本記事では、倉敷市職員採用試験(事務職・令和8年6月実施分)の面接対策で必要な、倉敷市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

倉敷市役所の面接では、「なぜ倉敷市を志望したのか」「市職員としてどんな仕事に取り組みたいのか」「自分の経験を倉敷市政でどう活かすのか」といった、市の実情を知らなければ踏み込めない質問が想定されます。市の成り立ちと、いま抱えている課題を押さえておけば、どの自治体にも当てはまる一般論から抜け出した説明ができます。

以下の内容から、自分の経験や関心が倉敷市の仕事のどこに重なるのかを探し、面接での説明づくりに使ってください。

第1部|自治体研究編

倉敷市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは倉敷市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 岡山県南部に位置する人口約47万人の市で、県内では岡山市に次ぐ規模。県全体の人口の約4分の1が暮らしている。
  • 平成14年4月1日に、全国30番目の中核市へ移行した。法律や条例による事務処理の特例で、県から数多くの権限の移譲を受けている。
  • 移譲された事務の具体例として、市は身体障がい者手帳の交付事務、母子相談員の設置と母子・寡婦福祉資金の貸付業務、屋外広告物の管理業務などを挙げている。
  • 市の南部には水島地区が広がる。水島臨海工業地帯の製造品出荷額等は岡山県全体の45.5%(令和2年)を占め、県の製造業の中心が市内にある。
  • 水島港は平成23年4月に「特定重要港湾」から「国際拠点港湾」へ変更され、同年5月に穀物・鉱石の「国際バルク戦略港湾」に選定された。
  • 高齢化率は28.1%(令和8年1月1日現在)で、岡山県全体の31.0%を下回る。県内では比較的若い年齢構成を保っている。
  • 平成30年7月豪雨では市内で57人が犠牲になった(うち災害関連死5人)。真備町では小田川とその支川の計8箇所で堤防が決壊し、全壊棟数は約4,600棟にのぼった。
  • 真備地区には復興のシンボルとして「まびふれあい公園」が整備され、国による小田川合流点の付替え事業も進んでいる。
  • 陸では岡山市・玉野市・総社市・浅口市などと接し、海上では香川県の坂出市・丸亀市とも隣接する。市の花はフジ、市の木はクスノキ。

倉敷市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、統計値を細かく暗記する必要はありません。ただし、倉敷市がどれくらいの規模の市なのかを自分の口で説明できる状態にはしておきたいところです。

ここでは、人口と年齢構成、市域の広さ、隣接する自治体など、市の大きさの見当をつけるための数字を並べます。

項目内容
総人口471,025人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口132,463人(28.1%、岡山県全体31.0%)
75歳以上人口80,657人(17.1%、岡山県全体18.7%)
総面積356.07km²(岡山県の約5.0%)
人口密度約1,323人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
市制上の位置づけ中核市(平成14年4月1日移行・全国30番目)
隣接する自治体岡山市、玉野市、総社市、浅口市、小田郡矢掛町、都窪郡早島町(海上で香川県坂出市・丸亀市)
市の花・市の木フジ・クスノキ

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口とその割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の市区町村別の値によります。比較用に並べた岡山県全体の数値も、同じ調査の岡山県の値です。面積・隣接自治体・市の花木は公表値をもとに整理し、人口密度は上記の人口と面積から当研究会が算出しました。国勢調査を基礎とする推計人口とは基準が異なりますので、本表の数値と他の系列の人口を並べて増減を計算しないようご注意ください。

数字から考えられる市政課題

倉敷市の年齢構成は、岡山県全体と比べると若い側にあります。65歳以上の割合は28.1%で県全体より2.9ポイント低く、75歳以上の割合も17.1%と県全体を1.6ポイント下回ります(いずれも令和8年1月1日現在)。

とはいえ、市民のおよそ6人に1人がすでに75歳以上という水準です。医療や介護の需要は、これから一気に増える段階に入ります。

面積は356.07km²で、岡山県の面積7,114.44km²の約5.0%にあたります。この広さに県人口の25.9%が集まっているため、人口密度は約1,323人/km²と、県内では密度の高い部類に入ります。

ただし市域は一様ではありません。臨海の工業地区、旧来の市街地、そして山あいの集落までが一つの市に収まっており、同じ市内で人口の増える地区と減る地区が同時に存在することが、倉敷市の行政運営を難しくしています。

