本記事では、岩手県職員採用試験の面接対策で必要な、県の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
岩手県庁の面接試験では、「なぜ岩手県を志望したのか」「県職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を県政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。県の実情や政策を理解しておくことで、抽象的な回答を避け、岩手県ならではの事情を踏まえた説得力のある説明がしやすくなります。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と岩手県政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
岩手県の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは岩手県の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 県庁所在地は盛岡市(内丸)。本州の北東部に位置し、北で青森県、西で秋田県、南で宮城県と接する。
- 総面積は15,275.04km²で、北海道に次ぐ全国第2位の広さを持ち、国土のおよそ4%を占める。東西約122キロメートル、南北約189キロメートルの、南北に長い県土が特徴。
- 内陸部は西の奥羽山脈と東の北上高地に挟まれ、その間を北上川が南へ流れて盛岡・花巻・北上・奥州などの平野を潤す。産業と人口の多くはこの北上川流域に集まっている。
- 太平洋に面した沿岸部は、宮古市付近を境に北側が隆起海岸、南側がリアス海岸で、世界有数の漁場である三陸沖を擁する。三陸鉄道やみちのく潮風トレイルなど、海と結びついた地域資源も豊か。
- 内陸を南北に貫く東北新幹線・東北自動車道に加え、東日本大震災津波からの復興事業として整備された三陸沿岸道路や宮古盛岡横断道路が、沿岸と内陸を結んでいる。
- 県南の平泉町には仏教の理想世界を表現した世界遺産「平泉」があり、御所野遺跡・橋野鉄鉱山と合わせて、県内には国内最多となる3つの世界遺産が所在する。
- 近年は北上川流域への自動車・半導体・医療機器関連産業の集積が進み、ものづくりの拠点として成長を続けている。
- 県財政は震災復興を経てなお楽観できない状況が続いている。県債残高は圧縮が進む一方、人口減少下でも社会保障や社会資本の維持にかかる経費は増え続けており、限られた財源を効果的に配分する財政運営が課題となっている。
岩手県の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「岩手県の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、県土の広さ、経済規模、隣接県など、県政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 約113万人(1,126,813人、令和7年10月1日現在) |
| 総世帯数 | 約53万6千世帯(535,667世帯、令和7年10月1日現在) |
| 総面積 | 15,275.04km²(北海道に次ぐ全国2位・国土の約4%) |
| 県庁所在地 | 盛岡市(内丸) |
| 隣接する県 | 青森県・宮城県・秋田県 |
| 名目県内総生産 | 約4兆9千億円(4兆8,973億円、令和5年度) |
| 一人当たり県民所得 | 283万5千円(令和5年度、全国を100とした場合80.5) |
総人口・世帯数は岩手県「岩手県の人口・経済」(令和7年10月1日現在)、面積は岩手県「面積・気候」、名目県内総生産・一人当たり県民所得は令和5年度県民経済計算による数値です。全国順位は面積のもののみ掲載しています。
数字から考えられる県政課題
岩手県は北海道に次ぐ広大な県土を持ちますが、そこに暮らす人口は減少局面に入っています。県の推計では、2015年からの30年間で人口は3割ほど減り、令和22年(2040年)には100万人を下回る見込みです。
単に人口が多いか少ないかではなく、減っていくスピードと、その中で県内各地の暮らしをどう支えるかを考える必要があります。
とりわけ岩手県では、生産年齢人口の減少が全国平均を上回るペースで進むと見込まれており、医療・介護をはじめとする担い手の確保が大きな課題です。子育て支援だけでなく、若い世代が県内で働き、暮らし続けられる環境づくりを、あわせて考えることが重要になります。
たとえば面接では、岩手県の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。
岩手県の経済・産業
経済・産業構造の概要
- 名目の県内総生産は4兆8,973億円、一人当たり県民所得は283万5千円で、全国を100とすると80.5の水準(令和5年度県民経済計算)。
- 県内総生産の構成比は第1次産業3.0%、第2次産業25.5%、第3次産業70.7%(令和5年度)。
