本記事では、甲賀市職員採用試験の面接対策で必要な、甲賀市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

甲賀市役所の面接試験では、「なぜ甲賀市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。市名の読みは「こうか」です。

なお、甲賀市は試験ごとに受験案内をつくる運用をとっており、2026年8月の時点では、令和8年度の中途採用、令和9年4月1日採用、職員の再採用(キャリアリターン)選考という3つの系統が並んでいました。

以下は令和9年4月1日採用の正規職員採用試験を念頭に置いた内容です。自分が受ける系統の案内と読み比べながら使ってください。

第1部|自治体研究編

甲賀市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは甲賀市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 滋賀県の東南部にあり、市域だけで県土のおよそ12%を占める市。東西約43.8キロメートル、南北約26.8キロメートルに広がる。
  • 面積は481.62平方キロメートル。土地の使われ方は森林が約7割、農地が約1割で、平地は限られる。
  • 近畿圏と中部圏の中間に位置し、大阪からも名古屋からも100キロメートル圏内にある。
  • 接している自治体は滋賀県内の6市町のほか、京都府の3町村、三重県の5市町に及び、あわせて3府県14市町村と境を接する。
  • 人口は8万6,848人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。市の花はササユリ、市の木はスギ。
  • 65歳以上が29.9%、75歳以上が17.0%(同)。滋賀県全体の27.3%、15.8%をいずれも上回る。
  • 全国的には「甲賀流忍者」「信楽焼」「東海道五十三次の宿場」で知られ、平成29年度には2つのストーリーで日本遺産のダブル認定を受けた。
  • 消防は市単独ではなく、湖南市とともに構成する甲賀広域行政組合消防本部が担っている。
  • 市役所は水口町水口に置かれ、職員の採用試験は市が独自に実施している。

甲賀市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「甲賀市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口と年齢の内訳、市域の広さ、接している府県との位置関係といった、甲賀市の話をするときに数字で押さえておきたい部分を整理しました。

項目内容
総人口86,848人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口2万6,006人(29.9%)
うち75歳以上人口1万4,749人(17.0%)
総面積481.62平方キロメートル(滋賀県土の約12%)
人口密度約180人/平方キロメートル(上記の総人口と総面積から算出)
接している自治体滋賀県内は大津市、栗東市、湖南市、東近江市、竜王町、日野町。京都府は和束町、南山城村、宇治田原町。三重県は四日市市、鈴鹿市、亀山市、伊賀市、菰野町
市の花・木ササユリ(花)・スギ(木)
市役所の所在地甲賀市水口町水口6053番地

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。本文で比べている滋賀県全体の割合も同じ統計から取っています。人口密度は、この総人口を総面積で割って算出しました。総面積・接している自治体・市の花と木・市役所の所在地は、当研究会が整理した基礎データによります。滋賀県が別に公表している推計人口は調査の基準が異なりますので、この表の値と並べて増減を計算することはできません。

数字から考えられる市政課題

甲賀市の65歳以上は2万6,006人で、市民のおよそ3割にあたります。滋賀県全体では27.3%ですから、甲賀市はそれを2.6ポイント上回る位置にいます。

75歳以上に絞ると、県の15.8%に対して甲賀市は17.0%。県の平均より一段先に高齢化が進んだ市であるという前提が、福祉にも交通にも地域の担い手の議論にも効いてきます。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)

県全体の見通しも押さえておきましょう。滋賀県は2013年の約142万人をピークに人口の減少局面へ入っており、県の総合戦略の資料は、国立社会保障・人口問題研究所の平成30年推計として、県の総人口が126.3万人(2015年より10.6%減少)まで縮み、高齢化率は35%近くに達し、一部の市町では40%を超える可能性があるという見通しを示しています。

市の現在の年齢構成と、県のこの先の見通しを並べると、面接での説明はこう組み立てられます。(出典:人口減少を見据えた幸せが続く滋賀総合戦略(概要版)|滋賀県)

「甲賀市は8万人台の市ですけれども、65歳以上の方が3割近くを占めていると知りました。県全体よりも高齢化が進んでいるそうなので、暮らしの足をどう残していくかという仕事に、まずは関わっていきたいと考えています」

甲賀市の経済・産業

製造業に厚みのある県のなかで

滋賀県の県内総生産(名目)は令和5年度で7兆3,625億円、名目で前年度比4.4%増と3年連続の増加でした。産業別の構成比は第1次産業0.4%、第2次産業46.7%、第3次産業52.4%で、製造業だけで41.6%を占めます。

