本記事では、周南市職員採用試験の面接対策で必要な、周南市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。試験の構成は令和8年度の募集案内をもとに、前期日程の大学卒業程度・行政事務を軸として整理します。
周南市役所の面接試験では、「なぜ周南市を志望したのか」「市職員としてどの分野に関わりたいのか」「周南市の産業をどう見ているか」といった、このまちの成り立ちを知らないと表面をなぞって終わる質問が想定されます。市の実情を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、周南市ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。
これから並べる数字や施設の名前は、面接で披露するためのものではありません。自分の関心が市の仕事のどこにつながるかを見極めるための下敷きとして読んでください。
第1部|自治体研究編
周南市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは周南市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 臨海部に石油化学などの基礎素材型産業が集まる、国内有数のコンビナートを抱える市。市役所は岐山通一丁目にある。
- 住民基本台帳人口は133,088人(令和8年1月1日現在)。県全体の約127万5千人に対して、およそ10%を占める。
- 市域は656.29km²と広く、人口密度は約203人/km²。下松市、光市、山口市、防府市、岩国市と接し、北側では島根県鹿足郡吉賀町とも県境を接する。
- コンビナートは、苛性ソーダなどの無機化学とエチレンなどの有機化学が結び付いた複合型で、工場群が市の中心部に近接しているのが特徴。
- その立地を生かし、2005年から産業観光、2011年からは工場夜景クルーズやバスツアーを実施している。
- 脱炭素に向けては、周南コンビナート脱炭素推進協議会が設置されている。
- 職員の勤務地は市役所と各総合支所・支所等の出先機関で、上下水道局やボートレース事業局に配属される場合もある。
- 市の花はサルビア、市の木はクスノキ。
周南市の基礎データ
細かい統計を暗記しても面接では使えません。周南市で意味を持つのは、産業の大きさと、市域の広がりを同じ話の中に置けるかという点です。
市政の性格に関わる項目を選んで並べました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 133,088人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 45,089人(33.9%/山口県全体は35.4%) |
| 75歳以上人口 | 27,315人(20.5%/山口県全体は21.5%) |
| 総面積 | 656.29km² |
| 人口密度 | 約203人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 市役所所在地 | 周南市岐山通一丁目 |
| 隣接する自治体 | 下松市、光市、山口市、防府市、岩国市、島根県鹿足郡吉賀町 |
| 市の花・市の木 | サルビア/クスノキ |
人口と年齢別人口の出所は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)で、県の値も同じ調査によります。総面積・隣接する自治体・市の花と市の木については、当研究会が整理した基礎データを用いました。住民基本台帳による人口と国勢調査による人口は調査の基準が異なるため、両者を直接つないで増減を論じることはできません。
数字から考えられる市政課題
周南市の高齢化率は33.9%で、同じ時点の山口県全体(35.4%)をわずかに下回ります。
75歳以上の割合は20.5%で、県全体の21.5%とほぼ並ぶ水準です。県内で突出して高いわけでも低いわけでもない、県の平均に近い年齢構成だといえます。
3人に1人が65歳以上という前提は、産業が盛んな市であっても変わらないということです。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)
もう一方の軸が市域の広さです。656.29km²に13万人あまりが暮らし、密度は約203人/km²。
臨海部に工場と市街地が集まる一方で、島根県と県境を接する北側には山あいの地域が続きます。市が各総合支所・支所等の出先機関を置いているのは、この形に対応するためでしょう。
ひとつの市の中に、性格の異なる二種類の地域があると捉えておくと、面接での説明が組みやすくなります。
周南市の経済・産業
市街地に隣り合う国内有数のコンビナート
