本記事では、三重県警察・警察官採用試験の面接対策で必要な、三重県警察の特徴基礎データ県内の治安情勢重点方針面接の流れ想定される質問評価の観点についてまとめています。

三重県警察の面接試験では、「なぜ三重県警察を志望したのか」「警察官として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を警察の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。三重県の治安の現状と県警察の方針を知っておくことで、抽象的な回答を避け、三重県ならではの事情を踏まえた説明がしやすくなります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と三重県警察の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|組織研究編

三重県警察の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは三重県警察という組織の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 三重県全域を管轄し、管轄人口は約170万人。県土は南北に長く、南北約170km・東西約80km。北の端から南の端までを、ひとつの警察組織で受け持っている。
  • 総面積は5,774.49km²で全国25位。うち森林が約64%を占め、海岸線の長さは1,105kmと全国8位にのぼる。深い山地と長い海岸線を同時に抱える地形が、地域警察にも災害対策にも影響する
  • 本部は津市に置かれ、警務部・生活安全部・地域部・刑事部・交通部・警備部の各部と警察学校で構成される。
  • 製造業の集積が厚く、令和2年の製造品出荷額等は約10兆円で全国9位。うち電子部品・デバイス・電子回路は全国1位を占める。工場地帯と住宅地が近接する地域では、通勤時間帯の交通対策も日常業務になる。(出典:みえDATABOX 製造業の結果|令和2年
  • 伊勢神宮やナガシマリゾートを抱え、令和6年の観光レクリエーション入込客数は3,508万人。県人口のおよそ20倍にあたる人が県内の観光地を訪れる計算になり、行事や連休の雑踏・交通対策が季節ごとに発生する。(出典:三重県観光レクリエーション入込客数推計書|令和6年
  • 新名神高速道路と東名阪自動車道がダブルネットワークを形成し、名阪国道には約70kmの無料区間がある。四日市港は国際拠点港湾に指定されており、人と物が広域に行き交う結節点になっている。
  • 南海トラフ地震では県内の死者が最大約5万人と想定されており(令和8年3月公表・理論上最大クラス)、うち約4万1千人は津波によるものと見込まれている。災害への備えが組織全体の前提になっている県である。

三重県警察の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「三重県警察の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、管轄人口と県土の広さ、犯罪情勢、交通情勢など、組織の特徴を説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
管轄人口約170万人(1,696,683人・令和7年8月1日現在の推計人口)
管轄区域三重県全域
県土面積5,774.49km²(全国25位・東西約80km・南北約170km)
刑法犯認知件数10,692件(令和7年・前年比2.2%減)
刑法犯検挙率40.4%(令和7年)
侵入盗の認知件数1,288件(令和7年)
交通事故死者数46人(令和6年・前年から20人減)

管轄人口は三重県の推計人口(令和7年8月1日現在)、県土面積と全国順位は三重県の統計資料(令和2年10月1日現在)、刑法犯認知件数(警察が発生を把握した犯罪の件数)・検挙率・侵入盗の認知件数は令和7年の犯罪統計の確定値、交通事故死者数は三重県警察の交通統計(令和6年)にもとづく数値です。警察署や交番の数、職員数は公表値が年ごとに更新されるため、最新の県警察の組織案内でご確認ください。

数字から考えられる治安課題

三重県の治安情勢を読み解く鍵は、総数の減少と罪種の偏りが同時に起きている点にあります。令和7年に警察が把握した刑法犯は10,692件で、前年から2.2%減りました。

ところが内訳を見ると、住宅や事業所に入り込む侵入盗が1,288件あり、刑法犯全体の約12%を侵入盗が占めている状態です。「総数は減っています」という一言だけでは、県民が日々感じている不安は説明しきれません

たとえば面接では、三重県の治安の現状について説明する際、次のように数字と課題を結び付けられます。

「三重県で警察が把握した刑法犯は、令和7年に1万件を少し超えるくらいで、前の年より2パーセントほど減ったと聞きました。ただ、そのうち1千3百件ほどが侵入盗で、全体の1割を超えていると知って驚きました。数が減っているから安心という話ではなく、家やお店に入られる犯罪をどう減らすかが、暮らしの安心に直結するのではと感じています」

