本記事では、奈良県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、奈良県警察の特徴基礎データ県内の治安情勢重点方針面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

奈良県警察の面接試験では、「なぜ奈良県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織と地域を調べていなければ答えにくい質問が想定されます。奈良県の治安の現状と県警察の方針を知っておくことで、抽象的な回答を避け、奈良県警察ならではの事情を踏まえた説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と奈良県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|組織研究編

奈良県警察の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは奈良県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 奈良県全域を管轄し、管轄人口は約127万人。県内のすべての市町村を、ひとつの県警察が受け持っている。
  • 県警本部は奈良市登大路町に置かれ、警務部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部の5つの部門で構成される。県内各地の警察署が第一線の活動を担う。
  • 県土の面積は3,690.94平方キロメートルで全国40番目、国土の約1%にあたる。海に面していない内陸県で、港湾を持たない。(出典:奈良県の姿1/自然編|奈良県
  • 吉野川を境に北の奈良盆地と南の山岳地帯に分かれ、山岳地帯が県総面積の60%強を占める。1平方キロメートルあたりの人口密度は市部797.0人に対し郡部107.6人(令和7年10月1日現在)で、同じ県内でも警察活動の条件がまったく異なる
  • 令和7年(2025年)の刑法犯認知件数は6,265件で前年比0.8%の増加、検挙率は58.6%だった。
  • 令和6年の観光入込客数は約4,362万人、訪日外国人の県内訪問者数は約314万人で全国7位。住んでいる人の何倍もの人が、年間を通じて県内を訪れる。
  • 65歳以上の割合は33.21%(令和7年10月1日現在)。令和6年中の交通事故死者は23人で戦後最少となったが、うち14人は高齢者だった。
  • 1年ごとの活動方針として「奈良県警察運営指針」を定めている。令和7年の指針では、子供・女性・高齢者等の安全確保、外国人を始めとした観光客等の安全の確保、交通の安全確保、社会の犯罪抑止などが重点に置かれた。

奈良県警察の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「奈良県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、管轄する県土と人口、本部の組織、犯罪と交通事故の情勢など、組織の置かれた環境を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
管轄区域奈良県全域
管轄人口約127万人(令和7年国勢調査人口速報で1,269,180人・全国27位)
管轄面積3,690.94平方キロメートル(全国40位・国土の約1%)
県警本部の所在地奈良市登大路町
本部の組織警務部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部(ほかに県内各地の警察署)
刑法犯認知件数6,265件(令和7年・前年比0.8%増)
刑法犯検挙率58.6%(令和7年)
交通事故死者数23人(令和6年・前年比3人減で戦後最少。うち高齢者14人)
管内の高齢化率33.21%(令和7年10月1日現在・65歳以上423,173人)

管轄人口と全国順位は令和7年国勢調査人口速報集計、高齢化率と人口密度は奈良県推計人口年報(令和7年10月1日現在)、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)と検挙率は令和7年(2025年)の犯罪統計の確定値、交通事故死者数は奈良県警察交通部の資料にもとづく数値です。警察署・交番・駐在所の設置数や職員数は本記事では取り上げていないため、必要な方は奈良県警察の公表資料をご確認ください。(出典:国勢調査人口速報集計|令和7年

数字から考えられる治安課題

奈良県の刑法犯認知件数は、人口127万人規模の県として全国的に目立つ水準ではありません。令和7年は6,265件で、前年からの伸びも0.8%にとどまりました。

あわせて検挙率は58.6%で、認知された事件のおよそ6割が検挙に結び付いていることになります。件数が少なく、検挙も追い付いている県だと言えます。

ただし、件数の少なさは安心の保証ではありません。守る相手は「県内に住む127万人」にとどまらず、令和6年にのべ約4,362万人が訪れた観光客にまで広がります。

しかもその127万人のうち3人に1人は65歳以上です(令和7年10月1日現在)。人の出入りの多さと高齢化の進み方、この2つを重ねると、奈良県警察の仕事の輪郭がはっきりします