この規模感と高齢化の位置を面接で口にするなら、次のような言い方になります。

「倉敷市は47万人が暮らす県内2番目の市ですけれども、県全体よりは高齢化がゆるやかだと聞きました。ただ、75歳以上の方がすでに市民の6人に1人ほどいらっしゃいますので、いま余裕があるうちに介護や見守りの仕組みを整えておく必要があるのではと感じています」

倉敷市の経済・産業

製造業に厚みのある産業構造

倉敷市の経済を語るうえで外せないのが、市南部の臨海部に広がる水島臨海工業地帯(水島コンビナート)です。製造品出荷額等は3兆2,104億円で、これは岡山県全体の製造品出荷額等の45.5%にあたります。

事業所数は245、従業者数は25,061人です(いずれも令和2年)。(出典:水島臨海工業地帯の概要(岡山県)|令和2年)

県の製造業の半分近くが一つの市の臨海部に集まっている、という構図です。この集積は市の雇用と税収を支える柱ですが、同時に、産業の動向が市の財政や雇用に直接はね返る構造でもあります。

面接で産業の話をするなら、規模の大きさを称えるところで止めず、その大きさが市政に何をもたらしているのかまで踏み込みたいところです。

水島港と物流

工業地帯の背後にあるのが水島港です。水島港は平成23年(2011年)4月に「特定重要港湾」から「国際拠点港湾」へ変更され、同年5月には穀物・鉱石を扱う「国際バルク戦略港湾」に選定されました。

原材料を海から受け入れて加工し、また海から出していくという流れが、この地域の産業を成り立たせています。(出典:水島港の港格の変更(岡山県)|平成23年)

港湾行政そのものは県の所管が中心ですが、そこで働く人が暮らし、子どもが学び、高齢の家族が介護を受けるのは市の区域です。産業を「働く場」としてではなく「暮らしの前提」として見る視点は、市役所の志望動機に使える角度になります。

県全体の産業のなかでの位置

岡山県は、瀬戸大橋をはじめとする高速道路網、新幹線、東西南北に7本の在来線が交わる鉄道網、岡山桃太郎空港といった交通基盤を持ち、温暖な気候を生かした農業も営まれています。倉敷市は県南部に位置し、海を挟んで香川県の坂出市・丸亀市と向かい合っています。

県全体の統計は、市の数字そのものではありません。それでも、県の交通基盤や産業の姿を知っておくと、倉敷市が県のどのあたりを担っているのかを説明しやすくなります。

市の話と県の話をきちんと分けて話せること自体が、調べ方の丁寧さとして伝わります。

倉敷市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、倉敷市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

県全体の人口減少と、市内の地域差

岡山県の人口は2005年の約196万人をピークに減少に転じ、2020年時点で約189万人となりました。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2050年には2020年から20.0%減の約151万人まで減る見通しです。

合計特殊出生率は2023年で1.32、県が2028年の目標に掲げる値でも1.37にとどまります。(出典:岡山県人口ビジョン|令和7年3月改訂版)

倉敷市の高齢化率は県全体より低いものの、県の人口が2割減る前提のなかで市だけが無縁ではいられません。県南の都市部でも人口が減る地域が現れていることは、県の最上位計画自身が認めています。

市内でも、臨海の工業地区、旧市街地、山あいの集落では事情が異なります。人口の話は市全体の平均だけで語らず、地区によって課題が違うという前提で組み立てると、話に厚みが出ます。

平成30年7月豪雨の教訓と、水害への備え

平成30年7月豪雨は、倉敷市にとって今も続く課題の起点です。県内の死者68人のうち、倉敷市で亡くなった方は57人(災害関連死を除くと52人)でした。

真備町では高梁川と小田川の水位上昇に伴い、小田川で2箇所、その支川で6箇所の堤防が決壊し、浸水面積は約1,200ha、全壊棟数は約4,600棟、浸水深が5メートルを超えた地点もありました。(出典:平成30年7月豪雨災害記録誌(岡山県)|令和2年)

とりわけ重いのは、亡くなった方の内訳です。真備町の死者51人(災害関連死を除く)のうち、88.2%にあたる45人が65歳以上、86.3%にあたる44人が自宅で亡くなっています。