- 就業者数で見ると第1次産業が8.8%を占め、全国と比べて農林水産業の担い手の比重が大きい(令和5年度)。
つまり、「サービス業が県経済の中心にありながら、就業者の面では農林水産業の存在感がなお大きい」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。(出典:県民経済計算|令和5年度)
北上川流域のものづくり産業
近年の岩手県の成長を支えているのが、内陸を南北に貫く北上川流域への産業集積です。県の施政方針は、この地域でコンパクトカーの生産拠点化、半導体関連産業の生産能力増強、医療機器関連産業の進展が進み、産業集積と雇用の創出による成長が続いていると説明しています。
ものづくりの集積は、若い世代が県内で働き続けるための受け皿でもあり、産業振興と人口対策を結び付けて語るときの手がかりになります。(参考:知事演述要旨|令和8年2月)
三陸の水産業と沿岸のなりわい
太平洋に面した三陸沿岸は世界有数の漁場を抱え、水産業が地域の基幹産業です。県は、復興のなかでサーモンの海面養殖の強化や、いわて水産アカデミーでの担い手育成、水産加工業への支援に取り組んでいます。
海の環境の変化に合わせて新しい養殖に挑む動きは、沿岸の暮らしと産業を語るうえで欠かせない材料です。(参考:知事演述要旨|令和8年2月)
観光業
令和6年の県全体の観光入込客数は延べ2,644万人回(前年比12.8%増)、観光消費額は約1,992億円(同1.6%増)でした。世界遺産「平泉」をはじめ、御所野遺跡・橋野鉄鉱山という国内最多3つの世界遺産や、三陸のジオパーク・食など、内陸と沿岸に性格の異なる観光資源が広がります。
訪日客の宿泊増や地域内消費への波及をどう高めるかが、観光政策の論点になります。(出典:岩手県観光統計概要|令和6年)
岩手県の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、岩手県が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「県の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
人口減少と少子高齢化
岩手県の人口は減少が続いており、県の資料は2015年から2045年までの30年間で30.9%の減少(全国は16.3%減)を見込んでいます。65歳以上人口は令和7年ごろにピークを迎えて減少に転じ、総人口は令和22年(2040年)に100万人を下回ると推計されています。
生産年齢人口の減り方はさらに大きく、30年間で43.2%減が見込まれ、医療・介護をはじめ暮らしを支える担い手の確保が課題です。(出典:岩手県の将来推計人口資料|平成30年推計)
東日本大震災津波からの復興と事前防災
岩手県にとって、東日本大震災津波からの復興は今も県政の土台です。震災による県内の犠牲は死者・行方不明者を合わせて5,794人(死者4,672人・行方不明者1,122人、平成29年2月28日現在)にのぼりました。(出典:いわて震災津波アーカイブ|被害の状況)
県は「いのちを守り 海と大地と共に生きる ふるさと岩手・三陸の創造」を目指す姿として、安全の確保・暮らしの再建・なりわいの再生・伝承に取り組んでいます。
あわせて、令和4年に公表した地震・津波被害想定調査では、M9クラスの地震を想定したうえで、日本海溝(三陸・日高沖)モデルの冬・夕方18時頃のケースで県全体の死者数が最も多く約7,100人(人的被害のほとんどは津波による)と見込まれており、復興と将来の災害への備えを両輪で進めることが求められます。(出典:岩手県地震・津波被害想定調査|令和4年)
北上川流域と県北・沿岸の地域間格差
同じ県内でも、産業が集まる北上川流域と、県北・沿岸部とでは人口の動きが大きく異なります。県の推計では、県北・沿岸地域の人口は30年間で平均43.9%減、労働力人口は平均55.9%減と、内陸以上に厳しい見通しです。
県は四つの広域振興局を拠点に圏域ごとの課題に応じた施策を進めており、とりわけ県北・沿岸の産業振興と生活基盤の維持が重点に置かれています。「岩手の課題」を語るときは、県全体の平均だけでなく、地域による違いまで意識できると説得力が増します。
脱炭素(GX)と産業・エネルギーの両立
県は、再生可能エネルギーの導入や森林によるCO2の吸収源対策を進め、脱炭素と地域経済の好循環(GX)を目指しています。北いわてでは豊富な再生可能エネルギー資源を生かした地域振興が進む一方、北上川流域にはエネルギーを多く使うものづくり産業が集積しています。
産業の競争力と雇用を守りながら脱炭素をどう実現するかは、産業や環境の話題で問われやすい論点です。
安全・安心な地域づくり(鳥獣被害・林野火災など)
県は令和8年度の重点事項の一つに「安全・安心な地域づくり」を掲げ、近年深刻化しているツキノワグマによる被害への対応や、シカ・イノシシなどの鳥獣管理、林野火災への備えを強化しています。
