本記事では、四万十市職員採用資格試験の面接対策で必要な、四万十市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

四万十市役所の面接では、「なぜ四万十市を志望したのか」、「市の職員として何をしたいのか」、「あなたの強みは市政のどこで生きるのか」といった問いが想定されます。

四万十市の場合、こうした問いに向き合う力が、そのまま総合得点の大半を左右する試験になっています。その根拠は、第2部で配点とともにお見せします。

なお、以下で扱う試験の構成と配点は、令和8年度四万十市職員採用資格試験案内で確認できる内容です。事務職1〜3を中心に整理していますので、技術職・管理栄養士を受ける方は該当箇所を読み替えてください。

第1部|自治体研究編

四万十市の特徴

試験勉強の前に、四万十市がどんな市かを一度つかんでおきましょう。ここに挙げた項目は、そのまま面接で話せる材料になります。

  • 高知県の西部、幡多地域に位置する市。境を接するのは宿毛市・土佐清水市・高岡郡四万十町・幡多郡三原村・幡多郡黒潮町と、愛媛県の宇和島市・北宇和郡松野町。
  • 市域は632.32km²。高知県内の11市のなかで最も広い市域を持ち、県の総面積7,102.28km²の約8.9%を占める。
  • 人口は30,924人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。人口密度は1平方キロメートルあたり約49人にとどまる。
  • 高齢化率は38.2%。同じ住民基本台帳の基準でみた県全体の36.5%を1.7ポイント上回る。
  • 市の名は、四国最長の川である四万十川と同じ名を持つ。四万十川は全長196キロメートル、本流に大規模なダムがないことから「日本最後の清流」と呼ばれる。
  • 隣に位置する高岡郡四万十町は、四万十市とは別の自治体。名称が似ているため、調べものの際は取り違えに注意したい。
  • 南海トラフ地震では、高知県が令和8年3月に公表した最大クラス(L2・冬深夜)の想定で、市内に大きな人的被害が見込まれている。
  • 市の花は藤、市の木は柳。市役所は中村大橋通四丁目10番地に置かれている。

四万十市の基礎データ

面接で問われるのは統計の記憶量ではありません。この市がどんな条件のもとで行政をしているかを、数字1つで示せるかのほうです。

人口と年齢構成、市域の広さ、隣り合う自治体を並べました。

項目内容
総人口30,924人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口11,823人(高齢化率38.2%)
75歳以上人口7,121人(総人口の23.0%)
総面積632.32km²(高知県総面積7,102.28km²の約8.9%)
人口密度約49人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体宿毛市・土佐清水市・高岡郡四万十町・幡多郡三原村・幡多郡黒潮町(高知県内)、宇和島市・北宇和郡松野町(愛媛県)
市の花・木藤(花)・柳(木)
市役所の所在地四万十市中村大橋通四丁目10番地

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の数値です。高知県が国勢調査をもとに公表している統計は調査の基準が異なりますので、両者をまたいで増減を計算しないようにしてください。総面積・隣接自治体・市の花木・市役所の所在地は、当研究会が整理した基礎データによります。

広い市域と、そこに暮らす3万人

この表でいちばん効いてくるのは、632.32平方キロメートルという面積と、約49人という人口密度の組み合わせです。

県内の市で最も広い市域に3万人あまりが暮らしているということは、職員が担当する範囲を移動するだけで時間がかかる市だということでもあります。

窓口に来られない市民のところへどう行政を届けるかが、日々の仕事の前提になります。

年齢構成も押さえておきましょう。

高齢化率38.2%、75歳以上23.0%という値は、同じ住民基本台帳の基準でみた高知県全体(36.5%・22.2%)をどちらも上回ります。

市民のおよそ4割が65歳以上、4人に1人近くが75歳以上という構成です。移動距離の長さと高齢化が重なると、通院・買い物・災害時の避難といった場面がそれぞれ難しくなります。

「四万十市は県内でいちばん広い市域を持っていて、人口は3万人ほどだとうかがいました。4割近くの方が65歳以上ですので、広い範囲に散らばって暮らしている方に、どうやって行政の手を届けるかが大きなテーマなのだと感じています」

