本記事では、和歌山市職員採用試験の面接対策で必要な、和歌山市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
和歌山市役所の面接試験では、「なぜ和歌山市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。令和8年度(2026年度)第1回試験でいえば、行政職Ⅰ種の事務職には[1型]と[2型]があり、口述試験を受ける回数も配点も型によって違います。
自分がどちらで受けるのかを最初に確かめておきましょう。
本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と和歌山市政の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。
第1部|自治体研究編
和歌山市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは和歌山市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 和歌山県の県庁所在地であり、平成9年4月1日に中核市へ移行した南近畿の県都。高次都市機能が集積し、県の政治・経済・文化の中心的役割を担う。
- 紀伊半島の北西部に位置し、北は和泉山脈、西は紀淡海峡に面する。市域は紀の川の河口に広がり、東西29.0キロメートル・南北17.5キロメートル、海抜は最高490.2メートルから最低0.6メートルまでの高低差がある。
- 総務省の住民基本台帳による令和8年1月1日現在の人口は349,646人。和歌山県の人口889,455人のうち、およそ4割がこの市に暮らしている。
- 人口は昭和60年(1985年)の401,352人をピークに減少が続いている。令和2年国勢調査では356,729人で、35年間で約45,000人減った。
- 一方で社会動態は改善しており、令和元年(2019年)には転入が転出を上回る45年ぶりの社会増に転じた。
- 製造業が市の経済を支える柱で、付加価値額では産業全体のおよそ4分の1を占める。とくに鉄鋼業の存在が大きい。
- 市中心部には、JR和歌山駅と南海電鉄和歌山市駅という2つのターミナルが約2キロメートル離れて形成されている。関西国際空港からは約20キロメートルの距離にある。
- 和歌山城を中心とした歴史的な景観をもち、令和4年の観光入込客数は約562万9千人(前年比121.0%)だった。
- 令和7年度当初予算の一般会計は1,603億9,528万4千円で過去最大規模(前年度比6.8%増)。令和6年度決算の実質公債費比率9.8%・将来負担比率79.3%は、いずれも早期健全化基準を下回っている。
和歌山市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「和歌山市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
ここでは、人口規模、市域の広さ、都市制度上の位置づけ、経済と財政の規模など、市政の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 349,646人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 109,954人(31.4%、和歌山県全体34.2%) |
| うち75歳以上人口 | 67,053人(19.2%、和歌山県全体20.4%) |
| 総面積 | 208.84km²(東西29.0km・南北17.5km) |
| 人口密度 | 約1,674人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 総世帯数 | 159,169世帯(令和6年12月31日現在・市公表) |
| 都市制度上の位置づけ | 中核市(平成9年4月1日移行)・和歌山県の県庁所在地 |
| 事業所数・従業者数 | 13,476事業所・142,192人 |
| 令和7年度当初予算(一般会計) | 1,603億9,528万4千円(過去最大規模、前年度比6.8%増) |
| 市の花・市の木 | ツツジ/クスノキ |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口とそれぞれの割合、および和歌山県全体の値は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の値です。人口密度は、この表の総人口を面積で割って当研究会が算出しました。総面積は令和7年7月1日現在、総世帯数は令和6年12月31日現在の市公表値です。事業所数・従業者数は平成24年経済センサス活動調査による値で、市の産業戦略会議資料に掲載されているものです。国勢調査をもとに公表される人口は調査の基準が異なりますので、この表の値と国勢調査の値をつないで増減を計算することはできません。比べるときは、同じ基準の値どうしで行ってください。
