本記事では、宇陀市職員採用試験の面接対策で必要な、宇陀市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

宇陀市役所の面接試験では、「なぜ宇陀市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。宇陀市の一般行政事務職は、第2次試験がグループディスカッション、第3次試験が個別面接という並びです。

集団の中での姿と、一対一での姿の両方が見られます。

本記事で扱う試験の構成は、令和8年度(令和9年4月1日採用予定)の宇陀市職員採用試験案内で確認できた範囲のもので、記述は一般行政事務職を基準にしています。保育教諭は第2次試験の種目が異なり、市はこのほかにも年度内に別枠の採用試験を実施していますので、該当する方は市の採用情報もあわせてご確認ください。

第1部|自治体研究編

宇陀市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは宇陀市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 高齢化率は45.4%で、奈良県全体の32.7%を12.7ポイント上回る(令和8年1月1日現在)。県内12市の中で最も高い。
  • 人口は26,102人(同日現在)。うち65歳以上が11,853人、75歳以上が7,027人(26.9%)で、75歳以上の割合も県内12市で最も高い。
  • 市域の面積は247.50km²と広く、人口密度は約105人/km²。県内12市の中では下から2番目の低さで、人が広い範囲に分かれて暮らしている。
  • 隣接するのは奈良市・桜井市と、山辺郡山添村、宇陀郡曽爾村、吉野郡の吉野町・東吉野村、そして三重県名張市。県境を越えて接する市がある。
  • 奈良県の地場産業のうち、鹿革と毛皮は宇陀市が全国唯一の産地とされている。
  • 職員採用試験を実施するのは宇陀市職員採用試験委員会(市長公室人事課内)。
  • 一般行政事務職の採用予定は、新卒対象が4人程度、職務経験者対象も4人程度と、両者が同じ規模で置かれている。
  • 市の花はすずらん、市の木はひのき。

宇陀市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「宇陀市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、2万6千人という人口の内訳と市域の広さに、奈良県全体の値を並べました。この市の場合、年齢と面積の二つの欄が、県の平均像から大きく離れています。

項目内容
総人口26,102人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口11,853人(総人口の45.4%。県内12市で最も高い)
75歳以上人口7,027人(総人口の26.9%。県内12市で最も高い)
総面積247.50km²(奈良県内の12市では3番目の広さ)
人口密度約105人/km²(上記の総人口と総面積から算出。県内12市では下から2番目)
隣接自治体奈良市、桜井市、山辺郡山添村、宇陀郡曽爾村、吉野郡吉野町、吉野郡東吉野村、三重県名張市
市役所所在地〒633-0292 奈良県宇陀市榛原下井足17番地の3
市の花・市の木市の花はすずらん、市の木はひのき
(参考)奈良県の総人口1,293,345人(令和8年1月1日現在)
(参考)奈良県の高齢化率32.7%(同日現在。75歳以上は19.8%)

総人口・年齢別人口・高齢化率および県内の順位は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の市区町村別の値を使っています。面積・隣接自治体・市の花木は公表値をもとにまとめ、人口密度はこの表の総人口を面積で割って当研究会が求めた値です。県が国勢調査をもとに公表する人口は調査の基準が異なりますので、この表の値と国勢調査の値をつないで増減を出すことはできません。比べるときは同じ基準の値どうしで行ってください。

数字から考えられる市政課題

宇陀市の数字は、二つの方向で県の平均から離れています。一つは年齢です。

高齢化率45.4%は奈良県全体の32.7%を12.7ポイント上回り、県内12市の中で最も高い水準にあります。75歳以上の割合も26.9%と、市民のおよそ4人に1人が後期高齢の年代です。

もう一つは広さです。247.50km²の市域に26,102人ですから、人口密度は約105人/km²にとどまります(いずれも令和8年1月1日現在)(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。

支援を必要とする人の割合が高く、しかもその人たちが市内の各所に散らばって住んでいます。この二つが重なることが、宇陀市の行政の前提になります。

窓口に来てもらう形だけでは届かない人が出てきますし、職員が出向くにも距離があります。移動、見守り、情報の届け方といった論点が、この数字から直接立ち上がってきます。

