本記事では、大和高田市職員採用試験の面接対策で必要な、大和高田市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

大和高田市役所の面接試験では、「なぜ大和高田市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。大和高田市の一般事務職は、三段階のうち後半の二段階がどちらも個人面接という構成です。

人物を確かめる場が続けて置かれています。

本記事で扱う試験の構成は、令和8年度(令和9年4月採用予定)の大和高田市職員採用試験実施要項で確認できた範囲のもので、記述は一般事務職を基準にしています。土木技術職は市独自の試験ではなく奈良県・市町村土木職員採用共同試験の枠組みで募集されますので、該当する方は本記事の該当箇所と共同試験の案内をあわせてご確認ください。

第1部|自治体研究編

大和高田市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは大和高田市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 市域の面積は16.48km²で、奈良県内の12市の中で最も小さい。人口密度は約3,722人/km²と、県内12市の中で最も高い。
  • 人口は61,336人(令和8年1月1日現在)で、県内12市の中では6番目の規模。
  • 高齢化率は33.7%で、奈良県全体の32.7%を1ポイント上回る(同日現在)。75歳以上は12,082人(19.7%)で、県の19.8%とほぼ同じ水準。
  • 隣接するのは橿原市・御所市・香芝市・葛城市と北葛城郡広陵町。接するのは県内の自治体のみで、府県境には面していない。
  • 市は将来都市像を「笑顔の花咲くまち大和高田〜みんなで奏でる幸せのハーモニー〜」と定めている。
  • 中心市街地と生活拠点を結ぶ交通ネットワークの形成と再構築に努め、コンパクトで利便性の高いまちの維持と発展に取り組むとしている。
  • 職員採用試験を実施するのは大和高田市職員採用試験委員会(企画政策部人事課内)。一般事務職の募集は大学区分と高校区分を合わせて24人程度。
  • 土木技術職は市の単独試験ではなく、県と県内の市町村が共同で行う採用試験の枠組みで募集している。
  • 市の花はコスモス、市の木はサザンカ。

大和高田市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「大和高田市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、6万人という人口の内訳と市域の広さに、奈良県全体の値を添えました。この市の場合、いちばん目を引くのは面積の欄です。

項目内容
総人口61,336人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口20,681人(総人口の33.7%)
75歳以上人口12,082人(総人口の19.7%)
総面積16.48km²(奈良県内の12市では最も小さい)
人口密度約3,722人/km²(上記の総人口と総面積から算出。県内12市では最も高い)
隣接自治体橿原市、御所市、香芝市、葛城市、北葛城郡広陵町
市役所所在地〒635-8511 奈良県大和高田市大字大中98-4
市の花・市の木市の花はコスモス、市の木はサザンカ
(参考)奈良県の総人口1,293,345人(令和8年1月1日現在)
(参考)奈良県の高齢化率32.7%(同日現在。75歳以上は19.8%)

総人口・年齢別人口・高齢化率および県内の順位は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の市区町村別の数値によるものです。面積・隣接自治体・市の花木は公表値によります。人口密度は、この表に載せた総人口と面積から当研究会が計算しました。県が国勢調査をもとに公表する人口とは調査の基準が異なるため、この表の値と国勢調査の値をつないで増減を計算することはできません。比較する場合は同じ基準の値どうしで行ってください。

数字から考えられる市政課題

大和高田市の数字は、面積の小ささに集約されます。16.48km²という市域に6万人余りが暮らし、人口密度は約3,722人/km²と県内12市の中で最も高い水準です。

市域の端から端まで歩ける規模のまちに、県内で6番目の人口が収まっているということになります。

加えて高齢化率は33.7%と、奈良県全体の32.7%を1ポイント上回ります(いずれも令和8年1月1日現在)(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。

この条件は、行政にとって有利にも不利にも働きます。移動距離が短いので、窓口も施設も相対的に近い。

一方で、市域が狭いということは新しく使える土地が限られるということでもあり、施設の再配置や土地利用の見直しには制約がかかります。

市が交通ネットワークの再構築とコンパクトなまちの維持を掲げているのは、この条件の裏返しだと読めます。県内で一番小さいという条件は、答えにこう生かせます。

「大和高田市は6万人ほどが暮らすまちですが、面積は県内の市で一番小さいと知りました。だから施設も窓口も近いのだと思います。ただ、65歳以上の方の割合が3割を超えていますので、近さを生かして早めに支援につなげる仕組みに関わってみたいです」

