本記事では、近江八幡市職員採用試験の面接対策で必要な、近江八幡市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
近江八幡市役所の面接試験では、「なぜ近江八幡市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。近江八幡市は人財育成基本方針の中で、人物重視の採用試験を実施すると取組内容に書き込んでいる市です。
以下で扱う試験の構成は、令和8年度に受験案内が公表された初級一般行政職(令和9年4月1日採用)のものです。上級一般行政職は同じ年度に別の日程で実施されており、本記事ではその試験科目までは扱っていません。
上級を志望する方は市が公表する自分の職種の受験案内を手元に置いたうえで、以下の市政の材料を使ってください。
第1部|自治体研究編
近江八幡市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは近江八幡市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 天正13年(1585年)に豊臣秀次が八幡城下に町を開き、八幡堀の開削と楽市楽座によって商いのまちとして発展したのが市の成り立ち。
- 人口は81,789人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。面積は177.45平方キロメートルで、住民基本台帳の人口をこの面積で割ると1平方キロメートルあたり約461人となる。
- 65歳以上の割合は27.9%、75歳以上は16.3%。同じ統計による滋賀県全体の27.3%・15.8%を、どちらもわずかに上回る。
- 「近江八幡市八幡」は平成3年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。範囲は新町通り・永原町通り・八幡堀周辺の約13.1ヘクタールで、日牟禮八幡宮の境内地を含む。
- 八幡堀は西の湖を経て琵琶湖と結ばれる水路で、城下町の商いを支えた基盤がそのまま景観として残っている。
- 滋賀県を代表自治体とする日本遺産「琵琶湖とその水辺景観」の構成自治体の一つ(平成27年認定、令和6年に認定継続)。
- 消防は東近江行政組合消防本部が担い、東近江市・日野町・竜王町・愛荘町とともに2市3町の枠組みで運営されている。
- 東近江市・野洲市・竜王町と接する。市の花はムシャリンドウとサルビア、市の木はサクラ。
近江八幡市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「近江八幡市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
8万人という人口が、177平方キロメートル余りの市域にどう散らばっているのか。数字はその感覚をつかむための入り口として使います。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 81,789人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳) |
| 65歳以上人口 | 22,844人(27.9%。滋賀県全体は27.3%) |
| 75歳以上人口 | 13,356人(16.3%。滋賀県全体は15.8%) |
| 総面積 | 177.45km² |
| 人口密度 | 約461人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 重要伝統的建造物群保存地区 | 「近江八幡市八幡」約13.1ha(平成3年選定) |
| 接している自治体 | 東近江市・野洲市・竜王町 |
| 市の花・市の木 | ムシャリンドウ、サルビア・サクラ |
| 市役所所在地 | 近江八幡市桜宮町236番地 |
総人口と65歳以上・75歳以上の人口および割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。滋賀県全体の27.3%・15.8%も同じ統計によります。市や県が別に公表している推計人口、および国勢調査の結果は、いずれも調査の設計が住民基本台帳とは違いますので、上の数値と並べて増減や優劣を論じることはできません。総面積・接している自治体・市の花と木・市役所所在地は当研究会が整理した基礎データ、保存地区の面積と選定年は近江八幡市の公表値によります。
数字から考えられる市政課題
近江八幡市の年齢構成は、滋賀県の平均とほぼ重なりながら、わずかに先を行っています。65歳以上が27.9%、75歳以上が16.3%で、県全体の27.3%・15.8%をどちらも上回ります(いずれも令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。
差は大きくありませんが、県の平均をそのまま市の数字として語ると、面接では細部の弱さとして現れます。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)
もう一つ押さえたいのが、市域の中に守るべきものが面として存在するという条件です。約13.1ヘクタールの保存地区は、観光の対象であると同時に人が現に暮らす場所です。
