本記事では、有田市職員採用試験の面接対策で必要な、有田市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
有田市役所の面接試験では、「なぜ有田市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「積んできた経験を市の仕事のどこで生かすのか」といった質問が想定されます。令和8年度第1回の受験案内は「人物重視の試験」と明記し、第2次試験以降を個別面接で組み立てています。市を調べたうえで自分の考えを述べられるかどうかが、そのまま結果に響く試験だといえます。
ここで整理した事実を材料に、自分の関心と有田市政の接点を組み立ててみてください。
第1部|自治体研究編
有田市の特徴
面接の答えを組み立てる前に、有田市がどういう市なのかを確かめておきましょう。(急ぐ方は、まずこの節だけでも読んでみてください)
- 和歌山県の沿岸部にあり、海南市・有田川町・湯浅町と境を接する。
- 人口は24,731人(令和8年1月1日現在)。和歌山県全体のおよそ2.8%にあたる。
- 面積36.83km²は、和歌山県内にある9つの市のなかで最も小さい。人口密度は1平方キロメートルあたり約671人と、市域に人の暮らしが凝縮している。
- 高齢化率は36.9%で、同じ基準の和歌山県全体(34.2%)を2.7ポイント上回る。75歳以上の割合は22.1%。
- ENEOS和歌山製油所が令和5年10月に機能を停止した。跡地の使い道は、市と国・県・企業が同じテーブルで検討を続けている。
- 市の花はミカン、木はシイ。和歌山県はみかんの収穫量が全国1位で、有田はその産地の名前でもある。
- 和歌山県が令和8年に公表した想定では、最大クラスの巨大地震で市内最大震度7、最大津波高10メートルが見込まれている。
- 市役所は箕島にあり、職員採用試験の第1次試験も市内の会場で行われる。
有田市の基礎データ
面接の場で効くのは、統計を暗記した量ではありません。市の大きさと人の構成を、自分の言葉で言い直せることのほうです。
次の表に、人口と年齢構成、市域の広さ、境を接する自治体をまとめました。有田市がどれくらいの規模の市なのかを、数字で押さえておきましょう。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 24,731人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在) |
| 65歳以上人口 | 9,125人(高齢化率36.9%) |
| 75歳以上人口 | 5,457人(総人口の22.1%) |
| 総面積 | 36.83km²(和歌山県総面積4,726.29km²の約0.78%) |
| 人口密度 | 約671人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 海南市・有田郡有田川町・有田郡湯浅町(いずれも和歌山県内) |
| 市の花・木 | ミカン(花)・シイ(木) |
| 市役所の所在地 | 有田市箕島50番地 |
総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の数値です。国勢調査をもとにした和歌山県の統計とは調査の基準が異なりますので、両者を並べて増減を計算しないようご注意ください。面積・隣接自治体・市の花木・市役所所在地は、当研究会が整理した基礎データによります。
県と並べて見る年齢構成
和歌山県全体を同じ住民基本台帳の基準(令和8年1月1日現在)で見ると、高齢化率34.2%、75歳以上の割合20.4%という値です。
有田市はそれぞれ36.9%・22.1%ですから、高齢化率で2.7ポイント、75歳以上の割合で1.7ポイント県を上回ります。
市民の5人に1人あまりが75歳以上という構成が、窓口の応対から移動手段の確保まで、市の仕事の前提になっています。
もう一つ押さえておきたいのが市域の狭さです。36.83平方キロメートルという面積は、県内9市のなかで最小。
そこに24,731人が暮らしていますから、人口密度は1平方キロメートルあたり約671人になります。移動に時間がかからないぶん、職員が現場へ足を運びやすい市だと読み替えることもできます。
有田市の経済・産業
製油所が止まった後の産業
令和4年1月、ENEOS株式会社が翌年10月の和歌山製油所の機能停止を発表しました。
これを受けて、有田市・ENEOS・経済産業省・和歌山県・海南市による「和歌山製油所エリアの今後の在り方に関する検討会」が設置され、持続可能な航空燃料(SAF)の製造に関する基本設計がENEOSと三菱商事によって進められています(令和7年2月時点)。
石油精製の拠点だった土地を、次のエネルギー産業の拠点へ置き換える作業が動いているということです。(出典:和歌山製油所エリアの今後の在り方に関する検討会|有田市公式)
この動きの大きさは、県全体の産業構成と並べるとよくわかります。
和歌山県の製造品出荷額等は2兆3,835億円(令和3年経済センサス‐活動調査、従業者4人以上の事業所)で、内訳は化学工業4,466億円(構成比18.7%)、鉄鋼業4,290億円(同18.0%)、石油製品・石炭製品製造業4,272億円(同17.9%)が上位を占めます。
