本記事では、松阪市職員採用試験の面接対策で必要な、松阪市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

松阪市役所の面接試験では、「なぜ松阪市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。松阪市は年度内に前期と後期の2回の募集を行っており、どちらの枠で受けるかによって試験科目が変わります。

以下の内容は、志望動機を組み立てるための材料として並べたものです。自分の経験と重なる部分に印を付けながら読み進めてください。

第1部|自治体研究編

松阪市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは松阪市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 三重県の中南勢に位置し、伊勢湾岸の平野から奈良県境の山地までを市域に収める。読みは「まつさか」。
  • 市域の面積は623.58平方キロメートルで、三重県全体(5,774.49平方キロメートル)の約10.8%にあたる。
  • 津市・多気町・明和町・大台町と接するほか、奈良県の東吉野村・川上村・御杖村とも県境を接している。
  • 人口は15万4,518人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。市の花はヤマユリ、市の木はマツ。
  • 65歳以上が31.4%、75歳以上が18.4%(同)。市民のおよそ3人に1人が高齢者にあたる。
  • 市が採用ページで用いる広報上の呼称は「お肉のまち 松阪市」。松阪牛は平成29年3月3日に国の地理的表示(GI)に登録されている。
  • 南海トラフ地震の被害想定(三重県・令和8年3月公表)では、理論上最大クラスの場合に沿岸最大津波高5メートル、30センチの津波が4分で届くとされ、海側の避難が市の重い宿題になっている。
  • 市役所は松阪市殿町1340番地1に置かれている。

松阪市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「松阪市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

ここでは、人口規模、市域の広さ、年齢構成、県内での位置づけなど、松阪市の位置づけを説明できる項目を優先的に整理しました。

項目内容
総人口154,518人(住民基本台帳・令和8年1月1日現在)
65歳以上人口4万8,450人(31.4%)
うち75歳以上人口2万8,374人(18.4%)
総面積623.58平方キロメートル(三重県全体の約10.8%)
人口密度約248人/平方キロメートル(上記の総人口と総面積から算出)
隣接する自治体津市、多気町、明和町、大台町、奈良県の東吉野村・川上村・御杖村
市の花・市の木ヤマユリ、マツ
市役所の所在地松阪市殿町1340番地1

総人口・65歳以上人口・75歳以上人口は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。総面積・隣接自治体は当研究会が整理した基礎データによるものです。人口密度は、同じ住民基本台帳人口(令和8年1月1日現在)を総面積で割って算出した概数です。本文で触れる三重県全体の高齢化率は国勢調査にもとづくため、市の割合とは基準が異なり、直接の比較はできません。

数字から考えられる市政課題

松阪市の数字は、人口と面積を並べたときに性格が出ます。15万4,518人が暮らす市域は623.58平方キロメートルで、人口密度はおよそ248人です。

県全体の1割強にあたる面積を、県内でも人口の多い市のひとつが受け持っている形です。中心市街地の課題と、山あいの集落の課題が同じ市役所の所管に同居するため、一つの施策をどこでも成り立つ形に落とし込む作業が、日常の仕事に組み込まれています。

年齢構成も見ておきましょう。65歳以上が31.4%、75歳以上が18.4%です。

三重県は人口減少対策方針のなかで、県全体の高齢化率が令和2年の29.9%から令和22年に36.9%へ、生産年齢人口が約103万人から約79万人へ変わる見通しを示しています。基準の異なる数値を並べて比べることはできませんが、県が描く方向と同じ流れの中に松阪市も置かれていることは読み取れます。

次のような形で、数字と課題を結び付けて話せます。(出典:三重県人口減少対策方針|令和5年8月)

「松阪市は約15万人が暮らす市ですが、面積が県全体の1割ほどあると知って驚きました。同じ市の中でも、街なかと山あいでは困りごとが違うはずですので、現場に足を運んで話を聞くところから始められる仕事に関わりたいです」

松阪市の経済・産業

「お肉のまち」というブランドの実像

松阪市は採用ページでも「お肉のまち 松阪市」を掲げています。ただし面接で使うなら、知名度ではなく中身を押さえておきたいところです。

市の説明によれば、「特産松阪牛」は兵庫県から生後12か月までの子牛を導入して900日以上肥育したものを指し、松阪牛全体のなかでは数%(令和5年度実績で約4%)にとどまります。松阪牛は平成29年3月3日に国の地理的表示(GI)に登録番号25番で登録されました。

ブランドの中核は「量」ではなく、飼い方と期間を定めた基準そのものだという理解が、地元研究の深さの分かれ目になります。(出典:松阪市「特産松阪牛」の説明|令和5年度実績)