屋根を直す、道を通す、店を開く。そのどれもが景観の基準と関わってくるため、住民の生活と保存の要請が同じ窓口に持ち込まれます。
たとえば面接では、近江八幡市の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
近江八幡市の経済・産業
城下町から続く商いの土地
- 天正13年(1585年)に豊臣秀次が八幡城下に町を開いたことが市街地の始まり。
- 西の湖を経て琵琶湖と結ぶ八幡堀を開削し、水運を町の基盤に据えた。
- 楽市楽座によって商いが集まり、町として発展した。
- その町並みは平成3年に国の重要伝統的建造物群保存地区へ選定され、現在まで面として残っている。
つまり、水運のために掘られた堀が、いまは景観と観光の資産になっているのが近江八幡市です。産業の話をするときは、新しい何かを呼び込む発想だけでなく、すでにあるものを商いに変え直す視点を持っておくと、この市の文脈に合います。(出典:近江八幡市公式サイト「重要伝統的建造物群保存地区」)
県の観光の中での位置
滋賀県の令和5年の延べ観光入込客数は50,328,036人で、前年比10.7%増、令和元年比では6.9%減とおよそ9割まで戻りました。内訳は延べ日帰り客数46,536,602人に対して延べ宿泊客数3,791,434人で、宿泊は全体の1割に届きません。
県全体が日帰り中心の観光地であるという構造は、町並みを歩いてもらう観光を抱える近江八幡市にとって、そのまま向き合う課題になります。(出典:滋賀県観光入込客統計調査(確定値)|令和5年)
県の産業構造の中で見る
町並みの話が続きましたので、働く場の姿も置いておきます。滋賀県の令和5年度の県内総生産(名目)は7兆3,625億円で、産業別の構成比は第1次産業0.4%・第2次産業46.7%・第3次産業52.4%。
製造業だけで41.6%を占め、特化係数は2.02と全国値のおよそ2倍です。観光の顔をもつ市であっても、市民の勤め先という視点で見れば、製造業の厚い県の一部です。
雇用や産業振興を語るなら、観光と製造の両方に目を配れるようにしておきましょう。(出典:滋賀県民経済計算|令和5年度)
近江八幡市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、近江八幡市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
県平均をわずかに超える高齢化
65歳以上27.9%、75歳以上16.3%という数字は、県全体をわずかに上回ります。滋賀県全体でも総人口は2013年の約142万人をピークに減少へ転じており、国立社会保障・人口問題研究所の平成30年推計をもとにした県の総合戦略では、県の高齢化率は35%近くに達し、一部の市町では40%を超える可能性があるとされています。
県と足並みをそろえて進む市だからこそ、県の施策の動きが市政に直接効いてくる、という見取り方ができます。(出典:人口減少を見据えた幸せが続く滋賀総合戦略(概要版))
暮らしの場としての保存地区
約13.1ヘクタールの保存地区には、新町通りや永原町通りといった生活道路が含まれ、そこには現に人が住んでいます。建物の修理、防火、空き家、来訪者と住民の動線。
保存という言葉の中身は、こうした個別の調整の積み重ねです。文化財に関心があると述べるなら、守る対象そのものより、守るために誰と何を決めるのかへ視点を移しておくと、行政の仕事として語れます。
日帰り中心の観光をどう変えるか
県全体で宿泊客が延べ観光入込客数の1割に届かない中、町並みを歩く観光は滞在時間が短くなりがちです。
来訪者の数を増やす取り組みと、来た人が市内でお金を使う仕組みをつくる取り組みは別物です。観光を志望動機に据えるなら、この二つのどちらに関心があるのかをはっきりさせておきましょう。
水辺と災害への備え
滋賀県の地震被害想定は、琵琶湖西岸断層帯(マグニチュード7.8)や花折断層帯(同7.4)など内陸活断層の6ケースと、南海トラフ巨大地震を対象としています。被害が甚大とされる琵琶湖西岸断層帯地震(大津・南部・高島地域が中心。冬夕方のケース2)では、最大震度7、建物全壊38,504棟、死者1,992人、全避難者249,534人と想定されました。
近江八幡市はこの想定の中心地域ではありませんが、水の面では県が独自の「地先の安全度マップ」で確率降雨ごとの浸水リスクを県内ほぼ全域について公表しています。
堀と西の湖を抱える市として、水は景観と防災の両面から関わる対象です。(出典:滋賀県地震被害想定(概要版)|平成26年3月)
市域を越えて担う仕事
近江八幡市の消防は、東近江市・日野町・竜王町・愛荘町とともに東近江行政組合消防本部という枠組みで運営されています。
市の仕事のうち、単独では抱えきれない分野を近隣と分け合う形が、すでに具体的な組織として存在しているということです。「なぜ県庁ではなく市役所なのか」を考えるとき、市の仕事にも広域の層があるという事実は、答えを一段深くする材料になります。
近江八幡市の重点政策|第1次総合計画と「3つの愛」
近江八幡市が目指す将来のまちの姿は、「人がつながり 未来をつむぐ『ふるさと近江八幡』」です。これは市の第1次総合計画に掲げられた将来像で、市の人財育成基本方針でも出発点として引かれています。
