止める結節点であることも、経済・産業を語るうえで押さえておきたい要素です。
熊本市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、熊本市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「熊本市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
指定都市のなかでの財政基盤の弱さ
熊本市の令和5年度決算における財政力指数は0.69で、指定都市20市中18番目(北九州市と同率)と、財政的な自立度は高くありません。市税収入額は指定都市20市中最下位という水準にあり、自主財源の確保が財政運営上の課題として挙げられています。(出典:熊本市の財政状況|令和5年度決算)
人口減少と高齢化の見通し
熊本市の推計人口は令和8年4月1日現在で前年同月比3,839人減少(0.52%減)しており、自然動態・社会動態のいずれも減少方向にあります。
人口ビジョン(令和6年3月改訂版)は、総人口が2020年の739千人から2050年に648千人、2070年に548千人まで減少すると見込んでおり、高齢化率も2020年の26.4%から2050年には35.7%まで上昇すると推計しています。(出典:熊本市人口ビジョン|令和6年3月改訂版)
災害への備えと対応力の強化
熊本市直下には立田山断層が、益城町付近には布田川・日奈久断層帯があります。平成28年(2016年)の熊本地震では4月14日(M6.5)と4月16日(M7.3)に同一地域で震度7を2回観測しました。
市の地域防災計画によると、液状化の可能性が高い箇所は市内面積の31%(119.0km²)に及び、津波の被害想定では西区・南区の沿岸で市域の約5.9%が浸水する可能性があるとされています。(出典:熊本市地域防災計画|令和3年度版)令和8年度は震災から10年の節目にあたり、この分野に新たに重点的な予算配分がなされています。
その後、令和8年(2026年)7月28日16時27分に、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生し、宇城市と氷川町で最大震度7が観測されました。
熊本県災害警戒本部の発表(令和8年9月7日14時00分現在・速報値)によれば、県全体の被害は死亡38名、住家被害65,551棟、避難所の開設37か所・避難者1,872名です。このうち熊本市の住家被害は14,883棟(うち全壊42棟)、避難所の開設は3か所・避難者109名で、熊本市では死亡が確認されていません。(出典:令和8年熊本地震の被害状況|熊本県災害警戒本部・令和8年9月7日14時00分現在)
この地震は平成28年の熊本地震とは別の地震ですので、二つの地震の数字を混ぜないよう注意してください。
避難所の運営や罹災証明書の交付は市が担う業務です。上の数値は速報値ですから、熊本県が公表する最新の被害情報で確かめておいてください。
半導体関連企業の進出に伴う諸課題
企業誘致が進む一方で、令和8年度当初予算の重点事項には「半導体関連企業の熊本進出に伴う諸課題への対応」が独立した項目として掲げられています。企業の立地を後押しすることと、立地が進んだ後に地域で生じる調整に対応することは別の仕事であり、後者にわざわざ独立した予算の枠が置かれている点が、この課題の性格をよく表しています。
交通渋滞の解消と公共交通の維持
熊本市電の延伸事業(東町線整備)は、令和6年より続発した運行トラブルを受けて本格着手を延期しており、再開時期は未定です(熊本市公式サイトより)。令和8年度当初予算の重点事項にも「交通渋滞の解消及び公共交通施策の加速化」が挙げられており、AIデマンドタクシーの運行エリア拡大など、公共交通をどう維持・改善するかが継続的な課題となっています。
熊本市の重点政策|熊本市第8次総合計画
熊本市の総合計画は「熊本市第8次総合計画」(令和6年3月策定)で、計画期間は令和6年度から令和13年度までの8年間です。基本構想・基本計画・アクションプランの3層で構成され、まち・ひと・しごと創生法上の地方版総合戦略も兼ねています。(出典:熊本市第8次総合計画)
めざすまちの姿と8つのビジョン
計画が掲げるめざすまちの姿は「上質な生活都市」です。
豊かな自然と歴史・文化に恵まれ、市民が住み続けたい、誰もが訪れたくなるまちを目指すとされています。この姿を実現するため、分野横断的な8つのビジョンが設定されています。
| ビジョン | 扱う主な分野 |
|---|---|
| 1 こどもが輝き、若者が希望を抱くまち | 結婚・妊娠・出産の支援、こどもの権利保護、教育の推進 |
| 2 市民に愛され、世界に選ばれる、持続的な発展を実現するまち | 半導体関連産業等への投資後押し、都市ブランド、農水産業振興 |
