本記事では、富山市職員採用試験の面接対策で必要な、富山市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
富山市役所の面接試験では、「なぜ富山市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。市の実情や政策を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、富山市ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と富山市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
富山市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは富山市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 富山県の県庁所在地であり、平成8年に旧富山市が中核市へ移行した市。平成17年4月には富山市・大沢野町・大山町・八尾町・婦中町・山田村・細入村の7市町村が合併し、現在の富山市になった。
- 人口は約40万人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在で401,436人)。
- 市域は1,241.71km²で、富山県の面積4,247.58km²の約29.2%を占める。人口密度は1平方キロメートルあたり323人。
- 中核市として富山市保健所を市が設置・運営している。所管は福祉保健部保健所地域健康課で、事業概要は毎年度公表されている。
- 接している自治体は、県内が射水市・滑川市・砺波市・南砺市・中新川郡上市町・立山町・舟橋村。県外では岐阜県飛騨市・高山市、長野県大町市と接する。
- 富山県は三方を山に囲まれて富山湾を抱く地形で、富山市を中心に半径50kmというまとまりのよい県土だと県自身が説明している。3,000m級の立山連峰から水深1,000mを超える富山湾まで、高低差は4,000mに及ぶ。
- 北陸新幹線が2015年春に開業し、富山と東京の間の移動時間は2時間8分に短縮された。
- 市の花はヒマワリ、市の木はケヤキ。市役所は新桜町にある。
富山市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「富山市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
富山市を説明するときに強い材料になるのは、40万人という人口と1,241km²という市域の組み合わせです。人が多い市というより、広い市を40万人で支えている市だと捉えると、後の章の課題がつながって見えてきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 401,436人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 総面積 | 1,241.71km²(富山県の面積の約29.2%) |
| 人口密度 | 323人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 住民基本台帳人口 | 401,436人(令和8年1月1日現在。次の2行の割合はこの値が分母) |
| 65歳以上人口・高齢化率 | 121,882人・30.4%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース) |
| 75歳以上人口・75歳以上率 | 73,961人・18.4%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース) |
| 市の位置づけ | 中核市(平成8年に旧富山市が移行)。富山市保健所を市が設置・運営 |
| 市の成り立ち | 平成17年4月に7市町村(富山市・大沢野町・大山町・八尾町・婦中町・山田村・細入村)が合併 |
| 隣接自治体 | 射水市、滑川市、砺波市、南砺市、中新川郡上市町、立山町、舟橋村、岐阜県飛騨市・高山市、長野県大町市 |
| 市の花・市の木 | ヒマワリ・ケヤキ |
| 市役所所在地 | 〒930-8510 富山県富山市新桜町7番38号 |
| (参考)富山県の総人口 | 985,675人(令和7年10月1日現在・令和7年国勢調査速報。前回調査から4.7%減) |
富山市の面積・隣接自治体・市の花木・市役所所在地は、公表値をもとに当研究会が整理したものです。総人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)の数値で、人口密度はこの総人口を総面積で割って算出しました。高齢者の人口と割合は、総務省が住民基本台帳をもとに集計した令和8年1月1日現在の値を使っています。参考として並べた富山県の総人口は国勢調査の速報値で、住民基本台帳とは調査の枠組みも時点も異なります。市と県の数字を並べて増減を語るときは、出所をそろえてからにしてください。
