本記事では、天草市職員採用試験の面接対策で必要な、天草市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
天草市役所の面接では、「なぜ天草市を志望したのか」「入庁後にどの分野で力を発揮したいか」「天草市の魅力と課題をどう捉えているか」といった質問が想定されます。天草市は熊本県内の市町村で最大の面積を持つ広域な市であり、その広さを踏まえた自治体研究が欠かせません。
なお、天草市と隣接する上天草市はまったく別の自治体ですので、混同しないよう注意してください。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と天草市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。市の広さと地形をきちんと理解したうえで臨むことが、説得力のある回答につながります。
第1部|自治体研究編
天草市の特徴
面接対策の本題に入る前に、天草市がどんな市かをつかんでおきましょう。(時間が足りない方は、この節をざっと眺めるだけでも構いません)
- 総面積683.82km²は熊本県内の市町村で最大で、県土の約9%を占める天草諸島の中心的な市である。
- 隣接するのは上天草市と天草郡苓北町のみで、海を隔てて長崎県南島原市、鹿児島県出水郡長島町とも向き合う、3県にまたがる立地にある。
- 崎津(さきつ)集落は、世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産のひとつで、平成30年(2018年)7月に登録された。
- 内閣府が公表した南海トラフ巨大地震の被害想定では、天草市の最大津波高は4mと想定されている(熊本県内で市町村別の数値が示された数少ない市のひとつ)。
- 令和8年度の職員採用試験は前期日程・後期日程の2回に分けて実施され、社会人経験者を対象としたUIJターン枠を設けている。
- 市の花ははまぼう、市の木はあこうの木で、いずれも海沿いの気候に育つ植物である。
- 求める人物像や試験の配点は、公式の受験案内に見当たらない。
天草市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値を大量に暗記する必要はありませんが、「天草市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、年齢構成、隣接自治体など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 70,451人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 30,570人(高齢化率43.4%) |
| 75歳以上人口 | 17,454人(総人口の24.8%) |
| 総面積 | 683.82km²(熊本県内の市町村で最大) |
| 人口密度 | 約103人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 上天草市、天草郡苓北町(熊本県内)、海を隔てて長崎県南島原市、鹿児島県出水郡長島町 |
| 市の花・木 | はまぼう(花)・あこうの木(木) |
| 市役所の所在地 | 天草市東浜町8番1号 |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の数値です。熊本県や国が国勢調査をもとに公表する人口統計とは調べ方の前提が違いますので、増減を直接比較しないよう注意してください。総面積・隣接自治体・市の花木・市役所の所在地は、当研究会が独自に整理した基礎データです。
数字から考えられる市政課題
年齢構成の数字は、とくに注意して読んでおきたいところです。天草市の高齢化率43.4%は、同じ住民基本台帳の基準でみた熊本県全体の32.5%を10.9ポイントも上回る水準にあります。
75歳以上の比率も24.8%で、県全体の18.5%を6.3ポイント上回っており、県内でも高齢化が大きく先行している市であることがわかります。
一方で、人口密度は約103人/km²と低く、683.82km²という広い市域に人口が分散して暮らしています。
高齢化と広い市域が重なるということは、それだけ移動手段の確保や医療・介護の届け方が難しくなるということでもあります。天草市の面接で市の課題を語るときは、この2つの数字を必ずセットで押さえておきましょう。(面積の出典:天草市の面積・人口|天草市)
もうひとつ意識しておきたいのが、天草市が3つの県にまたがる地域にあるという点です。
上天草市・苓北町という熊本県内の隣接自治体に加え、海を隔てて長崎県・鹿児島県とも向き合っており、防災や観光などの分野では、県境を越えた連携が必要になる場面も想定されます。行政区分にとらわれない視点を持てるかどうかが、こうした立地の自治体では意味を持ちます。
天草市の経済・産業
崎津集落と世界遺産観光
