本記事では、諫早市職員採用試験の面接対策で必要な、諫早市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

諫早市役所の面接試験では、「なぜ諫早市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。諫早市の場合、人物を直接確かめる場は第三次試験の個別面接1回に絞られているため、そこでどれだけ自分の言葉で語れるかが結果を大きく左右します。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。なお、試験に関する記述は、令和8年度諫早市職員採用試験(事務Ⅰ等の各区分)の試験案内で確認できた範囲のものです。

第1部|自治体研究編

諫早市の特徴

面接の準備に入る前に、まず諫早市がどんな市なのか、全体像をつかんでおきましょう。(時間のない方は、この一覧だけでも目を通してください)

  • 長崎県のほぼ中央に位置する「県央」の要衝で、県都・長崎市をはじめ大村市・雲仙市と隣接する市である。消防は大村市・雲仙市(瑞穂町・国見町を除く)とともに県央地域広域市町村圏組合が共同で運営している。
  • 佐賀県藤津郡太良町とも接しており、県境を越えて隣り合う市でもある。
  • 人口は132,760人(令和8年1月1日現在・住基人口。長崎県全体1,257,843人の約10.6%)で、長崎県内では長崎市・佐世保市に次いで3番目に多い。
  • 総面積は341.79平方キロメートル(長崎県全体4,131.22平方キロメートルの約8.3%)。
  • 昭和32年の諫早大水害を教訓に、本明川の治水と、河口部の干拓による優良農地の造成が、まちづくりの二本柱になってきた。
  • 本明川が注ぐ有明海は、日本で最も干満差が大きい海域(最大約6メートル)で、干潮時には日本最大の干潟が現れる。(出典:有明海|閉鎖性海域ネット(環境省))
  • 職員の初任給は令和8年4月1日現在で大学卒232,000円(期末勤勉手当は令和7年度実績で年間4.65月分)。
  • 市の花はツクシシャクナゲ、市の木はヒゼンマユミ。市役所は東小路町に置かれている。

諫早市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「諫早市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、年齢構成、隣接自治体など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
総人口132,760人(令和8年1月1日現在・住基人口。長崎県全体1,257,843人の約10.6%、県内では長崎市・佐世保市に次いで3番目)
老年人口(65歳以上)42,163人(31.8%)
後期高齢者人口(75歳以上)23,398人(17.6%)
総面積341.79km²(長崎県全体4,131.22km²の約8.3%)
人口密度約388人/km²(総人口・総面積から算出)
隣接自治体長崎市・大村市・雲仙市・西彼杵郡長与町(長崎県内)、佐賀県藤津郡太良町
市の花・木ツクシシャクナゲ(花)・ヒゼンマユミ(木)
市役所の所在地諫早市東小路町7番1号

総人口・老年人口(65歳以上)・後期高齢者人口(75歳以上)は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在による数値です。県との比較もこの同じ系列でそろえています。長崎県が国勢調査をもとに公表する年齢別推計人口は調査の枠組みが違いますので、両方の数字を混ぜて増減を計算しないようご注意ください。総面積・隣接自治体・市の花木・市役所の所在地は当研究会が整理した基礎データによります。

数字から考えられる市政課題

老年人口(65歳以上)は42,163人で総人口の31.8%を占め、そのうち後期高齢者(75歳以上)が23,398人と、老年人口の半数以上にあたります。高齢化の中身は、前期高齢者よりも後期高齢者が主役になっている段階に、諫早市はすでに入っているということです。

同じ住民基本台帳の基準でみると長崎県全体は34.8%、75歳以上は19.6%ですから、諫早市の31.8%・17.6%は県全体よりいくぶん低い水準にあたります。高齢化率そのものは県内で目立って高いわけではなく、内訳の重心が後期高齢者に移っている、という読み方が正確です。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)

この内訳を知っているかどうかで、高齢化を語る面接の受け答えの細かさは変わります。医療・介護・移動支援のいずれも、担い手をどう確保するかという別の課題と表裏一体です。

数字を挙げるだけでなく、支える側の体制づくりにまで話を広げられると、どこまで調べたかが相手にも届きます。

「諫早市の老年人口は約4万2千人で、そのうち半数以上にあたる約2万3千人が75歳以上と聞きました。今後は医療や介護、移動の支援など、後期高齢者に重点を置いたサービス需要がいっそう増えていくと考えています」

