本記事では、奈良県職員採用試験の面接対策で必要な、奈良県の特徴基礎データ行政課題重点政策面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

奈良県庁の面接試験では、「なぜ奈良県を志望したのか」「県職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を県政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。奈良県の実情や計画を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、奈良県ならではの事情を踏まえた説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と奈良県政の接点を考え、面接での回答づくりに役立ててください。

第1部|自治体研究編

奈良県の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは奈良県の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 県庁所在地は奈良市。紀伊半島のほぼ中央に位置する内陸県で、三重・京都・大阪・和歌山の各府県と接する。
  • 面積は約3,691km²(全国40位)で、国土の約1%。吉野川を境に北部の奈良盆地と南部の山岳地帯に分かれ、県土の6割強を南部の山地が占める。
  • 人口は約127万人(令和7年国勢調査速報・全国27位)で、減少が続いている。北部の盆地に人口が集まる一方、南部・東部は過疎化が進む。
  • 法隆寺や奈良公園に代表される歴史・文化資源が集まる古都であり、世界遺産をはじめ国内外に知られる観光資源を数多く抱える。
  • ものづくりでは繊維の地場産業が根づき、ソックス類の出荷額は全国シェア約57%で国内最大の産地(広陵町が生産量日本一)。
  • 大阪都市圏に隣接し、県外へ通勤・通学する人が多い一方、若い世代の県外流出も課題となっている。
  • 財政力指数は0.40前後で自主財源に乏しく、社会保障費の増加や県有施設の老朽化を見据えた財政運営が課題となっている(令和5年度)。

奈良県の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「奈良県の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、県土の広さ、年齢構成、財政の規模など、県政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
総人口1,269,180人(令和7年国勢調査速報・全国27位)
年少人口(0-14歳)137,782人(10.81%)
生産年齢人口(15-64歳)713,241人(55.98%)
老年人口(65歳以上)423,173人(33.21%=高齢化率)
総面積3,690.94km²(全国40位・県土の6割強が南部山岳地帯)
総世帯数544,878世帯(令和7年国勢調査速報・全国30位)
一般会計当初予算約5,636億円(令和7年度当初予算案・前年度比+3.6%)
財政力指数0.4015(令和5年度)

総人口・総世帯数は令和7年国勢調査人口速報集計、年齢別人口は令和7年10月1日現在の奈良県推計人口(基準が異なるため総人口と年齢別人口の合計は一致しません)、財政力指数は総務省「令和5年度財政状況資料集」、当初予算は令和7年度当初予算案による数値です。

数字から考えられる県政課題

奈良県は現在も約127万人が暮らす県ですが、人口が多いことだけを強みとして捉えるのは不十分です。全国順位はむしろ上がった(29位から27位へ)一方で、人口そのものは前回調査より減っています。

これは「他県の減り方がより大きい」ことの裏返しであり、高齢化率が33%を超えている点や、亡くなる人が生まれる人を大きく上回る自然減が進んでいる点をあわせて考える必要があります。

実際、令和6年10月からの1年間では、生まれた人が6,544人だったのに対し亡くなった人は17,865人と、自然減が1万人を超えました。転入と転出はほぼ均衡しており、人口減少の主な要因は社会減ではなく自然減にあります

つまり、県外からの移住を呼び込むだけでは減少に歯止めがかかりにくく、子育てや医療・介護を含めた総合的な対応が必要になる、という構造を理解しておくと課題の説明に深みが出ます。

たとえば面接では、奈良県の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。

「奈良県は127万人ほどが暮らす県ですが、令和7年の国勢調査速報では前回より4パーセントほど人口が減りました。3人に1人ほどが高齢者という状況で、これからは規模の大きさよりも、支え合いの仕組みづくりが大切になると考えています」

奈良県の経済・産業

経済・産業構造の概要

  • 海に面さない内陸県で大工場の集積は限られ、製造業は繊維などの地場産業が中心。
  • 靴下の一大産地で、ソックス類の出荷額は全国シェア約57%と国内最大。繊維産業は県内製造業の事業所数の約16%を占める。
  • 県土の6割強を占める南部の山地には豊かな森林が広がり、吉野杉・吉野桧に代表される林業や木材加工が根づく。
  • 観光は県経済の柱で、観光入込客数は令和6年に約4,362万人、外国人の延べ県内訪問者数は約314万人(全国7位)。

