本記事では、和歌山県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、和歌山県警察の特徴基礎データ県内の治安情勢令和8年の重点目標面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

和歌山県警察の面接試験では、「なぜ和歌山県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。和歌山県の治安の現状と県警察の方針を知っておくことで、抽象的な回答を避け、この県の事情に即した説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と和歌山県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|組織研究編

和歌山県警察の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは和歌山県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 和歌山県全域を管轄し、管轄人口は約87万人。南北に長く伸びる県土の全域を、ひとつの警察組織で受け持っている。(出典:和歌山県人口調査|令和7年4月1日現在
  • 県警本部は和歌山市小松原通に置かれ、警務部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部の各部門と、県内各地の警察署が第一線の活動を担っている。
  • 県土の面積は4,726.29平方キロメートルで全国30位。その80%は紀伊山地で、傾斜が30度を超える土地が県全土の70%にのぼる。海と山が迫り合い、住まいのまとまりが細かく散らばる地形が、パトロールにも初動にも影響する
  • 令和7年(2025年)の刑法犯認知件数は3,946件で、前年から2.9%減少した。検挙率は65%で、認知された事件のおよそ3件に2件が検挙に結び付いている計算になる。
  • 県人口は1997年に減少へ転じ、29年連続で減り続けている。直近1年の減少数は12,268人、65歳以上の割合は33.9%である。
  • 産業の柱は果樹で、農業産出額1,135億円のうち果実が790億円。みかん・うめ・かき・ハッサクの収穫量は全国1位である。一方、臨海部には化学・鉄鋼・石油の基礎素材型産業が集まる。
  • 令和6年の観光入込客数は約3,273万人(前年比102.5%)、外国人宿泊客数は510,293人泊で過去最高。県内人口の何十倍もの人が1年のうちに訪れている。
  • 令和8年の組織の方針は、運営指針「県民の期待と信頼に応える強さと優しさを兼ね備えた警察」の下に8つの重点目標を置く構成になっている。前年からは「匿名・流動型犯罪グループ」の明記と、「第49回全国育樹祭」に伴う大規模警衛が加わった。

和歌山県警察の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「和歌山県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、管轄する県土と人口、本部の組織、犯罪情勢など、組織の置かれた環境を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
管轄区域和歌山県全域
管轄人口約87万人(令和7年4月1日現在の県推計人口で872,359人・1年間で12,268人減)
管轄面積4,726.29平方キロメートル(全国30位。県土の80%を紀伊山地が占める)
県警本部の所在地和歌山市小松原通
本部の組織警務部・生活安全部・刑事部・交通部・警備部(ほかに県内各地の警察署)
刑法犯認知件数3,946件(令和7年・前年比2.9%減)
刑法犯検挙率65%(令和7年)
管内の高齢化率33.9%(令和7年1月1日現在・65歳以上305,432人)
管内の世帯数395,175世帯(令和7年4月1日現在・1世帯当たり2.21人)
令和8年の重点目標8項目(運営指針「県民の期待と信頼に応える強さと優しさを兼ね備えた警察」の下に設定)

管轄人口と世帯数は和歌山県人口調査(令和7年4月1日現在)、高齢化率は住民基本台帳にもとづく高齢者人口(令和7年1月1日現在)、面積は国土地理院「全国都道府県市区町村別面積調」、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)と検挙率は令和7年(2025年)の犯罪統計の確定値にもとづきます。警察署・交番・駐在所の設置数や職員数は本記事では取り上げていないため、必要な方は和歌山県警察の公表資料をご確認ください。(出典:和歌山県の高齢者人口|令和7年1月1日現在