まちの姿と職員の育て方が同じ文書の中でつながっている点は、面接の準備をするうえで押さえておきたいところです。(出典:近江八幡市人財育成基本方針(概要版))
「人材」ではなく「人財」と書く方針
近江八幡市は人材育成基本方針を改定した際、名称を「人財育成基本方針」に改めました。
そのうえで、目指すべき職員の姿と職場の姿を「3つの愛」(ふるさと愛・仲間愛・自分愛)として表現しています。三つはそれぞれ、次のような能力・姿勢に分解されています。
- ふるさと愛
協働のコーディネート力、市民目線としての地域愛・郷土愛、政策形成能力や分析理解力といった課題解決力、工夫力や広い視野といった創造力 - 仲間愛
説明対応力・傾聴力・共感力・協調性・折衝調整といったコミュニケーション力、思いやりや人権尊重意識を含む想像力、声掛けや巻き込み力といった協力・連携、知識技能の継承までを含む人財育成能力 - 自分愛
チャレンジ精神、実践的学習力、ポジティブ思考、知識技能の習得といった自己尊重・自己開発
並びを見て気づくのは、対外的な力(ふるさと愛)と組織内の力(仲間愛)が同じ重みで置かれていることです。市民に向く力だけでも、仲間と働く力だけでも足りない、という設計になっています。
採用を「人財確保」として位置づけている
同じ方針の「人財確保」の項では、取組内容として従来の方法にとらわれず新しい発想で、3つの愛に基づく人物重視の採用試験を実施することが掲げられています。取組項目には、新たな受験枠の導入と多様な任用形態、採用試験の手法や試験のあり方の見直し、採用活動における情報発信の強化が並びます。
採用の入り口そのものを動かし続ける前提で書かれている、と読めます。
実際、令和8年度には上級一般行政職の一般枠と経験者採用が別々に実施され、経験者採用のほうは年度の途中から働き始める枠組みとして用意されました。最終合格者は3人です。
入り口が年度初めの一本に固定されていないという事実は、この市の採用の考え方をよく表しています。
POINT|「3つの愛」の細目を暗記しなくてよい
三つの愛の下に並ぶ能力の名前は、暗唱できても面接では使えません。関心の近い分野を一つか二つに絞り、「①何が課題か → ②市はどんな状態をめざすか → ③いま動いている取り組み → ④市役所だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験をどう使えるか」まで自分でたどってみてください。
悪い例「歴史ある町並みを守る仕事に携わりたいです」
改善例「八幡堀の周りの保存地区には今も住んでいる方がいらっしゃると知りました。景観を守ることと、住んでいる方が暮らしやすいことは、時々ぶつかると思います。その間に立って話をまとめる仕事に関わりたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
下に挙げた資料は、全部を読み通す前提のものではありません。志望に近いものを一つ選び、そこで知った内容を人に説明できるところまで持っていけば十分です。
- 志望する職種・区分の受験案内(最新年度)。初級と上級では実施の時期も内容も別に設計されています
- 近江八幡市人財育成基本方針(概要版)。3つの愛と、人財確保の取組内容が載っています
- 近江八幡市第1次総合計画(将来のまちの姿と施策の体系)
- 市の重要伝統的建造物群保存地区のページ(範囲、選定の経緯、町並みの成り立ち)
- 滋賀県の観光入込客統計調査・県民経済計算(市を県の中に置いて見るとき)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、近江八幡市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。近江八幡市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
近江八幡市役所の面接の概要
ここからは、近江八幡市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
近江八幡市役所の面接の流れ
令和8年度に受験案内が公表された初級一般行政職(令和9年4月1日採用)で目を引くのは、第1次試験の組み立て方です。
教養試験と面接試験と性格特性検査が、同じ一日のうちに実施されます。筆記を通った人だけを後日呼んで面接する、という順番ではありません。
| 項目 | 内容(令和8年度・初級一般行政職/令和9年4月1日採用) |
|---|---|
| 第1次試験の内容 | 教養試験、面接試験、性格特性検査の3種目を同一日に実施します。性格特性検査の判定は第1次試験合格者についてのみ行われます |
| 教養試験 | 高校卒業程度、40題の択一式で試験時間は90分です |
| 第1次の面接形式 | 集団面接もしくは個人面接と案内されています |
| 第2次試験の内容(予定) | 口述試験と作文試験。日時・場所は第1次試験合格者に通知されます |
| 提出書類 | 第1次試験の受験日に「自己紹介書」を会場へ持参し、第2次試験の受験前に「履歴書等」を提出します。自己紹介書は市ホームページからダウンロードする指定様式です |