崎津集落は、禁教期の長きにわたり、潜伏キリシタンが漁村ならではの信心具(アワビ貝の内面の模様を聖母マリアに見立てるなど)で信仰を続けた集落として、平成30年に世界文化遺産に登録されました。
世界遺産という国際的な知名度は、天草市の観光を語るうえで欠かせない資産です。長崎県の複数の構成資産とあわせて登録された資産であることも、県境を越えた広域観光の文脈を語るうえで押さえておきたい点です。(出典:天草市﨑津集落について|天草市)
ただし、世界遺産は一度登録すれば終わりというものではありません。信仰の場としての静けさを保ちながら観光客を受け入れるという、保全と活用の両立が問われる資産でもあります。
観光振興を志望する場合は、名所の紹介だけでなく、この両立という論点まで踏み込んで準備しておきましょう。
海に囲まれた暮らしと県の農業
天草市は海に囲まれた地勢を持ち、崎津集落が漁村として信仰を守り続けてきた歴史からも、海と暮らしの結びつきの深さがうかがえます。熊本県全体でみると農業産出額は3,757億円(令和5年)で全国5位、肉用牛・トマト・米・生乳・豚が上位品目です。
ただし天草市単独の産業統計にあたる資料までは、当研究会でも見つけられていません。(出典:九州農業の動向|農林水産省九州農政局・令和5年)
海に囲まれた地勢は、産業の面では漁業という強みになる一方、行政の面では橋や船を介した移動の負担という課題にもなります。同じ地理的条件が強みにも課題にもなるという視点は、天草市の産業・観光・防災のどの話題を語るうえでも通用する考え方です。
産業について話すときは、規模の数字を並べるより、海と信仰の歴史という天草市ならではの資産から入るほうが確実です。
UIJターンと人材の還流
天草市が職員採用試験に設けているUIJターン枠は、社会人経験者に向けた仕組みです。天草市外に本社や本庁を置く企業等での通算4年以上の職務経験を条件とし、テストセンター方式で全国どこからでも受験できるようにしています。
島を出た人材が経験を積んで戻ってくることを前提にした仕組みは、行政に限らず、島全体の産業・医療・教育の担い手確保にも通じる考え方です。
離島や半島の多い天草市にとって、こうした還流の仕組みをどう産業振興や移住促進の政策に広げていけるかは、まちづくりや商工分野を志望する場合に押さえておきたい視点です。一度島を離れた人が戻ってきたくなる理由を、仕事・住まい・子育て環境のどの切り口からつくれるかは、天草市に限らず離島や半島を抱える自治体に共通する経営課題でもあります。
天草市の主な行政課題
ここまでの数字と地理的条件を重ね合わせると、天草市が抱える課題が見えてきます。面接で「天草市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
進行する高齢化と広い市域での支え合い
高齢化率43.4%、75歳以上24.8%はいずれも県平均を大きく上回ります。683.82km²という広い市域に人口が分散しているため、介護・医療・移動手段の確保は、コンパクトな市よりも難しい条件のもとで進める必要があります。
南海トラフ巨大地震・津波への備え
内閣府の南海トラフ巨大地震の被害想定(令和7年3月31日公表)では、天草市の最大津波高は4mとされています。熊本県の市町村の中でこの一覧に個別の数値が示されているのは天草市と苓北町のみで、海に開かれた地勢が、他の県内市町とは異なる津波リスクの明示につながっていると考えられます。(出典:南海トラフ巨大地震の被害想定|内閣府・令和7年3月31日公表)
683.82km²という広い市域のどこで、どんな被害が想定されるかは地域によって異なります。防災や危機管理を志望する場合は、「天草市は津波高4mの想定がある」という一言で終わらせず、避難路の確保や高齢者の避難支援といった、広い市域ならではの実務的な課題まで踏み込んで語れるようにしておきましょう。
想定にとどまらず、実際に発生した地震として押さえておきたいのが令和8年熊本地震です。
令和8年(2026年)7月28日16時27分、熊本県熊本地方を震源とするマグニチュード7.1・最大震度7(宇城市・氷川町で観測)の地震が発生し、その後も7月28日17時08分にマグニチュード6.1、7月29日22時19分にマグニチュード5.8の地震が起きて、いずれも熊本県天草・芦北地方で最大震度5弱が観測されました。これは平成28年の熊本地震とは別の地震です。(出典:令和8年熊本地震|気象庁)
熊本県災害警戒本部の発表(令和8年9月7日14時00分現在・速報値)によれば、県全体で死亡38名・住家被害計65,551棟、避難所開設37か所・避難者1,872名が確認されており、このうち天草市の住家被害は195棟と報告されています。罹災証明書の受付や被災者支援の各種手続きの窓口、避難所の運営は、いずれも市役所が担う業務です。
これらは速報値で今後修正されうる数値ですので、参照する際は、どちらの地震の、どの主体がいつ集計した値なのかを確かめておいてください。(出典:令和8年熊本地震の被害状況|熊本県災害警戒本部・令和8年9月7日14時00分現在)