数字から考えられる市政課題
まず規模です。和歌山県に住む人のおよそ4割が和歌山市民で、県内の他の市とは人口の桁が違います。
県都として都市機能が集まっている以上、市の判断は市域だけで完結せず、周辺自治体や県全体に影響します。この点は、志望動機で「市の仕事」を語るときの前提になります。(出典:住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数|令和8年1月1日現在)
次に年齢構成です。65歳以上の割合は31.4%、75歳以上の割合は19.2%で、いずれも和歌山県全体(34.2%・20.4%)を下回ります。
ただし、市の人口展望資料は、社人研の令和5年推計をもとに、和歌山市の高齢化率が令和2年の31.1%から2050年には38.7%に達し、年少人口比率は10.4%まで低下すると見込んでいます。今の数字は県内の平均より軽く見えても、変化の向きは同じです。(出典:和歌山市人口展望資料|令和5年推計反映)
面接で和歌山市の現状を説明するなら、数字と課題を次のようにつないで話せます。
和歌山市の経済・産業
経済・産業構造の概要
- 全産業の事業所数は13,476事業所、従業者数は142,192人、付加価値額は647,992百万円(平成24年経済センサス活動調査)。
- 付加価値額の構成比は製造業が24.1%で最大。次いで卸売業・小売業18.6%、医療・福祉12.9%が続く。
- 事業所数の構成比では卸売業・小売業が27.3%で最大。製造業9.5%、宿泊業・飲食サービス業9.1%、医療・福祉8.5%と続く。
- 関西国際空港から約20キロメートル、和歌山港からは徳島港へ南海フェリーが1日8往復。海と空の結節点に近い位置にある。
つまり、「事業所の数では商業が最も多いのに、生み出す付加価値では製造業が全体の4分の1を占める」という構造を押さえておくと、産業振興や雇用の話題に対応しやすくなります。数の多さと稼ぐ力が別の産業に乗っているというねじれが、和歌山市の経済を見るときの起点です。(出典:和歌山市産業戦略会議資料|平成24年経済センサス活動調査)
製造業と鉄鋼業
製造業の中でも、鉄鋼業の位置づけは際立っています。事業所数では製造業全体の3.5%にすぎませんが、従業者数の14.1%、付加価値額の28.4%を占めており、市の経済と雇用を支える柱になっています(平成24年経済センサス活動調査・平成25年工業統計による整理)。
産業政策を志望分野にするなら、少数の大きな事業所に雇用が集中している構造と、その集中がもたらす強さと危うさの両方に触れられるようにしておきましょう。
商業と、まちなかの再編
事業所数では卸売業・小売業が4分の1超を占め、市内で最も事業所の多い産業です。ここに関わるのが中心市街地の再編で、和歌山市駅前南地区の第一種市街地再開発事業は、令和8年4月23日に都市計画決定の手続きが開始されました。
地区面積は約0.8ヘクタール、延床面積は約26,000平方メートルで、住宅・商業施設・業務施設を主要用途とし、容積率の最高限度を従前の400%から600%へ引き上げる高度利用地区が指定されます。商業やまちづくりを語るなら、店舗の増減ではなく、まちなかに人が住む形をどうつくるかという視点まで踏み込みましょう。
交通と、市域の分断
和歌山市には、大阪方面へのJR阪和線と南海電鉄本線、県南部へのJR紀勢本線、奈良方面へのJR和歌山線、和歌山電鐵貴志川線、南海電鉄加太線・和歌山港線が通ります。一方で、市の地域公共交通計画(令和6年3月)は、鉄道・バスの利用者が減少傾向にあり、和歌山バスの系統数が令和5年度で51系統まで減っていること、市域が紀の川によって南北に分断され横断箇所が限られるため渋滞が発生しやすい構造であることを指摘しています。
交通政策は、和歌山市では移動の便利さの話であると同時に、市域の一体感の話でもあります。
観光と和歌山城
令和4年の観光入込客数は約562万9千人(前年比121.0%)で、うち宿泊客が約87万3千人、日帰り客が約475万6千人でした。前年より約98万人増えています。
日帰りが8割超という構成は、そのまま「どうすれば泊まってもらえるか」という課題に直結します。観光を志望分野にするなら、和歌山城や和歌浦といった資源の紹介ではなく、滞在時間と消費をどう伸ばすかという組み立てで準備してください。
和歌山市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、和歌山市が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。
人口減少と、30万人という目安