四万十市の経済・産業

幡多の暮らしを支える一次産業

高知県は、温暖多照の気候を生かした施設園芸が盛んな県です。県はシシトウ・キュウリ・ナス・ショウガ・ピーマン・ミョウガなどを「土佐を代表する園芸11品目」として掲げています。

また700キロを超える海岸線を持ち、遠洋・近海のかつお・まぐろ漁業、定置網漁業、魚類養殖業などが営まれています。(参考:高知県の農林水産業|県公式サイト)

森林の存在感も大きく、高知県の森林率84%は全国1位(全国平均67%)で、人工林率は65%、森林面積は594,090ヘクタールです(令和4年3月31日現在)。市域632.32平方キロメートルという広さは、こうした山と川を含んだ広さだと理解しておきましょう。(出典:都道府県別森林率・人工林率|令和4年3月31日現在)

四万十川という資源

四万十川は全長196キロメートルの四国最長の川で、本流に大規模なダムがないことから「日本最後の清流」と呼ばれています。支流を含めて47の沈下橋があり、高知県はこれらを生活文化遺産として保存しています。(参考:四万十川|高知県観光公式サイト)

沈下橋という呼び名が示すとおり、これらは増水時に水に沈むことを前提につくられた橋です。清流は観光資源であると同時に、増水すれば生活の足を止める存在でもあります。

資源と災害の両面を同じ川が持っているという理解は、面接で環境や防災を語るときに効いてきます。

観光をどう地域の収入に変えるか

高知県を訪れた県外観光客は、令和4年(2022年)で3,707千人と推計されています。令和元年の約8割まで戻った水準です。

県外観光客一人当たりの県内消費額は26,076円、総消費額は96,634百万円です。交通機関別では自動車による入込が全体の約9割を占めます。(出典:高知県観光客入込・動態調査報告書|令和4年)

自動車で9割という数字は、幡多地域のように県都から距離のある地域にとって、道路網の整備がそのまま観光の条件になることを意味します。観光を語るなら、名所の紹介ではなく「来た人にいくら使ってもらい、それを誰の収入にするか」まで踏み込みましょう。

四万十市の主な行政課題

第1部で見た数字は、そのまま市役所の仕事の難しさに変換できます。面接で課題を問われたときに使えるよう、次の4つを一言で言える状態にしておきましょう。

人口減少と高齢化の同時進行

高知県の推計人口は令和5年10月1日現在で66万6,293人。前年からの1年間で9,417人減少しており、減少率は1.4%です。

内訳は自然動態が8,133人減、社会動態が1,284人減で、人口減少の主因が社会減より自然減にあるのが高知県の特徴です。(出典:高知県推計人口年報|令和5年10月1日現在)

自然減が主因ということは、移住者を呼び込むだけでは減少が止まらないということです。高齢化率38.2%の四万十市では、今いる市民の暮らしをどう支え続けるかという課題が、人を呼ぶ施策と同じ重さで並びます。

南海トラフ地震への備え

高知県が令和8年3月24日に公表した令和7年度〔高知県版〕の被害想定では、最大クラス(L2・陸側ケース④)の地震で県全体の建物全壊は約204,000棟(冬深夜)とされ、市町村別では四万十市の死者が660人(現状・死者最大ケース・冬深夜)と見込まれています。(出典:令和7年度〔高知県版〕南海トラフ地震被害想定・市町村ごとの被害|令和8年3月)

津波の高さについては、内閣府の検討会が令和7年3月31日に公表した市町村別の最大津波高(満潮位・地殻変動を考慮した11ケースの最大値)で、四万十市は22メートルとされています。(参考:南海トラフ巨大地震の市町村別最大津波高一覧|令和7年3月)