数字から考えられる治安課題

和歌山県の刑法犯認知件数は、令和7年に3,946件。前年から2.9%減っており、件数だけを見れば落ち着いた方向に動いています。

ところが同じ1年間で県の人口は12,268人減りました。65歳以上の割合は33.9%で、県民のおよそ3人に1人が高齢者です。

事件の総数は減っていく一方で、守る相手は年々高齢になり、1世帯の人数も前年より減っている。これが、いまの和歌山県警察が置かれている状況です。

もうひとつ見ておきたいのが検挙率です。令和7年の刑法犯全体の検挙率は65%で、起きた事件を捜査で解決する力は保たれています。

だとすれば、この県で残る伸びしろは検挙よりも抑止の側にあります。実際、令和6年中に県内で最も件数の多かった街頭犯罪である自転車盗は、街頭犯罪全体が減るなかで前年より増えています。

面接で県内の治安について聞かれたときは、たとえば次のように、件数と変化の向きを結び付けて説明できます。

「和歌山は人口が90万人を切っていて、去年の刑法犯もだいたい4千件と、全国の中では少ない方だと聞きました。ただ、県の人口は1年で1万人以上減っていて、65歳以上の方が3人に1人という状況です。件数が少ないから安心という話ではなくて、誰にどうやって安全を届けるかが年々難しくなっているのではと感じています」

和歌山県の治安情勢

刑法犯認知件数と主な罪種

令和7年(2025年)の県内の刑法犯認知件数は3,946件で、前年比2.9%の減少でした。ただし、面接で意味を持つのは全国の中での多い少ないではなく、その内訳です。

罪種ごとの認知件数は次のとおりです。

主な罪種(令和7年・認知件数)件数
殺人3件
強盗3件
侵入盗241件
自動車盗15件
ひったくり2件

ひったくりは年間2件、自動車盗も15件で、繁華街型の路上犯罪が中心的な課題になっている県ではありません。存在感を持つのは侵入盗の241件で、刑法犯全体のおよそ16件に1件を占めます。

留守がちな家や農作業小屋、山あいの小さな集落まで含めて、住まいに入り込む盗みをどう防ぐかが、この県の防犯の芯にあります。

街頭で起きる犯罪の約4割は自転車盗

県警察が公表する街頭犯罪の統計を見ると、和歌山の治安の輪郭がさらにはっきりします。令和6年中の県内の街頭犯罪等認知件数は1,689件(前年比32件減)で、このうち自転車盗が678件と、全体の約40%を占めました。

しかも自転車盗は前年から55件増えています。街頭犯罪全体が減るなかで、自転車盗だけが逆の方向に動いたということです。(出典:市町村別、街頭犯罪等認知件数(確定値)|令和6年

この犯罪への対策は、派手ではありませんが手応えのある領域です。県警察は防犯ページで「自転車には必ずカギをかけましょう」と呼びかけ、備え付けの錠にワイヤー錠などをもう一つ足すツーロックと、明るく安全な駐輪場の利用を勧めています。

鍵をかける一手間が広がるかどうかで件数が動く犯罪だからこそ、伝え方そのものが仕事になります。(出典:自転車には必ずカギをかけましょう|和歌山県警察

この自転車盗は、令和7年度の警察官採用試験で論文(警察官A)と作文(警察官B)の課題としても取り上げられました。県警察が受験者にまで考えさせたいテーマだということです。

人口減少と高齢化が変える守り方

和歌山県の人口は令和7年4月1日現在で872,359人。1997年に減少へ転じてから29年連続で減り続けており、直近1年の減少数は12,268人、減少率は1.39%です。

内訳は自然増減が10,499人の減(出生4,468人・死亡14,967人)、社会増減が1,769人の減。生まれる人の3倍以上が亡くなり、そこに県外への転出が上乗せされている構図です。

県の総合計画(令和8〜12年度)原案は、人口は1990年の約107万人から約30年で85%まで減り、2050年には約63万人になると見込んでいます。今後30年の減少スピードは、これまでの約2倍。

2050年に向けた人口減少幅は全国で7番目に大きく、生産年齢人口は高齢者人口とほぼ同数まで縮むという予測です。(出典:和歌山県総合計画(令和8〜12年度)原案|令和7年9月