| 3 市民生活を守る強くしなやかなまち | 防災・減災、保健衛生・医療、消防・救急、交通安全 |
| 4 だれもが自分らしくいきいきと生活できるまち | 人権尊重、高齢者・障がい者支援、男女共同参画、多文化共生 |
| 5 豊かな環境を未来につなぐまち | カーボンニュートラル、生物多様性、循環型都市 |
| 6 すべての市民がより良い暮らしを営むまち | 地域コミュニティ、健康づくり、生涯学習・スポーツ、文化芸術 |
| 7 安全で良好な都市基盤が整備されたまち | 都市づくり、住生活、上下水道サービス |
| 8 市民に信頼される市役所 | 行政サービスの質、開かれた市役所、広域連携の強化 |
令和8年度当初予算の重点事項
令和8年度当初予算は「“結(ゆい)を力に、次の十年をつくる熊本”」をテーマに編成され、令和7年度の重点事項を発展させた「総合的なこども施策の推進」「交通渋滞の解消及び公共交通施策の加速化」「半導体関連企業の熊本進出に伴う諸課題への対応」に加え、熊本地震十年関連事業を含む「災害への備えと対応力の強化」が新たな重点事項として設定されました。一般会計の予算規模は4,378億4千万円で、前年度当初予算比4.4%の増となっています。(出典:令和8年第1回定例市議会 市長提案理由説明)
POINT|8つのビジョンをすべて暗記しなくてよい
ビジョンの名前を丸暗記することが自治体研究の目的ではありません。関心のある分野を1つ選び、①どのビジョン・施策に位置づくか → ②令和8年度の4つの重点事項のどれと重なるか → ③政令指定都市として市が単独で決められる範囲はどこまでか → ④自分はどの役回りに入れるか、の順に考えてみてください。
悪い例「熊本市のこども施策に関わりたいです」
改善例「令和8年度の重点事項にこども施策の推進が挙げられていると知りました。区ごとに人口規模の大きい熊本市だからこそ、区の窓口を活かした子育て支援の仕組みづくりに関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
熊本市を説明するための裏づけは、次の資料に入っています。とくに志望職種の受験案内は、内容が変わっていないかを直前にもう一度確かめてください。
- 熊本市職員採用試験の最新の受験案内(志望職種の回次のもの)と、熊本市人事委員会のページ
- 熊本市第8次総合計画(公式サイトの現行版)
- 令和8年度当初予算に関する市長提案理由説明
- 熊本市人口ビジョン(令和6年3月改訂版)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、熊本市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。熊本市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
熊本市役所の面接の概要
ここからが面接対策編です。熊本市役所の採用試験は「熊本市人事委員会」が実施しており、熊本県庁の「熊本県人事委員会」とは別組織です。
熊本市は県庁所在地であるため両者を混同しやすいので、試験構成・配点は必ず熊本市のものとして確認してください。
熊本市役所の面接の流れ
令和8年度夏試験は第一次試験・第二次試験の2段階構成で、第二次試験400点満点のうち300点が個別面接(4分の3を占める)という配点になっています。最終合格は第二次試験の総合得点の高い順に決まり、第一次試験の成績は反映されません。
| 項目 | 内容(令和8年度夏試験・大学卒業程度等・消防職を除く) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第一次試験 → 第二次試験の2段階 |
| 第一次試験の配点 | 事務職・学校事務職=教養試験100点+専門試験100点(満点200点)/社会福祉職・心理相談員・技術職・保健師=教養試験100点+専門試験150点(満点250点) |
| 資格加点 | 学校事務職を除く全職種に10点 |
| 第二次試験の満点 | 400点(論文100点+口述試験(個別面接)300点) |
| 論文試験 | 90分。第一次試験日に実施し、第一次試験合格者のみ採点される |
| 口述試験(個別面接) | 同日に2回実施される |
| 適性検査 | 20分。口述試験の参考にするために実施され、配点はない |
| 最終合格の決め方 | 第二次試験の総合得点の高い順に決定。第一次試験の成績は反映されない |
| 基準点 | 口述試験=配点の60%相当。口述試験・体力テスト以外=受験者平均の60%相当か配点の35%相当のいずれか高い方 |
| 試験会場 | 第一次試験は熊本・東京・大阪の3会場から選択可(消防職は熊本のみ)。第二次試験は熊本会場 |
| 服装 | 「スーツ・ネクタイを着用する必要はありません」と明記 |