| 持ち物の指定 | 教養試験と性格特性検査はマークシート方式のため、先の丸いHBの鉛筆数本と消しゴムが必要です。使用できる時計は計時機能だけのものに限られます |
| 試験会場 | 第1次試験は近江八幡市役所4階(受験者が多数の場合は会場変更あり) |
| 実施主体 | 近江八幡市職員選考委員会(担当は総務部人事課) |
| 初任給の目安 | 初級一般行政職の給料は月額(給料・地域手当)214,968円程度。職務経験期間に応じた初任給の加算調整があります |
この作りで注意したいのは、教養試験の手応えがどうであれ、その日のうちに面接を受けなければならないということです。筆記の出来を引きずったまま面接に入る人と、切り替えられる人とで、同じ実力でも見え方が変わります。
加えて、第1次試験の日に自己紹介書を持参する以上、その紙に書いた内容がその日の面接の土台になります。書類と発言のずれが最初から見えてしまう設計だ、と考えておきましょう。
上記の試験構成は、近江八幡市が令和8年度に公表した初級一般行政職(令和9年4月1日採用)の受験案内にもとづく内容です。同じ年度に実施された上級一般行政職は日程も内容も別に設計されており、本記事ではその試験科目を扱っていません。試験の構成・日程・配点等は年度や職種・区分によって変わりますので、受験の際は必ずご自身の区分の最新の受験案内をご確認ください。
近江八幡市役所が求める人物像
近江八幡市の場合、人財育成基本方針の「3つの愛」がそのまま職員像の公表文言にあたります。ふるさと愛・仲間愛・自分愛という並びを面接対策の言葉に翻訳すれば、地域への関心、人と働く力、自分を伸ばし続ける姿勢の三点セットです。
とくに仲間愛に折衝調整や傾聴力まで含まれていることは、他者と衝突した場面の話を用意しておくべき理由になります。
方針の文言はここで尽きます。あとは近江八幡市が置かれた条件から考えるほかありませんので、以下は当研究会が推し量った内容です。
人口8万人台の市役所では、一つの案件に文化財、観光、道路、住民の暮らしといった複数の担当が同時に関わることになりやすく、しかも職員数は限られます。
近江八幡市には約13.1ヘクタールの保存地区という、面として守る対象が市街地の中にあります。同じ地区に別々の用件で何度も足を運ぶ仕事が生まれる環境では、部署の枠を越えて話をつける調整力と、同じ相手と長く付き合う前提の誠実さが、ほかの資質より先に必要になりそうです。
方針が仲間愛の下に折衝調整まで細かく並べているのも、この構造と無関係ではないはずです。
準備の順番についても一つだけ。初級一般行政職では、自己紹介書を第1次試験の会場へ持参し、その日のうちに面接と性格特性検査を受けます。
つまり、書いたもの、話したこと、検査に出る傾向の三つが同じ日にそろって並びます。
ならば取りかかる順序は、まず自己紹介書に書ける事実を固め、そこから面接で話す言葉を伸ばすこと。逆にすると、紙と口が別々のものになります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。近江八幡市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日の試験はいかがでしたか? | 初級では教養試験と同じ日に面接があります。うまくいかなかったことをどう受け止め、切り替えて話せるか |
| ② 動機・志望 | 近江八幡市で働きたいと思った出来事はありますか? | 市が方針で「ふるさと愛」を第一に置いている市です。地域への関心が実際の体験に根を持っているか |
| ③ 自己理解 | 自己紹介書に書いた強みを、別の言い方で説明してください | 持参した書類と口で話す内容がそろっているか。書いた言葉を自分で言い換えられるか |
| ④ 経験・行動 | 意見が合わない相手と、どうやって折り合いをつけましたか? | 方針が仲間愛の下に折衝調整と傾聴力を掲げている市です。衝突を避けた話か、渡り合った話か |
| ⑤ 学業・経歴 | 学校で力を入れたことを、初対面の人に伝わるように話してください | 初級では第2次に作文試験が予定されています。話す順序と要点の絞り方が整理されているか |
| ⑥ 適性・将来 | 観光の担当と福祉の担当、どちらに配属されても働けますか? | 職員一人あたりの受け持ちが広くなる規模の市で、配属の幅を受け入れられるか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 古い町並みを残すことに、税金を使う意味は何だと思いますか? | 保存地区を抱える市です。賛否のある問いに、自分の立場を根拠つきで置けるか |
ここまでの7つは、どこを受けても似た形で戻ってきます。準備している人が多い領域なので、答えを持っているだけでは評価は動きません。
動きはじめるのは、近江八幡市の事情を知らないと言葉が出てこない質問に入ってからです。
合否を分けるのは「近江八幡市役所ならでは」の質問
二つ目に八幡堀や町並みを挙げるところまでは、多くの受験者が同じです。その先で、そこに人が住んでいるという事実に触れられるかどうかで開きが出ます。
逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。この二問に耐えるための近江八幡市の事実を5つに絞り、それぞれの扱い方まで書き添えました。
