本記事では、京都府警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、京都府警察の特徴・基礎データ・府内の治安情勢・重点方針・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
京都府警察の面接試験では、「なぜ京都府警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。府内の治安の現状と京都府警察が掲げる方針を押さえておけば、どこの受験先でも通用するような一般論ではなく、京都で働く自分を前提にした説明ができるようになります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と京都府警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|組織研究編
京都府警察の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは京都府警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 京都府全域を管轄し、管轄人口は約250万人。府内で唯一の警察組織として、市街地から日本海沿岸、山あいの集落までをひとつの本部で受け持つ。
- 府域は南北に細長く、ほぼ中央の丹波山地を境に気候が日本海型と内陸型に分かれる。北は丹後・中丹のリアス式海岸、南は桂川・宇治川・木津川が合流する山城盆地で、地域ごとに暮らしの姿も警察需要も大きく異なる。(出典:京都府の紹介|京都府公式)
- 組織は、警察本部の7部(総務部・警務部・生活安全部・地域部・刑事部・交通部・警備部)に加え、サイバー対策本部、京都市を受け持つ京都市警察部、警察学校、そして府内各地の警察署で構成される。
- 令和6年の観光入込客数は8,425万人(対前年比112%)で、府の人口の30倍を超える延べ人数が1年間に府内を訪れている計算になる。観光消費額も2兆581億円(同124%)に達した。(出典:京都府観光入込客調査|令和6年)
- 府内の刑法犯認知件数は令和7年に12,398件(前年比2.8%増)、検挙率は48.2%。
- 高齢化率は29.8%(令和6年)で、全国平均29.3%との差は0.5ポイント。内閣府の推計では令和32年に38.5%へ達する見込みで、子どもや高齢者を守る活動の比重は今後さらに増していく。
- 令和8年の業務運営方針は「京都平安策2026」で、基本姿勢に「力強く頼りがいのある警察」を掲げている。
- 北の玄関口である京都舞鶴港は日本海側拠点港に選ばれ、南では北陸新幹線を京都駅経由で新大阪へつなぐ延伸計画が進むなど、人と物の流れが変わる要素も抱えている。
京都府警察の基礎データ
面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「京都府警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、管轄人口、管轄区域の広さ、組織の構成、犯罪情勢など、組織の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 管轄人口 | 約250万人(令和7年国勢調査速報で2,502,747人) |
| 管轄区域 | 京都府全域(面積4,612.21平方キロメートル・全国31番目) |
| 本部所在地 | 京都市上京区 |
| 組織の構成 | 警察本部7部(総務・警務・生活安全・地域・刑事・交通・警備)/サイバー対策本部/京都市警察部/警察学校/府内各地の警察署 |
| 刑法犯認知件数 | 12,398件(令和7年・前年比2.8%増) |
| 刑法犯検挙率 | 48.2%(令和7年) |
| 管内の高齢化率 | 29.8%(令和6年・全国平均29.3%) |
| 年間観光入込客数 | 8,425万人(令和6年・対前年比112%) |
管轄人口は令和7年国勢調査の速報集計(令和7年10月1日現在)、面積と全国順位は京都府公式「京都府の紹介」、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)・検挙率は令和7年の犯罪統計の確定値、高齢化率は内閣府「令和7年版高齢社会白書」、観光入込客数は京都府観光入込客調査(令和6年)にもとづく数値です。警察署・交番の数や職員定数は公表値が年ごとに更新されるため、最新の京都府警察の組織案内でご確認ください。(出典:国勢調査速報集計|令和7年)
数字から考えられる治安課題
京都府警察の特殊性は、住んでいる人の数と、訪れる人の数のギャップにあります。管轄人口は約250万人ですが、令和7年の国勢調査速報では5年間で2.9%減っています。