あわせて覚えておきたいのが、県が同時に示した減災の数字です。

県全体のL2の津波死者14,000人は、早期避難率が現状の73%から100%になれば2,000人まで減らせると県は明示しています。

被害想定は決まった未来ではなく、住民が動けるかどうかで変わる数字です。

広い市域でサービスをどう届けるか

面積632.32平方キロメートル、人口密度約49人という条件は、そのまま行政コストの条件になります。同じ内容の説明会を開くにも移動が要り、同じ数の市民に会うにも時間がかかります。

窓口を待つ姿勢だけでは行政が届かない範囲が生まれる、という前提に立った仕事の組み立てが求められます。志望動機を語るときは、この距離の問題に触れられると具体性が増します。

清流の保全と利用の両立

本流に大規模なダムがないという四万十川の特徴は、清流としての価値を支える条件です。一方で、その川は観光客を呼ぶ資源でもあり、47の沈下橋のように暮らしと直結した構造物も抱えています。

守ることと使うことをどう両立させるかは、環境・観光・土木のどの分野を志望しても接点のある論点です。

四万十市の重点政策|清流と県の戦略

市の計画を読み込む前に、四万十市がどんな県の方針のなかに置かれているかを知っておくと、志望動機の座りがよくなります。

県が最重要課題に据えたもの

高知県は令和6年3月に「高知県元気な未来創造戦略」を策定し、人口減少問題を県政における喫緊に取り組むべき最重要課題として位置づけました。県は、長年にわたる若年層の県外への転出超過が若年人口を減らし、それが婚姻件数や出生数の減少を加速させ、さらに若年人口の減少を招くという連鎖が生じていると分析しています。(出典:高知県元気な未来創造戦略|令和6年3月)

この連鎖の輪を、市役所の窓口の側から見ると分かりやすくなります。転出届も、婚姻届も、出生届も、市民課のカウンターを通ります。

市町村の窓口業務は、県が最重要と呼ぶ課題のいちばん近くにあります。

「地産外商」と、清流の使い方

県は、県外・海外から外貨を獲得する取組を「地産外商」と呼び、産業振興の戦略の柱に据えています。県内市場だけに頼らず外へ打って出るという考え方です。

四万十市に引きつけるなら、清流という全国に知られた名前を持つことは、この戦略のうえで有利な条件だといえます。

ただし、名前が知られていることと、地域にお金が落ちることは別です。

県の調査で県外観光客の一人当たり消費額が26,076円(令和4年)と分かっている以上、議論の焦点は「何人来たか」から「一人にいくら使ってもらえたか」へ移ります。

観光や産業振興を志望するなら、この視点を持って臨みましょう。

POINT|計画の名前を覚えるより、順番で調べる

計画名を並べられても、面接では一往復で終わります。関心のある分野を一つ選び、「①いま何が起きているか → ②市はどうしたいか → ③そのために何をしているか → ④自分に何ができるか」の順に調べるほうが、話が続きます。

悪い例「四万十川の自然を守る仕事に関わりたいです」

改善例「県の調査では観光のお客さんの9割が車で来られるとありましたので、川を見に来た方に地元でお金を使っていただく仕組みづくりと、清流を守る取り組みを、両方進める仕事に関わりたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

受ける職種と関心のある分野に応じて、次のなかから選んで読んでおきましょう。

  • 四万十市職員採用資格試験案内(最新年度・受験する職種のもの)
  • 四万十市の総合計画をはじめとする市の主要な計画(市公式サイト掲載の最新版)
  • 四万十市の予算・決算に関する市の公表資料
  • 高知県元気な未来創造戦略(令和6年3月)
  • 令和7年度〔高知県版〕南海トラフ地震の被害想定(令和8年3月公表)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、四万十市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。四万十市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

