本記事では、生駒市職員採用試験の面接対策で必要な、生駒市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

生駒市役所の面接試験では、「なぜ生駒市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。令和9年4月1日採用予定の新卒枠・事務職では、第2次試験がグループディスカッション、第3次試験が対面の面接試験という構成になっており、集団で議論する場と、一人で掘り下げられる場の両方で人物が見られます。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と生駒市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|自治体研究編

生駒市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは生駒市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 奈良県の北西端に位置し、大阪府・京都府と境を接する市。市域は東西約8.0キロメートル・南北約15.0キロメートルと、南北に細長い形をしている。
  • 西側には主峰の生駒山を擁する生駒山地が南北に走り、中央を竜田川が南流して「生駒谷」を形づくる。生駒山地は大阪側が急な断層崖、生駒側がゆるやかな斜面という傾動地塊で、山の中腹に至るまで市街地が広がっている。
  • 阪奈道路の開通と緑の多い自然環境、そして大阪市内へ電車で20分という利便性が重なり、住宅都市として急激に人口が増えた。昭和46年に市制を施行している。
  • 昭和61年の近鉄東大阪線、平成9年の第2阪奈道路、平成18年のけいはんな線と、大阪都心とつながる交通が段階的に強化されてきた。
  • 平成2年に人口10万人を突破。総務省の住民基本台帳による令和8年1月1日現在の人口は116,171人で、奈良県内の市では奈良市・橿原市に次ぐ規模にある。
  • 人口は平成25年の121,331人をピークに減少へ転じている(市が公表する住民登録者数)。
  • 65歳以上の割合は30.0%で、奈良県全体の32.7%を下回る(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。それでも市民のおよそ3割が65歳以上という水準にある。
  • 市内北部の高山町は、室町時代に起源をもつ高山茶筌の産地。昭和50年に伝統的工芸品の指定を受けている。
  • 大正7年には、生駒駅と宝山寺を結ぶ日本最初のケーブルカーが開通した。

生駒市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「生駒市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さと密度、高齢化の水準、接している自治体の広がりなど、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
総人口116,171人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口34,829人(30.0%、奈良県全体32.7%)
うち75歳以上人口21,277人(18.3%、奈良県全体19.8%)
総面積53.15km²(東西約8.0km・南北約15.0km)
人口密度約2,186人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
総世帯数52,239世帯(1世帯当たり2.2人)
人口のピーク平成25年の121,331人
接している自治体3府県11市町(奈良市・大和郡山市・平群町・斑鳩町、京都府京田辺市・精華町、大阪府枚方市・大東市・東大阪市・四條畷市・交野市)
市の花・市の木キク/イチイガシ

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口とそれぞれの割合、および奈良県全体の値は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の値です。人口密度は、この表の総人口を面積で割って当研究会が算出しました(奈良県全体も同じ基準で算出しています)。総世帯数・1世帯当たり人員・人口のピークは、生駒市が公表する令和7年10月1日現在の住民登録者数にもとづく値です。国勢調査をもとに公表される人口は調査の基準が異なりますので、この表の値と国勢調査の値をつないで増減を計算することはできません。比べるときは、同じ基準の値どうしで行ってください。

数字から考えられる市政課題

まず年齢構成です。

65歳以上の割合は30.0%、75歳以上の割合は18.3%で、いずれも奈良県全体(32.7%・19.8%)を下回ります。

県内では比較的若い年齢構成だといえますが、それでも市民の3割近くが65歳以上、5人に1人近くが75歳以上という水準です。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)

そのうえで、市が公表する住民登録者数では、人口は平成25年の121,331人をピークに減少へ転じ、令和7年10月1日現在は116,181人となっています。

大阪都市圏の住宅都市として人口を増やし続けてきた市が、増加の局面を終えた。

ここが生駒市の現在地です。新しく移り住む世代に選ばれ続けることと、先に住み始めた世代の暮らしを支えることを、同時に進める段階に入っています。(出典:生駒市|令和7年版消防年報)