この調査は機能停止より前の時点のものですが、石油が県の製造業の一角を担ってきたことは数字からも読み取れます。(出典:和歌山県の工業の概要|令和3年経済センサス‐活動調査)
柑橘の産地としての足元
和歌山県の農業産出額は1,135億円で全国28位、うち果実が790億円を占めます。みかん147,800トン、うめ64,400トン、かき39,700トンという収穫量は、どれも全国で1位にあたります。有田市の花にミカンが選ばれているのも、この土地と柑橘の結びつきによります。(出典:都道府県の農林水産業の概要|農林水産省)
隣接する有田川町では、みかん栽培の産業化や品種の発見、地勢・地質に応じた栽培などで構成される「有田みかんシステム」が日本農業遺産に認定されています。
柑橘は、この地域では単なる農産物ではなく、栽培の技術と景観をあわせた地域の資産として扱われています。
産業振興や観光の志望動機を語るなら、この位置づけまで踏まえておきましょう。(参考:有田みかんシステム|有田川町公式)
人とものの通り道
和歌山県では、近畿自動車道紀勢線(紀勢自動車道)の有田インターチェンジから印南インターチェンジまでの区間が2021年12月に完成しました。
県北部と南部を結ぶ高速道路の整備が進み、県南部では紀伊半島一周高速道路のミッシングリンクとされる「すさみ串本道路」が2027年夏の開通を予定しています。
有田市は、その通り道の北側の入口にあたる位置にあります。(参考:和歌山県企業立地ガイド(アクセス))
有田市の主な行政課題
ここまでの数字と産業の姿を踏まえると、有田市が向き合っている課題が見えてきます。「市の課題は何だと思いますか」という問いに備え、次の4つを引き出しに入れておきましょう。
製油所エリアの転換をどう着地させるか
機能停止した製油所エリアの使い道は、市だけで決められる話ではありません。検討会には国と県、そして事業者が入っており、有田市はその一員として関わっています。
人口2万4千人台の市が、国や大企業と同じテーブルで自らの土地の使い道を交渉するという構図です。
雇用、税収、周辺の関連産業、環境への影響と、論点は広い範囲に及びます。志望職種を問わず、この動きは把握しておきたいところです。
県を上回る高齢化と人口の見通し
高齢化率36.9%、75歳以上の割合22.1%(令和8年1月1日現在)は、いずれも和歌山県全体を上回ります。
和歌山県総合計画(令和8〜12年度)の原案が描いているのは、1990年に約107万人だった県人口が約30年で85%まで減り、今後30年は減少の速度がおよそ2倍になって2050年に58%の約63万人へ届くという姿です。
生産年齢人口は2050年に高齢者人口とほぼ同じ規模まで細ると見込まれています。市の産業も行政サービスも、この人手の細り方を前提に組み直す必要があります。(出典:和歌山県総合計画(令和8〜12年度)原案)
市域の1割超が浸水するという想定
和歌山県が令和8年に公表した地震動予測と津波浸水想定によると、最大クラスの巨大地震(南海トラフ巨大地震)で、有田市の市内最大震度は7、最大津波高は10メートル、津波高1メートルの最短到達時間は33分と想定されています。
浸水面積は460ヘクタールで、これは市域の12.5%にあたります。市域の1割を超える範囲が浸水しうるという条件は、避難場所の配置から市の施設の置き方まで、幅広い判断に関わってきます。
なお、人的・物的な被害の想定については、県は今後公表するとしています。(出典:地震動予測及び津波浸水想定|和歌山県(令和8年公表))
柑橘を誰が育て続けるか
県の果実産出額790億円という数字は、それだけの手が畑に入っていることの裏返しでもあります。県総合計画の原案が示す生産年齢人口の縮小は、人手のかかる果樹栽培に直接効いてきます。
産地としての名前が残っても、育てる人がいなければ景観も技術も続きません。農業や地域振興の分野を志望するなら、栽培する人をどう増やし、どう引き継ぐかという問いまで用意しておきましょう。
有田市の重点政策|製油所エリアの再設計と人づくり
有田市は市の各種計画を公式サイトで公開していますが、面接の準備に使える手がかりは計画書だけではありません。ここでは、市が実際に関わっている事業の形と、市が職員をどう育てようとしているかという二つの角度から、市政の力点を見ていきます。
国・県・企業と組んで土地の使い道を決める
製油所エリアの検討会は、有田市・ENEOS・経済産業省・和歌山県・海南市という構成です。市が単独で扱える規模を超えた課題を、関係者を集めた場をつくって進めるという形が、ここに表れています。
持続可能な航空燃料(SAF)の製造という具体的な方向まで基本設計が進んでいることも、押さえておきたい点です。
当研究会は、この構図を有田市職員の働き方と結びつけて次のように見ています(市の公表資料にここまでの説明はありません)。
有田市の職員には、庁内で完結しない仕事の進め方が求められる場面があるということです。相手の立場を把握し、市として譲れない線を持ちながら話を前に進める。
人口2万4千人台の市であっても、そうした調整が仕事の一部になります。
職員をどう育てるかを市が文書にしている
