本記事では、坂出市職員採用試験の面接対策に必要な、坂出市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点をまとめています。坂出市は年度内に複数回の採用試験を実施しており、本記事は令和8年度の9月募集(令和9年4月1日採用予定)を軸に整理し、他の回や職種の違いも併記します。
坂出市役所の面接では、「なぜ坂出市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「坂出市の課題をどう見ているか」といった質問が想定されます。この市の選考には集団討論も作文試験もありません。人物の評価が個別面接に集約されているぶん、一問一答の中身がそのまま結果に効きます。
以下に並ぶ数字や地名は、暗記のために載せているのではありません。この市が公表している人物像に自分のどこが重なるのかを見つけるための材料として読んでください。
第1部|自治体研究編
坂出市の特徴
はじめに、坂出市がどんな土地の上に立っている市なのかを押さえておきましょう。(急ぎの方は、この節だけでも読んでおいてください)
- 瀬戸大橋の四国側のたもとに位置する臨海工業のまち。市役所は室町二丁目に置かれている。
- 住民基本台帳人口は48,902人(令和8年1月1日現在)。県全体は同じ日の集計で931,812人。
- 市域は92.46km²と県内でも小さい部類で、人口密度は約529人/km²。
- 東は高松市、西は丸亀市と接し、綾歌郡の宇多津町・綾川町とも境を接する。海をはさんで岡山県倉敷市と向かい合う。
- 坂出港沿岸はかつて入浜式塩田が広がっていた土地で、塩田の廃止後に港湾・工業開発が進んだ。
- 番の州地区は昭和40年から10年をかけて浅瀬を埋め立てて造成され、電気・石油・LNG・コークスガスなどのエネルギー基地が集積している。
- 市が公表する求める人物像は「坂出を愛する挑戦者」。副題と6項目の内訳まで示されている。
- 第1次試験はテストセンター方式で、全国約330か所の会場から自分で場所と日時を選んで受験する。
- 集団討論・集団面接・作文試験は募集要項に記載がない。第2次試験は坂出市役所本庁舎本館での個別面接。
- 市の花はサクラとコスモス、市の木は珊瑚樹。
坂出市の基礎データ
数字を一桁まで覚え込む必要はありません。坂出市を語るときに外せないのは、92平方キロという狭い市域に、4万9千人の暮らしと大型のコンビナートが同居しているという密度のほうです。
この密度が、産業政策の話にも防災の話にもそのまま効いてきます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 48,902人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 17,212人(35.2%/香川県全体は32.2%) |
| 75歳以上人口 | 10,815人(22.1%/香川県全体は19.2%) |
| 総面積 | 92.46km² |
| 人口密度 | 約529人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 市役所所在地 | 坂出市室町二丁目3番5号 |
| 隣接する自治体 | 高松市、丸亀市、綾歌郡宇多津町、綾歌郡綾川町、岡山県倉敷市(海をはさんで隣接) |
| 市の花・市の木 | サクラ・コスモス/珊瑚樹 |
人口・年齢別人口は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(令和8年1月1日現在)に基づきます。総面積・隣接自治体・市の花木は、当研究会が整理した基礎データによります。住民基本台帳と国勢調査は調査の基準が異なりますので、この表の数値を国勢調査の結果と並べて増減を語ることはできません。
数字から考えられる市政課題
年齢構成を見ると、坂出市の高齢化率35.2%は、同じ時点の香川県全体(32.2%)を3.0ポイント上回ります。75歳以上の割合も22.1%で、県全体の19.2%より2.9ポイント高い。
県内で突出しているというほどではありませんが、県平均より一段進んだ位置にあります。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)
特徴が出るのは、そこに面積を重ねたときです。92.46km²に約4万9千人、人口密度は約529人/km²。
しかもその市域の一角を大型の臨海工業団地が占めています。住宅地と工場と港が、歩いていける距離に並んでいるのが坂出市の姿です。
生活の相談も、事業所との調整も、同じ市域の中で完結します。面接で規模の話に触れるなら、次のような言い方が考えられます。
坂出市の経済・産業
塩田から埋立地へという成り立ち
坂出市の産業は、土地のつくり方そのものから始まっています。坂出港の沿岸はかつて入浜式塩田が広がる土地で、塩田が廃止されたあとに港湾と工業の開発が進みました。