離島・半島地域の行政サービス維持
天草諸島は複数の島や半島で構成されており、行政サービスを市域のすみずみまで行き渡らせるには、コンパクトな市に比べて多くのコストと工夫が必要になります。学校・病院・公共交通をどう維持するかは、事務職・技術職を問わず押さえておきたい論点です。
地形や交通の条件は地域ごとに異なり、同じ天草市の中でも生活基盤の整い方は一様ではありません。事務職として採用された場合でも、担当する地域によって向き合う課題の性質が変わりうる、と理解しておきましょう。
担い手の確保とUIJターンの促進
天草市が職員採用試験にUIJターン枠を設けているのは、島外に出た人材を呼び戻し、あるいは島外から新たな人材を呼び込みたいという狙いの表れだと考えられます。
この発想は、職員採用に限らず、産業・観光・医療などあらゆる分野の担い手確保に共通する課題です。前期日程だけでも一般事務(社会人経験者)5人程度の採用予定があり、市としてもこの枠を軽視していないことがうかがえます。
天草市の重点政策|世界遺産の島々をどう生かすか
天草市の市政がいまどの計画に沿って進められているかは、市公式サイトに掲載された総合計画の最新版でご確認ください。ここでは、当研究会が公式資料で確認できた範囲、つまり熊本県の総合戦略が示す方向と、天草市が置かれている地理的条件から、市政の力点を整理します。
熊本県が掲げる「くまもと新時代共創総合戦略」は、関係人口・交流人口の受け入れと活用を、人口減少と地域経済の縮小がたがいを加速させる悪循環に歯止めをかけるための柱のひとつに位置づけています。
世界遺産の崎津集落と、県内最大の市域を持つ天草市は、この関係人口・交流人口の受け皿として大きな可能性を持つ一方、その可能性を十分に生かすための移動手段や受け入れ体制の整備が追いついているかが問われます。(出典:くまもと新時代共創基本方針及び総合戦略|熊本県)
同じ総合戦略は、国立社会保障・人口問題研究所の推計を引きながら、手を打たなければ熊本県の人口が令和32年(2050年)に約135.5万人まで減ると見込んでいます。
天草市のように高齢化が先行し、市域も広い自治体は、この推計の中でもとりわけ厳しい前提に立たされていると考えられます。だからこそ、UIJターンや関係人口づくりといった、人口そのものを呼び込む施策の重みが増しています。
POINT|世界遺産の紹介だけで終わらせない
崎津集落の由来や登録年を覚えることが自治体研究の目的ではありません。①天草市の条件(世界遺産、広い市域、高齢化)のうちどれが関わるか ②そこで何が課題になっているか ③市がすぐに対応できることは何か ④自分はどんな役回りで関われるか、の順に考えてみてください。
悪い例「天草市の世界遺産を守っていきたいです」
改善例「崎津集落を訪れる人を増やすだけでなく、信仰の場としての静けさをどう保つかという視点を持って、観光と保全の両立に関わっていきたいです」
あわせて確認したい公式資料
まず開くべきなのは、自分が受ける日程・区分の受験案内です。
天草市は前期と後期で受験資格そのものが変わるため、ここを取り違えると他の資料をどれだけ読んでも噛み合いません。残りは、集団討論と個別面接で使えそうな話題を1つ見つけるつもりで拾い読みすれば十分です。
- 天草市職員採用試験の最新の受験案内(志望する日程・区分のもの)
- 天草市の総合計画(公式サイトの現行版)
- 熊本県「くまもと新時代共創基本方針及び総合戦略」
- 内閣府「南海トラフ巨大地震の被害想定」の熊本県関連資料
- 天草市﨑津集落に関する公式サイトの解説ページ
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、天草市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。天草市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
天草市役所の面接の概要
ここからは、天草市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。
天草市役所の面接の流れ
天草市の令和8年度実施試験は、前期日程・後期日程の2回に分けて実施され、同一日程内の複数区分間の併願、前期・後期をまたぐ併願はいずれもできません。第一次試験の科目は区分によって異なりますが、第二次試験は全区分共通で個別面接と集団討論の2種目です。
| 項目 | 内容(令和8年4月現在の試験概要) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第一次試験 → 第二次試験の2段階 |
| 実施日程 | 前期日程・後期日程の2回。同一日程内の併願、前期・後期の併願はいずれも不可 |
| 第一次試験(大卒程度・一般事務等) | 教養、専門、適性検査 |
| 第一次試験(社会人経験者・UIJターン枠) | 基礎能力、適性検査(全国で受験可能) |
