高幡消防組合消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴・基礎データ・管轄地域の災害リスク・消防課題・重点方針)と、面接本番の流れ・想定される質問・評価の観点を、1ページに整理しました。

高幡消防組合消防本部の面接試験では、「なぜ警察官や自衛官ではなく消防官なのか」「なぜ高幡消防組合消防本部なのか」「勤務署ごとに分かれた採用の仕組みをどう理解しているか」といった、須崎市・四万十町・中土佐町・梼原町・津野町という5市町を一つの組合が守る仕組みへの理解を前提とする質問が想定されます。

勤務署(勤務地)ごとに募集が分かれる令和8年度の試験の仕組みを知っておくことで、一般論に終わらない受け答えがしやすくなります。

ここでの整理を出発点に、高幡消防組合消防本部で働く自分の姿を具体的に描いていきましょう。

第1部|組織研究編

高幡消防組合消防本部の特徴

本格的な面接対策に入る前に、まずは高幡消防組合消防本部の全体像を押さえておきましょう(時間のない方はここだけでもチェック)。

  • 高幡消防組合消防本部は、須崎市・四万十町・中土佐町・梼原町・津野町の5市町でつくる一部事務組合が設置し、組合本部が直接職員を採用・任用する消防本部である。
  • 署所は須崎消防署、中土佐分署、津野山分署(葉山出張所を含む)、四万十清流消防署(西分署を含む)で構成される。太平洋沿岸から四国山地の山間部まで、性格の異なる地域を複数の拠点で分担する体制である。
  • 消防吏員(消防士などの階級を持つ職員)は144人(うち女性2人・令和7年4月1日現在)が在籍する。
  • 令和6年中の出動は火災25件に対し、救急は3,700件、救助は42件で、救急が出動全体の大部分を占めている。
  • 令和8年度の採用試験は勤務署(勤務地)ごとに案内が分かれる分散型で、中土佐町(中土佐分署)・津野町・梼原町の3枠の告示が公式サイトに掲載されている(須崎消防署・四万十清流消防署を勤務地とする枠の掲載は、2026年9月時点では確認できていない)。

高幡消防組合消防本部の基礎データ

組織研究の段階では、統計値を丸ごと暗記する必要はありませんが、高幡消防組合消防本部のおおよそのスケール感をつかんでおくことは大切です。

下の表には、5市町を一つの本部で守る体制がどれほどの規模かが分かるよう、管内人口・職員体制・出動件数を整理しました。

項目内容
設置形態一部事務組合(構成団体は須崎市・四万十町・中土佐町・梼原町・津野町の5市町)
管内人口43,996人(須崎市18,772人・四万十町14,530人・中土佐町5,650人・津野町5,044人の合算。梼原町分は住基統計の該当行が確認できず未算入、令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口)
高齢化率須崎市42.2%・四万十町46.9%・中土佐町50.2%・津野町46.7%(いずれも同時点)
消防吏員数144人(うち女性2人)※令和7年4月1日現在
火災出動件数25件(令和6年中)
救急出動件数3,700件(令和6年中)
救助出動件数42件(令和6年中)

管内人口・高齢化率は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の各構成団体の合算・団体別、消防吏員数・出動件数は総務省消防庁が公表する消防本部別データによります。吏員数は令和7年4月1日現在、出動件数は令和6年中の集計で、基準となる時点が異なります。同一時点のデータとして比較しないようご注意ください。(出典:総務省消防庁が公表する消防本部データ|令和7年4月1日現在)

数字から考えられる高幡消防の課題

5市町にまたがる管轄の性格が数字にはっきり出るのが、火災25件に対して救急3,700件という開きです。件数の差はおよそ150倍にのぼり、消防の仕事の大部分を救急対応が占めている実態が表れています。

また、住民基本台帳の統計で高齢化率が確認できる4団体を見ると、中土佐町は50.2%、四万十町は46.9%、津野町は46.7%と、いずれも高い水準にあり、この高さがそのまま救急需要につながっていると考えられます。最も低い須崎市でも42.2%と、全国平均を大きく上回ります。