令和7年には大船渡市で大規模な林野火災も発生し、住宅再建や漁業の本格再開への支援も課題となっています。身近な安全を守る仕事は、県民の暮らしに直結するテーマとして押さえておきましょう。
岩手県の重点政策|いわて県民計画(2019〜2028)
岩手県の最上位計画は「いわて県民計画(2019〜2028)」で、2019年度から2028年度までの10年間を計画期間としています。長期の方向を示す「長期ビジョン」と、政策推進・復興推進・地域振興・行政経営の4つからなる「アクションプラン」で構成されます。(出典:いわて県民計画(2019〜2028))
計画を貫く考え方
計画が掲げる基本目標は「東日本大震災津波の経験に基づき、引き続き復興に取り組みながら、お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」です。県は、県民一人ひとりの幸福を守り育てるという視点から、施策を「健康・余暇」「家族・子育て」「教育」など10の政策分野に整理しています。
抽象的に見えますが、「一人ひとりの幸福」を出発点に政策を組み立てるという県の立場を知っておくと、志望動機に岩手らしさを添えられます。
10の政策分野
| 政策分野 | 扱う主な分野 |
|---|---|
| 健康・余暇 | 地域医療、医師の確保、健康寿命の延伸、自殺対策 |
| 家族・子育て | 結婚支援、保育料の負担軽減、周産期医療、児童虐待の防止 |
| 教育 | 県立高校の魅力化、いじめ・不登校対策、半導体関連人材の育成 |
| 居住環境・コミュニティ | バス・鉄道など地域交通の維持、U・Iターン支援、多文化共生 |
| 安全 | 防災・減災、林野火災への備え、消防団員の加入促進、特殊詐欺被害の防止、家畜伝染病対策 |
| 仕事・収入 | 賃上げ環境、県産品の輸出・販路拡大、ものづくり・スタートアップ |
| 歴史・文化 | 3つの世界遺産の魅力発信、民俗芸能の継承 |
| 自然環境 | 鳥獣管理、脱炭素、森林づくり、海洋再生可能エネルギー |
| 社会基盤 | DXの推進、流域治水、災害に強い道路網、インフラの維持管理 |
| 参画 | 男女共同参画・女性活躍、若者の活躍、多様性の尊重 |
面接では、自分の取り組みたい仕事がどの政策分野に位置づくのかを一言添えられるだけで、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります。
令和8年度の県政運営のポイント
令和8年度の当初予算は、総額7,742億円の「県民一人ひとりの地方創生」予算として編成されました。
県は令和8年度を「世界に開かれた地方創生」の年と位置づけ、人口の自然減・社会減対策を主軸に、GX(グリーン・トランスフォーメーション)とDX(デジタル・トランスフォーメーション)を両翼、安全・安心な地域づくりを基盤とする四つの重点事項を掲げています。
あわせて、北上川流域・三陸・北いわての三つのゾーンプロジェクトや、ILC(国際リニアコライダー)の実現に向けた取り組みを進めます。(出典:知事演述要旨|令和8年2月)
財政面では、震災復興を経て県債残高を1兆2,000億円未満に圧縮する一方、経常収支比率は92.6%(令和5年度決算)と高く、限られた財源をどう配分するかが引き続き課題です。(参考:岩手県の財政状況(IR資料)|令和5年度決算)
POINT|事業名をすべて暗記しなくてよい
施策名をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心分野を1〜2つ選び、「①何が課題か → ②県はどんな状態を目指すか → ③現在の事業 → ④県だからこそ担える役割 → ⑤自分の経験・強みをどう生かすか」の順で調べましょう。
悪い例「岩手県の復興支援に携わりたいです」
改善例「まずは窓口や地域の現場で、住民の方の声を丁寧にうかがうところから始めたいです。その上で、岩手県では令和22年ごろに人口が100万人を下回ると聞きましたので、若い世代が岩手で働き続けられる環境づくりに、少しずつでも関わっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、重要な部分を自分の言葉で説明できるように準備しておきましょう。
- 岩手県職員募集案内(受験案内)/職種紹介
- いわて県民計画(2019〜2028)の長期ビジョン・アクションプラン(概要版)
- 最新年度の当初予算・知事演述/関心分野の個別計画
- 岩手県勢要覧・県の統計(人口・産業・観光などの統計)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、岩手県庁専用の面接想定問答集をご用意しています。岩手県の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
岩手県の面接の概要
ここからは、岩手県の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
岩手県の面接の流れ