| 第一次試験(高卒程度・一般事務) | 教養、事務適性、適性検査 |
| 第二次試験の科目 | 個別面接、集団討論(全区分共通) |
| 配点 | 各試験種目の配点は公表されていません。最新の受験案内でご確認ください |
前期日程の一般事務(大卒程度)は10人程度、社会人経験者(UIJターン者)は5人程度の採用予定です。
UIJターン枠は天草市外に本社・本庁を置く企業等での通算4年以上の職務経験を求めており、年齢要件も31歳以上45歳以下と、一般の大卒程度枠(35歳以下)では受験できない年代までカバーする設定になっています。区分ごとの受験資格を取り違えないようにしましょう。
これに対して後期日程では、一般事務(高卒程度)10人程度に加え、土木技師(高卒程度)2人程度、保健師(短大卒程度)2人程度なども募集されます。前期・後期のどちらで受けるかによって、求められる年齢や学歴の条件が変わる点にも、十分に注意してください。
上記は、天草市が公表する令和8年4月現在の試験概要にもとづくものです。この概要には「記載内容は令和8年4月現在のものです。今後変更になることもありますので、募集時に公表する職員採用試験案内を必ず確認してください」との注意書きがあります。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。(出典:天草市職員採用試験概要|令和8年4月現在)
天草市役所が求める人物像
天草市の採用試験概要には、求める職員像にあたる公表文言は見当たりませんでした。
そこで、公表されている試験の設計そのものから、評価されやすい資質を読み解きます。人物像が文言として示されていないからといって、市が人柄を軽視しているわけではなく、試験の段階構成そのものに評価の軸が委ねられている、と読むほうが実態に近いでしょう。
第二次試験で個別面接と集団討論を同じ段階に置いている点は、一人で語る力と、集団の中で意見を交わす力の両方を、同じタイミングで確かめるという設計だと考えられます。広い市域に分散する地域をまたいで仕事をする場面が多い自治体だけに、周囲と協調しながら自分の考えを伝える力が重視されている可能性があります。
また、UIJターン枠を含む多様な区分を用意している点からは、市外・県外での経験を持つ人材を積極的に受け入れる姿勢もうかがえます。天草市の外で得た経験や視点を、天草市の仕事にどう生かせるかを言葉にできるかどうかも、評価に影響すると考えておきましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。天草市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日は市役所までどうやって来ましたか? | 準備していない一言に、素の受け答えや落ち着きが表れます |
| ② 動機・志望 | 数ある自治体の中で、なぜ天草市を選んだのですか? | 近隣の上天草市ではなく天草市を選んだ理由に具体性があるか |
| ③ 自己理解 | 自分の長所と短所を教えてください | 自分の特徴を客観的な言葉で説明できているか |
| ④ 経験・行動 | 集団で物事を進める中で、意見が対立したときどう動きましたか? | 結果より、その場面で自分が実際に取った行動の中身 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に、途中で投げ出さずにやり切ったことはありますか? | やり切るまでの過程を、事情を知らない相手にも伝わる言葉で話せるか |
| ⑥ 適性・将来 | 採用後、どの分野で力を発揮したいですか? | 市の業務への理解と、島や半島を含む市域のどこに配属されても働ける構え |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースはありますか? | 社会の動きへの関心と、自分の考えを短くまとめて伝える力 |
この見取り図はどの自治体の面接にも当てはまるもので、天草市だけの特別な体系ではありません。
天草市の場合、集団討論が同じ段階に組み込まれているため、この7つへの答えを一人で語る場面と、他の受験者の前で語る場面の両方で用意しておく必要があります。一人で話すときと集団で話すときとでは、同じ内容でも話し方の勘所が変わることを、練習の段階から意識しておきましょう。
合否を分けるのは「天草市役所ならでは」の質問
天草市は隣接する上天草市と名前が似ているため、両市の違いを正確に理解しているかが、面接官にとってもわかりやすい判定材料になります。当研究会では、天草市の事実のうち面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい天草市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| なぜ県庁ではなく市役所か | 天草市は熊本県内最大の面積683.82km²を持ち、島や半島が点在する広域な市域を持つ | 県全体の政策より、分散した地域それぞれに向き合いたいという理由を自分の言葉で述べます |
