本記事では、志摩市消防本部・消防職員(消防吏員)の採用試験の面接対策に必要な、本部の特徴・基礎データ・管轄地域の災害リスク・消防課題・重点方針と、面接本番の流れ・想定される質問・評価の観点を、1ページに整理しています。

志摩市消防本部の面接試験では、「なぜ警察官・自衛官ではなく消防官なのか」「なぜ志摩市消防本部なのか」「自分の強みや経験を消防の仕事でどう活かしたいか」といった、組織と管轄地域への理解を前提とする質問が想定されます。志摩市消防本部は志摩市と南伊勢町の一部を管轄する本部で、管内特有の地理・災害リスクを押さえておくと、他の消防本部にも当てはまる一般論で終わらない説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と志摩市消防本部の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|組織研究編

志摩市消防本部の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは志摩市消防本部の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 志摩市消防本部は、志摩市と南伊勢町の一部(旧南勢町地区)を管轄する単独の消防本部である。南伊勢町の残る旧南島町地区は紀勢地区広域消防組合が管轄しており、志摩市消防本部の管轄とは重ならない。
  • 本部の所在地は志摩市阿児町鵜方で、リアス海岸の英虞湾を抱く志摩半島南部に置かれている。
  • 消防吏員数は148人(うち女性5人・令和7年4月1日現在)である。
  • 出動件数は令和6年中で火災23件・救急4,882件・救助43件であり、救急が出動全体の大半を占める。
  • 採用試験は志摩市職員採用試験の消防職員(消防吏員)区分として実施されるが、事務職とは別建ての募集要項・別日程で行われる。
  • 1次試験の問い合わせ先は志摩市役所総務課、2次試験の問い合わせ先は志摩市消防本部消防総務課であり、段階に応じて窓口が分かれている。
  • 志摩市の総人口は43,026人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)で、高齢化率は42.7%に達している。
  • 管内には志摩市消防本部のほか志摩消防署・各分署が置かれ、採用後は交替制で火災・救急・救助等の活動や火災予防査察に従事する。
  • 採用後は4月から12月頃までの期間、三重県消防学校で消防吏員に必要な基礎的教育を受け、卒業後に管内またはその近郊に居住して勤務に就く。

志摩市消防本部の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「志摩市消防本部の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

下の表には、志摩市と南伊勢町の一部を管内に持つ本部の規模感がわかるよう、人口・高齢化率・吏員数・出動件数をまとめました。

項目内容
管内人口(志摩市)43,026人
高齢化率(志摩市)42.7%
75歳以上人口の割合(志摩市)26.3%
消防吏員数148人(うち女性5人)※令和7年4月1日現在
出動件数(火災)23件(令和6年中)
出動件数(救急)4,882件(令和6年中)
出動件数(救助)43件(令和6年中)
採用予定人員消防吏員 5人程度(令和8年度実施)
初任給(消防吏員)高校卒213,100円/短大卒225,600円/大学卒237,600円/大学院卒245,800円(令和8年4月1日現在)

管内人口・高齢化率・75歳以上人口の割合は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在の志摩市分によります。管轄区域には南伊勢町の一部(旧南勢町地区)も含まれますが、この集計上は南伊勢町分を志摩市の数値に合算していません。消防吏員数・出動件数は総務省消防庁の公表データによります(出典:消防本部データ検索|消防庁)。

数字から考えられる志摩市消防本部の課題

志摩市消防本部の仕事の重さを決めているのが、高齢化率42.7%という数字です。三重県内でも高い水準にあるこの数字は、救急需要の高さや、災害時に一人で避難することが難しい住民の多さに直結します。

もう一つ注目したいのは、消防吏員148人という体制の規模です。管轄が志摩市だけでなく南伊勢町の一部にも広がる中、この人数で火災・救急・救助・予防のすべてに対応していると考えると、一人の職員が担う役割の幅は決して狭くありません。

「志摩市の高齢化率は4割を超えていると聞きました。人口が減っている一方で救急の件数は多いということですので、限られた人数で救急対応と地域の防災啓発の両方を支える体制づくりが大事なのではと感じています」

