本記事では、高島市職員採用試験の面接対策で必要な、高島市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
高島市役所の面接試験では、「なぜ高島市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。
以下は令和8年度(令和9年4月)採用の第1期試験、なかでも一般行政職(上級)を軸に整理した内容です。高島市はこの第1期試験から選考の作りを大きく変えており、第2期の募集では受験できる年齢の下がる早期採用枠の新設も予定されています。
ほかの職種や第2期を受ける方は、該当する実施要項と読み比べながら使ってください。
第1部|自治体研究編
高島市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは高島市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 琵琶湖の西部に広がり、総面積は約693平方キロメートル。うち181.64平方キロメートルは琵琶湖の水面が占める。
- 平成17年1月1日に、マキノ町・今津町・朽木村・安曇川町・高島町・新旭町の5町1村が合併して発足した市。
- 東部は琵琶湖に、南西部は比良山地を境に大津市および京都府に、北西部は饗庭野・野坂山地を境に福井県に接する。
- 人口は4万4,473人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。
- 65歳以上が37.6%、75歳以上が22.1%(同)。同じ統計で滋賀県内の19市町を並べると、いずれも最も高い水準にあたる。
- 日本海側に近いため冬の寒さが厳しく積雪も多い日本海側気候で、秋には「高島しぐれ」と呼ばれる降雨がしばしばある。
- 陸上自衛隊饗庭野演習場があり、航空自衛隊饗庭野分屯基地も市内に所在する。
- 消防は市が単独で設置する高島市消防本部が担い、消防職も市の職員採用試験で募集される。
- 令和8年度第1期試験から選考プロセスを大幅に見直し、第3次試験を廃止して二段階の選考に改めた。
高島市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「高島市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
高島市を数字で見るときは、面積と人口を別々に眺めるより、その二つの比を意識してください。市域の広さに対して人が少ないという関係が、行政サービスの設計にそのまま効いてきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 44,473人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 1万6,704人(37.6%) |
| うち75歳以上人口 | 9,831人(22.1%) |
| 総面積 | 693.05平方キロメートル(うち琵琶湖の面積が181.64平方キロメートル) |
| 人口密度 | 約64人/平方キロメートル(上記の総人口と総面積から算出) |
| 接している自治体 | 滋賀県内は大津市、長浜市。京都府は京都市、南丹市。福井県は小浜市、敦賀市、若狭町、美浜町、おおい町 |
| 市の成り立ち | 平成17年1月1日に、マキノ町、今津町、朽木村、安曇川町、高島町、新旭町の5町1村が合併して発足 |
| 市役所の所在地 | 高島市新旭町北畑565 |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。本文で比べている滋賀県全体および県内他市町の割合も、同じ統計から取っています。人口密度は、この総人口を総面積で割って算出しました。総面積・接している自治体・市役所の所在地は、当研究会が整理した基礎データによります。滋賀県が別に公表している推計人口は調査の基準が異なりますので、この表の値と並べて増減を計算することはできません。
数字から考えられる市政課題
高島市の65歳以上は37.6%。滋賀県全体の27.3%を10ポイント以上、上回ります。
75歳以上に絞ると県の15.8%に対して22.1%で、市民の5人に1人以上が75歳以上という年齢構成です。医療・介護・見守りが業務量の中心にあることは、どの部署を志望するとしても前提になります。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)
もう一つの数字が密度です。4万4,473人が693.05平方キロメートルに暮らし、1平方キロメートルあたりは約64人。
市域の4分の1あまりを琵琶湖の水面が占めるとはいえ、人の少なさに対して受け持つ土地が広いという関係は変わりません。