「高幡消防組合消防本部は、令和6年中の救急出動が3,700件で、火災の150倍を超えると聞きました。中土佐町や四万十町の高齢化率が高い水準にあることを踏まえると、救急への対応がこれからも中心的な仕事になるのではと感じています」

管轄地域の特性と災害リスク

管轄地域の全体像

  • 高幡消防組合消防本部の管轄は須崎市・四万十町・中土佐町・梼原町・津野町の5市町であり、太平洋に面した沿岸部から四国山地の山間部までを含む広大な区域である。
  • 津野町には四国カルストの東端・天狗高原が位置し、四万十川の源流も津野町の不入山にある。四万十川は本流に大規模ダムがないことから「日本最後の清流」と呼ばれる、四国最長196kmの一級河川である。梼原町は四国山地に位置する山あいのまちである。
  • 須崎市・中土佐町・四万十町は太平洋に面し、津野町・梼原町は内陸の山間部に位置するなど、構成市町の地理的な条件は大きく異なる。

つまり高幡消防組合消防本部は、太平洋沿岸の津波リスクと、四国山地の山間部特有の地理条件の両方に向き合う本部だと整理できます。

管内5市町にかかる南海トラフ地震の想定(令和8年3月24日公表の県新想定)

令和8年3月24日に高知県が公表した被害想定は、南海トラフ地震の最大クラス(L2・陸側ケース④)を前提に置いています。市町村ごとの被害をまとめた資料には、現状・死者最大ケース・冬深夜という条件で、須崎市が約1,300人、四万十町が約660人、中土佐町が約610人、津野町が約40人、梼原町が約30人という死者数が示されています。

あわせて、内閣府が令和7年3月31日に公表した市町村別の最大津波高では、四万十町31m・須崎市25m・中土佐町22mとされています(津野町・梼原町は内陸に位置し、この一覧に津波高の記載はありません)。(出典:南海トラフ地震被害想定|高知県版・令和8年3月24日公表/南海トラフ巨大地震モデル・市町村別最大津波高一覧|内閣府・令和7年3月31日公表)

県が示す対策後の推計では、耐震化と早期避難が進めば須崎市の死者は440人程度まで減らせるとされています。この推計は住宅の耐震化率が100%になり、発災後すぐに全員が避難した場合を前提にした数字です。

「対策次第で被害は変わる」という視点は、予防や地域防災の仕事を志望動機につなぐ手がかりにもなります。津波高が示されている沿岸3市町と、内陸に位置する津野町・梼原町とでは向き合う災害の姿が異なり、性質の違う地域を一つの組合でどう分担して備えるかが問われる管轄です。(出典:南海トラフ地震被害想定(対策効果)|高知県版・令和8年3月24日公表)

主な消防課題

ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、高幡消防組合消防本部が向き合っている課題が見えてきます。広い管轄を複数の署所で分担するという条件から生まれる論点を、次の5つに整理しました。

救急需要の増加

救急出動は全国で増え続けています。令和6年中の救急自動車の出動件数は771万8,380件に達し、昭和38年の集計開始以降で最も多い水準となりました。高幡消防組合消防本部の3,700件(令和6年中)は、この全国的な増加を、4割台から5割に届く高齢化率が並ぶ管内で受け止めている数字です。令和6年中の全国の搬送人員では、65歳以上が63.3%を占めています。構成市町の高齢化率がいずれも全国平均を大きく上回ることを踏まえると、救急需要への対応は今後も業務量の中心であり続けると考えられます。(出典:令和7年版 救急・救助の現況)

大規模災害への備え

全国の消防本部の約99%にあたる718本部(6,661隊・令和6年4月1日現在)が緊急消防援助隊に登録されており、高幡消防組合消防本部もその一員です。須崎市の想定される人的被害は管内で最多であり、四万十町の想定最大津波高は31mにのぼります。

津波の想定が示される沿岸部と、内陸の山間部とでは備えの中身が変わるため、拠点ごとに異なる災害像を視野に入れた体制づくりが必要です。

人材確保と女性消防吏員の活躍

高幡消防組合消防本部の消防吏員144人のうち女性は2人で、割合は約1.4%です。5市町にまたがる広い管轄を支える組織であるからこそ、性別を問わず多様な人材が長く働き続けられる環境づくりが求められます。