市域の広がりが生む産業の幅

623.58平方キロメートルという市域は、伊勢湾側の平野部から、奈良県の東吉野村・川上村・御杖村と接する山間部までを含みます。海に近い側と県境の山側では、産業の姿も暮らしの条件も異なります。

畜産のブランドが立つ一方で、市の運営としては、この幅の広さそのものが常に前提になります。「松阪=松阪牛」で説明を終えると、市域の一部の産業だけで志望動機を組んでしまうことになりかねません。

産業を語るときは、市のどのあたりの話をしているのかを自分で意識しておきましょう。

三重県の産業構造と中南勢という位置

三重県全体では、製造品出荷額等が約10兆円で全国9位、電子部品・デバイス・電子回路製造業は約1.7兆円・全国シェア11.7%で全国1位、輸送用機械器具製造業は約2.6兆円で全国6位です(いずれも令和2年)。

観光の面では、令和6年の県内の地域別入込客数が北勢1,426万2千人、伊勢志摩1,087万2千人、中南勢584万4千人、伊賀238万5千人、東紀州171万9千人となっており、松阪市が属する中南勢は3番目の規模です。県経済の主役が北勢の製造業であること、観光の主戦場が伊勢志摩であることを踏まえると、松阪市の立ち位置は県内で2つの中心のあいだに置かれた市だと整理できます。(出典:工業統計からみた三重県の製造業|令和2年/三重県観光レクリエーション入込客数推計書|令和6年)

松阪市の主な行政課題

ここまで見てきた数字と産業の姿は、そのまま市役所が抱える宿題につながります。面接で「市の課題」を問われたときに取り出せるよう、次の5つを整理しておきましょう。

人口構成の変化と担い手の確保

65歳以上が4万8,450人(31.4%)、75歳以上が2万8,374人(18.4%)という構成は、医療・介護・見守りの需要が今後も増えていくことを示します(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。三重県も生産年齢人口が令和2年の約103万人から令和22年に約79万人へ減ると見込んでおり、

サービスを必要とする人が増える一方で、支える側の人手が細っていく局面が続きます。福祉分野を志望する場合は、支援メニューを増やす発想だけでなく、担い手をどう確保するかまで話を伸ばしましょう。

若い世代の県外流出

県が示す人口減少対策方針によれば、三重県の転出超過数の約8割を15歳から29歳の若者が占め、進学や就職がその主要因とされています。県内の高校から大学へ進んだ人のうち、県内の大学を選ぶのは約2割にとどまり、県内の高等教育機関を出た人の県内就職率も約5割とされています。

転出超過数そのものは近年4,000人前後で推移しています(令和3年時点)。(出典:三重県人口減少対策方針|令和5年8月)

松阪市も、一度離れた若い世代が戻る道筋をどう用意するかという問いを、県と共有しています。

海と山、二方向の災害への備え

三重県が令和8年3月に公表した南海トラフ地震被害想定では、L2(理論上最大クラス・地震動Mw9.0)で県全体の死者数が約5万人、うち津波による死者が約4万1千人と、8割以上を津波が占めると推計されています。同じ想定での建物被害は、県全体で約22万2千棟の全壊・焼失にのぼります。

松阪市については、沿岸最大津波高5メートル、30センチの津波の到達までの最短時間は4分と予測されています。市域が海から山まで広がる分、沿岸部の避難と、山間部の孤立という2つの備えを同時に考える必要があります。(出典:三重県南海トラフ地震被害想定調査結果|令和8年3月)

広い市域を一つの市として運営する難しさ

人口密度が約248人という数字は、住まいが市域に散らばっていることを意味します。窓口をどこに置くか、公共交通をどう維持するか、災害時にどの順で人を動かすか。

どれも「市の平均」では答えが出ず、地区ごとの事情を踏まえた調整が要ります。行政の効率化を語るときは、集約によって遠くなる人が必ず出るという前提を落とさないでください。

ブランドを次の世代へつなぐ

特産松阪牛が松阪牛全体の約4%(令和5年度実績)にとどまるという事実は、基準の厳しさと同時に、その基準を満たす生産を続ける難しさも示しています。

畜産に限らず、地域の産物や技術を担う人が高齢化していく局面では、ブランドの維持が福祉や移住定住の政策と地続きになります。産業振興を志望動機にするなら、売り方の話だけでなく、作り手をどう次につなぐかまで触れられると厚みが出ます。