数字から考えられる市政課題
住民基本台帳に基づく令和8年1月1日現在の値では、富山市の65歳以上人口は121,882人、高齢化率は30.4%で、75歳以上は73,961人(18.4%)です。市民のおよそ3人に1人が65歳以上、5人に1人近くが75歳以上という構成になります(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数(総務省)|令和8年1月1日現在)。
ここに市域の広さが重なります。1,241.71km²という面積は富山県全体の約3割にあたり、人口密度は323人/km²です。
同じ市の中に、駅前の市街地から山あいの集落までが含まれているということですから、高齢化と広い市域が組み合わさると、移動の問題が真っ先に出てきます。
公共交通、通院、買い物、除雪。どれも「制度をつくる」だけでは終わらず、届ける手段まで考えなければならない仕事です。
市の人口401,436人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)は、県の総人口985,675人(令和7年10月1日現在の国勢調査速報)と時点も調査も異なりますが、県のおよそ4割が富山市で暮らしている計算になります。県の中心にある市としての役割を意識しておきましょう。
県の中心という位置づけは、たとえば次のように言葉にできます。
富山市の経済・産業
富山市の産業を語るときは、県全体が積み上げてきたものづくりの厚みを土台に置くのが近道です。県が全国1位を持つ分野がいくつもあり、その多くは市内で働く人の仕事にもつながっています。
ものづくりの県という土台
富山県は、産業別の就業人口の割合で第2次産業のウエイトが全国トップです。大正時代の化学・紡績、戦後のアルミなど金属・機械産業の集積が背景にあると県は説明しています。
県内で働く人の構成そのものが製造業寄りだという事実は、産業振興や雇用の話題を組み立てるときの出発点になります(参考:富山県の工業集積(企業立地の魅力))。
くすりとアルミ
富山県の医薬品生産金額は7,325億円で全国1位です。人口1人あたりの医薬品生産金額68.7万円、人口1万人あたりの医薬品製造従業者数74.1人も、それぞれ全国1位で、県は「くすりの富山」として紹介しています。
住宅用アルミニウム製サッシの全国シェアも36.5%で全国1位です。高岡銅器やチューリップ球根(出荷量16,713千球で全国1位)といった地場産業もあります。
志望分野が福祉でも防災でも、地域の産業の名前を一つ二つ言えるかどうかで、話の地に足のつき方が変わります(出典:富山県のプロフィール(特色・産業))。
観光と交通の結節点
令和6年の富山県の観光客入込総数(延べ数)は3,842万3千人で前年比1.3%減、観光庁の共通基準による実数推計は1,347万6千人で前年比4.4%減でした。一方、外国人延べ宿泊者数は25万人で前年比6.2%増と伸びています。
主要な観光地では、富岩運河環水公園が148万9千人、立山黒部アルペンルートが82万4千人(前年比15.9%増)、世界遺産の五箇山が40万7千人です。北陸新幹線の開業で東京から2時間8分という距離になったことと合わせると、通過する場所ではなく滞在してもらう場所にできるかが問われている段階だと読めます(出典:富山県の観光客入込数|令和6年)。
富山市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、富山市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
県全体で続く人口減少
富山県の人口は1998(平成10)年の1,126千人をピークに減少が続いています。令和7年国勢調査の速報値では県の総人口は985,675人で、前回(令和2年)から49,139人(4.7%)の減少です。
自然動態と社会動態はともにマイナスが続き、2023年の純増減は10,412人の減少でした。県の試算では、将来人口は2060年に60万人台まで減る見込みとされています(出典:令和7年国勢調査人口速報集計(富山県)|令和7年10月1日現在)。
広い市域と高齢化が重なること
市の高齢化率30.4%・75歳以上率18.4%(令和8年1月1日現在・住民基本台帳ベース)という数字は、1,241.71km²の市域全体に及びます。中山間の集落から中心市街地までを一つの市役所が受け持つため、同じ制度でも、住んでいる場所によって届き方が変わるという前提から離れられません。
県も、人口減少社会への適応として中山間地域の振興や公共交通の維持を挙げています。移動や見守りの話題は、富山市では抽象論になりにくいテーマです。
大規模地震への備え
富山県で最も大きな被害が想定されているのは呉羽山断層帯の地震(マグニチュード7.4)です。平成23年度の被害想定調査によると、減災対策を講じない場合の想定は死者4,274人・負傷者20,958人、建物全壊90,424棟・半壊273,752棟とされています。
この想定は前回(平成10年)の調査に比べ、建物全壊で約2.6倍、死者で約2.9倍に拡大しました。同じ調査は、耐震化率85%を達成した場合には予測死者数が1,939人減ると見込んでいます。