つまり、全国屈指の観光資源と特色ある地場産業を持ちながら、その強みが消費や雇用に十分結びついていないという構造を押さえておくと、産業振興や地域活性化の話題に対応しやすくなります。(出典:地場産業について

観光業

奈良県にとって観光は最大の強みです。観光入込客数は令和6年に約4,362万人とコロナ禍前の水準に接近し、外国人の県内訪問者数は約314万人で全国7位にのぼります。

ただし県自身が、観光消費額が少ない(安い)、滞在が短い(浅い)、奈良公園周辺に集中する(狭い)という弱点を課題として掲げています。

面接で観光を語るなら、「人は来ているのにお金が落ちにくい」という構造を一言添えられると、政策への理解が伝わります。(出典:奈良県の観光データ|令和6年

ものづくりと地場産業

奈良県のものづくりは、地域ごとに特色ある地場産業が集積しているのが特徴です。広陵町を中心とする靴下は生産量日本一で、産業・住宅用織物やニットなど繊維全体で製造業を支えています。

このほか宇陀市の鹿革・毛皮は全国唯一の産地、三宅町は野球用のグラブ・ミット、吉野・下市町は吉野杉や桧の端材を生かした割り箸の産地として知られます。

志望動機で産業を扱うなら、こうした「地域に根ざした強み」を一つ具体的に挙げられると、暗記でない理解として伝わります

森林と農林業

県土の6割強を南部の山地が占める奈良県は、全国有数の森林県です。吉野地方の吉野杉・吉野桧は良質な木材の代名詞で、県は森林環境の維持と県産材の利用促進を柱に林業の振興を進めています。

南部の山間地域では、人口減少と担い手不足のなかで森林と暮らしをどう守るかが問われており、林業は産業政策であると同時に地域を維持する政策でもあります。

面接では、森林や木材を「環境」「産業」「南部の地域づくり」のどの切り口で語るかを決めておくと、話がぶれません。(出典:奈良県の姿(自然編)

奈良県の主な行政課題

ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、奈良県が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「県の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

人口減少と少子高齢化

奈良県の人口は1999年の約144万9千人をピークに減少に転じ、社人研の推計では2050年に約95万人まで減る見通しです。合計特殊出生率は令和5年に1.21(全国平均1.20)、出生数は6,943人と過去最少を更新しました。

子育て支援だけでなく、教育、住宅、雇用、医療・介護人材などを関連付けて考える必要があります。

若者・女性の県外流出と少子化

奈良県は大阪都市圏に近く暮らしやすい一方で、進学や就職を機に若い世代が県外へ出ていく傾向があります。県の総合戦略は、東京圏への転出超過が続いていることに加え、25〜39歳女性の未婚率が42.9%(令和2年)と全国6位の高さにあり、未婚化・晩婚化が少子化の直接の要因になっていると指摘しています。

「働く場」と「暮らしやすさ」をどう県内に用意するかが問われています。(参考:第3期奈良県地方創生総合戦略|令和7年3月

南部・東部地域の維持

県土の6割強を占める南部・東部の山間地域では、人口減少と高齢化が県平均を上回るペースで進行しています。森林や水源を守りながら、医療、交通、雇用をどう確保するかが切実な課題です。

奈良県は市町村と協働して南部・東部を振興するための条例を整備し、地域の実情に応じた支援を進めています。

大規模災害への備え

海に面していない奈良県でも、地震のリスクは小さくありません。内閣府の想定では、奈良盆地東縁断層帯地震(マグニチュード7.5・最大震度7)で県内最大級の被害が見込まれ、死者は最大5,153人、建物全壊は約11万4千棟と想定されています。

このほか、中央構造線断層帯地震(マグニチュード8.0)で死者約4,319人、生駒断層帯地震(マグニチュード7.5)で死者約4,257人といった直下型地震の想定もあり、内陸県ならではの備えが求められます。