全国では消防吏員168,230人のうち女性は6,386人・約3.8%にとどまっており(令和7年4月1日現在)、国は「令和8年度当初までに5%」という目標を掲げています。高幡消防組合消防本部の水準はこの全国平均を下回っており、多様な人材をどう確保していくかは継続的なテーマだといえます。(出典:女性消防吏員の活躍推進|消防庁)

広い管轄と分散する署所の運営

須崎消防署、中土佐分署、津野山分署(葉山出張所を含む)、四万十清流消防署(西分署を含む)という複数の拠点が、太平洋沿岸から山間部まで広がる5市町の管轄に散らばっているのが高幡消防組合消防本部の組織構造です。拠点ごとに向き合う地域の事情が異なる中で、どの署所に配属されても地域の実情に合わせて動ける柔軟性が求められます。

吏員144人という限られた人員で、これだけ広い管轄を維持していること自体が、この本部の大きな特徴だといえます。

勤務地別に分かれる採用の仕組み

令和8年度の採用試験は、中土佐町・津野町・梼原町という勤務地ごとに募集が分かれています。組合全体でまとめて一括採用するのではなく、勤務署単位で必要な人員を確保していく仕組みであり、受験者は自分がどの勤務地を志望するのかを、案内が出る前の段階から意識しておく必要があります。

中土佐分署枠の採用予定日は令和9年4月1日とされており、採用後の配属先も募集の時点であらかじめ決まっている構図であることを理解しておきましょう。須崎消防署・四万十清流消防署を勤務地とする枠の掲載は、2026年9月時点では確認できていません。

受験を検討する年度ごとに、組合公式サイトで対象となる勤務地の案内を必ず確認することが欠かせません。

重点方針|勤務地別募集にみる組合の姿勢

高幡消防組合消防本部として独自に公表されている運営方針・基本計画は、2026年9月時点では確認できていません。須崎市・四万十町・中土佐町・梼原町・津野町にはそれぞれの総合計画がありますが、消防組合は5市町から独立した一部事務組合であり、いずれか一方の市町の計画をそのまま組合の重点方針として扱うことはできません。

そこでここでは、令和8年度の採用の仕組みそのものから、組合の姿勢を読み解きます。

高幡消防組合消防本部は、令和8年度の採用を「高幡消防組合募集告示第5号」にもとづき、中土佐町・津野町・梼原町という勤務地ごとに個別の案内で実施しています。中土佐分署枠を例にとると、試験区分は「初級」、採用予定人員は2名程度、採用予定日は令和9年4月1日です。

組合全体で一括採用するのではなく、必要な勤務地に必要な人数を確保するという運用方針がうかがえます。津野町・梼原町についても個別の案内が公式サイトに掲載されており、勤務地単位で採用計画を立てる姿勢は組合全体に共通していると考えられます。(出典:高幡消防組合消防職員採用資格試験の実施について(中土佐町)|令和8年度)

POINT|自分が受ける勤務地の案内を必ず確認する

高幡消防組合消防本部を受験する際は、まず自分が志望する勤務地の募集が当該年度に出ているかどうかを確認することが出発点になります。勤務地によって募集の有無や人員数が異なるため、「高幡消防組合の試験」とひとくくりにせず、勤務地単位で情報を集めましょう。

悪い例「子どものころから消防車にあこがれていたので、消防官を志望します」

改善例「地域のボランティア活動で、参加者ごとに事情の異なる作業を一つずつ調整しながら進めてきました。高幡消防組合消防本部は5つの市町にまたがる管轄を複数の署所で分担していると知り、拠点ごとに異なる地域の事情に合わせて動く力を活かせる職場だと感じています」

あわせて確認したい公式資料

勤務地ごとに案内が分かれる試験だからこそ、自分が受験する勤務地の案内本文を確認しておく価値があります。

  • 高幡消防組合消防職員採用資格試験の実施について(中土佐町・津野町・梼原町の各案内)
  • 総務省消防庁が公表する高幡消防組合消防本部の吏員数・出動件数データ
  • 高知県が公表する南海トラフ地震被害想定(県版・令和8年3月24日公表)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、高幡消防組合消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。高幡消防組合消防本部の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