大和高田市の経済・産業

奈良県の人口が置かれた状況

  • 奈良県の総人口は、令和7年国勢調査の速報集計で1,269,180人。前回の令和2年調査に比べ4.2%(55,293人)少ない。全国では27位で、前回の29位から順位は上がった。
  • 世帯数は544,878世帯。前回調査との差は103世帯(0.02%)の減にとどまり、全国では30位。
  • 県の推計人口年報(令和7年10月1日現在)によれば、市部に1,013,933人、郡部に260,263人が住む。
  • 人口密度は県平均345.2人/km²。市部797.0人、郡部107.6人と、地域による開きが大きい。
  • ソックス類の出荷額で全国シェア約57%を占める靴下が、県を代表する地場産業。繊維産業は県の製造業について事業所数の約16%、従業者数の約9%にあたる。

ここに表れているのは、人の数は4%を超えて減ったのに、世帯の数はほとんど変わっていないという形です。

世帯が小さくなりながら数を保っているということで、行政が向き合う相談や手続の件数は、人口の減り方ほどには減りません(出典:令和7年国勢調査 奈良県の人口速報|令和7年)。

人口減少を語るとき、この点を落とすと現場の実感からずれた話になります。

減っている分の中身

県の推計人口年報が示す直近1年(令和6年10月から令和7年9月まで)の減少幅は10,898人でした。

その中身は、自然増減の11,321人減(出生6,544人・死亡17,865人)と、社会増減の423人増(転入28,889人・転出28,466人)です(出典:奈良県推計人口年報|令和7年10月1日現在)。

転入と転出はほぼ均衡しており、差を生んでいるのは出生と死亡の開きです。定住促進の施策を語るなら、この構造を踏まえたうえで何を狙うのかまで言えるようにしておきましょう。

県内で分かれて立つ地場産業

奈良県では、地場産業の産地が市町村ごとに分かれています。

靴下は広陵町が生産量日本一、鹿革と毛皮は宇陀市が全国唯一の産地、三宅町は野球用のグラブとミット、吉野町と下市町は吉野杉や桧の端材を使った割り箸。狭い県土に別々の集積が並んでいます(出典:奈良県の地場産業|平成28年経済センサス)。

県内の隣り合う自治体でも産業の顔が違うということですから、地域経済の話題では県全体の平均で語らないほうが安全です。

観光の規模と、海のない県という条件

観光では、令和6年の奈良県の入込客数が約4,362万人。訪日外国人の県内訪問者数は約314万人で全国7位です(出典:奈良県の観光データ|令和6年)。

同時に奈良県は紀伊半島の中央部にある内陸県で、海に面しておらず港湾を持ちません。県の総面積3,690.94km²のうち6割強は南部の山地で、吉野川を境として北の低地帯と南の山岳地帯に分かれます。

訪れる人の多さと、物流の条件の制約。この二つを同時に頭に置いておくと、産業の話題で見当違いの答えを避けられます。

狭い市域で暮らすということ

約3,722人/km²という人口密度は、市域のほぼ全体が人の暮らす場になっているということを意味します。

空き地を新たに確保して施設を建てるという発想は取りにくく、すでにあるものをどう使い直すかが中心になります。

市が中心市街地と生活拠点を結ぶ交通ネットワークの形成と再構築を掲げているのも、この条件の中で暮らしの利便性を保つためだと考えられます。都市計画や公共施設のマネジメント、地域交通に関心があるなら、ここが話の入口になります。

大和高田市の主な行政課題

ここまでの数字と市の方向性を踏まえて、大和高田市が向き合う課題を5つに整理しました。志望分野に近いものを一つ選び、そこだけは掘り下げてから本番に臨んでください。

県平均を上回る高齢化

高齢化率33.7%は奈良県全体の32.7%を1ポイント上回ります(令和8年1月1日現在)。65歳以上20,681人のうち12,082人が75歳以上で、高齢者のおよそ6割が後期高齢の年代です。

人が密に暮らす市域ですから、支援の必要な方の住まいが分散しておらず、地域の中で見守りの網をかけやすいという利点はあります。ただし対象となる人数そのものは、狭い範囲に厚く積み上がります。

近いからこそ回せる仕組みを、意識してつくれるかどうかが問われる条件です。

財政の健全化という制約

大和高田市の職員採用試験実施要項には、給与の説明に続けて市の財政健全化に資することを目的に一部の手当について減額措置を講じていること、同じ目的で職責に応じて給料月額の減額を行う場合があることが明記されています(出典:令和8年度大和高田市職員採用試験実施要項|令和9年4月採用予定)。