避難情報を出すことと、実際に高齢の住民が動けることの間には距離がある、という事実がここに残されました。防災を志望動機に据えるなら、この距離をどう縮めるかという問いまで持ち込みたいところです。

南海トラフ巨大地震への備え

岡山県が13年ぶりに見直した被害想定(令和7年度公表)では、南海トラフ巨大地震による県内の死者数は最大3,778人(冬・深夜、堤防被災パターン1)とされ、前回想定の3,111人から増えました。今回から加えられた災害関連死は最大1,247人です。

建物被害は、揺れによる全壊3,240棟、液状化2,644棟、津波9,470棟、急傾斜地崩壊172棟と想定されています。(出典:南海トラフ巨大地震等の被害想定(岡山県)|令和7年度)

津波による建物被害が想定のなかで最も大きい点は、臨海部に工業地帯と市街地を抱える倉敷市にとって他人事ではありません。県は南海トラフのほかに、大原断層や中央構造線の一部を含む断層型地震7地震も想定の対象としています。

水害の記憶が生々しい市で、地震と津波への備えをどう並行して進めるか。これは市の防災担当だけの問題ではなく、どの部署に配属されても関わる話です。

中核市として担う事務の幅

倉敷市は平成14年4月1日、全国30番目の中核市に移行しました。中核市は地方分権を進めるための先行的な制度で、移行すると法律や条例による事務処理の特例により数多くの権限が移譲されます。

市が具体例として挙げているのは、身体障がい者手帳の交付事務、母子相談員の設置および母子・寡婦福祉資金の貸付業務、屋外広告物の管理業務などです。(出典:中核市への移行について(倉敷市)|平成14年4月移行)

権限が増えるということは、住民に直接手渡す仕事の範囲が広がるということです。県に相談すれば済んでいた判断を、市が自分の責任で下す場面が増えます。

人口が減り財政の余裕が薄くなる局面で、この幅をどう保つのか。「県ではなく市」を志望する理由を組み立てるとき、この移譲事務の具体例は使いやすい材料になります。

一つの産業集積に支えられた経済の持続性

水島臨海工業地帯が県の製造品出荷額等の45.5%を占めるという事実は、倉敷市の強みであると同時に、市の経済が特定の産業集積と深く結び付いていることも意味します。事業所245、従業者25,061人という規模(令和2年)は、市の雇用にとって無視できない重みを持ちます。

産業の構造が変われば、市が受け取る税収も、市民の働き方も影響を受けます。市役所の仕事は工場を動かすことではありませんが、そこで働く人が住み続けられる住環境、子育て環境、医療体制を整えるのは市の役割です。

産業と暮らしをつなぐところに市の仕事がある、という捉え方をしておくと、経済の話題でも市職員としての視点を保てます。

倉敷市の重点政策|中核市の権限と豪雨からの復興

倉敷市が今どこに力を入れているかを見るとき、外せない軸が2つあります。中核市として県から移譲された事務を自前で回す体制と、平成30年7月豪雨からの復興です。

前者は市の仕事の幅を決め、後者は市の優先順位を実際に動かしてきました。

真備地区の復興と、水害に強い川づくり

倉敷市は真備地区に「まびふれあい公園」を整備しました。平成30年7月豪雨災害からの復興のシンボルとして、平常時と災害時の両面で活用できる公園と位置づけられ、防災備蓄倉庫や多目的室などを備えています。

復興を「元に戻すこと」ではなく、次の災害への備えを組み込んだ形で進めている点が読み取れます。(出典:まびふれあい公園の概要(倉敷市))

河川そのものにも手が入っています。国土交通省は小田川合流点付替え事業を実施しています。

小田川は高梁川との合流点付近で、洪水時に高梁川の高い水位の影響(バックウォーター現象)を受けて水位が高くなる特性があり、合流点の位置を下流へ付け替えることでこれを解消する、という事業です。(出典:小田川合流点付替え事業(国土交通省中国地方整備局))