たとえば面接で県内の治安について聞かれたときは、次のように件数と背景を結び付けて説明できます。

「奈良は事件の数だけ見ると多くない県だと思っていましたけれども、去年の刑法犯は6千件あまりで、前の年より少し増えていました。検挙率のほうは6割近くあると聞いています。件数が少ない県だからこそ、一件ごとの重みが大きいのではと感じています。それに加えて、65歳以上の方が県民の3割を超えていますし、観光で来られる方も毎年たくさんいますので、守る相手の幅が広い仕事だと思っています」

奈良県の治安情勢

刑法犯の件数と検挙の状況

令和7年(2025年)の県内の刑法犯認知件数は6,265件で、前年比0.8%の増加でした。全国的に見れば小さな数字ですが、減少ではなく微増だったという点は押さえておきましょう。

「治安は年々良くなっている」という一般論から話を始めると、現状を自分で確かめていないことが伝わってしまいます。

同じ年の刑法犯全体の検挙率は58.6%でした。認知された事件の6割近くが検挙まで至っている計算になります。

数字だけを見れば良好ですが、これは自動的に達成されるものではなく、初動の聞き込みや現場鑑識、防犯カメラ画像の追跡といった地道な捜査の積み重ねの結果です。面接で治安を語るときは、検挙という起きたあとの対応と、抑止という起こさせない取組を両方そろえて語れると、仕事の理解の幅が伝わります。

主な罪種の内訳

6,265件を一つの塊のまま覚えても、面接では中身を語れません。主な罪種に令和7年の認知件数を割り振ると、奈良県内で繰り返し起きている犯罪がどれなのかが分かります。

主な罪種(令和7年・認知件数)件数
殺人9件
強盗7件
侵入盗405件
自動車盗25件
ひったくり6件

路上でのひったくりは年間6件、自動車盗も25件と、繁華街型の街頭犯罪はこの県の中心的な課題ではありません。目立つのは侵入盗の405件で、刑法犯全体のおよそ15件に1件を占めます。

住まいや事業所に入り込む盗みをどう防ぐかが、奈良県内の防犯の芯にあるということです。

侵入盗を減らす手立ては派手ではありません。戸締まりの習慣を広げること、留守が続く家や離れた集落の空き家に目を配ること、住民から寄せられた小さな異変を署内で共有することの積み重ねになります。

郡部の人口密度が1平方キロメートルあたり107.6人(令和7年10月1日現在)という県では、そもそも人の目が届きにくい地域が広く存在します。警察官の巡回と、地域の見守りをどう組み合わせるかが問われる領域です。

高齢化の進行と犯罪の被害

奈良県の65歳以上人口は423,173人で、割合は33.21%に達しています(令和7年10月1日現在)。年少人口は10.81%、生産年齢人口は55.98%で、県全体の人口は1年間で10,898人減りました。

減少の主因は出生6,544人に対し死亡17,865人という自然減です。(出典:奈良県推計人口年報|令和7年

高齢の方が一人で判断する場面が増えるということは、電話やSNSで持ちかけられた話を、その場で相談できる相手がそばにいない状況が広がるということでもあります。令和7年の運営指針が、子供・女性・高齢者等の安全確保と、特殊詐欺を含む社会の犯罪抑止を重点に並べていたのは、この人口構成と無関係ではありません。

交通事故の情勢

令和6年中の県内の交通事故死者は23人で、前年から3人減り戦後最少となりました。数字としては大きな前進です。

ただし内訳を見ると、23人のうち14人、およそ6割が高齢者でした。(出典:奈良県の交通情勢|令和6年

事故そのものは減っているのに、命を落とすのは高齢者に集中しています。この形の課題は、取締りの強化だけでは動かしにくいものです。

歩行中や自転車利用中の安全確保、運転を続ける高齢者への働きかけ、家族や地域を巻き込んだ声かけまで含めて、交通の安全確保が運営指針の重点に置かれている理由がここにあります。