周南市の臨海部には、石油化学などの基礎素材型産業が集積しています。
その内訳は、苛性ソーダなどをつくる無機化学と、エチレンなどをつくる有機化学が結合した複合型で、単一の製品系列に寄りかかっていないのが特徴です。
そしてこの工場群が、市の中心部のすぐ近くにある。
産業と暮らしが物理的に隣り合っているという条件は、環境対策から防災、企業との協議まで、市役所の幅広い仕事に関わってきます。(参考:周南市の産業観光|周南市公式)
県全体の産業構造から見た位置
この構造は、山口県全体の姿とも重なります。
令和4年の県の製造業出荷額は7兆6,150億円で、業種別では化学工業製品が32.4%と最大です。県は1事業所当たりの付加価値額と従業者1人当たりの付加価値額がいずれも全国1位で、瀬戸内海沿岸に石油化学コンビナートなどの基礎素材型産業が集まる工業県だとされています。
周南市は、その県の性格をもっとも濃く体現する市のひとつだといえるでしょう。(出典:山口県の製造業の状況|令和4年)
工場群を見せるという発想
周南市は、この産業集積を観光の資源としても扱ってきました。
2005年からは産業観光に取り組み、2011年からは工場夜景クルーズやバスツアーを実施しています。生産の現場を「見せる」対象に変える発想は、地域の産業への理解を広げると同時に、来訪者を呼び込む手段にもなっています。
観光や産業振興を志望分野にするなら、名所を紹介する話ではなく、すでにあるものの見せ方を変える取り組みとして捉えておきましょう。この取り組みが20年近く続いてきたことにも意味があります。
産業観光の開始が2005年、工場夜景の企画が2011年ですから、一度の催しで終わらせず、内容を足しながら続けてきたことになります。行政の仕事では、新しい事業を立ち上げる場面より、始めたものを続けて育てる場面のほうが多くなります。
面接で施策に触れるときは、始まりの年だけでなく、そこから何が積み上がったのかまで見ておくと話に厚みが出ます。
周南市の主な行政課題
産業と地域の姿を押さえたところで、周南市が抱える論点を4つに整理します。面接で「市の課題」を問われたときに、ここから選んで話せる状態にしておきましょう。
県全体で早まる人口減少
県の総合戦略は、人口減少が予測を上回る速さで進んでいるという認識を示し、令和5年8月に県人口が130万人を割り込んだことを挙げています。
要因の中心は自然減で、少子化により合計特殊出生率の目標達成が厳しいこと、高齢化の進行で死亡数が高止まりし自然減が拡大していることが挙げられています。工業都市であっても、この流れの外側にいるわけではありません。(出典:山口県第3期総合戦略(2025改訂版)|令和7年3月)
就職を機に県外へ出る若い世代
課題として並ぶのは、進学や就職を機とした若者の県外流出が一貫して続いていること、その流出が男性より女性で大きいこと、コロナ禍のあと東京圏などへの社会減が再び広がっていることです。働く場が市内にあることと、若い世代がそこを選ぶことは別の問題です。
産業集積を持つ周南市だからこそ、この差をどう埋めるかが具体的な論点になります。市が職員の市内居住を奨励していることも、この文脈に置くと意味が見えてきます。
働く人がそのまちで暮らすかどうかは、税や消費だけでなく、地域の担い手が確保できるかにも関わってくるからです。
コンビナートの脱炭素という転換
基礎素材型産業は、製造の工程で多くのエネルギーを使います。
周南市には周南コンビナート脱炭素推進協議会が設置されており、市と企業が同じ場で脱炭素の道筋を検討する枠組みができています。
市の税収と雇用を支えてきた産業そのものが、構造の見直しを迫られているということでもあります。
環境分野を志望する場合はもちろん、産業振興や企業誘致を語るときにも避けて通れない論点です。(参考:周南コンビナート脱炭素推進協議会|周南市公式)
南海トラフ地震への備え
令和7年に見直された南海トラフ巨大地震の被害想定では、山口県全体で最大震度6強(柳井市)、最大津波高3.7m(光)が想定されています。
死者は502人(うち津波によるものが474人)、全壊・焼失は9,738棟、経済被害は約1.9兆円という見込みです。発災1日後の避難者数は245,720人。
南海トラフ地震防災対策推進地域には、瀬戸内海沿岸の15市町すべてが入っています。これらは県全体の想定値ですが、臨海部に工場が並び、北には山あいの集落が続く周南市では、備えの中身が地域によって変わってきます。(出典:南海トラフ巨大地震の被害想定の見直し|令和7年)
周南市の重点政策|コンビナートの脱炭素と地域との関わり
周南市が何に力を入れているかは、市が用意している枠組みと、採用の場で示している考え方から読み取れます。ここでは3つの角度から見ていきます。
企業と同じ場で脱炭素を検討する
周南コンビナート脱炭素推進協議会は、市内の産業構造をそのまま前提としながら、その先の姿を関係者で描くための場です。