有田市は「有田市人材育成基本方針」に基づき、経験年数別・職級別の研修や、全国市町村国際文化研修所(JIAM)の専門テーマ研修への積極的な参加を進めています。あわせて、係長・課長への昇任試験制度を設けていることが受験案内に明記されています。(出典:有田市職員採用試験受験案内|令和8年度第1回)
昇任試験があるということは、入ってからの伸びしろを見る仕組みが用意されているということでもあります。面接で「入庁後にどうなりたいか」を聞かれたとき、その場しのぎの意気込みではなく、学び続ける具体的な方法まで話せると、市の制度設計とかみ合った答えになります。
あわせて確認したい公式資料
志望する職種と関心のある分野に近いものから、いくつか選んで読んでおきましょう。
- 有田市職員採用試験の受験案内(最新の実施回)
- 和歌山製油所エリアの今後の在り方に関する検討会に関する市の公表資料
- 有田市の総合計画をはじめとする市の主要な計画(市公式サイト掲載の最新版)
- 和歌山県総合計画(令和8〜12年度)と、県が令和8年に公表した地震動予測・津波浸水想定
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、有田市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。有田市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
有田市役所の面接の概要
ここからは、令和8年度第1回の受験案内で確認できる内容をもとに、有田市役所の試験の形と、面接への備え方を整理していきます。
有田市役所の面接の流れ
有田市の職員採用試験は3段階です。第1次試験は能力・性格検査、第2次試験は個別面接試験と小論文試験、第3次試験は個別面接試験。
受験案内は「✓ 人物重視の試験」という見出しを立て、第2次試験以降は個別面接による人物重視の採用試験を実施すると明記しています。
市が自ら試験の性格を言葉にしている点は、対策の優先順位を決めるうえで大きな手がかりです。
第1次試験で使われるのは、多くの民間企業が採用している総合検査SPI3です。能力検査では言語的理解、数量的処理、論理的思考などが問われ、性格検査が併せて行われます。
受験案内は第1次試験を有田市内の会場のみで実施すると案内しており、テストセンター方式ではありません。
公務員試験特有の科目を積み上げる形の試験ではないぶん、第2次以降の面接と小論文に力を割ける構成になっています。
| 項目 | 内容(令和8年度第1回) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験 → 第2次試験 → 第3次試験の3段階 |
| 第1次試験 | 能力・性格検査(択一式)。総合検査SPI3により、能力検査(言語的理解、数量的処理、論理的思考など)と性格検査を実施 |
| 第1次試験の会場 | 有田市内の会場のみで実施。受験案内は「第1次試験については有田市内会場のみでの実施となります。」と明記しています |
| 第2次試験 | 個別面接試験(人物、能力、性格等についての面接による試験)と、小論文試験(記述式) |
| 小論文試験 | 当日出題されるテーマによる識見、表現力、判断力についての記述試験(800字以内) |
| 第3次試験 | 個別面接試験(人物、能力、性格等についての面接による試験) |
| 集団形式 | 令和8年度第1回の受験案内に、集団面接・集団討論の記載はありません |
| 配点 | 試験種目ごとの配点・満点は受験案内に記載がありません。最新の受験案内でご確認ください |
| 試験区分・採用予定人員 | 一般事務職5名程度、技術職2名程度(建築又は土木の専門課程を修了した人、または令和9年3月末日までに修了見込みの人) |
| 受験資格(年齢) | 一般事務職・技術職とも、平成4年4月2日から平成21年4月1日までに生まれた人 |
| 年度内の実施回 | 令和8年度は第1回と第2回があります。第1回は高校在学中の人は受験できず、受験案内は第2回への申込みを案内しています |
| 申込方法 | 申込専用サイト「パブリックコネクト」での会員登録後、プロフィール(基本情報、職歴・学歴等)を編集してエントリーする電子申請。顔写真データ(正面無帽、3か月以内に撮影、縦横4:3)の添付が必要 |
| 試験結果の開示 | 第1次から第3次までの不合格者に、総合得点および総合順位を開示。受験票を持参のうえ、合格発表の日から3週間以内に、経営管理部総務課で本人が申し出る方式です |
| 繰上げ合格制度 | 正式合格者の採用辞退等に備えて繰上げ合格候補者をあらかじめ決定する制度がありますが、受験案内は合格基準点を設けており、基準点を超えていない場合は適用しないと明記しています |
上記は、有田市の令和8年度第1回の受験案内に基づく内容です。試験の構成や区分、配点は、年度によっても実施回によっても変わります。受験の際は、必ずご自身が受ける区分の最新の受験案内をご確認ください。
この構成には、対策上おさえておきたい点が二つあります。一つは、面接カードや自己PRシートにあたる様式が公表されていないことです。
エントリー時に登録するのはプロフィールと顔写真ですから、志望動機や経験は、面接の場で口に出したものが材料になります。