訪れる人の多さ

令和6年の奈良県の観光入込客数はのべ約4,362万人で、感染症拡大前の水準に戻りつつあります。訪日外国人の県内訪問者数は約314万人で、これは全国7位の規模です。

住んでいる人が約127万人の県に、その何倍もの人が毎年訪れていることになります。(出典:奈良県の観光データ|令和6年

令和7年の運営指針が、外国人を始めとした観光客等の安全の確保を独立した重点として掲げていたのは、この人の流れが背景にあります。道に迷った人への対応、被害に遭った旅行者からの届出の受理、混み合う社寺周辺の交通整理まで、県外・国外から来る人に向けた仕事が日常的に発生する県だということです。

志望動機で「地元を守りたい」と語る場合も、守る相手のなかに訪問者が含まれている県だと意識しておくと、答えに厚みが出ます。

県内の犯罪統計や交通事故統計は毎年更新され、数値も年ごとに動きます。面接で治安や交通安全に触れる場合は、奈良県警察が公表する最新の統計をあわせてご確認ください。

奈良県の主な治安課題

ここまでの数字を踏まえると、奈良県警察がいま向き合っている課題が見えてきます。面接で「奈良県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

件数の少なさの陰にある身近な犯罪

令和7年の刑法犯6,265件という水準は、全国と比べれば小さな数字です。しかし住民が気にするのは県全体の件数ではなく、自分の住む地区で何が起きたかです。

近所で空き巣に入られたという話は、統計の増減とは比べものにならない速さで不安に変わります。6,265件のうち405件が侵入盗という県で、戸締まりの呼びかけをどこまで行き渡らせるかは、地味に見えて効き目の大きい仕事です。

高齢者を狙う犯罪への対策

令和7年10月時点で65歳以上が33.21%を占める県では、詐欺の被害防止が地域警察の中心的な仕事になっていきます。不審な電話や訪問を受けたときに、それが詐欺かどうかを自分ひとりで見極めなければならない場面は、今後さらに増えていきます。

令和7年の運営指針が社会の犯罪抑止のなかに特殊詐欺への対応を含めていたことからも、組織として重い課題に位置づけられていることが読み取れます。金融機関やコンビニエンスストアと連携した水際の声かけ、家族への注意喚起、被害の手口を地域へ伝える広報まで、対策は一本ではありません。

観光客と外国人住民の安全

令和6年に約4,362万人が訪れ、うち約314万人が訪日外国人という県では、言葉や制度の前提が異なる相手に伝わるまで説明を尽くす場面が日常的に発生します。県の総合戦略によれば、県内の外国人人口も令和6年に17,000人を超え、10年間で約1.6倍に増えました。

増加のほとんどが生産年齢人口です。訪れる人と暮らす人の両方に、必要な情報を届ける手立てが要ります(出典:第3期奈良県まち・ひと・しごと創生総合戦略|奈良県

高齢者に偏る交通死亡事故

令和6年の交通事故死者は戦後最少の23人でありながら、うち14人が高齢者でした。全体を減らす取組が実を結んでいる一方で、亡くなる方の層は動いていないということです。

県内は南部に山岳地帯が広がり、公共交通の選択肢が限られる地域では、高齢になっても運転を続けざるを得ない事情もあります。取締りと啓発だけでなく、地域の移動手段そのものへの目配りまで含めて考えられると、答えに深さが出ます。

直下の活断層による大規模地震への備え

奈良県の地震被害想定で最大級とされているのは、南海トラフではなく内陸の活断層です。奈良盆地東縁断層帯地震(マグニチュード7.5・最大震度7)では、県全体の死者数が最大5,153人、建物全壊が114,209棟(揺れによる被害)と想定されています。

中央構造線断層帯地震では死者4,319人・全壊93,041棟、生駒断層帯地震では死者4,257人・全壊93,543棟です。(出典:都道府県による地震被害想定結果(奈良県)|内閣府