県全体の見通しも厳しく、県の総合戦略の資料は、国立社会保障・人口問題研究所の平成30年推計として、滋賀県の総人口が126.3万人(2015年より10.6%減少)まで縮み、高齢化率は35%近くに達し、一部の市町では40%を超える可能性があるという見込みを示しています。
すでに37.6%の高島市は、その「一部の市町」の姿を先に映していると読むのが自然な受け止め方です。(出典:人口減少を見据えた幸せが続く滋賀総合戦略(概要版)|滋賀県)
高島市の経済・産業
製造業に厚みのある県と、その西端にある市
滋賀県の県内総生産(名目)は令和5年度で7兆3,625億円、名目で前年度比4.4%の増加でした。産業別の構成比は第1次産業0.4%、第2次産業46.7%、第3次産業52.4%で、製造業だけで41.6%を占め、その特化係数は2.02と全国値のおよそ2倍にあたります。
ただし、この製造業の集積は交通の便に恵まれた県の南部から東部に厚く、高島市は琵琶湖を挟んだ西側、比良山地と野坂山地に囲まれた位置にあります。
県全体の強みをそのまま自分の市の強みとして語れる立地ではないという点は、志望動機を組み立てるうえで押さえておきましょう。(出典:滋賀県民経済計算|令和5年度)
雪と湖に挟まれた地理条件
高島市は日本海側に近く、冬季の寒さが厳しく積雪量の多い日本海側気候に属します。滋賀県内には雪崩危険箇所が443箇所あり、豪雪地帯には高島市の旧マキノ町・旧今津町・旧朽木村の区域が指定されています。
秋には「高島しぐれ」と呼ばれる降雨がしばしばあることも、市が自ら気候の特徴として説明している事柄です。除雪と冬季の交通確保が、毎年繰り返し必要になる業務として市政に組み込まれているという前提を持っておいてください。(出典:高島市の位置と地勢|高島市/滋賀県の雪崩危険箇所と豪雪地帯|滋賀県)
湖の景観と信仰が支える観光
白鬚神社はJR近江高島駅の南東約2キロメートルにあり、湖中に立つ朱塗りの大鳥居で知られる近江最古の大社です。延命長寿の神として親しまれ、毎年9月に秋季大祭が行われます。
県全体で見ると、令和5年の延べ観光入込客数は5,032万8,036人。前年から10.7%増え、令和元年と比べると6.9%少ないという、感染症拡大前のおよそ9割という位置でした。
湖の景観そのものが観光資源になる市ですから、観光を志望分野に置くなら、景色の紹介ではなく、訪れた人をどう滞在や消費につなげるかという段階まで考えておきましょう。(出典:白鬚神社|高島市/滋賀県観光入込客統計調査(確定値)|令和5年)
高島市の主な行政課題
ここまでの数字と地理を、市役所の仕事の側から並べ直してみます。面接で「高島市の課題」を問われたときのために、次の4つを手元に置いておきましょう。
県内で最も進んだ高齢化
65歳以上37.6%、75歳以上22.1%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)という構成は、滋賀県内の19市町で最も高い水準です。
滋賀県全体でも2016年以降の自然減が続き、日本人住民に限れば2013年以降の社会減も重なっていて、県は令和8年度の予算編成で人口構造の変化を正面に据えました。高島市の場合、支える側の人数が減ることと、支えられる側が増えることが同時に進んでいます。
サービスを増やす議論よりも、どこに人と予算を残すかを決める議論のほうが多くなる局面です。福祉分野を志望するなら、その優先順位の付け方まで自分の考えを持っておきましょう。
広い市域と冬の備え
693.05平方キロメートルに人口密度は約64人。豪雪地帯に指定された区域を抱え、県内の雪崩危険箇所は443箇所にのぼります。
集落は湖岸から山あいまで散らばり、冬には道路の確保そのものが行政課題になります。同じ人数の職員でも、面積が広く冬の条件が厳しいほど一つの業務にかかる手間は増えるという関係は避けられません。
そこに高齢化が重なると、雪の日に病院へたどり着けるかどうかという、きわめて具体的な問題に変わります。
琵琶湖西岸断層帯地震への備え
滋賀県の地震被害想定は、琵琶湖西岸断層帯や花折断層帯など内陸活断層6ケースの地震と、南海トラフ巨大地震を対象としています。このうち被害が甚大とされるのが琵琶湖西岸断層帯地震で、県の想定は大津・南部・高島地域を被害の中心に置いています。
冬の夕方に発災するケース2では、想定最大震度7、県全体で建物全壊38,504棟・半壊83,856棟、死者1,992人・負傷者17,199人、全避難者249,534人と見込まれています。
高島市は、この想定で名指しされている地域の一つです。
防災を志望動機に置くなら、この規模感を踏まえたうえで、平常時に何を積み上げるかまで話を進めてください。(出典:滋賀県地震被害想定(概要版)|平成26年3月)
合併から20年あまりを経た市域の運営
高島市は平成17年に5町1村が合併して生まれました。それぞれの旧町村には固有の歴史と生活圏があり、市域は湖岸から山間部まで693平方キロメートルに及びます。
