本記事では、玉野市職員採用試験(事務職・一般前期)の面接対策で必要な、玉野市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
玉野市役所の面接では、「なぜ玉野市を志望したのか」「市職員としてどんな仕事に取り組みたいのか」「自分の経験を玉野市政でどう活かすのか」といった、市の現状を調べていなければ答えようのない質問が想定されます。市がどう成り立ち、いま何に手を焼いているのかを先に知っておけば、どこの自治体にも通じる一般論では終わらない説明ができます。
読みながら、自分の経験や関心が玉野市の仕事のどこと重なるかを探してみてください。そこが面接で話す材料になります。
第1部|自治体研究編
玉野市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは玉野市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 岡山県南部、児島半島の東部に位置する人口53,032人の市(令和8年1月1日現在)。北は岡山市と倉敷市に接し、海を挟んで香川県の高松市・直島町・土庄町と向かい合う。
- 市の玄関口である宇野港は、直島・豊島・小豆島・高松への定期航路を持つ海上交通の要衝である。
- 三井E&Sは大正6年(1917年)に玉野で創業した。市の広報誌によれば、船舶用ディーゼルエンジンや港湾クレーンで国内トップシェアを持つ。
- 高齢化率は39.6%(令和8年1月1日現在)で、岡山県全体の31.0%を8.6ポイント上回る。県内15市のなかでも高い側に位置する。
- 75歳以上人口は13,454人で、市民の25.4%。すでに4人に1人が75歳以上という年齢構成になっている。
- 市域の面積は103.44km²で、岡山県全体の1.5%ほど。人口密度は約513人/km²。
- 事務職の採用試験は一般前期・一般後期の2本立てで運用されており、令和9年4月採用の一般前期は5名程度の採用予定とされている。
- 市の花はツツジ、市の木はバベ(ウバメガシ)。市役所は宇野一丁目に置かれている。
玉野市の基礎データ
自治体研究といっても、統計値を細かく覚え込む必要はありません。ただ、玉野市がどれくらいの規模で、どんな年齢構成の市なのかは、口に出して説明できるようにしておきたいところです。
ここでは、人口と年齢構成、市域の広さ、隣接する自治体など、市の大きさをつかむための数字を並べます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 53,032人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 21,000人(39.6%、岡山県全体31.0%) |
| 75歳以上人口 | 13,454人(25.4%、岡山県全体18.7%) |
| 総面積 | 103.44km²(岡山県の約1.5%) |
| 人口密度 | 約513人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接する自治体 | 岡山市、倉敷市(海上で香川県高松市、香川郡直島町、小豆郡土庄町) |
| 市の花・市の木 | ツツジ・バベ(ウバメガシ) |
| 事務職の採用規模 | 一般前期で5名程度(一般行政事務・令和9年4月採用) |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口とその割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の市区町村別の値によります。比較のために並べた岡山県全体の数値も、同じ調査の岡山県の値です。面積・隣接自治体・市の花木は公表値をもとに整理し、人口密度は上記の人口と面積から当研究会が算出しました。国勢調査を基礎とする推計人口とは基準が異なりますので、本表の数値と他の系列の人口を並べて増減を計算しないようご注意ください。
数字から考えられる市政課題
玉野市の年齢構成は、岡山県のなかでも高齢化が進んだ側にあります。65歳以上が39.6%、75歳以上が25.4%(いずれも令和8年1月1日現在)。
県全体と比べると、65歳以上で8.6ポイント、75歳以上で6.7ポイント高い水準です。市民の4人に1人が75歳以上という状態は、医療・介護・移動・見守りのすべてに同時に効いてきます。
面積103.44km²に53,032人が暮らし、人口密度は約513人/km²です。市域は海に向かって開けており、港のある宇野周辺と、丘陵に広がる集落とでは、暮らしの条件がかなり違います。