この流れは、警察の仕事に直接はね返ります。高齢の方が一人で判断する場面が増えるということは、電話やSNSで持ちかけられた話を、その場で誰かに相談できない状況が広がるということでもあります。

総合計画原案は、紀北地域の通勤・通学流動(2020年)が11,411人の流出超過で、うち他県へは14,934人の流出だと指摘しています。子や孫が県外へ出ていく分、相談相手が家にいない世帯は増えていきます。

令和8年の重点目標に「子供・女性・高齢者等を守る取組の推進及び少年非行の防止」が置かれているのは、この人口構成の変化と切り離せません。

訪れる人と、通る車

もう一方の流れが、県外から来る人の多さです。令和6年の観光入込客総数は約3,273万人(前年比102.5%)で、うち宿泊客は約506万人泊。

外国人宿泊客数は510,293人泊(前年比133.2%)で、感染症の流行前の水準を上回り、統計上これまでで最も多くなりました。県の人口をはるかに上回る数の人が、熊野の参詣道や高野山、白浜の温泉地を目指して動いているということです。(出典:和歌山県観光客動態調査|令和6年速報値

その移動を支える道路網も伸び続けています。京奈和自動車道は2017年に県内全線が供用され、紀伊半島一周高速道路のミッシングリンクとなっているすさみ串本道路(19.2キロメートル)も2027年夏の開通が予定されています。

道がつながれば、人も車も、そして犯罪も動きやすくなります。令和8年の重点目標で交通の項目が前年から「交通事故総量抑止総合対策の推進」へ改められたことは、この環境の変化と重ねて読めます。

県内の交通事故の発生件数や死者数は毎年公表され、数値も年ごとに動きます。面接で交通安全に触れる場合は、和歌山県警察が公表する最新の交通事故統計をあわせてご確認ください。

和歌山県の主な治安課題

ここまでの数字を踏まえると、和歌山県警察がいま向き合っている課題が見えてきます。面接で「和歌山県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

減っている総数の陰で増える身近な犯罪

令和7年の刑法犯3,946件、令和6年の街頭犯罪1,689件という数字は、全国と比べれば小さな水準です。しかし住民が気にするのは県全体の件数ではなく、自分の生活圏で何が起きたかです。

駅前の駐輪場から自転車がなくなった、近所の家が空き巣に入られたという話は、統計の増減とは比べものにならない速さで不安に変わります。総数の減少を成果として語りながら、増えている一点をどう止めるかを同時に示せるかどうかが、この県の犯罪抑止の難しさです。

高齢化率33.9%の県で、だます犯罪から誰を守るか

65歳以上が33.9%、実数で305,432人(令和7年1月1日現在)。しかも生産年齢人口は今後30年で高齢者人口とほぼ同じ規模まで縮むと予測されています。

だます手口の犯罪にとって、判断を一人で下さざるを得ない人が増えることは、そのまま標的が増えることを意味します。令和8年の重点目標は「子供・女性・高齢者等を守る取組の推進及び少年非行の防止」と、守られる側と道を外れかけた側を一つの項目にまとめています。

被害の防止と、若い世代を加害の側へ行かせない働きかけは、地続きの仕事として扱われていると読めます。

サイバー空間の脅威と匿名・流動型犯罪グループ

だます犯罪の入口は、いまやSNSやインターネット掲示板です。和歌山県警察も令和6年度の警察官Aの論文で、若者が闇バイトに応募して強盗や詐欺に加担する事件を課題に取り上げました。

被害が県内で起きても、指示を出した側は県外にいることが珍しくありません。令和8年の重点目標には「サイバー空間の脅威に対する総合対策の推進」が置かれ、さらに「匿名・流動型犯罪グループ、暴力団等組織犯罪対策の推進」という項目で、匿名・流動型犯罪グループが前年から新たに明記されました。