県は「災害に日本一強い奈良県」を掲げて対策を進めています。(出典:都道府県別の地震被害想定結果

産業振興と働く場の確保

人口流出を食い止めるには、県内に魅力ある働く場をつくることが欠かせません。奈良県は、企業の声を起点とした産業政策や、観光消費の底上げ、外国人材の受け入れ(外国人人口は令和6年に1万7千人を超え、10年で約1.6倍)などに取り組んでいます。

あわせて、磯城郡3町を舞台とする大和平野中央田園都市構想や、リニア中央新幹線の「奈良市附近駅」の誘致など、将来の働く場や交通の基盤づくりも進められています。

面接では、こうした取り組みのどれに関心があるかを自分の言葉で語れると強みになります。

奈良県の重点政策|第3期奈良県地方創生総合戦略

奈良県は、地方自治法の改正で策定義務がなくなった「総合計画(基本構想)」を現在は持たず、かつての「やまと21世紀ビジョン」も終了しています。そのため県政全体を体系化した最上位の計画は、「第3期奈良県地方創生総合戦略」(令和7年3月策定)です。

対象期間は令和7年度から令和11年度までの5年間で、人口減少に歯止めをかけ、若者が県内で住み、働き続けられる奈良県をつくることを目的としています(出典:第3期奈良県地方創生総合戦略

計画を貫く考え方

総合戦略は基本目標として「3つの責任」を掲げています。①県民や事業者の安心と暮らしへの責任、②奈良県の子ども・若者の未来への責任、③豊かで活力ある奈良県を創る責任、の3つで、これらを果たすための土台づくりを加えた4つの柱・18の分野で県政を整理しています。

推進にあたっては、客観的なデータで実態をとらえること、KPIを設定してPDCAで検証すること、多様な主体と協働すること、デジタル技術を活用することなどを基本姿勢としています。

戦略の策定にあたって県は、これまでの取り組みで一定の成果は見られるものの人口減少の速度はむしろ加速していると認めています。

そのうえで、子育て支援や教育環境の充実、企業誘致や県内企業の活性化を通じた「働く場」の確保など、未来を担う若者が県内で住み、働き続けられるための取り組みを、これまで以上に急ぐ必要があるとしています。

志望動機を組み立てるときは、この「若者が住み、働き続けられる奈良県」という視点を軸に据えると、県の問題意識と重なりやすくなります。

3つの責任と主な分野

責任(柱)扱う主な分野
Ⅰ 県民や事業者の安心と暮らしへの責任安全・安心の確保、福祉の充実、医療の充実
Ⅱ 子ども、若者の未来への責任こども・子育て支援と女性活躍の推進、教育の充実
Ⅲ 豊かで活力ある奈良県を創る責任脱炭素、工業・商業、観光、食と農、林業、文化、スポーツ、南部東部地域の振興
Ⅳ 3つの責任を果たすために基盤整備、まちづくり、広域連携、県庁の働き方改革、行財政改革

面接では、自分の取り組みたい仕事がどの責任・どの分野に位置づくのかを一言添えられるだけで、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります。

令和8年度の県政運営のポイント

奈良県は知事の施政方針演説にあたる文書として、その年度の主な施策をまとめた「奈良県政策集」を毎年度公表しています。令和8年度版では、「災害に日本一強い奈良県」を目指す防災、観光消費の底上げによる観光GDPの拡大、2050年の温室効果ガス排出実質ゼロに向けた脱炭素、健康長寿につなげるスポーツ振興などが柱として並びます

県予算の規模感もつかんでおくとよく、直近で公表されている令和7年度当初予算案の一般会計は約5,636億円(前年度比+3.6%)でした。(出典:奈良県政策集〈令和8年度版〉令和7年度当初予算案の概要

POINT|18分野をすべて暗記しなくてよい

分野の名前をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②県はどんな状態を目指すか → ③今どんな取組をしているか → ④県だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験や強みをどう生かすか」の順で掘り下げましょう。

悪い例「奈良県の観光振興に携わりたいです」

改善例「奈良は年間4千万人を超える観光客が来ていると聞きましたが、日帰りが多くて使ってもらえるお金が少ないそうです。まずは現場で観光の仕事を覚えたいです。その上で、泊まって楽しんでもらえる周遊の仕組みづくりに関わっていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。