そして番の州地区は、昭和40年から10年をかけて浅瀬を埋め立てて造成されたものです。産業のために土地そのものを作ってきた市だということです。(出典:坂出港と坂出市の市勢|坂出市公式)
その番の州臨海工業団地には、電気・石油・LNG・コークスガスなどのエネルギー基地が集積し、市は「瀬戸大橋のたもとにある香川県随一の大型コンビナート工業団地」だと説明しています。川崎重工業や三菱化学、坂出LNGといった企業が立地しています。
市の税収も雇用も、この一角に大きく支えられている構造です。産業や企業立地を志望分野にするなら、この集積が今後も続く前提で語るのか、次の柱を考える立場で語るのかを決めておきましょう。
瀬戸大橋のたもとにあるということ
本州と四国を結ぶ瀬戸大橋は昭和63年4月に開通し、経済・生活・文化などの交流を大きく広げ、香川県だけでなく四国全体の社会経済に効果をもたらしてきたと県は説明しています。その四国側の起点にあるのが坂出市です。(出典:瀬戸大橋について|香川県公式)
橋のたもとという立地は、通過点にもなり得ますし、結節点にもなり得ます。渡ってくる人と物をどこで受け止めるかが、この市の政策判断の一つの軸になります。観光や交通、まちづくりを志望分野にするなら、橋の存在を紹介で終わらせず、その人と物の流れを市がどう扱うのかまで踏み込みましょう。
県のものづくりの中での位置
県の産業政策のページによれば、香川県は自県の産業を語るとき、金属製品・一般機械器具・電気機械器具・輸送用機械器具・精密機械器具からなる「ものづくり基盤技術産業」を軸に置きます。
この分野は県の製造業のなかで事業所数・従業者数・製造品出荷額等・付加価値額のいずれも第1位で、建設機械や造船、自動車部品などの分野に国内トップクラスの企業が中核として存在するとされます。坂出市の番の州に立地する企業群は、その県の産業構造を素材とエネルギーの側から支える位置にあります。
坂出市の主な行政課題
成り立ちと数字が分かれば、坂出市の課題は具体的に語れます。次の4つを、自分の関心と照らしながら読んでください。
県が目標を下回るペースで進む人口減少
香川県は、県が公表する「かがわ人口ビジョン」(令和2年3月改訂版)で、令和42年に人口約77万人を維持することを目標としています。ところが実績は、令和元年から令和4年にかけて6,030人減・7,337人減・9,022人減・8,110人減と、目標を下回るペースで進んでいます。
県はこの状況を踏まえ、年金・医療・介護等にかかる将来の財政負担の増大を課題に挙げています。高齢化率35.2%の坂出市も、この流れの中にあります。(出典:かがわ人口ビジョン・地方版総合戦略|令和6年)
港が壊れた記憶と、新しい想定
坂出市には、地震で港湾施設が壊れた実際の記録があります。昭和21年の南海地震では坂出港の西岸壁が崩壊し、復旧したのは昭和25年でした。エネルギー基地を抱える市にとって、港が使えなくなることは産業が止まることと同義です。
そして現在の想定です。香川県が令和7年9月2日に公表した地震・津波被害想定によると、南海トラフの最大クラス(L2)の冬・深夜のケースで、坂出市の死者数は建物倒壊40人・津波90人・災害関連死100〜200人と推計されています。
注目したいのは、災害関連死が、建物倒壊と津波を合わせた130人に並ぶ規模で見積もられている点です。逃げ切ったあとの避難生活をどう支えるかが、この市では数字の上でも重い課題になっています。(出典:香川県地震・津波被害想定|令和7年9月2日公表)
水が止まった経験
温暖少雨という香川県の気候は、そのまま水の乏しさでもあります。坂出市が実際に経験したのが平成6年の列島渇水でした。
吉野川水系の取水制限は6月29日から11月14日までの139日間に及び、早明浦ダムの利水貯水量は7月24日にゼロとなります。市内でも給水制限や減圧給水が行われました。
県はその後、平成6年10月に水資源対策推進本部を設け、平成8年3月に総合水資源対策大綱をまとめています。工業用水も生活用水も、渇水になれば同時に細る市だということです。(参考:平成6年列島渇水の記録|国土交通省)
応募は集まるが、採り切れない職種がある
坂出市は過去の採用試験の実施状況を公表しています。令和7年度の6月募集では、A事務(大学)が採用予定6人に対し応募116人(応募倍率19.3倍)、有効受験98人、第1次試験合格65人、第2次試験受検52人・合格24人、第3次試験受検23人で最終合格4人。
実競争率は24.5倍でした。一方、同じ6月募集で建築・電気・事務(デジタル)・事務(障がい者対象)は最終合格が0人。
事務には人が殺到し、技術職と専門職は決まらないという偏りが、はっきり数字に出ています。(出典:坂出市職員採用試験実施状況|令和7年度)
