本記事では、加賀市職員採用試験の面接対策で必要な、加賀市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

加賀市役所の面接試験では、「なぜ加賀市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。

加賀市の選考は二段階と短く、人物を確かめる場が第2次試験の口述試験に集約されています。

市の実情を自分の言葉で語れるところまで準備しておくと、その一回の面接で話せる中身が変わります。

第1部|自治体研究編

加賀市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは加賀市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 石川県の南西部に位置し、県内で隣り合うのは小松市のみ。福井県の勝山市・あわら市・坂井市と境を接する県境の市である。
  • 市域は305.87km²、人口は60,859人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)、人口密度は199人/km²。市役所は大聖寺南町に置かれている。
  • 住民基本台帳(令和8年1月1日現在)の人口は60,859人で、石川県内11市のうち4番目の規模。
  • 同じ統計での65歳以上の割合は36.2%、75歳以上は22.1%。石川県全体の30.7%・18.4%をいずれも上回り、県内11市では5番目に高い水準にある。
  • 職員採用候補者試験は、総務部人事課が「令和8年公告第61号」のように公告番号を付して公表する形をとっている。
  • 一般事務職の選考は第1次試験・第2次試験の2段階。第1次試験には、SPI3に加えて小論文(記述式事例分析)が課される。
  • 結婚や出産、介護、あるいは留学や転職などで市役所を離れた元職員を対象に、即戦力として再び採用する「カムバック採用」試験を実施している。
  • 市の花はハナショウブ、市の木はスギ。市直営の消防本部を持ち、消防職の採用試験も市の採用候補者試験として行っている。

加賀市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「加賀市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

加賀市の数字は、県全体と比べたときに向きがはっきり出ます。人口では県内4番目、高齢化では県平均を大きく上回る。この2つを並べて覚えておいてください。

項目内容
総人口60,859人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
総面積305.87km²(石川県の約7%)
人口密度199人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
65歳以上の割合36.2%(石川県全体は30.7%。県内11市では5番目に高い)
75歳以上の割合22.1%(石川県全体は18.4%)
隣接自治体小松市/福井県勝山市・あわら市・坂井市
市の花・市の木ハナショウブ・スギ
市役所所在地加賀市大聖寺南町ニ41番地
(参考)石川県の総人口1,089,861人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)
(参考)石川県の面積4,186.20km²

65歳以上・75歳以上の割合と、参考として並べた石川県の総人口・割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。この統計での加賀市の総人口は60,859人で、割合の分母にもこの数値を用いています。県内11市での順位も同じ統計にもとづきます。石川県が公表している推計人口や国勢調査の結果は調査の基準が異なるため、これらの割合と直接は比較できません。総面積・隣接自治体・市役所所在地・市の花木は公表値をもとに当研究会が整理したもので、総人口は上記の住民基本台帳人口60,859人、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出した値です。

数字から考えられる市政課題

まず押さえたいのが高齢化の水準です。令和8年1月1日現在の住民基本台帳で、加賀市の65歳以上は36.2%、75歳以上は22.1%。

石川県全体の30.7%・18.4%を大きく超え、県内11市のなかでは5番目に高い位置にあります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)。

市民の5人に1人以上が75歳以上という構成は、介護も、移動も、見守りも、担当部署の枠を越えて仕事に顔を出すということです。

面積は305.87km²で、石川県全体の4,186.20km²のおよそ7%にあたります(参考:石川県の概要(県の位置・面積))。

人口密度は199人/km²で、市域に人が分散して暮らしている姿が数字からも見て取れます。

この2つを合わせると、面接ではこんな話し方ができます。

「加賀市は市民の3人に1人以上が65歳以上で、県の平均よりかなり高いと知りました。人口密度も高くないので、お住まいの場所によって、通院や買い物の負担がずいぶん違うのではと感じています。そこに手が届く仕事に関わりたいです」