同じ市内でも、病院や店までの距離、そこへ行く手段は一様ではありません。この年齢構成と市域の姿を面接で話すなら、たとえば次のような言い方ができます。
玉野市の経済・産業
港とともに歩んできたまち
玉野市の経済を理解する入口は、宇野港です。宇野港は児島半島の東部に位置し、直島・豊島・小豆島・高松への定期航路を持つ海上交通の要衝とされています。
四国と本州を結ぶ人と物の通り道が、この市の中心にあるということです。(出典:宇野港の概要(岡山県))
航路は観光客だけのものではありません。島に暮らす人にとっては通院や買い物の生活路線であり、本土に暮らす人にとっては島の職場や学校へ通う道でもあります。
港の話を「観光の入口」だけで終わらせないことが、市役所志望者としての見方の分かれ目になります。
造船と機械工業の集積
もうひとつの柱が、造船と機械工業です。三井E&Sは大正6年(1917年)に玉野で創業しました。
市の広報誌が特集で伝えるところでは、船舶用ディーゼルエンジンや港湾クレーンで国内トップシェアを持っています。(参考:広報たまのの企業特集(玉野市))
港があり、そこに造船と機械の技術が根を下ろした結果としてできたまち、というのが玉野市の成り立ちです。特定の産業とともに育った市は、その産業の浮き沈みを市政が受け止めることになります。
雇用、税収、住宅、学校、そして高齢化。産業の話は、必ず暮らしの話につながります。
県全体の産業のなかでの位置
視野を県に広げると、岡山県の製造業の中心は倉敷市南部の水島臨海工業地帯にあります。製造品出荷額等は3兆2,104億円で県全体の45.5%、事業所245、従業者25,061人です(令和2年)。
玉野市はその東隣にあたり、瀬戸内海に面した工業と港湾の帯の一部を構成しています。(参考:水島臨海工業地帯の概要(岡山県)|令和2年)
県の統計は市の数字ではありません。それでも、県のどのあたりに玉野市が置かれているかを知っておくと、「なぜ岡山市や倉敷市ではなく玉野市なのか」を聞かれたときに、位置関係から説明を始められます。
市の話と県の話を混ぜずに話せること自体が、調べ方の丁寧さとして伝わります。
玉野市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、玉野市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
高齢化の進行と、暮らしの支え方
65歳以上39.6%、75歳以上25.4%(令和8年1月1日現在)という年齢構成は、行政サービスの中身そのものを変えます。介護と医療の需要が増えるだけでなく、免許を返した人の移動手段、独居世帯の見守り、避難のときに手を貸す相手の確保まで、課題が連鎖していきます。
この連鎖は福祉部門だけでは受け止められません。交通、住宅、防災、地域づくり。
どの部署に配属されても高齢化と無関係ではいられない、というのが5万人規模の市の実情です。志望動機を書くときは、自分の関心分野とこの年齢構成をどう結ぶかを一度考えておきましょう。
県全体の人口減少という背景
岡山県の人口が頂点に達したのは2005年の約196万人で、そこから減少が続き、2020年には約189万人になりました。この先については、国立社会保障・人口問題研究所が2050年に約151万人(2020年比20.0%減)という推計を示しています。
合計特殊出生率のほうも2023年で1.32にとどまり、県が2028年に掲げる目標値でさえ1.37という水準です。(出典:岡山県人口ビジョン|令和7年3月改訂版)
県の計画は、県南の都市部でも人口が減る地域が現れていることを認めています。玉野市は岡山市・倉敷市という2つの大きな市に隣接しており、通勤・通学・買い物の流れは市域を越えて動きます。
市の中だけで完結しない課題をどう扱うかという視点は、この立地の市ならではの論点です。
産業構造の変化への対応
造船と機械工業に支えられてきた市であるということは、その産業の動向が市の雇用と税収に直接響くということでもあります。三井E&Sが玉野で創業したのは大正6年(1917年)で、100年を超える時間をかけて技術と人が積み上げられてきました。
市役所にできるのは、企業経営そのものへの介入ではありません。働く人が住み続けられる住環境、子育て環境、通院の手段を整えること。
そして、港と航路という既存の強みを次の世代の仕事にどうつなぐかを考えることです。産業と暮らしの間に市の仕事がある、という捉え方をしておくと、経済の話題でも市職員としての視点を保てます。
