本記事では、高知県職員採用試験の面接対策で必要な、高知県の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
高知県庁の面接試験では、「なぜ高知県を志望したのか」、「県職員として何に取り組みたいのか」、「自分の強みや経験を県政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。全国に先駆けて人口減少に向き合う高知県では、県の実情や戦略を踏まえて自分の言葉で語れるかどうかが、回答の説得力を大きく左右します。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と高知県政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
高知県の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは高知県の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 県庁所在地は高知市(丸ノ内)。四国の南側に位置して太平洋に面し、東は徳島県、西は愛媛県と接する。
- 県土は7,102.28km²で全国18位と決して狭くはないが、その大半を山地が占める。県土の約9割を中山間地域が占め、県民の約4割がそこで暮らすという、全国でも際立った地形の県。
- 森林率は84%で全国1位。「森の国」と呼ぶにふさわしく、林業が今も基幹産業の一つとして地域経済を支えている。
- 700キロを超える長い海岸線を持ち、太平洋に開けた立地を生かしたかつお・まぐろ漁業や、温暖多照の気候を生かした施設園芸など、一次産業が個性的。
- 人口は令和5年10月時点で約66万6千人にとどまり、高齢化率は全国2位の水準。全国に先駆けて人口減少と高齢化が進む「課題先進県」として知られる。
- 交通は四国4県を結ぶ四国8の字ネットワークと高知龍馬空港が骨格。山がちな地形ゆえに、点在する集落をつなぐ交通の確保も重要なテーマになっている。
- 県財政の基盤は弱く、財政力指数は全国46位。自主財源が乏しいため、限られた財源をどこに重点配分するかが県政運営の大前提になっている。
高知県の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「高知県の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、県土の広さ、県土に占める森林の割合、財政力など、県政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 約66万6千人(令和5年10月1日現在・県推計) |
| 年少人口(0-14歳) | 6万9,548人(10.4%) |
| 生産年齢人口(15-64歳) | 35万4,588人(53.2%) |
| 老年人口(65歳以上) | 24万2,157人(36.3%) |
| 総面積 | 7,102.28km²(全国18位) |
| 森林率 | 84%(全国1位) |
| 財政力指数 | 0.26140(全国46位) |
総人口と年齢別人口は高知県の推計人口年報(令和5年10月1日現在)、総面積は国土地理院の全国都道府県市区町村別面積調(令和6年1月1日現在)、森林率は林野庁資料(令和4年3月31日現在)、財政力指数は令和5年度の値です。高齢化率は令和7年版高齢社会白書では36.6%(全国2位)とされ、調査時点により県推計の36.3%と差があります。なお知事の提案説明(令和8年2月)では、推計人口が65万人を割り込んだことが示されています。
数字から考えられる県政課題
高知県の人口規模は全国的に見れば大きくありませんが、面接で押さえておきたいのは減り方の中身です。転入より転出が多い社会減に加えて、生まれる人より亡くなる人が多い自然減が年々広がっており、高知県では社会減よりも自然減の影響のほうが大きいとされています。
人口の総量だけでなく、どの世代がどれだけ減っているのかまで踏まえて考える必要があります。特に働き手にあたる生産年齢人口の縮小は、地域の産業や医療・介護、防災の担い手不足に直結します。
だからこそ高知県では、単に人口を維持しようとするだけでなく、限られた人手でも暮らしが回る仕組みづくりが問われています。
たとえば面接では、高知県の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
高知県の経済・産業
経済・産業構造の概要
- 森林率84%は全国1位で、林業が基幹産業の一つ(人工林率65%)。
- 温暖多照の気候を生かした施設園芸が盛んで、「土佐を代表する園芸11品目」を看板にしている。
- 700キロを超える海岸線を持ち、遠洋・近海のかつお・まぐろ漁業や、定置網・養殖などの沿岸漁業が営まれる。
