本記事では、四日市市職員採用試験の面接対策で必要な、四日市市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
四日市市役所の面接試験では、「なぜ四日市市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。
四日市市の事務職は、第2次試験で事前に収録した動画を提出し、第3次試験であらためて面接を受ける構成です。相手のいない画面に向かって一人で話す場面と、面接官と向き合って掘り下げられる場面が、続けてやってきます。
どちらでも同じ材料を出せるように、手元の引き出しを先に整えておきたいところです。
まずは市の輪郭と、この市が県から引き受けている仕事の範囲を押さえていきましょう。
第1部|自治体研究編
四日市市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは四日市市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 住民基本台帳の人口は305,085人で、三重県内14市のうち最も多い規模です(令和8年1月1日現在)。
- 市域は206.50km²、人口密度は1,477人/km²です。
- 接している自治体は8で、桑名市・鈴鹿市・いなべ市と三重郡朝日町・川越町・菰野町・員弁郡東員町のほか、県境を越えて滋賀県甲賀市とも隣り合っています。
- 平成12年11月の地方自治法改正で創設された特例市へ移行し、平成20年4月には保健所政令市となった市です。県が担う事務の一部を、市が自前で引き受けています。
- 平成17年2月の楠町との合併で人口が30万人を超え、中核市の要件を満たすこととなったと市は説明しています。中核市への移行に向けて準備を進めていくという記述にとどまり、移行の時期や可否は公表されていません(市公式サイトの平成29年更新時点)。
- 65歳以上の割合は26.5%、75歳以上は15.7%で、三重県全体の30.6%・18.2%をいずれも下回ります(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。
- 四日市港は国際拠点港湾に指定され、中国・韓国・東南アジアへのコンテナ輸送サービスが展開されています。
- 市の花はサルビア、市の木はクスノキ。市役所は四日市市諏訪町1番5号にあります。
- 職員採用試験は職種によって試験種目が分かれ、第3次試験まで進むのは事務職(デジタル人材を除く)だけです。その事務職の第2次試験は録画面接で、会場に出向く必要がありません。
四日市市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「四日市市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
四日市市の数字は、3つを並べて見ると読みやすくなります。県内で最も多い人口、県平均より若い年齢構成、そして保健所を自前で持つ権限です。人が多く、比較的若く、しかも県の仕事の一部を自分で抱えている。この重なり方が、市職員の仕事の中身を決めています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 305,085人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳。三重県内14市で最多) |
| 65歳以上人口 | 80,761人(26.5%。三重県全体は30.6%) |
| 75歳以上人口 | 47,845人(15.7%。三重県全体は18.2%) |
| 総面積 | 206.50km² |
| 人口密度 | 1,477人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 桑名市・鈴鹿市・いなべ市・三重郡朝日町・川越町・菰野町・員弁郡東員町、滋賀県甲賀市 |
| 市が持つ権限 | 平成12年11月の地方自治法改正で創設された特例市へ移行、平成20年4月に保健所政令市へ移行 |
| 市役所所在地 | 四日市市諏訪町1番5号 |
| (参考)三重県の人口 | 1,724,891人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳) |
| (参考)三重県の総面積 | 5,774.49km²(全国25位) |
総人口と65歳以上・75歳以上の人口および割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。三重県全体の1,724,891人・30.6%・18.2%も同じ統計によるもので、割合の分母にもこれを用いています。県が別に公表している推計人口や国勢調査の結果は調査の基準が異なるため、これらの数値とそのまま比較することはできません。総面積・隣接自治体・市役所所在地は、当研究会が整理した基礎データによります。人口密度は、この住民基本台帳人口を総面積で割って算出しました。三重県の総面積は令和2年10月1日時点の県公表値です。