坂出市が年度内に複数回の募集を行っているのは、この偏りへの対応でもあります。令和7年度は6月・9月・1月の3回。
回によって職種も倍率も大きく動きます。自分が受ける回の実施状況を見ておくと、置かれる状況の見当がつきます。
坂出市の重点政策|市が掲げている言葉から
市の計画そのものの中身は、受験前に最新版を確認してください。ここでは、市が言葉として外に出しているもののうち、面接で使える形になっているものを取り上げます。
県が計画名に置いた言葉
香川県の総合計画は「『人生100年時代のフロンティア県・香川』実現計画」という名称です。人口減少と少子高齢化の深刻化に対応するため、令和5年10月に見直されました。
県が高齢期の長さを計画名そのものに据えているという事実は、高齢化率が県平均を上回る坂出市の仕事にそのまま重なります。(出典:「人生100年時代のフロンティア県・香川」実現計画|令和5年10月見直し)
採用サイトを一つ立てているという姿勢
坂出市は、職員採用の情報を独立した採用情報サイトにまとめています。掲げられたキャッチコピーは「求む!『坂出を愛する挑戦者』」。
サイトには市長メッセージ、求める人物像、先輩職員インタビュー、給与や勤務条件、人材育成、福利厚生、よくある質問、インターンシップ情報、過去の採用試験の実施状況までが載っています。市長のメッセージには、坂出市という地で市民が幸せを実感できる『みんなの“ココチよさ”がかなうまち』の実現に挑戦していく、熱い志を持つ人を待っているという一節が置かれています。(出典:坂出市職員採用情報サイト|令和8年度)
過去の実施状況まで受験者に開いているという点は見逃せません。倍率も、最終合格が0人だった職種も、そのまま公表されています。都合のよい数字だけを見せない姿勢は、そのまま組織の性格として読み取れます。
第1次試験を全国どこでも受けられるようにしたこと
もう一つ、市の考え方が形になっているのが第1次試験の方式です。坂出市の第1次試験はテストセンター方式で、基礎能力試験とパーソナリティ検査を、全国約330か所の会場から自分で場所と日時を予約して、指定された期間内に受験します。
市はこれを「お勤めでなかなかお休みを取りづらいかたや遠方にお住まいで坂出市まで来れないかたでも受けやすい」方式だと説明しています。まず入口を全国に広げ、そのうえで本庁舎まで来てもらうという順番の設計です。
POINT|「瀬戸大橋のまち」で終わらせない
地名や施設名を挙げられることが自治体研究の目的ではありません。分野を一つか二つに絞ったうえで、何が問題になっているのか、坂出市はどこへ向かおうとしているのか、いま何が動いているのかを順に確かめ、最後に自分の経験や強みの置きどころまで考えてみてください。
悪い例「瀬戸大橋があって交通の便がよいので、観光に力を入れたいです」
改善例「坂出市は橋の四国側の入口にあたりますが、通過されてしまう面もあると思います。まずは橋を渡ってきた方がどこで降りて何を見ているのかを調べるところから関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
受験の前に見ておきたい資料はこの4つです。2つ目の実施状況は、自分が受ける回の見当をつけるのに役立ちます。
- 坂出市の職員採用情報サイトと、自分が受ける回の最新の募集要項
- 同サイトに載っている過去の職員採用試験実施状況
- 坂出市が公表している総合計画の最新版と、市の地域防災計画
- 香川県の地震・津波被害想定(令和7年に新しい想定が公表されています)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、坂出市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。坂出市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
坂出市役所の面接の概要
ここからは、坂出市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、差がつく質問への備え方を、公表資料と当研究会の分析にもとづいて整理していきます。
坂出市役所の面接の流れ
令和8年度坂出市職員採用試験を実施するのは坂出市で、担当は総務部職員課の職員採用事務担当です。第1次試験は全国のテストセンターで受け、第2次試験からは坂出市役所本庁舎本館に足を運ぶ形になります。集団討論も集団面接も作文試験も置かれておらず、人物の評価は個別面接だけで行われます。
| 項目 | 内容(令和8年度9月募集・令和9年4月1日採用予定) |
|---|---|
| 募集の回 | 年度内に複数回実施。令和7年度は6月・9月・1月の3回でした |
| 9月募集の職種と採用予定 | A事務(高校、短大)2名程度、B事務(高校、短大、大学・障がい者対象)1名程度、C事務(大学・UJIターン)1名程度、D事務(短大、大学・社会人経験)3名程度、E土木1名程度、F電気(短大、大学)1名程度、G消防士(高校)・H消防士(大学)・I消防士(救急救命士)で計4名程度 |