松阪市の重点政策|人材育成基本方針の4本柱

松阪市は、令和2年3月に改訂した松阪市人材育成基本方針のなかで、目指す職員像を4つの柱で示しています。

「市民の視点」「経営感覚・コスト意識」「目標とプロセスの共有」「行政としてのプロ意識」の4本です。募集要項にも掲載されているため、面接対策はここを起点に組み立てるのが確実です。(出典:松阪市職員採用試験募集要項(事務職・高卒程度/後期募集)|令和8年4月1日採用予定)

4本柱に書かれていること

柱市が示している職員像
市民の視点「誰のため、何のため」なのか市民ニーズの変化に対応し、期待に応える職員
経営感覚・コスト意識高いコスト意識と経営感覚を持った職員
目標とプロセスの共有目標とプロセスを共有しお互いを認め合い、よりよい仕事を目指す職員
行政としてのプロ意識行政のプロとして自らの資質・能力の向上に努める職員

方針は、柱ごとに具体的な行動記述まで置いています。たとえば「市民の視点」には「常に市民の立場に立ってものごとを考え、分かりやすさを追求し行動します。」「多様なニーズを把握し、的確な対応を行います。」「常に質の高い市民サービスを心がけ、市民満足度を高めます。」の3つが並びます。

「経営感覚・コスト意識」には「厳しい財政状況の中で、市民にとって本当に必要な行政サービスは何なのか意識を持ち職務を行います。」「マネジメント感覚を有し、常に改善・改革・チャレンジを心がけ、効率的に職務を遂行します。」が示されています。心構えではなく行動の水準で書かれている点が、この方針の特徴です。

POINT|4本柱を並べ替えて言えても評価は上がらない

柱の名前を暗記するのではなく、自分の経験に最も近い1本を選び、「①どんな状況だったか → ②誰の立場で考えたか → ③何を選び、何を捨てたか → ④結果として何が変わったか → ⑤松阪市の仕事のどこで同じことができるか」の順に書き出してみてください。

悪い例「コスト意識を持って、松阪市の財政に貢献したいです」

改善例「サークルの合宿で、予算が足りなくなったときに会場を安いところへ変えるのではなく、参加人数を先に確定させて見積もりを取り直しました。松阪市でも、削るより先に必要な量を正確につかむような仕事の進め方をしたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

読む資料は、自分が受ける区分と志望分野に関係するものへ絞って構いません。松阪市の受験生にとっては、次の4点が優先度の高いところです。

  • 自分が受ける募集(前期または後期)の最新の募集要項(職種・受験資格・試験科目が区分ごとに異なります)
  • 松阪市人材育成基本方針(目指す職員像の4本柱と行動記述が掲載されています)
  • 松阪市の総合計画・関心分野の個別計画(最新版が市公式サイトに掲載されているかを、志望する分野に絞って確かめておきましょう)
  • 三重県人口減少対策方針・三重県南海トラフ地震被害想定(松阪市の背景となる県全体の見通しがまとまっています)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、松阪市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。松阪市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

松阪市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

松阪市役所の面接の概要

ここからは、松阪市の募集要項と市公式サイトの案内をもとに、試験の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を整理していきます。

松阪市役所の面接の流れ

松阪市の採用試験でまず確認したいのは、前期募集と後期募集で、募集職種も試験科目も別に設計されていることです。前期募集は事務職(一般)、技術職の土木・建築・電気、幼稚園教諭・保育士職、保健師職を対象とし、後期募集では事務職(高卒程度)が募集されます。

どちらも第1次試験と第2次試験の2段階で、人物を確かめる科目は第2次に集約されています。

項目【前期募集】事務職(一般)【後期募集】事務職(高卒程度)
試験の段階第1次試験・第2次試験の2段階第1次試験・第2次試験の2段階
第1次試験基礎能力検査(テストセンター方式)と書類選考(Web)。書類選考は事務職(一般)のみが対象基礎能力検査(テストセンター方式)と書類選考(WEB)
基礎能力検査の内容市公式サイトの案内では検査名までの記載。詳細は最新の募集要項で確認してください時事、社会・人文、自然、文章理解、判断・数的推理、資料解釈に関する一般知能についての試験(択一式)
第2次試験の科目Web試験・筆記試験・面接等。幼稚園教諭・保育士職では音楽実技試験が加わります事務職適性検査、性格検査、適性検査、作文、集団討論、面接など
第2次試験の進み方市公式サイトの案内では「面接等」までの記載WEB試験(事務職適性検査・性格検査/自宅等で受験)、筆記試験(適性検査等)、面接試験等(2日間・会場は松阪市役所)の3つの日程に分かれます
配点後期募集の募集要項にも、前期募集の案内ページにも、配点・満点・合否判定基準の記載はありません
申込・受験票後期募集では、応募はパソコン・スマートフォンからのWEB受付のみ(松阪市職員採用試験申込システム)。受験票はマイページから確認し、A4サイズのコピー用紙に原則カラー印刷のうえ本人が署名して第2次試験に持参します。前期募集の申込方法と受験票の扱いは、自分の区分の募集要項でご確認ください
合格後の扱い後期募集では第2次試験合格者を採用候補者名簿に登載。特に定める職種では、大学院での修学や留学等の自己啓発を希望する場合に登録有効期間を最長3年まで延長できます