一方、南海トラフの地震(マグニチュード8.7)では県内の最大震度は6弱、死者4人・建物全壊1棟の想定にとどまります。震源が沖合にある海溝型の地震では、内陸に位置する奈良県まで届く揺れが小さく、津波の心配もないためです。

奈良で災害を語るなら、警戒すべきは足元の活断層だという理解が出発点になります。面積の6割超を山地が占める県で、救助の手がどこまで届くのかまで考えられると、備えの話が具体的になります。

重点方針|奈良県警察運営指針

奈良県警察は、その1年間に重点的に取り組む事項を「奈良県警察運営指針」として定めています。令和8年の指針についても、奈良県公安委員会の令和7年12月4日の定例会議で「令和8年奈良県警察運営指針及びサブタイトルについて」の報告が行われたことが、公表されている会議結果から確認できます。(出典:奈良県公安委員会定例会議結果|令和7年12月

受験生が最初にやること

奈良県警察の運営指針は、年ごとに公式サイトの掲載ページが入れ替わり、旧年次のページは残りません。つまり、県警のサイトから最新版を自分で探し当てるところが組織研究の入口になります

他県のように「毎年ここに載る」という決まった場所を当てにできないぶん、最新版を自分で確かめる作業そのものが、志望度の差になって表れると考えてください。面接で運営指針に触れるつもりなら、受験する年の版を必ず自分の目で確認しておきましょう。

直近で確認できる重点の姿

参考として、令和7年の運営指針で重点に置かれていた項目を挙げます。左欄が指針で示された重点、右欄は、その項目が奈良県内のどんな現実と結び付くのかを、当研究会が記事の前半の事実に照らして整理したものです。

重点に置かれた項目(令和7年)県内の情勢に照らした受験生向けの読み方
子供・女性・高齢者等の安全確保県民の33.21%が65歳以上(令和7年10月1日現在)という状況では、詐欺の被害防止や日々の見守りに人手が要る。ストーカーやDV、児童虐待といった人身安全に関わる事案への迅速な対処もここに含まれる
外国人を始めとした観光客等の安全の確保令和6年に約4,362万人が訪れ、訪日外国人の訪問者数は全国7位。道案内から被害の届出の受理まで、県外・国外から来る人に向けた仕事が日常的に発生する
交通の安全確保令和6年の交通事故死者は戦後最少の23人だが、うち14人は高齢者。歩行者や自転車利用者の安全、運転を続ける高齢者への働きかけが柱になる
社会の犯罪抑止(特殊詐欺等を含む)令和7年の刑法犯6,265件のうち侵入盗が405件。戸締まりの呼びかけや巡回といった地道な抑止活動と、特殊詐欺の水際対策が並ぶ

上記は令和7年の運営指針の重点として当研究会が2026年7月時点で確認した項目です。奈良県警察の運営指針は年ごとに掲載が入れ替わるため、受験の際は必ずその年の版を県警公式サイトでご確認ください。なお奈良県全体でも、令和4年策定の「安全・安心の確保のための奈良県基本計画」で、子どもの安全確保、女性の安全、障害者・高齢者の保護、観光客・外国人の安全、犯罪が発生しやすい場所の改善、道路交通の安全、警察組織の基盤強化といった施策の方向が示されています。

POINT|重点の項目名を覚えることが目的ではない

項目名を言えるようになっても、それだけでは面接の会話が続きません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①奈良県で何が起きているか(数字) → ②県警察はどう対処しようとしているか(重点) → ③自分はどの現場で何をしたいか」の順で調べていきましょう。

悪い例「奈良の安全を守れる警察官になりたいです」

改善例「まずは交番の警察官として、地域の方に顔を覚えてもらうところから始めたいです。その上で、奈良は高齢の方が3人に1人という県で、令和6年に交通事故で亡くなった方の6割も高齢者でしたので、お年寄りへの声かけや見守りに力を入れていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。