| 第1次試験 | テストセンター方式。基礎能力試験とパーソナリティ検査を、全国約330か所の会場から希望の会場・日時を自分で予約し、指定期間内に受験する択一式の試験・検査です |
| 消防士の第1次試験 | 職種G・H・Iのみ、第1次試験の段階で体力検査を併せて実施。会場は坂出市民武道場で、テストセンター方式の基礎能力試験とは別会場・別日程です |
| 第2次試験 | 個別面接。会場は坂出市役所本庁舎本館 |
| 第3次試験 | 職種C(事務・大学UJIターン)と職種D(事務・短大、大学・社会人経験)のみ実施。内容は個別面接で、会場は同じく坂出市役所本庁舎本館。それ以外の職種は第2次試験までで選考が完結します |
| 集団形式・作文 | 坂出市の募集要項に、集団討論・集団面接・作文(論文)試験を実施する旨の記載はありません |
| 配点 | 9月募集の募集要項をたどっても、基礎能力試験や個別面接の配点(得点配分)にあたる数字は示されていません。募集の回ごとに最新の募集要項をご確認ください |
| 申込方法 | 民間の採用プラットフォームから申し込みます。受験申込は一職種のみで、同一年度に実施した坂出市職員採用試験に応募した人は、同一職種への再応募ができません |
| 提出書類 | エントリー時に全職種共通で卒業(見込み)証明書(発行年月日が6か月以内のもの)を添付。事務(障がい者対象)は手帳の写し、土木(社会人経験)は資格の写し、消防士(救急救命士)は免許の写しが必要です。事務(UJIターン)は第2次試験日に住民票等、消防士は身体検査書を提出します。面接カードやエントリーシートについては募集要項に記載がありません |
この試験でまず意識したいのは、面接の回数が職種によって違うという点です。多くの職種は第2次試験の個別面接で選考が終わりますが、UJIターンと社会人経験の2区分だけは第3次試験でもう一度個別面接を受けます。
同じ人に、日を改めてもう一度会います。一度目で語った内容が二度目に確かめられる構造です。
この2区分を受ける方は、話を大きく作らないほうが安全でしょう。(出典:令和8年度坂出市職員採用試験募集要項|令和8年度9月募集)
上記の試験内容は、令和8年度坂出市職員採用試験(9月募集・令和9年4月1日採用予定)の募集要項によります。職種・試験内容・受験資格は年度や募集の回によって変わることがありますので、受験の際は必ず最新の募集要項でご確認ください。
過去の試験結果から見える競争の形
市が公表している実施状況を見ると、回ごとの差がよく分かります。
| 回・職種 | 採用予定/応募/有効受験/最終合格 |
|---|---|
| 令和7年度6月募集・A事務(大学) | 6人/116人(19.3倍)/98人(16.3倍)/4人(実競争率24.5倍) |
| 令和7年度6月募集・全体 | 14人/133人(9.5倍)/113人(8.1倍)/5人(実競争率22.6倍) |
| 令和7年度9月募集・事務(大学・社会人経験) | 1人/21人(21.0倍)/20人/5人(実競争率4.0倍) |
| 令和7年度9月募集・全体 | 10人/81人(8.1倍)/70人(7.0倍)/18人(実競争率3.9倍) |
| 令和7年度1月募集・事務(大学・社会人経験) | 4人/18人(4.5倍)/15人(3.8倍)/5人(実競争率3.0倍) |
令和7年度の坂出市職員採用試験の実施状況として市が公表した数値です。
6月募集の事務が24.5倍だったのに対し、9月募集と1月募集の全体は4倍前後まで下がっています。同じ市の同じ年度でも、回によって競争の厳しさがまるで違うということです。ただし採用予定人数も職種も回ごとに変わるため、倍率の低い回を狙うという話ではありません。自分が受けられる職種がどの回にあるかを先に確認しておきましょう。
坂出市役所が求める人物像
坂出市は求める人物像を明確に公表しています。掲げられているのは「坂出を愛する挑戦者」という言葉で、副題は「坂出市を愛し、市民に信頼され、自ら考え、果敢に挑戦する職員」。さらに内訳が6項目で示されています。
- 市民に寄り添う姿勢を持つ職員
- 自ら課題を発見し、迅速に取り組む職員
- 前例や形式にとらわれず、広い視野で柔軟に対応する職員
- 高いコスト意識を持ち、効率・効果的な仕事を行う職員
- 市民や職員同士で、信頼関係を構築できるコミュニケーション能力を持つ職員
- 規律を守り、よりよい社会の実現のため使命感に溢れる職員
並びを見ると、2番と3番に「自ら課題を発見し」「前例や形式にとらわれず」という言葉が続けて置かれ、その直後の4番に「高いコスト意識」が来ています。挑戦を促しながら、費用対効果も外しません。この2つを同じリストの中で並べているところに、市の現実が出ています。