一方で、令和6年に府内を訪れた観光客は延べ8,425万人にのぼりました。定住人口は減っているのに、街に出ている人の数は増えているという組み合わせです。
この構造は、警察の仕事の中身にそのまま跳ね返ります。住宅街での防犯や高齢者の被害防止といった地域密着の活動と、人が密集する場所の雑踏警備や観光地の交通対策とを、同じ人員で並行して進めなければなりません。
住んでいる人の安全と、訪れる人の安全を同時に引き受けている点が、京都府警察の立ち位置を理解する鍵になります。
たとえば面接では、京都府の治安の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
京都府の治安情勢
刑法犯認知件数と検挙率
府内の刑法犯認知件数は、令和7年に12,398件(前年比2.8%増)となり、前年を上回りました。面接で「治安は年々良くなっていますよね」と口にしてしまうと、直近の数字を見ていないことがすぐ伝わります。
まずは「増えている」という現在地から話を始めてください。
あわせて押さえたいのが検挙の状況です。刑法犯全体の検挙率は48.2%(令和7年)で、認知した事件のおよそ半分を検挙している水準です。
認知件数が伸びれば捜査の負担も重くなるため、この水準を保つこと自体が現場の努力の上に成り立っています。面接では、検挙(起きた犯罪への対応)と抑止(犯罪を発生させない取組)の両輪で治安を語れると、仕事理解の深さが伝わります。
主な罪種の内訳
総数だけでなく、どの犯罪が多いのかまで見ておくと、志望動機の解像度が上がります。令和7年の主な罪種の認知件数は次のとおりです。
| 罪種 | 認知件数(令和7年) |
|---|---|
| 殺人 | 7件 |
| 強盗 | 24件 |
| 侵入盗 | 421件 |
| 自動車盗 | 61件 |
| ひったくり | 8件 |
上記は令和7年の犯罪統計(確定値)による主な罪種の認知件数です。
目を引くのは侵入盗の421件です。ここに挙げた罪種の中では突出しており、殺人や強盗とは件数の桁がひとつ以上違います。
住宅や店舗という生活の場そのものが狙われているということです。京都平安策2026が市町村や地域住民、事業者と連携した防犯カメラの設置促進を掲げているのも、こうした身近な犯罪を減らすためです。
人が集まる街ならではの情勢
令和3年の経済センサス活動調査では、府内の民営事業所は11万564事業所ありました。産業別では卸売業・小売業が23.7%で最多、次いで宿泊業・飲食サービス業が12.5%を占めます。
人が行き交う商業・観光関連の事業所が厚いということは、繁華街や観光地での街頭活動、酔客をめぐるトラブル対応、深夜帯の見回りといった仕事の比重が高いということでもあります。(出典:経済センサス活動調査|令和3年)
交通面でも同じことが起きています。京都平安策2026は、観光需要の増加にともなう観光地の渋滞緩和を関係機関と連携して進めること、歩行者優先で分かりやすい交通規制を実施することを明記しました。
狭い道路に観光客と生活車両と自転車が入り混じる状況をどう整理するかは、京都府警察の交通部門が抱える固有の宿題です。
特殊詐欺とサイバー空間の脅威
京都平安策2026は、特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺の被害状況を「深刻」と位置づけ、手口や被害者の特徴、発生地域や時間帯を分析したうえで、これまで講じた対策の効果を確かめて絶えず見直しながら、官民一体で取り組む方針を打ち出しています。あわせて、SNSなどで実行役を募る犯罪実行者募集情報に応じようとする人への呼びかけと、脅されている人の保護も重点に置かれました。
詐欺は「だまされる側」だけでなく「加担してしまう側」への働きかけまで含む仕事だ、という理解があると、志望動機に厚みが出ます。
サイバー分野では、京都府警察が本部組織としてサイバー対策本部を置いている点が特徴です。高度な知識を持つ人材の採用と捜査員の育成、解析資機材の充実による態勢拡充が方針に掲げられており、医療・金融・教育などの重要インフラ事業者と連携した防御力の向上も進められています。
情報系の学部や資格、プログラミングの経験がある人にとっては、自分の背景と組織の課題を最短で結び付けられる分野です。
京都府の主な治安課題
ここまでの数字と方針を踏まえると、京都府警察が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「京都府の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
増加に転じた刑法犯と、身近な犯罪の抑止
刑法犯認知件数が令和7年に12,398件(前年比2.8%増)へ増えたことは、統計上の変化にとどまりません。近所で空き巣があったという話は、統計の数字より速く「この街は大丈夫か」という不安に変わります。