国が川の形を変え、市が公園と備蓄を整え、住民が避難の判断をする。災害への備えは、どこか一つの主体だけでは完結しません。

市職員として何ができるかを考えるとき、この役割分担のどこに自分が立つのかを意識しておくと、防災の話が具体的になります。

県の計画が示す方向と、倉敷市

岡山県は令和7年度からの4年間を計画期間とする最上位計画「第4次晴れの国おかやま生き活きプラン」を策定しています。重点戦略はⅠ結婚・子育ての希望がかなう社会の実現、Ⅱ夢を育む教育県岡山の推進、Ⅲ地域を支える産業の振興、Ⅳ安心で豊かさが実感できる地域の創造の4つで、少子化対策を新たな最重要課題に位置づけています。(出典:第4次晴れの国おかやま生き活きプラン(岡山県)|令和7年度から4年間)

県が立てた計画を、そのまま倉敷市の計画として語ることはできません。ただ、子育て・教育・産業・安全という4本の軸は、中核市として福祉や暮らしに関わる事務まで担う倉敷市の仕事と重なります。

どこまでが県の役割で、どこからが市の役割なのかを整理しておくと、「なぜ県庁ではなく市役所か」にも制度の暗記ではない形で答えられます。

POINT|計画の名称を覚えることが目的ではない

計画名や施策名を並べられても、面接官の側に発見はありません。関心分野を一つか二つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③今どんな取り組みがあるか → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験をどう使うか」の順で調べていきましょう。

悪い例「倉敷市の防災に携わりたいです」

改善例「真備で亡くなった方の多くが高齢の方で、しかもご自宅で亡くなったと知りました。避難の呼びかけが届いても動けない方をどう支えるか、地域の方と一緒に考える仕事に関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

読む順番だけ決めておくと迷いません。先に自分が受ける区分の受験案内を確認し、そのうえで市の計画や防災の資料へ手を伸ばす流れが手堅いところです。

  • 倉敷市職員採用試験の受験案内(最新年度・自分が受ける試験区分のもの)
  • 倉敷市の総合計画(最新版)と、市の公式サイトで公開されている分野別の計画
  • 倉敷市のハザードマップと、真備地区の復興に関する市の資料
  • 倉敷市の統計情報(人口・産業・世帯数などを分野別に確認できます)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、倉敷市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。倉敷市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

倉敷市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

倉敷市役所の面接の概要

ここからは、倉敷市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。取り上げるのは、令和8年度・令和8年6月実施分の事務職です。

倉敷市役所の面接の流れ

倉敷市の事務職採用試験でまず理解しておくべきなのは、同じ事務職でも、筆記のある事務職Aと、筆記のない事務職B・Dの2つの型が並んでいることです。受験案内には事務職B・Dについて「※ 教養試験・専門試験は実施しません。」「※ 第一次試験から受験者全員と面接を行う人物重視の試験です。」と明記されています。

自分がどちらの型で受けるのかによって、準備の配分がまったく変わります。

項目事務職A(令和8年6月実施分)事務職B・D(令和8年6月実施分)
試験の段階3段階(第一次・第二次・第三次)3段階(第一次・第二次・第三次)
第一次試験教養試験(択一式120分)と専門試験(択一式120分)適性検査(SPI3・択一式110分/基礎能力及び性格検査)と集団面接
第二次試験個別面接と集団討論個別面接と集団討論
第三次試験個別面接個別面接
面接の機会個別面接2回と集団討論1回集団面接1回、個別面接2回、集団討論1回
採用予定人員20名程度事務職B=25名程度、事務職D(社会福祉士)=1名程度
提出書類第二次試験時に、自己PR表(倉敷市電子申請サービスで提出)、学校の成績証明書、卒業(見込)証明書事務職Aと同じ。自己PR表は全試験区分に共通で求められます
受験資格(年齢)平成9年4月2日以降に生まれた人(学歴要件の記載なし)事務職Bは同じ生年要件。事務職Dは同要件に加え社会福祉士の資格(令和9年3月までの取得見込みを含む)

上記は、倉敷市が公表する令和8年度・令和8年6月実施分の職員採用試験案内にもとづく事務職の内容です。倉敷市は各試験種目の配点や満点、最終合格者の決定方法を受験案内に記載していません。また、倉敷市職員採用試験委員会は同一年度に9月実施分などの別の募集も行っており、6月実施分の各試験は相互に重複して申し込むことができません。受験の際は、ご自身が受ける区分の最新の受験案内でご確認ください。

事務職Aの専門試験では、憲法、行政法、民法、経済学、財政学、社会政策、政治学、行政学、国際関係が出題範囲とされています。教養試験と合わせて択一式が2科目分あるため、第一次試験の負荷は軽くありません。