科目の読み分けには注意してください。作文と集団討論が明記されているのは、事務職(高卒程度)の後期募集要項です。確認した松阪市の前期募集の案内ページ本文は、第2次試験の内容を「面接等」までの表記にとどめています。

前期を受ける人は、自分の職種の科目を最新の募集要項で必ず確かめてください。なお複数の職種を同時に受験することはできず、事務職(障がい者対象)や社会人経験者を対象とした試験との同時受験も認められていません。(出典:松阪市職員採用試験の案内(前期募集)|令和8年4月1日採用予定)

上記の試験構成は、松阪市の令和8年4月1日採用予定の前期募集・後期募集の公表資料にもとづくものです。試験の構成・日程・配点等は、年度や受験区分によって異なる可能性があります。受験の際は、必ずご自身の区分の最新の試験情報をご確認ください。

松阪市が求める人物像

松阪市には目指す職員像が4本柱で公表されているため、面接対策の軸は明確です。とりわけ「市民の視点」に添えられた行動記述が「分かりやすさを追求し行動します」と言い切られている点は、自己PRの作り方に直結します。丁寧に対応した話ではなく、相手に伝わる形へ組み直した話が求められている、と読むほうが実際に近いでしょう。

4本柱の文言は市の方針書からの引用です。以下は、それを面接の場面へ置き直した当研究会の整理です。松阪市は15万4,518人が暮らす市域として623.58平方キロメートルを抱え、人口密度はおよそ248人です。

住まいが散らばる市では、一つの制度を市域のどこでも成り立つ形に落とす調整が繰り返し発生します。中心部の窓口で通用する説明が、山あいの集落ではそのまま通じないという場面が実務では珍しくありません。

そのため、現場で聞き取った事情を持ち帰って標準の運用に反映させるような動き方が、採用の場面でも見たい要素として意識されている可能性は高いところです。松阪市の場合、その「現場」には、畜産の生産者から高齢の一人暮らしの世帯まで、性格の違う相手が並びます。

選考の形からも言えることがあります。後期募集の第2次試験は、自宅で受けるWEB試験、会場での筆記試験、2日間にわたる面接試験等と、3つの日程に分かれて進みます。

選考が日をまたいで続くということは、その期間ずっと同じ人物として通る必要があるということでもあります。これまでの自分の判断や失敗のうち、4本柱のどれと重なるものを話すのかを先に一つ決めておけば、日が空いても答えの軸がぶれません。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。松阪市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までは迷わずに来られましたか?本題の前の一往復です。答えの正しさではなく、初対面の相手と会話を成立させられるかどうかが見られます
② 動機・志望民間企業ではなく市役所を選んだ理由は何ですか?松阪市は前期と後期で募集職種が分かれ、社会人経験者向けの枠も別に設けています。多様な経歴の人が同じ市を選ぶ理由として、どこまで具体化できているか
③ 自己理解周囲からはどんな人だと言われますか?自己申告と他者評価のずれを本人が把握しているか。後期募集の第2次試験に性格検査が置かれることとも重なります
④ 経験・行動意見が対立したとき、どう折り合いをつけましたか?後期募集では集団討論が科目に入ります。折り合いの付け方が、その場の振る舞いとして再現されるかどうか
⑤ 学業・経歴これまでに一番時間をかけて取り組んだことを教えてください取り組みの規模ではなく、時間の使い方の設計。後期募集の基礎能力検査が資料解釈まで含む構成であることとも通じます
⑥ 適性・将来希望と違う部署に配属されたらどうしますか?市域が海から山まで広がる市で、担当分野も勤務先も変わりうるという前提を受け止められているか
⑦ 公共性・社会性松阪市に関するニュースで、印象に残っているものはありますか?地域への関心が、受験を決めてから慌てて集めた情報ではなく、日常の視野に入っていたかどうか