距離と年齢構成の重なりを、面接ではたとえばこう話せます。

「宇陀市は2万6千人ほどが暮らすまちですが、65歳以上の方の割合が4割を超えていると知りました。市域も広いと聞いていますので、市役所まで来ていただくのを待つのではなく、こちらから届けていく仕事に関わってみたいです」

宇陀市の経済・産業

全国で唯一の産地を持つということ

地場産業の産地は、奈良県内では市町村ごとに分かれています。靴下は広陵町が生産量日本一、三宅町は野球用のグラブとミット、吉野町と下市町は吉野杉や桧の端材を使った割り箸。

その中で、鹿革と毛皮については宇陀市が全国唯一の産地とされています(出典:奈良県の地場産業|平成28年経済センサス)。

ほかに代わる場所がないということは、この産地が細れば技術そのものが失われるということでもあります。

産業振興や文化の継承に関心があるなら、規模の大小ではなく、代替できるかどうかという物差しで考えてみてください。

奈良県の人口が置かれた状況

  • 令和7年国勢調査の速報集計での奈良県の総人口は1,269,180人。令和2年の前回調査から4.2%(55,293人)減り、全国順位は27位(前回29位)となった。
  • 世帯数は544,878世帯で、前回調査比0.02%(103世帯)の減。全国順位は30位。
  • 県の推計人口年報(令和7年10月1日現在)では、市部の1,013,933人に対し郡部は260,263人。
  • 人口密度は、県全体345.2人/km²、市部797.0人、郡部107.6人。
  • 県の主要な地場産業には靴下もあり、ソックス類の出荷額の全国シェアは約57%。繊維産業は県の製造業について事業所数の約16%、従業者数の約9%を担う。

ここから読み取れるのは、同じ県内でも、人がどれだけ近くに住んでいるかがまるで違うということです。市部と郡部で人口密度に7倍以上の開きがあります(出典:令和7年国勢調査 奈良県の人口速報|令和7年)。

行政サービスを届ける難しさは、人口の総数ではなく、この散らばり方によって決まります。

減っている分の中身

直近の1年(令和6年10月から令和7年9月まで)で、奈良県の人口は10,898人減りました。

県の推計人口年報が示す内訳は、自然増減が11,321人の減少(出生6,544人・死亡17,865人)、社会増減が423人の増加(転入28,889人・転出28,466人)です(出典:奈良県推計人口年報|令和7年10月1日現在)。

転入と転出はほぼ釣り合っており、差を生んでいるのは出生と死亡の開きです。移住や定住の施策を語るときは、この構造を踏まえたうえで、何を目標に置くのかまで言えるようにしておきましょう。

観光の規模と、内陸という条件

奈良県全体では、令和6年の観光入込客数が約4,362万人、訪日外国人の県内訪問者数が約314万人で全国7位となっています(出典:奈良県の観光データ|令和6年)。

奈良県は紀伊半島の中央部にある内陸県で、海に面しておらず港湾を持ちません。県土の6割強は南部の山地で、吉野川を境として北の低地帯と南の山岳地帯に分かれます(県の総面積は3,690.94km²)。

県全体でこれだけの来訪がある一方、その人の流れがどこに向かうかは地域によって違います。

宇陀市は三重県名張市と接していますから、県境をまたぐ人の動きも視野に入れて考えてみてください。

宇陀市の主な行政課題

ここまでの数字を踏まえて、宇陀市が向き合う課題を5つに整理しました。面接ですべてを語る時間はありませんので、志望分野に近いものを一つ選んで深く掘っておきましょう。