合併から20年あまりが過ぎ、公共施設をどう維持するか、地区ごとの事情をどう調整するかという問いは、いまも市政に残り続けています。市の仕事を語るときは、市全体を一つのまとまりとして扱うのではなく、地区によって条件が違うという前提を置いておくと、話に厚みが出ます。
重点政策|湖と山に挟まれた市域を支える
高島市の政策の方向は、これまで並べた条件が重なるところに現れます。琵琶湖の水面を含む693平方キロメートルという市域、県内で最も高い高齢化率、豪雪地帯を含む冬の条件、そして5町1村が合併して生まれた成り立ち。
この4つが、福祉にも防災にも施設の運営にも同時に効いてきます。市の総合計画は公式サイトで公表されています。
上の4つの条件のうち自分が気になったものを一つ決め、その条件に触れている章を探すところから入ると読み進めやすくなります。
志望分野を絞り込む視点
自治体研究の到達点は、施策名をそらで言えることではありません。高島市なら、湖と山に挟まれた市域、県内でいちばん高い高齢化率、冬の雪、合併してできた成り立ちのうち一つを選び、その条件のもとで市が何を先に進めようとしているのかを読み取ってください。
自分の経験をどこに置けるかは、そのあとで決まります。
POINT|「自然が豊か」で止めない
琵琶湖と山に囲まれた市ですから、志望動機で自然の豊かさに触れたくなります。ただ、その一言だけでは面接官の次の問いに答えられません。その自然が市民の暮らしにどう作用しているのかまで、一点に絞って話してください。
悪い例「琵琶湖と山に囲まれた高島市の豊かな自然を守るまちづくりに携わりたいです」
改善例「冬の積雪が多い地域があると知りました。高齢の方が4割近くを占めるまちで、雪の日に病院へ行けるかどうかは暮らしに直結すると思います。除雪や移動の支援など、冬をどう乗り切るかという仕事に関わっていきたいです」
あわせて確認したい公式資料
高島市を受けるなら、まず実施要項を読み込むところから始めてください。今年度は選考の作りが変わっているため、以前の情報のままでは前提がずれます。
- 高島市職員採用試験の実施要項(第1期・最新版。試験の段階、面接の形式、募集人数、受験資格が一つにまとまっています)
- 高島市公式サイトの職員採用のページ(募集の系統と申込みの手順)
- 高島市の総合計画(市公式サイトの最新版を、志望分野に関わる章に絞って読む)
- 滋賀県地震被害想定・滋賀県民経済計算(高島市の防災と産業を、県全体の枠組みから理解できます)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、高島市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。高島市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
高島市役所の面接の概要
高島市の第2部は、他の市とは事情が違います。令和8年度第1期試験から選考の作りが変わり、面接の形式にも指定が入ったためです。
まずその中身を正確に押さえてから、質問の全体像へ進みます。
令和8年度第1期からの新しい選考
高島市は令和8年度(令和9年4月)採用の第1期試験から、選考プロセスを大幅に見直しました。第1次試験の内容は「事務能力検査」のみに一本化され、それまで実施していた適性検査・教養試験・記述試験は廃止されています。
さらに、すべての職種で第3次試験が廃止され、第2次試験までで合否が決まる形になりました。
実施要項には『人物重視』の採用試験と明記され、「学歴、学力に関わらず、高島市職員として働きたい方はぜひご応募ください。」という一文が置かれています。(出典:高島市令和8年度職員採用試験【第1期】実施要項)
| 項目 | 内容(令和8年度第1期・一般行政職〈上級〉) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験と第2次試験の二段階です。令和8年度第1期試験から、全職種で第3次試験が廃止されました |
| 第1次試験 | [能力検査]「事務能力検査」のみ。テストセンター方式で、所要時間は約50分です |
| 第1次試験の受け方 | 受験者が自分の都合に合わせて受験日時と会場を予約します。使用できる会場は近畿2府4県内に限られ、対象外の会場で受験した場合は無効になります。本人確認は写真付き身分証明書の提示によるため、受験票は不要です |
| 第2次試験 | [プレゼン型面接試験×個人面接試験]。事前に資料を作成し、プレゼンによる提案発表と質疑応答を行う面接試験で、所要時間は約30分×1回。会場は高島市役所です |
| 第2次試験の指定 | ポイントは「自己PRプレゼンテーション」×「個人面接」。市は「プレゼンの形式は完全に自由です!」としたうえで、締めくくりに必ず「だからこそ私は、高島市に必要な人財です」という一言を添えるよう求めています |
| 募集人数(第1期) | 一般行政職(上級)は8名程度。あわせて社会福祉士・保健師・心理職・森林職・文化財専門員が各1名程度、土木建築職(中級)1名程度、保育職(中級)5名程度、消防職(中級)2名程度が募集されました |