- 県内市場が小さいため、県外や海外に売り込む「地産外商」を産業戦略の柱に据えている。
つまり、「豊かな第一次産業を土台に、外へ売って外貨を稼ぐ地産外商」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。(参考:高知県の農林水産業紹介)
農業
高知県の農業は、温暖な気候とビニールハウスを組み合わせた施設園芸が主役です。県は「土佐を代表する園芸11品目」として、シシトウ・ナス・ショウガ・ピーマン・ミョウガ・ニラなどを挙げています。
冬でも野菜を育てられる強みを生かし、県外の大消費地へ出荷する園芸農業が、地産外商の中心的な担い手になっています。全国有数の園芸産地として、市場での高値取引をねらった品質管理やブランド化にも力を入れています。
志望で農業振興に触れるなら、「量」より「気候を生かした付加価値」という切り口で語ると高知らしさが出ます。
林業
県土の大半を森林が占める高知県は、森林率84%で全国1位の森林県です。人工林率も65%と高く、木材生産から加工、木造建築の普及まで一連の林業振興が県政の柱の一つになっています。
担い手不足や再造林といった全国共通の課題を抱えつつ、デジタル技術を使った森林クラウドなどの取り組みも進んでいます。「山の資源をどう仕事に変えるか」は、高知ならではの論点として面接でも使えます。(出典:森林・林業統計|令和4年)
水産業
太平洋に開けた高知県は、700キロを超える海岸線を舞台に、伝統のかつお・まぐろ漁業から定置網漁業、魚類養殖業まで幅広い漁業が営まれています。カツオは高知を象徴する食であり、観光や食文化とも結び付く資源です。
魚価の変動や担い手の高齢化への対応が課題で、水産物の輸出拡大も県が力を入れる分野です。食や観光と絡めて語れると、産業の話に厚みが出ます。
観光業
高知県の観光は、自然や食、歴史を軸に回復基調にあります。知事の提案説明によれば、昨年の県外観光客入込数は過去2番目となる457万人まで戻りました。
県外観光客の動態調査では自動車による来訪が約9割を占め、広い県土を車で巡るスタイルが特徴です。令和8年には「よさこい高知文化祭2026」の開催も控えており、文化イベントと観光を連動させた地域活性化が図られています。
自動車での来訪が中心という特性は、道の駅や周遊ルートの整備といった受け入れ側の工夫が効きやすいことも意味します。「点在する観光地を、どう周遊や滞在につなげるか」は志望動機に落とし込みやすい論点です。(出典:県外観光客入込・動態調査|令和4年)
高知県の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、高知県が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「県の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
人口減少と少子高齢化
高知県は本県の将来を左右する人口減少を県政の最重要課題に位置づけています。平成2年から自然減が始まり、令和4年10月からの1年間では9,417人が減少しました(自然減8,133人・社会減1,284人)。
若い世代の県外への転出超過が婚姻数や出生数の減少を招き、それがさらに若年人口を減らすという「負の連鎖」を、県は課題として明示しています。(出典:高知県推計人口年報|令和5年)
中山間地域の維持
県土の約9割が中山間地域で、そこに県民の約4割が暮らしています。過疎化と高齢化が進むなかで、担い手不足やコミュニティ活動の低下、生活サービスの維持が課題です。
県は「中山間地域再興ビジョン」を掲げ、若者を増やす、くらしを支える、活力を生む、しごとを生み出すといった柱で対策を進めています。移住や関係人口の創出、地域おこし協力隊の確保などを組み合わせ、地域の担い手そのものを増やそうとする動きも進んでいます。
都市部向けの施策をそのまま当てはめても届きにくい、という前提が高知の難しさです。
南海トラフ地震への備え
太平洋に面する高知県にとって、南海トラフ地震は避けて通れない脅威です。県が令和8年3月に公表した最大クラス(陸側ケース)の被害想定では、死者は最大で約2万3千人、建物全壊は約20万棟にのぼり、上水道の断水率は発生直後に100%と見込まれています。
県は同じ資料で、早期避難率が現状の73%から100%になれば津波による死者を1万4千人から2千人まで減らせるとしており、備えの進み具合が結果を大きく左右します。地震そのものに加えて、発生後に長期化する避難生活や、断水・停電といったライフラインの寸断への備えも欠かせません。
事後の復旧だけでなく、事前の耐震化や避難所の環境整備など、被害そのものを減らす備えが最大の課題です。(出典:南海トラフ地震の被害想定|令和7年度〔高知県版〕)
産業の高付加価値化と地産外商