数字から考えられる市政課題
三重県の人口は平成19年の約187万人をピークに減少局面へ入り、直近の国勢調査である令和2年には約177万人でした。県が示す見通しでは、高齢化率が令和2年の29.9%から令和22年には36.9%へ上がり、生産年齢人口は約103万人から約79万人へと4分の3の水準まで縮みます(出典:三重県人口減少対策方針|令和5年8月)。
四日市市の年齢構成が県平均より若いという事実は、この縮小と無関係でいられることを保証しません。
県が課題として名指ししているのは、進学や就職を機に県外へ出る若い世代です。転出超過数の約8割を15歳から29歳が占め、県内の高校から大学へ進んだ人のうち県内の大学へ進む人は約2割、県内の高等教育機関を出た人の県内就職率は約5割にとどまります(同方針)。
働き始める場所として県内が選ばれにくいという構造は、県内で最も多くの人が暮らす四日市市の産業政策にも、市自身の採用にも跳ね返ってきます。四日市市の現在地を説明するなら、たとえばこう言葉にできます。
四日市市の経済・産業
県の製造業を支える臨海部
三重県の製造品出荷額等は約10兆円で全国9位、全国に占めるシェアは約3.5%です(令和2年)。品目別では電子部品・デバイス・電子回路が約1.7兆円で全国1位、輸送用機械器具が約2.6兆円で全国6位、化学工業が約1.2兆円で全国9位という並びになります(出典:三重県の製造業(工業統計・経済センサス)|令和2年)。
化学と電子部品と輸送用機械が同時に全国上位へ並ぶのが三重県の製造業の姿で、四日市市はそのうち化学工業の側に、臨海部の石油コンビナートという形で深く関わっています。
この関わりの深さは、市役所の組織にも表れています。四日市市消防本部の予防部門には、特定事業所(コンビナート事業所)への防災指導や、石油コンビナート等災害防止法にもとづく届出・検査、コンビナート事業所と危険物施設の火災原因調査という事務が置かれています(参考:四日市市消防本部の担当事務|四日市市公式サイト)。
行政の側にコンビナートを前提とした専任の担当が常設されているという事実は、この産業が市域にどれだけ根を張っているかを示します。工場は民間のものですが、その安全を制度として支えるのは市の仕事です。
港と高速道路がつくる物流の入口
三重県は四日市港を、国際拠点港湾に指定された国を代表するコンテナ港のひとつと紹介しており、中国・韓国・東南アジアへのコンテナ輸送サービスが展開されています。陸の側では、新名神高速道路の新四日市ジャンクションから亀山西ジャンクションまでの区間が2019年3月に開通し、東名阪自動車道と二重の経路が組まれました(参考:三重県の企業立地と交通アクセス|令和6年)。
港と高速道路と工場が同じ市域に収まっているという条件は、企業誘致でも物流でも防災でも、どの話題から入っても市の仕事に届きます。
人の流れも北勢地域に厚く集まっています。令和6年の三重県の観光レクリエーション入込客数は35,082千人で、地域別の内訳は四日市市を含む北勢が14,262千人、伊勢志摩が10,872千人、中南勢が5,844千人、伊賀が2,385千人、東紀州が1,719千人でした(出典:三重県観光レクリエーション入込客数|令和6年)。
観光地としての知名度で語るより、県内の人の流れが最も太い地域に市があるという位置取りで捉えるほうが、実際の業務に近づきます。
公害の経験を施設として残す
四日市市は四日市公害と環境未来館を平成27年3月に開館させました。公害の歴史と教訓を次の世代へ伝えるとともに、環境改善の取組、産業の発展と環境保全を両立したまちづくり、そこで得た知識や環境技術を国内外へ発信する施設と位置づけられており、令和7年5月には開館10周年の記念企画展が実施されています(出典:四日市公害と環境未来館|令和7年)。
産業を語るときにこの施設を外さないでください。市が産業都市であることと、環境政策に人を割いてきたことは、四日市市では同じ一本の線の上にあります。
四日市市の主な行政課題
県内で最も多い人口、臨海部の産業、県から受け継いだ権限。この3つが交わるところに、四日市市の課題は集まっています。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。
津波の到達より早く始まる浸水
三重県の南海トラフ地震被害想定(令和8年3月公表)では、理論上最大クラス(L2)で県全体の死者数が約50,000人と推計され、うち津波によるものが約41,000人を占めます。建物の全壊・焼失も同じくL2で県全体約222,000棟、うち揺れによる被害が約152,000棟。過去最大クラス(L1)では死者約29,000人・全壊焼失約55,000棟です(出典:三重県南海トラフ地震被害想定|令和8年3月)。