加賀市の経済・産業

機械産業に偏った県の製造業

石川県では、製造品出荷額等(従業者4人以上の事業所)30,059億円のうち、機械だけで20,766億円と構成比69.1%に達します。

食料品は2,003億円(6.7%)、繊維は1,929億円(6.4%)にとどまります。

農業産出額535億円のうち米が281億円という構成も、あわせて押さえておきましょう(出典:石川県の現状と課題(成長戦略会議資料)|令和元年ほか)。

県の稼ぎ頭は機械であり、加賀市の働き手もその構造の内側にいます。

工芸と観光という県の資産

石川県は、輪島塗・九谷焼・加賀友禅・金沢箔といった伝統工芸を全国に誇る資産として掲げています。観光では、兼六園、世界農業遺産「能登の里山里海」、日本三名山の霊峰白山などが主要な資源です。ものづくりと工芸と観光が重なった県という理解が、産業を語るときの土台になります。

観光は震災の影響から戻る途中

石川県の令和6年の観光入り込み客数(推計)は18,862千人で、前年(21,538千人)の87.6%にとどまりました。

令和6年元日の能登半島地震の影響によるものです。

内訳は県内から6,761千人(対前年比82.0%)、県外から12,101千人(同91.1%)で、県外の内訳は首都圏2,990千人、関西圏1,896千人、中京圏1,316千人となっています(出典:石川県観光入り込み客数|令和6年)。

県内客の落ち込みが県外客より大きいという数字は、観光を語るときに使えます。

関西圏・中京圏からの来訪が一定量あることも、福井県と境を接する加賀市の位置と無関係ではありません。

観光を志望動機にするなら、名所の紹介ではなく、どこから来る人をどう迎えるかという設計の話まで進めてください。

加賀市の主な行政課題

ここまでの数字を踏まえると、加賀市が抱えている論点が見えてきます。面接で市の課題を問われたときの引き出しとして、次の4つを用意しておきましょう。

県全体より先を行く高齢化

石川県の人口は、平成12年の1,180,977人をピークに、平成17年の国勢調査で初めて減少に転じました。国立社会保障・人口問題研究所の令和5年推計では、県人口は令和22年(2040年)に979千人と100万人を割り込み、令和32年(2050年)には897千人になる見通しです。

65歳以上の割合も29.8%(2020年)から38.3%(2050年)へ上昇すると見込まれています(出典:石川県の将来推計人口(解説)|令和5年推計)。

ただし、この推計と加賀市の36.2%は基準の異なる統計ですので、そのまま並べて比べることはできません。

同じ住民基本台帳のなかで見ると、加賀市の36.2%は石川県全体の30.7%を5.5ポイント上回ります。

県が将来像として語っている高齢化を、加賀市は県内で先行して経験している側だという読み方ができます。

働き手をどう確保するか

高齢化が進むということは、市役所自身にとっても人手の確保が難しくなるということです。

加賀市は、過去に市で常勤職員として一定の勤務実績があり、結婚・出産・育児・介護といったやむを得ない事情や、留学・転職・起業などのキャリアアップのために退職した人を対象に、即戦力として再び採用する「カムバック採用」試験を設けています。

一度離れた人に戻ってきてもらう枠をわざわざ設けているという事実からは、経験を積んだ人の手が求められている状況がうかがえます。

新卒で入る側から見れば、一人あたりが受け持つ仕事の幅は広くなると考えておくのが現実的です。

災害への備えと復興という県の前提

石川県は、県内・隣県に位置する陸海域の9断層帯を対象とする地震被害想定を令和7年5月に公表しました。

想定されている地震規模は、森本・富樫断層帯でマグニチュード7.2、邑知潟断層帯で7.6、能登半島北岸断層帯で8.1などです。

県内で最大の被害となる森本・富樫断層帯の想定では、死者は最大2,212人(冬・朝5時の想定)、建物の全壊・全焼は最大46,947棟とされています(出典:石川県地震被害想定調査の概要|令和7年5月)。