採用の入口でこれを書いているということは、財政の立て直しが市政の前提として続いているということです。

何かを新しく始めるには何かを見直す必要がある、という条件の下で優先順位を判断する場面が、日々の仕事に出てくると考えておきましょう。

人口減少という共通の前提

人口が前年より増えた市町村は県内に一つもなかったことが、奈良県の推計人口年報(令和7年10月1日現在)から分かります。

合計特殊出生率は県全体で令和5年時点の1.21(全国平均1.20)、出生数は6,943人で過去最少を更新しました。

県の人口が1999年に約144万9千人でピークを打ってから減少が続いており、国立社会保障・人口問題研究所は2050年に約95万人と推計しています(出典:第3期奈良県まち・ひと・しごと創生総合戦略|令和6年)。

第3期の県総合戦略は、東京圏への大幅な転出超過が続いていること、令和2年時点で25歳から39歳の女性の未婚率が42.9%と全国6位の高さにあることも課題に挙げています。

内陸活断層による地震への備え

奈良県の想定で最大の被害が見込まれているのは、奈良盆地東縁断層帯の地震(マグニチュード7.5・最大震度7)です。

県全体で死者数は最大5,153人、建物全壊は114,209棟(揺れによるもの)と見積もられています。

中央構造線断層帯の地震(マグニチュード8.0・最大震度7)は死者4,319人・全壊93,041棟、生駒断層帯の地震(マグニチュード7.5・最大震度7)は死者4,257人・全壊93,543棟。

これらに比べると、南海トラフの地震(マグニチュード8.7)は県内最大震度6弱で、死者4人・建物全壊1棟(揺れによるもの)という想定です(出典:都道府県による地震被害想定結果(概要)|奈良県想定)。

奈良県で警戒の中心にあるのは海溝型ではなく足元の活断層です。人口密度の高い市域では、避難所の収容力や生活再建の段取りが早い段階で問われることになります。

想定値は改定されることがあります。受験前には、県と市の防災担当が公表する最新版もあわせて確認してください。

土木職員の確保を県内で共同して行う仕組み

大和高田市は、土木技術職を市の単独試験ではなく「奈良県・市町村土木職員採用共同試験」の枠組みで募集しています。

この共同試験の実施団体は、大和高田市のほか斑鳩町・安堵町・川西町・吉野町・下市町・天川村・野迫川村・川上村と、奈良県広域水道企業団、奈良県人事委員会です(出典:令和8年度 奈良県・市町村土木職員採用共同試験案内|令和8年度)。

技術職の確保を単独の自治体では担いきれないため、県と市町村が組んで一つの入口をつくっているということです。専門人材の確保という論点は、規模の大きくない自治体ではどの分野にも共通します。

重点政策|将来都市像が示している方向

大和高田市は、将来都市像を「笑顔の花咲くまち大和高田〜みんなで奏でる幸せのハーモニー〜」と定めています。市自身の説明によれば、自然・歴史・文化の環境整備と定住環境の整備を続けながら、中心市街地と生活拠点を結ぶ交通ネットワークの形成と再構築に努め、コンパクトで利便性の高いまちの維持と発展に取り組むというのが、その中身です。

ここで注目したいのは、掲げられている柱がどれも今あるものを保ち、つなぎ直す方向を向いていることです。

新しい拠点をつくるのではなく、中心市街地と生活拠点を結ぶ。まちを広げるのではなく、コンパクトな形を維持する。

16.48km²という市域の広さと、財政の健全化を続けている状況を重ねると、この方向づけには理由があると分かります。志望動機を練るときは、「増やす」よりも「つなぐ」「保つ」「使い直す」という動詞で考えてみてください。

なお、個別の計画名や事業名は年度によって入れ替わりますので、志望分野に近いものは市の公式サイトで現行版を直接開いて確かめてください。

志望分野を絞り込む視点

計画に載っている事業名を暗記しても、自治体研究にはなりません。関心のある分野を一つか二つに決めて、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指しているか → ③今どんな事業があるか → ④市役所だからこそ担える部分はどこか → ⑤自分の経験や強みをどう生かせるか」の順にたどってみてください。

大和高田市の場合、②の答えは将来都市像とその説明の中に置かれていますので、そこから逆算すると筋が通しやすくなります。

POINT|計画の名称を丸暗記しなくてよい

名称を挙げられることより、志望分野と大和高田市の事情がどこで結び付くかを説明できるほうが、二度の個人面接では効きます。

悪い例「大和高田市をもっと活気のあるまちにしていく仕事がしたいです」

改善例「はじめは窓口の仕事から覚えたいです。その上で、大和高田市は面積が県内の市で一番小さくて、中心市街地と生活拠点を結ぶ交通に力を入れていると知りましたので、高齢の方が移動しやすい形を整えていく仕事に関わりたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