なぜこの6項目なのかまでは、市は説明していません。手がかりは規模のほうにあります。
人口4万9千人、市域92.46km²、9月募集の採用予定は職種を合わせて十数人という規模。この体制で、住宅地と大型のコンビナートと港を同時に抱える市を回していくとなれば、一人の職員に渡される仕事の幅は広くなります。
暮らしの相談を受ける相手と、操業や港湾の話をする相手が、同じ担当の一日のうちに入れ替わることも起こります。前例のない相談を、断らずに引き取れる人が働きやすい環境になるはずです。
2番と3番の文言は、そうした職場から出てきた言葉だと考えると腑に落ちます。
加えて、人口5万人に届かず市域も狭い市では、職員と住民の距離が近くなります。市役所も工場も住宅も同じ92平方キロの中にあり、仕事で向き合う相手と暮らしの場面が重なりやすくなります。
1番の「市民に寄り添う姿勢」も6番の「規律を守り」も、その距離感の中で読むと具体的な意味を持ちはじめます。なお、市はUJIターンを対象とする職種を独立して設けており、外から移ってくる人を織り込んだ枠を用意しています。
志望動機を組み立てるなら、この市の何に自分が反応したのかを具体で言えるところまで詰めておきましょう。
この市の選考は、全国どこからでも受けられる第1次試験と、本庁舎本館まで足を運ぶ個別面接という二層でできています。前半は自分の能力の測定、後半は人としての確認。
作文も集団討論もない以上、後半で語ることのすべてが、面接官と向き合った時間の中だけで判断されます。6項目のどれに自分が当てはまるのかを、実際にやったことで示せる状態にしておきましょう。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。坂出市の個別面接も、この見取り図の上で準備すれば基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 緊張していますか? | 集団討論を挟まずいきなり個別面接に入る試験で、最初の数分から素の受け答えができるか |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 香川県庁でも隣接する高松市・丸亀市でもなく、坂出市を選んだ理由まで届いているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 第1次試験でパーソナリティ検査を受けているため、検査に出た傾向と話す自己像が重なるか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 人物像2番の「自ら課題を発見し、迅速に取り組む」に、実例で答えられるか |
| ⑤ 学業・経歴 | 卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください | 作文試験がないぶん、構成して伝える力を口頭だけで示せるか |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 住宅地も工業地帯も港も抱える市で、配属の幅を前提に働けるか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 人物像3番の「広い視野」に通じる目配りが、日常の中にあるか |
準備すればするほど、この7つの答えは互いに似てきます。判断の材料が個別面接に集まる坂出市では、次の2問の中身が結果を左右します。
合否を分けるのは「坂出市役所ならでは」の質問
1問目は、県内のどの市を受けても聞かれる質問ですが、坂出市では答え方の幅が広く取れます。臨海工業、港、橋、塩田の歴史と、市固有の材料が揃っているからです。2問目も同じで、魅力を挙げるのは難しくありません。問題は課題のほうを、市の内側から語れるかどうかです。褒めるだけの答えと、引き受ける側の答えの差がはっきり出る質問だといえます。課題側から語るための事実を、下の表に置きました。
| 質問テーマ | 知っておきたい坂出市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口と年齢構成 | 住民基本台帳人口は48,902人、高齢化率35.2%、75歳以上の割合は22.1%(令和8年1月1日現在)。香川県全体は32.2%と19.2% | 県との差をポイントで示し、市域92.46km²という狭さと合わせて話します |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 9月募集の採用予定は職種を合わせて十数人。住宅地と番の州の工業団地と港が同じ市域にある | 県と市の役割の違いを論じるより、住民と事業所の両方に近い距離で働けることに自分を重ねます |