製造業の特化係数は2.02と、全国値のおよそ2倍です。滋賀県は、内陸にありながら製造業の比重が全国平均の倍近くある県で、甲賀市もその産業構造の一角にあります。

また、大阪からも名古屋からも100キロメートル圏内という位置は、工場や物流拠点の立地条件としてそのまま強みになります。(出典:滋賀県民経済計算|令和5年度)

信楽焼と日本遺産

市の信楽地域で焼かれる信楽焼は、鎌倉時代後半に開かれた窯を起源とし、瀬戸・越前・常滑・丹波・備前とともに「日本六古窯」に数えられます。昭和50年には国の伝統的工芸品に指定されました。

昭和52年に開設された信楽伝統産業会館は、令和2年に信楽高原鐵道信楽駅の近くへ移転・新築されています。さらに市は平成29年度、「忍びの里 伊賀・甲賀」と「きっと恋する六古窯」の2つのストーリーで日本遺産のダブル認定を受けました。(出典:甲賀市「信楽焼」|市公式サイト)

観光の規模感は県単位で押さえておくと話しやすくなります。令和5年の滋賀県の延べ観光入込客数は5,032万8,036人で、前年比10.7%増、令和元年比では6.9%減と、感染症拡大前のおよそ9割まで戻った水準でした。

観光を志望動機に置くなら、焼き物や忍者の知名度そのものを語るのではなく、その認知を市民の仕事や暮らしへどうつなぐかという段階まで進めておきましょう。(出典:滋賀県観光入込客統計調査(確定値)|令和5年)

森林7割の市域が生む仕事

市域の約7割は森林、約1割は農地です。市の木がスギであることにも表れているとおり、山側は林業と結び付いた歴史を持ち、平地には東海道の宿場に由来する市街地が続いてきました。

平地が限られるなかで、産業用地も住宅も生活道路も同じ土地を取り合うという構造は、都市計画から公共施設の配置まで、市の判断のほとんどに影響します。産業振興を志望分野に選ぶなら、企業を呼ぶ話だけでなく、そのための土地と人手をどう用意するかという裏側まで考えておきましょう。(出典:甲賀市の位置と地勢|市公式サイト)

甲賀市の主な行政課題

ここまでに並べた数字と土地の条件は、そのまま市役所の仕事の難所になります。面接で「甲賀市の課題」を問われたときの引き出しとして、次の4つを用意しておきましょう。

県平均を上回る高齢化

65歳以上29.9%、75歳以上17.0%という構成(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)は、医療・介護・見守りが市の業務量の中心にあることを示します。滋賀県は令和8年度の予算編成でも人口構造の変化を正面に据えており、県全体では2016年以降の自然減が続き、日本人住民に限れば2013年以降の社会減も重なっています。

支える側の人数が細っていく前提のもとで、サービスを足すよりも配り方を決める判断が増えていきます。福祉分野を志望するなら、何を優先するかの考え方まで語れるようにしておきましょう。

市域の広さと暮らしの足

481.62平方キロメートルという市域は、滋賀県土の約12%にあたります。そこに8万6,848人が暮らし、人口密度は1平方キロメートルあたり約180人。

市街地から離れた集落まで含めて、窓口も福祉も道路も同じ市役所が受け持ちます。同じ人数の職員でも、市域が広いほど一か所あたりに割ける手は薄くなるという関係は避けられません。

高齢化と重なれば、通院や買い物の移動をどう支えるかという問題として現れます。

外国人住民の増加と多文化共生

令和7年の調査では、滋賀県の外国人住民は44,735人(前年比3,260人増、増加率7.9%)となり、県の総人口に占める割合は3.19%でした。市町別に見ると、甲賀市の5.71%は滋賀県内で3番目に高い水準にあたります(1位は湖南市8.07%、2位は愛荘町6.17%)。

国籍別ではベトナムが26.9%、ブラジルが19.6%、中国が10.5%を占め、在留資格では永住者と技能実習が多く、前年から最も増えたのは特定技能でした。窓口の案内、子どもの就学、災害時の情報伝達といった実務の場面で、日々向き合っている課題です。(出典:外国人の住民基本台帳人口調査|令和7年・滋賀県)

災害への備えと、安全をめぐる記憶

滋賀県の地震被害想定は、琵琶湖西岸断層帯や花折断層帯など内陸活断層6ケースの地震と南海トラフ巨大地震を対象としています。水害の面では、県が「滋賀県流域治水基本方針」(平成24年3月)にもとづく総合的な治水を進め、独自の「地先の安全度マップ」で10年確率降雨(時間最大50ミリメートル)、100年確率降雨(同109ミリメートル)、200年確率降雨(同131ミリメートル)ごとの浸水リスクを県内ほぼ全域で公表しています。