管轄地域の特性と災害リスク

管轄地域の全体像

  • 志摩市は英虞湾を中心とするリアス海岸が特徴で、大小およそ60の島々と岬・入り江が入り組む地形を持つ。
  • 英虞湾に浮かぶ賢島は周囲約7.3kmの島で、2橋と近鉄志摩線で本土と結ばれ、伊勢志摩国立公園(昭和21年指定)以降、観光の拠点として発展してきた。
  • 平成28(2016)年5月には賢島で伊勢志摩サミットが開催され、翌年には近鉄賢島駅に記念館が開館するなど、国際会議の受け入れ実績を持つ地域である。
  • 志摩市消防本部の管轄には南伊勢町の一部(旧南勢町地区)も含まれ、リアス海岸特有の入り組んだ沿岸線が管轄全体に広がっている。
  • 入り組んだ湾と半島が連続する地形は、道路が湾ごとに迂回する構造になりやすく、救急車両の到着時間や消防水利の確保にも影響する。

つまり志摩市消防本部は、観光地としての賑わいと、南海トラフ地震による津波という最大級の災害リスクの両方に向き合う本部だと整理できます。

南海トラフ地震・津波のリスク

三重県が公表した南海トラフ地震被害想定(令和8年3月30日公表、今回想定=R7)によると、理論上最大クラス(L2、地震動Mw9.0)の地震が起きた場合、志摩市沿岸の最大津波高は26mと想定されています。

同じL2の想定では、志摩市沿岸に30cmの津波が到達するまでの時間はわずか3分、1mの津波の到達時間も4分とされ、過去最大クラス(L1、地震動Mw8.8)でも1mの到達時間は5分と想定されています。(出典:三重県南海トラフ地震被害想定|令和8年3月30日公表)

県全体で見ると、L2では死者数が約50,000人(うち津波による死者が約41,000人)、L1でも約29,000人(うち津波による死者が約28,000人)と推計されており、いずれも津波による被害が死者の大半を占めます。

南海トラフ地震はおおむね100〜150年間隔で繰り返し発生しており、1944年には熊野灘を震源とする昭和東南海地震で県内にも甚大な被害が及びました。(出典:三重県南海トラフ地震被害想定|令和8年3月30日公表)

同資料は、津波浸水が想定される地域では住民の避難が優先されて初期消火が行えず延焼が拡大する可能性や、消防機関による消火活動そのものが困難になる可能性を指摘しています。志摩市消防本部にとって、避難誘導と消火活動をどう両立させるかは、管轄の地形そのものに根ざした課題だと言えます。

同資料はまた、南海トラフを震源として時間差をもって連続発生した過去の事例(1944年の昭和東南海地震と約2年後の1946年昭和南海地震、1854年の安政東海地震と約32時間後の安政南海地震)を踏まえ、先発地震の後に残る想定震源域で後発地震が発生する「半割れケース」を新たに想定に加えています。

一度の地震で備えが終わりではないという視点は、志摩市消防本部の災害対応を考えるうえでも欠かせません。(出典:三重県南海トラフ地震被害想定|令和8年3月30日公表)

志摩市の主な消防課題

ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、志摩市消防本部が向き合う課題の輪郭が見えてきます。消防の課題を問う質問に備えて、次の4つを自分の言葉で説明できるようにしておきましょう。

救急需要の増加

全国の救急出動は令和6年中に771万8,380件まで積み上がり、前年より1.0%増えました。搬送された人のうち65歳以上が占める割合は63.3%です。

志摩市は高齢化率42.7%という高い水準にあり、この全国的な傾向以上のペースで救急需要が推移する可能性を踏まえた体制づくりが課題になります。(出典:令和7年版 救急・救助の現況)

大規模災害(南海トラフ地震・津波)への備え

前章で触れたとおり、志摩市沿岸には理論上最大クラスの想定で26mの津波が到達するとされ、30cmの津波の到達時間はわずか3分です。これほど短い猶予時間の中で住民の避難をどう支えるかは、志摩市消防本部の活動の土台に位置づく課題です。

大規模災害が発生した際は、全国の消防本部の約99%にあたる718本部(6,661隊・令和6年4月1日現在)で構成される緊急消防援助隊による広域応援の枠組みもあり、志摩市消防本部も、応援を受ける立場にも、送り出す立場にもなり得ます。(出典:緊急消防援助隊|消防庁)