四万十市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

四万十市役所の面接の概要

四万十市は、種目ごとの配点を試験案内で公表しています。何にどれだけ力を割くべきかが数字で分かる、対策の立てやすい試験です。

四万十市役所の試験の流れ

令和8年度の職員採用資格試験は、第一次試験と第二次試験の2段階です。

第一次試験は筆記試験と集団討議で構成され、この2つは別日・別会場で実施されます(筆記試験は四万十市立中村中学校、集団討議は四万十市役所)。

第二次試験は全職種共通で作文試験と面接試験、技術職(土木)・技術職(建築)にはこれに専門試験が加わります。

筆記試験の中身は、基礎能力(SCOA-A)が高校卒業程度の択一式で試験時間60分、事務能力(SCOA-C)が事務能力についての診断検査で検査時間約50分です。あわせて職場適応性検査(約35分)がありますが、試験案内は「この検査は試験の参考とするものであり、得点化はしません」と明記しています。

試験種目事務職1〜3・管理栄養士技術職(土木)・技術職(建築)
基礎能力(SCOA-A・択一式60分)100点100点
事務能力(SCOA-C・診断検査約50分)50点50点
集団討議(グループ討議形式)200点200点
作文試験(60分)50点50点
面接試験(個別面接)300点300点
専門試験(択一式90分)なし100点
総合得点700点800点

上記は、四万十市の令和8年度職員採用資格試験案内に基づく配点です。職場適応性検査(約35分)は試験の参考とするもので、得点化されません。配点・種目は年度や職種によって変わりますので、受験の際は必ずご自身が受ける職種の最新の試験案内をご確認ください。

数字を並べると、この試験の性格がはっきりします。事務職1〜3では、総合得点700点のうち、集団討議200点と面接試験300点を合わせた500点が人物を見る種目です。

筆記の基礎能力と事務能力は合わせて150点ですから、択一の対策だけを積み上げても届く範囲は限られます。

もう1つ注目したいのが、集団討議が第一次試験に置かれていることです。

試験案内は集団討議を「グループ討議形式により、主として人物、識見、職務適性、対人関係能力等を評価する試験」と説明しています。

個別面接に進む前に、他の受験者と話す場面で200点分が動くということです。(出典:令和8年度四万十市職員採用資格試験案内)

配点と職種区分が示しているもの

令和8年度四万十市職員採用資格試験案内には、「求める人物像」として定型化された文言の記載がありません。700点の内訳と、事務職を3つに分ける区分の立て方。

手がかりはこの2つです。ここから先は、それを読んだ当研究会の解釈になります。

まず、令和8年度の職種と採用予定人員は、事務職1が6名程度、事務職2(職務経験者)が3名程度、事務職3(会計年度任用職員経験者)が1名程度、管理栄養士が1名程度、技術職(土木)が1名程度、技術職(建築)が1名程度です。事務職だけで3つの区分に分かれ、うち2つが経験者向けという構成になっています。