南海トラフ巨大地震と津波への備え
令和7年度に公表された岡山県の被害想定は、13年ぶりの見直しによるものです。南海トラフ巨大地震では県内の死者数が最大3,778人(冬・深夜、堤防被災パターン1)とされ、前回想定の3,111人から増えました。
建物被害は、揺れによる全壊3,240棟、液状化2,644棟、津波9,470棟、急傾斜地崩壊172棟と想定されています。(出典:南海トラフ巨大地震等の被害想定(岡山県)|令和7年度)
県の想定のなかで最も棟数が多いのは津波による被害です。これは県全体の数値ですが、瀬戸内海に面し、港を市の中心に持つ玉野市にとって近い話であることは間違いありません。
しかも市民の4人に1人が75歳以上です。避難情報を出すことと、実際に高齢の住民が高い場所まで動けることの間には距離があります。
防災を志望動機にするなら、この距離をどう縮めるかまで踏み込みたいところです。
限られた職員数で行政サービスを保つこと
令和9年4月採用の事務職(一般前期)の募集は5名程度でした。一つの年度に入る事務職の人数がこの規模だということは、一人ひとりの守備範囲が広くなるということです。
制度を検討する仕事も、住民に説明する仕事も、窓口に立つ仕事も、同じ職員が順に経験していきます。
玉野市はこの前提に立って、採用から30代前半までに3か所程度の職場を経験させるジョブローテーションの方針を示しています。仕事の幅が広いことは負担でもありますが、早い段階から市政の全体像が見えるという意味では、大きな市にはない環境でもあります。
玉野市の重点政策|職員の育成方針と県の計画
玉野市がどんな市役所であろうとしているかは、受験案内が示す人事の仕組みからも読み取れます。採用から30代前半までに3か所程度の職場を経験するジョブローテーションが、玉野市の人事の骨格です。
その後は30代前半から40代前半に最も能力を発揮できる職場へ、40代前半から定年までは経験を活かした適材適所の職場へ、という目安が示されています。
人を育てる仕組み
玉野市には、ジョブローテーションのほかにも人材育成の仕組みが並びます。自分の希望や適性を伝える自己申告制度、能力評価と業績評価を給料や勤勉手当に反映する人事評価制度、昇任選考、そして採用から1年間を先輩職員が支える新規採用職員育成制度(メンター制度)です。
さらに、国・県・他の自治体・関係機関との人事交流も行われています。(出典:玉野市職員採用試験の受験案内(事務職・一般前期)|令和9年4月採用)
5名程度の採用で市政を回していく市にとって、職員をどう育てるかは行政サービスの質そのものに直結します。
人事の仕組みが受験案内にここまで書かれているのは、入る側にも長く働く前提で来てほしいという意思の表れだと読めます。面接で「入庁後にやりたいこと」を語るときは、3か所程度を回る前提を踏まえたうえで話すと、話の現実味が変わります。
県の計画が示す方向と、玉野市
令和7年度から4年間の計画期間で動いているのが、岡山県の最上位計画「第4次晴れの国おかやま生き活きプラン」です。
重点戦略に並ぶのはⅠ結婚・子育ての希望がかなう社会の実現、Ⅱ夢を育む教育県岡山の推進、Ⅲ地域を支える産業の振興、Ⅳ安心で豊かさが実感できる地域の創造の4つで、なかでも少子化対策を新たな最重要課題に位置づけています。(出典:第4次晴れの国おかやま生き活きプラン(岡山県)|令和7年度から4年間)
県の計画が、そのまま市の計画になるわけではありません。ただ、子育て・教育・産業・安全という4本の軸は、高齢化率39.6%の市が抱える課題とも交わります。
県が担う部分と市が担う部分を仕分けておけば、「なぜ県庁ではなく市役所か」に対しても、覚えた制度の説明ではない答えを返せます。
POINT|計画の名称を並べても評価は上がらない
施策名を覚えることが自治体研究の目的ではありません。まず関心のある分野を一つか二つに決めます。そのうえで、①いま何が課題か、②市はどんな状態にしたいのか、③現在どんな取り組みが進んでいるか、④市だからこそ担える役割は何か、⑤自分の経験のどこを使えるか、と順に調べを進めてください。
悪い例「玉野市の高齢者福祉に携わりたいです」
改善例「玉野市は75歳以上の方が4人に1人という状況だと知りました。免許を返したあとの移動をどうするかは福祉だけの話ではないと思いますので、交通の担当とも一緒に考えられる立場で関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