  • 奈良県職員採用試験の受験案内/自己PRシートの様式(試験分野ごとに異なる)
  • 第3期奈良県地方創生総合戦略(3つの責任と18分野の全体像)
  • 奈良県政策集〈最新年度版〉(その年度の重点施策)
  • 奈良県推計人口や観光データなど、関心分野の統計資料

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で答えに詰まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、奈良県庁専用の面接想定問答集をご用意しています。奈良県の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

奈良県庁の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

奈良県の面接の概要

ここからは、奈良県の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

奈良県の面接の流れ

奈良県のⅠ種試験(総合職・警察行政職)は、口述試験(人物試験)に計700点を配点する人物重視の試験です。基礎能力検査100点と小論文100点を合わせた筆記系200点に対し、面接の比重が3倍を超えており、面接の準備がそのまま合否に直結します。

項目内容(令和8年度・Ⅰ種試験〈春実施〉総合職・警察行政職)
試験の段階第1次試験(基礎能力検査〔SPI3〕・性格検査〔SPI3〕・小論文試験・口述試験)→ 第2次試験(口述試験)
面接の種類口述試験は計2回。第1次は集団面接(対象者が少ない場合は個別面接)、第2次はグループワーク及び個別面接
人物試験の配点口述試験〔第1次〕300点+口述試験〔第2次〕400点=計700点(ほかに基礎能力検査100点・小論文100点)
合否の決め方第1次=基礎能力検査+口述試験の400点満点、第2次=小論文+口述試験の500点満点で判定(各種目に合格基準あり)
提出書類自己PRシート(申込時にオンラインで添付提出。未提出だと受験できません)
小論文600字程度・60分・100点満点(第1次合格者のみ採点)

注目してほしいのは配点の偏りです。第2次の口述試験だけで400点と、人物評価の大きな部分が最終段階の面接に集中しています。

用意した答えを言えるかではなく、掘り下げられても自分の言葉で答え続けられるかが問われる構造だと言えます。

上記の試験構成は、奈良県人事委員会が公表した令和8年度Ⅰ種試験〈春実施〉受験案内にもとづく総合職・警察行政職のものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。

奈良県が求める人物像

奈良県は、令和8年度Ⅰ種試験の受験案内に「求める人物像」を明文では掲げていません。そのかわり、申込時に自己PRシートの提出を求め、口述試験でその内容を深めていく形をとっています。

手がかりになるのは、県政の最上位計画である第3期奈良県地方創生総合戦略が示す推進の基本姿勢です。客観的なデータで地域の実態をとらえ、多様な主体と協働し、デジタル技術を使いこなしながら課題を解決していく姿勢が、これからの奈良県職員に期待される働き方だと読み取れます。

自己PRでは「積極性があります」と述べるだけでなく、その力を使って何を行い、周囲や相手にどんな変化をもたらしたのかまで説明しましょう。(参考:令和8年度Ⅰ種試験受験案内

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。奈良県の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日は会場までどうやって来ましたか?硬い雰囲気の中での素の反応。受け答えの自然さが表れます
② 動機・志望なぜ奈良県で働きたいのですか?数ある就職先の中で県庁を選ぶ理由を、自分の言葉で筋道立てて話せるか
③ 自己理解あなたの長所と短所を教えてください自分を客観視できているか。弱みとの向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで一番力を入れて取り組んだことは何ですか?過去の動き方から、入庁後にも再現できる強みを確かめています
⑤ 学業・経歴学生時代に専攻した分野を選んだ理由は?自分の選択を説明できるか。学びと仕事の接点を描けているか
⑥ 適性・将来採用されたら、どんな仕事に挑戦したいですか?働く姿を具体的に描けているか。組織の中で伸びていく見通し
⑦ 公共性・社会性最近関心を持っている社会の出来事はありますか?社会への関心の深さと、それを行政の課題として捉え直す視点

ただし、この7カテゴリーは奈良県に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者の多くが対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「奈良県ならではの事情を踏まえた質問」です。