生駒市の現状を面接で説明する場面では、数字と課題をこうつなげて語れます。

「生駒市は大阪の都心へ電車で20分ほどという立地で人口を伸ばしてきた市ですけれども、10年ほど前をピークに人口が減り始めたと聞きました。今は市民の3割ほどが65歳以上ですので、これから移り住む世代に選ばれることと、長く住んでこられた方の暮らしを支えることを、両方あわせて進めていく必要があるのではと感じています」

生駒市の経済・産業

経済・産業構造の概要

  • 53.15平方キロメートルの市域に11万人台が暮らし、人口密度は約2,186人/km²。奈良県全体(約350人/km²)のおよそ6倍にあたる。
  • 近鉄奈良線・けいはんな線と、阪奈道路・第2阪奈道路が大阪方面へ通じ、大阪市内へ電車で20分という距離にある。
  • 働く場所を市外に持つ市民が多く、市の経済は住宅都市としての性格が強い。生活に必要な商業・医療・福祉のサービスが、市内の主な受け皿になっている。
  • 伝統産業としては、高山町の高山茶筌がある。昭和50年に伝統的工芸品の指定を受けた産地で、全国の生産のほとんどを担ってきた。

つまり、「住宅地としての集積そのものが市の経済の土台になっている」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。工場や大規模な事業所の集積を語る市ではなく、住み続けてもらうことがそのまま経済政策になる市だと理解しておきましょう。

住宅都市としての成り立ち

生駒市が人口を伸ばしたきっかけは、阪奈道路の開通と、生駒山地に囲まれた自然環境、そして大阪市内まで電車で20分という時間距離が重なったことでした。

昭和46年に市制を施行し、昭和61年に近鉄東大阪線が開通、平成2年に人口10万人を突破しています。その後も平成9年4月に第2阪奈道路、平成18年3月にけいはんな線が開通し、大阪都心部との行き来はさらに便利になりました。

志望動機で「住みやすさ」に触れるなら、この段階的な交通整備が住みやすさの中身をつくってきた経緯まで押さえておくと、説明に厚みが出ます。(出典:生駒市|令和7年版消防年報)

高山茶筌と、奈良県の地場産業

市内北部の高山町は、室町時代に市内北部の領主鷹山氏の次男宗砌が考案したと伝えられる茶筌の産地です。

昭和50年に伝統的工芸品の指定を受け、全国の茶筌のほとんどを生産してきました。奈良県全体に目を向けると、靴下の産地としての性格が強く、平成28年経済センサスの品目編ではソックス類の出荷額の全国シェアが約57%を占めます。

繊維産業は県内製造業の事業所数の約16%・従業者数の約9%にあたります。伝統産業を語るときは、技術の紹介で終わらせず、後継者の確保や販路の広がりまで視野に入れて話しましょう。(出典:奈良県|地場産業について)

観光と、県全体の集客力

生駒山の中腹にある宝山寺への参詣を支えるため、大正7年に生駒駅と宝山寺の間で日本最初のケーブルカーが開業しました。奈良県全体では、令和6年の観光入込客数が約4,362万人、訪日外国人の県内訪問者数が約314万人(全国7位)にのぼります。

生駒市は、大阪側からも京都側からも短時間で入れる位置にあります。観光を語る場合は、名所の紹介ではなく、通過する人をどう滞在に変えるかという視点で準備すると、行政の仕事の話につながります。(出典:奈良県の観光データ|令和6年)

生駒市の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、生駒市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

人口の増加局面が終わったこと

市が公表する住民登録者数では、生駒市の人口は平成25年の121,331人をピークに減少へ転じ、令和7年10月1日現在は116,181人です。

およそ12年で5,000人余りが減った計算になります。減少そのものは生駒市だけの現象ではなく、奈良県の推計人口年報は、令和6年10月から令和7年9月までの1年間に県内すべての市町村で人口が減ったと記しています。