| 受験資格 | 昭和56年4月2日から平成17年4月1日までに生まれた方。市は「学歴は問いません。大卒程度の上級試験です。」と明記しています |
| 採用後について | 市は「採用後、市内または近隣市町に居住し、緊急時には迅速に対応できる方を希望します。」「普通自動車免許(AT限定含む)を保有される方を希望します。」と公表しています。いずれも要件ではなく希望として示されているものです |
| 初任給 | 一般行政職(上級試験・行政職給料表適用)の大学卒業程度で232,000円(基本給料月額、令和8年4月現在)。学歴や職歴等により調整されます |
| 申込みの方法 | 職員採用管理システム「Be-Smart」による申込みです。採用管理システムの利用であり、近隣自治体との共同実施や統一試験ではありません |
職種によって試験の中身は変わります。専門試験を実施する職種の第2次試験は「個人面接」のみで、プレゼン型は課されません。
おもな違いを次にまとめました。
| 職種 | 第1次試験 | 第2次試験 |
|---|---|---|
| 一般行政職・社会福祉士・保健師・心理職・森林職・土木建築職 | [能力検査]事務能力検査(約50分) | [プレゼン型面接試験×個人面接試験]約30分×1回 |
| 文化財専門員 | [能力検査]事務能力検査(約50分)に加え[文化財専門試験]。必要な識見、思考力、史料解読力、表現力等についての専門筆記試験と面接試験 | [個人面接試験]エントリーシートの記述内容について質問される面接。約20分×1回 |
| 保育職 | [保育専門試験]保育実技試験(ピアノ演奏、絵本の読み聞かせ、リズム表現等・約20分)と保育面接試験(約20分) | [個人面接試験]約20分×1回 |
| 消防職 | [能力検査]事務能力検査に加え[体力検査]。新体力テスト(文部科学省)に準拠し、当日に誓約書の提出が必要。未受験の場合は以後の試験を受験できません | [個人面接試験]約20分×1回 |
上記は、高島市令和8年度(令和9年4月)採用職員採用試験【第1期】の実施要項および市公式サイトの採用ページにもとづく内容です。試験の構成・科目・募集人数・受験資格等は、募集の期や年度によって異なります。第2期の募集では、受験できる年齢の下がる早期採用枠(上級試験)の新設が予定されています。受験の際は、必ずご自身が受ける期と職種の最新の実施要項をご確認ください。(参考:職員採用試験のご案内|高島市)
プレゼン型面接にどう備えるか
一般行政職を受けるなら、ここが準備の中心になります。第2次試験は約30分。そのなかにプレゼンによる提案発表と質疑応答の両方が入りますから、話し続ける時間は限られます。
形式は完全に自由とされていますが、締めくくりの一言だけは「だからこそ私は、高島市に必要な人財です」と指定されています。
この指定は、実はかなり親切な設計です。最後の一文が決まっているということは、そこへ向かって理屈が積み上がっているかどうかが評価の軸になるということだからです。
逆に言えば、自分の話がその一言と結び付かないまま終われば、指定どおりに言葉を添えても浮いてしまいます。
POINT|締めの一言から逆算して組み立てる
資料を作る前に、最後の一言を先に置いてください。そのうえで「高島市に必要」と言い切れる理由を2つか3つに絞り、それぞれに実際の経験を一つずつ当てます。市の課題に触れる場合も、思いつきの提案ではなく、自分が動いた経験と地続きの提案にしましょう。
悪い例「私は誰とでもすぐ打ち解けられます。高島市の魅力を全国に発信していきたいです。だからこそ私は、高島市に必要な人財です」
改善例「高齢の方が4割近くを占め、冬は雪も多いまちだと知りました。私は3年間、地域のサロンの運営を手伝い、来られなくなった方に声をかけて回りました。人が減っていく場所で誰かとつながり続ける工夫を、私は現場で考えてきました。だからこそ私は、高島市に必要な人財です」
高島市が求める人材像
実施要項には、求める人材像が4つ挙げられています。それぞれに説明が添えられているのが高島市の特徴です。
- 高島市への“熱い想い”を持っている人
「高島市の」職員として、高島市のために何ができるか、何が必要かを常に考え、まちづくりに対する自分自身の想いを語ることができる - 公務員としての高い志を持ち、高島市民の想い・願いを共有し、それらを行動に移せる人
「より良い市民生活の実現」のために働いているという意識を忘れず、市民の想いや願いに寄り添いながら、目指すべき目標に向かって行動できる - 豊かな感性を持ち、人間的な魅力を備えた人
相手の話をじっくり聴き、その想いを理解し、尊重することができる「感性の豊かさ」や「包容力」、そして「素直な気持ち」を持っている - 広い視野と柔軟な思考力があり、最後まで職務をやり遂げることができる人