特定の部署が単独で進める話ではなく、企業の設備投資、港湾や道路といった基盤、雇用や人材育成まで論点が広がります。面接で環境や産業を語るなら、「脱炭素は大事です」と述べるのではなく、この協議会のように立場の違う相手と同じ机につく仕事を思い浮かべながら話しましょう。
職員が市内に住むことを奨励する考え方
周南市の募集案内には、職員の住まいについて明確な考え方が書かれています。
「周南市では、災害発生時等における危機管理体制の確保や、職員も一市民として、まちづくりに積極的に携わることが大切であるとの考えから、職員の市内への居住を奨励しています」という一文です。
職員を、行政の担い手であると同時に一人の市民として捉えていることが、採用の入り口で示されているわけです。
この考え方は、志望動機を組み立てるときの重要な手がかりになります。(出典:令和8年度周南市職員採用試験募集案内(前期日程)|令和8年度)
県の総合計画が置く柱
市の政策を読む際は、県の方向も押さえておくと理解が深まります。
県が2022年度から2026年度までを計画期間として進めている総合計画が「やまぐち未来維新プラン」(令和4年12月策定)です。3つの維新を柱に据え、重点プロジェクトの一つにグリーン成長(脱炭素)を置いています。
産業維新・大交流維新・生活維新という並びのうち、周南市の臨海部に直接かかわるのは産業維新でしょう。県の計画であって周南市の計画ではありませんが、脱炭素という論点で県と市の関心が重なっている点は押さえておく価値があります。(参考:やまぐち未来維新プラン|令和4年12月策定)
POINT|産業の話を、自分の仕事の話に着地させる
コンビナートの規模を説明できることが自治体研究の到達点ではありません。関心のある分野を一つ決めて、①周南市でその分野に何が起きているか → ②市はどんな枠組みを用意しているか → ③そこで職員はどんな動き方をするか → ④自分の経験のどれが役に立つか、と順にたどってください。
悪い例「周南市の産業を支える仕事がしたいです」
改善例「周南市は工場が市の中心部の近くにあると知りました。脱炭素を進めるとなると、企業だけでなく近くに住んでいる方の理解も必要になると思いますので、両方の話を聞いて間をつなぐ仕事に関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
量を読むことが目的ではありません。次の4つを開いておけば、答えの根拠は用意できます。
- 令和8年度周南市職員採用試験の募集案内(自分が受ける日程と職種のもの)
- 周南コンビナート脱炭素推進協議会に関する市の公表資料
- 周南市の総合計画(市公式サイトの最新版)
- やまぐち未来維新プラン(県が何を柱に置いているかを知るため)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、周南市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。周南市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
周南市役所の面接の概要
ここからは、周南市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
周南市役所の面接の流れ
令和8年度の周南市職員採用試験は、先行日程・前期日程・後期日程と上下水道局の日程区分に分かれて実施され、大学卒業程度の行政事務は先行日程と前期日程で募集されます。
ここでは前期日程の内容を見ていきます。
この試験でまず知っておきたいのは、人物を見る種目が集団討論1回と個別面接2回の計3つに及ぶことです。
| 項目 | 内容(令和8年度前期日程・大学卒業程度/行政事務) |
|---|---|
| 試験の段階 | 三段階。第一次試験 → 第二次試験 → 第三次試験 |
| 受験資格 | 学歴は問われません(試験問題は大学卒業程度の内容で実施)。年齢の要件は生年月日で定められています |
| 第一次試験 | 専門試験(択一式・90分)、性格検査(約40分)、小論文(記述式・40分)。教養試験は課されません |
| 専門試験の出題分野 | 憲法、行政法、民法、経済理論、経済政策・経済事情、財政学・金融論、社会政策、政治学・行政学、国際関係、社会学・教育学 |
| 小論文の内容 | 論理性、文章表現力、構成力等に関する試験 |
| 第二次試験 | 集団討論および個別面接 |
| 第三次試験 | 個別面接 |
| 採用予定人数 | 5人程度。職務内容は「住民異動、戸籍、市税、福祉などの窓口業務、内部管理、企画・調整等の行政事務全般」 |
| 提出書類 | 受験申込書と顔写真データ。面接カードやエントリーシートの提出に関する記載はありません |