それでも、事務職Aでも第二次・第三次で個別面接が2回、加えて第二次に集団討論が置かれています。筆記を通過したあとに人物を見る場面が3回続く設計です。

一方、事務職B・Dは第一次試験の段階から集団面接があり、集団面接1回と個別面接2回で面接の機会は計3回、これに第二次の集団討論が加わります。筆記の負担が軽い分、面接で見られる時間そのものが長い試験だと考えておくべきです。

自己PR表は倉敷市電子申請サービスで提出するもので、提出期限は第一次試験合格発表の概ね12日後とする予定と案内されています。受験案内は「期限までに提出できない場合は第二次試験を受験できません」と明記していますので、書類の準備を後回しにしないでください。

倉敷市役所が求める人物像

倉敷市は、受験案内のなかで求める人材を明示しています。挙げられているのは「使命感を持ち、向上心の強い人」「協調性のある温かい人」「環境の変化に対応でき、意欲のある人」の3つです。

抽象的な言葉に見えますが、面接で問われるのはこの3つが行動として現れた場面のほうです。

あわせて倉敷市は「めざす職員像」を4本柱で示しています。①行政のプロフェッショナルとしての自覚を持つ職員(市職員であることに誇りを持ち、地域への愛着と熱意を持って業務をやり遂げる)、②広い視野を持ち、市民の視点で考え行動できる職員(市民との対話を大切にし、長期的な視点でリスクを想定して取り組む)、③協調性と豊かな人間性を持ち、協働する職員(市民と連携・協働してまちづくりを進め、チームの一員として率先して業務に取り組む)、④成果を評価し、積極的に創造・改革する職員(コスト意識を持ち、前例にとらわれずAI・ICTなどを活用した業務改善に挑戦する)の4つです。

採用側が文字にしているのは、ここまでです。以下は、事務職の3区分すべてに集団討論と個別面接2回が置かれていること、そして中核市への移行で福祉や暮らしに関わる事務まで市が直接担うようになったことをもとに、当研究会が考えている内容になります。

47万人規模の中核市では、一つの部署が抱える相手の数も種類も多くなります。市民、地域の団体、事業者、そして隣接する自治体や県。

移譲された事務を回すには、この人たちと同時に話を進める場面が避けられません。だからこそ、限られた人手と予算のなかで、実行できる形まで話を降ろせる人が求められる場面が多くなる、と当研究会はみています。

倉敷市の場合、それは真備の復興のように、住民の合意と国や県の事業と市の予算が同時に動く現場で試されてきました。

倉敷市の第二次試験では、集団討論と個別面接の前に自己PR表を提出します。書いた内容はそのまま質問の起点になりますから、そこに載せられるのは、実際に経験して細部まで説明できることだけです。

倉敷市に合わせて経歴を選び直すよりも、手持ちの経験のどれが47万人規模の現場で効くのかを見極めるほうが、提出書類と面接での発言が最後まで揃います。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。倉敷市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日は会場までどのように来られましたか?答えの中身より、初対面の相手に向ける声の大きさと表情。集団面接や集団討論でも最初の一言は同じように見られています
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?その動機が、市役所でなければ果たせないものになっているか。倉敷市を選んだ理由と、職業として公務員を選んだ理由がつながっているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。第二次試験で提出する自己PR表に書いた自己像と食い違っていないか
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください経験の派手さではなく、その状況で何に気づき、どう手を打ったか。個別面接が2回あるため、同じ経験を別の角度から確かめられます
⑤ 学業・経歴卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください専門外の相手に届く言葉へ言い換える力。事務職Aでは専門試験で扱う分野との関係に話が及ぶこともあります
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?市長部局・教育委員会・水道局などに配属される可能性を理解しているか。希望どおりでない配属でも働けるか
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?社会の動きを自分の関心として語れるか。第二次試験の集団討論でも同じ力が問われます

ここに並ぶ7つは、倉敷市の試験だけの特徴ではありません。どの官公庁の面接でも似た質問が出るぶん、受験者の答えが最もそろいやすい領域でもあります。

差がつくのは、この先で扱う倉敷市固有の事情に触れる質問のほうです。

合否を分けるのは「倉敷市役所ならでは」の質問

「なぜ岡山県庁ではなく、倉敷市役所なのですか?」
「倉敷市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