備えの有無で結果が変わるという形で示されている点が、この想定の使いどころです(出典:呉羽山断層帯の被害想定調査(富山県)|平成23年度)。
都市の骨格をつくり直す事業
富山駅周辺では、鉄道で南北に分断されていた駅部を高架化する連続立体交差事業が進められ、南北一体のまちづくりが図られてきました。
あわせて、駅南側の富山軌道線と北側の富山港線を高架下の新設停留場でつなぐ路面電車南北接続事業が行われ、路線延長約250mの第2期事業が令和2年3月に開業して南北の接続が完成しています。
人口が減る局面で公共交通に投資を続けてきた市だという理解は、まちづくりや交通の分野を志望するときに効いてきます。
県が示す2つの方向
富山県は令和6年4月に「富山県人口未来構想本部」を設置し、7回の会議を経て令和7年2月に人口未来構想をまとめました。
そこでは、人口減少そのものへの対応(子育て支援・少子化対策、産業振興、移住促進、外国人材の活躍など)と、人口減少社会への適応(インフラの維持管理、中山間地域の振興、防災・減災、医療・介護、公共交通など)という2つの方向が、直ちに取り組むべき施策として並べられています。減らす努力と、減った後に備える努力を同時に進めるという整理は、市の施策を読むときの補助線としても使えます(出典:富山県人口未来構想(概要)|令和7年2月)。
富山市の重点政策|中核市としての守備範囲
富山市の政策を理解するうえで、最初に押さえておきたいのが中核市であることです。平成8年に旧富山市が中核市へ移行し、県から移譲された事務を市が自ら担う体制になりました。
市が何をどこまでやる市なのかという枠組みを知っておくと、やりたい仕事の話が具体的になります(出典:富山市の概要と歴史)。
保健所を持つ市であること
中核市であることの分かりやすい表れが、市が保健所を設置・運営していることです。富山市保健所は福祉保健部保健所地域健康課が所管し、事業概要を毎年度公表しています。
感染症対策、食品衛生、母子保健、精神保健といった分野を、都道府県ではなく市が直接担うということです。福祉や保健の分野を志望するなら、市の中に保健所があるという事実を踏まえて話すだけで、志望先の理解度が伝わります(参考:富山市保健所の事業概要)。
合併でできた市域という前提
平成17年4月、富山市は大沢野町・大山町・八尾町・婦中町・山田村・細入村と合併し、現在の1,241.71km²の市域になりました。旧市町村ごとに歴史も産業も地形も違うため、市の政策には「どの地域にどう当てはめるか」という調整が常につきまといます。
合併から20年あまりが経ち、公共施設の老朽化や地域ごとの人口の動きの差といった論点も出てきます。地域振興やまちづくりを志望するなら、この成り立ちを前提に置いて話しましょう。
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 受験する枠と職種の受験案内(令和8年度は先行実施枠・6月実施分・9月実施分・社会人経験者等枠に分かれ、受験案内は職種群ごとに別に公表されています)
- 富山市の総合計画とその実施計画(市公式サイトで最新版を開く)
- 最新年度の予算の概要/志望分野に関わる個別計画
- 富山市保健所の事業概要(保健・福祉分野を志望する場合)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、富山市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。富山市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
富山市役所の面接の概要
ここからは、富山市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
富山市役所の面接の流れ
富山市の職員採用試験の受験案内は、企画管理部職員課が公表・所管しています。人事委員会名義の受験案内ではない、という点は最初に押さえておきましょう。
令和8年度実施(令和9年4月1日採用)の試験は、先行実施枠、6月実施分、9月実施分、社会人経験者等枠などに分かれ、受験案内は職種群ごとに別のPDFで公表されます。ここでは6月実施分の行政区分を前提に整理します。
採用予定人員は行政が20人程度、行政(福祉・公衆衛生)が5人程度です。
| 項目 | 内容(令和8年度・6月実施分・行政) |
|---|---|
| 試験の段階 | 二段階選抜。第1次試験(筆記試験+個別面接)→ 第2次試験(個別面接) |
| 第1次試験の科目 | 教養試験・専門試験・短文論述試験・性格特性検査と、面接試験 |
| 第1次試験の配点 | 合計100点満点で、教養試験20点・専門試験20点・短文論述試験5点・面接試験55点 |
| 面接の対象者 | 第1次試験における面接試験の対象者は、筆記試験の成績により決定される |
| 短文論述試験 | 与えられた課題について、知識・判断力・表現力などをみるための試験 |