その中で生駒市に固有なのは、減少が始まった時期が比較的最近であることと、減り始めてなお11万人台の規模を保っていることです。(出典:奈良県推計人口年報|令和7年10月1日現在)

高齢化の進み方と、年齢構成という条件

65歳以上の割合は30.0%、75歳以上の割合は18.3%で、いずれも奈良県全体を下回ります(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)。

ただし、短い期間に人口が集中して増えた市では、同じ時期に移り住んだ世代が同じ時期に高齢期を迎える度合いが強く出やすいと当研究会は見ています。県内では若い方だという数字と、これから急に重くなりうるという見通しは、両立します。

介護・医療・移動手段の話題では、現在の水準だけでなく、この先の変化の速さに触れられるようにしておきましょう。

生駒断層帯を目標に置いた防災

生駒市地域防災計画は、活断層型では生駒断層帯・矢田断層帯・奈良盆地東縁断層帯を、海溝型では南海トラフ巨大地震を想定し、このうち最も大きな被害が予想される生駒断層帯の地震被害を防災対策の目標としています。

内閣府がまとめた奈良県の被害想定では、生駒断層帯の地震(マグニチュード7.5・最大震度7)で、県全体の死者は4,257人、揺れによる建物全壊は93,543棟と見込まれています。

生駒市の市街地が山の中腹まで広がっていることは、防災の話題で押さえておきたい地形の条件です。(出典:内閣府|都道府県による地震被害想定結果(奈良県想定))

大阪都市圏との近さを、住宅以外へどう広げるか

生駒市は3府県11市町と接し、市民の生活圏は府県境をまたいで広がっています。

近さは住宅都市としての強みですが、そのぶん、働く場所も買い物も市外で完結しやすいという裏面があります。奈良県は、リニア中央新幹線について「奈良市附近」を主要な経過地とする整備計画のもと、県内では奈良市・大和郡山市・生駒市の3市が中間駅の設置を要望していると公表しています。

近さを住宅の便利さだけで終わらせず、人と仕事を呼び込む条件に変えられるか。ここは市政の中長期の論点です。

若い世代に選ばれ続けられるか

第3期奈良県まち・ひと・しごと創生総合戦略は、東京圏への大幅な転出超過が続いていること、令和2年時点の25〜39歳女性の未婚率が42.9%と全国6位であること、外国人人口が令和6年に17,000人を超え10年間で約1.6倍になったことを課題に挙げています。

通勤の利便性で選ばれてきた生駒市にとって、住まいとして選ばれ続けられるかは、そのまま人口の行方に直結します。子育て・住宅・教育の分野を志望するなら、この県全体の動きを背景として押さえておきましょう。(出典:第3期奈良県まち・ひと・しごと創生総合戦略)

生駒市の重点政策|住宅都市の次の段階

面接で「市の重点政策」を問われたとき、計画の名称を並べても評価にはつながりません。求められているのは、市がどんな条件のもとに置かれ、その条件から政策の重心がどこへ寄るのかを説明できることです。

ここでは、当研究会が生駒市の公表資料から確認できた事実を、3つの重心に整理します。

生駒市の政策の重心は、住宅都市として選ばれ続けること、生駒断層帯を前提にした防災、そして市役所自身の人材確保の3つに集まります。

住宅都市として選ばれ続けること

人口が増加から減少へ転じた市で、まず問われるのは定住です。

生駒市は大阪市内へ電車で20分という時間距離を持ち、その利便性が段階的な交通整備で積み上げられてきました。一方で、市民の3割近くが65歳以上という年齢構成も同時に進んでいます。

新しい世代を迎える施策と、すでに住んでいる世代の暮らしを支える施策を、同じ財源の中で組み立てるのがこの市の条件です。子育て、住宅、公共交通、地域の居場所づくりといった分野は、いずれもこの重心の上に乗っています。

生駒断層帯を前提にした防災

市の地域防災計画が最も大きな被害を見込む地震として生駒断層帯を挙げ、それを防災対策の目標に据えていることは、政策の優先順位を読むうえで重要です。市街地が山の中腹まで広がる地形では、避難経路や土砂災害への備えの重みも変わります。