県内で最も高い高齢化率

高齢化率45.4%、75歳以上の割合26.9%は、いずれも県内12市の中で最も高い水準です(令和8年1月1日現在)。

65歳以上11,853人のうち7,027人が75歳以上ですから、高齢者の6割近くが後期高齢の年代に入っています。

介護、医療、移動、住まい、見守り。どの分野の施策も高齢化の話と地続きになるのが、この市の条件です。

志望分野が子育てや産業であっても、その施策が高齢化の進んだ地域でどう機能するかまで考えておくと、答えに現実味が出ます。

広い市域にサービスを届ける難しさ

約105人/km²という人口密度は、県内12市の中で下から2番目です。

人口が薄く広がっているということは、窓口や施設に来てもらう形の行政サービスでは、届かない人が構造的に生まれるということでもあります。

しかも支援の必要度が高い年代の割合が大きくなっています。来てもらう行政から、届ける行政へどう寄せていくかが、この市では常に問われることになります。

デジタルの活用も、移動手段の確保も、この文脈の中に置くと具体的な話になります。

人口減少という共通の前提

令和7年10月1日現在の県の推計人口年報では、県内の市町村がひとつ残らず人口を減らしています。

合計特殊出生率は令和5年時点で県全体1.21(全国平均1.20)、出生数は6,943人と過去最少です。

県の人口は1999年に約144万9千人でピークを迎えたのち減少に転じ、国立社会保障・人口問題研究所の推計では2050年に約95万人になるとされています。

第3期の県総合戦略は、東京圏への大幅な転出超過が続いていること、令和2年時点で25歳から39歳の女性の未婚率が42.9%と全国6位の高さにあることも課題に挙げました(出典:第3期奈良県まち・ひと・しごと創生総合戦略|令和6年)。

内陸活断層による地震への備え

内閣府の都道府県別の想定では、奈良県で被害が最大となるのは奈良盆地東縁断層帯の地震(マグニチュード7.5・最大震度7)で、県全体の死者数は最大5,153人、建物全壊114,209棟(揺れによるもの)とされます。

生駒断層帯の地震(マグニチュード7.5・最大震度7)は死者4,257人・全壊93,543棟、中央構造線断層帯の地震(マグニチュード8.0・最大震度7)は死者4,319人・全壊93,041棟。

対して南海トラフの地震(マグニチュード8.7)の県内想定は最大震度6弱、死者4人・建物全壊1棟(揺れによるもの)です(出典:都道府県による地震被害想定結果(概要)|奈良県想定)。

奈良県で警戒の中心にあるのは海溝型ではなく足元の活断層です。人が分散して暮らす市域では、被災後に一人ひとりの状況を把握するまでに時間がかかります。

被害想定は定期的に見直されますので、県と市の防災部局が出す最新の資料も受験前に開いておいてください。

県境をまたぐ生活圏

宇陀市は三重県名張市と接しています。通勤、通学、買い物、通院といった住民の動きが、県の境を越えて行き来しているということです。

行政の区域と、暮らしの範囲は一致しません。市の仕事が市域の内側だけで完結しないという前提は、公共交通や医療、広域の連携を語るときに効いてきます。

あわせて、隣接する自治体の多くが町村であることも押さえておきましょう。

同じ課題を抱える近隣と、どう組んでいくかという視点が求められます。

重点政策|宇陀市の条件から見える優先順位

宇陀市の個別の計画名や事業名は年度によって入れ替わりますので、志望分野に近いものは市の公式サイトで現行版を開いて確かめてください。ここでは、計画の名称よりも、市が採用の入口で示している仕事の説明のほうに目を向けます。

試験案内は一般行政事務職の職務内容を、市長部局・出先機関・教育委員会等に勤務し、一般行政事務に従事すると記しています(出典:令和8年度宇陀市職員採用試験案内|令和9年4月1日採用予定)。

本庁の中だけでなく、出先機関や教育委員会にも配属されうるということが、採用の段階で示されているわけです。

広い市域を持つ市では、住民に近い場所に出先の拠点を置く必要があります。そこに配属されれば、扱う分野は本庁よりも横に広がります。

志望動機を一つの分野で固めすぎると、こうした配属を前提とした問いに答えられません。

関心のある分野を持ちながら、置かれた場所で仕事の幅を広げられるという構えを、自分の経験で裏づけて話せるようにしておきましょう。

志望分野を絞り込む視点

事業名をいくつ言えるかは、自治体研究の目的ではありません。関心のある分野を一つか二つに決めて、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指しているか → ③今どんな事業があるか → ④市役所だからこそ担える部分はどこか → ⑤自分の経験や強みをどう生かせるか」の順にたどってみてください。