四日市市について同じ資料が示すのは、L2の沿岸最大津波高が4メートル、30センチの津波が到達するまでの最短時間が15分という数字です。
ここで注意したいのは、この15分を安心材料として読まないことです。同じ資料は、県北部の海抜ゼロメートル地帯など地盤の低い地域では、地震による地盤の沈降と揺れによる堤防の沈下が重なるため、津波が到達するより先に浸水が始まると予測されると記しています。
時間の余裕を前提にした避難計画が成り立たない場所が市域にある、という理解から入りましょう。
技術職を1名から5名で確保するという現実
県が課題に挙げる若年層の県外流出は、四日市市にとっては採用の話でもあります。令和9年度の採用予定人員は、事務職30名程度、保育教育職20名程度に対して、技術職は土木5名程度・建築2名程度・電気1名程度・機械1名程度、保健師2名程度、学芸員1名程度、言語聴覚士1名程度という規模です(出典:令和9年度四日市市職員採用試験要項|令和9年度採用)。
専門職はいずれも一桁の採用で、道路や上下水道、公共建築を担う人材を県内で確保しきれるかどうかは、そのまま市政の実務に響きます。技術職や資格職の受験を考えているなら、この採用規模そのものが志望動機の材料になります。
保健所を自前で持つということ
平成20年4月の保健所政令市への移行によって、四日市市は保健所の設置と運営を自分で担っています。感染症への対応、食品衛生、医療機関の監視といった、多くの市では県が担当する仕事が市役所の中にあるということです。
県と市の役割の違いを問う質問に対して、四日市市の受験者は制度の言葉で答えられます。特例市への移行によって受け継いだ事務も含めて、市の裁量が及ぶ範囲は隣接する市町より広く取られています(出典:特例市・保健所政令市への移行|四日市市公式サイト(平成29年更新))。
中核市への移行という宙に浮いた論点
市は、平成17年2月の楠町との合併によって人口が30万人を超え、中核市の要件を満たすこととなったと説明し、地方分権などの状況を踏まえながら中核市移行に向けた準備を進めていくとしています。ただし、この記述が置かれているページは平成29年に更新されたもので、移行の時期や可否そのものは公表されていません(同)。
要件は満たしているが、移行するかどうかの判断は続いている。四日市市の制度上の位置は、この途中の段階にあります。
面接でこの話題に触れるときの注意点はひとつです。「四日市市は中核市です」と言い切らないでください。市が公表しているのは、要件を満たしたことと、準備を進めるという方針までです。
そこから先は書かれていません。書かれていないことを事実として述べてしまえば、調べていないのと変わらない扱いになります。
逆に、次のように段階を分けて話せる受験者は多くありません。
準備の側でやっておきたいこともあります。この説明が載っているページは平成29年の更新です。
受験する年度の時点で状況が動いていないかを、市の公式サイトでご自身で確かめてください。古い記述をそのまま持ち込むことも、言い切りすぎるのと同じ種類の事故になります。
重点政策|県から受け継いだ権限と、公害からの再生
四日市市が自分の来歴として公表しているのは、県から権限を受け継いできたことと、公害の経験を施設として残したことの2つです。
総合計画の名称や年度ごとの重点施策は改定のたびに変わりますが、この2つは市政の骨格として動きません。ここから市の重心を読み取っていきましょう。
権限を受け取ってきた市
特例市への移行と保健所政令市への移行を、四日市市は市の歩みとして自ら掲げています。市の側から見れば、県がやっていた仕事を引き受けるとは、職員が扱う分野が増えるということです。
保健所を持つ市の職員は、感染症の相談や飲食店の衛生指導といった、住民の生活に直接触れる場面を市の看板で担います。志望動機を「住民に近いから市役所」で終わらせず、四日市市の場合は近さに加えて権限の幅があるという一段を足せます。
公害を過去にしない施設
四日市公害と環境未来館は、公害の歴史と教訓を次世代に伝える施設であると同時に、環境改善の取組や、産業の発展と環境保全を両立したまちづくり、そこで得た知識と環境技術を国内外へ発信する場として位置づけられています。
市は公害を「終わったこと」ではなく、これから外へ差し出す資産として扱っています。環境分野を志望するなら、規制や監視の話だけでなく、この発信という機能まで視野に入れておきましょう。
計画の現物は市の最新版で
本記事が扱っているのは、採用試験の要項と市の公表ページで確かめられる範囲までです。総合計画や年度ごとの重点施策は、名称も期間も改定のたびに変わります。
志望分野の中身に踏み込むなら、四日市市公式サイトで現行の計画を開き、どの分野に予算と職員が置かれているかを自分の目で数えてください。要項に並ぶ職種の内訳と、計画に並ぶ事業の名前が頭の中でつながれば、志望動機はそこから立ち上がります。