三重県の治安情勢

刑法犯の認知件数と検挙率

三重県内の刑法犯認知件数は、令和7年(2025年)に10,692件で、前年から2.2%減少しました。件数が下向きに動いていること自体は、明るい材料です。

一方、同じ令和7年の検挙率は40.4%にとどまります。警察が把握した10件のうち、犯人までたどり着けているのは4件程度という水準です。

件数が減っても、被害に遭った人から見れば「解決されるかどうか」が最大の関心事であり、抑止と検挙は別々の課題として残ります

罪種別に見た三重県の特徴

治安情勢は総数ではなく内訳で語れると、印象が一段変わります。令和7年の主な罪種の認知件数は次のとおりです。

罪種認知件数(令和7年)
刑法犯総数10,692件(前年比2.2%減)
侵入盗1,288件
自動車盗91件
殺人10件
強盗7件
ひったくり2件

路上で人が直接ねらわれる型の犯罪は、強盗が7件、ひったくりが2件と、年間でひとけた台にとどまります。それに対して、留守や夜間を狙って建物に入り込む侵入盗は1,288件。

三重県の治安課題は「街頭で人に襲いかかる犯罪」よりも「建物の中に入り込む犯罪」に重心があると整理できます。戸締まりの呼びかけ、空き巣が多発した地区への重点的な警戒、事業所への働きかけといった地道な活動が、そのまま体感治安に効いてくる県だということです。

自動車盗が91件ある点も、あわせて考えたい数字です。高速道路網が発達し県外への広域移動がしやすい土地柄では、盗まれた車がすぐに県境を越えてしまいます。

県内の警戒だけで完結しない捜査が必要になる、という見方ができます。

交通事故の情勢

令和6年(2024年)の県内の交通事故死者数は46人で、前年の66人から20人減りました。1954年の統計開始以来もっとも少ない数字です。

ただし内訳に目を移すと、65歳以上が25人と半数を超え、車に乗っていて亡くなった人の半数以上がシートベルトを着けていませんでした。総数が最少を更新したことと、亡くなり方の傾向が変わっていないことは、まったく別の話です(出典:三重県警察の交通統計|令和6年

人口構造と県内の地域差

三重県の人口は平成19年(2007年)の約187万人をピークに減少局面に入り、令和7年8月1日現在の推計人口は1,696,683人です。(出典:三重県の推計人口|令和7年8月県が令和22年の姿として見込むのは、働き手にあたる生産年齢人口が約103万人から約79万人へ落ち込み、それと入れ替わるように高齢化率が令和2年の29.9%から36.9%まで上がるという構図です。

高齢者が被害者にも当事者にもなりやすい犯罪や事故が、今後さらに比重を増していく構造です。

県内の地域差も無視できません。令和6年の観光入込客数を地域別に見ると、北勢が1,426万人、伊勢志摩が1,087万人であるのに対し、東紀州は172万人です。

人が集中する地域と人口が減っていく地域が、南北170kmの県土のなかに同居しています。都市部の街頭活動と、集落が点在する地域での駐在所の役割は、同じ「地域警察」でも実際の仕事の中身が違ってきます。

三重県の主な治安課題

ここまでの数字を踏まえると、三重県警察が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「三重県の治安上の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

建物に入り込む犯罪と体感治安

刑法犯の総数が減っていても、侵入盗が1,288件(令和7年)あるという事実は、県民の生活実感に直接ふれます。自宅や職場に入られる被害は、金銭的な損害よりも「自分の生活空間を侵された」という感覚を残すからです。

統計上の減少だけを根拠に治安を語ると、この温度差を見落とします。発生の多い地区を割り出して警戒を厚くする取組と、住民への呼びかけを両輪で進めることが、三重県では特に重い課題になります。

高齢者に偏る交通死者

令和6年の交通事故死者46人のうち、65歳以上は25人でした。人口の高齢化率が令和22年に36.9%まで上がる見通しであることを考えると、対象となる層自体が広がっていきます。

さらに、車に乗っていて亡くなった人の半数以上がシートベルトを着けていなかったという点は、取締りだけでは動かしにくい領域です。歩行者としての高齢者、運転者としての高齢者、その両方に届く働きかけをどう設計するかが問われています。

サイバー空間とSNSを入口とする犯罪

令和8年の運営の重点には、「サイバー空間における脅威に対処するための取組の推進」が独立した項目として置かれています。県単独の被害統計は公表資料の更新に合わせて確認する必要がありますが、方針のなかで一項目を占めていること自体が、この分野の比重を示しています。

相手の顔が見えないまま被害が広がる領域であり、捜査の技術と、被害を出さないための広報啓発の両方が求められます。情報系の知識や資格を持つ人にとっては、志望動機と接続しやすいテーマでもあります。