指示役は匿名の陰に隠れ、末端の実行役だけが短期間で入れ替わる構造のため、実行役の検挙だけでは被害が止まりません。

南北に長い県土と交通事故の総量抑止

和歌山県は紀伊半島の西側にあたり、南北に長い県土のわりに平地が少なく、幹線道路は海沿いと谷筋に限られます。鉄道はJRきのくに線が和歌山から新宮まで200.7キロメートルを結んでいますが、人口減少と自動車の普及で利用者は減少傾向にあり、日常の移動が車に依存する度合いは高まる一方です。

運転する人の年齢構成も、高齢化率33.9%の県ではおのずと上がっていきます。令和8年の重点目標が交通の項目を「総量抑止」という言葉に改めたのは、特定の事故類型だけを追うのではなく、発生そのものの母数を下げにいく構えへ切り替えたということでしょう。

南海トラフ地震への備えと、大規模行事の警備

和歌山県は平成26年10月に地震被害想定を公表しています。これによれば、マグニチュード9クラスの南海トラフ巨大地震が起きた場合、県内の死者数は最大で約9万人。

このうち約8万6千人は津波によるもので、全壊棟数は約15万9千棟が見込まれています。約100年周期とされる東海・東南海・南海3連動地震(マグニチュード8クラス)でも、死者約1万9千人、全壊約5万9千棟という想定です。(出典:和歌山県地震被害想定|平成26年10月公表

とりわけ重いのが津波の速さです。津波浸水想定では最大津波高17メートル、津波高1メートルの到達時間は最短3分と見込まれる地域があります。

3分というのは、住民に呼びかけて高台へ動いてもらうために使える時間そのものです。海沿いの警察署や交番、駐在所が平時から何を準備しているのかという視点は、この県を志望するなら持っておきたいものです。

あわせて、令和8年の重点目標には「第49回全国育樹祭」の開催に伴う大規模警衛の完遂という項目が新たに加わりました。警衛とは皇族の身辺の安全を確保する警備のことで、通常の行事警備とは求められる水準が異なります。

大きな行事を控えた年に採用試験を受ける世代だという事実も、頭の片隅に入れておいて損はありません。

重点方針|和歌山県警察運営指針及び令和8年重点目標

和歌山県警察は、警察活動全般の指針として『和歌山県警察運営指針及び令和8年重点目標』を定めています。運営指針は「県民の期待と信頼に応える強さと優しさを兼ね備えた警察」で、副題に「安全で安心な和歌山の確立」が置かれています。(出典:和歌山県警察運営指針及び令和8年重点目標|令和8年

運営指針が示す方向

短い一文ですが、読み取れることが2つあります。ひとつは「強さ」と「優しさ」を並べている点です。

犯罪に正面から向き合う執行力と、被害や不安を抱えた人に向き合う姿勢は、どちらか一方では足りないという整理になっています。令和7年の刑法犯が4千件を切り検挙率が65%という県で、なお指針の先頭に「県民の期待と信頼に応える」が置かれているのは、数字の管理だけでは信頼が積み上がらないという認識があるからでしょう。

もうひとつは副題です。「安全で安心な和歌山の確立」まで含めて一組の指針であり、面接や論作文で引くのであれば副題まで含めて正確に覚えておきたいところです。

県警察は令和6年度の論文試験でも「安心で安全な和歌山の確立」という近い言い回しを課題文に使っていますが、指針の副題は「安全で安心」の順です。組織が掲げる言葉を正しく引用できるかどうかは、資料を実際に開いたかどうかの差として表れます。

8つの重点目標

運営指針の下には、次の8つの重点目標が置かれています。左欄は公表されている項目名、右欄は、その項目が和歌山県内のどんな現実と結び付くのかを、当研究会が記事の前半の事実に照らして整理したものです。