社人研の令和5年推計では、和歌山市の総人口は2040年に307,046人、2050年には280,227人となる見込みで、2020年からの30年間で約77,000人減ると見込まれています。これに対して市は、県都としての都市機能を維持するために必要な人口規模を30万人と位置づけ、急激な人口減少を抑えることと、人口構造の不均衡を改善することの2つを打ち出しています。
数字を丸暗記するより、「30万人」という目安が置かれている意味を説明できるようにしておきましょう。
労働力不足と社会保障費の増大
市の人口展望資料は、令和2年の就業構造のままでは2050年に就業者数が約42,000人減少し、労働力不足が生じるおそれがあると指摘しています。あわせて、人口構造の不均衡が拡大することで、1人あたりの医療費・社会保障費が増大するおそれにも触れています。
人が減ることそのものより、働く人と支えられる人の比率が変わることが行政の負担に直結する。この理解があると、福祉や産業の質問に厚みが出ます。
南海トラフ巨大地震への備え
和歌山県が平成26年に公表した地震被害想定では、南海トラフ巨大地震における和歌山市の死者数は18,100人、建物全壊棟数は55,200棟、避難者数は227,900人と、いずれも県内で最も多いと想定されています。東海・東南海・南海の3連動地震(約100年周期のマグニチュード8クラス)でも、死者数2,100人・建物全壊7,300棟・避難者数133,100人が想定されています。
紀の川の河口に市街地が広がる県都として、備えは市政の中心的な課題です。(出典:和歌山県地震被害想定|平成26年公表)
財政運営と、過去最大の予算
令和7年度当初予算は、一般会計が1,603億9,528万4千円で過去最大規模(前年度比6.8%増)、全体では2,992億2,553万5千円(同4.0%増)でした。一方、令和6年度決算に基づく健全化判断比率は、実質公債費比率9.8%(前年度9.5%)、将来負担比率79.3%(同84.9%)で、早期健全化基準の25.0%・350.0%をいずれも下回っています。
予算規模は膨らみつつ、健全性の指標は前年度より改善しているという状態です。財政を語るなら、危機を煽るのでも安心を強調するのでもなく、この両面を並べて説明しましょう。(出典:和歌山市の健全化判断比率|令和6年度決算)
県との役割分担と、中核市としての立場
和歌山市は県庁所在地ですが、和歌山県の出先機関ではありません。中核市は、政令指定都市以外の都市のうち人口や市域の規模・能力が比較的大きな都市について、事務権限を強化することでできる限り市民の身近なところで行政ができるよう平成7年に創設された制度で、和歌山市は平成9年4月1日にこの中核市へ移行しました。
市は全国の中核市市長で構成する中核市市長会を通じて、共通課題の調査・研究や関係機関への政策提案も行っています。この立場の理解は、面接の定番質問である「なぜ県庁ではなく市役所なのか」にそのまま効いてきます。
和歌山市の重点政策|第5次和歌山市長期総合計画
和歌山市の市政運営の最上位に置かれているのは「第5次和歌山市長期総合計画」です。基本構想・基本計画・実施計画で構成され、基本構想の計画期間は平成29年度から令和8年度までの10年間。
令和8年度はこの計画の最終年度にあたります。(出典:第5次和歌山市長期総合計画(基本構想))
計画を貫く考え方
基本構想が掲げる将来都市像は「きらり 輝く 元気和歌山市」です。基本構想は、豊かな自然と歴史・文化資産、県都としての都市機能の集積を市の強みとして挙げる一方、若者世代の市外流出と出生率の低迷が続いていることを正面から書いています。
そのうえで、強みに磨きをかけて「住みたいまちとして選ばれる」ことをめざす、という組み立てです。この「選ばれる」という言い方が、計画全体の温度を決めています。
4つの将来都市像と分野別の目標
| 将来都市像 | 分野別目標に置かれた主な柱 |
|---|---|
| 1 安定した雇用を生み出す産業が元気なまち | 既存産業の振興、新たな事業の創出と産学官金・異業種連携、農林水産業の活性化、観光の稼ぐ力の強化、国際交流、産業を支える「人」の確保 |
| 2 住みたいと選ばれる魅力があふれるまち | 中心市街地の魅力向上、各地域における魅力的なまちづくり、都市景観の創出、自然と共生する社会の形成、文化・スポーツと生涯学習 |
| 3 子供たちがいきいきと育つまち | 安心して子供を生み育てられる環境の整備、学力の育成、豊かな心と健やかな体の育成、安全・安心な教育環境、家庭や地域の教育力 |
| 4 誰もが安心して住み続けられる持続可能なまち | コンパクトシティの実現、道路網の整備、住環境の整備、防災体制と消防力の充実、安全で安心な市民生活、健康づくり、人権尊重・男女共同参画、福祉社会の形成、地域コミュニティの充実 |
基本構想はこのほか、市域を10の地域に区分した地域別まちづくりの目標と、行政運営の基本方針3項目(安定した財政構造の構築、多様な主体との協働・連携、効率的・効果的な行政運営)を定めています。面接では、自分の取り組みたい仕事が4つの将来都市像のどれに位置づくのかを一言添えられるだけで、市の方向性を踏まえた志望だと伝わります。