次の4つは、申込書類を書き始める前に手元に揃えておきたいものです。目を通すだけで終わらせず、要点を声に出して説明できるところまで仕上げてください。

  • 大和高田市職員採用試験実施要項(自分が申し込む職種のもの。最新年度)
  • 大和高田市の総合計画と、志望分野に近い分野別の計画
  • 最新年度の当初予算と、市政運営について市長が示した説明
  • 大和高田市の人口や世帯に関する統計

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、大和高田市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。大和高田市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

大和高田市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

大和高田市役所の面接の概要

ここからは、大和高田市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、差がつく質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

大和高田市役所の面接の流れ

令和8年度(令和9年4月採用予定)の実施要項によると、大和高田市の採用試験は第1次から第3次までの三段階です。第1次試験は全国のテストセンターで受ける基礎能力試験と職場適応性検査、第2次試験と第3次試験はいずれも市内で行われます。

一般事務職に絞ると、第2次試験も第3次試験も個人面接だけという構成になります。実施要項に集団討論や集団面接の記載はありません。

筆記の段階を越えた後は、一対一の受け答えが二度続いて合否が決まる試験だということです。

項目内容(令和8年度・令和9年4月採用予定・一般事務職を基準)
実施主体大和高田市職員採用試験委員会(企画政策部人事課内)が実施します
試験の段階三段階(第1次試験・第2次試験・第3次試験)で行われます
第1次試験基礎能力試験と職場適応性検査を、全国のテストセンターで受験します(機械職(2)のみ、これに加えて市内で専門試験があります)
第2次試験保育士・幼稚園教諭以外は個人面接のみ。保育士・幼稚園教諭は個人面接と実技試験です。いずれも市内で実施されます
第3次試験全職種が個人面接。市内で実施されます
集団形式実施要項に集団討論・集団面接の記載はありません
配点市独自試験の各試験種目の点数は、令和8年度の実施要項には示されていません。最新の実施要項でご確認ください
募集人数一般事務職は大学区分と高校区分を合わせて24人程度、機械職(1)(2)を合わせて1人程度、保育士・幼稚園教諭3人程度、保健師1人程度
申込方法提出書類を簡易書留郵便で発送したうえで、奈良スーパーアプリを使ってインターネットで申し込む二段構えです。WEB申込の際に簡易書留の問い合わせ番号を記入します
申込時の提出書類試験申込書、学歴及び職歴(追加する場合のみ)、自己PRシートの3点。様式は市ホームページからのダウンロードのみで、市役所内での配布は行われません
自己PRシート受験者本人が消えないボールペンで自筆し、A4サイズ1枚に印刷して提出します
試験当日の提出書類第2次試験の面接日当日に、最終学校の卒業(見込)証明書などを提出します
成績開示不合格者本人に限り、総合得点と総合順位が開示されます。開示期間は各試験結果の公表日から起算して2週間、場所は市役所人事課です
土木技術職の枠組み市の単独試験ではなく、奈良県・市町村土木職員採用共同試験で募集されます

準備に直結する記載が二つあります。一つは、棄権または欠席したものが1つでもある場合は、それ以降の試験を受験できず失格になるという一文です。

三段階のどこかを都合で飛ばすという選択肢はありません。

もう一つは提出書類です。自己PRシートは本人が手書きで作成し、学歴及び職歴は無職や予備校、休職の期間も含めて中学校卒業から申込み時点まで空白なく記載することとされています。

書いた内容がそのまま二度の個人面接の材料になると考えて、時間をかけて仕上げてください。

なお、行政職給料表の初任給月額は大学卒232,000円、短大卒216,500円、高校卒200,300円と要項に示されています。

上記の試験構成は、大和高田市の令和8年度職員採用試験実施要項(令和9年4月採用予定)に記載された内容にもとづくもので、一般事務職を基準に整理しています。土木技術職は奈良県・市町村土木職員採用共同試験の枠組みで募集されます。試験の構成・日程は年度や職種によって変わりますので、受験の際は必ずご自身の職種の最新の実施要項でご確認ください。