諫早市の経済・産業

干拓地がつくった農業の基盤

国営諫早湾干拓事業は昭和61年(1986年)に着手し、平成20年(2008年)に完了しました。

大規模で平坦な優良農地の造成と、背後の低平地における高潮・洪水・排水不良への防災機能の強化という二つの目的を持つ事業で、生まれた農地は現在も諫早市の農業を支える基盤になっています。面接で農業や地域経済を語るときは、農地を「できあがったもの」ではなく、今も維持管理を必要とする資産として扱うと説得力が増します。(出典:国営諫早湾干拓事業(九州農政局))

造成された農地の面積や利用状況を数字で押さえたい場合は、九州農政局の事業ページと市の農林部局の資料をあたることになります。数字が手元になくても、農地の維持管理という切り口は、農業以外の分野を志望する場合にも、行政と住民が協力して土地を守るという視点として応用できます。

水を治めることが土地利用を支える

諫早市の中心部を貫く本明川は、山あいから市街地を経て有明海へ直接注ぐ急流で、大雨が降れば水害、雨が降らなければ渇水という、相反する二つの課題を抱えています。この川の流れをどう治めるかは、農地や市街地の土地利用そのものを左右する条件であり、単なる防災の話にとどまりません。

干拓によって生まれた農地も、灌漑と排水の管理から切り離すことはできません。水をどう配分し、どう排出するかという技術的な課題が、そのまま農業生産の安定につながっています。

水と共存する土地利用の工夫を、経済・産業の話題でも引き出しとして持っておきましょう。

県全体の経済のなかで

長崎県全体の経済規模も背景として押さえておきましょう。令和4年度の県民経済計算では、県内総生産(名目)は4兆6,536億円、1人当たり県民所得は257万円(2,570千円)でした。(出典:長崎県県民経済計算|令和4年度)

ここに挙げたのは県全体の数字で、市内総生産にあたる諫早市だけの推計は、市と県の公表統計を確認した範囲では示されていませんでした。金額の規模で押し切ろうとせず、干拓地という土地利用の資産と、大村市・雲仙市とともに担う広域連携という体制の面から、諫早市の経済・行政基盤を捉えるほうが、この市では実情に近づきます。

農地の維持管理と防災の両立という課題は、諫早市だけでなく、隣接する雲仙市など県央の周辺自治体にも共通します。近隣自治体がどう取り組んでいるかを知っておくと、比較の視点から自分の考えを話しやすくなります。

諫早市の主な行政課題

ここまで見てきた数字や産業の姿は、そのまま諫早市が抱える課題の輪郭でもあります。面接で課題を問われたときのために、次の5つを整理しておきましょう。

後期高齢者が中心になった高齢化

諫早市の老年人口(65歳以上)は42,163人(31.8%、令和8年1月1日現在)で、そのうち23,398人が後期高齢者(75歳以上)です。高齢化は「進むかどうか」ではなく「後期高齢者中心の段階にどう対応するか」という局面に入っており、医療・介護・移動支援など、支える側の体制づくりが問われています。

本明川の水害リスクと治水の継続

昭和32年7月25日の諫早大水害では、本明川の氾濫により現在の諫早市域で死者・行方不明者630人という被害が生じました。

大雨が降れば水害、雨が降らなければ渇水という本明川の性格は今も変わらず、この水害を契機に、洪水調節と流水の正常な機能の維持を目的とする本明川ダムの建設が国により進められています。治水は過去の教訓であると同時に、今も続いている課題です。(出典:明治以降の災害の歴史(諫早市)/本明川ダム建設事業(国土交通省長崎河川国道事務所))

地震・津波への備え

長崎県が詳細な被害想定の対象とする3つの想定活断層地震のケースでは、諫早市を含む複数の市町で震度6弱以上が予測されており、なかでも雲仙地溝南縁連動地震のケースでは、長崎市との境界付近に一部震度7が現れると予測されています(平成18年3月・県地震等防災アセスメント調査)。南海トラフ巨大地震では、内閣府が令和7年3月31日に公表した被害想定で、諫早市の最大津波高はケースにより最大4メートルとされています。(出典:長崎県地域防災計画関連資料(地震・津波の被害想定)/南海トラフ巨大地震の被害想定・市町村別最大津波高一覧(内閣府)|令和7年3月31日公表)