県民所得の向上には、旧来のコストカット型から高付加価値型の経済へ舵を切ることが欠かせません。県は第5期の産業振興計画で、1人当たりの県民所得の向上を全体目標に掲げ、県の強みである「食」を核にした産業づくりや、県産品を県外・海外に売り込む地産外商を進めています。
ユズや土佐酒、水産物といった基幹品目の輸出拡大や、関西圏との経済連携の強化も、その延長線上にある取り組みです。「小さな県内市場に頼らず、外へ打って出る」という発想が、高知の産業政策を貫く軸です。
公共サービスの持続可能性
人口減少がすでに進んだ高知県では、当面、総人口の減少は避けられません。そこで県は、公共交通・医療・消防といった暮らしを支えるサービスを持続的に提供するため、賢く縮む「4Sプロジェクト」を進めています。
象徴的なのが消防の広域化で、県内をひとつにまとめる「県一消防体制」を目指した検討が進んでいます。中央地域では路面電車とバスの役割分担の見直し、それ以外の地域では共同運行や公共ライドシェアの検討など、地域ごとに知恵を絞った再編が進められています。
限られた人員と財源で必要なサービスをどう守るかは、高知が全国に先んじて挑む課題です。
重点政策|高知県元気な未来創造戦略
高知県は伝統的な意味での「総合計画」を持たず、人口減少対策のマスタープランである「高知県元気な未来創造戦略」(計画期間は令和6〜9年度)が、最上位の総合戦略として機能しています。この戦略の下に、産業振興計画や教育大綱、健康長寿県構想、南海トラフ地震対策行動計画などの分野別計画がぶら下がる体系です。(出典:高知県元気な未来創造戦略)
計画を貫く考え方
戦略が描く将来像は「将来を担う若者が、地域地域で魅力のある仕事に就き、いきいきと住み続けられる元気な高知県」です。そのために若年人口(34歳以下)の減少数を令和9年までにゼロにすることを、戦略全体を貫く目標に据えています。受験生としては、①若者に魅力ある仕事をつくる、②結婚の希望をかなえる、③子どもを生み育てたい希望をかなえる、という3つの柱で理解しておくとよいでしょう。
3つの目指すべき高知県像
| 目指すべき高知県像 | ぶら下がる主な分野別計画 |
|---|---|
| いきいきと仕事ができる高知 | 産業振興計画(第5期)ほか。地産外商や高付加価値型経済への転換 |
| いきいきと生活ができる高知 | 教育大綱、日本一の健康長寿県構想(第5期)ほか。子育て支援や医療・介護 |
| 安全・安心な高知 | 南海トラフ地震対策行動計画(第6期)ほか。防災・減災、中山間対策 |
面接では、自分の取り組みたい仕事がこの3つのどこに位置づくのかを一言添えられるだけで、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります。
令和8年度の県政運営のポイント
県は令和8年度当初予算を5,071億円とし、平成15年度以来23年ぶりに5,000億円台に乗せました(前年度から330億円・7.0%増)。
重点は、高付加価値型経営を後押しする総合補助金の倍増(15億円)、県内事業者の男性育休を促す支援金、人口減少対策総合交付金の増額(13億円)、そして自治体として全国初となる時間外勤務手当の割増率の引き上げなどです。前述の消防広域化や「よさこい高知文化祭2026」も、この年度の県政を象徴する動きです。(出典:知事提案説明|令和8年2月)
POINT|施策名をすべて暗記しなくてよい
事業名をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②県はどんな状態を目指すか → ③現在の取り組み → ④県だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。
悪い例「高知県の人口減少対策に携わりたいです」
改善例「若い世代が県外へ出ていく流れを止めたいので、まずは県内企業の魅力を学生に届ける仕事から始めたいです。高知は自然減の影響が大きいと聞きましたので、その先で子育て支援にも関わっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 高知県職員採用試験の受験案内/職員採用案内リーフレット
- 高知県元気な未来創造戦略(全体像の資料)
- 最新年度の当初予算・知事の提案説明/関心分野の個別計画
- 推計人口年報や産業振興計画など、分野別の統計・計画資料
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、高知県庁専用の面接想定問答集をご用意しています。高知県の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
高知県の面接の概要