合否を分けるのは「奈良県ならでは」の質問

「なぜ大阪府や京都府ではなく、奈良県を志望するのですか?」
「奈良県が抱える課題を一つ挙げて、あなたならどう取り組みたいか教えてください」

どちらも、奈良県の現状と県の計画を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「奈良県の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい奈良県の事実答え方のヒント
人口減少令和7年国勢調査速報で総人口は約127万人(前回比4.2%減)。全国順位は27位に上がったが、人口そのものは減り、高齢化率は33.21%(令和7年10月1日)「全国順位はむしろ上がったのに人口は減っている」という一見矛盾する事実を押さえると、規模でなく中身で語る課題認識だと伝わります
大都市圏への流出第3期総合戦略が、東京圏への転出超過の継続と、25〜39歳女性の未婚率42.9%(令和2年・全国6位)を課題に挙げている大阪や京都に近いという立地を、「通勤で暮らせる強み」と「人が流れ出す弱み」の両面から語れると厚みが出ます
南部・東部の振興県土の6割強が南部の山岳地帯で、南部・東部は人口減少が急。県は市町村と協働した振興の条例を整備している北部の盆地と南部の山間部で課題がまるで違う点に触れると、県全体を見ている姿勢が伝わります
観光観光入込は令和6年に約4,362万人、外国人訪問者は約314万人で全国7位。ただし県は消費額の少なさ、滞在の短さ、奈良公園周辺への集中を弱点に挙げる「人は来ているのにお金が落ちにくい」という構造を一言で言えると、観光の話に具体性が出ます
防災内閣府の想定で奈良盆地東縁断層帯地震(M7.5)は県内最大級で、死者は最大5,153人・建物全壊は約11万4千棟。県は「災害に日本一強い奈良県」を掲げる海のない内陸県でも活断層による直下型地震の固有リスクがある点に触れ、備えの話につなげます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 県職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、これまでに「実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

奈良県には明文の求める人物像がないため、ここでは総合戦略の基本姿勢から読み取れる観点を、当研究会が3つに整理しました。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
課題を見極める力(データで考える)身近な問題の原因をどう整理し、何を根拠に判断したかを問われる奈良県が人口減少や観光消費の底上げをデータで語る姿勢に倣い、自分の経験も「事実→原因→打った手」の順で説明できるようにする
人を巻き込み協働する力立場の違う相手とどう折り合いをつけ、動かしたかを掘り下げられる県と市町村、住民、事業者が一緒に動く奈良県の仕事像を意識し、意見の違いを調整した具体例を一つ用意する
変化に対応し学び続ける力新しいやり方や不慣れな場面にどう向き合ったかを確かめられるデジタル活用を掲げる県の方向性を踏まえ、未経験のことを自分から学んで乗り越えた経験を言葉にする

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題について「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と、二度三度と掘り下げられることがよくあります。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを、事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 令和8年度の受験案内を読み、試験の段階と自己PRシートの記入項目を確認する
  2. これまでの経験を棚卸しする。学業、部活動やサークル、アルバイトから、具体的に話せる出来事を一つずつ用意する
  3. 7つのカテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い奈良県の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がないときは、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を奈良県の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分の経験を語れないまま県の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

面接対策を独学で、しかも短い時間で仕上げたい場合は、奈良県庁に特化した面接想定問答集を使うという選択肢もあります。

奈良県の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例、質問の意図、NG回答までを丁寧に解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

奈良県庁の想定問答集を見る

さいごに

奈良県のⅠ種試験は、口述試験に700点を置き、小論文と合わせても人物評価に大きく重心を置いた試験です。基礎能力検査で高い点を取っても、それだけでは合格に届きにくい設計になっています。

裏を返せば、面接で自分の経験を自分の言葉で語り切れる人には、大きく開かれた試験だということです。奈良県は、人口減少や観光消費の底上げといった答えの決まっていない課題に、県と市町村が一緒に向き合っている県です。

その現場で自分が何をしたいのかを、身近な経験と結び付けて話せるように、繰り返し声に出して準備を重ねましょう。あなたの受験を応援しています。