宇陀市の場合は、①の答えの多くが高齢化と市域の広さに行き着きます。

その二つを避けて通らずに、自分の関心と結び直せるかどうかが分かれ目です。

POINT|計画の名称を丸暗記しなくてよい

名称を挙げられることより、志望分野と宇陀市の事情がどこで結び付くかを説明できるほうが、グループディスカッションでも個別面接でも効きます。

悪い例「自然の豊かな宇陀市の魅力を、多くの人に発信していく仕事がしたいです」

改善例「まずは窓口の仕事から覚えたいです。その上で、宇陀市は65歳以上の方の割合が4割を超えていて、市域も広いと知りましたので、出先の窓口や訪問の形で、こちらから支援を届けていく仕事に関わりたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

次の4つは、エントリーを済ませた直後から手元に置いておきたいものです。読み流さず、内容を自分の言葉で言い直せるところまで持っていってください。

  • 宇陀市職員採用試験案内(自分が申し込む職種のもの。最新年度)
  • 宇陀市の総合計画と、志望分野に近い分野別の計画
  • 最新年度の当初予算の概要と、市長による市政運営の説明
  • 宇陀市の人口や世帯に関する統計

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、宇陀市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。宇陀市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

宇陀市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

宇陀市役所の面接の概要

ここからは、宇陀市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、差がつく質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

宇陀市役所の面接の流れ

令和8年度(令和9年4月1日採用予定)の試験案内によると、宇陀市の採用試験は第1次から第3次までの三段階です。第1次試験は全職種共通の総合検査、第2次試験は職種ごとに種目が分かれ、第3次試験は全職種共通の口述試験となります。

一般行政事務職に絞ると、第2次試験がグループディスカッション、第3次試験が個別面接という並びです。

集団の中での関わり方を先に見て、そのうえで一対一の掘り下げに移ります。二つの場面で、それぞれ別の力が問われる設計になっています。

項目内容(令和8年度・令和9年4月1日採用予定・一般行政事務職を基準)
実施主体宇陀市職員採用試験委員会(市長公室人事課内)が実施します
試験の段階第1次・第2次・第3次の三段階に分かれています
第1次試験全職種共通の総合検査(テストセンター方式)。内容はSPI3の能力検査と性格検査で、性格検査は能力検査の受検前に自宅のパソコンやスマートフォンなどで受けます。会場は全国のテストセンター会場とオンライン会場から受験者が選びます
第2次試験|一般行政事務職口述試験(グループディスカッション)。会場は宇陀市役所です
第2次試験|保育教諭口述試験(面接)と実技試験。会場は榛原こども園です
第3次試験全職種共通の口述試験で、内容は個別面接。会場は宇陀市役所です
配点各試験種目の点数は、令和8年度の採用試験案内には示されていません。最新の採用試験案内でご確認ください
採用予定人員新卒対象は一般行政事務職4人程度と保育教諭3人程度、職務経験者対象は一般行政事務職4人程度です。職務経験者対象は、民間企業等での職務経験が3年以上ある人が受験できます
職務内容一般行政事務職は市長部局・出先機関・教育委員会等に勤務し、一般行政事務に従事すると記されています
申込方法職員採用サイトを利用したインターネット申込のみで、持参や郵送による受付は行われません
第1次試験合格者の提出書類志望動機等の追加情報、最終学校卒業見込証明書、最終学校成績見込証明書を、採用サイト内の入力フォームから提出します(証明書類はPDF形式)
成績開示第1次から第3次までそれぞれについて、不合格者本人に限り総合得点と総合順位が開示されます。開示期間は合格発表日から2週間、場所は市役所人事課です