社会の変化を敏感に察知し、前例や常識にとらわれず、目標を達成するために創意工夫をしながら取り組める
一つ目に「想いを語ることができる」という表現が置かれている点に注目してください。語れることそのものが人材像の中身として書かれているのは、プレゼン型面接を課す試験設計と一続きになっています。
ここで一度、要項を離れて数字だけで考えてみます。693.05平方キロメートルに4万4,473人、1平方キロメートルあたり64人。
この薄さは、職員にとっては「現場までの距離」として表れます。湖岸の集落から山あいの集落まで、一件の用件で車を走らせれば往復に時間がかかり、庁舎へ戻って上司に確かめてから出直すという進め方は、そう何度も重ねられません。
その場で答えてよいことと、持ち帰るべきことを自分で仕分ける。この線引きが必要になる場面は、広い市域を少ない人数で受け持つ役所ほど多くなります。
693平方キロメートルの市域と、資料を自分で組み立てさせるプレゼン型面接。この二つを重ねたときに浮かぶ働き方として、当研究会が書き添えました。
市が要項でここまで述べているわけではありません。
もう一つ、要項の言葉に戻ります。市は「採用後、市内または近隣市町に居住し、緊急時には迅速に対応できる方を希望します」と書いています。
冬の除雪、大雨、地震。この市では、平常時の業務と非常時の対応を同じ職員が担います。
住まいが近いということは、災害のたびに勤務時間の内と外の境目が薄くなるということでもあります。
出身がどこかということより、この土地で暮らしながら働く姿を具体的に描けているかどうかが効いてきます。
そして高島市の場合、備え方まで試験の形が決めてしまいます。プレゼンの資料は事前に自分で作るものです。
つまり当日の受け答えの巧さではなく、事前に何を選び、どう並べたかが先に見られる試験だということです。
締めの一言に向けて、自分の過去のどの出来事を何番目に置くか。その並べ替えに、時間の大半を使ってください。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。高島市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 会場までは迷わずお越しになれましたか? | 本題前の一往復。プレゼンで張り詰めた空気を、いったんほどけるかどうか |
| ② 動機・志望 | なぜ民間企業ではなく、自治体で働こうと考えたのですか? | 安定という言葉に寄りかからず、4万人台の市で働く選択として言葉にできているか |
| ③ 自己理解 | いま発表された強みは、どんな場面で裏目に出ますか? | プレゼンで示した自己像を、自分で相対化できるかどうか |
| ④ 経験・行動 | 最後までやり遂げた経験を一つ教えてください | 市が掲げる「最後まで職務をやり遂げる」に直結する問い。途中で崩れかけた場面の扱い方 |
| ⑤ 学業・経歴 | これまでの学びのうち、市の仕事に使えそうなものはありますか? | 学問の高度さではなく、高島市の業務のどこへ接続するかを自分で見つけているか |
| ⑥ 適性・将来 | 冬に雪の多い地域での勤務について、どう考えていますか? | 市が居住や運転免許について希望を示している背景を、現実的に受け止められているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近の出来事で、雪や災害に関して印象に残っているものはありますか? | 豪雪地帯を抱える市の職員として、備えを自分の問題として考えた形跡があるか |
ただし、この7つの枠組みは受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「高島市ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「高島市役所ならでは」の質問
どちらも高島市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。面接で使いやすい高島市の事実を絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい高島市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 高齢化の現在地 | 65歳以上37.6%、75歳以上22.1%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)で、滋賀県内の19市町のなかで最も高い | 数字を悲観の材料で終わらせず、どこに人と予算を残すかという判断の話へ進めると、市の実務に近い議論になります |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 高島市は消防本部を単独で設置し、消防職も市の採用試験で募集している。防災も福祉も市が直接担う体制 | 広域行政との役割の違いを具体例で示したうえで、住民に直接向き合う側で働きたいという理由へつなげます |