自分が住む地域や志望先の地域について、このマップを一度開いておくだけでも、防災を語る言葉の具体性は変わります。(出典:地先の安全度マップの更新について|滋賀県)

もう一点、この市には安全をめぐる固有の記憶があります。平成3年5月14日に発生した信楽高原鐵道の列車事故では42人が犠牲となり、甲賀市では毎年5月14日、事故現場の慰霊碑前で追悼法要が営まれ、遺族をはじめ多くの関係者が参列しています。

起きたことを毎年思い返す場を市が持ち続けているという事実は、この市の行政を理解するうえで欠かせない要素です。防災や交通安全を志望動機に置く方は、知識としてだけでなく、地域の記憶として受け止めておいてください。

重点政策|広い市域と三つの顔をどうつなぐか

甲賀市の政策の方向をつかむには、市が置かれている条件から逆算するのが早道です。県土の12%を占める広い市域、森林が7割という土地の使われ方、3府県と接する位置、そして忍者・信楽焼・東海道という三つの顔。

この組み合わせが、産業振興にも福祉にも防災にも同じ制約と同じ可能性を与えています。総合計画は市公式サイトで公表されています。

この4つのうち自分が引っかかった条件を一つ選び、それが計画のどの章で扱われているかを探すところから始めてください。

志望分野を絞り込む視点

取組の名称を端から拾い集めても、話は深まりません。甲賀市であれば、広い市域、森林の多さ、三つの顔という条件のうち一つに的を定め、それが市民の暮らしのどの場面に効いているのかを追ってみてください。

そこまで具体化してから自分の経験と結び直すと、志望動機は揺らがなくなります。

POINT|資源の名前を挙げるだけでは会話が続かない

忍者や信楽焼は全国区の知名度がありますから、志望動機でも触れやすい題材です。ただ、名前を挙げただけでは面接官の次の一言に答えられません。資源そのものではなく、それが市民の暮らしとどこで接しているかを一点決めて話しましょう。

悪い例「甲賀市の豊かな自然と伝統を生かしたまちづくりに携わりたいです」

改善例「まずは窓口で市民の方の話を聞くところから始めたいです。その上で、市の面積が県全体の1割を超えると知りましたので、離れた集落に住む方の移動をどう支えるかという仕事に関わっていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

甲賀市は試験ごとに受験案内をつくる運用ですから、採用のページを起点に置き、そこから政策の資料へ広げるのが効率的です。次の順で当たってみてください。

  • 甲賀市の職員採用のページ(受験案内、求める人物像、申込みの手順)
  • 甲賀市の総合計画(市公式サイトの最新版を、志望分野に関わる章に絞って読む)
  • 最新年度の予算や市政運営に関する市の公表資料
  • 滋賀県民経済計算・滋賀県観光入込客統計調査(市の産業と観光を県全体の枠組みから理解できます)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、甲賀市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。甲賀市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

甲賀市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

甲賀市役所の面接の概要

ここからは、甲賀市役所の試験がどう組み立てられているか、質問の全体像、そして甲賀市ならではの問いへの備え方を順に見ていきます。

試験の組み立てが語っていること

甲賀市は、令和9年4月1日採用の正規職員採用試験について、試験内容を「SPIおよび面接のみ」と自ら明示しています。第1次試験では基礎能力検査と性格検査(SPI3)が課され、市の採用ページには第2次試験の受験案内が別に置かれていますから、第1次試験と第2次試験の二段階で選考が進む構成だとわかります。(出典:令和9年4月1日採用 甲賀市正規職員採用試験|甲賀市)

専門科目の筆記を課さないという設計は、受験者にとって二つの意味を持ちます。一つは、法律や経済の知識量で差をつける余地が小さいこと。

もう一つは、準備できる材料が面接で話す中身のほうへ寄っていくことです。配点や人物試験の比重そのものは受験案内で確かめる必要がありますが、どこに時間を割くかの答えは、この試験の作りからおおよそ見えています。

項目内容(令和9年4月1日採用・甲賀市正規職員採用試験)
試験の段階第1次試験と第2次試験の二段階。市の採用ページには、第2次試験の受験案内が別に用意されています
試験の内容市は「SPIおよび面接のみ」と明示しています。第1次試験では基礎能力検査・性格検査(SPI3)が実施されます
面接の形式と回数個別面接か集団面接かの別、集団討論の有無、実施回数は、受験する回の受験案内でご確認ください
配点人物試験の比重を含め、受験案内で示される項目です。数値を確かめたうえで時間配分を決めましょう
提出書類面接カード等の様式の有無は、申込みの手順とあわせて受験案内でご確認ください
申込みの方法市の職員採用サイト(PUBLIC CONNECT)からのWeb手続きです。申込みの窓口として民間サービスを利用するもので、近隣自治体との共同実施や統一試験ではありません
募集の系統2026年8月時点では、令和8年度中途採用、令和9年4月1日採用、甲賀市職員再採用(キャリアリターン)選考の3系統が掲載されていました