干拓農地の維持管理と防災機能の両立

国営諫早湾干拓事業によって造成された農地は、諫早市の農業基盤であると同時に、高潮・洪水・排水不良への対応という防災機能もあわせ持つ施設です。つくって終わりではなく、農地としての活用と防災機能の維持を同時に続けていくことが、今後も市の行政に求められています。

県央地域としての広域連携の維持

消防は諫早市単独ではなく、大村市・雲仙市(瑞穂町・国見町を除く)とともに県央地域広域市町村圏組合が担っています。人口規模の異なる複数の自治体が一つの体制を共同で維持していく以上、諫早市がその中でどう役割を果たしていくかも、行政課題の一つといえます。

広域で担う仕事は消防だけとは限りません。人口規模の近い市町が集まって効率化を図るという発想は、他の分野を検討するときの土台にもなり得ます。

諫早市の重点政策|治水と干拓地を活かすまちづくり

諫早市がいまどの計画にもとづいて市政を進めているか、正式名称は志望する年度に合わせて市の公式サイトの現行版で確かめるようにしてください。ここでは、当研究会が公式資料で確認できた本明川の治水事業と干拓地の管理という、諫早市の骨格を形づくってきた二つの取組みから、市政の力点を整理します。

本明川ダム建設という長期の治水事業

昭和32年の諫早大水害を教訓に進められてきた本明川の治水は、洪水調節と流水の正常な機能の維持を目的とする本明川ダムの建設という形で、現在も続いています。事業の主体は国ですが、まちの安全に直結する事業として、市の防災・河川行政と密接に関わっています。

干拓地という農業基盤をどう活かすか

平成20年に完了した国営諫早湾干拓事業によって生まれた平坦な優良農地は、諫早市の農業を支える基盤です。造成して終わりではなく、担い手の確保や排水管理を含め、農地としての価値を維持し続けることが市の役割になっています。

県央地域として広域で担う仕事

消防を大村市・雲仙市(瑞穂町・国見町を除く)とともに県央地域広域市町村圏組合で共同運営していることは、諫早市が単独ですべてを抱え込むのではなく、近隣自治体と役割を分担しながら行政サービスを維持していく姿勢を表しています。この考え方は、消防以外の分野の連携を考えるときの土台にもなります。

POINT|事業名を暗記するより、条件から考える

名称をすべて覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心のある分野を1つ選び、①諫早市の条件(本明川、干拓地、県央の広域連携)のうちどれが関わるか →②そこで何が起きているか →③市が単独で担う範囲はどこまでか →④どこから国や近隣自治体と組む必要があるか →⑤自分はどの役割に関われそうか、の順で考えてみましょう。

悪い例「諫早市の防災に関わりたいです」

改善例「諫早市は過去に大きな水害を経験し、今も本明川の治水事業が続いていると知りました。地域の方に情報が届く仕組みづくりなど、日頃の備えを支える仕事に関わりたいです」

あわせて確認したい公式資料

公式資料は隅から隅まで読み込む必要はありません。本明川や干拓地など自分の関心に近い記述を選び、要点を自分の言葉に置き換えておくと、面接での説明がスムーズになります。

  • 諫早市職員採用試験の最新の受験案内と、市の職員採用情報のページ
  • 諫早市の総合計画・都市計画マスタープラン(市公式サイトの現行版)
  • 本明川ダム建設事業に関する資料(国土交通省長崎河川国道事務所)
  • 長崎県地域防災計画関連資料(地震・津波の被害想定)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、諫早市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。諫早市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

諫早市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

諫早市役所の面接の概要

第2部では、面接の形式・流れから想定質問、評価の観点まで、諫早市役所の選考を公式の試験案内にもとづいて具体的に見ていきます。

諫早市役所の面接の流れ

諫早市の職員採用試験は第一次試験・第二次試験・第三次試験の3段階で構成され、面接は最後の第三次試験でのみ実施される個別面接1回に絞られています。試験案内には集団面接・集団討論の記載がなく、人物評価の場は実質的にこの1回に集約されています。