とくに事務職3は、令和8年7月1日時点で市の会計年度任用職員として連続2年以上在籍し、令和7年度・令和8年度に欠勤がない人という要件です。

市での勤務実績と勤怠が、そのまま受験資格になっている区分だといえます。日々の働きぶりを見て採用につなげる仕組みを市が持っている、と読むことができます。

ここに、市の条件を重ねてみましょう。632.32平方キロメートルの市域に3万人あまりが暮らし、事務職1の採用は6名程度です。

県内で最も広い市域を、この人数で分けて担当することになります。担当が変われば相手も制度も変わりますから、前の部署のやり方がそのまま次で通じるとは限りません。

集団討議で「対人関係能力等」がわざわざ評価項目に挙がっているのは、こうした働き方と地続きだからだろうと読めます。

そしてもう一段、この試験には長く働くことを見ている気配があります。

事務職2は職務経験者、事務職3は市での勤務実績を要件とする区分で、事務職の3区分のうち2つが「これまでどう働いてきたか」を採用の入口に置いています。

ここから逆に言えるのは、はじめて社会に出る人が受ける事務職1でも、腰を据えて続けられるかという視点は同じように働くだろうということです。

志望動機を市の言葉に寄せて作文するより、自分がこれまで何を続けてきた人間なのかを先に固めるほうが、この試験では通りがよくなります。

200点の討議と、300点の面接への備え方

人物を見る種目が2つあるといっても、試験案内が挙げている評価対象は同じではありません。

集団討議は「人物、識見、職務適性、対人関係能力等」と4つ並ぶのに対し、面接試験は「主として人物についての個別面接による試験」とだけ書かれています。

識見と対人関係能力が名指しされているのは討議の側だけという差です。

個別面接の300点は、自分が実際にやってきたことを掘られる時間です。

1つの経験について、何に困り、何を考え、どう動いて、結果どうなったかを、続けて3回聞かれても答えが出てくる状態にしておく。

これは自分の過去を整理する作業になります。

これに対し、集団討議で挙がっている識見は、経験の棚卸しでは埋まりません。その場で示されたテーマについて、自分がどう考えるかを言葉にできるかどうかだからです。

第1部で扱った人口減少、南海トラフ地震への備え、清流の保全と利用のうち、意見が割れそうな論点を1つ選び、自分はどちらを先にすべきだと考えるのか、その理由まで用意しておきましょう。

立場はどちらでも構いませんが、理由のない立場は議論のなかで保ちません。

対人関係能力のほうは、練習の形そのものが変わります。グループ討議は持ち時間を参加者全員で分ける形式ですから、話した量がそのまま点になるわけではありません。

用意してきた意見を言い切るより、前の人の発言のどこに乗り、どこを補うのかを示す一言を先に置く。この言い方は、頭で分かっていても本番の緊張下では出てきません。

順番の面でも、2つは分けて考える必要があります。集団討議は第一次試験、面接試験は第二次試験に置かれています。

第一次試験の日までに決まるのは基礎能力100点、事務能力50点、集団討議200点の合計350点。第二次試験で動くのが作文試験50点と面接試験300点の350点です。

700点は前半と後半でちょうど半分ずつに分かれ、しかも先に動く350点のうち200点が討議の点数だということになります。個別面接の練習は一人でも始められますが、討議の練習には相手が要ります。

人を集める日程調整の分だけ、こちらは早く動き出しておきましょう。

なお、同じ第二次試験に置かれた作文試験は50点、面接試験は300点です。二次対策にあてられる時間は、この6倍の差を意識して配分してください。

作文は書き方の型を1つ決めて時間内に収める練習で足りますが、面接の300点は詰め込みが効かない種目です。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。四万十市の面接も、この体系に沿って一巡しておけば、答えに詰まる場面はかなり減らせます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク緊張していますか?集団討議を経てから臨む個別面接。討議の疲れや手応えを引きずらずに話し出せるか
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?民間でも通る話で止まっていないか。人口3万人台のこの市を選んだ理由まで届いているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?第一次で職場適応性検査を受ける試験。得点化はされないが、語る自己像と大きくずれていないか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてくださいできごとの大小ではなく、その場面で何を選び、どう動かしたか。300点を占める面接試験の中心になる領域
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れたことを教えてください作文試験で判断力と思考力が見られる試験。話の筋が通っているか
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?事務職1は分野を限定しない採用。広い市域のどこに配属されても働ける柔軟さ
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?集団討議で識見が評価対象になる試験。社会の出来事に自分の見方を持てているか

ただ、この7つに答えを用意する作業だけでは、500点の側にはまだ届きません。集団討議でも個別面接でも、話の中身が四万十市の話になっているかどうかで受け取られ方は変わります。

そこで効いてくるのが、次に挙げる問いです。

合否を分けるのは「四万十市役所ならでは」の質問

「なぜ高知県庁ではなく、四万十市役所なのですか?」
「四万十市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

この2問は、集団討議の場でも個別面接でも形を変えて出てきます。同じ問いに他の受験者と並んで答える場面があるということは、事実の粗さがその場で比べられるということでもあります。