令和8年度の市政運営のポイント
令和8年度の予算と主要事業は「地方創生に向けて」という全体テーマのもと、10の柱に整理されています。子育て分野では、18歳までのこども医療費の完全無償化と小学校給食費の無償化を引き続き実施したうえで、新たに中学校給食費の無償化が加わりました。
まちづくりでは、県とJR西日本との連携による和歌山市駅の交通結節点としての機能強化、東口・西口の再整備、友田町三丁目地区の再開発と周辺商店街を含めた面的な活性化が並びます。産業では、大学等の誘致とスタートアップ支援、観光では夜間・冬季の経済活動の振興が掲げられています。(出典:令和8年度予算と主要事業の概要|令和8年度)
POINT|10の柱をすべて暗記しなくてよい
柱の名称を覚えることが自治体研究の目的ではありません。関心のある分野を一つか二つ選び、「①何が課題か → ②市はどんな状態を目指すか → ③今どんな事業があるか → ④市だからこそ担える役割は何か → ⑤自分の経験や強みをどう生かせるか」の順で調べていきましょう。
悪い例「和歌山市の子育て支援に携わりたいです」
改善例「和歌山市は18歳までの医療費や給食費の無償化を進めていると知りました。お金の面での支えが整ってきた分、これからは預け先や相談先といった手が届きにくいところが課題になると思いますので、実際に使っている方の声を聞きながら仕組みを整えていく仕事に関わりたいです」
あわせて確認したい公式資料
ここに挙げた資料を全部読み込む必要はありません。自分が面接で話したい分野に一番近いものを1つ決め、その中の数字や方針を、人に説明できるところまで持っていければ十分です。
- 和歌山市職員採用試験の最新の受験案内(受験する試験区分と、事務職なら型を必ず確認する)
- 和歌山市職員採用案内のパンフレット(求める人材像と仕事の紹介)
- 第5次和歌山市長期総合計画(基本構想)と、志望分野に関係する個別計画の最新版
- 令和8年度の予算と主要事業の概要
- 和歌山市の人口展望資料(将来推計と、市の課題認識)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、和歌山市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。和歌山市の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
和歌山市役所の面接の概要
ここからは、和歌山市役所の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。
和歌山市役所の面接の流れ
和歌山市の職員採用試験を実施するのは和歌山市人事委員会です。令和8年度(2026年度)第1回試験では、全ての試験区分で第1次試験に基礎能力検査(SCOA)が用いられ、市はこれを「特別な公務員試験対策が不要な」検査だと案内しています。
そのうえで、行政職Ⅰ種の事務職は[1型]と[2型]に分かれ、[2型]の第2次試験では、第1次試験結果50点に対して口述試験が150点と3倍の配点になっています。
| 項目 | 事務職[1型](令和8年度第1回) | 事務職[2型](令和8年度第1回) |
|---|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験・第2次試験の2段階 | 第1次試験・第2次試験・第3次試験の3段階 |
| 第1次試験の種目と配点 | 能力検査(SCOA)100点、専門試験100点 | 能力検査(SCOA)100点 |
| 第2次試験の種目と配点 | 第1次試験結果50点、論文試験30点、口述試験120点、適性検査 | 第1次試験結果50点、口述試験150点、適性検査 |
| 第3次試験の種目と配点 | 実施されません | 第2次試験結果50点、論文試験30点、口述試験120点、適性検査 |
| 口述試験の回数 | 第2次試験の1回 | 第2次試験と第3次試験の計2回 |
| 口述試験の形式 | 個人の形式による、主として人物、性格等についての面接 | 個人の形式による、主として人物、性格等についての面接 |
| 提出書類 | 第1次試験合格者が履歴書等(合格通知に同封される様式・写真添付)を提出 | 第1次試験合格者が履歴書等(合格通知に同封される様式・写真添付)を提出 |
| 採用予定人員 | 10人 | 38人 |
この表で最初に押さえたいのは、口述試験の重さです。[1型]の第2次試験は合計200点で、そのうち口述試験が120点。
6割が面接の点数です。[2型]の第2次試験も合計200点ですが、口述試験だけで150点を占めます。