防災を志望分野にしなくても、住民に最も近い基礎自治体が災害時に何を担うのかは、面接で必ず触れられる論点として押さえておきましょう。

市役所自身の人材確保

3つ目は、受験生の目から最も見えにくい重心です。

生駒市は職員採用試験にSPI3を導入し、市公式サイトで「法律の知識などを問う従来の『公務員試験対策』は不要です」と明示しています。

あわせて、優秀な人材を確保するため試験の実施時期を大幅に早めていること、採用に伴って市外から市内へ転居する場合に一定の条件のもとで転居費用を補助する制度を設けていることも公表されています。

受験のハードルを下げ、選考を早く終え、移り住むところまで後押しするという一連の設計は、人材の確保が市政の課題として扱われていることの表れだと読めます。(出典:生駒市の職員採用試験の特徴)

公表資料から確認できることそこから読める政策の重心面接での使いどころ
人口は平成25年の121,331人がピークで、令和7年10月1日現在は116,181人定住施策と、住み続けられる環境の維持志望動機の背景として、増やす話と支える話を並べて示す
65歳以上30.0%・75歳以上18.3%(県全体は32.7%・19.8%)高齢化への備えを、県内では早めの段階から進められる位置にある「今はまだ余裕がある」ではなく「今のうちに何をするか」で語る
地域防災計画は生駒断層帯の地震被害を防災対策の目標に置く災害への備えを前提にした都市の運営被害想定の数字より、地形と暮らしの結びつきに触れる
SPI3の導入、選考時期の前倒し、転居費用の補助制度職員という担い手そのものの確保長く勤める前提でやりたいことを話の中に含める

令和8年度の採用計画から見える規模感

生駒市が公表した令和8年度の採用計画では、事務職30名程度、事務職(社会福祉士)1名程度、まちづくりエンジニア(土木)3名程度、まちづくりエンジニア(建築)2名程度、保健師2名程度、消防職3名程度などの採用が予定されています(令和8年3月1日時点)。

事務職は年度内に複数回の募集が予定されており、本記事が扱う令和9年4月1日採用予定の新卒枠は、そのうちの一つにあたります。自分がどの募集に応募するのかによって、試験の構成も採用予定数も変わる点は最初に確認しておきましょう。

POINT|計画の名称をすべて覚えなくてよい

名称を暗記することが自治体研究の目的ではありません。関心のある分野を一つか二つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③今どんな事業があるか → ④市だからこそ担える役割は何か → ⑤自分の経験や強みをどう生かせるか」の順で調べていきましょう。

悪い例「生駒市の子育て支援に携わりたいです」

改善例「生駒市は大阪へ通いやすい住宅地として選ばれてきた市ですので、共働きのご家庭が働き方を変えないまま子育てできる環境づくりに関わりたいです。保育や放課後の受け入れについて、実際に使っている方の声を聞きながら改善していく仕事に取り組みたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

ここに挙げた資料を全部読み込む必要はありません。自分が面接で話したい分野に一番近いものを1つ決め、その中の数字や方針を、人に説明できるところまで持っていければ十分です。

  • 生駒市職員採用試験の最新の募集要項(受験する職種と募集の枠を必ず確認する)
  • 生駒市の職員採用に関する市公式ページ(採用試験の特徴・採用計画・試験の実施状況)
  • 生駒市の総合計画と、志望分野に関係する個別計画の最新版
  • 生駒市地域防災計画(想定する地震と、防災対策の目標)
  • 奈良県推計人口年報・第3期奈良県まち・ひと・しごと創生総合戦略(県全体の人口動態の背景)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、生駒市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。生駒市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

生駒市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

生駒市役所の面接の概要

ここからは、生駒市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

生駒市役所の面接の流れ

生駒市の令和9年4月1日採用予定・新卒枠の試験は、全職種とも第1次から第3次までの3段階です。このうち事務職は、第2次試験がグループディスカッション、第3次試験が対面の面接試験という構成で、集団で議論する場と、一人で掘り下げられる場の両方が用意されています。