上記は、熊本市人事委員会が実施する令和8年度(2026年度)夏試験(大学卒業程度等)の受験案内にもとづく、消防職を除く内容です。消防職は第二次試験が満点500点(論文100点・口述試験300点・体力テスト100点・身体検査)となるなど構成が異なります。試験の構成・配点は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。(出典:熊本市職員採用試験案内|令和8年度夏試験)
4分の3が個別面接という配点構造の意味
第二次試験400点満点のうち300点が個別面接である以上、第一次試験を突破した後の勝負は、ほぼ個別面接そのもので決まると考えたほうが実態に近いです。
しかも口述試験は同日に2回行われますから、1回目と2回目で話す内容がぶれていないか、面接官が見比べる余地があります。同じ経験について、毎回同じ軸で語れるように準備しておくことが重要です。
また、論文試験は第一次試験日に実施されますが、採点されるのは第一次試験合格者のみです。第一次試験に落ちれば論文は採点されないという仕組みですから、まずは教養試験・専門試験の対策を後回しにしないようにしてください。
熊本市役所が求める人物像
熊本市職員成長・育成方針は、「めざす職員像」を「自ら考え、自ら見直し、自ら行動する職員」と定めています。これは総合計画のめざすまちの姿「上質な生活都市」に連動して設定されたものです。(出典:熊本市職員成長・育成方針)
この方針はさらに、職員に求める「4つの行動姿勢(志向)」を示しています。
| 行動姿勢 | 内容 |
|---|---|
| 市民志向 | 市民視点に立って、ともに考え課題解決に向けて行動する(倫理観・応対力など) |
| 自立志向 | 常に新しい視点と広い視野を持って主体的に行動する(責任感・決断力など) |
| チーム志向 | 職員一人ひとりの強みを活かしてチームで課題解決に向けて行動する(協調性・組織マネジメントなど) |
| 改革志向 | 前例にとらわれずに、常に新しい視点を持って行動する(積極性・構想力・企画力など) |
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。熊本市の個別面接も、この見取り図の上で準備すれば基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日は緊張していますか? | 同日2回の面接で受け答えの一貫性が保てているか |
| ② 動機・志望 | なぜ熊本県庁ではなく熊本市役所なのですか? | 政令指定都市としての権限・役割を理解したうえでの志望か |
| ③ 自己理解 | 自分の行動姿勢を一言で表すと何ですか? | 4つの行動姿勢に照らして、自分の傾向を語れるか |
| ④ 経験・行動 | 前例にとらわれず行動した経験はありますか? | 改革志向にあたる経験を具体的に語れるか |
| ⑤ 学業・経歴 | 取り組んできたことを簡潔に説明してください | 論文試験でも問われる、要点を整理して伝える力 |
| ⑥ 適性・将来 | 熊本市でどんな仕事に挑戦したいですか? | 8つのビジョンのどこかに自分の関心を接続できているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 半導体関連企業の進出について、どう考えますか? | 市が直面する変化への関心と、自分なりの視点 |
7つのカテゴリー自体は、受験先を問わず共通しています。熊本市の場合は、この7つへの答えが「自ら考え、自ら見直し、自ら行動する」という職員像や4つの行動姿勢とかみ合っているかどうかまで見られることになります。
合否を分けるのは「熊本市役所ならでは」の質問
この2問に浅い答えしか返せないと、他の受験者との差はつきません。
熊本市の場合、政令指定都市という制度や8つのビジョンは資料を開けばすぐ手に入る材料ですから、そこで止まった答えでは他の受験者と横並びになります。当研究会では、熊本市の事実のうち面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい熊本市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ県庁ではなく市役所か | 平成24年に政令指定都市へ移行し、子育て・教育・都市計画などの権限や財源が県から多く移譲されている | 県と市を対立させて語らず、市が自ら決められる範囲の広さにどう関わりたいかを述べます |
| 災害への備え | 令和8年度は熊本地震から10年の節目にあたり、「災害への備えと対応力の強化」が新たな重点事項に設定されている。令和8年7月には令和8年熊本地震も発生している(被害は速報値) | 震災の記憶を語ることより、10年という節目に何を強化すべきかという前向きな視点で答えます |