加えて、志摩市消防本部単独の吏員数は148人にとどまるため、大規模災害の発生直後には自前の体制だけで対応しきれない場面も想定されます。平時から近隣本部や自治体との連携を意識し、限られた人員でどこまでを担い、どこから外部の応援に頼るのかを整理しておく視点が欠かせません。

予防・地域防災力

志摩市は伊勢志摩国立公園や賢島を抱える観光地であり、住民に加えて多くの観光客の安全確保も視野に入れた予防・啓発活動が求められます。リアス海岸に沿って集落や宿泊施設が点在する地形は、火災予防の査察や避難路の周知にも独自の難しさをもたらします。

観光シーズンには管内の人口が普段より膨らむと考えられ、住民向けの防災啓発と、土地勘のない来訪者への案内とでは、伝え方そのものを変える工夫も必要になりそうです。

人材確保・女性吏員

志摩市消防本部の消防吏員148人のうち女性は5人で、割合は約3.4%です。全国平均(約3.8%、6,386人/168,230人・令和7年4月1日現在)をやや下回る水準にあり、国が掲げる「令和8年度当初までに5%」という目標に向けては、全国的にもなお取り組みが続いている段階です。

少人数の組織だからこそ、性別を問わず一人ひとりが幅広い業務を担える体制づくりが、人材確保の鍵になります。(出典:女性消防吏員の活躍推進|消防庁)

採用予定人員が消防吏員5人程度という規模を踏まえると、1人の新規採用が組織全体に占める比重は小さくありません。年齢構成や経験のバランスを保ちながら、管内2地域(志摩市・南伊勢町の一部)をカバーし続けられる体制を維持することも、採用試験の背景にある課題だと考えられます。

重点方針|志摩市の地域課題と消防

志摩市消防本部が独自に掲げる運営方針や重点目標を示した公式資料は、本記事の執筆時点では見つかりませんでした。そこで本章では、志摩市が抱える人口動態と災害リスクという二つの軸から、消防本部の活動の方向性を整理します。

人口減少・高齢化と消防

志摩市の総人口は43,026人(住基・令和8年1月1日現在)で、高齢化率は42.7%と県内でも高い水準にあります。75歳以上人口の割合も26.3%に上り、救急需要の増加や、独居高齢者を含めた地域の見守りは、今後も市政全体の重要なテーマであり続けると見込まれます。

観光地としての顔と防災

一方で志摩市は伊勢志摩国立公園や賢島を抱え、平成28年には伊勢志摩サミットの開催地にもなった観光地です。多くの来訪者を受け入れる地域だからこそ、津波避難の周知や予防・啓発の対象は住民だけにとどまりません。

国際会議級の要人を迎えた実績がある一方で、津波の到達時間が数分単位という現実も抱えているのが志摩市という土地です。

観光地としての顔と、数分で津波が届くという条件。この二つを結び付けて話せるかどうかが、志望動機の厚みを分けます。

POINT|公表資料が少なくても志望動機は組める

重点方針が公表されていないからといって、志望動機の材料がなくなるわけではありません。管内の人口動態や災害リスクといった確認できる事実を出発点に、自分がどの業務でどう関わりたいかを言葉にしていきましょう。

悪い例「困っている人を助けたいので、志摩市消防本部を志望します」

改善例「志摩市は高齢化率が4割を超えていて、救急の件数も多いと聞きました。まずは基礎的な技術をしっかり身につけたいですが、その上で、住民の方に近い距離で予防や啓発にも関わっていきたいです」

あわせて確認したい公式資料

志摩市消防本部の受験にあたっては、事務職とは別建てで公表される募集要項が中心の資料になります。1次と2次で問われるものが大きく違う試験なので、下の4点は早い段階で一度開いておくと安心です。

  • 令和8年度実施 志摩市職員採用試験 募集要項(消防職員)
  • 志摩市消防職員任用規則(居住要件の根拠)
  • 志摩市の人口・高齢化率に関する統計資料
  • 三重県の南海トラフ地震被害想定(防災ポータル)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、志摩市消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。志摩市消防本部の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