項目内容(令和8年度・事務Ⅰ等の各区分)
試験の段階三段階選抜。第一次試験→第二次試験→第三次試験と進み、各段階の合格者だけが次に進みます
第一次試験基礎能力検査(SPI3。言語理解・数量的処理・論理思考など)と性格検査(SPI3)。市役所会場のほか、全国のSPIテストセンターでも受験できます
第二次試験論文試験(全区分共通)。事務Ⅰはこれに加えて論述試験、土木Ⅰ・建築Ⅰ・電気Ⅰ・化学Ⅰ・管理栄養士・文化財Ⅰ・保健師・社会福祉士・保育士・幼稚園教諭は専門試験(多肢選択式)を課します
面接の種類個別面接1回(第三次試験)。集団面接・集団討論の記載はありません
採用予定数事務Ⅰ・土木Ⅰ・建築Ⅰ・電気Ⅰ・化学Ⅰ・管理栄養士・文化財Ⅰ・保健師・社会福祉士・保育士・幼稚園教諭のいずれも「若干名」
配点配点は公表されていません。最新の受験案内でご確認ください
提出書類面接カード等の様式は案内に記載なし。電子申請時に顔写真データ(脱帽・正面・胸から上、直近3か月以内撮影、JPG/JPEG形式)の提出が必要です

上記の試験構成は、諫早市の令和8年度職員採用試験(事務Ⅰ等の各区分)の試験案内にもとづくものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。

第一次試験が基礎能力と性格の検査に絞られ、論文・論述・専門試験を第二次に置いたうえで、面接は第三次の1回だけという組み立ては、最後の対面の場に人物評価の判断が集中することを意味します。

事前の書類選考や複数回の面接で少しずつ絞り込む形式とは異なり、当日の受け答えがそのまま評価につながる試験だといえます。第二次試験で書く論文や論述の内容と、第三次試験で話す内容がずれていないかも、本番までにもう一度見直しておきたいポイントです。

なお、諫早市は軽装勤務を通年で実施しており、市役所会場で第一次試験を受験する場合は軽装での来庁が案内されています。案内には上着やネクタイの着用の有無は採用の可否に無関係である旨が明記されていますが、面接本番の服装は、周囲の情報も確認したうえで、清潔感を意識して準備しておくと安心です。

諫早市役所が求める人物像

諫早市の職員採用情報のページと令和8年度試験案内には、求める職員像にあたる公表文言は見当たりませんでした。

そこで手がかりになるのが、試験の設計と、市の置かれた環境です。人物評価の場が第三次の個別面接1回に絞られているということは、複数回の面接で少しずつ人物像を積み上げていく試験とは違い、限られた一度の対話で応募者の実像を見極めようとする試験だと考えられます。

環境の側も見ておきましょう。人口10万人台の市役所では一人の職員が担当する業務の幅が広く、本明川の治水や干拓地の管理のように、庁内だけでなく国・県・近隣自治体とも調整しながら仕事を進める場面が少なくありません。

ここは市が述べていることではなく、公表された試験の設計と市の条件から当研究会が読み取った範囲の話ですが、初めての分野でも自分で調べて動ける力は重んじられやすいはずです。

ですから自己PRでは、特技や資格を並べるだけで終わらせず、それを実際に使った場面と、そのあと物事がどう動いたのかをセットで話せるようにしておきましょう。たとえば干拓地の水管理は農林部局だけで完結する仕事ではなく、防災部局や近隣自治体とも情報を共有しながら進める場面が想定されます。

担当が変わっても関係する相手と粘り強く調整を続けられるかどうかは、諫早市の仕事の性格に合った持ち味だといえます。面接のたびに人物像を変える必要はありません。

実際の経験のどの面を前に出すかを、諫早市の仕事に合わせて選べば十分です。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。諫早市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク今日はどうやって来庁されましたか?一度きりの面接に臨む緊張のなかでも、自然な受け答えができるか
② 動機・志望なぜ公務員、その中でも諫早市役所を志望するのですか?民間就職でも成り立つ動機で終わっていないか。市を選んだ理由の筋道
③ 自己理解あなたの短所を教えてください自分を客観的に見られているか。短所とどう付き合っているか
④ 経験・行動これまでで困難だった経験と、乗り越え方を教えてください困難の大きさより、そのときどう考え、どう動いたかという行動の中身
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れたことを説明してください相手に伝わる言葉で説明できるか。学んだことを仕事につなげる視点
⑥ 適性・将来入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか?市の仕事への理解の解像度。希望どおりでなくても働ける柔軟さ
⑦ 公共性・社会性最近気になったニュースを教えてください社会の動きへの関心と、自分の考えを一言でまとめる力

この7つの型そのものは、多くの受験者が事前に目を通しています。差がつくのは、ここから先の「諫早市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「諫早市役所ならでは」の質問