土木技術職を志望する場合の枠組み

土木技術職は、県と県内の市町村が共同で行う採用試験の枠組みで募集されます。

第1次試験の筆記は県と市町村が共同で実施し、第2次試験以降は各自治体が自分の第1次合格者に対して個別に行う、という切り分けです。第1次試験は択一式で、教養試験100点と専門試験100点の計200点満点。

Ⅰ種は大学卒業程度、Ⅱ種は高等学校卒業程度の出題で、合計得点の高い受験者から順に、志望する自治体を優先して第1次合格者が決まります。大和高田市の採用予定人数はⅠ種の前期日程で2人程度、Ⅱ種の採用予定はありません。

この枠組みには特徴が二つあります。志望する自治体を第3志望まで選べるため、第1志望で不合格でも第2志望や第3志望で合格となる場合があること。

そして前期日程で採用予定人員を確保できず必要と判断された場合に限り、後期日程(Second Chance)が実施されること。

第2次試験の種目は「口述試験/論作文試験/適性検査 等」とされ、実施する種目は自治体によって異なります。受験する場合は、県の職員採用情報サイトと大和高田市のホームページの両方で確認してください。

大和高田市役所が求める人物像

市独自試験の実施要項には、求める人物像として定型化された記載が見当たりません。

ただし、前節で触れた奈良県・市町村土木職員採用共同試験の案内に市が寄せた自治体紹介欄には、それにあたる一文が置かれています。

だれもが安心して暮らし続けることができるまちづくりに共にチャレンジしてくれる職員を求めているという記載です。将来都市像と交通ネットワークの再構築という説明に続けて、この一文が置かれています。

土木職の募集案内に寄せられた文章であることは、頭に入れたうえで読んでください。

引用はここまでです。この短い一文をどう受け取るかを、以下では当研究会なりに掘り下げます。

注目したいのは「共に」という語です。誰かが決めた計画を実行する人ではなく、一緒に取り組む相手として職員を見ている書き方だといえます。

そして「チャレンジ」の中身は、この市の条件から絞り込めます。16.48km²という限られた市域、県平均を上回る高齢化、そして財政健全化のために手当の減額措置まで講じている状況。

この三つが揃っている場所での挑戦とは、大きな新規事業を立ち上げることではなく、いま持っているものを組み替えて暮らしを保つことのはずです。

組織の側の条件も添えておきます。一般事務職の募集は、大学区分と高校区分を合わせて24人程度とされています。

その一方で、財政の健全化のために手当の減額措置まで講じている市でもあります。人は迎えるが支出は締める。

この二つが同時に進んでいる場所では、新しい仕事を足していくより、いま回っている仕事の手順を見直して時間を生むほうが求められやすいのではないかと当研究会は受け取っています。

16.48km²という市域なら、見直した結果が住民の側にどう届いたかも比較的早く返ってきます。

以上を踏まえると、準備の起点は申込書類に置くのが合理的です。自己PRシートは手書きで提出し、その内容をもとに二度の個人面接を受けます。

面接で話す材料は、申込みの時点ですでに自分の手を離れているということです。

書きながら、この一文を掘られたら何と答えるかを声に出して確かめておく。その一手間を挟んだかどうかが、二度の面接での落ち着きを分けます。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。大和高田市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までは迷わずお越しになれましたか?第2次試験も第3次試験も市内で行われます。構えていない場面での受け答えの調子
② 動機・志望なぜ公務員を志望するのですか?行政という選択が、6万人が密に暮らすまちで働く姿と結び付いているか
③ 自己理解自己PRシートに書かれた内容を、もう少し詳しく教えてください手書きで提出した文章と、口頭で語る人物像が一致しているか
④ 経験・行動限られた条件の中で工夫した経験を教えてください使える資源が少ない状況で、何を優先し何を諦めたか
⑤ 学業・経歴この期間は何をされていましたか?中学校卒業から申込み時点まで空白なく書く様式です。経歴を自分の言葉で説明できるか
⑥ 適性・将来希望と違う部署に配属されたらどうしますか?幅広い仕事を引き受ける構えが、具体的な言葉で語れるか
⑦ 公共性・社会性最近気になったニュースはありますか?県全体の話題を、面積の小さいこのまちの事情に置き換えて考えられるか