高幡消防組合消防本部の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

高幡消防組合消防本部の面接の概要

ここからは、高幡消防組合消防本部の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。

高幡消防組合消防本部の面接の流れ(中土佐分署枠の例)

令和8年度の中土佐分署枠は、第1次試験・第2次試験の二段階制で、第1次に教養試験・適正検査・小論文試験・体力試験の4種目、第2次に面接試験と身体検査等が置かれています。津野町・梼原町の各枠についても個別の案内が公式サイトに掲載されていますが、種目・配点までは2026年9月時点で公式には確認できていません。

項目内容(令和8年度・中土佐分署枠)
試験区分初級(採用予定人員は2名程度、勤務地は中土佐分署)
試験の段階2段階。第1次=教養試験・適正検査・小論文試験・体力試験、第2次=面接試験・身体検査等
面接の種類第2次の個別面接(1人約15分程度)
配点公表されていません。最新の受験案内でご確認ください
身体要件視力は裸眼又は矯正視力が両眼とも0.7以上、聴力は左右正常であること

注目してほしいのは、適正検査という受験案内の表記のままです(「適性検査」とは書かれていません)。教養試験は高校卒業程度の五枝択一40題を2時間で解く形式、適正検査は120題を20分で解く形式、小論文試験は課題提示から1時間で仕上げる形式です。

短時間で多くの設問に答える適正検査は、事前に出題形式を知っておくだけでも落ち着いて臨むことができます。体力試験は「別に定めた要領」により実施されるとのみ案内され、種目までは公表されていません。

受験資格の年齢要件は平成13年4月2日から平成21年4月1日までに生まれた者を基本とし、救急救命士の資格を持つ者や社会人として8年以上の就業経験がある者には、生年月日の下限を早める緩和措置が設けられており、社会人経験を持つ人にも門戸が開かれています。

上記の試験構成は、高幡消防組合が公表した令和8年度中土佐分署枠の採用資格試験案内にもとづくものです。試験の構成・区分・配点等は勤務地・年度によって異なる可能性があります。受験の際は、必ず自分が志望する勤務地の最新の受験案内をご確認ください。

高幡消防組合消防本部が求める人材

「求める人物像」にあたる文言を組合が明文で公表している資料は、2026年9月時点で確認できていません(当研究会調べ)。かわりに手がかりになるのが、5市町にまたがる管轄を複数の拠点で分担するという組織の性格です。

高幡消防組合消防本部のように、複数の市町が構成団体となる本部では、拠点ごとの人員配置や勤務地の割り振りが組織運営の重要な要素になります。吏員144人を須崎消防署・中土佐分署・津野山分署・四万十清流消防署を軸とする計6か所の署所に配置し、令和8年度の募集を勤務地ごとに分けて実施しているという実際の運用そのものが、この本部の特徴を物語っています。

勤務地ごとに募集が分かれる仕組みが取られていることからも、配属される勤務地の地域事情に合わせて動く柔軟性を評価の物差しの一つに置いていると読み取れます。沿岸部の須崎市・中土佐町・四万十町と、山間部の津野町・梼原町とでは、災害の性質も地域の暮らしも異なります。

自分がどの勤務地を志望するにせよ、その地域固有の事情を理解しようとする姿勢を持てているかが、面接での説明の説得力に関わってきます。集団討議のような他者との協調が求められる種目こそ案内されていませんが、限られた人員で広い管轄を支える組織である以上、周囲と連携しながら動く姿勢は欠かせない要素だと考えられます。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。高幡消防組合消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク最近気になったニュースはありますか?緊張をほぐす何気ない話題に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ高幡消防組合消防本部を志望するのですか?消防官という仕事とこの地域を、自分の言葉で選べているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか
⑤ 学業・経歴今の進路を選んだ理由を教えてください進路選択の筋道。自分の決断を順序立てて説明できるか
⑥ 適性・将来体力に自信はありますか?交替制勤務と現場活動を続けるための体力・生活習慣・覚悟
⑦ 公共性・社会性消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか?仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識