資料は、順番を決めて開くと迷いません。自分が受ける枠の受験案内を先に読み、そのあとで市の計画や防災の資料へ移ってください。
- 玉野市職員採用試験の受験案内(最新年度・一般前期か一般後期かを確認)
- 玉野市の総合計画の最新版、および関心分野に関わる個別計画
- 玉野市のハザードマップと、津波・高潮に関する市の資料
- 玉野市が公表している統計情報(人口・世帯・産業などを分野別に確認できます)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、玉野市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。玉野市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
玉野市役所の面接の概要
ここからは、玉野市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。取り上げるのは、令和9年4月採用の事務職(一般前期)です。
玉野市役所の面接の流れ
玉野市の受験案内は、冒頭に「玉野市では、より良い人材を採用するため『人物重視』の採用試験を行います。」と明記しています。
実際の設計もそのとおりで、第1次試験に教養試験や専門試験は置かれていません。代わりに、テストセンター方式の能力検査・性格検査が課されます。
| 項目 | 内容(事務職・一般前期/令和9年4月採用) |
|---|---|
| 試験の段階 | 3段階(第1次・第2次・第3次) |
| 第1次試験 | 筆記試験(能力検査・性格検査/言語、数理、論理、常識、英語、性格傾向・択一式)。テストセンター方式で実施されます |
| 第2次試験 | 個別面接(人柄、志望動機、対人関係能力 など)とグループワーク(提示された課題についてのグループ討議) |
| 第3次試験 | 個別面接(人柄、志望動機、対人関係能力 など) |
| 面接の機会 | 個別面接2回とグループワーク1回 |
| 採用予定人員 | 5名程度(職務の内容は一般行政事務) |
| 受験資格 | 昭和61年4月2日以降に生まれた人(40歳以下)で、高等学校卒業又は同等以上の資格があると認められる人 |
| 受験実績 | 令和8年度の一般前期は、申込者数81名・第1次試験合格者48名 |
上記は、玉野市が公表する令和9年4月採用の事務職(一般前期)の受験案内および採用情報ページにもとづく内容です。玉野市は各試験の配点や満点、最終合格者の決定方法を受験案内に記載していません。また、玉野市の事務職の採用試験は一般前期と一般後期の2本立てで運用されており、育児休業代替の任期付職員など別枠の募集も行われています。受験の際は、ご自身が受ける枠の最新の受験案内でご確認ください。
この設計で見落とせないのが、第2次試験に個別面接とグループワークが並び、第3次試験でもう一度個別面接がある点です。第1次を通過したあとは、対人の場面が3回続きます。
しかも試験結果の開示は、筆記試験が「順位、得点」であるのに対し、面接試験は順位のみで得点が示されません。何点足りなかったのかは、受験者には返ってこない仕組みです。
なお、玉野市が公表している事務職(一般前期)の受験案内には、面接カードやエントリーシートにあたる様式についての記載がありません。提出書類は募集ごとに変わることがありますので、最新の受験案内でご確認ください。
玉野市役所が求める職員像
玉野市は、受験案内のなかで求める職員像を明示しています。掲げられているのは「熱意とアイデアを持って、未来を紡ぐ職員」という一文です。
そのうえで、細目として「未来に視点を置いて行動できる職員」「様々な情報への感度を磨き、問題解決に繋げることができる職員」「コミュニケーションを円滑に図ることができる職員」の3つが挙げられています。
この3つは、抽象的な心構えの話ではありません。先を見て動いたことがあるか、情報を自分で確かめてから動いたことがあるか、意見の違う相手と話をまとめたことがあるか。
いずれも、過去の行動として確かめられる形になっています。
受験案内から確実に言えるのは、ここまでです。事務職の採用が5名程度であること、第2次試験にグループワークが置かれていること、面接の結果が得点ではなく順位でしか開示されないこと。
この3つが面接で何を意味するのかを、当研究会なりに整理してみます。
人口5万3千人規模の市では、一つの課が受け持つ仕事の幅が広くなります。制度を検討する人と、住民に説明する人と、窓口に立つ人が別々にいるわけではなく、同じ職員が順に全部を通っていく。