もう一つは、繰上げ合格に合格基準点が設けられていることです。順位が上位でも、基準に届かなければ声はかからないという設計になっています。
有田市役所が求める職員像
有田市の受験案内は、表紙に「~ 有田市が求める職員像 ~」として一文を掲げています。
「基本を大切にしながら、未来を切り拓く発想力、その実現に向けての行動力が伴い、地域・人のために仕事をすることに喜びを感じる職員」。
基本の重視と、新しいものを生み出す力、そしてそれを実行に移す力が、一つの文のなかに並んでいます。(出典:有田市職員採用試験受験案内|令和8年度第1回)
では、一般事務職5名程度・技術職2名程度という規模のなかで、この一文はどんな働き方を指すのか。受験案内はそこまで説明していません。
ここは、市の仕事の実際に照らして当研究会が補います。
有田市の仕事には、市役所の中だけで完結しないものがあります。製油所エリアの検討会はその一例で、国の担当者や企業の担当者と同じ資料を見ながら話を進めることになります。
相手のほうが情報も専門知識も多い場面で、市として何を確かめ、何を持ち帰るのか。採用が合わせて7名程度という規模では、そうした場に早いうちから同席する可能性も十分にあります。
求める職員像の一文が「基本を大切にしながら」から始まっているのは、この事情と無関係ではないでしょう。手続きと根拠を外さない人が、外の相手と向き合うときにいちばん崩れにくいからです。
市域の狭さも効いてきます。36.83平方キロメートルという広さでは、市役所の守備範囲と市民の生活圏がほとんど重なります。
窓口での言葉づかい一つ、書類の扱い一つが、市役所そのものの印象として受け取られやすい距離感です。
市の外で育った人は、有田市に絞った理由と、生活者としてこの土地とどう関わりたいかを、自分の言葉で用意しておきましょう。
最後に、第2次試験の組み合わせに注目してください。同じ段階で800字の小論文を書き、個別面接を受けます。
書いた文章と話した内容は、当然つながって見られます。ですから準備は、志望動機を市に寄せて言い換える作業ではありません。
自分がこれまで何を大事にして動いてきたのか、その一本の筋を先に決めておくことです。それが書いても話してもぶれなければ、この試験では伝わります。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。有田市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、大きな抜けは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 緊張していますか? | 第2次では小論文と同じ段階で受ける個別面接。書き終えた疲れを引きずらずに話し出せるか |
| ② 動機・志望 | なぜ公務員を志望するのですか? | 民間でも通る話で止まっていないか。人口2万4千人台のこの市を選んだ理由まで届いているか |
| ③ 自己理解 | あなたの短所(弱み)は何ですか? | 第1次で性格検査を受ける試験。検査で示した傾向と、口で語る自己像がそろっているか |
| ④ 経験・行動 | これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください | できごとの大きさではなく、その局面で何を選び、どう動かしたか。2回の個別面接をまたいで確かめられる領域 |
| ⑤ 学業・経歴 | 学生時代に力を入れたことを教えてください | 第2次に800字の小論文がある試験。考えを筋の通った形で示せるか |
| ⑥ 適性・将来 | 入庁後、どんな仕事に取り組みたいですか? | 一般事務職は分野を限定しない採用。市が昇任試験制度を設けていることも踏まえた将来像があるか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近関心を持ったニュースは何ですか? | 第1次のSPI3では言語的理解や論理的思考が問われる。日ごろ情報をどう受け止めているか |
ただ、この7つの枠組みは有田市に固有のものではありません。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「有田市ならではの事情を踏まえた質問」です。
合否を分けるのは「有田市役所ならでは」の質問
どちらも、市の事情を知らなければ、その場では一般論しか出てきません。裏を返せば、準備してきた量が、そのまま声の落ち着きに出る質問でもあります。
こうした質問に答えるための「有田市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい有田市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口と年齢構成 | 住民基本台帳ベースで人口24,731人、高齢化率36.9%、75歳以上22.1%(令和8年1月1日現在)。県全体を同じ指標でみると34.2%と20.4%で、有田市はどちらもこれを上回る | 県より高齢化が進んでいる事実を先に置き、5人に1人あまりが75歳以上という構成のもとで市の窓口が何を担うかへつなげます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 面積36.83km²は県内9市で最小。一般事務職の採用予定は5名程度で、分野を限定しない採用となっている | 制度論を広げるより、現場まで足を運べる距離で仕事をしたい理由を、自分の経験に引きつけて述べます |