重点目標(公表されている項目名)県内の情勢に照らした受験生向けの読み方
犯罪抑止総合対策の推進令和7年の刑法犯3,946件のうち侵入盗241件、令和6年の街頭犯罪1,689件のうち自転車盗678件。身近な犯罪をどう減らすかという柱で、ツーロックの呼びかけもここに入る
悪質・重要な犯罪の徹底検挙殺人3件、強盗3件と重要犯罪の発生自体は少ない県で、検挙率65%という水準を保ち続けられるかが問われる領域
交通事故総量抑止総合対策の推進前年から「総量抑止」へ文言が改められた項目。高速道路の延伸と車依存、運転者の高齢化が背景にある
子供・女性・高齢者等を守る取組の推進及び少年非行の防止高齢化率33.9%(令和7年1月1日現在)の県で、だます犯罪の標的になりやすい層を守る取組と、若い世代を加害側へ行かせない働きかけを束ねた項目
サイバー空間の脅威に対する総合対策の推進SNSや掲示板を入口にした詐欺と闇バイトへの対処。顔の見えないやり取りをどう追い、どう手前で止めるか
匿名・流動型犯罪グループ、暴力団等組織犯罪対策の推進令和8年に「匿名・流動型犯罪グループ」の明記が加わった項目。末端の実行役の検挙だけでは止まらない構造への対応
テロ・大規模災害等緊急事態対策の推進県の被害想定(平成26年公表)で県内死者最大約9万人、津波が最短3分で到達するとされる県土での備え
「第49回全国育樹祭」開催に伴う大規模警衛の完遂令和8年に新たに加わった項目。警衛(皇族の身辺の安全を確保する警備)は通常の行事警備と水準が異なる

左欄は公表資料の項目名の表記にもとづきます。各重点目標の設定趣旨や推進事項をまとめた詳細資料は公表されていません。右欄は当研究会が県内の情勢に照らして整理した読み方であり、県警察の公式見解ではありません。この方針は毎年更新され、公表ページのURLも年度ごとに変わります。

面接で自分のやりたい仕事を話すとき、それが8つのどこに位置づくのかを一言添えられるだけで、組織の方向性を踏まえた志望だと伝わります。

POINT|8項目は「選んで使う」もの

8つを均等に扱おうとすると、どれも浅くなります。関心のある分野を1〜2つ選び、「①和歌山で何が起きているか(数字) → ②県警察はどの重点目標で受け止めようとしているか → ③自分はどの現場で何をしたいか」の順に整理しましょう。

悪い例「地域の安全を守れる警察官になりたいです」

改善例「まずは交番の警察官として、受け持ちの地域を歩くところから始めたいです。和歌山では街頭で起きる犯罪の4割ほどが自転車盗だと聞きました。県警がツーロックを呼びかけていますので、駐輪場で声をかけたときに、かぎを二つかける意味をその方に伝わる言い方でお話しできる警察官になりたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、要点を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。

  • 自分が受ける区分の受験案内(試験種目・受験資格・申込方法・資格加点の対象)
  • 和歌山県警察の採用ページ(仕事の紹介と職員のメッセージ)
  • 和歌山県警察運営指針及び当該年の重点目標(毎年更新され、公表ページのURLも年度ごとに変わります)
  • 県警察が公表する犯罪統計・交通事故統計(数字は毎年更新されるため最新値を確認)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、和歌山県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。和歌山県警察の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

和歌山県警察の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

和歌山県警察の面接の概要

ここからは、和歌山県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

和歌山県警察の面接の流れ

和歌山県警察の警察官採用試験は、第1次試験・第2次試験・第3次試験の3段階で行われます。令和6年度から試験内容が変更されており、それ以前の区分や科目を前提にした情報は当てはまりません。