「なぜ長崎県庁ではなく、諫早市役所なのですか」
「諫早市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

この2問に答えるための材料は、ここまでの第1部で扱った諫早市の事実のなかにあります。

本明川の治水、干拓地の農業基盤、県央地域としての広域連携など、具体的な事実を1つでも挙げられるかどうかで、答えの厚みは大きく変わります。ここでは、諫早市の事実のうち面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい諫早市の事実答え方のヒント
人口の現在地令和8年1月1日現在の人口は132,760人で、長崎県内では長崎市・佐世保市に次いで3番目。老年人口(65歳以上)42,163人のうち過半が後期高齢者高齢化を語るときは、前期・後期の内訳まで踏まえて、必要になる支援の中身を具体的に話します
なぜ県庁ではなく市役所か消防を大村市・雲仙市とともに県央地域広域市町村圏組合で共同運営するなど、近隣自治体と役割を分担しながら住民に近い立場で仕事をする基礎自治体である制度論だけで終わらせず、住民に近い距離で働きたいという自分の言葉につなげます
治水と共に歩むまち昭和32年の諫早大水害では現在の諫早市域で死者・行方不明者630人という被害が生じ、その教訓から本明川ダムの建設が今も続いている過去の被害の大きさに触れたうえで、今も続く備えへの理解を示します
干拓地という農業基盤平成20年完了の国営諫早湾干拓事業で造成された優良農地が、市の農業を支えている農地を「できあがったもの」ではなく、維持管理が必要な資産として語ります
地震・津波への備え活断層地震では震度6弱以上、一部で震度7の可能性。南海トラフでは最大津波高4メートルと想定数字を並べるだけでなく、平時の備えに自分がどう関わりたいかまで話します

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

公式な「求める人物像」は見当たりませんが、諫早市の試験案内には、各種目で何を測るのかがはっきり書かれています。第二次試験の論文試験は「思考力、判断力、構成力、表現力等」、事務Ⅰに課される論述試験は「問題意識、実践力、説得力等」、そして第三次試験の面接試験は「人柄等」。市が言葉にしているこの3組の評価語が、そのまま観点の見取り図になります。答えの美しさではなく経験の中身と行動の再現性を見るという、市役所の採用面接で広く使われている考え方(コンピテンシー評価)も、この見取り図の読み方として重ねておくとよいでしょう。

評価の観点(試験案内の評価語より)面接でどう確かめられるか準備のポイント
問題意識諫早市の何を課題だと考えているのか、その関心がどこから生まれたのかを説明できるか治水・干拓地・広域連携のうち関心のある一つを選び、なぜそれが気になったのかという入口の経験まで遡って話せるようにする
実践力考えを持つだけで終わらせず、実際に手を動かした経験があるか第二次試験の論述で書いた内容と食い違わないよう、自分が動いた場面を具体的な行動の順序で語れるようにしておく
説得力立場や前提の違う相手にも、筋道を追って納得してもらえる話し方ができるか専門用語をほどいて説明した経験を1つ用意する。国・県・近隣自治体との調整が多い市の仕事に直結する観点
人柄第三次試験の面接で、一度きりの対話から人となりが伝わるか作り込んだ人物像ではなく、実際の経験のどの面を前に出すかを決めておく

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。諫早市の場合、面接は第三次試験の1回に絞られている分、この傾向はより強く出ると考えられます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまで整理してきた内容を、本番までの具体的な手順に落とし込んでいきます。

  1. 令和8年度の受験案内を読み、SPI3による第一次試験の受け方(市役所会場かテストセンターか)と、電子申請での顔写真データの提出条件を確認する
  2. 高校・大学生活やこれまでの経験を棚卸しし、学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 自治体研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ4〜5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を諫早市の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、諫早市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

諫早市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

諫早市役所の想定問答集を見る

さいごに

令和8年度諫早市職員採用試験(事務Ⅰ等の各区分)は、第一次試験のSPI3、第二次試験の論文・論述または専門試験を経て、人物を直接確かめる場は第三次試験の個別面接1回に絞られています。

書類や筆記でどれだけ準備をしていても、最後にものを言うのはこの1回の対話です。本明川の治水や干拓地の農業基盤、県央地域としての広域連携など、諫早市が積み重ねてきた事実を、自分の言葉で語れる形にしてから本番に臨んでください。