しかも[2型]はその先の第3次試験でもう一度120点の口述試験があり、人物を見る場を2回通過しなければ最終合格に届きません。(出典:和歌山市職員採用試験受験案内|令和8年度第1回)
試験の中身も確認しておきましょう。能力検査は60分・択一式・大学卒業程度で、言語(文章読解能力)、数理(数的能力)、論理(論理的思考能力)、常識(人文・社会、自然に関する一般知識)、英語(基礎英語)から出題されます。
[1型]だけに課される専門試験は120分・択一式で、憲法、行政法、民法、経済学、財政学、社会政策、政治学、行政学および国際関係が範囲です。論文試験は1200字以内・90分。
適性検査は性格等に関する検査で、口述試験の参考資料として使われます。なお[2型]の論文試験は第2次試験日に実施されますが、採点されるのは第2次試験に合格した人だけで、種目としては第3次試験に属します。
もう一点、[1型]と[2型]は試験の方法こそ違いますが、採用後の職務内容・給与・勤務条件は同じだと受験案内に明記されています。専門試験を課される代わりに選考が2段階で終わる道と、専門試験がない代わりに口述試験を2回受ける道。
どちらを選ぶかは、自分の準備の得意不得意で決める話であって、入庁後の扱いが変わるわけではありません。
その得意不得意を配点から考えるなら、まず第1次試験の結果は総合得点を50点満点に換算して次の段階へ持ち込まれるという仕組みを押さえておきましょう。[1型]の第1次試験は能力検査100点と専門試験100点の合計200点ですが、第2次試験に残るのはそれを50点に圧縮した値です。
専門試験の積み上げはまず第1次試験の通過に直接効き、第2次試験でも50点の土台として残りますが、残りの150点は論文試験30点と口述試験120点で決まります。[2型]の第1次試験は能力検査100点のみで、これも50点に換算されます。
筆記の負担が軽い代わりに、第2次試験で配点が置かれるのは第1次試験結果50点と口述試験150点だけで、人物を見る場の単独勝負が一度挟まる形です。
この違いは、面接の準備をいつ始めるかに直結します。[1型]を選ぶなら、120分の専門試験の対策と面接の準備を並走させることになります。
専門の勉強に区切りがついてから面接に取りかかる順番では、第1次試験を通過した後に、論文試験と口述試験の備えをまとめて背負うことになるからです。[2型]を選ぶなら筆記の負担が軽い分、早い段階から面接の準備に時間を回せますが、第2次試験の口述試験150点を通過しない限り、同じ日に書いた論文試験は採点されません。
その論文試験は1200字以内・90分で配点は30点ですから、ここで大きく差をつけるというより、種目ごとの基準を割らないために書き方の型を先に用意しておく種目だと考えてください。
合否の決め方についても公表があります。合格者は総合得点の高い順に決定されますが、いずれかの試験種目で人事委員会が認める得点に達しない場合は、順位にかかわらず不合格となることがあります。
最終合格の判定で同点者がいる場合、事務職[2型]は第2次試験の得点順、その他の試験区分は第1次試験の得点順で合格者が決まります。[2型]では口述試験150点を含む第2次試験の成績が、最後の最後まで効いてくるということです。
上記の試験構成と配点は、和歌山市人事委員会が公表した令和8年度(2026年度)第1回試験の受験案内にもとづく、行政職Ⅰ種の事務職[1型]・事務職[2型]のものです。情報職・化学職・建築職・土木職・電気職・機械職・消防職Ⅰ種は、これとは異なる種目・配点で実施されます。試験の構成・配点等は年度や試験区分によって異なる可能性がありますので、受験の際は必ずご自身が受ける区分の最新の受験案内をご確認ください。
和歌山市役所が求める人材像
和歌山市は、令和8年度の職員採用案内(パンフレット)で「求める人材像」を3つ示しています。キャッチコピーは「一緒に、創ろう。WAKAYAMA CITY」です。
「市民目線に立ち、誠実で信頼される職員」「変化を敏感に察知し、新たな魅力と活力を創出する職員」「チャレンジ精神を持ち、地域の課題を発見・解決する職員」の3つで、それぞれに説明文が添えられています。1つ目は市民に寄り添い、常に公正・公平な行動を貫くこと。
2つ目はDXやGX、公民共創といった新しい動きを受け入れ、持続性と実効性のある政策の提案と実行ができること。3つ目は自らの職務に誇りを持ち、知識やスキルを高め続けて、複雑多様化する地域の課題を発見し解決できることです。(出典:和歌山市職員採用案内(パンフレット)|令和8年度)
この3つは、第1部で見た市政の課題とそのまま対応しています。人口が減り続ける県都で公正・公平を保つこと、DXやGXという新しい手法で魅力を作り直すこと、複雑になった地域課題を自分で見つけて動かすこと。
自己PRでは「誠実です」「挑戦できます」と述べるだけでなく、その資質がどの場面で働き、関わった相手の何が動いたのかまで説明しましょう。