| 第2次試験 | 第1次試験合格者を対象に選考により実施。最終合格は第1次試験と第2次試験の結果を総合的に判定して決定 |
| 面接の回数 | 行政は個別面接が計2回(保育士および保育士(任期付)は第2次試験を行わず、筆記試験と面接試験1回で判定) |
| 試験会場 | 富山大学五福キャンパス共通教育棟。行政・土木・建築のみ東京会場・京都会場でも実施 |
| 受験の申込 | インターネットの「富山市職員採用申込サイト」から。顔写真データが必要で、申し込める職種は一つに限られ、申込後の職種変更は認められない |
この試験の性格は、第1次試験の配点にはっきり出ています。100点満点のうち面接試験が55点で、筆記3科目の合計45点を上回ります。
第1次の段階から人物評価が過半を占め、そのうえで第2次にもう一度個別面接が置かれる構成です。筆記の準備だけで一次を通過するという発想が成り立たないので、対策の時間配分は早い段階から面接側に寄せておくのが安全です(出典:令和8年度富山市職員採用試験受験案内(行政ほか・6月実施分)|令和8年度)。
上記の試験構成は、富山市の令和8年度実施・6月実施分の受験案内にもとづく行政区分のものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験する枠、職種によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の枠と職種の最新の試験情報をご確認ください。
富山市役所が求める人物像
確認した富山市の令和8年度受験案内(行政職ほか)と職員採用案内のトップページには、「求める人物像」にあたる定型の文言は掲げられていませんでした。ただ、この試験は言葉で人物像を示す代わりに、配点で意思表示をしていると読むこともできます。
第1次試験の100点満点のうち55点が面接試験。ここまで人物評価に寄せている以上、受験生に確かめたいのは知識量ではなく、人としての受け答えの中身だという理解で準備を進めて問題ありません。
もう一つの手がかりが、短文論述試験です。与えられた課題について知識・判断力・表現力をみる試験だと受験案内は説明しています。
判断力と表現力が並んでいるということは、正解を知っているかではなく、限られた分量でどう考えを組み立てるかを見ているということです。自己PRでも同じで、「まじめに取り組みます」と述べるだけでなく、どこで判断を迫られ、何を選んだのかまで話しましょう。
富山市は人物像を言葉にしていませんが、市の成り立ちからは読み取れるものがあります。以下は当研究会の見立てです。
富山市は40万人規模で、県土のおよそ3割にあたる1,241.71km²を一つの市役所で受け持ち、しかも中核市として保健所まで自ら運営しています。職員一人が関わる範囲が広く、企画を考える立場と現場に出る立場の距離が近いということです。
この環境では、大きな構想を語る力よりも、限られた人員と予算のなかで実行できる形まで落とし込む力のほうが効いてくると考えられます。合併で成り立ちの違う地域が同居していることもあり、地域の団体や周辺の自治体と組んで進める場面も少なくありません。
身構える必要はありません。人手や時間が足りないなかで工夫した経験は、多くの人が持っているはずです。
それを富山市の仕事の場面に置いて説明できれば、そのまま答えになります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。富山市の個別面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 緊張していますか? | 身構えた答えよりも、ふいの一言にどう応じるか。表情や声の落ち着きもここで見られている |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 民間でもできる動機で止まっていないか。職業選択の筋道が自分の経験とつながっているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を客観視できているか。短所を認めたうえで、その付き合い方まで語れるか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 困難の重さではなく、その場面でどこから手をつけ、何を変えたかという行動の順序 |
| ⑤ 学業・経歴 | 卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください | 専門外の相手に伝わる言葉へ翻訳する力。学んだことを仕事へつなげる視点 |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 市の仕事への理解の解像度。希望どおりの配属でなくても働ける柔軟さ |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 社会の動きへのアンテナと、それについて自分の意見を一言で述べられるか |