| 勤務地 | 周南市役所および各総合支所、支所等の出先機関。上下水道局・ボートレース事業局に配属になる場合があります |
この構成で目を引くのは、第一次試験に教養試験が置かれておらず、専門試験と小論文で組まれている点です。
判断推理や数的推理といった科目に時間を割く代わりに、法律・経済系の専門科目と、書いて筋を通す力が最初の関門になります。そのうえで第二次では集団討論と個別面接、第三次でもう一度個別面接。
選考の後半は、ほぼすべてが人物を見る場だと考えて準備を組みましょう。(出典:周南市職員採用情報|令和8年度)
教養試験がないことは、勉強の総量が減るという意味ではありません。募集案内が挙げる専門試験の分野は10あり、憲法・行政法・民法の法律系、経済理論・経済政策と経済事情・財政学と金融論の経済系、そこに政治学と行政学、社会政策、国際関係、社会学と教育学が並びます。
社会政策には「社会福祉や社会保険などの社会保障と雇用」という説明が添えられています。科目ごとの配点は募集案内に示されておらず、分かっているのは択一式で90分という枠だけです。
どの分野にどれだけ重みがあるか読めない以上、主要科目を厚くしつつ、残りも白紙にはしない配分が現実的になります。
教養に回すはずだった時間の行き先を、学習計画の最初に決めてしまいましょう。なお、経済政策・経済事情や社会政策のように、世の中の動きと地続きの科目もあります。
第1部で読んだ県内の人口減少や産業の構造は、面接で話す材料としてだけでなく、こうした科目の下地としても働きます。小論文も同じ第一次試験の中に置かれています。
記述式で40分、募集案内が挙げる観点は論理性・文章表現力・構成力です。40分は、書きながら考え直す余裕のある長さではありません。
設問を読んで立場と骨組みを決めるところまでを最初の数分で終え、あとは書き進めるだけにする。その骨組みの型を、本番より前に自分で一つ決めておくことが、時間内に運びきる近道です。
関心のある分野についてこの型で一度書いておけば、後の人物試験で話を組み立てる順序としても流用できます。
上記は令和8年度前期日程の大学卒業程度・行政事務の構成です。募集案内に各試験の配点・満点の記載はありません。日程区分・職種・試験の構成は年度によって異なる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身が受ける日程と職種の最新の募集案内をご確認ください。なお、先行日程・前期日程・後期日程を通じて、同一職種の重複受験はできません。
配点が分からないまま受けることにはなりますが、自分の結果を確かめる道は用意されています。募集案内によれば、各試験の不合格者は本人の請求に限り、得点と順位を合格発表日から1か月間、人事課(本庁舎4階)で開示してもらえます。
代理人による請求や、郵送・電話での請求は受け付けられません。1か月という期限があること、窓口まで足を運ぶ必要があることは、いまのうちに頭の隅へ置いておいてください。
届かなかったとき、どの段階でどれだけ足りなかったのかを自分で確かめられるかどうかで、翌年の準備の重点の決まり方が変わります。
周南市役所が求める人物像
周南市の募集案内と職員採用のページには、「求める人物像」を一文で掲げる形の記載がありません。
ただし、市の考え方が読み取れる記述はあります。募集案内が職員の市内居住を奨励する理由として挙げているのが、災害発生時等における危機管理体制の確保と、職員も一市民としてまちづくりに積極的に携わることの大切さでした。
以下は当研究会の解釈だと断ったうえで、2つの手がかりから考えていきます。ひとつはいま引いた居住奨励の一文、もうひとつは人物試験を3種目も並べた選考の形です。
まず選考の形です。人物を見る種目が3つあり、そのうち1つは集団討論。
しかも提出書類は受験申込書と顔写真データだけで、面接カードやエントリーシートにあたる書類の提出は求められていません。事前に書いた紙が、面接の場で自分を説明してくれないということです。
話す場面ごとに自分で組み立て直すことになります。次に働く環境です。
採用予定は5人程度。職務内容は窓口業務から内部管理、企画・調整まで及び、勤務地には各総合支所や上下水道局、ボートレース事業局も含まれます。
656.29km²の市域に、性格の異なる職場が分散しているわけです。この条件では、決まった役割の中で力を発揮するより、置かれた場所で必要なことを見つけて動けるほうが噛み合いやすいと考えられます。
自己PRでは「臨機応変に動けます」と言い切るだけで終わらせず、その力を使って何を行い、周囲がどう変わったのかまで説明してください。周南市では、集団討論で他の受験者と話しながら出てくる言葉と、個別面接で2回にわたって語る内容が、同じ人物のものとして重なるかどうかが見られます。