南海トラフ地震への備え

三重県が令和8年3月に公表した南海トラフ地震被害想定では、理論上最大クラス(地震動Mw9.0)で県内の死者が約50,000人、そのうち津波による死者が約41,000人と推計されています。建物の全壊・焼失は約222,000棟。

過去最大クラスの想定でも死者は約29,000人です。海岸線が1,105kmにおよび、南海トラフ地震がおおむね100年から150年の間隔で繰り返してきたことを踏まえれば、備えは仮定の話ではありません。(出典:三重県南海トラフ地震被害想定|令和8年3月

同じ想定資料には、早期避難率が上がれば死者を約1万5千人まで減らせるという記載もあります。裏を返せば、逃げるまでの時間をどれだけ確保できるかで結果が数万人分変わるということです。

避難の呼びかけ、道路の交通規制、救出救助の初動といった警察の役割は、この「時間をつくる」という一点に集まります。運営の重点でも「テロの未然防止と大規模災害等緊急事態対策の推進」が掲げられており、警備部門を志望する人に限らず、全員が前提として知っておきたい領域です。

広域交通と観光地の安全

三重県は、新名神高速道路と東名阪自動車道のダブルネットワーク、約70kmの無料区間を持つ名阪国道、国際拠点港湾の四日市港を県内に抱え、空の玄関口には24時間運用の中部国際空港(国際線が週297便・国内線が1日74便。2024年7月現在)が控える、人と物の通り道です。

加えて、リニア中央新幹線では亀山市が駅候補地とされ、名古屋から大阪までの区間は2037年以降の開業が見込まれています。移動が速く広くなるほど、犯罪も交通も県境をまたいで動きます。(出典:三重県の交通アクセス(企業立地情報)|2024年7月

そこへ、年間3,508万人・消費額5,236億円(令和6年)という観光の規模が重なります。ナガシマリゾートに1,340万人、伊勢神宮に754万人(いずれも令和6年)という具合に、特定の地点と時期に人が集中します。

雑踏事故を起こさないための警備と、渋滞のなかで救急車両の通り道を確保する交通対策は、三重県で働く警察官が繰り返し関わる仕事です。

重点方針|令和8年三重県警察運営の重点

三重県警察は、その年の活動の方向づけとして「三重県警察運営の重点」を毎年定めています。令和8年の基本方針は「県民と共に築く安全で安心な三重」の実現で、あわせて「強く・正しく・温かく」というスローガンが掲げられました。

三重県公安委員会と三重県警察の連名で公表されているものです。(出典:三重県警察運営の重点|令和8年

方針の読み方

公表されているのは1ページにまとめられた方針そのもので、各重点について設定の趣旨や具体的な推進事項、数値目標までは示されていません。つまり項目名を覚えただけでは中身が埋まらないということです。

だからこそ、県内で実際に起きていることと項目名を自分でつなぎ直す作業に、そのまま差がつきます。この記事の前半で扱った令和7年の侵入盗1,288件や令和6年の交通死者46人といった数字は、そのつなぎ直しの材料になります。

基本方針の言葉づかいにも注目してください。「共に築く」という表現は、安全を警察が一方的に与えるものではなく、県民と一緒につくるものと位置づけていることの表れです。

スローガンの「強く・正しく・温かく」についても、危険な現場で退かない強さ、手続きを省かず筋を通す正しさ、被害に遭った人の事情に寄り添う温かさ、と言い換えられます。志望動機を組み立てるときの土台になる考え方です。

7つの重点

重点は次の7項目です。あわせて、それぞれが三重県の状況のどこに効いてくるのかを、当研究会の言葉で補いました。

重点(公式の項目名)三重県の状況とのつながり
① 子ども・女性等を守る取組と犯罪対策の推進ストーカーやDV、児童虐待のように、命や身体への危険が差し迫った事案への対処。声を上げにくい人を早い段階で見つけられるかが問われる領域
② 地域住民の安心感を高める街頭警察活動の推進交番・駐在所やパトカーによる街頭活動。侵入盗が刑法犯の約12%を占める三重県では、住宅地や事業所周辺の見回りが体感治安に直結する
③ 犯罪の早期検挙に向けた総合力による捜査の推進検挙率40.4%(令和7年)という水準を引き上げるための捜査力。部門をまたいで情報を集め、初動で決めきる姿勢が求められる
④ 総合的な交通事故抑止対策の推進死者46人と過去最少になった一方、65歳以上が25人を占める現状への対応。取締りに加えて、高齢者への働きかけとシートベルト着用の徹底が課題
⑤ テロの未然防止と大規模災害等緊急事態対策の推進南海トラフ地震で死者約5万人が想定される県として、避難誘導・交通規制・救出救助の備えを日頃から積み上げる領域
⑥ サイバー空間における脅威に対処するための取組の推進SNSや通信を入口とする犯罪の捜査と、被害を出さないための広報啓発。専門知識を持つ人が力を発揮しやすい分野でもある
⑦ 犯罪被害者等支援の推進事件や事故のあとに残る生活の困りごとに向き合う仕事。スローガンの「温かく」がもっとも直接に表れる項目