志摩市消防本部の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

志摩市消防本部の面接の概要

ここからは、志摩市消防本部の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

志摩市消防本部の面接の流れ

志摩市消防本部・消防職員(消防吏員)の採用試験は、志摩市職員採用試験の一区分でありながら、事務職とは別建ての募集要項・別日程で実施される2段階制です。1次試験は総合検査(SPI3)のみで、筆記式の教養試験は課されません。

項目内容(令和8年度実施)
試験の段階2段階制。第1次=総合検査(SPI3)、第2次=作文、個別面接、体力検査
面接の種類個別面接(第2次試験で実施)
面接以外の検査作文試験、体力検査(いずれも第2次試験)
受験資格平成9年4月2日から平成21年4月1日までに生まれた人
居住要件採用後、原則として管轄区域内に居住(消防長の承認を得た場合を除く)
受験資格(国籍・心身)日本国籍を有し、心身ともに健全で消防業務に支障がないこと(地方公務員法第16条の欠格条項に該当しないこと)

1次試験は性格検査を自宅等で、基礎能力検査をテストセンターまたはオンラインのいずれかで受検する方式です。結果は得点・順位まで封書で全員に通知されるため、1次の時点から自分の立ち位置を把握しやすい仕組みだと言えます。

2次試験は志摩市消防本部を会場とする予定で、最終合格は1次から2次までの結果を総合して決定され、2次試験終了から2週間以内に受験者へ通知されます。居住要件は志摩市消防職員任用規則(令和3年志摩市規則第23号)第4条に定められ、原則として管轄区域内に居住しつつも、居住しようとする住所が最寄りの所属におおむね60分以内に登庁できる範囲であれば、消防長の承認を得て区域外に住むことも認められます。

上記の試験構成は、志摩市が公表する令和8年度実施の職員採用試験募集要項(消防職員)にもとづくものです。試験の構成や日程等は、年度によって異なる可能性があります。受験の際は、必ず最新の募集要項をご確認ください。令和8年度実施 志摩市職員採用試験募集要項

申込みはインターネット経由で行い、申込前6か月以内に撮影した、背景無地・上半身脱帽・正面向きの顔写真データの登録が必要です。マイページでは職歴・学歴を含む基本情報を入力する仕組みで、募集要項は自己PR欄について「任意になっていますが、必ず入力してください」と案内しています。

書類の段階から自分の言葉で語る準備が始まっていると考えておくとよいでしょう。

志摩市消防本部が求める人材

採用向けの「求める人物像」を志摩市消防本部が明文で示した資料は、本記事の執筆時点では確認できていません。手がかりになるのは、志摩市消防本部の規模です。

吏員148人という中規模の単独本部は、署所の数が限られる分、消火・救急・予防・総務といった複数の業務を経験年数とともに幅広く担う構造になりやすいと考えられます。特定の分野に強い専門性だけでなく、どの持ち場に配属されても学び直して対応できる柔軟性や、少人数の当直チームで長時間を共にする協調性が、選考でも意識されやすい要素と言えそうです。

管轄が志摩市と南伊勢町の一部にまたがることも踏まえると、管内のどの地域からの通報にも同じ水準で対応する姿勢が問われる場面もあるでしょう。任用規則に定める居住要件も、管内に根を張って長く働く姿勢を前提にしていると読み取れます。

採用後は4月から12月頃までの期間、三重県消防学校での基礎教育を経てから現場に立つという流れも、じっくり技術を積み上げていく姿勢が支えになる仕組みだと言えます。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。志摩市消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク試験会場までは、どうやって来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ志摩市消防本部を志望するのですか?消防官という仕事と志摩市という土地を、自分の言葉で選べているか
③ 自己理解あなたの長所と短所を教えてください自分を客観視できているか。短所への向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか
⑤ 学業・経歴高校・大学で力を入れたことは何ですかこれまでの取り組みを筋道立てて話せるか
⑥ 適性・将来体力に自信はありますか?交替制勤務と現場活動を続けるための体力・生活習慣・覚悟
⑦ 公共性・社会性消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか?仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識

この7つの枠組みは、規模の大きい消防本部でも小規模な本部でも土台としては大きく変わりません。ここから先、志摩市を受ける理由まで踏み込めるかどうかは、次の固有質問にかかっています。