玉野市が採用から30代前半までに3か所程度の職場を経験させる方針を示しているのも、この前提に立った設計だと読めます。だとすれば、初めて担当する分野でも自分で調べ、詳しい人に聞きながら形にしていける人のほうが、早い段階から仕事になります。
加えて、市民の4人に1人が75歳以上という市では、窓口や電話でのやりとりそのものが行政サービスの受け取られ方を左右します。制度の中身を正しく伝えるだけでなく、相手のペースに合わせて言い直せるかどうか。
受け答えの丁寧さが面接で重く見られやすいのは、玉野市のこの年齢構成があるからだと当研究会はみています。
そして玉野市の面接は、結果が得点ではなく順位でしか返ってきません。だとすれば、その場の見せ方を磨くことより、グループワークと2回の個別面接を通して同じ人物像が一貫して立ち上がることのほうが効きます。
話す材料は、これまで実際にやってきたことの中から選んでください。5万3千人の市の現場で何が使えるかという基準で選び直すだけで、面接3回分の芯は通ります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。玉野市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどちらから来られましたか? | 受け答えの正しさより、初対面の相手に向ける声の大きさと表情。個別面接が2回あるため、2人目の面接官にも同じ調子で話せるか |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 市役所という働き方でなければ届かないところまで話が及んでいるか。玉野市を選んだ理由と、職業として公務員を選んだ理由が地続きになっているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を見る目の確かさ。第1次試験の性格検査で示した傾向と、口頭での説明が大きくずれていないか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 困難の規模ではなく、その渦中で何を判断の拠り所にしたか。2回の個別面接で、同じ経験を別の角度から確かめられます |
| ⑤ 学業・経歴 | これまでで最も力を入れて取り組んだことを教えてください | 専門の外にいる相手にも伝わる言い方ができるか。玉野市は高校卒業以上・40歳以下が同じ枠で受けるため、経歴の長さそのものより、そこで何をしたかを説明できるかが要になります |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 3か所程度の職場を回るジョブローテーションを踏まえているか。希望どおりでない配属でも働けるか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 社会の動きを自分の関心として語れるか。第2次試験のグループワークでも同じ力が問われます |
この7つは、玉野市の試験に限った並びではありません。どの自治体の面接でも似た質問が置かれるため、受験者の答えが最もそろう領域になります。
違いが出るのは、この先で扱う玉野市固有の事情に踏み込む質問のほうです。
合否を分けるのは「玉野市役所ならでは」の質問
どちらも、市の現状を知らなければその場で組み立てられません。玉野市の場合、答えの材料は港と造船という成り立ちの側にも、高齢化率39.6%という現在地の側にもあります。
並べられる事実の数ではなく、どれを自分の志望と結び直せたかで差がつく質問だと考えてください。こうした質問に答えるための玉野市の事実を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい玉野市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の年齢構成 | 人口53,032人、65歳以上21,000人で39.6%、75歳以上13,454人で25.4%(令和8年1月1日現在)。県全体の31.0%・18.7%を大きく引き離す数字 | 数字を並べるだけにせず、市民の4人に1人が75歳以上という状態で市役所が何を優先すべきかを、自分の関心分野に引き寄せて話します |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 事務職(一般前期)の採用は5名程度。市は採用から30代前半までに3か所程度の職場を経験させるジョブローテーションの方針を示している | 規模の小ささを弱みとして語らず、幅広い仕事を早い時期から担える環境をどう使いたいのかという話に運びます |