主な罪種の中で侵入盗が421件と目立つことを踏まえると、起きた事件を確実に検挙することに加えて、防犯カメラの設置促進や地域のパトロールのように、犯罪を起こさせない環境をつくる取組が同じ重みを持ちます。
特殊詐欺と匿名・流動型犯罪グループ
特殊詐欺やSNS型投資・ロマンス詐欺の背後には、SNSで実行役を集めて犯行を繰り返す匿名・流動型犯罪グループの存在があります。指示役は匿名の陰に隠れ、末端の実行役は短期間で入れ替わるため、実行役を捕まえただけでは被害が止まりません。
京都平安策2026は、中核的な人物の検挙と犯罪収益の剝奪に加えて、犯罪収益を元手にした風俗店経営などの実態を踏まえて資金の流れを解明し、資金源を断つところまで一体で進めるとしており、被害防止と取締りが表裏の関係にあることがわかります。
サイバー空間における脅威
投資詐欺もロマンス詐欺も、入口はSNSやインターネットです。相手の顔が見えないまま被害が広がり、気づいたときには手がかりが乏しいことも珍しくありません。
京都府警察がサイバー対策本部という独立した本部組織を持ち、人材の採用・育成と資機材の充実を方針に明記しているのは、この領域の重さの表れです。企業へのサイバー攻撃対策や、府民のネットトラブル被害防止の広報まで、活動の幅は広がっています。
高齢化の進行と、子ども・高齢者の安全
京都府の高齢化率は令和6年時点で29.8%、65歳以上人口は75万2千人にのぼり、内閣府の推計では令和32年に38.5%まで上がると見込まれています。京都平安策2026が推進重点の第一に子ども・女性・高齢者の安全確保と犯罪被害者支援を置いたのは、この人口構成と無関係ではありません。
通学路や生活道路での横断歩行者妨害の取締り、ゾーン30プラスによる安全な交通環境の整備、見守り活動といった地道な仕事が、そのまま被害の未然防止につながります。(出典:高齢社会白書|令和7年版)
大規模災害と緊急事態への備え
府が実施した地震被害想定調査で、最も大きな被害が見込まれているのが花折断層帯地震です。京都市北区・上京区・左京区などの一部で最大震度7、市街地から山城地域にかけて震度6強となり、冬の18時に発生した場合の死者は約4,600人、建物の全壊は約11万棟、発災直後の避難者は約24万人と想定されています。
京都平安策2026も、訓練による対処能力の底上げ、装備資機材の整備、自治体消防や消防団と連携した救出救助体制の早期確立、そして孤立化対策を含めた活動の高度化を掲げました。山間部や海岸部を抱える府だからこそ、孤立させない備えが具体的な論点になります。(出典:京都府地震被害想定調査報告書|令和5年度)
背景として、府の総合計画が少子高齢化と人口減少による地域社会の衰退を構造的な課題に挙げていることも押さえておきましょう。担い手が減る地域では、自主防犯・自主防災の活動そのものが細っていきます。
警察が地域と連携する取組を語るときは、その連携相手も高齢化しているという現実まで見えていると、話の説得力が変わります。(参考:京都府総合計画(概要版)|令和5年策定)
重点方針|京都平安策2026
京都府警察は、毎年の業務運営方針を「京都平安策」という名称で策定しています。令和8年(2026年)の方針が「京都平安策2026」で、京都府公安委員会の承認を得て令和7年11月21日に本部長から各所属長へ通達されました。(出典:京都平安策2026|令和8年)
方針を貫く考え方
基本姿勢に据えられたのは「力強く頼りがいのある警察」という一文です。方針の本文は、この一文を二段構えで説明しています。
力強さにあたるのは、府民の安全・安心を脅かす事件・事故・災害に正面から向き合い、守り切る姿勢。頼りがいにあたるのは、安全・安心についての府民の幅広い要望を的確に酌み取り、犯罪や事故に巻き込まれやすい子ども・女性・高齢者や、被害に遭われた方の思いに応えられる姿勢です。
さらに、生成AIをはじめとする先端技術の発展、自然災害の激甚化と頻発化、観光をめぐる諸問題の顕在化といった社会の変容を挙げ、機を逃さず先手の対策を講じることが必要だと述べています。「強い警察官」だけでも「優しい警察官」だけでも足りず、変化に合わせて自分のやり方を更新できる人が求められている、と読み替えられます。
面接で「どんな警察官になりたいか」を考えるときの軸になる言葉です。
7つの推進重点
京都平安策2026は、次の7つを推進重点に掲げています。あわせて、それぞれが指す内容を受験生向けに当研究会の言葉でかみ砕きました。
| 推進重点(公式の項目名) | 受験生向けの解説 |
|---|---|
| ① 子供、女性、高齢者等の安全確保と犯罪被害者支援の推進 | 児童虐待・ストーカー・DVなど命に関わる事案の兆候を早い段階でつかんで保護する。通学路や生活道路の交通安全対策、被害に遭った方への継続的な支援もここに入る |