準備の設計に関わる点を二つ挙げておきます。一つは、新卒対象と職務経験者対象で、一般行政事務職の採用予定がどちらも4人程度に置かれていることです。

社会人経験を積んだ人が同じ規模の枠で迎えられているということで、新卒であってもこれから働く年数の長さだけでは差がつきません。

もう一つは提出書類です。第1次試験に合格すると、志望動機等の追加情報を入力フォームから提出します。

ここに書いた内容が、その後の口述試験で参照される材料になると考えられますので、通過してから急いで書くのではなく、申込みの段階から中身を練っておきましょう。

なお、一般行政事務職(大学新卒)の初任給月額は237,600円と案内に示されています。

上記の試験構成は、宇陀市の令和8年度職員採用試験案内(令和9年4月1日採用予定)に記載された内容にもとづくもので、一般行政事務職を基準に整理しています。市は同じ年度に、土木技術職の高校生対象試験や作業療法士・管理栄養士の採用試験も別枠で実施しています。試験の構成・日程は年度や職種によって変わりますので、受験の際は必ずご自身の職種の最新の採用試験案内でご確認ください(参考:宇陀市職員採用試験のご案内|令和8年度)。

宇陀市役所が求める人物像をどう補うか

確認した宇陀市の令和8年度職員採用試験案内(全6ページ)には、求める人物像や期待する職員像として定型化された記載が見当たりません。最新年度の案内では書きぶりが変わっている場合もありますので、市の採用情報のページとあわせて確認しておいてください。

そのうえで本記事では、試験種目の並び方が、市の関心のありかを示していると考えて読み解いていきます。

試験案内に載っているのは、種目の名前と順番までです。その順番が何を意味するのかまでは説明がありませんので、ここから先は当研究会が補って考えたものとして読んでください。

一般行政事務職では、二段階目にグループディスカッションが置かれ、三段階目に個別面接が来ます。順番に意味があります。

まず、他の受験者と同じ場で議論する姿を見ます。そのうえで、一対一で本人の中身を確かめます。

集団の中で通用する人かどうかを先に確かめていると読める設計です。

加えて、第1次試験の性格検査を自宅で先に受ける方式ですから、検査で示した傾向と面接で語る自分像がずれれば、後の段階で表に出ることになります。

市の条件の側からも一つ挙げておきます。一般行政事務職の採用は、新卒枠と職務経験者枠がどちらも4人程度。

配属先には本庁だけでなく、出先機関や教育委員会も含まれます。

247.50km²の市域に出先の拠点を置くということは、そこへ配属された職員が、担当する分野の窓口であると同時に、その地域そのものの窓口にもなるということです。

民間で働いた人を新卒と同じ規模の枠で迎えているのも、そうした場面で自分なりの判断を求められる仕事だからではないか、と当研究会は受け取っています。

そのうえで準備を組むなら、見られる場面の性格が段階ごとに変わることを起点にしてください。

自宅で受ける性格検査、他の受験者と同席するグループディスカッション、そして一対一の個別面接。この三つで示す自分がそろっているかどうかが、そのまま準備の到達点になります。

とくに議論の場での振る舞いは、あとの個別面接で「なぜそう動いたのか」と問われる前提で臨んでおきましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。宇陀市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク市役所までは、どのように来られましたか?市域の広い市です。移動の話題から、この土地で働く実感を持っているかが見える
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?行政という選択が、2万6千人規模のまちで働く姿と結び付いているか
③ 自己理解ご自身の短所を教えてください第1次試験で自宅から受けた性格検査の傾向と、語る人物像がかけ離れていないか
④ 経験・行動話がまとまらない場で、どう関わりましたか第2次試験のグループディスカッションで見られる力を、実例でも示せるか
⑤ 学業・経歴提出いただいた志望動機について、詳しく聞かせてください第1次試験の合格後に提出した文章と、口頭で語る中身がそろっているか
⑥ 適性・将来出先機関に配属されたら、どう取り組みますか?市長部局だけでなく出先機関や教育委員会にも配属されうると理解しているか
⑦ 公共性・社会性最近気になったニュースはありますか?全国や県の話題を、高齢化の進んだ地域の話に引き寄せて考えられるか