項目内容(和歌山県警察が公表する試験種目)
試験の段階第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験の3段階(令和6年度から試験内容を変更)
第1次試験基礎能力試験SCOA(警察官として必要な一般知識及び能力についての筆記試験・択一式120問)、適性検査、資格加点(柔道、剣道、英語等)
第2次試験面接試験(人物、能力、性格等についての個別面接)、体力試験、論・作文試験、身体精密検査・身体検査
第3次試験面接試験(人物、能力、性格等についての個別面接)
面接の種類個別面接。第2次試験と第3次試験で計2回実施(集団面接・集団討論の実施についての記載はありません)
体力試験の種目立幅跳び、腕立伏臥腕屈伸、反復横跳び、往復持久走
論・作文試験警察官A=論文(90分・1,200字程度)、警察官B=作文(60分・800字程度)
提出書類自己紹介書(第2次試験・第3次試験の参考資料として用いられます)
合格判定第1次試験の合格後に得点をリセットし、第2次・第3次試験の合格者は各試験種目の総合得点順に決定。各試験種目(第1次試験の適性検査を除く)に合格基準があり、一つでも基準に達しない種目があると総合得点が高くても不合格
配点各試験種目の満点や人物試験の比重は公式サイトの試験案内ページに記載がないため、最新の受験案内でご確認ください

この表で注目してほしい点は3つあります。1つ目は面接の回数です。

和歌山県警察では、個別面接が第2次試験と第3次試験の2回置かれています。同じ志望動機を、別の面接官に、間隔をあけて二度説明することになります。

一度きりなら勢いで通せる話も、二度目には細部の食い違いが表に出ます。原稿の暗記ではなく、自分の中で筋の通った話を持っているかどうかが試される構造です。

2つ目は合格判定の仕組みです。各試験種目に合格基準があり、一つでも基準に達しなければ総合得点が高くても不合格になります。

筆記が得意だから体力は最低限で、体力に自信があるから面接は当日の勢いで、という組み立てが通用しない試験です。

3つ目は得点のリセットです。第1次試験に合格した時点で得点は一度ゼロに戻り、第2次以降は改めて積み直します。

基礎能力試験SCOAで高い点を取った人もそうでない人も、面接と体力と論作文で横一線に並ぶということです。

あわせて押さえておきたいのが提出書類の名称です。和歌山県警察が公表している名称は「自己紹介書」で、これが第2次・第3次試験の参考資料として使われます。

「面接カード」という呼び方ではないため、公表名称のとおりに扱いましょう。書いた内容と2回の面接で話す内容がずれていれば、そこが深掘りの入口になります。

上記の試験種目は、和歌山県警察公式サイトの採用試験ページの掲載内容にもとづきます(当研究会の確認日は2026年7月)。論・作文試験の時間と字数は当研究会が収集した過去の出題情報によるものです。各試験種目の配点や人物試験の比重は公表されていません。試験の構成は年度や受験区分によって変わる可能性があるため、必ずご自身が受ける区分の最新の受験案内でご確認ください。(出典:警察官採用試験の試験内容|和歌山県警察

和歌山県警察が求める人材をどう読むか

和歌山県警察は、「求める人物像」「求める人材」といった定式化した文言を、採用案内の主要なページでは公表していません。ただし、読み取れる材料は2つあります。

1つは運営指針の「強さと優しさ」です。ただしこれは組織としての方針であって、受験者に求める人物像として公表されたものではありません。

そのまま「私は強さと優しさを兼ね備えた人間です」と言い換えるのは避け、自分がとった行動の事実で示すほうが安全です。組織の言葉を借りて自分を説明すると、その中身を追加で問われたときに答えが薄くなります。

もう1つは、試験の設計そのものです。各試験種目に合格基準を置き、一つでも欠ければ不合格とする仕組みは、一点に突出した人よりも必要な水準を全部満たせる人を採ろうとしている、と受け取れます。