この7カテゴリーの見取り図は準備の出発点にすぎません。高幡消防組合消防本部ならではの選考を突破するには、この本部固有の事情を踏まえた質問への備えが欠かせません。

合否を分けるのは高幡消防組合消防本部に固有の質問

「なぜ警察官や自衛官ではなく、消防官なのですか?」
「高幡消防組合消防本部が勤務地ごとに採用を分けている仕組みについて、どう理解していますか?」

令和8年度は中土佐町・津野町・梼原町の3枠が個別に募集されており、勤務地ごとに募集も条件も変わります。この仕組みを取り違えたまま志望先を語ると、受け答えが上すべりしてしまいます。

面接で使いやすい「高幡消防組合消防本部の事実」を絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい高幡消防組合消防本部の事実答え方のヒント
救急需要の増加令和6年中の救急出動は3,700件で、火災25件のおよそ150倍(詳細は第1部2章)件数の大きさに加え、構成町村の高齢化率の高さと結び付けて話す
南海トラフ地震への備え須崎市の想定される人的被害は管内最多。対策が進めば大きく減らせるという想定も示されている(詳細は第1部3章)被害の大きさだけでなく、対策で被害を減らせるという視点まで言及する
勤務地別の採用令和8年度は中土佐町・津野町・梼原町の3枠が個別に募集されている(詳細は第1部1章・5章)自分が志望する勤務地の事情を具体的に説明できるようにする
広い管轄と複数拠点須崎消防署・中土佐分署・津野山分署・四万十清流消防署を軸とする計6署所で5市町を分担(詳細は第1部4章)拠点による地域差を理解し、柔軟に対応する姿勢を伝える

使い方のコツは、4つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 消防吏員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

高幡消防組合消防本部は、中土佐分署枠について試験の段階と種目を公表していますが、配点までは明らかにしていません。公表された段階構成から、評価の観点を整理しました。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
個別面接での人物評価約15分の個別面接で、自分の考えや経験を筋道立てて話せるか短い持ち時間の中で結論から述べ、具体的な経験に落とし込んで話す練習を重ねる
地域への理解志望する勤務地の地域事情をどれだけ具体的に理解しているか自分が受ける勤務地の地理・災害リスク・暮らしぶりを事前に調べておく
体力・身体面の適性体力試験で、現場活動に必要な基礎的な体力が備わっているか種目が非公表でも準備は止めず、消防職で一般的な体力試験の水準を目安に鍛えておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。持ち時間が15分程度と限られる高幡消防組合消防本部の面接ではなおさら、自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 自分が志望する勤務地(中土佐町・津野町・梼原町等)の令和8年度採用資格試験の実施状況を組合公式サイトで確認する
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学業から、状況に合わせて柔軟に動いた具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望する勤務地の事実を自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 約15分の個別面接を想定した模擬面接を重ね、体力試験に向けたトレーニングも並行して進める

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で管内5市町の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

中土佐分署枠の案内では、採用となった者は令和9年4月上旬から約9か月間、高知県消防学校に入校して専門教育を受けたうえで、勤務署所に戻って勤務する流れが示されています。同じ案内では合格後に普通自動車免許(MT)の取得も求められているため、免許を持っていない場合は準備の計画に組み込んでおきましょう。

初任給についても「勤務署の所在する市町に準じる」とされており、配属される勤務地によって金額が変わりうる点は、あらかじめ知っておくとよい情報です。他の勤務地の枠については案内ごとに条件を確かめてください。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、高幡消防組合消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

高幡消防組合消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。

高幡消防組合消防本部の想定問答集を見る

さいごに

高幡消防組合消防本部は、144人の消防吏員で須崎市・四万十町・中土佐町・梼原町・津野町の5市町を守る一部事務組合の消防本部です。計6か所の署所が太平洋沿岸から四国山地の山間部まで分担する体制であり、限られた人員で広大な管轄を維持している点に、この本部ならではの厚みがあります。

令和6年中の救急出動は3,700件と火災25件のおよそ150倍にのぼり、令和8年度の採用は中土佐町・津野町・梼原町という勤務地ごとに分かれて実施されています。太平洋沿岸の津波リスクと山間部の地理条件という異なる二つの顔を持つ管轄であることを理解したうえで、自分が志望する勤務地への思いを言葉にできるようにしておきましょう。

5つの市町にまたがる広い管轄を守る仕事に挑む一歩を、当研究会も応援したいと考えています。