左欄は令和8年三重県警察運営の重点に掲げられた項目名です。各重点の推進事項や数値目標は公表されていないため、右欄は県内の情勢をもとに当研究会が受験生向けに補ったものです。

面接では、自分の取り組みたい仕事がこの7項目のどこに位置づくのかを一言添えられるだけで、組織の方向性を踏まえた志望だと伝わります。

POINT|7項目すべてを暗記しなくてよい

項目名を並べて言えることが組織研究の目的ではありません。関心のある分野を1〜2つ選び、「①三重県で何が起きているか(数字) → ②その重点はどこに効くのか → ③自分はどの現場で何をしたいのか」の順にたどってみてください。

悪い例「地域の安全を守れる警察官になりたいです」

改善例「まずは地域を回る警察官として、地道に経験を積みたいです。そのうえで、三重県は刑法犯の1割以上が侵入盗だと知りましたので、住宅の多い地区の見回りや、戸締まりの呼びかけといった活動に力を入れていきたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

すべてを読む必要はありません。志望動機に関係する資料を選び、要点を自分の口で語れる状態に仕上げておきましょう。

  • 警察官採用試験の受験案内(試験種目・配点・基準点・受験資格・申込方法)
  • 三重県警察の採用ページと採用案内(仕事の内容と職員の声)
  • 令和8年三重県警察運営の重点(基本方針・スローガン・7項目)
  • 三重県警察の犯罪統計・交通統計(数字は毎年更新されるため最新値を確認)
  • 三重県南海トラフ地震被害想定(令和8年3月公表の最新版)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、三重県警察専用の面接想定問答集をご用意しています。三重県警察の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

三重県警察の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

三重県警察の面接の概要

ここからは、三重県警察の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

三重県警察の面接の流れ

三重県警察・警察官採用試験(警察官A)は、第1次試験と第2次試験の2段階で行われます。令和8年度は1回目と2回目が実施され、試験区分と回次によって方式が分かれます。

ここでは1回目の受験案内をもとに、種目と配点の全体像を整理します。(出典:警察官A採用候補者試験 受験案内|令和8年度

項目内容(令和8年度・警察官A/1回目)
試験の段階第1次試験 → 第2次試験の2段階
第1次試験教養試験(択一式・大学卒業程度・50題150分・100点/基準点32)ほか。サイバー捜査区分は専門試験Ⅰ
第2次試験論文試験・人物試験・適性検査・身体検査・体力試験
面接の種類個別面接。人柄や性格等について、面接カードを使用して行う「人物試験」
人物試験の配点男性・女性区分は200点、武道・サイバー捜査区分は300点。6段階で評定し、上位5段階に入ることが合格の要件
論文試験記述式・60分・20点(基準点4)。総合的な知識力や理解度、論理的な表現力・思考力を評価
適性検査・身体検査いずれも配点なし(適否のみ判定)。身体検査では医療機関等での検査結果の提出も求められる
体力試験令和8年度から第2次試験で実施(男性・女性・武道の区分)。体力試験の不合格基準は撤廃された
基準点得点化される各種目に基準点があり、1種目でも未達の場合は他の成績にかかわらず原則不合格

注目してほしい点は2つあります。1つ目は配点です。

人物試験の200点は、教養試験100点と論文試験20点を合わせた120点を大きく上回ります。武道・サイバー捜査区分ではさらに300点となり、面接の比重はいっそう高まります。

筆記の得点だけで並び順が決まる試験ではない、ということです。

2つ目は基準点です。1種目でも基準点に届かなければ、他の種目の成績にかかわらず原則として不合格になります。

教養試験は100点満点中32点、論文試験は20点満点中4点が基準点です。面接で挽回できる幅は大きい一方、筆記を捨ててよい試験ではありません。

まず基準点を確実に超え、そのうえで人物試験に力を集中させる、という順番になります。

あわせて、人物試験が6段階で評定され、上位5段階に入ることが合格の要件とされている点も押さえておきましょう。最下段の評定を避けること、つまり大きく外さない受け答えを積み上げることが、まず第一の目標になります。