項目内容(令和8年度実施・令和9年4月1日採用予定の新卒枠・事務職)
試験の段階3段階。第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験と、段階ごとに合格者を絞り込みます
第1次試験適性検査(基礎能力検査=SPI3)と書類審査。SPI3は性格検査を自宅などのWEB上で、能力検査を全国のテストセンター会場で受検します
第2次試験グループディスカッション
第3次試験面接試験(対面)。試験日より前に、適性検査(性格検査)を受検します
人物を見る場の回数対面の面接試験は第3次の1回。第2次のグループディスカッションと合わせて2回です
配点各試験種目の配点は、募集要項に記載がありません。募集要項は、記載されている以外の試験内容の問い合わせには一切答えないとしています
提出書類「面接カード」にあたる様式はありません。志望動機などは申込時にエントリーフォームへ直接入力し、その内容が書類審査の対象になります。第2次試験以降のいずれかの時期に、最終学校の卒業(見込)証明書と成績証明書の原本を提出します
採用予定数と実施状況採用予定12名程度に対し、申込372人・受験350人・第1次合格128人・第2次合格50人・最終合格25人(倍率14.0)

この表で最初に押さえたいのは、第1次試験に筆記の教養試験が置かれていないことです。

市はSPI3の導入について、法律の知識などを問う従来の「公務員試験対策」は不要だと公式サイトで明示しています。知識の詰め込みで差がつく設計にはなっていない以上、準備の重心は自然と人物側へ移ります。(出典:生駒市職員採用試験の募集要項|令和8年度実施(令和9年4月1日採用予定))

もう一つ重要なのが、書類審査の対象です。審査されるのは、申込の際にエントリーフォームへ入力した内容そのもの。

志望動機などの記述式の設問について、申込内容が不適切な場合や文量が明らかに不十分な場合には受験不可となることがあり、回答が2割程度に満たない設問があると選考を見合わせる場合があるとも明記されています。

申込ボタンを押した時点で、すでに選考は始まっています。

そのうえで、令和9年4月1日採用予定・新卒枠の事務職では、受験350人に対して最終合格が25人、倍率は14.0でした(令和8年6月16日時点の市公表値)。第1次で128人、第2次で50人と段階的に絞られており、グループディスカッションを通過した50人が対面の面接に進んでいます。

集団の場では議論の中での関わり方が、個別の場では経験の中身が確かめられると考えるのが素直な読み方でしょう。

なお、まちづくりエンジニア(土木)・まちづくりエンジニア(建築)・保健師は、第2次試験が面接試験(対面。まちづくりエンジニアの2区分は専門試験もあわせて実施)、第3次試験が面接試験(対面)で、グループディスカッションは課されません。

同じ市の同じ募集でも、職種によって面接の回数が異なります。自分の受ける職種の構成を、募集要項で必ず確認してください。

上記の試験構成は、生駒市の令和8年度実施(令和9年4月1日採用予定・新卒枠)募集要項にもとづく事務職のものです。実施状況の人数は、令和8年6月16日時点で市が公表している値です。各試験種目の配点は公表されていませんので、最新の募集要項でご確認ください。試験の構成・配点等は、年度や職種、募集の枠によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身が受ける区分の最新の募集要項をご確認ください。

生駒市役所が求める人物像

「求める人物像」「求める職員像」といった名称で定型化された公表文言は、生駒市の令和8年度実施・新卒枠の募集要項と、市公式サイトの「生駒市の職員採用試験の特徴」のページの本文には見当たりませんでした。その代わりに、市は採用の考え方そのものを公表しています。

SPI3を導入して従来型の公務員試験対策を不要と言い切っていること、「人物重視の採用プロセスを継続」と掲げていること、選考の時期を大幅に前倒ししていること、市外から市内へ転居する場合の費用を補助する制度を設けていること。