合否を分けるのは志摩市消防本部に固有の質問

「なぜ警察官や自衛官ではなく、消防官なのですか?」
「志摩市消防本部を志望した理由と、管轄地域についてどのようなことを知っていますか?」

1問目は似た職業と並べたうえでの職業理解を、2問目は管轄への関心の深さを測る質問です。どちらも一夜漬けが効かない問いなので、下調べの量がそのまま答えの厚みに出ます。面接で使いやすい志摩市の事実を絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい志摩市の事実答え方のヒント
管轄区域の特殊性志摩市消防本部は志摩市と南伊勢町の一部(旧南勢町地区)を管轄する(詳細は第1部1章)「志摩市だけ」ではなく管轄全体を意識していることを伝える
津波リスク南海トラフ地震のL2想定で志摩市沿岸の最大津波高は26m、30cmの津波の到達時間はわずか3分(詳細は第1部3章)被害の数字だけで終えず、避難誘導など消防の役割にまで言及する
救急需要の高さ志摩市の高齢化率は42.7%で、県内でも高い水準にある(詳細は第1部2章)高齢化の進行と救急件数のつながりを、自分の言葉で言い直せるようにする
観光地としての性格伊勢志摩国立公園・賢島を抱え、平成28年には伊勢志摩サミットの開催地になった(詳細は第1部3章)住民に加えて来訪者の安全確保という視点を持てているかを示す
人材確保消防吏員148人のうち女性は5人(詳細は第1部4章)人数の少ない組織で自分がどんな役割を担いたいかを具体的に語る

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 消防吏員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接では、前の項で整理した人材像に照らしながら「これまで実際にどう動いてきたか」が確かめられます。土台にあるのはコンピテンシー評価の考え方で、答えの美しさではなく経験の中身と行動の再現性が見られています。志摩市消防本部は評価の観点も配点も公表していないため、下の表は、公務員の面接で広く用いられるコンピテンシー評価の考え方を土台に、当研究会が本部の規模と管轄に引き寄せて組み立てた一般論です。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
行動の一貫性思うようにいかない状況でも取り組みを続けた経験があるか結果の良し悪しより、途中で何を工夫し、なぜそう判断したかを話せるようにする
対人対応力相手の状況に合わせて自分の対応を変えた経験があるか志摩市消防本部は管内が広く、住民だけでなく多くの来訪者とも接する。世代も立場も違う相手とやり取りした場面を一つ用意しておく
学び続ける姿勢未経験の課題に直面したとき、自分から学んで対応したか少人数の組織では一人が担う業務の幅が広い。学び直しの経験を具体的に語れるようにする
地域への理解管轄地域の特徴や課題をどこまで自分の言葉で説明できるか志摩市と南伊勢町の一部という管轄の広がりを踏まえ、地域全体への関心を示す

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 令和8年度の募集要項を読み、2段階の試験構成と居住要件を確認する
  2. 高校・大学生活やアルバイトなどの経験を棚卸しする。人と協力して動いた具体例を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。作文試験と体力検査に向けた準備も並行して進める

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。自分のことを語れない状態で志摩市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

志摩市消防本部の1次試験はSPI3の総合検査のみで、教養試験の対策に時間を割く必要はありません。その分、2次試験の作文と面接に向けた準備の比重を早い段階から高めておくと安心です。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、志摩市消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

志摩市消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。必要に応じてご活用ください。

志摩市消防本部の想定問答集を見る

さいごに

志摩市消防本部の採用試験は、教養試験を課さない1次のSPI3と、作文・個別面接・体力検査を課す2次という、2段階のシンプルな構成です。管轄は志摩市だけでなく南伊勢町の一部にも及び、南海トラフ地震では沿岸に26mの津波が想定されるなど、備えるべき災害リスクは決して小さくありません。

148人という規模の中で、消火・救急・予防のどの場面でも力を発揮できる人材が求められています。高齢化率が4割を超える地域を、限られた人数でどう支えるか。観光地としての賑わいと、津波への備えをどう両立させるか。

ここまでに並べた事実を材料に、自分なりの答えを一度言葉にしてから本番に臨んでください。