加えて、令和6年元日の能登半島地震と同年秋の奥能登豪雨への対応は累計1兆3,105億4,309万円に達し、県は令和7年度を「復興元年」と位置づけています。

県内で公務員として働くということは、この復興を前提に仕事をするということです。

県財政という制約

石川県の令和5年度の指標を見ると、財政力指数0.478、経常収支比率92.3%(全国平均92.9%)、実質公債費比率12.3%、将来負担比率192%。

県債残高は同年度末で標準財政規模の3.69倍にのぼり、全国平均の3.08倍を大きく上回ります。

県自身も、公債費が財政の大きな圧迫要因になっていると認めています(出典:石川県の財政状況(財政のあらまし)|令和7年6月)。

新しいことを始めるには、既にあるものを組み替えるしかありません。

市の予算資料を読むときは、増えた事業だけでなく、何を減らしてそれを作ったのかに目を向けてみてください。

加賀市の重点政策|石川県の長期構想と加賀市

加賀市がどの総合計画に沿って市政を進めているかは、市の公式サイトで最新版を開いて確かめるのが確実です。計画は年度が変われば改定も差し替えもあります。ここでは、その計画が置かれている県全体の枠組みを整理しておきます。

県が課題として挙げていること

石川県は公式文書のなかで、人口減少(2040年に100万人割れの見込み)と少子高齢化への対応、東京一極集中からの脱却、大規模災害やインフラ老朽化への対応、持続可能な財政基盤の確立を課題に挙げています。さらに、北陸新幹線の県内全線開業の効果を最大化し、それを持続させて県内全域へ波及させることを課題とし、文化資源を磨き上げた文化観光の推進や北陸三県連携の強化に取り組むとしています。

加賀市に引き寄せると、「県内全域への波及」と「北陸三県連携」の2つが、市の位置に直接かかわります。

加賀市が県内で接するのは小松市だけで、残る境界はすべて福井県側です。

人の流れも産業の動線も県境をまたぐ前提で、市の施策がどの広域の枠組みに乗っているかを確かめながら計画を読むと、理解が早くなります。

県の予算が向いている方向

石川県の令和7年度実質当初予算の一般会計は9,341億1,800万円で、うち令和7年度当初予算は8,379億8,900万円です。

地震と豪雨からの創造的復興が最重点に据えられ、被災地の生活と生業の再建に加え、トキの放鳥に向けた取組や輪島塗の創造的復興プロジェクトなどが進められています。

県はまた、小松空港ターミナルビルの改築や西部緑地公園の再整備といった大規模プロジェクトを今後の財政需要として見込んでいます(出典:石川県の令和7年度当初予算の概要|令和7年2月)。

県の資源がどこへ向かっているかを知っておくと、市の事業の進み方についても見当がつきます。

POINT|市の施策は「誰の何が変わるか」で捉える

事業名を覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心のある分野を一つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③今どんな事業があるか → ④市だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験をどう生かすか」の順に整理してみましょう。

悪い例「加賀市の高齢者福祉に貢献したいです」

改善例「加賀市は市民の5人に1人以上が75歳以上だと知りました。まずは窓口で制度の説明ができるようになりたいですが、いずれは、車を手放した方が病院や買い物へ行ける手段を整える仕事に関わりたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

読む順番を先に決めておきましょう。最初に市の試験案内、次に志望分野へつながる資料。残りは目次と見出しをたどる程度でも構いません。

  • 加賀市職員採用候補者試験の試験案内と、市が出している最新の採用公告
  • 加賀市の総合計画と、最新年度の予算に関する市の説明資料
  • 石川県の令和7年度当初予算の概要(県の重点がどこにあるかがわかります)
  • 石川県観光入り込み客数の統計(観光や産業の分野を志望する場合)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、加賀市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。加賀市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

加賀市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

加賀市役所の面接の概要

ここからは、加賀市の選考がどんな順序で進み、それぞれの場面で何が確かめられるのかを、市が公表している試験案内と、当研究会の読みを分けて整理していきます。

加賀市役所の試験の構成

加賀市の一般事務職(試験区分A1)の選考は2段階です。第1次試験でSPI3と小論文、第2次試験で口述試験という組み立てで、人物を確かめる場面は第2次試験の一回に集約されています。

その一回に向けて、話す中身をどこまで用意できるかが問われます。

項目内容(一般事務職・試験区分A1)
試験の段階第1次試験・第2次試験の2段階
第1次試験SPI3(能力検査(大学卒程度)・性格検査、択一式)及び小論文(記述式事例分析)
第2次試験口述試験(全職種共通。保育士のみ口述試験に加えて実技試験を実施)
集団形式集団討論・集団面接の実施は試験案内に記載がありません
人物試験の配点第1次・第2次とも試験案内に記載がなく非公表です
提出書類「面接カード」に相当する様式は試験案内にありません。第1次試験の合格者は、合格通知に記載された要領に従い、卒業(見込)証明書及び成績(見込)証明書を提出します
試験の公表方法総務部人事課が「令和8年公告第61号」のように公告番号を付して公表します
初任給一般事務職(A1)220,000円(職務経験がある場合は所定の金額が加算されます)