選考の設計そのものが、知識の量ではなく人物と定着を重く見る姿勢を示しています。

ただし、このページは令和5年10月に更新されたもので「複数回の個人面接を実施」と記していますが、令和9年4月1日採用予定の新卒枠・事務職の実際の構成は、第2次がグループディスカッション、第3次が対面の面接試験です。

年度によって構成は変わりますので、必ず自分が受ける年度の募集要項で確かめてください。ここからは当研究会の見立てを交えます。

事務職の採用予定が12名程度、面積53.15平方キロメートルに人口11万人台という規模の市役所では、一つの分野を受け持つ人数がおのずと絞られます。窓口で受け取った声を制度の側へ返し、決まった内容をまた窓口で説明する。

その往復が同じ担当の中で完結しやすい規模だということです。担当分野を深く知っていることと同じくらい、隣の分野の相談にも一次対応できる幅や、専門的な内容を生活者の言葉へ置き換える力が効いてくる場面は多いはずです。

生駒市の場合、その「生活者」の中身が二層になっているのが特徴です。大阪都市圏へ通勤し、平日の日中は市外にいる世代と、市内で一日を過ごす高齢の世代。

手続きの案内一つを取っても、届く時間帯も届く言葉も違います。両方に届く進め方を考えられるかは、この市で働くうえで具体的な意味を持ちます。

生駒市の選考は、申込時にエントリーフォームへ入力した文章がそのまま書類審査にかかり、その後にグループディスカッションと対面の面接が続く設計です。文字で残した自分と、その場で話す自分が食い違わないことが前提になります。

経歴を大きく見せる工夫に時間をかけるよりも、これまでの経験の中から市役所の仕事に重なる場面を選び直し、書くときと話すときで同じ言葉が使える状態にしておくほうが、この設計には合っています。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。生駒市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日は、どうやって会場まで来られましたか?身構えていない場面での受け答え。第3次の対面面接は緊張の度合いが高い場ですから、そこで出る話し方の自然さが見られます
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?民間でもできる説明で止まっていないか。申込時にエントリーフォームへ入力した志望動機と、口で話す動機がそろっているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。グループディスカッションのある選考では、議論での自分の立ち回りと自己認識が一致しているかも見られます
④ 経験・行動これまでで最も苦労した経験と、どう乗り越えたかを教えてください困難の大きさではなく、その場面で何を考えどう動いたか。書類に書いた内容を口頭で掘られても崩れないか
⑤ 学業・経歴卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください専門外の相手に伝わる言葉へ置き換える力。事務職は幅広い分野に配属されるため、学んだことを別の場面へ持ち出せるか
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?市の仕事への理解の解像度。採用予定12名程度という規模で、希望どおりの配属にならなくても働けるか
⑦ 公共性・社会性最近関心を持ったニュースは何ですか?社会の出来事を自分の関心と結び付けて短く話せるか。グループディスカッションのテーマにも通じる素地です

ここまでの7つは、受験先を問わず多くの人が準備してくる領域です。

押さえていなければ落ちますが、押さえただけでは横並びになります。差がつくのは、次に挙げる生駒市そのものについての質問です。

合否を分けるのは「生駒市役所ならでは」の質問

「なぜ奈良県庁ではなく、生駒市役所なのですか?」
「生駒市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