| 天草市の魅力 | 崎津集落は世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産で、平成30年7月に登録された | 知名度の紹介にとどめず、保全と観光活用の両立という論点まで踏み込みます |
| 年齢構成 | 高齢化率43.4%、75歳以上24.8%はいずれも熊本県全体(32.5%・18.5%)を大きく上回る | 広い市域に高齢者が分散して暮らす条件を踏まえ、移動手段や医療の届け方に触れます |
| 防災 | 南海トラフ巨大地震の被害想定で、天草市の最大津波高は4mとされている。令和8年熊本地震では市内で住家被害が確認されている(速報値) | 海に面した地勢を踏まえ、避難計画や住民への周知にどう関わりたいかを話します |
| 担い手確保 | 令和8年度試験には社会人経験者向けのUIJターン枠が設けられている | 島外に出た人材を呼び戻す狙いを踏まえ、自分の経験をどう還元したいかを語ります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
「上天草市と天草市の違いを説明してください」と、面接官があえて確認してくる場面も想定しておいたほうがよいでしょう。両市は名前がとてもよく似ているだけに、天草市の本庁所在地(東浜町)や市域の広さといった基本事実を、その場で慌てず正確に言えるように仕上げておく必要があります。
想定される評価の観点
天草市の受験案内には人物像も配点も明記されていませんが、個別面接と集団討論を同じ段階に置く構成そのものが評価の軸を示しています。評価の配分そのものは公表されていないため、公務員試験で一般に知られるコンピテンシー評価の発想を下敷きにしながら、天草市が公表している第二次試験の種目構成から観点を導きました。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 集団の中での協調性 | 集団討論で、自分の意見を出しつつ他の受験者の意見も受け止めて議論を前に進められるか | 結論を急がず、他者の発言を受けてから自分の考えを述べる練習をしておく |
| 広域を意識した地域理解 | 天草市の島や半島ごとの違いを踏まえたうえで、市全体の課題を語れるか | 特定の地域だけでなく、市域全体を見渡した視点で志望動機を組み立てておく |
| 担い手としての意欲 | UIJターン枠の趣旨も踏まえ、地域に長く関わろうとする意思が伝わるか | 「なぜ天草市に戻りたい/来たいのか」を、自分の経験に根ざした言葉で用意しておく |
3つの観点はどれも、天草市が抱える「広さ」と「担い手不足」という構造から導かれています。表の順に丸暗記するのではなく、自分の経験がどの観点にもっとも強く結びつくかを先に見極めておくと、面接本番で答えに芯が通ります。
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
天草市は個別面接に加えて集団討論も課されるため、一人で語る場面と集団の中で語る場面の両方を想定した準備が必要です。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 志望する日程・区分の最新の受験案内を読み、試験の段階と受験資格(年齢要件・職務経験年数等)を確認する
- これまでの経験を棚卸しする。学業・部活動・アルバイトから、結果だけでなく行動の中身まで話せる具体例を、できれば複数用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編み、要点を書き出して整理する
- 声に出して練習し、個別面接と集団討論それぞれで自分の考えを的確に伝えられるか、家族や友人にも聞いてもらって確かめる
優先順位に注意
ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を天草市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、天草市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
天草市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
天草市の試験は配点こそ公表されていませんが、第二次試験で個別面接と集団討論を同じ段階に置く構成から、一人で語る力と集団の中で伝える力の両方が見られていると考えられます。熊本県内で最大の市域と、世界遺産の島々を抱える天草市だからこそ語れる志望動機を、上天草市との違いも含めて自分の言葉で説明できるところまで仕上げていきましょう。
UIJターン枠が用意されているように、島の外での経験も決して無駄にはなりません。自分の歩んできた道を、天草市の仕事にどうつなげられるかを考え抜くことが、準備の核になります。