| 製油所エリアの転換 | 令和4年1月にENEOSが翌年10月の和歌山製油所機能停止を発表。有田市・ENEOS・経済産業省・和歌山県・海南市による検討会が設置され、持続可能な航空燃料(SAF)の基本設計が進む | 跡地の話で終わらせず、雇用や関連産業を通じて市民の暮らしに何が起きるかという視点で述べます |
| 防災 | 県が令和8年に公表した想定では、最大クラスの巨大地震で市内最大震度7、最大津波高10メートル、津波高1メートルの最短到達時間33分、浸水面積460ヘクタール(市域の12.5%) | 数字を並べて終わらせず、33分という時間を市と市民がどう使うかという避難の設計に話を落とします |
| 職員の育て方 | 市は有田市人材育成基本方針に基づき経験年数別・職級別の研修や全国市町村国際文化研修所の専門テーマ研修への参加を進め、係長・課長への昇任試験制度を設けている | 「成長したい」で止めず、どの分野の知識をどう積み上げたいかを具体的な名前で語ります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
有田市が受験案内の表紙に掲げる求める職員像の一文は、そのまま面接で確かめられる中身にあたります。言葉の美しさではなく、その一文に書かれた動き方を、実際にしてきたかどうかが見られていると考えてください。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 基本を大切にする | 決められた手順や交わした約束を、どう守ってきたか | 市が昇任試験制度を設けている役所。地道に積み上げてきたことを、時期と自分の役割まで言えるようにしておく |
| 未来を切り拓く発想力 | 前例のない場面で何を思いつき、どこまで試したか | 製油所エリアの転換のように、答えの決まっていない課題を抱える市。自分が出した案と、その後どうなったかを1つ用意する |
| 行動力と、地域・人のために働く喜び | 思いついたことを実行に移した経験。誰のために動いたのか | 第2次の小論文でも識見と判断力が見られる。動機を気持ちの表明で終えず、何をしたかまで書けるようにしておく |
なお、公務員の個別面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と掘り下げられることが多いです。有田市は個別面接が2回ありますから、同じ話題に別の面接官から入られることも想定しておきましょう。細部まで自分の言葉で語れる実体験に根ざした答えを用意しておいてください。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新の受験案内を読み、3段階の構成と、自分が受ける区分の受験資格・採用予定人員・実施回を確認する
- これまでの経験を棚卸しする。学業・課外活動・アルバイトから、話せる具体例を1つずつ用意する
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自治体研究のインプットをする。記事の前半をもう一度たどり、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で言えるようにしておく
- 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
- 800字の小論文を時間を計って書き、書いた内容を声に出して説明する。書いた筋と話す筋がずれていないかを、毎回確かめる
優先順位に注意
差がつくのはステップ4とステップ5の自治体研究ですが、優先順位はその手前にあります。時間に余裕がなければ、ステップ2の棚卸しと、その経験を市の仕事にどうつなぐかの整理から先に終わらせてください。市の知識をいくら積み上げても、自分のことを語れないままでは評価につながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、有田市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
有田市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
有田市の令和8年度第1回の試験は、受験案内が「人物重視の試験」と自ら書き、第2次試験以降を個別面接で組み立てる構成でした。配点は公表されていませんが、面接に2つの段階を割いていること自体が、市が何を確かめようとしているかを示しています。
県内9市でいちばん小さな市域に2万4千人あまりが暮らし、止まった製油所の跡地の使い道を国や企業と一緒に決めている市です。そこで自分は何をしたいのか、それを800字で書き、口でも説明することになります。
受験案内は実施回ごとに更新されますので、受験の際はご自身の区分の条件を確かめたうえで準備を進めてください。