甲賀市は試験ごとに受験案内を作成し、実施日を過ぎた案内の掲載を終える運用をとっています。上記は、2026年8月19日時点で甲賀市が公表していた令和9年4月1日採用の正規職員採用試験に関する内容で、当研究会は確認できていない事項を推測で補うことはしていません。試験の構成・配点等は年度や採用の系統によって異なりますので、受験の際は必ずご自身が受ける回の最新の受験案内をご確認ください。

甲賀市が求める人物像

甲賀市は、令和9年4月1日採用の正規職員採用試験にあわせて、求める人物像を4つ掲げています。

  • チームワークを大切にする職員
  • 市民と対話し、共に考え、協働する職員
  • 未来の甲賀市に、責任ある行動をとる職員
  • 仕事と暮らしを楽しむ職員

面接対策の言葉に翻訳すれば、「人と組む力」「聞いて一緒に考える姿勢」「先を見て自分で決める責任感」「働き方と暮らし方の両立」の4点になります。とくに4つ目は、意欲や熱意を並べるだけの自己PRとは相性がよくありません。

自分がどう働き、どう暮らしたいのかまで言葉にできているかが、この項目の含意だと受け取れます。

この4項目の背景にある構造も、あわせて考えてみましょう。人口8万6,848人に対して、市域は481.62平方キロメートル。

また、県土の12%にあたる土地の7割が森林で、そこに集落が点在し、隣り合う自治体は3府県14市町村に及びます。この条件で仕事を割り振れば、一人の職員が見る分野も、足を運ぶ範囲も広くなります。

制度の設計も、集落へ出向いての説明も、府県境をまたいだ相手との調整も、同じ担当が数年ごとに入れ替わりながら引き受けていく形です。引き継ぎ資料に答えが載っていない場面で手をつける順番を自分で組み立てられるかどうかは、採用の場面でも重く見られやすいと当研究会は考えています。

働く場としての性格も、あわせて押さえておきましょう。この規模の市では、市職員という肩書きは勤務時間のあいだだけのものではありません。

地区の行事や商店での立ち話が、市役所そのものの印象として積み重なっていきます。誠実さや公私のけじめが仕事の評価に返ってくる度合いは、大きな役所とは違う重みを持つとみてよさそうです。

出身地よりも、この土地の何に関心があり、生活者としてどう関わるつもりかを具体的に語れるかどうかが効いてきます。

では、何から手をつけるか。甲賀市の場合、手がかりは公表されている4項目そのものです。チームワーク、対話と協働、責任ある行動、仕事と暮らし。

この4つを見出しに立てて、自分がこれまでに経験した出来事を割り振ってみてください。どの見出しにも入らない出来事と、二つ以上の見出しにまたがる出来事が必ず出てきます。

面接で強いのは後者のほうです。SPIの対策と並行して、この割り振りだけは早い段階で一度やっておきましょう。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。甲賀市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク水口までは、どのくらいかかりましたか?本題に入る前の一往復。答えの中身よりも、初対面の相手と間を持たせずに言葉を交わせるか
② 動機・志望なぜ民間ではなく市役所で働こうと思ったのですか?安定という言葉に寄りかからず、8万人台の市で働く選択として説明できているか
③ 自己理解周囲からはどんな人だと言われますか?自分の見立てと他の人からの見え方がそろっているか。裏づけになる出来事があるか
④ 経験・行動初めて任された仕事を、どう進めましたか?担当分野が数年で入れ替わる職場のため、着手の順番と人の巻き込み方が掘り下げられます
⑤ 学業・経歴学生時代や前職で、いちばん時間を注いだことは何ですか?取り組みの高度さではなく、甲賀市の仕事のどこへつながるかを自分で見つけているか
⑥ 適性・将来数年ごとに担当分野が変わることを、どう受け止めていますか?県土の12%を受け持つ市で、担当が数年ごとに入れ替わる働き方を具体的に思い描けているか
⑦ 公共性・社会性身近な地域で、最近気になっている変化はありますか?外国人住民の増加のような身近な変化を、自分の言葉で受け止められているか