ただし、この7つの枠組みは受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「松阪市ならではの事情を踏まえた質問」です。

合否を分けるのは「松阪市役所ならでは」の質問

「なぜ三重県庁ではなく、松阪市役所なのですか?」
「松阪市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

この2問は、市の実情を持ち合わせていなければその場では組み立てようがありません。裏を返せば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。面接で使いやすい松阪市の事実を絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい松阪市の事実答え方のヒント
人口と年齢構成人口15万4,518人、65歳以上31.4%・75歳以上18.4%(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)割合を挙げて終わらせず、75歳以上が2万8千人を超えるという実数に置き換えると、必要な人手の規模として面接官に伝わります
なぜ県庁ではなく市役所か前期募集だけで事務職のほか土木・建築・電気の技術職、幼稚園教諭・保育士職、保健師職を市が自前で採用している県が広域で整える仕組みと、市が現場で手渡すサービスの違いを、自分が実際に利用した窓口の話から説明します
市域の広さ面積623.58平方キロメートルは三重県全体の約10.8%。奈良県の東吉野村・川上村・御杖村と県境を接する「広い」で止めず、窓口の配置や移動手段の確保といった、広さが生む具体的な課題まで踏み込みます
南海トラフ地震への備え三重県の被害想定(令和8年3月公表)では、L2(理論上最大クラス)で松阪市の沿岸最大津波高5メートル、30センチの津波の到達は4分沿岸部の避難と山間部の孤立という2つの局面を分けて語ると、市域の広さを理解している受験者だと伝わります
松阪牛とブランド特産松阪牛は兵庫県から生後12か月までの子牛を導入し900日以上肥育したもので、松阪牛全体の数%(令和5年度実績で約4%)。平成29年3月3日にGI登録知名度の話ではなく基準の話として説明できると、地元研究の密度が一段上がります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、前述の「目指す職員像」の4本柱に照らして「これまでに実際どう行動してきたか」を確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。松阪市が示す4本柱のうち、面接で確かめやすい3つを取り出しました。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
市民の視点「分かりやすさを追求し行動します」と行動記述に書かれた柱です。相手に合わせて説明を組み直した経験が問われます同じ内容を別の相手に伝え直した場面を1つ用意し、最初の説明のどこが通じなかったのかまで言えるようにしておきます
経営感覚・コスト意識「本当に必要な行政サービスは何なのか意識を持ち職務を行います」という記述が置かれています。限られた資源の中で優先順位を付けた経験が確かめられますお金や時間が足りなかった場面で、何を残し何をやめたかを数量とセットで説明できるよう、当時の条件をメモしておきましょう
目標とプロセスの共有後期募集では集団討論が科目に入り、目標を共有しながら話を進める過程がその場で見られます討論では結論を出した人だけが評価されるわけではありません。合意の手前で論点を整理した経験を、松阪市の広い市域で意見が割れる場面に置き換えて語れるようにしておきます

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 自分が受けるのが【前期募集】か【後期募集】か、どの職種かを先に確定し、その区分の最新の募集要項で試験科目と受験資格を確認する
  2. 高校・大学・仕事の経験を棚卸しする。集団討論が科目に入る区分を受けるなら、意見が割れた場面の記憶も掘り起こしておく
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. この記事の前半を読み返し、人口構成・市域の広さ・津波の想定・松阪牛の基準のうち、志望分野に近い事実を2つか3つ選んで自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の対応表から材料を集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 声に出して練習する。後期募集の第2次試験のように日程が複数に分かれる場合は、日を置いて2回試し、間隔が空いても同じ内容を同じ温度で話せるかを確かめる

優先順位に注意

ステップ4と5の自治体研究は、他の受験生に差をつけるための工程であって、土台ではありません。時間が足りないときは、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を松阪市の仕事へどうつなぐかという自己分析に先に時間を配ってください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、松阪市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

松阪市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

松阪市役所の想定問答集を見る

さいごに

松阪市の試験は、前期と後期で募集職種も科目も違います。まず自分がどちらの枠で受けるのかを決めるところが出発点です。

配点は公表されていませんが、第1次に基礎能力検査と書類選考を置き、人物を確かめる科目を第2次にまとめた設計からは、書いたものと話すことの一致が問われる試験だと読み取れます。15万4千人が暮らす市域は三重県のおよそ1割を占め、奈良県境の山あいから伊勢湾側までを一つの市として運営しています。

その広がりのどのあたりに自分の関心があるのか、面接の前に一度、自分の言葉にしておきましょう。