ただし、この7カテゴリーは富山市に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「富山市ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「富山市役所ならでは」の質問
1問目は、県庁所在地の市役所を受けるなら必ず用意しておきたい質問です。富山市は中核市として県から移譲された事務を担い、保健所まで自ら持っています。
県と市の仕事が実際にどう分かれているのかを具体例で言えるかどうかが分かれ目です。どちらも、市を調べていない人には手が出ない質問です。
そのぶん、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「富山市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい富山市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 市の規模と位置 | 人口401,436人、面積1,241.71km²で県面積の約29.2%。人口密度323人/km²。県の総人口985,675人のおよそ4割が市内で暮らす | 県庁所在地ですと言うだけで終わらせず、県土の3割を受け持つ市では地域ごとに事情が違うという話に運ぶと、規模の話が課題の話に変わります |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 平成8年に旧富山市が中核市へ移行し、市が富山市保健所を設置・運営している | 権限の広さを自慢する形にせず、保健所のように市民の生活に直接つながる窓口を市が持っていることを、自分のやりたい仕事に結び付けて語ります |
| 市の成り立ち | 平成17年4月に7市町村(富山市・大沢野町・大山町・八尾町・婦中町・山田村・細入村)が合併して現在の市域になった | 合併の経緯を暗記して披露するのではなく、成り立ちの違う地域を一つの市として運営する難しさに触れると、当事者としての視点が出ます |
| 防災・危機管理 | 県で最大の被害が想定される呉羽山断層帯の地震(マグニチュード7.4)は、減災対策を講じない場合で死者4,274人・建物全壊90,424棟。耐震化率85%の達成で死者は1,939人減ると予測 | 被害の数字だけを言うと不安を並べただけになるので、対策次第で結果が変わると示されている点まで押さえて話します |
| 富山市の魅力 | 北陸新幹線で東京まで2時間8分。富岩運河環水公園には令和6年に148万9千人が訪れ、富山駅では高架化と路面電車の南北接続が完成している | 観光地の紹介で終わらせず、駅を中心にまちを組み替えてきた市だという文脈まで持っていくと、住む場所としての魅力の話につながります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、受験案内が示す試験の設計に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 判断力 | 迷う場面で何を基準に決めたか。決めた後に起きたことまで話せるか | 短文論述試験でも判断力が挙げられているので、自分が二択で迷った場面を一つ選び、選ばなかった側の理由まで言えるようにしておく |
| 実行に落とす力 | 思いつきで終わらせず、人手や時間の制約の中で形にしたか | 県土の3割を40万人で支える市では規模の制約が前提になるため、限られた条件で優先順位を決めた経験を用意しておく |
| 地域と組む力 | 立場の違う相手と、同じ目的に向かって動けたか | 7市町村の合併でできた市であることを踏まえ、考え方の違う人たちの間に立った場面を、結果まで含めて話せるようにする |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
富山市の行政区分は個別面接が2回あり、しかも第1次の段階で55点が置かれています。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 受験する枠と職種を決め、その職種群の受験案内で試験の段階・科目・配点を確認する(申込後に職種は変更できません)
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。第1次から面接があるため、筆記の直後に面接へ切り替える段取りも決めておく
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、富山市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
富山市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
富山市の試験は、第1次の100点満点のうち55点が面接という配点で始まり、第2次でもう一度個別面接が待っています。筆記の点で押し切る試験ではありません。
県土の3割にあたる市域を40万人で支え、中核市として保健所まで自ら運営する市で、自分は誰のどんな場面に関わりたいのか。
合併から20年あまりを経た市の姿を自分の目で確かめながら、その答えを言葉にしていってください。