ここからは、高知県の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を左右する質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
高知県の面接の流れ
高知県の大学卒業程度試験(行政)は、第1次試験の筆記と第2次試験で合否が決まり、人物・人柄を見る口述試験だけで総合得点300点の半分(150点)を占める、人物重視の色合いが濃い試験です。口述試験は個別面接を2回行う形で、用意した答えを言えるかよりも、掘り下げられても自分の言葉で答え続けられるかが問われます。
| 項目 | 内容(令和8年度・大学卒業程度試験〈行政〉) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験(教養試験・専門試験)→ 第2次試験(論文試験・口述試験・適性検査) |
| 口述試験の種類 | 人物・人柄等に関する個別面接を2回実施 |
| 集団形式 | 受験案内に集団討論・集団面接の記載はなし |
| 人物試験の配点 | 口述試験150点(総合300点満点の半分) |
| 論文試験 | 1,020字以内・配点50点(合格基準は配点の3割以上) |
| 提出書類 | 受験案内に別途提出する面接カードの記載はなし。申込は原則インターネット申込 |
注目してほしいのは配点の重心です。教養・専門・論文がそれぞれ50点なのに対し、口述試験だけで150点。筆記でリードしても面接で崩れれば届かず、逆に筆記が平凡でも面接で挽回できる構造だと言えます。
個別面接が2回ある分、1回目で話した内容を2回目でさらに掘り下げられることも想定されます。場当たりの受け答えでは一貫性が崩れやすいため、自分の軸を先に定めておくことが大切です。
上記の試験構成は、高知県人事委員会の令和8年度大学卒業程度試験(行政)の受験案内にもとづくものです。「大学卒業程度試験(チャレンジ型)」は別枠の試験で内容が異なります。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。(参考:大学卒業程度試験受験案内|令和8年度)
高知県が求める人物像
高知県の大学卒業程度試験(行政)の受験案内では、求める人物像にあたる明文の一覧までは示されていません(採用案内リーフレットに知事メッセージなどの記載があります)。ただ、知事の提案説明や元気な未来創造戦略からは、県が職員に期待する姿勢を読み取れます。
県は基本姿勢として「共感と前進」を掲げ、県民目線に立った横断的・総合的な政策を、スピード感を持って進めることを重視しています。
高知が挑む人口減少対策は行政だけで完結するものではなく、企業や住民との連携が前提になります。だからこそ、周囲を巻き込みながら物事を前に進めた経験は、面接でも高く評価されやすいと言えます。
自己PRでも、「積極性があります」と述べるだけでなく、その力で何を行い、周囲や相手にどんな変化をもたらしたのかまで語れるように準備しましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。高知県の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 試験会場までは、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | なぜ本県を志望するのですか? | 「県で働く」という選択の理由を、自分の言葉で筋道立てて話せるか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 過去の行動パターンから、入庁後にも再現できる強みを確かめています |
| ⑤ 学業・経歴 | 専攻分野を選んだ理由を教えてください | 自分の選択を説明できるか。学んだことと仕事の接点を作れているか |
| ⑥ 適性・将来 | 10年後、どんな職員になっていたいですか? | 働く姿をどこまで具体的に描けているか。組織の中で成長する見通し |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近、気になっている社会問題はありますか? | 社会への関心の深さと、それを行政の仕事として捉え直す視点 |
ただし、この7カテゴリーは高知県に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者の誰もが対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのが実情です。
では、どこで差がつくのか。それが次の「高知県ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を左右するのは「高知県ならでは」の質問