人口約35万人・面積208.84平方キロメートルの中核市がどんな職場になりやすいかを、当研究会なりに補足しておきます。この規模の市は、市の職員だけで完結する課題がほとんどありません。
紀の川で南北に分かれた市域の移動、日帰りに偏った観光、少数の大きな事業所に集中した雇用。どれも、市民・地域団体・企業・周辺自治体との関わりの中でしか動かない性質のものです。
こうした環境では、外の相手と話をまとめる力と、限られた予算と人手の中で実行できる形に落とし込む力とが、そろって問われる場面が多くなるだろうと当研究会は読んでいます。求める人材像の2つ目に「公民共創」という言葉が入っているのは、その現れだと読めます。
和歌山市の選考では、事務職[1型]なら120点、[2型]なら150点と120点の口述試験で人物が測られます。配点の大半が対話の場に置かれている以上、最後にものを言うのは想定問答の暗記量ではありません。
これまでに自分が誰とどう関わって何を動かしてきたのかを、掘り下げられても細部まで話せる形にしておくことです。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。和歌山市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今朝は何時ごろに家を出られましたか? | 身構えていないところで出る一言に、普段の話し方が表れます。口述試験は個人の形式ですから、開始直後の数十秒から見られています |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 民間でもできる説明で止まっていないか。県ではなく中核市である和歌山市を選んだ理由まで届いているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 自分を客観視できているか。適性検査は性格等に関する検査として口述の参考資料になるため、自己申告に無理がないか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も苦労した経験と、どう乗り越えたかを教えてください | 困難の大きさではなく、その場面で何を考えどう動いたか。[2型]は2回の口述で同じ経験を別の角度から掘られる前提です |
| ⑤ 学業・経歴 | 卒業論文(研究)のテーマについて、簡単に説明してください | 専門外の相手に伝わる言葉へ置き換える力。事務職[1型]は特定の分野に限らず幅広い一般行政事務に従事するため、学びを別の場面へ持ち出せるか |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 市の仕事への理解の解像度。中核市として県から移った事務も含め、希望どおりの配属でなくても働けるか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 社会の出来事を自分の関心と結び付けて短く話せるか。1200字の論文試験で問われる力とも地続きです |
ここまでの7つは、受験先を問わず多くの人が準備してくる領域です。押さえていなければ落ちますが、押さえただけでは横並びになります。
差がつくのは、次に挙げる和歌山市そのものについての質問です。
合否を分けるのは「和歌山市役所ならでは」の質問
とくに1問目は、県庁所在地である和歌山市では避けて通れない質問です。市役所と県庁は同じまちにありますが、まったく別の団体で、試験を実施する人事委員会も別です。
中核市として市が担っている事務の範囲まで踏まえて答えられるかで、志望の本気度が測られます。模範解答が用意されていない質問だからこそ、県都の実情をどこまで見ているかが差になります。
こうした質問に答えるための「和歌山市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい和歌山市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口の現在地 | 住民基本台帳による令和8年1月1日現在の人口は349,646人で、和歌山県の人口の約39%。昭和60年の401,352人がピークで減少が続く一方、令和元年には45年ぶりの社会増に転じた | 減少という向きと、社会動態の改善という手応えを両方置き、県都の規模感とあわせて現状認識を示します |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 和歌山市は平成9年4月1日に中核市へ移行。中核市は事務権限を強化し、できる限り市民の身近なところで行政ができるよう平成7年に創設された制度 | 制度の説明で終わらせず、権限が市に来ていることで自分のやりたい仕事がどう変わるのかを、具体的な分野で語ります |
| 市の総合計画 | 「第5次和歌山市長期総合計画」(基本構想の計画期間は平成29年度から令和8年度)。将来都市像は「きらり 輝く 元気和歌山市」で、4つの将来都市像に分野別目標が連なる | やりたい仕事を4つの将来都市像のどれかに位置づけて話すと、市の方向性を踏まえた志望だと伝わります |