| ② 犯罪から府民を守るための取組の推進 | 特殊詐欺とSNS型投資・ロマンス詐欺の被害防止、実行役の募集に応じようとする人への呼びかけ、市町村や事業者と連携した防犯カメラ設置など地域防犯力の強化 |
| ③ 安全で快適な交通社会の実現 | 自転車や特定小型原動機付自転車のルール周知と取締り、事故要因の分析に基づく交通安全教育、観光地の渋滞緩和と歩行者優先の交通規制 |
| ④ サイバー空間における脅威への対策の推進 | サイバー人材の採用と捜査員の育成、解析資機材の充実、医療・金融・教育など重要インフラ事業者と連携した防御力の向上 |
| ⑤ 重要凶悪事件と組織犯罪の徹底検挙 | 詐欺グループの中核的人物の検挙と犯罪収益の剝奪、匿名・流動型犯罪グループの実態解明、初動捜査と科学捜査の徹底 |
| ⑥ 緊急事態等への的確な対処 | 激甚化する自然災害への対処能力の向上と消防・消防団との連携、テロ対策と要人警護の強化、技術・情報の流出を防ぐ経済安全保障の取組 |
| ⑦ 社会情勢の変化に対応するための組織づくり | 先端技術の導入と業務の効率化、専門性の高い人材の確保と育成、女性職員をはじめすべての職員が働きやすい職場環境づくり |
面接では、自分の取り組みたい仕事がこの7つのどこに位置づくのかを一言添えられるだけで、組織の方向性を踏まえた志望だと伝わります。各推進重点の下に置かれた設定趣旨の全文は、京都府警察の公式ページで確認できます。
POINT|7つの推進重点をすべて暗記しなくてよい
項目名を丸暗記することが組織研究の目的ではありません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①府内で何が起きているか(数字) → ②京都府警察はどう対処しようとしているか(推進重点) → ③自分はどの現場で何をしたいか」の順にたどれば、志望動機は自然とつながります。
悪い例「京都の安全を守れる警察官になりたいです」
改善例「まずは地域警察官として、交番の仕事を一つずつ覚えていきたいです。その上で、昨年は府内の侵入盗が400件を超えていましたので、住宅の戸締まりの呼びかけや、地域の方と一緒に行う見回りに力を入れていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。
- 警察官採用試験の受験案内(試験の段階・種目・配点・身体基準・資格加点)
- 京都府警察の採用情報ページと採用パンフレット(職務内容と職員の声)
- 京都平安策2026(基本姿勢と7つの推進重点、設定趣旨の全文)
- 京都府の犯罪統計・交通事故統計のページ(数字は毎年更新されるため最新値を確認)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、京都府警察専用の面接想定問答集をご用意しています。京都府警察の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
京都府警察の面接の概要
ここからは、京都府警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
京都府警察の面接の流れ
京都府警察の警察官採用試験は、京都府人事委員会と京都府警察本部が共同で実施し、第1次試験と第2次試験の2段階で行われます。種目と配点の全体像は、次の表のとおりです。
| 項目 | 内容(令和8年度第1回・警察官) |
|---|---|
| 試験区分 | 男性A・女性A(大学卒)/男性B・女性B(A区分以外) |
| 試験の段階 | 第1次試験(筆記試験と口述試験等) → 第2次試験(身体検査・個別面接)の2段階 |
| 第1次試験の配点 | 250点(教養試験100点・口述試験100点・体力試験40点・資格加点10点) |
| 第2次試験の配点 | 400点(口述試験300点・作文試験100点。作文は第1次試験で実施したものを第2次で採点) |
| 面接の種類 | 第1次=集団討論(補足質問を含む)/第2次=個別面接 |
| 人物試験の配点 | 第1次100点+第2次300点=400点(全体650点) |
| 面接カード | 第1次・第2次の口述試験の資料。第1次筆記試験の会場へ持参し、集合時間直後に回収。未提出は棄権扱い |
| 作文試験 | 1時間・100点。文章表現力をみる種目として第1次試験で実施 |
| 体力試験 | 握力・上体起こし・反復横跳び・腕立て伏せの4種目(40点)。令和8年度に20mシャトルランを廃止 |
| 身体基準 | 視力は両眼とも裸眼0.6以上または矯正1.0以上。第2次で医療機関の検査書を提出 |
この表から読み取ってほしい点が三つあります。一つ目は配点です。
全体650点のうち400点が口述試験に配分されており、比重は6割を超えます。教養試験100点との差は歴然で、筆記の出来だけで合否が決まる試験ではありません。
二つ目は順番です。集団討論は第2次試験ではなく第1次試験で実施されます。