そこで、この2問に耐えるだけの四万十市の事実を、答え方とセットで並べておきます。

質問テーマ知っておきたい四万十市の事実答え方のヒント
人口と年齢構成住民基本台帳ベースで人口30,924人、高齢化率38.2%、75歳以上23.0%(令和8年1月1日現在)。県全体を同じ基準でみると36.5%・22.2%で、四万十市はどちらも県を上回る県より高齢化が進んでいる事実を先に置き、4人に1人近くが75歳以上という構成のもとで市の窓口が何を担うかへつなげます
なぜ県庁ではなく市役所か市域632.32km²は県内11市で最も広く、人口密度は約49人/km²。事務職1の採用予定は6名程度で、分野を限定しない採用県との役割の違いを並べるより、県内で最も広い市域に散らばる3万人の側に立つ仕事を選んだ理由を、自分の経験から語ります
南海トラフ地震県の令和7年度〔高知県版〕想定で、市内に大きな人的被害が見込まれる(現状・冬深夜)。内閣府公表の市町村別最大津波高は22メートル。県は、早期避難率を現状から100%へ高めれば県全体の津波による死者を大きく減らせると示している被害の規模で終わらせず、避難率を上げるために市役所が打てる手へ話を進めます
四万十川と観光四万十川は全長196kmで四国最長、本流に大規模ダムがなく「日本最後の清流」と呼ばれ、支流を含む47の沈下橋を県が生活文化遺産として保存。県外観光客の約9割は自動車で来訪(令和4年)清流の紹介で終えず、守ることと使うことをどう両立させるかという論点まで持っていきます
試験が示す市の姿勢事務職1〜3は総合得点700点のうち集団討議200点・面接試験300点。事務職3は市の会計年度任用職員として連続2年以上在籍し欠勤がない人が対象人物評価の比重が高い試験だと理解していることを、暗記量ではなく自分の経験の語り方で示します

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

四万十市は求める人物像を文章の形では示していませんが、各種目が何を評価するかは試験案内に書かれています。評価の観点は、その種目の説明文のなかにそのまま置かれていると考えてください。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
人物・識見・職務適性・対人関係能力(集団討議200点)他の受験者と話す場面で、意見を出しつつ他人の話を受け止められるか結論を通すことより、議論を前に進めた発言を思い出す。役割を取った経験を場面ごとに用意しておく
判断力・思考力(作文試験50点・60分)与えられたテーマに対し、限られた時間で筋の通る形にまとめられるか広い市域と高齢化という四万十市の条件をテーマに、60分で書く練習を一度やっておく
人物(面接試験300点)語られた経験が本人のものか。掘り下げに耐えるか配点の4割強を占める種目。話す時間が長くなるぶん、分野の違う経験を複数そろえておく

なお、公務員の個別面接では、ひとつの話題について「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と重ねて問われるのが普通です。

300点という配点は、それだけ長く深く聞かれる時間があるということでもあります。実体験に根ざした答えを、細部まで自分の言葉で出せるようにしておきましょう。

本番までの準備6ステップ

配点まで公表されている試験ですから、準備も具体的に組めます。手順に落とすと次のようになります。

  1. 最新年度の試験案内を開き、自分が受ける職種の種目と配点を書き出す。どの種目に何点あるかを把握してから対策を配分する
  2. これまでの経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 集団討議200点に備える。討議テーマになりそうな論点を1つ選んで自分の立場と理由を決め、そのうえで人の意見を受けて発言をつなぐ練習を、相手役を頼んで声に出して行う
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い四万十市の事実を2〜3個、資料を見ずに話せるところまで持っていく
  6. 固有質問の対応表から材料を選び、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む。作文試験に備えて、同じ内容を60分で書いてみる

優先順位に注意

ステップ5〜6の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ2の経験の棚卸しと、ステップ3の集団討議の練習を先に回してください。700点のうち500点が、人と話す場面で動く試験です。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、四万十市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

四万十市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

四万十市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度の事務職1〜3では、総合得点700点のうち500点が集団討議と面接試験に置かれています。配点が公表されているということは、対策の優先順位を迷わなくてよいということです。

択一の得点を積み上げる勉強と並行して、他の受験者と議論する場面と、一対一で掘り下げられる場面の両方に備えてください。県内で最も広い市域を持つ市が、そこに暮らす3万人あまりとどう向き合っているか。

その理解を自分の経験と結びつけられたとき、500点分の準備が形になります。