| 防災・危機管理 | 県の平成26年公表被害想定では、南海トラフ巨大地震での和歌山市の死者数18,100人・建物全壊55,200棟・避難者227,900人は、いずれも県内で最も多い | 被害の規模に触れたうえで、紀の川の河口に市街地が広がる地形と避難の難しさに引きつけ、自分にできる備えまで話します |
| 和歌山市の魅力 | 令和4年の観光入込客数は約562万9千人で、うち日帰りが約475万6千人。和歌山市駅前南地区では容積率600%の高度利用地区を伴う再開発が動き出している | 名所を並べるのではなく、日帰りに偏った構成やまちなか再編といった動きに、自分ならどう関わりたいかまで踏み込みます |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、和歌山市が採用案内で示す「求める人材像」に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 市民目線に立ち、誠実で信頼される | 立場の違う人が同席する場面で、どちらにも公平に接した経験があるか。約束したことを最後まで守り切ったか | 誰かの間に立った場面をひとつ選び、双方に何を伝え、どこで折り合いをつけたのかを順に書き出しておく |
| 変化を察知し、新たな魅力と活力を創出する | やり方が古いと感じた場面で、何を根拠に変えようとしたか。周囲をどう巻き込んだか | DXやGX、公民共創という言葉を使うだけで終わらせず、自分が実際に道具や進め方を替えた経験を用意しておく |
| チャレンジ精神を持ち、地域の課題を発見・解決する | 誰にも指示されていない状態で、課題そのものを自分で見つけたことがあるか | 和歌山市の課題(人口・観光・交通・防災)のうち一つを選び、自分の経験と重なる部分を一続きの話にしておく |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。和歌山市の事務職[2型]は口述試験が2回あるため、同じ経験を別の面接官から別の角度で問われる場面も想定しておきましょう。
自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを、面接までに固めておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の受験案内を読み、自分が受ける試験区分と、事務職なら[1型]か[2型]かを決める。段階の数・種目・配点が型で違うので、専門試験を積み上げて2段階で終える道と、筆記を軽くして口述試験を2回受ける道の、どちらが自分の準備の進め方に合うかで選ぶ
- これまでの経験を棚卸しする。学業、課外活動、アルバイトのそれぞれから、その場の様子まで描いて話せる例を1つ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 求める人材像の3項目に、自分の経験を1つずつ結び付ける。どの経験がどの項目の証拠になるのかを、対応表の形で書き出しておく
- 自治体研究のインプットをする。この記事の前半を読み返して志望分野に近い和歌山市の事実を2〜3個選び、固有質問の対応表と合わせて「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。[2型]を受ける人は、同じ経験を2通りの入り方で話す練習も加える
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、ステップ4の人材像との突き合わせを先に終わらせてください。和歌山市の事務職は口述試験の配点が第2次試験の6割から7割超を占めますので、市の知識を足すより先に、自分の経験を語れる状態にする方が効きます。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、和歌山市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
和歌山市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
令和8年度(2026年度)第1回試験の事務職でいえば、[1型]は第2次試験の200点のうち120点が、[2型]は第2次試験の200点のうち150点が口述試験の点数です。しかも[2型]には、その先にもう一度120点の口述試験があります。
どちらの型を選んでも、合否の重心が対話の場に置かれていることは変わりません。県民のおよそ4割が暮らす県都で、人口が減り続ける中でも選ばれるまちをつくる。
その仕事に自分の何を持ち込めるのかを、掘り下げられても崩れない具体さで語れるところまで、準備を積み上げていってください。