  • 警察官採用試験の受験案内(試験種目・配点・受験資格・資格加点・申込方法)
  • 採用案内パンフレット・警察官募集ページ(仕事の内容と職員の声)
  • 受験する年の奈良県警察運営指針(掲載場所が年ごとに変わるため、探すところから始める)
  • 奈良県公安委員会の定例会議結果(県警察の運営に関する報告事項が読める)
  • 犯罪統計・交通事故統計のページ(数字は毎年更新されるため最新値を確認)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、奈良県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。奈良県警察の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

奈良県警察の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

奈良県警察の面接の概要

ここからは、奈良県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

奈良県警察の面接の流れ

奈良県警察の警察官採用試験は、第1次試験と第2次試験の2段階で行われます。人物についての面接は口述試験と呼ばれ、第1次試験の口述試験①と、第2次試験の口述試験②の2回に分かれているのが特徴です。

項目内容(令和8年度・第1回・警察官A/A(SPI)/武道A区分)
試験の段階第1次試験 → 第2次試験の2段階
第1次試験(A区分・武道A区分)教養試験・論文試験、体力試験、口述試験①
第1次試験(A(SPI)区分)基礎能力検査(SPI3)・適性検査、体力試験、論文試験、口述試験①
第2次試験(各区分共通)身体検査・適性検査、口述試験②
面接の種類口述試験①・②とも個別面接。受験案内には「警察官となるに適するかどうかについて、個別面接による試験を行います」と記載され、集団討論や集団面接の記載はない
第1次試験の配点教養試験250点(A(SPI)区分は基礎能力検査250点)、論文試験100点、体力試験100点、口述試験①500点(武道A区分は実技試験500点)
第2次試験の配点口述試験②500点
判定方法第1次試験は各試験種目の総合得点、第2次試験は口述試験②の得点及び身体検査の結果で順位を決定。各試験種目(適性検査を除く)の合格基準に一つでも達しない場合は、総合得点が上位でも不合格
資格加点武道・語学・情報処理・財務・国語の5区分から1区分1種類を申請でき、武道・語学・情報処理は各20点、財務・国語は各10点を第1次試験の総合得点に加点(令和8年度から加点対象の武道に空手を追加)
採用予定人員A男性(SPI)12人程度、A女性(SPI)2人程度、A男性27人程度、A女性5人程度、武道A2人程度(各試験区分の併願は不可)
申込方法インターネットによる電子申請のみ(奈良スーパーアプリの住民アカウント)。郵送・持参の出願書類は課されず、受験票は自身で印刷して写真を貼付する

この表で最も注目してほしいのは配点です。第1次試験は教養試験250点・論文試験100点・体力試験100点に口述試験①の500点を加えた構成で、面接ひとつが残りの種目の合計を上回ります。

ここに第2次試験の口述試験②500点が続くため、口述試験①と②を合わせた1000点が、この試験で最も大きな比重を占めます。筆記の出来に自信が持てない人にも、面接の準備の質しだいで道が開かれている試験だということです。

もうひとつ見落とせないのが判定の仕組みです。各試験種目には合格基準があり、一つでも下回れば総合得点が上位でも不合格になります。

面接で高得点を取れば体力試験の不足を埋められる、という考え方は通用しません。論文試験も体力試験も、それぞれ基準を越える準備が要ります。

なお論文試験は60分で、字数は公表されていません。

あわせて、第1回試験と第2回試験というかたちで年に複数回の実施が続いてきた点も押さえておきましょう。区分によって課される種目が異なるため、自分が受ける区分の情報を取り違えないことが大切です。

上記の試験構成は、奈良県警察が公表した令和8年度警察官(第1回)採用試験の受験案内にもとづく警察官A・A(SPI)・武道A区分のものです。警察官B区分など、ほかの区分や回では種目・配点が異なります。また面接カードや自己PRシートといった提出書類の有無は受験案内に記載がなく、当研究会では確認できませんでした。試験の構成・日程・配点等は年度や受験区分によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。(出典:警察官採用試験受験案内|令和8年度第1回