この2問は、市の現状を調べていなければその場で組み立てようがありません。倉敷市の場合、1問目には中核市として移譲された事務という具体的な答えの材料があり、2問目には水島の産業集積と真備の被災という、光と影の両方がそろっています。

調べた量ではなく、どの事実を自分の志望と結び直せたかで差がつく質問だと考えてください。こうした質問に答えるための倉敷市の事実を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい倉敷市の事実答え方のヒント
市の規模と位置づけ住民基本台帳による人口は471,025人(令和8年1月1日現在)で、岡山市に次ぐ県内2番目。平成14年4月1日に全国30番目の中核市へ移行した規模の数字で終わらせず、中核市への移行で移譲された事務を市が直接担っている点まで触れると、市役所を選んだ理由に接続できます
なぜ県庁ではなく市役所か中核市への移行により、身体障がい者手帳の交付事務、母子相談員の設置と母子・寡婦福祉資金の貸付業務、屋外広告物の管理業務などが市の仕事になっている制度の説明で止めず、住民に直接手渡す窓口を市が持っていることを、自分が関わりたい仕事と重ねて話します
産業と雇用水島臨海工業地帯の製造品出荷額等は3兆2,104億円で岡山県全体の45.5%。事業所245、従業者25,061人(令和2年)大きさに感心してみせるのではなく、この集積が市の雇用や税収、そして臨海部の防災とどうつながるかを一つ選んで話します
防災・水害への備え平成30年7月豪雨による市内の死者は57人(うち災害関連死5人)。真備町では小田川と支川の計8箇所で堤防が決壊し、浸水面積約1,200ha・全壊約4,600棟。真備町の死者51人(災害関連死を除く)のうち88.2%が65歳以上、86.3%が自宅で亡くなった数字を読み上げるだけにせず、高齢の住民に避難の判断をどう届けるかという、市がいま抱えている問いに自分の考えを添えます
高齢化の現在地65歳以上は132,463人で28.1%、75歳以上は80,657人で17.1%(令和8年1月1日現在)。いずれも岡山県全体の31.0%・18.7%を下回る県内では若い部類だという事実を、余裕ではなく準備の時間として捉え直し、いま何を整えておくべきかという話に運びます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、受験案内が挙げる「求める人材」と「めざす職員像」に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの整い方ではなく、経験の中身と、同じ行動を職場で繰り返せるかが見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
使命感と向上心自分で目標を決めて続けた経験。思うようにいかない時期に何を変えたか1年以上続けたことを一つ選び、始めた時期・落ち込んだ時期・立て直した方法を時系列で書き出しておく
協調性と温かさ意見が割れた場面での振る舞い。第二次試験の集団討論では、役割の取り方がそのまま観察されます結論を急ぐ側と黙る側の間で、自分がどちらに寄りやすいかを把握し、逆側に回る練習を一度しておく
環境の変化への対応前提が途中で変わった場面で、どう立て直したか。倉敷市の仕事は災害や制度改正で優先順位が動きます予定が崩れた場面を思い出し、そのとき最初にとった行動を一つだけ言えるようにしておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。倉敷市は個別面接が2回ある分、この傾向は強く出ます。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 自分が受ける区分(事務職Aか、事務職B・Dか)を決め、最新の受験案内で試験の段階と種目を確認する
  2. 第二次試験で提出する自己PR表に何を書くかを先に決める。面接の質問はここから始まる
  3. 高校・大学時代の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い倉敷市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 集団討論を想定して声に出す練習をし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間が足りないときは、ステップ2の自己PR表と、ステップ3の経験の棚卸しを先に終わらせてください。自己PR表に書けることが定まらないまま倉敷市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、倉敷市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

倉敷市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

倉敷市役所の想定問答集を見る

さいごに

倉敷市の事務職採用試験(令和8年6月実施分)は、事務職Aで個別面接2回と集団討論、事務職B・Dではこれに第一次試験の集団面接が加わります。配点は公表されていませんが、人と向き合う場面がこれだけ重ねられている以上、そこで何を話すかが結果を大きく左右します。

真備の復興を続けながら、水島の産業と47万人の暮らしを同時に支える市で、自分は何を担いたいのか。倉敷市の資料を読み、自分の経験と突き合わせる時間を、本番までに少しずつ積み上げていきましょう。