ただし、この7つの枠組みは受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「甲賀市ならではの事情を踏まえた質問」です。

合否を分けるのは「甲賀市役所ならでは」の質問

「なぜ滋賀県庁ではなく、甲賀市役所を志望するのですか?」
「甲賀市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも甲賀市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。面接で使いやすい甲賀市の事実を絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい甲賀市の事実答え方のヒント
人口と年齢の内訳8万6,848人のうち65歳以上が29.9%、75歳以上が17.0%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。滋賀県全体の27.3%、15.8%を上回る県との差を指摘して終わらせず、広い市域のどこに人手を配るかという判断の話まで進めると、市の実務に近い議論になります
なぜ県庁ではなく市役所か甲賀市は消防を湖南市との組合で運営する一方、窓口や福祉は市が直接担う。単独で担う仕事と近隣と組む仕事が分かれている役割分担を具体例で示したうえで、自分は住民に近い側で働きたいという理由へ落とし込みます
信楽焼と日本遺産信楽焼は日本六古窯の一つで、昭和50年に国の伝統的工芸品に指定。平成29年度には忍者と六古窯の2ストーリーで日本遺産のダブル認定を受けた資源の紹介で止めず、その認定を市民の仕事や暮らしにどう返していくかという段階まで踏み込みます
外国人住民の増加甲賀市の外国人比率5.71%は滋賀県内で3番目に高い水準(令和7年)。県全体の外国人住民は前年比7.9%増で、国籍別ではベトナムが最多多文化共生を理念で語らず、窓口の案内や災害時の情報伝達といった具体の場面に落として話します
市域の広さと立地面積481.62平方キロメートルは滋賀県土の約12%。森林が約7割を占め、大阪からも名古屋からも100キロメートル圏内にある広さを制約としてだけ扱わず、産業立地の強みと生活サービスの負担を両面から語ると、見え方に厚みが出ます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、甲賀市が掲げる4つの人物像に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
チームワーク立場や役割の違う相手と、一つの仕事を仕上げた経験があるかうまくいった話だけでなく、意見が割れたときにどう折り合いをつけたのかまで用意しておきます
対話と協働相手の話を聞いたうえで、自分の進め方を変えた経験があるか聞いた内容によって案がどう変わったのか、変更の前と後を並べて説明できるようにします
責任ある行動自分で決めて動き、その結果を引き受けた場面があるか材料が足りない状況で何を根拠に決めたのかを、順を追って言葉にしておきます
仕事と暮らしの両立働き方と生活の両方について、自分なりの考えを持っているか甲賀市で暮らしながら働く姿を、通勤や地域との関わりも含めて具体的に思い描いておきます

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。甲賀市のように筆記の範囲を絞った試験では、この往復のなかで話がどこまで具体的になるかが、受け答えの印象を大きく左右します。

自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 自分が受ける系統(令和9年4月1日採用か、中途採用か)の受験案内を最新版で読み、試験の段階・面接の形式・提出書類・申込みの手順を書き出す
  2. SPI3の基礎能力検査に一度触れ、制限時間の感覚をつかむ。得点を伸ばす作業よりも、どれくらいの負荷かを知って残りの時間配分を決めるのが目的
  3. 高校・大学・仕事の経験を棚卸しし、初めて任されたことをどう進めたかという話を2つ以上用意する
  4. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  5. この記事の前半を読み返し、年齢構成・信楽焼と日本遺産・外国人住民・市域の広さのうち、志望分野に近い事実を2つか3つ選んで自分の言葉で説明できるようにする
  6. 対応表の材料を「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の順につなぎ、声に出して練習する。答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究と、ステップ6で材料をつなぐ作業は、他の受験生と差をつけるための工程です。ただし甲賀市の試験は筆記の範囲が絞られている分、ステップ1の案内確認とステップ3の経験の棚卸しを先に片づけておくほうが安全です。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、甲賀市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

甲賀市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

甲賀市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和9年4月1日採用の甲賀市正規職員採用試験は、市自身が「SPIおよび面接のみ」と説明しているとおり、筆記で稼げる幅の小さい試験です。県土の12%を占める市域に8万人余りが暮らし、その3割近くが65歳以上。

信楽焼と忍者という全国に知られた資源を持ちながら、離れた集落の暮らしも外国人住民との関係も、同じ役所が受け持っています。その現場で自分は何を引き受けたいのか。

市が掲げる4つの人物像のどれに自分の経験が重なるのかを、面接官に届く言葉になるまで書き直してみてください。中途採用や再採用の選考を受ける場合は案内の内容が異なりますので、それぞれの最新版を確かめてから準備に入りましょう。