注目したいのは、第1次試験に小論文が置かれていることです。

しかも「記述式事例分析」と名づけられており、知識を問うのではなく、示された事例をどう読み解くかを見る形式であることが名称から読み取れます。

ここで文章にした思考は、第2次試験の口述試験でも同じように問われる可能性があります。書くことと話すことを別々の対策にしないほうが効率的だといえるでしょう。

申込方法が職種によって分かれる点にも注意してください。令和8年度の試験では、保育士(A13)は採用専用サイトからの電子申込、それ以外の職種は全国高等学校統一応募書類・卒業(見込)証明書・返信用封筒を郵送または持参する書類申込となっています(出典:加賀市職員採用候補者試験の公告(令和8年公告第61号)|令和8年度)。

上記の一般事務職(A1)の試験構成は、加賀市の令和7年度試験案内にもとづくものです。令和8年度については、市サイトで掲載中の試験案内が土木・建築・保育士・消防職(試験区分A11〜A14)のものであるため、大学卒程度の一般事務職の構成は令和7年度の案内で確認しています。試験の構成・科目・配点は年度や試験区分によって変わる可能性がありますので、受験の際は必ず最新の公告と試験案内をご確認ください(参考:加賀市職員採用候補者試験案内(試験区分A1〜A9)|令和7年度)。

加賀市役所が求める人物像

加賀市の職員採用のページと、各試験案内の本文には、「求める人物像」として項目立てられた記載はありませんでした。

市が公表している範囲では、人物の評価基準は文章の形にはなっていません。

ただし、材料がないわけではありません。

第1次試験に事例分析型の小論文を置き、第2次試験を口述試験だけで構成しているという設計そのものが、市の考え方を示しています。

読んで、考えて、自分の言葉で説明する。この一連の流れを二度、形式を変えて確かめる作りになっているからです。

そのうえで、ここからは当研究会の推し量りになります。事例分析型の小論文を第1次に据えた設計の意図を、市が説明しているわけではないからです。

手がかりは加賀市の数字のほうにあります。305.87km²に6万人が分散して暮らす市では、一つの案件が窓口から現場へ、現場から関係機関へと場所を移りながら進み、その全部を同じ担当者が追いかけることになりがちです。

状況を紙の上で整理し、次に何をするかを自分で決める場面が、日常業務のかなりの部分を占めるとみてよいでしょう。

第1次で事例を読ませ、第2次でその考えを口頭で確かめるという流れは、この働き方と地続きに見えます。

加賀市に固有の事情も重なります。市民の36.2%が65歳以上という構成のもとでは、福祉も交通も防災も、担当を越えて同じ市民に届く話になります。

県内で接するのが小松市だけで、残りは福井県側という位置も見逃せません。制度の運用や広域の連携で、県境をまたいだ相手と話をする場面が出てきます。

加えて、市はカムバック採用として、退職した元職員を即戦力として迎え直す枠を用意しています。

新卒で入った人の隣に、市役所の外での時間を持つ人が並ぶ職場だということです。

ただ、こうして逆算した像に自分を寄せていくと、かえって話は薄くなります。

加賀市の選考であなたが言葉を出せる機会は、小論文と口述試験の二度きりです。その二度で示せるのは、すでに手元にある材料だけだと考えてください。

誰にも頼れない状況で調べながら進めた場面を一つ選び、着手から決着までの手順を順番どおりに思い出しておく。準備としてはそれで足ります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。加賀市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどちらから来られましたか身構えていない場面での話し方。相手の目を見て話せるか
② 動機・志望民間企業ではなく公務員を選んだ理由は何ですか比較の中で選んだ理由になっているか。経験に根があるか
③ 自己理解ご自身の長所と短所を教えてください自己申告ではなく、裏づけになる事実まで語れるか
④ 経験・行動誰も手をつけていない仕事を引き受けた経験はありますか着手までの判断と、進め方の手順の具体性
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れて学んだことを教えてください知識の量ではなく、それを人に説明できるかどうか
⑥ 適性・将来希望とは違う部署に配属されたらどうしますか幅広い業務を前提にした構えがあるか
⑦ 公共性・社会性気になっている社会の問題を一つ教えてください関心の所在と、意見を簡潔にまとめる力