筆記の合格発表を待ってから対策を始めるという段取りは、そもそも成り立ちません。社会性・論理性・指導力・表現力をみる種目だと明示されているので、人の話を受けて自分の意見を組み立てる練習は、教養試験の勉強と並行して進めてください。
三つ目は面接カードの提出タイミングです。第1次筆記試験の会場に持参し、集合時間の直後に回収されます。
しかも令和8年度からは、従来の面接カード1と面接カード2が「面接カード」に統合されました。書き上げるのは筆記直前の時期になるため、志望動機や自己PRの骨格は、筆記対策の山場より前に固めておくのが安全です。
上記の試験構成は、京都府人事委員会・京都府警察本部が公表する令和8年度第1回警察官採用試験の受験案内にもとづくものです。なお、集団討論のテーマや所要時間、個別面接の時間・面接官の人数といった詳細は「合格者等に別途通知する」とされており、受験案内には掲載されていません。試験の構成・種目・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。(出典:警察官採用試験受験案内|令和8年度第1回)
京都府警察が求める人材
京都府警察の場合、令和8年度の受験案内にも採用情報ページにも、「求める人物像」を定式化した記載は置かれていません。掲載されているのは職務内容の説明までです。
手がかりになるのは、京都平安策2026の基本姿勢「力強く頼りがいのある警察」という言葉になります。
この一文を面接対策の言葉に置き換えると、組織が期待しているのは三つの資質です。危険や困難から目をそらさずに向き合う行動力、被害に遭った人や不安を抱える人の側に立てる受け止める力、そして社会の変化に合わせてやり方を見直せる柔軟さ。
いずれも特別な経歴を要求するものではなく、これまでの生活の中で実際にとった行動で示せるものです。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。京都府警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 試験会場までは、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | 民間企業ではなく、なぜ警察官なのですか? | 他の進路と比べたうえでの職業理解の深さと、選択の理由の一貫性 |
| ③ 自己理解 | ご自身の長所と短所を教えてください | 自分を客観視できているか。短所への向き合い方まで語れるか |
| ④ 経験・行動 | これまでに壁にぶつかった経験を教えてください | 実績の大きさではなく、実際にとった行動の事実と、そこから学ぶ姿勢 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に力を入れた勉強は何ですか? | 自分の選択を順序立てて話せるか。関心の持続性 |
| ⑥ 適性・将来 | 体力に自信はありますか? | 交替制勤務や訓練に耐える体力の裏づけと、日頃の健康管理の習慣 |
| ⑦ 公共性・社会性 | 警察官に最も必要な資質は何だと思いますか? | 職業観の成熟度と、府民を守る仕事への当事者意識 |
ただし、この7カテゴリーは京都府警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
なお、警察官の採用試験では、規律ある集団生活への適応や、危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問がされることがあります。そうした質問が存在すると知っておくだけでも、当日の落ち着きが変わります。
合否を分けるのは「京都府警察ならでは」の質問
どちらも、京都府の現状と府警察の方針を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
こうした質問に答えるための「京都府警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい京都府警察の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 治安の現状 | 刑法犯認知件数は令和7年に12,398件で前年比2.8%増。検挙率は48.2%で、主な罪種では侵入盗が421件と多い | 増えているという事実と、半分近くを検挙しているという事実の両方に触れると、統計を一面だけで読んでいない印象になる |
| 志望動機・やりたい仕事 | 京都平安策2026の基本姿勢は「力強く頼りがいのある警察」。子ども・女性・高齢者の安全確保から組織づくりまで7つの推進重点を掲げる | やりたい仕事が7つの推進重点のどこに当たるかを一言添えると、方針を読んだうえでの志望だと伝わる |