同じ範囲を全員が準備してきますので、ここで抜きん出るのは難しいのが実情です。二つの口述試験で他と分かれる材料は、次に挙げる宇陀市固有の質問の側にあります。

合否を分けるのは「宇陀市役所ならでは」の質問

「なぜ奈良県庁ではなく、宇陀市役所を志望するのですか?」
「宇陀市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「宇陀市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい宇陀市の事実答え方のヒント
なぜ県庁ではなく市役所か市の採用試験は宇陀市職員採用試験委員会(市長公室人事課内)が実施。一般行政事務職の配属先には市長部局のほか出先機関や教育委員会も含まれる広域と基礎自治体の一般論を並べるより、住民の生活の場に近い所で働きたい理由を自分の経験から述べる
年齢構成の特徴高齢化率45.4%、75歳以上26.9%はいずれも県内12市で最も高く、県全体の32.7%・19.8%を大きく上回る(令和8年1月1日現在)数字の高さを指摘して終わらせず、支援の届け方をどう変える必要があるかまで踏み込む
市域の広さと密度面積247.50km²に約105人/km²。県内12市の中では下から2番目の人口密度来てもらう形の窓口だけでは届かない人がいるという前提から、自分の考える工夫を述べる
全国唯一の産地奈良県の地場産業のうち、鹿革と毛皮は宇陀市が全国唯一の産地とされている特産品の紹介で終わらせず、代わりのきかない産業をどう残すかという視点で語る
県境をまたぐ生活圏隣接自治体に三重県名張市を含み、住民の移動が県境を越えて日常的に行き来している行政の区域と暮らしの範囲が一致しないことを踏まえ、近隣と組む必要性に触れる

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

宇陀市の場合、配点が示されていない以上、選考の設計から何を重く見ているかを読むほかありません。集団での議論を先に置き、その後に一対一の面接を配するという順番から当研究会が受け取るのは、いわゆるコンピテンシー評価と同じ姿勢、つまり整えてきた言葉ではなく経験の中身と行動の再現性を確かめようとする構えです。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
集団の中での関わり方第2次試験は一般行政事務職の場合グループディスカッションのみで構成される意見を述べた記憶ではなく、議論が止まった場面で自分が何をしたかを思い出しておく
議論での姿と本人の経験の一致第3次試験の個別面接で、集団の場での振る舞いを本人に確かめられる討論で自分が取りやすい役回りを、過去のどの経験で身につけたのかを言えるようにする
提出した志望動機と口頭の一致第1次試験の合格後に、志望動機等の追加情報を入力フォームから提出する提出前に控えを残し、そこに書いた内容だけで会話が続くか読み返す
自宅で受けた検査と面接での姿の一致第1次試験の性格検査を、能力検査の前に自宅から受ける方式である性格検査は落ち着いた環境で正直に答え、その結果を面接で打ち消さない

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

宇陀市では最終段階が個別面接ですから、この掘り下げが結果を大きく左右します。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを、時間をかけて用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。宇陀市は段階ごとに種目の性格が変わりますので、順番に沿って積み上げるのが確実です。

  1. 最新年度の採用試験案内で、自分が申し込む職種の試験種目を確認する(市は年度内に別枠の採用試験も実施しています)
  2. SPI3の能力検査に慣れておく。性格検査は能力検査の前に自宅から受ける方式ですので、落ち着いて答えられる時間帯を確保しておく
  3. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  4. グループディスカッションの練習をする。結論を出すことより、話が滞ったときに自分がどう関われるかを試しておく
  5. この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い宇陀市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 志望動機を文章にまとめ、そのうえで声に出して話す。第1次試験の合格後に提出する内容と、個別面接で語る内容がそろうようにしておく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、他と差をつけるための上乗せの工程です。時間が足りないなら、先に片づけるのはステップ3とステップ4です。第2次試験はグループディスカッションだけで構成されますので、そこを越えなければ個別面接の準備を使う場面が来ません。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、宇陀市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

宇陀市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

宇陀市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度(令和9年4月1日採用予定)の一般行政事務職では、第2次試験がグループディスカッション、第3次試験が個別面接という並びで、種目ごとの配点は公表されていませんでした。しかも採用予定は新卒枠と職務経験者枠がどちらも4人程度です。

2万6千人が247.50km²に暮らし、高齢化率が県内の市で最も高いこの土地で、自分は誰に何を届けたいのか。

議論の場で見せた姿と、一対一で語る自分が重なるところまで、手持ちの経験を言葉にしていってください。