| 半導体関連企業の進出 | 総合計画の施策として「半導体関連産業等への新たな投資の後押しや中小企業等の振興」が位置づけられている | 企業誘致の話だけでなく、急速な変化に伴う地域の課題にも目を向けて話します |
| 財政の課題 | 令和5年度決算の財政力指数は0.69で指定都市20市中18番目、市税収入額は指定都市20市中最下位 | 財政基盤が強くない現実を踏まえたうえで、限られた財源で何を優先すべきかを話します |
| 求める人物像 | 「自ら考え、自ら見直し、自ら行動する職員」をめざす職員像とし、市民志向・自立志向・チーム志向・改革志向の4つの行動姿勢を掲げている | 4つの行動姿勢のうち、自分の経験に最も重なるものを軸に語ります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
熊本市が公表する4つの行動姿勢は、そのまま評価の観点として読み替えることができます。そこに、公務員面接で広く使われている考え方であるコンピテンシー評価を重ねると、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が問われていると整理できます。
下の表は、公表されている4つの行動姿勢を軸に、当研究会がこの見方を重ねて整理したものです。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 市民志向 | 市民視点に立って、ともに課題解決に向けて行動した経験があるか | 相手(市民に相当する立場の人)の困りごとにどう気づき、どう関わったかを具体化します |
| 自立志向・改革志向 | 新しい視点を持ち、前例にとらわれず主体的に行動した経験があるか | 失敗を含めて、自分から動いた過程を具体的に語れるようにします |
| チーム志向 | 周囲の強みを活かしながらチームで課題に取り組んだ経験があるか | 自分一人の手柄にせず、他者との役割分担をどう考えたかまで話します |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
熊本市は同日に個別面接を2回実施しますから、同じ経験を別の面接官の前で語り直す場面も想定されます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける職種の受験案内を熊本市人事委員会のページで特定し、第一次試験の配点(事務職・学校事務職は200点、社会福祉職・心理相談員・技術職・保健師は250点)と資格加点の有無を確認する
- これまでの経験を、4つの行動姿勢(市民志向・自立志向・チーム志向・改革志向)に沿って整理し、それぞれ具体例を1つ以上決める
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 上の対応表から志望に近いテーマを2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の順に組み立てる
- 第一次試験日に行われる論文試験を想定して実際に書き、そこで述べた考えを、第二次試験で同日2回行われる個別面接でも一貫して説明できるようにする
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ4の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がないときは、ステップ2の経験の整理と、ステップ5の論文・面接の一貫性づくりを優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、熊本市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
熊本市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答まで解説しているので、本番でのやりとりを具体的に思い描けるようになります。試験までに残された時間が短い方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
熊本市人事委員会が実施する令和8年度夏試験(大学卒業程度等、消防職を除く)は、第一次試験の教養・専門試験を経て、論文100点と個別面接300点からなる第二次試験400点満点の総合得点で最終的な合否が決まる構成です。個別面接は同日に2回行われ、配点の4分の3を占めます。
第一次試験の成績が最終合格に反映されない以上、第二次試験に進んでからが本当の勝負になります。区分によって配点や種目が異なりますので、志望職種の受験案内を必ず確認してください。
「自ら考え、自ら見直し、自ら行動する」という職員像を意識しながら、政令指定都市の一員としてどう働きたいかを、自分の経験に根ざした言葉で準備していってください。