本記事では、名張市職員採用試験の面接対策で必要な、名張市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。
名張市役所の面接試験では、「なぜ名張市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。
名張市のA日程では、第1次試験の段階ですでに集団面接が置かれ、第2次試験では個人面接と作文、一般事務職にはさらに集団討論が課されます。人と向き合う場面の多い試験です。
関西圏のベッドタウンとして育った市が、いまどんな局面にいるのか。そこから見ていきましょう。
第1部|自治体研究編
名張市の特徴
本格的な面接対策をはじめる前に、まずは名張市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)
- 住民基本台帳の人口は73,241人で、三重県内14市のうち8番目の規模です(令和8年1月1日現在)。
- 市域は129.77km²、人口密度は564人/km²です(住民基本台帳・令和8年1月1日現在の集計)。
- 近鉄大阪線の開通と大規模な住宅開発を背景に、1960年代以降、関西圏のベッドタウンとして発展した市です。
- 接している自治体は5つで、津市・伊賀市のほか、県境を越えて奈良県の宇陀市・山辺郡山添村・宇陀郡曽爾村と隣り合っています。
- 65歳以上の割合は35.2%、75歳以上は20.1%で、三重県全体の30.6%・18.2%をいずれも上回ります(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。
- 人口は2000年をピークに減少し、2001年以降は転出超過が続いています。
- 総合計画は「なばり新時代戦略」(2023年度〜)で、支える世代の減少と支えられる世代の増加、ニュータウンの空き家増加を課題として掲げています。
- 市の花はキキョウ、市の木はモミジ。市役所は名張市鴻之台一番町1番地にあります。
- 職員採用候補者試験は名張市職員試験委員会が実施しています。伊賀市の試験(伊賀市職員採用試験委員会)とは別の枠組みです。
名張市の基礎データ
面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「名張市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。
名張市の数字は、人口7万人台という規模と、県平均を上回る高齢化率、そして人口のピークが2000年だったという事実の3つをまとめて見ると意味が通ります。増えた時期と、増えた人がそのまま年を重ねた時期が、はっきり分かれている市だからです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 総人口 | 73,241人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳。三重県内14市で8番目) |
| 65歳以上人口 | 25,761人(35.2%。三重県全体は30.6%) |
| 75歳以上人口 | 14,725人(20.1%。三重県全体は18.2%) |
| 総面積 | 129.77km² |
| 人口密度 | 564人/km²(上記の総人口と総面積から算出) |
| 隣接自治体 | 津市・伊賀市、奈良県宇陀市・山辺郡山添村・宇陀郡曽爾村 |
| 総合計画 | 「なばり新時代戦略」(2023年度〜) |
| 市役所所在地 | 名張市鴻之台一番町1番地 |
| (参考)三重県の人口 | 1,724,891人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳) |
総人口と65歳以上・75歳以上の人口および割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。三重県全体の数値も同じ統計によるもので、割合の分母にもこれを用いています。県が別に公表している推計人口や国勢調査の結果とは調査の基準が異なりますので、これらの数値と並べて増減を出すことはできません。総面積・隣接自治体・市役所所在地は、当研究会が整理した基礎データによります。
数字から考えられる市政課題
65歳以上が35.2%、75歳以上が20.1%。どちらも三重県全体の水準を上回ります。
ここで内訳まで下りてみてください。65歳以上の25,761人のうち、14,725人が75歳以上です。
高齢の市民の半数以上が、すでに75歳を超えています。総合計画が支える世代の減少と支えられる世代の増加を課題に置いているのは、この構成を踏まえた設定です(出典:なばり新時代戦略(名張市総合計画)|2023年度から)。
県全体の見通しも押さえておきましょう。三重県は、高齢化率が令和2年の29.9%から令和22年には36.9%へ上がり、生産年齢人口が約103万人から約79万人へ縮むという推計を示しています(出典:三重県人口減少対策方針|令和5年8月)。