| 質問テーマ | 知っておきたい近江八幡市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| まちの成り立ち | 天正13年(1585年)に豊臣秀次が八幡城下に町を開き、八幡堀を開削。楽市楽座により商いの町として発展した | 歴史の紹介で止めず、水運のためにつくられたものが今は景観として残っている、という転用の話にすると現在の市政につながります |
| 保存地区の現実 | 「近江八幡市八幡」は平成3年に国の重要伝統的建造物群保存地区に選定。範囲は新町通り・永原町通り・八幡堀周辺の約13.1ヘクタール | 守る対象の説明ではなく、そこで暮らす人と守る側の調整という、市役所が実際に担う場面まで踏み込みます |
| 人口と年齢構成 | 人口81,789人、65歳以上27.9%・75歳以上16.3%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。県全体の27.3%・15.8%をどちらもわずかに上回る | 県の数字をそのまま市の数字として話さないことが第一歩です。わずかな差でも、自分で確かめた姿勢は伝わります |
| 観光の中身 | 令和5年の県全体の延べ観光入込客数50,328,036人のうち、延べ宿泊客数は3,791,434人にとどまる | 人を呼ぶ話と、来た人に市内でお金を使ってもらう話を分けて述べると、観光政策の理解として一段深くなります |
| 広域で担う仕事 | 消防は東近江市・日野町・竜王町・愛荘町とともに東近江行政組合消防本部の枠組みで運営されている | 市の仕事にも近隣と分け合う層があることに触れると、県と市の役割を問う質問への答えが立体的になります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
近江八幡市が人財育成基本方針で掲げる「3つの愛」に照らすと、面接で確かめられるのは、これまでに実際どう行動してきたかです。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| ふるさと愛(地域への関心) | 市に足を運んだ経験や、地域と関わった具体的な場面を聞かれます | 観光として訪れた話より、そこで誰かと言葉を交わした話を選ぶと、関心の質が伝わります |
| 仲間愛(折衝調整・傾聴) | 意見が割れた場面で、相手の言い分をどこまで受け止めたかを追われます | 自分の案が通った話ではなく、相手の条件を聞いて案を作り直した話を用意します |
| 自分愛(チャレンジと学び続ける姿勢) | できなかったことを、その後どう埋めたかを問われます | 資格や勉強に限らず、仕事や活動の中で自分から学び直した過程を一つ書き出しておきます |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。初級一般行政職では第1次に持参した自己紹介書が手元にある状態で問われますから、書いた一行が起点になることも考えられます。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 志望する職種と区分の受験案内を入手する。初級一般行政職と上級一般行政職では、実施の時期も内容も別に設計されています
- 自己紹介書の様式を市ホームページから先に入手し、書ける事実を洗い出す。ここが面接で話す内容の土台になります
- 自己紹介書に書いた項目について、それぞれ深掘りされたときの答えを一言メモで用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- この記事の第1部を読み返し、まちの成り立ち・保存地区・人口の中から志望に近い事実を2〜3個選んで、自分の言葉で説明できるようにする
- 教養試験と面接が同じ日にあることを踏まえ、筆記のあとに気持ちを切り替えて話すところまで、通しで練習する
優先順位に注意
先に手をつけるべきはステップ2と3、つまり自己紹介書を軸にした自己分析です。ステップ5の自治体研究は差をつけるための工程ですが、着手はそのあとで間に合います。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、近江八幡市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
近江八幡市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
本記事で扱った初級一般行政職は、教養試験と面接試験と性格特性検査を同じ一日に受け、その会場へ自己紹介書を持参する試験でした。書いたものと話したことが同じ日に並ぶ以上、準備は紙から始めるのが順当です。
市は職員の姿を「3つの愛」として言葉にし、将来のまちの姿を「人がつながり 未来をつむぐ『ふるさと近江八幡』」と定めています。八幡堀の周りに人が暮らしているという事実を自分の言葉で語れるようになれば、その二つの言葉は、暗記した標語ではなく自分の志望の説明に変わります。
上級一般行政職を志望する方は、公表された自分の区分の受験案内で構成を確かめたうえで、ここまでの材料を組み直してください。