とはいえ、この表の範囲は他の受験者もひととおり準備してきます。差がつくのは、加賀市を調べていなければ答えられない質問のほうです。

合否を分けるのは「加賀市役所ならでは」の質問

「なぜ石川県庁ではなく、加賀市役所なのですか」
「加賀市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「加賀市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい加賀市の事実答え方のヒント
高齢化の水準65歳以上36.2%・75歳以上22.1%で、石川県全体の30.7%・18.4%を大きく上回り、県内11市で5番目に高い(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)数字を挙げるだけで終わらせず、同じ統計の県全体より5.5ポイント高いという比べ方まで示し、県内で先に高齢化を経験している市だという整理で話します
県境という位置県内で隣り合うのは小松市のみで、勝山市・あわら市・坂井市という福井県側の3市と境を接する地理の説明にとどめず、通勤や買い物、観光の動線が県境をまたぐことに触れ、広域で連携する必要のある仕事を一つ挙げます
なぜ県庁ではなく市役所か加賀市は一般事務職から消防職まで自前で採用し、市民の暮らしに直接触れる職種をそろえている県が広域の枠組みを整えるのに対し、市は一人ひとりの生活の場面を引き受けるという役割の違いを、自分の関心分野の具体例で示します
市の人材確保結婚・出産・育児・介護や留学・転職・起業で退職した元職員を、即戦力として再び採用する「カムバック採用」を実施している制度を知っていることを示すだけでなく、経験を持った人に戻ってもらう必要がある市で、新人の自分は何から役に立つのかという話につなげます
観光と震災の影響石川県の令和6年の観光入り込み客数は18,862千人で前年の87.6%。県内客の落ち込み(82.0%)が県外客(91.1%)より大きい入込の回復を願う話で終えず、関西圏や中京圏から人が来る位置にあることを踏まえ、迎える側の準備という視点まで進めます

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

口述試験が一回しかないぶん、その場で確かめられるのは、あなたの過去の行動が本当に自分のものかどうかです。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
事例を読み解いて筋道を立てる力状況を整理し、判断の理由を説明できるか第1次試験の小論文は「記述式事例分析」です。書いた内容を口頭でも再現できるよう、自分の考えの順序を言葉にしておきましょう
未経験の仕事に着手する力前例のない依頼に、まず何をしたか6万人規模の市では担当の幅が広くなります。調べた先と、相談した相手の選び方まで話せる形にしておくことが有効です
暮らしの現場に近い視点相手の事情を聞いて判断を変えた経験があるか加賀市は市民の3人に1人以上が65歳以上です。年齢や事情の違う相手に合わせて説明や段取りを変えた場面を、一つ用意しておきましょう

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。面接の機会が一度である以上、その場で掘り下げに耐えられるかどうかがそのまま結果になります。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを、事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 受ける試験区分を決め、市の最新の公告と試験案内を最後まで読む(申込方法が職種によって分かれます)
  2. SPI3の能力検査を時間を計って解き、出題形式に慣れておく
  3. 事例分析型の小論文を1本書いてみる。書いたあとに、その内容を口頭で3分に要約する練習まで行う
  4. 学業・課外活動・仕事のなかから、自分の判断で動いた場面を3つ書き出し、状況と結果を短くまとめる
  5. 高齢化36.2%という数字と、県境に位置するという事実のうち、志望に近いほうを選び、手元を見ずに人へ説明してみる
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ4の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、加賀市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

加賀市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

加賀市役所の想定問答集を見る

さいごに

加賀市の一般事務職の選考は2段階で、口述試験は一度きりです。

書いて示す力と話して示す力の両方が、短い工程のなかで確かめられます。

県平均を大きく超える高齢化を抱え、県内で接するのは小松市だけという位置にある市で、自分は何を引き受けたいのか。

その答えを、一度の面接で掘り下げられても崩れない厚みまで育てておいてください。