POINT|事業名を覚えるより、権限の範囲を押さえる
四日市市で覚える価値が高いのは、事業名より「この市がどこまでを自分で決められるか」のほうです。保健所を自前で運営していること、特例市として県の事務の一部を受け継いでいること。この2点から出発すれば、志望分野が何であっても、県ではなく市を選んだ理由を制度の言葉で説明できます。
悪い例「四日市市の環境政策に携わりたいです」
改善例「四日市市は保健所を自分の市で持っていると知りました。まずは配属された場所の仕事を覚えたいですけれども、いずれは工場の多い地域で暮らしと環境の折り合いをつけていく仕事に関わっていきたいと考えています」
あわせて確認したい公式資料
4つ挙げますが、順番に意味があります。最初の1つは必ず開いてください。残りは志望分野に近いものから手をつければ足ります。
- 令和9年度四日市市職員採用試験要項(自分が受ける職種の試験種目を確認するため)
- 四日市市が公開している過去の論文試験のテーマ(公開している旨が要項に記載されています)
- 四日市市の総合計画と、直近年度の予算に関する市の説明資料
- 三重県南海トラフ地震被害想定(市域の津波と浸水の前提を知るため)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、四日市市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。四日市市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
四日市市役所の面接の概要
ここからは、令和9年度の試験要項で確かめられる四日市市の選抜の形と、そこから読み取れる準備の重心を整理していきます。
四日市市役所の試験の流れ
四日市市の職員採用試験は第1次・第2次・第3次の3段階で、第3次試験まで進むのは事務職(デジタル人材を除く)だけです。ほかの職種は第2次試験が最終段階になります。もうひとつ目を引くのが第2次試験の形式で、事務職は録画面接、つまり事前に収録した動画を指定の場所にアップロードする方式が採られています。この段階では会場に出向く必要がありません。
| 項目 | 内容(令和9年度・令和9年4月1日採用) |
|---|---|
| 試験の段階 | 第1次試験→第2次試験→第3次試験の3段階。第3次試験は事務職(デジタル人材を除く)のみに実施され、他の職種は第2次試験が最終段階 |
| 第1次試験 | 各職種区分共通の適性試験(50分。職務遂行上必要な資質および組織への適応性を測定するクレペリン検査)と、技術職(土木・建築・電気・機械)を除く各職種区分共通の教養試験(択一式・90分。時事、社会・人文、自然に関する一般知識および文章理解、判断・数的推理、資料解釈) |
| 第2次試験(事務職) | 録画面接。事前に収録した動画を指定の場所にアップロードする方式 |
| 第2次試験(事務職以外) | 事務職(デジタル人材)・技術職(土木、建築、電気、機械)・保健師・学芸員・社会福祉士は面接試験、事務適性試験、論文試験。保育教育職は面接試験、保育実技試験(ピアノ弾き語り、口演童話)、論文試験。言語聴覚士は面接試験、論文試験 |
| 第3次試験 | 事務職(デジタル人材を除く)に面接試験、事務適性試験、論文試験。採用内定者には健康診断を受診させる |
| 採用予定人員 | 事務職30名程度、事務職(デジタル人材)若干名、技術職は土木5名程度・建築2名程度・電気1名程度・機械1名程度、保健師2名程度、保育教育職20名程度、学芸員1名程度、言語聴覚士1名程度、社会福祉士若干名 |
| 各種目の配点 | 令和9年度の試験要項に、各試験種目の配点・満点や人物試験の比重に関する記載はありません |
| 集団形式 | 同要項に、集団面接・集団討論の記載はありません |
| 提出書類 | 同要項に、面接カードという名称の様式の記載はありません。申込は電子申請のみで、事前登録と本登録によるマイページ方式。受験票は各自印刷し、申込者本人が署名のうえ第1次試験の受験の際に持参します |
配点が公表されていない以上、どの科目で何点稼げば通るという逆算はできません。読み取れるのは順序のほうです。事務職は、動画の中で一人で話す第2次試験と、面接官と向き合う第3次試験を続けて通ります。
同じ志望動機を、聞き手のいない場所と、いる場所の両方で語り切れるかが問われる構造です。加えて市は、不合格者のうち希望する人に、第1次・第2次・第3次それぞれの総合順位と総合得点を、各合格発表日から1か月間(土曜・日曜・祝日を除く)、総務部人事課の窓口で本人に開示しています。
自分の位置を後から確認できる試験だということも、頭の隅に置いておきましょう。
録画面接について要項から読み取れるのは、事前に収録した動画を指定の場所にアップロードするという方式までです。設問の数や収録の長さ、撮り直しができるかどうかといった細部は、受験する年度の要項と市からの案内でご自身で確かめてください。