奈良県警察が求める人材

奈良県警察は、令和8年度の受験案内のなかで「求める人物像」にあたる文言を掲げていません。代わりに置かれているのは、職務の内容そのものの説明です。

県民の生命・身体・財産を守ること、犯罪の予防・鎮圧・捜査、被疑者の逮捕、交通の取締りといった仕事が並びます。

手がかりになるのは、運営指針が守るべき相手を具体的に名指ししている点です。子供、女性、高齢者、そして外国人を始めとした観光客。

誰を守る組織なのかが、抽象語ではなく人の顔で示されているところに、奈良県警察の性格が表れています。求められているのは特別な経歴ではなく、こうした相手に届く距離で働き続けられるかどうかです。

自己PRを組み立てるときは、年齢や立場の違う相手に自分から関わった経験、相手に伝わるまで説明の仕方を変えた経験、すぐに結果の出ない取組を続けた経験など、指針が名指しした相手との関わりに重なる自分の行動を、具体的な場面で示すことが軸になります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。奈良県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日は会場まで、どちらから来られましたか?構えていない場面のやり取りに、話しぶりの自然さと落ち着きが表れます
② 動機・志望就職先として警察官を選んだ決め手は何でしたか?ほかの進路と比べたうえでの職業理解の深さと、選択の理由の一貫性
③ 自己理解ご自身の短所は何だと思いますか。どう向き合っていますか?自分を客観視できているか。弱点を放置せず手を打つ姿勢があるか
④ 経験・行動チームで取り組んだ経験を、あなたの役割とあわせて教えてください成果の大きさではなく、集団のなかで実際にとった行動の事実
⑤ 学業・経歴学校で力を入れて学んだことを教えてください自分の選択の理由を、借り物でない言葉で説明できるか
⑥ 適性・将来寮生活や交替制の勤務について、どのように考えていますか?働き方への理解と、体力面や生活面での備えの度合い
⑦ 公共性・社会性最近の事件や社会の出来事で、関心を持ったものはありますか?社会に対する関心の持ち方と、県民を守る仕事への当事者意識

ただし、この7カテゴリーは奈良県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。多くの受験者が対策してくる領域なので、ここで大きな差はつきません。

なお、警察官の採用面接では、規律ある集団生活への適応や、危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問がされることがあります。そうした質問が存在すると知っておくだけでも、当日の落ち着きが変わります。

差がつくのは奈良の事情を踏まえた質問

「大阪や京都の警察を受ける人も多いなかで、なぜ奈良県警察なのですか?」
「奈良県の治安について、いま一番気になっていることは何ですか?」

どちらも、奈良県の現状と県警察の方針を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「奈良県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい奈良県警察の事実答え方のヒント
治安の現状令和7年の刑法犯認知件数は6,265件で前年比0.8%増、検挙率は58.6%。管轄人口は約127万人件数の少なさで話を終えず、6割近い検挙率がどんな捜査の積み重ねで保たれているのかまで想像を伸ばすと、統計を自分で読んだ跡が残ります
身近な犯罪への対策令和7年の侵入盗は405件で刑法犯のおよそ15件に1件。ひったくりは6件、自動車盗は25件繁華街型の街頭犯罪より住まいをねらう盗みが柱だと押さえ、鍵かけの習慣を人の目が届きにくい地域までどう広げるかに話を伸ばしましょう
高齢者の安全65歳以上が33.21%(令和7年10月1日現在)。令和6年の交通事故死者23人のうち14人が高齢者死者数が戦後最少になってなお高齢者に偏る点を押さえ、取締りだけでなく声かけや家族への働きかけまで触れると、奈良の事情に沿った答えになります
観光客・外国人の安全令和6年の観光入込客数は約4,362万人、訪日外国人の訪問者数は約314万人で全国7位。運営指針も観光客等の安全確保を重点に掲げてきた守る相手に県外や国外から来る人が含まれる県だと言い添え、道案内や被害の届出といった場面まで具体化すると、奈良県警察を選ぶ理由につながります
災害への備え奈良盆地東縁断層帯地震で死者最大5,153人・建物全壊114,209棟の想定。南海トラフでは最大震度6弱にとどまる海のない県でも足元の活断層が最大の脅威だと押さえ、山間部の集落が孤立した場面での救助活動や道路の確保まで話すと、奈良で受ける意味が伝わる答えになります