自己PRでは、目立つ実績よりも、苦手なものから逃げずに水準まで持っていった経験や、成果が見えないまま続けた経験のほうが、この組織には届きやすいと考えてよいでしょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。和歌山県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までの道のりで、迷ったりしませんでしたか?身構えていない場面の受け答えに、話しぶりの自然さと落ち着きが表れます
② 動機・志望ほかにも公務員の仕事がある中で、なぜ警察官なのですか?仕事の中身をどこまで調べて選んだのか。選択の理由の一貫性
③ 自己理解まわりの人からは、どんな人だと言われますか?自己認識と他者評価にずれがないか。強みを警察の仕事へ当てはめられているか
④ 経験・行動これまでで一番、投げ出したくなった場面を教えてください苦しい局面で実際にとった行動と、その後どう立て直したかの事実
⑤ 学業・経歴その進路を選んだのは、いつ、何がきっかけでしたか?自分の決断を、借り物でない言葉で説明できるか
⑥ 適性・将来体力試験の種目に向けて、いま何をしていますか?準備の具体性と、日々の生活を整える習慣の有無
⑦ 公共性・社会性警察官の不祥事が報道されることがありますが、どう受け止めますか?職業倫理への理解と、公私を問わず見られる立場になる自覚

ただし、この7カテゴリーは和歌山県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。多くの受験者が対策してくる領域なので、ここで大きな差はつきません。

なお、警察官の採用面接では、規律ある集団生活への適応や危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問がされることがあります。そうした質問が存在すると知っておくだけでも、当日の落ち着きが変わります。

差がつくのは和歌山の事情を踏まえた質問

「大阪府警察や兵庫県警察を受ける人も多い中で、なぜ和歌山県警察なのですか?」
「和歌山県の治安について、いま一番気になっていることは何ですか?」

どちらも、和歌山県の現状と県警察の方針を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「和歌山県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい和歌山県警察の事実答え方のヒント
治安の現状令和7年の刑法犯認知件数は3,946件で前年比2.9%減、検挙率は65%。管轄人口は約87万人件数が減っている県で「治安が悪化しています」と切り出すと、調べていないことが伝わります。減少と検挙率65%を認めたうえで、それでも残る課題はどこかという立て方にしましょう
身近な犯罪への対策令和6年中の街頭犯罪1,689件のうち自転車盗が678件で約40%。全体が32件減るなかで自転車盗は55件増えた増えている犯罪を名指しできると具体性が出ます。県警察が呼びかけるツーロックを駅前の駐輪場や学校でどう広げるかまで踏み込むと、生活安全部門の理解が伝わります
志望動機・やりたい仕事運営指針は「県民の期待と信頼に応える強さと優しさを兼ね備えた警察」、副題は「安全で安心な和歌山の確立」。令和8年は犯罪抑止、悪質・重要犯罪の検挙、交通事故総量抑止、子供・女性・高齢者等の保護と少年非行防止、サイバー、匿名・流動型犯罪グループと暴力団、テロ・大規模災害、全国育樹祭の警衛の8項目志望する分野が8項目のどこに当たるかを言い添えます。副題まで正確に引けると、ページを実際に開いた人だと伝わります
高齢化と人口減少65歳以上が33.9%で305,432人(令和7年1月1日現在)。人口は1年で12,268人減り29年連続の減少。総合計画原案は2050年に約63万人まで減ると予測「高齢者は詐欺に弱い」で止めないことです。子や孫が県外に出て、その場で相談できる相手が家にいない世帯が増えるという流れまで押さえると、駐在所や巡回連絡の役割へつながります
南海トラフ地震への備え県の被害想定(平成26年公表)では南海トラフ巨大地震で県内死者最大約9万人、全壊約15万9千棟。最大津波高17メートル、津波高1メートルの到達時間は最短3分3分という数字は、避難を呼びかけるために使える時間の短さそのものです。海沿いの署や交番が平時に何を準備しているかという具体まで落としましょう