| 坂出市の魅力 | 瀬戸大橋の四国側のたもとに位置し、番の州臨海工業団地は県随一の大型コンビナート工業団地だと市が説明する | 瀬戸大橋や番の州の名前を出すだけで止めず、その立地が市の雇用と税収に何をもたらしているかを続けて述べます |
| 産業の成り立ち | 坂出港の沿岸はかつて入浜式塩田で、廃止後に港湾・工業開発が進んだ。番の州地区は昭和40年から10年かけて埋め立て造成された | 土地そのものを作って産業を招いてきた歴史に触れ、次の柱をどう考えるかにつなげます |
| 災害への備え | 昭和21年の南海地震で坂出港西岸壁が崩壊し、復旧は昭和25年。南海トラフ最大クラス(冬・深夜)の想定死者は建物倒壊40人・津波90人、災害関連死は100〜200人 | 想定のケース条件を添えたうえで、避難生活の支援まで含めた備えとして語ります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
坂出市は求める人物像を「坂出を愛する挑戦者」として掲げ、6項目の内訳まで公表しています。面接は、この6項目に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場だと考えるのが素直でしょう。
土台にあるのはコンピテンシー評価の考え方です。用意した答えの出来ではなく、その行動を自分が本当に選んだのかどうかが問われます。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 自分で課題を見つけて動いたか | 人物像2番と3番に照らして、指示を待たずに動いた場面を掘られる | 前例のないやり方を選んだ経験を1つ用意し、なぜそれを選んだのかまで言えるようにする |
| 限られた資源で回す感覚があるか | 人物像4番の「高いコスト意識」に照らして、時間やお金の使い方を問われる | やりたいことを削って優先順位をつけた経験を、削った理由とセットで話せるようにする |
| パーソナリティ検査に耐える自己理解 | 第1次試験のパーソナリティ検査の結果と、面接で語る自分が食い違わないか | 長所を盛らずに、自分でも認めている苦手を一つ、言い訳なしで説明できるようにしておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。
集団討論も作文もない坂出市では、判断材料が面接での受け答えに集まる分、ひとつの話題にとどまる時間は長くなると考えておいたほうがよいでしょう。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受けられる職種がどの回の募集にあるかを確認する。受験申込は一職種のみで、同一年度に応募した職種への再応募はできない
- 第1次試験のテストセンターの会場と日時を早めに予約する。全国約330か所から選べるが、指定された期間内に受け終える必要がある
- 基礎能力試験の対策を進める。パーソナリティ検査は飾らずに答えることを前提に、自分の傾向を言葉にしておく
- これまでの経験を棚卸しする。学業、課外活動、アルバイトや職務経験から話せる具体例を1つずつ出し、それぞれ二段深く掘られても答えが続くかを確かめておく
- この記事の第1部と、市が公表する人物像の6項目を読み合わせ、自分の経験がどの項目に接続するのかを書き出す
- 7カテゴリーの代表質問に一言メモで答えを作り、声に出して練習しながら「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ2は日程の制約が最も強い工程です。テストセンターの予約が取れなければ、そのあとの準備がすべて無駄になります。ステップ5の読み合わせは仕上げの工程です。手が回らないときは、まずステップ4で語れる具体例を確保してください。作文も集団討論もないこの試験では、面接で語る具体例そのものが唯一の材料になります。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、坂出市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
坂出市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
令和8年度9月募集(令和9年4月1日採用予定)の坂出市職員採用試験は、全国のテストセンターで第1次試験を受け、第2次試験からは坂出市役所本庁舎本館での個別面接に進みます。UJIターンと社会人経験の2区分だけは、第3次試験でもう一度個別面接があります。
集団討論も作文試験もないため、判断の材料は面接での受け答えに集まります。
塩田の跡に埋立地を造り、そこにコンビナートを招き、瀬戸大橋の四国側の入口として人と物を受け止めてきたまち。市が掲げる「坂出を愛する挑戦者」の6項目のうち、自分はどれを実際にやってきたのか。
その一つを具体で語れるところまで、経験を見直しておきましょう。