| 観光地の安全 | 令和6年の観光入込客数は8,425万人・消費額2兆581億円。推進重点③には観光地の渋滞緩和と歩行者優先の交通規制が明記されている | 「京都といえば観光」で止めず、渋滞の緩和や人が密集する場所の安全という警察の役割まで具体化する |
| 府内の地域差 | 府域は南北に細長く、丹波山地を境に日本海型と内陸型に気候が分かれる。北は丹後・中丹のリアス式海岸、南は山城盆地の市街地 | 配属先は市街地とは限らない。北部の海沿いや中山間地域で働く自分まで想像できていると、勤務地に関する質問への答えが具体的になる |
| 災害への備え | 花折断層帯地震は最大震度7、冬18時のケースで死者約4,600人・全壊約11万棟・避難者約24万人を想定 | 推進重点⑥の孤立化対策や消防団との連携まで踏み込むと、京都の地形を踏まえて考えていることが伝わる |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 警察官としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、基本姿勢が示す組織の価値観に照らして、「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 力強さ=困難から逃げない行動力 | 苦しい状況で自分がどう動いたか、途中で何を変えたかを具体的に聞かれる | 体力試験は4種目40点で課される。体づくりを続けている習慣と、苦しい場面で投げ出さなかった経験を一組で用意しておく |
| 頼りがい=相手の側に立つ姿勢 | 年齢や立場の違う相手に、どう合わせて動いたかを聞かれる | 高齢化率29.8%(令和6年)の府で、高齢者の被害防止は推進重点の一番目。年上の人と関わった場面を思い出し、何を変えて接したかまで言葉にする |
| 柔軟さ=変化に合わせて更新する力 | 状況が変わったときに、自分から工夫したかを聞かれる | 京都平安策2026は生成AIなど先端技術の発展を前提に置いている。やり方を途中で見直した経験を一つ選び、見直した理由を説明できるようにする |
評価の観点の3項目は、京都平安策2026の基本姿勢をもとに当研究会が面接対策用に翻訳したものです。京都府警察が公表している人物像ではありません。
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の受験案内を読み、試験の段階と配点、体力試験の種目、面接カードの記入項目を確認する。面接カードは第1次筆記試験の会場で回収されるため、記入を先送りしない
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事から、自分がとった行動を具体的に話せる出来事を一つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 組織研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、京都平安策2026の推進重点のうち関心のある項目と、それに対応する府内の数字を選び出す
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出してリハーサルする。個別面接の練習に加えて、第1次で行われる集団討論に備え、他の人の意見を受けてから自分の考えを述べる練習を入れる。あわせて握力・上体起こし・反復横跳び・腕立て伏せを日々のトレーニングに組み込み、体づくりと生活リズムづくりを並行して進める
優先順位に注意
ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で組織の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、京都府警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
京都府警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。京都府警察は集団討論と個別面接の両方に備える必要があるため、限られた時間をどこに割くか迷ったときの土台としてもご活用いただけます。
さいごに
京都府警察の採用試験は、650点のうち400点が口述試験に置かれ、しかも集団討論は第1次試験の段階で行われます。筆記の結果を見てから人物対策に取りかかる余裕はなく、裏を返せば、早い段階で自分を語る準備に時間を割いた人がそのまま有利になる試験です。
基本姿勢の「力強く頼りがいのある警察」という言葉も、暗記するために読むのではなく、自分のどの経験がその二つに重なるのかを探すために使ってください。府内には、観光地を抱える市街地も、日本海に面した港町も、山あいの集落もあります。
そのどこに立つ自分も思い描けたとき、志望動機は借り物でない言葉になります。