| 港と海上交通 | 宇野港は児島半島東部に位置し、直島・豊島・小豆島・高松への定期航路を持つ海上交通の要衝 | 観光の入口という説明で終わらせず、島と本土をつなぐ航路が住民の生活路線でもあることまで触れます |
| 産業の成り立ち | 三井E&Sは大正6年(1917年)に玉野で創業。市の広報誌によれば、船舶用ディーゼルエンジンや港湾クレーンで国内トップシェアを持つ | 企業の紹介で終わらせず、一つの産業とともに育った市が次に何を柱にしていくのかという問いとして扱います |
| 防災 | 県が令和7年度に公表した被害想定は、南海トラフ巨大地震による岡山県内の死者数を最大3,778人(冬・深夜、堤防被災パターン1)と見込む。建物被害では津波による9,470棟が最も多い | 県全体の数値であることを断ったうえで、瀬戸内海に面した港のまちとして何を備えるかという自分の考えを添えます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、玉野市が掲げる「熱意とアイデアを持って、未来を紡ぐ職員」という職員像に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。基本にあるのはコンピテンシー評価で、言い回しの巧みさではなく、その経験で実際に何をしたか、そして同じことを職場でも続けられるかが見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 未来に視点を置いて行動できる | 先を見て始めたことがあるか。結果がすぐ出ない時期に何を続けたか | 半年以上先を見て始めたことを一つ選び、始めた理由と途中での手直しを書き出しておく |
| 情報への感度と問題解決 | 困りごとの原因を自分で調べ、確かめてから動いたか | 人から聞いた話をうのみにせず確かめた場面を思い出し、その確かめ方まで言えるようにしておく |
| 円滑なコミュニケーション | 意見が食い違ったときの言い方。第2次試験のグループワークでは、討議での立ち回りがそのまま観察されます | 議論で自分が黙りがちか話しすぎがちかを把握し、逆の役に回る練習を一度しておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
玉野市は個別面接が2回置かれているため、掘り下げも二度にわたります。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の受験案内で、自分が受けるのは一般前期か一般後期かを確かめ、試験の段階と種目を確認する
- 第1次試験はテストセンター方式の能力検査・性格検査。形式に慣れるための時間を先に確保する
- これまでの経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトや仕事から、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い玉野市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- グループワークを想定して声に出す練習をし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、他の受験生との差を作るための工程です。時間が足りないときは、ステップ2の検査対策と、ステップ3の経験の棚卸しを先に終わらせてください。自分の経験を語れないまま玉野市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、玉野市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
玉野市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
玉野市の事務職(一般前期)は、第1次試験を通過したあとに個別面接が2回とグループワークが1回続きます。配点は公表されておらず、面接の結果も順位でしか返ってきません。
それでも、受験案内が冒頭で「人物重視」と言い切っている以上、対人の場面で何をどう話すかが結果を大きく左右します。港と造船で育ち、いま市民の4人に1人が75歳以上になった5万3千人のまち。
ここで働く自分の役割を、どの言葉で言い表すのか。玉野市が公表している資料を一つずつ開き、自分の経験のどこが噛み合うのかを確かめる作業を、本番までに重ねてください。