どちらも、高知県の現状と県の戦略を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「高知県の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい高知県の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口減少 | 平成2年から自然減が続き、令和4年10月からの1年間で9,417人が減少。推計人口は令和8年に65万人を割り込んだ | 「全国に先駆けて人口が減る県」という立ち位置を先に押さえると、課題認識の一言に重みが出ます |
| 中山間地域 | 県土の約9割が中山間地域で、県民の約4割が暮らす。「中山間地域再興ビジョン」で対策を推進 | 都市部の施策をそのまま当てても届かない、という前提を踏まえて語れると、理解の深さが伝わります |
| 南海トラフ地震 | 県の最大クラス想定(令和8年3月公表)は建物全壊約20万棟。人的被害も大きく見込まれる一方、早期避難が進めば大きく減らせるとされる | 復旧よりも事前の備えに軸足を置いて話すと、県の行動計画の考え方とかみ合います |
| 産業・地産外商 | 第5期産業振興計画は1人当たり県民所得の向上が目標。県産品を県外・海外に売る地産外商が柱 | 「小さな県内市場に頼らず外へ売る」という県の発想に、自分の関心や強みを接続します |
| 元気な未来創造戦略 | 県の最上位戦略。3つの目指すべき高知県像を掲げ、若年人口の減少をゼロにすることを目標に置く | やりたい仕事を3つの県像のどれかに位置づけて話せると、戦略を踏まえた志望に見えます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 県職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、県が期待する姿勢に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
ここでは、施政方針や戦略から読み取れる姿勢を、面接の観点に翻訳して整理します。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 県民目線・共感 | 相手の立場に立って考え、対話しながら動いた経験があるか | アルバイトや部活動で、相手に合わせて動き方を変えた場面を具体的に話せるようにする |
| 主体性・変化への挑戦 | 前例のないやり方に、自分から踏み込んだ経験があるか | 結果の大小よりも「なぜ挑もうと思い、何を変えたか」を語れるようにする |
| 課題を解く力 | 人口減少のような答えのない課題を、筋道立てて考えられるか | 学業や活動で「つまずき→原因→対処」を順序立てて説明できるようにする |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。高知県では個別面接が2回あることもあり、自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 令和8年度の大学卒業程度試験(行政)の受験案内を読み、試験の段階と、論文・口述の配点(口述が総合の半分)を確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い高知県の事実を2〜3個、要点をかみ砕いて説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、個別面接が2回あることを想定して、「ここを掘られたら何と返すか」を答えるたびに書き足していく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を県の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で県の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学で、しかも短い時間で仕上げたいなら、高知県庁に的をしぼった面接想定問答集という手もあります。
高知県の採用面接で問われそうな質問を1問ずつ取り上げ、回答例と質問の意図、避けたいNG回答までを具体的に示しているので、本番での受け答えをイメージしやすくなります。試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
高知県の採用試験は、人物・人柄を見る口述試験だけで総合得点の半分を占める、人物重視の色合いが濃い試験です。
裏を返せば、筆記で少し出遅れても、面接での語りで十分に巻き返せる試験だとも言えます。
高知が全国に先駆けて向き合う人口減少という現実を、あなた自身はどう受け止め、県の職員として何をしたいのか。その問いに、借り物ではない自分の経験から答えられるように、この記事で押さえた事実を土台にして準備を進めていきましょう。