多くの受験者が同じ範囲を仕上げてきますから、ここで開く差はわずかです。二度の個人面接で他と分かれる材料は、次に挙げる大和高田市固有の質問の側にあります。

合否を分けるのは「大和高田市役所ならでは」の質問

「なぜ奈良県庁ではなく、大和高田市役所を志望するのですか?」
「大和高田市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「大和高田市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい大和高田市の事実答え方のヒント
なぜ県庁ではなく市役所か市の採用試験は大和高田市職員採用試験委員会(企画政策部人事課内)が実施。一方で土木技術職は県と県内市町村の共同試験の枠組みで募集している広域と基礎自治体の一般論を並べるより、住民との距離が近い市域で働きたい理由を自分の経験から述べる
市域の広さと密度面積16.48km²は県内12市で最も小さく、人口密度は約3,722人/km²で県内12市の中で最も高い近さという条件が、支援を早く届けることにどう働くかを具体的な仕事の場面で語る
将来都市像「笑顔の花咲くまち大和高田〜みんなで奏でる幸せのハーモニー〜」を将来都市像とし、中心市街地と生活拠点を結ぶ交通ネットワークの形成と再構築、コンパクトで利便性の高いまちの維持に取り組むとしている言葉をそのまま引くだけで終わらせず、自分の志望分野がこの方向のどこに位置するかを示す
人口と年齢の構成61,336人で県内12市の6番目。高齢化率33.7%は県全体の32.7%を上回り、75歳以上は19.7%(令和8年1月1日現在)県平均を上回るという事実を挙げたうえで、密に暮らす市域だからできる支え方に話をつなぐ
財政の状況財政健全化に資することを目的に、一部の手当について減額措置が講じられていることが試験の実施要項に明記されている批判や不安として扱わず、限られた財源で優先順位を決める仕事だと理解している姿勢を示す

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

市が掲げるのは、共にチャレンジしてくれる職員という一文です。

この言葉に照らして、これまで実際にどう動いてきたかを確かめるのが面接の役割になります。いわゆるコンピテンシー評価の考え方が下敷きにあり、答えの整い方ではなく経験の中身と行動の再現性が見られていると考えてください。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
共に取り組む姿勢市は「共にチャレンジしてくれる職員」を求めると記している一人でやり遂げた話より、誰かと組んで前に進めた場面を選んで用意する
手書きの書類と口頭の一致自己PRシートを本人が自筆で提出し、その内容が二度の面接の材料になる書き上げた自己PRシートの控えを取り、記載した出来事だけで会話が続くか確かめる
経歴を自分の言葉で語れること学歴及び職歴は中学校卒業から申込み時点まで空白なく記載する様式である説明しにくい期間があるなら、そこで何を考えどう過ごしたかを先に言葉にしておく
限られた条件で優先順位をつける力財政健全化のための減額措置が実施要項に明記されている市である何かを選び何かを見送った経験を、判断の理由まで含めて話せるようにする

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

大和高田市は個人面接が二度続きますので、同じ話題を別の面接官から掘られる前提で備えておきましょう。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えが、二度分の受け答えを支えます。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。大和高田市は申込の段階で手書きの書類を作りますので、そこを起点に組み立てるのが結局は早道です。

  1. 最新年度の実施要項で、自分が申し込む職種の試験種目と申込の手順を確認する(提出書類を簡易書留で送ってから、奈良スーパーアプリでWEB申込という二段構えです)
  2. 学歴及び職歴を、中学校卒業から申込み時点まで空白なく書き出す。説明しにくい期間があれば、そこで何をしていたかを先に言葉にしておく
  3. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  4. 自己PRシートを手書きで仕上げる。書きながら、その一文ごとに掘り下げられたら何と答えるかを考えておく
  5. この記事の第1部を読み返し、志望分野に近い大和高田市の事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  6. 7カテゴリーの代表質問に一言メモで答えを作り、声に出して練習する。個人面接が二度続きますので、同じ話題を二通りの長さで話せるようにしておく

優先順位に注意

ステップ5に置いた自治体研究は、他の受験生に差をつけるための上積みです。時間が足りないなら、先に片づけるのはステップ3とステップ4です。自己PRシートは手書きで提出したら書き直せませんし、そこに書いた内容が二度の面接で参照されます。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、大和高田市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

大和高田市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

大和高田市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度(令和9年4月採用予定)の一般事務職では、三段階のうち後半の二段階がどちらも個人面接で、集団形式の記載はありませんでした。しかも入口には、手書きの自己PRシートと、中学校卒業からの経歴をすべて書く様式が置かれています。

県内の市で最も小さい16.48km²の市域に6万人が暮らし、財政の立て直しを続けながらコンパクトなまちを保とうとしている場所で、自分は何に共に取り組みたいのか。

紙に書いた言葉と、面接で口にする言葉が同じになるところまで、手持ちの経験を整理していってください。