使い方のコツは、5つすべてを頭に入れることではありません。志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「調べた数字 → 自分が気になった点 → 現場でやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、運営指針が名指しした守るべき相手と、受験案内に並ぶ職務の内容に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
守る相手に届く距離感年齢や立場が違う相手にも、自分から近づいて関わることができるか県内の65歳以上人口は42万人を超え、令和6年の交通事故死者23人のうち14人が高齢者でした。年配の方と接した場面を思い出し、相手の反応を見て自分が何を変えたのかを、具体的なやり取りごと用意しておきましょう
前提の違う相手への説明力言葉や知識の前提を共有していない相手に、伝わるまで工夫できるか令和6年に約4,362万人が訪れ、うち約314万人が訪日外国人という県です。相手が分からないまま話を進めずに済ませた経験を、使った工夫とあわせて話せるようにしておきましょう
結果が見えにくい仕事への粘り成果がすぐ出ない取組にも、手を抜かずに向き合い続けられるか令和7年に405件あった侵入盗を減らす仕事は、目立たない巡回と地道な防犯指導の積み重ねです。半年、1年と続けたことを一つ選び、なぜ途中でやめなかったのかまで言葉にしておきましょう

評価の観点の3項目は、奈良県警察の運営指針と受験案内の記載をもとに、当研究会が面接対策用に整理したものです。県警察が公表している評価基準ではありません。

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の受験案内を読み、自分が受ける区分の種目と配点、受験資格を確認する。申込は奈良スーパーアプリの住民アカウントによる電子申請だけなので、アカウントの用意も早めに済ませておく
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事から、自分がとった行動を具体的に話せる出来事を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で言い直しておく。あわせて受験する年の運営指針を県警公式サイトで探し、重点に置かれた項目を確かめる
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「調べた数字 → 気になった点 → 現場でやりたいこと」の一続きの話に編む。ここで整理した奈良県の治安課題は、60分の論文試験の下地にもなる
  6. 実際に口に出してリハーサルする。口述試験は第1次と第2次で計2回あるため、1回目で話した内容と2回目の受け答えが食い違わないよう、自分の話の芯を先に決めておく。あわせて、体力試験と身体検査に向けた体づくりと生活リズムづくりを並行して進める

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。口述試験が2回ある試験では、自分について語る材料が薄いほど、2回目で言葉が尽きます

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、奈良県警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

奈良県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。口述試験を2回くぐる試験では答えの一貫性が問われるため、想定される問いを先に書き出しておく作業が効いてきます。

奈良県警察の想定問答集を見る

さいごに

奈良県警察の採用試験は、第1次試験の口述試験①が500点、第2次試験の口述試験②が500点で、面接に置かれた1000点が最も大きな比重を占めます。同時に、各試験種目には合格基準があり、どれか一つでも下回れば総合得点では取り返せません。

面接だけを磨けば通る試験でも、筆記だけで決まる試験でもない、ということです。

県内の刑法犯は令和7年に6,265件と多くはなく、検挙率は58.6%。その一方で、令和7年10月時点の65歳以上の割合は33.21%に達し、令和6年には約4,362万人の観光客が訪れ、足元には最大震度7の揺れをもたらす活断層が走っています。

この条件のなかで、誰の安全をどう守る警察官になりたいのか。奈良の街や人を見てきて感じたことと、この記事に並べた数字が重なる場所を探すところから、志望動機を組み立ててみてください