岩手県のⅠ種(大学卒業程度)採用試験には、専門試験を課す「専門試験型」と、専門試験に代えて自己アピールを重視する「アピール試験型」の2つの区分があります。ここでは、行政系の代表として専門試験型・一般行政Aの流れを整理します。
専門試験型の第2次試験は、個別面接とグループワークによる人物試験だけで構成されます。第1次試験で問われた教養・専門の知識とは切り離して、人物の面をどう見せるかが問われる段階です。
| 項目 | 内容(令和8年度採用・Ⅰ種〈専門試験型・一般行政A〉) |
|---|---|
| 試験区分 | 大学卒業程度(Ⅰ種)には「専門試験型」と「アピール試験型」の2つの区分がある |
| 試験の段階 | 第1次試験(教養試験・専門試験〈いずれも多肢選択式〉・人物試験〈適性検査〉)→ 第2次試験(第1次試験の合格者が対象) |
| 第2次試験の内容 | 一般行政Aは人物試験(個別面接及びグループワーク)。技術系Aの職種は人物試験(個別面接) |
| 集団形式 | グループワーク(一般行政A)。いわゆる集団討論〈グループディスカッション〉ではなく「グループワーク」と表記される |
| 提出書類(面接カード相当) | 個別面接調査票(その①)・(その②)、配慮事項等確認票。社会福祉A・心理Aの職種はさらに特定性犯罪事実の申告書を提出 |
| 人物試験の配点 | 岩手県職員募集案内の受験案内ページでは配点(比重)を確認できませんでした。最新の受験案内等でご確認ください |
配点の比重は公表資料で確認できませんが、はっきりしているのは、専門試験型の第2次試験が個別面接とグループワークだけで組まれているという点です。用意した答えを言えるかではなく、掘り下げられても自分の言葉で答え続けられるか、そして人と議論する場でどう振る舞えるかが問われる構造だと言えます。
上記の試験構成は、岩手県人事委員会事務局が公表する令和8年度採用の岩手県職員募集案内(Ⅰ種・専門試験型・一般行政A)にもとづくものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。
岩手県が求める人物像
岩手県が「求める職員像」を一つの文にまとめて示している資料は、受験案内では確認できませんでした(2026年9月時点・当研究会調べ)。手がかりになるのは、県の最上位計画と施政方針です。
いわて県民計画は「お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」を掲げ、施政方針でも、生きにくさを生きやすさに変えていく「インクルージョン」の考え方や、今までにない新しいことへのチャレンジが強調されています。
ここから、県民一人ひとりに寄り添う姿勢と、前例のない課題に自分から向き合う姿勢が県職員に期待されていると読み取れます。
自己PRでは、「積極性があります」と述べるだけでなく、その力を使って何を行い、周囲や相手にどのような変化をもたらしたのかまで説明しましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。岩手県の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 試験会場までは、どうやって来ましたか? | 緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます |
| ② 動機・志望 | なぜ本県を志望するのですか? | 「県で働く」という選択の理由を、自分の言葉で筋道立てて話せるか |
| ③ 自己理解 | あなたの長所と短所を教えてください | 自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 過去の行動パターンから、入庁後にも再現できる強みを確かめています |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に力を入れて取り組んだことは何ですか? | 自分の選択を説明できるか。学んだことと仕事の接点を作れているか |
| ⑥ 適性・将来 | 10年後、どんな職員になっていたいですか? | 働く姿をどこまで具体的に描けているか。組織の中で成長する見通し |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近、気になっている社会問題はありますか? | 社会への関心の深さと、それを行政の仕事として捉え直す視点 |
ただし、この7カテゴリーは岩手県に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「岩手県ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「岩手県ならでは」の質問
どちらも、岩手県の現状と県の計画を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。