三重県ならではの前提|大阪府警察との共同実施

令和8年度の警察官A(試験区分「男性」)の第1次試験は、三重県と大阪府警察が共同で実施しています。受験案内も三重県人事委員会と大阪府警察本部の連名で、申込みの際には大阪府を第2志望として選ぶことができます(三重県を第2志望とすることはできません)。この仕組みは、面接での「なぜ三重県警察なのか」という問いの重みを一段引き上げます。三重県で働きたい理由を、県内の地域事情や課題に触れながら具体的に語れるかどうかが問われます。

なお、受験案内には大阪府警察分の配点や区分表記も併記されているため、表を読むときは自分が受ける区分の行を確かめてください。

上記の試験構成は、三重県警察の令和8年度警察官A採用候補者試験(1回目)の受験案内にもとづくものです。採用サイトの試験概要には、区分によって教養試験のみで実施する方式やSPI3試験による方式の記載もあり、試験区分と回次によって方式が異なります。警察官Bの段階構成・配点は本記事では扱っていません。受験の際は、必ずご自身の区分・回次の最新の受験案内をご確認ください。

三重県警察が求める人材

三重県警察は、定式化した「求める人物像」を公表していません。採用ページで示されているのは、安全安心な社会を実現するために三重県警察で力を発揮してほしい、という受験者への呼びかけです。

明文の人物像がないぶん、手がかりは運営の重点に置かれた「強く・正しく・温かく」というスローガンにあります(参考:三重県警察 採用試験の概要|令和8年度

この3つの言葉は、そのまま自己PRの設計図として使えます。「強く」は、体力面でも気持ちの面でも厳しい場面を経験し、そこで何をしたかという事実。

「正しく」は、面倒な状況でも決まりや約束を守り通した事実。「温かく」は、相手の事情を聞いたうえで対応を変えた事実

どれも特別な実績である必要はなく、部活動やアルバイト、学校行事のなかの小さな場面で構いません。三重県警察の言葉で自分の経験を並べ直す作業だと考えてください。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。三重県警察の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク試験会場までは、どうやって来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望民間企業ではなく、なぜ警察官なのですか?他の進路と比べたうえでの職業理解の深さと、選択の理由の一貫性
③ 自己理解あなたの強み(自己PR)を教えてください自分の強みを、警察の仕事の場面と結びつけて説明できているか
④ 経験・行動学生時代に最も力を入れたことは何ですか?実績の大きさではなく、実際にとった行動の事実と、そこから学ぶ姿勢
⑤ 学業・経歴専攻分野(学科・コース)を選んだ理由を教えてください自分の選択を順序立てて話せるか。意思決定の一貫性
⑥ 適性・将来体力に自信はありますか?交替制勤務や訓練に耐える体力の裏づけと、日頃の健康管理の習慣
⑦ 公共性・社会性警察官に最も必要な資質は何だと思いますか?職業観の成熟度と、県民を守る仕事への当事者意識

ただし、この7カテゴリーは三重県警察に限らず全国の官公庁でほぼ共通です。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

なお、警察官の採用面接では、規律ある集団生活への適応や、危険を伴う職務への覚悟を確かめる質問がされることがあります。そうした質問が存在することをあらかじめ知っておくだけでも、当日の落ち着きが変わります。

合否を分けるのは「三重県警察ならでは」の質問

「全国に47の警察本部がある中で、なぜ三重県警察を志望したのですか?」
「三重県の治安上の課題は何だと思いますか?」

どちらも、三重県の現状と県警察の方針を知らなければ、その場では答えようがない質問です。逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。