| 冬の条件 | 日本海側気候で積雪が多く、旧マキノ町・旧今津町・旧朽木村の区域が豪雪地帯に指定されている。滋賀県内の雪崩危険箇所は443箇所 | 雪を不便としてだけ語らず、除雪や移動支援といった継続的な業務として捉えていることを示します |
| 琵琶湖西岸断層帯地震 | 県の被害想定は大津・南部・高島地域を被害の中心に置き、冬の夕方に発災するケース2で県全体の死者を1,992人と見込む | 想定の規模に触れたうえで、平常時に何を積み上げるかという行政の準備の話へ進めます |
| 合併して生まれた市 | 平成17年に5町1村が合併して発足。市域は693.05平方キロメートルで、湖岸から山間部まで生活圏が分かれている | 市全体を一つに語るのではなく、地区によって条件が違うという前提を持っていることを示します |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、実施要項に並ぶ4つの人材像に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 高島市への想いを語れること | プレゼンの内容そのものが、この観点の直接の材料になります | 想いの強さを形容詞で示さず、この市の何を知り、何を変えたいと考えたのかを順序立てて資料に落とします |
| 市民の願いを行動に移せること | 誰かの困りごとを聞いて、実際に動いた経験があるか | 聞いた内容と、自分が起こした行動と、その後の変化を三つ組で言えるようにしておきます |
| 聴く力と包容力 | 意見の合わない相手と、関係を保ったまま話を進めた経験があるか | 説得した話ではなく、相手の言い分を受け止めて自分の案を変えた場面を選びます |
| やり遂げる力 | 前例のない状況で工夫し、結果が出るまで続けたか | 途中で失速した時期と、そこから立て直すために何を変えたのかをセットで語れるようにします |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。高島市の第2次試験は約30分のなかで発表と質疑を行いますから、この往復に割ける時間はそう長くありません。
短いやりとりで具体まで届かせるには、自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておくことが不可欠です。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける期と職種の実施要項を最新版で読み、試験の段階・面接の形式・受験資格・申込みの手順を書き出す。今年度から作りが変わっているので、古い情報のまま進めない
- 第1次試験の事務能力検査は自分で日時と会場を予約する方式です。使える会場が近畿2府4県内に限られる点を含め、早めに段取りを決めておく
- これまでの経験を棚卸しし、最後までやり遂げた話を2つ以上、相手の言い分で自分の案を変えた話を1つ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- この記事の前半を読み返し、高齢化の水準・冬の条件・地震の想定・合併の経緯のうち、志望分野に近い事実を2つか3つ選んで自分の言葉で説明できるようにする
- プレゼン資料を作る。締めの一言から逆算して理由を2つか3つに絞り、それぞれに実際の経験を当てる。作ったら声に出し、発表と質疑を合わせて30分に収まるか確かめる
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。ただし高島市の場合、最も時間を要するのはステップ6のプレゼン資料づくりですから、ステップ3の経験の棚卸しを早めに終えて、資料に着手できる状態を先に作ってください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、高島市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
高島市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
令和8年度第1期の一般行政職(上級)は、第1次が約50分の事務能力検査、第2次が約30分のプレゼン型面接という二段階の選考です。筆記で稼げる幅は狭く、代わりに、事前に何を選んで資料に並べたかが正面から問われます。
琵琶湖の水面を含む693平方キロメートルに4万人余りが暮らし、その4割近くが65歳以上。冬には雪が積もり、県の地震被害想定では被害の中心に名前が挙がる地域でもあります。
その市役所で、自分はどの持ち場に立ちたいのか。「だからこそ私は、高島市に必要な人財です」という一言に本当につながる話を、資料の一枚目から組み直してみてください。
ほかの職種や第2期を受ける方は試験の構成が異なりますので、該当する実施要項を確かめてから準備に入りましょう。