準備の力点は、話す材料を増やすことよりも、どの場面でも取り出せる経験を数を絞って深く掘っておくことに置きましょう。書類に頼れない試験では、そのほうが確実です。
3つの種目は、選考の中で置かれている位置が違います。集団討論と一度目の個別面接は同じ第二次試験にまとめられ、第三次試験は個別面接だけで組まれています。
重みの差までは配点が公表されていないので分かりませんが、討論と個別面接が同じ試験の中にある以上、討論での自分の発言に触れられる場面は織り込んでおくほうが安全でしょう。意見を引き取った理由も、引かずに自分の案を通した理由も、あとから言葉にできる状態にしておきたいところです。
二度目の個別面接のほうは、一度通した人物をもう一度確かめる場になります。
同じ経験を別の角度から掘られる前提で、いつ、誰と、何を言われて、どこを変えたのかまで自分の記憶として持っておく。
一度目に話す題材をあらかじめ絞っておけば、二度目でそこを深く掘られても答えが続きます。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会は、全国の自治体・官公庁で使われている面接想定問答を集め、質問の中身を7つのカテゴリーに整理してきました。周南市の面接も、この区分けに沿って準備しておけば、大きな取りこぼしは避けられます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 緊張していますか? | 集団討論のあとに個別面接が続く流れで、場が変わっても受け答えの調子が保てるか |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 教養試験を課さない試験だからこそ、公務員という職業を選んだ筋道そのものが確かめられる |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 約40分の性格検査で示した傾向と、口頭で語る自己像がずれていないか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 採用予定5人程度という規模で、配属後まもなく窓口に立つ場面を想像させる具体性 |
| ⑤ 学業・経歴 | 卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください | 専門試験で問う憲法・行政法・経済理論などを、専門外の相手に届く言葉へ置き換えられるか |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 各総合支所や上下水道局、ボートレース事業局まで含む配属の幅を理解しているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 小論文で測る論理性・文章表現力・構成力と地続きの、考えをまとめる力 |
もっとも、この7つは周南市の募集案内から導いたものではなく、当研究会が全国の想定問答を整理してつくった枠組みです。
この7つに対する答えは、受験する側もあらかじめ用意して臨むのが普通です。評価が割れるのは、次に挙げる周南市の事情に踏み込んだ問いのほうです。
合否を分けるのは「周南市役所ならでは」の質問
周南市の場合、この2問は産業の話と切り離せません。工場群が市の中心部に近く、脱炭素の協議会まで動いている市では、産業をどう見ているかがそのまま市への理解度として表れるからです。
1問目で県との役割分担だけを述べても、企業と住民が隣り合う場所で市が何をしているかには届きません。2問目で工場夜景を魅力に挙げるなら、その先の脱炭素という課題まで一続きで語れるかが問われます。
どちらの問いも、周南市の産業と暮らしを結びつけて話せるかどうかで評価が分かれる質問です。
下の表には、答えを組み立てるときに使える事実だけを残しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい周南市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口と年齢構成 | 住民基本台帳人口は133,088人、高齢化率33.9%、75歳以上の割合は20.5%(令和8年1月1日現在)。県全体の値は35.4%・21.5% | 県平均に近い水準であることを押さえたうえで、産業が盛んでも高齢化は進むという当たり前の事実から話を始めます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 採用予定は5人程度。職務内容は窓口業務から内部管理、企画・調整まで及び、勤務地には各総合支所や上下水道局、ボートレース事業局も含まれる | 広域の調整ではなく、住民と直接向き合う場と企画の場を行き来したいという希望を、自分の経験で裏づけます |