ただ、方式だけ分かっていれば準備の形は決まります。相づちも追加の質問も返ってこないということは、話が途中で行き詰まっても誰も助けてくれないということです。
せめて話し始めの一文と話し終わりの一文だけは、先に決めておきましょう。
上記の試験構成は、四日市市の令和9年度職員採用試験要項(令和9年4月1日採用)にもとづく内容です。消防職員の採用試験はこの要項の対象外で、四日市市消防吏員採用試験要項を別途参照する旨が明記されています。試験の構成・日程・配点等は年度や受験する職種によって変わりますので、受験の際は必ずご自身の職種の最新の試験情報をご確認ください。
四日市市役所が求める人物像
確認した四日市市の令和9年度職員採用試験要項と市の採用情報ページの本文には、求める人物像として定型化された文言は置かれていません。手がかりになるのは、市が公表している試験の設計と、市が抱えている仕事の範囲のほうです。
ここからは推測が入ります。事務職30名程度という採用規模を、保健所を自前で運営し、コンビナート事業所の防災指導までを事務に含む市の仕事量と並べてみると、一人あたりの守備範囲は狭くならないはずです。
制度を扱う場面と、住民や事業者に直接向き合う場面が、同じ職員の一年の中に混ざって現れる。四日市市の面接で経験の中身が掘られるとしたら、そこに耐えられる人かどうかを確かめるためだと考えるのが筋の通る読み方です。
そのうえで、四日市市の事務職には性格の違う面接が二度あります。動画で作り込んだ人物像と、対面で掘られたときに出てくる人物像がずれれば、そのずれ自体が判断の材料になります。
用意すべきなのは四日市市向けの顔ではなく、どちらの場面でも同じ答えが出てくる自分の経験のほうです。市の事実は、その経験を置く台として使ってください。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。四日市市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどちらから来られましたか | 録画では作り込めない、その場のやりとりでの表情と声の出方 |
| ② 動機・志望 | 三重県内にも市役所は多くありますが、四日市市を選んだ理由は何ですか | 県内で最も人口の多い市という条件を、志望の理由にどこまで落とし込めているか |
| ③ 自己理解 | 自分では気づいていない短所を、人から指摘されたことはありますか | 録画面接で語った自己像と、その場で出てくる自己像が食い違わないか |
| ④ 経験・行動 | 立場の違う相手の間に立って、話をまとめた経験はありますか | 事業者と住民、県と市のように利害の異なる相手を扱う市の仕事と地続きの質問 |
| ⑤ 学業・経歴 | 専門的な内容を、詳しくない人に説明した経験を教えてください | 論文試験(事務職は第3次、ほかの職種は第2次)でも問われる、伝わる言葉へ置き換える力 |
| ⑥ 適性・将来 | 保健所や環境部門のような専門性の高い職場に配属されたら、どう働きますか | 市が県から引き受けている事務の存在を知ったうえで志望しているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近気になった、行政に関わるニュースはありますか | 第1次試験の教養試験で問われる時事を、自分の意見へ変換できるか |
ただ、この表に並ぶ質問は、四日市市を受ける人だけが準備してくるものではありません。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「四日市市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「四日市市役所ならでは」の質問
1問目については、四日市市には制度の裏づけがあります。保健所を自前で持ち、特例市として県の事務の一部を引き受けている市だからです。
2問目で気をつけたいのは、魅力と課題を切り離した二つの話にしてしまうことです。四日市市では、臨海部に工場群を抱えているという一つの条件が、働く場と物流の強みにもなり、環境や防災の課題にもなっています。
同じ事実の表と裏として語ると、二つの答えがばらばらになりません。
どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「四日市市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい四日市市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口と年齢構成 | 住民基本台帳の人口305,085人は三重県内14市で最多。65歳以上26.5%・75歳以上15.7%は、県全体の30.6%・18.2%を下回る(令和8年1月1日現在) | 数字を言い切ったあと、県全体では令和22年に高齢化率が36.9%まで上がる見通しであることを添えると、余力のある今だからできる話へ進めます |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 平成12年11月の地方自治法改正で創設された特例市へ移行し、平成20年4月に保健所政令市へ移行。県が担う事務の一部を市が持つ | 住民に近いという一般論の先に、この市は権限の幅まで持っているという一段を足せば、制度まで調べた人の答えになります |
| 中核市という論点 | 楠町との合併で人口30万人を超え要件を満たしたと市が説明。移行に向けた準備を進めるとしており、時期や可否は公表されていない | 「中核市です」と言い切らないこと。要件を満たした市が判断を続けている状態だと押さえておけば、事実に忠実な話になります |
| 産業と港 | 四日市港は国際拠点港湾で、中国・韓国・東南アジアへのコンテナ輸送サービスが展開。市の消防にはコンビナート事業所の防災指導が事務として置かれている | 工場の名前を挙げるより、その安全を制度として支える側に市がいるという構図で語ると、志望職種の話へ自然につながります |
| 災害への備え | 県の被害想定で、L2(理論上最大クラス)の四日市市の沿岸最大津波高は4メートル、30センチ津波の到達最短時間は15分。県北部の地盤の低い地域では津波到達より先に浸水が始まると予測 | 到達時間を安全の余裕として語らないこと。先に水が来る場所があるという前提から入れば、備えへの理解が伝わります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。四日市市は求める人物像を公表していないため、ここでは公表されている試験の設計から逆算した3つの観点を挙げます。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 立場の違う相手をつなぐ力 | 利害が食い違う場面で、どちらの言い分も聞いたうえで動いたことがあるか | 事業者と住民、県と市のように立場の異なる相手が同じ机につく市です。折衷案を出した場面より、両方の話を聞くために何をしたかを具体化しておきましょう |
| 一人で立ち上げる力 | 手順の決まっていない仕事を、自分で調べて形にしたことがあるか | 事務職の第2次試験は、質問する相手も相づちもない録画面接です。同じ性質の経験を1つ用意しておけば、動画の中身がぶれません |
| 伝わる言葉へ置き換える力 | 専門的な内容を、詳しくない相手に届く形で説明できるか | 論文試験(事務職は第3次、ほかの職種は第2次)と地続きの観点です。保健所や環境の分野は説明の相手が事業者にも住民にもなりますので、相手を変えて同じ話を言い直す練習が効きます |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 最新年度の試験要項を開き、自分が受ける職種の第2次試験が録画面接なのか対面の面接試験なのかを確認する
- 申込は電子申請のみで、事前登録と本登録の二段階を踏む。受験票は自分で印刷し署名して持参するため、締切と印刷の手順を先に押さえておく
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 事務職で受けるなら、相手の反応がない状態で話し切る練習を、自分を撮りながら重ねる。収録の条件は受験する年度の案内で確かめる
- この記事の前半から志望分野に近い四日市市の事実を2つか3つ選び、市が公開している過去の論文試験のテーマと突き合わせる。中核市への移行のように状況が動きうる事実は、市の公式サイトで最新の記述を見ておく
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ1で自分の職種の試験形式を確かめ、ステップ3の一言メモを埋めるほうを先にしてください。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、四日市市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
四日市市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
四日市市の事務職は、動画で一人で話す第2次試験と、面接官と向き合う第3次試験を続けて通ります。配点は公表されていませんから、どこかで大きく稼いで他を補うという計算は立ちません。
県内で最も多くの人が暮らし、保健所を自前で運営し、臨海部に工場群を抱える市で、自分は何を担いたいのか。その答えが、画面の前でも面接室でも同じ言葉で出てくるようになれば、準備はほぼ整っています。
ここまで読んだ材料を、今日から一つずつ声に出してみてください。