使い方のコツは、5つを丸ごと覚えることではありません。志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、知った事実から自分の問題意識へ、そして警察官として何をしたいかへと、途切れずにつながる一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、運営指針が掲げる「強さ」と「優しさ」、そして各試験種目に合格基準を置く試験の設計に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
強さ=事実から目をそらさない力都合の悪い場面や言いにくい相手からも、逃げずに向き合えるか令和7年に241件あった侵入盗では、被害に遭った方が戸締まりを怠った自分のせいだと感じてしまうことがあります。相手を責めず、事実だけを確かめて次の被害を防ぐ仕事です。黙っていれば済んだ場面で声を上げた経験を、そのときの言い方まで思い出しておきましょう
優しさ=届くまで伝え方を変える力年齢も事情も違う相手に、伝わるまで関わり方を変えられるか和歌山では65歳以上が33.9%を占め、暮らしの場は山あいから海辺まで細かく分かれています。年上の方に何かを説明して一度で通じなかったとき、次に何をどう変えたのかまで話せるようにしておきましょう
穴を作らない準備の姿勢苦手な分野から目をそらさず、必要な水準まで自分で持っていけるかこの試験は各種目に合格基準があり、一つでも届かなければ総合得点が高くても不合格になります。体力試験の4種目のうち苦手な種目に、いつからどう手を付けているか。その答え方そのものが、仕事への構え方として受け取られます

評価の観点の3項目は、和歌山県警察の運営指針と公表されている試験の仕組みをもとに、当研究会が面接対策用に整理したものです。県警察が公表している評価基準ではありません。

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 和歌山県警察の採用試験ページと、自分が受ける区分の最新の受験案内を読む。第1次試験の基礎能力試験SCOAと資格加点、第2次試験の面接・体力・論作文・身体検査、第3次試験の面接という3段階の構造を、準備の前提として頭に入れる
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事から、自分がとった行動を具体的に話せる出来事を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で言い直しておく
  5. 提出する自己紹介書を、面接で話す内容と突き合わせて仕上げる。ここで整理した和歌山県の治安課題は、そのまま論・作文試験の下地にもなる
  6. 実際に口に出してリハーサルする。個別面接は第2次と第3次で計2回あるため、同じ話を別の面接官に二度届ける想定で練習しておく。あわせて体力試験の4種目(立幅跳び、腕立伏臥腕屈伸、反復横跳び、往復持久走)を日々のトレーニングに組み込み、体づくりと生活リズムづくりを並行して進める

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2で自分がとった行動を具体的に書き出し、それが和歌山県警察のどの現場につながるかを考える作業を優先してください。自己紹介書に書ける材料がないままでは、2回ある個別面接の二度目で話すことが尽きてしまいます

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、和歌山県警察専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

和歌山県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。同じ話を二度の面接で説明する試験では、話の芯がぶれないことが何より効きます。

各試験種目に合格基準がある以上、面接だけに時間を割くわけにもいきません。

和歌山県警察の想定問答集を見る

さいごに

和歌山県警察の採用試験は3段階で、個別面接が第2次と第3次に1回ずつ置かれています。第1次試験の得点はリセットされ、各試験種目に設けられた合格基準を一つでも下回れば、総合得点が高くても採用には届きません。

裏を返せば、基礎能力試験SCOAの出来だけで決まる試験ではないということです。

県内の刑法犯は令和7年に3,946件まで減り、検挙率は65%。その一方で、令和6年の街頭犯罪では約4割を自転車盗が占め、いまや県民の33.9%が65歳以上です。

南海トラフ地震をめぐっては、最短3分で津波が届くとされる地域も抱えています。

「安全で安心な和歌山の確立」という副題を、自分ならどの現場でどう担うのか。その答えの材料は、あなたが暮らしてきた町や、通った駅の駐輪場の景色の中にあります

この記事に並べた数字を、自分が見てきたものと重ねる作業から始めてみてください。