| 周南市の魅力 | 市の中心部に近接する国内有数のコンビナート。2005年から産業観光、2011年から工場夜景クルーズやバスツアーを実施 | 工場の規模を語るのではなく、すでにあるものの見せ方を変えた取り組みとして評価の言葉を添えます |
| 産業の転換 | 苛性ソーダ等の無機化学とエチレン等の有機化学が結合した複合型のコンビナート。脱炭素に向けて周南コンビナート脱炭素推進協議会が設置されている | 環境と経済を対立させず、企業と住民の双方に説明が要る仕事だという理解を示します |
| 職員の住まいへの考え方 | 募集案内は、災害時の危機管理体制の確保と、職員も一市民としてまちづくりに携わることを理由に、職員の市内への居住を奨励している | 市で暮らす自分を具体的に思い描き、生活者としてどう地域に関わりたいかまで話せるようにします |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、選考の設計と、市が募集案内で示している職員像の考え方に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、見られているのは答えの見栄えではなく、実際にとった行動と、それを別の場面でも繰り返せるかどうかです。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 集団の中での関わり方 | 集団討論で、意見を通すことより議論を前へ運ぶことに寄与できるか | 話し合いの場で自分が担った役割を、司会か、論点を整理する側か、時間を見る側かまで具体に落とし、実際の発言の中身とあわせて言えるようにしておく |
| 窓口で人と向き合う姿勢 | 住民異動・戸籍・市税・福祉といった窓口業務を想定した受け答え | 相手の状況に合わせて説明の仕方を変えた経験を、変えた理由まで含めて用意する |
| 地域に根を張る意思 | 職員の市内居住を奨励する市で、そのまちで暮らす前提を持てているか | 周南市で生活する自分を具体的に思い描き、関わってみたい地域の活動まで考えておく |
| 書いて筋を通す力 | 小論文で測る論理性・文章表現力・構成力 | 志望動機を一度文章に書き起こし、その構成を崩さずに話せるか確かめておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
周南市は個別面接が第二次と第三次で2回あるため、同じ経験を別の面接官から角度を変えて確かめられる場面も出てきます。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを、あらかじめ手元にそろえておきましょう。
本番までの準備6ステップ
最後に、ここまでの内容を準備の順番に並べ直します。
- 最新年度の募集案内で、自分が受ける日程区分(先行日程か前期日程か)と職種を決め、段階構成と試験科目を確認する。教養試験がないぶん、専門の10分野のうちどこを厚くするかも、この時点で決めておく
- これまでの経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い周南市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の対応表から材料を選び、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 集団討論に備えて、複数人での話し合いの場で意見を出し、他の人の発言を受けて自分の案を動かす練習をする
優先順位に注意
ステップ4とステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ2の棚卸しと、ステップ6の話し合いの練習を先に済ませてください。
面接カードの提出がない試験では、その場で口に出せる経験だけが自分を説明する材料になります。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、周南市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
周南市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。集団討論と個別面接の両方に備えたい方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
令和8年度前期日程の大学卒業程度・行政事務は、専門試験と小論文で始まり、集団討論と個別面接、そしてもう一度の個別面接へと進みます。
教養試験がない代わりに、人物を見る種目が3つ並ぶ設計です。市の中心部に工場群が隣り合い、その脱炭素を企業と一緒に検討し、職員には一市民として市内に住むことを勧めている。
そういうまちで働く自分の姿を、実際にしてきたことから語れるところまで持っていきましょう。