こうした質問に答えるための「三重県警察の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい三重県警察の事実答え方のヒント
治安の現状刑法犯認知件数は令和7年に10,692件で前年比2.2%減。同年の検挙率は40.4%減っているから安心という話で止めず、検挙率が4割という水準にも触れて、減少を定着させる側に立つ話にする
三重県で目立つ罪種侵入盗が1,288件で刑法犯の約12%を占める一方、強盗7件・ひったくり2件と路上型は少ない建物に入り込む犯罪に重心があるという三重県の特徴を押さえ、自分の住む地域の戸締まりや見回りの実感と結ぶ
交通安全令和6年の交通事故死者は46人で1954年の統計開始以来最少。うち65歳以上が25人、乗車中の死者は半数超がシートベルト非着用過去最少という結果より、高齢者とシートベルトという残された論点に踏み込むほうが、調べた深さが伝わる
災害への備え令和8年3月公表の県の被害想定は、理論上最大クラスで死者約5万人、うち津波が約4万1千人。早期避難率が上がれば約1万5千人まで減るとされる逃げる時間をつくるという役割に絞って話すと、海岸線1,105kmを抱える県ならではの答えになる
志望動機とやりたい仕事令和8年の運営の重点は、基本方針「県民と共に築く安全で安心な三重」の実現と7項目の重点で構成されるやりたい仕事が7項目のどれに当たるかを言い切り、「共に築く」という言葉に自分の関わり方を重ねる

5つ全部を覚える必要はありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 警察官としてやりたいこと」という一続きの話にしておけば十分です。

三重県の場合、侵入盗と交通と災害の3本は、どの分野を志望する人でも自分の関心に引き寄せやすい材料になります。

想定される評価の観点

面接は、「強く・正しく・温かく」という組織の価値観に照らして、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
強く=厳しい場面で踏みとどまる力苦しい状況で何を判断し、どう動いたかを具体的に説明できるか南海トラフ地震では、逃げる時間をどれだけつくれるかが結果を左右する県です。想定外の事態に置かれた経験を1つ選び、そのとき最初にとった行動まで話せるようにしておく
正しく=規律を守り公正に行動する姿勢決まりや手順を守る場面で、面倒を避けずに行動できたか検挙率40.4%(令和7年)を押し上げるのは、手順を省かない一件ずつの捜査です。印象づくりに走るより、面倒でも決まりを守り通した事実を1つ、時期や場面まで思い出しておく
温かく=相手の事情に合わせる姿勢立場や事情の異なる相手に、対応を変えて向き合った経験があるか交通事故で亡くなる方の半数以上が高齢者という県です。高齢の方と接した場面を用意し、どんな言い換えや配慮をしたかまで話せるようにする

評価の観点の3項目は、令和8年三重県警察運営の重点に掲げられたスローガンをもとに、当研究会が面接対策用に翻訳したものです。

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 最新の受験案内を読み、自分が受ける試験区分と回次の種目・配点・基準点・申込方法を確認する
  2. 高校・大学生活の経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学校行事から、行動の事実を話せる出来事を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半を読み返し、令和7年の刑法犯10,692件と侵入盗1,288件、令和6年の交通死者46人、令和8年3月公表の南海トラフ地震被害想定という三重県の数字から、志望分野に近いものを2つか3つ選んで自分の言い方に直しておく
  5. 固有質問の対応表から材料を集め、令和8年の運営の重点7項目のうち自分が関わりたい項目を決めたうえで、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話にまとめる
  6. 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。あわせて、令和8年度から体力試験が第2次試験で実施される形になったことを踏まえ、日々のトレーニングと生活リズムづくりを並行して進める

優先順位に注意

ステップ4と5の組織研究は、他の受験者と差をつけるための工程です。時間が足りない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を警察の仕事へどうつなぐかという自己分析を先に済ませてください。自分のことを語れない状態で組織の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

面接対策を独学で、しかも短い期間で仕上げたい場合は、三重県警察に絞った面接想定問答集を使う方法もあります。

三重県警察の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までを解説しているので、当日の受け答えを具体的にイメージできるようになります。本番までの日数が限られている場合は、こうした教材で仕上げを前倒しするのも一つの手です。

三重県警察の想定問答集を見る

さいごに

三重県警察の警察官A採用試験は、教養試験100点と論文試験20点に対して、人物試験に200点(武道・サイバー捜査区分は300点)が置かれています。筆記で基準点さえ確保できれば、その先は面接の準備の質が結果を左右する試験です。

令和8年の運営の重点が掲げる「県民と共に築く」という言葉は、安全を県民と一緒につくっていく姿勢を求めていると読めます。令和7年の刑法犯10,692件のうち1,288件が侵入盗であること、令和6年の交通事故死者が46人まで減ってもなお65歳以上が半数を超えること、令和8年3月公表の被害想定では南海トラフ地震による死者が約5万人と見込まれていること。

三重県で起きていることを自分の言葉で説明し、そこに自分の経験を重ねられたとき、その回答は他の誰のものでもなくなります。面接カードを書き始める前に、まずはこの3つの数字を声に出して説明するところから始めてみてください。