面接で使いやすい岩手県の事実を、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい岩手県の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口減少と地域差 | 2015年からの30年間で人口は30.9%減の見込み。令和22年(2040年)に100万人割れ。県北・沿岸は減少率がとりわけ高い | 県全体の数字だけでなく、県北・沿岸という県内の地域差にまで触れると、課題の捉え方に厚みが出ます |
| 復興と防災 | 東日本大震災津波で県内の死者・行方不明者は5,794人。令和4年の被害想定では日本海溝モデルで死者最大およそ7,100人 | 復興の歩みへの敬意と、将来の災害に備える視点の両方を示すと、岩手で働く覚悟が伝わります |
| ものづくりと若者定着 | 北上川流域にコンパクトカー・半導体・医療機器関連産業が集積し、雇用を生んでいる | 産業の集積を「若い世代が県内で働き続ける受け皿」と結び付け、人口対策と重ねて語れます |
| 総合計画 | 「いわて県民計画(2019〜2028)」。基本目標は「幸福を守り育てる希望郷いわて」で、施策は10の政策分野に整理 | やりたい仕事を10の政策分野のどれかに位置づけて話すと、県の方向性を踏まえた志望だと伝わります |
| 世界に開かれた地方創生・ILC | 県はILC(全長約20キロメートルの直線トンネル)の実現に取り組み、施政方針で「世界に開かれた地方創生」を掲げる | ILCの実現に向けた動きは岩手ならではの大きな話題なので、「最近の県の取組は」と問われたら、これを挙げて自分の関心につなげられるようにしておきましょう |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 県職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、こうした期待される資質に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 県民一人ひとりに寄り添う姿勢 | 相手の立場に立って動いた経験。県北や沿岸のように事情の異なる地域の人へ、自分から歩み寄った経験があるか | ボランティアやアルバイトで、事情の異なる相手に合わせて工夫した場面を、具体的な行動で語れるようにする |
| 自分から動くチャレンジ精神 | 前例のないことや苦手なことに、自分から挑んだ経験 | うまくいったかどうかより、自分がなぜ挑もうと考え何を変えたのかを、いわて県民計画で取り組みたい分野と結び付けて語れるようにする |
| 最後までやり抜く粘り強さ | 地道な作業を続けた経験、困難を乗り越えた過程 | 復興や地域づくりのように時間のかかる仕事を見据え、つまずいた時の「原因・工夫・継続」を筋道立てて話す |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題について「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と掘り下げられることが多いです。細部まで自分で語れる実体験に根ざした答えを、事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の岩手県職員募集案内を読み、受験する区分(専門試験型かアピール試験型か)と、個別面接調査票の記入項目を確認する
- 高校・大学生活の経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7つのカテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。一般行政Aはグループワークもあるため、人の意見を受けて自分の考えを述べる練習も取り入れる
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を県の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で県の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、限られた時間で対策の輪郭をつかみたい方には、岩手県庁の面接に的を絞った面接想定問答集を使うという選択肢もあります。
岩手県の採用面接で問われやすい質問を1問ずつ取り上げ、回答例に加えて、質問の意図やつまずきやすい答え方まで解説しています。本番まで時間の限られている方は、必要に応じて活用してください。
さいごに
岩手県の採用試験は、専門試験型のⅠ種であれば、第2次試験が個別面接とグループワークという人物試験に集約されます。
筆記を通過した先で問われるのは、用意した言葉の完成度よりも、震災からの復興を歩んできたこの県で自分は何をしたいのかを、自分の経験に引きつけて語れるかどうかです。
「お互いに幸福を守り育てる希望郷いわて」という県の言葉を、あなたならどう受け止めるか。その問いにあなたなりの答えを見つけていく作業を、この記事の内容を土台に、一つずつ積み重ねていきましょう。