とくに1問目は、生駒市では答えの中身の差が出やすい質問です。生駒市は3府県11市町と接し、市民の多くが大阪都市圏で働きながら生駒市で暮らしています。

県と市、あるいは境を接する大阪府側の市と生駒市とで、住民の暮らしとの距離がどう違うのか。そこを自分の言葉で説明できるかが問われます。

どちらも、事前に何を見てきたかが、そのまま言葉の細かさに出る質問です。

こうした質問に答えるための「生駒市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい生駒市の事実答え方のヒント
人口の現在地住民基本台帳による令和8年1月1日現在の人口は116,171人で、奈良県内の市では3番目。市が公表する住民登録者数では平成25年の121,331人がピークで、令和7年10月1日現在は116,181人増えてきた市が増加の局面を終えたという向きを押さえ、悲観にも楽観にも寄らない現状認識として示します
なぜ県庁ではなく市役所か生駒市は3府県11市町と境を接し、大阪市内へ電車で20分という位置にある。市民の生活圏は府県境をまたいで広がっている制度の説明ではなく、暮らしの単位に一番近いところで働きたいという自分の判断の理由を、生駒市の地理と重ねて話します
防災・危機管理市の地域防災計画は生駒断層帯・矢田断層帯・奈良盆地東縁断層帯と南海トラフ巨大地震を想定し、最も被害が大きいとされる生駒断層帯を防災対策の目標に置く想定地震の名称を言えることより、山の中腹まで市街地が広がる地形で何が起きやすいかを考えたうえで、自分にできる備えまで話します
生駒市の魅力大正7年に生駒駅と宝山寺を結ぶ日本最初のケーブルカーが開通。市内北部の高山町は昭和50年に伝統的工芸品の指定を受けた高山茶筌の産地名所や特産品を並べるのではなく、その資源を市が今どう活かそうとしているか、自分ならどう関わりたいかまで踏み込みます
採用の考え方市はSPI3を導入し「法律の知識などを問う従来の『公務員試験対策』は不要です」と明示。人物重視の採用プロセスを掲げ、市外から転居する場合の費用補助も設けている市が人物と定着を重く見ていることを踏まえ、長く勤める前提で何をしたいのかを話の中に含めます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

生駒市は求める人物像を定型の文言では示していません。

そのぶん、手がかりになるのは選考の設計です。書類審査に出した文章、グループディスカッションでの関わり方、対面の面接で掘り下げられる経験。

この3つが同じ人物を指しているかどうかが軸になります。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
相手に合わせて伝える力エントリーフォームに書いた志望動機を、その場の言葉で言い直せるか。専門用語に頼らずに説明できるかゼミやアルバイトで、事情を知らない相手に一から説明した場面を思い出し、どの言葉を言い換えたかまで書き出しておく
議論の中で役割を取る力グループディスカッションで、自分の考えを出しながら他の人の発言を受け止められるかまとめ役だけが評価される場ではないと考え、自分は議論に何を足せるタイプなのかを一言で言えるようにしておく
ひとつのことを続ける力同じ活動に関わり続け、途中で条件が変わっても手を止めなかったか続けてきた活動の中から、思ったとおりにいかなかった時期をひとつ取り出し、当時どんな判断をしたかを時系列でメモしておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。生駒市の事務職は対面の面接が第3次の1回に集約されている分、その1回の中で掘り下げが重ねられることを見込んでおきましょう。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを、いくつか手元に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の募集要項を読み、自分が受ける職種と募集の枠の試験構成、そして申込のエントリーフォームで入力を求められる項目を確認する
  2. これまでの経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、具体的に話せる場面を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 申込のエントリーフォームに入力する文章を、面接で話す内容と同じ材料から書く。提出した文章は必ず控えを残しておく
  5. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返して志望分野に近い生駒市の事実を2〜3個選び、固有質問の対応表と合わせて「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。グループディスカッションのある職種は、複数人で話す練習も一度は入れる

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、ステップ4の申込内容の作り込みを先に片づけてください。

生駒市では申込時に入力した内容がそのまま書類審査にかかりますので、この順番を逆にすると取り返しがつきません。

自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、生駒市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

生駒市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

生駒市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和9年4月1日採用予定の新卒枠でいえば、生駒市の事務職の選考は、申込のエントリーフォームに入力した文章から始まり、グループディスカッションを経て、対面の面接試験で終わります。

各種目の配点は公表されていませんが、SPI3を導入して従来型の公務員試験対策は不要だと市自身が言い切っている以上、準備の重心をどこへ置くべきかははっきりしています。大阪の都心へ20分という立地で人口を伸ばし、その増加の局面を終えた市で、これから何を引き受けたいのか。

書いた言葉と話す言葉をそろえながら、その答えを固めていってください。