この推計は国勢調査を基準にしており、先ほどの住民基本台帳とは分母が違いますので、水準を直接並べることはできません。それでも、県が20年かけて向かう先に、名張市はすでに近い位置にいるという関係は読み取れます。
ここまでの数字を、答えのなかでは次のように使えます。
名張市の経済・産業
住むための市として大きくなった
名張市は、近鉄大阪線の開通と大規模な住宅開発を背景に、1960年代以降、関西圏のベッドタウンとして発展しました(参考:名張市の総合計画に関するページ|名張市公式サイト)。三重県に属しながら、通勤と通学の向きは関西の側へ開いている市だということです。
接している5つの自治体のうち3つが奈良県の市町村であることも、この構造と重なります。市の経済を語るとき、市内にどんな事業所があるかだけを見ていると、住む場所として選ばれてきたという最大の特徴を取り落とします。
県の産業統計と、この市の軸
背景として県全体の姿も押さえておきましょう。令和2年の県全体の製造品出荷額等は約10兆円で、全国9位(全国に占めるシェアは約3.5%)。
電子部品・デバイス・電子回路は全国シェア11.7%で全国1位、輸送用機械器具が全国6位、化学工業が全国9位と続きます(出典:三重県の製造業(工業統計・経済センサス)|令和2年)。観光では、令和6年の県全体の入込客数35,082千人のうち、名張市を含む伊賀地域が2,385千人でした(出典:三重県観光レクリエーション入込客数|令和6年)。
県の産業統計で主役になる分野と、名張市が積み上げてきた住宅地としての価値は、別々の軸の上にあります。志望動機を県全体の産業から組み立てると、この市の実像から外れてしまいます。
名張市の主な行政課題
まとまって人が入り、まとまって年を重ねます。名張市の課題は、ベッドタウンとして育った経緯から一続きにつながっています。「市の課題」を問われたときに手を伸ばせるよう、次の4つを整理しておきましょう。
支える世代が減り、支えられる世代が増える
総合計画「なばり新時代戦略」は、支える世代(60代から70代)の減少と、支えられる世代(75歳以上)の増加を課題として掲げています(前掲の計画)。数字で見ると、75歳以上は14,725人で人口の20.1%。
地域の自治会や見守りの活動を実際に回してきたのは、多くの場合その一段手前の世代です。担い手の層が薄くなる速さのほうが、高齢者が増える速さより先に響いてくるという見立てが、この課題設定には含まれています。
ニュータウンの空き家
同じ計画は、ニュータウンの空き家増加も課題に挙げています。1960年代以降の大規模開発でまとまって供給された住宅は、まとまって年を取ります。
同じ時期に入居した世代が、同じ時期に住み替えや相続の局面を迎えるということです。名張市の人口は2000年をピークに減少へ転じ、2001年以降は転出超過が続いています。
空き家は、この2つが重なったところに現れます。住宅やまちづくりを志望分野にするなら、空き家の数を問題にするより、その先の使い道まで考えておきましょう。
生活圏が県境をまたぐこと
名張市が接する5つの自治体のうち、奈良県宇陀市・山辺郡山添村・宇陀郡曽爾村の3つは県外です。通勤も通学も県境を越えるということは、住民の困りごとが三重県の枠だけでは片づかないということでもあります。
道路、公共交通、医療、災害時の応援。生活の一部を市域の外に預けている市の行政は、隣の県の団体と話をする場面から逃げられません。
「住民に最も近い基礎自治体だから市役所」という説明に、この一段を足せるかどうかが分かれ目になります。
揺れと、高齢化した住宅団地
三重県が令和8年3月に公表した南海トラフ地震被害想定では、県全体の建物全壊・焼失が理論上最大クラス(L2)で約222,000棟にのぼり、そのうち約152,000棟が揺れによる被害と見込まれています。死者数は同じくL2で約50,000人、うち約41,000人が津波によるものです(出典:三重県南海トラフ地震被害想定|令和8年3月)。
内陸の名張市で先に問われるのは揺れへの備えです。加えて、高齢化した住宅団地では、発災直後に自力で動ける人の数が限られます。
同じ資料は今回、先に起きた地震のあとで残りの想定震源域が動く「半割れケース」を新たに想定へ加えたとしています。一度で終わらない前提で、支え合いの担い手をどう確保するか。
防災を志望分野にするなら、この視点で準備しましょう。
重点政策|なばり新時代戦略が見据える世代の入れ替わり
名張市の市政運営の指針となっているのが、2023年度から始まった総合計画「なばり新時代戦略」です。
計画が課題として名指ししているのは、支える世代の減少、支えられる世代の増加、そしてニュータウンの空き家増加。ベッドタウンとして育った市が、その育ち方ゆえに迎えている局面が、そのまま計画の出発点になっています。
「新時代」が意味するもの
1960年代以降の開発でまとまって人が入り、2000年に人口のピークを迎え、そこから減少と転出超過が続いてきました。増え続けることを前提にした設計を、そうではない時代の設計へ組み替える。
計画名の「新時代」は、そう読むのが素直です。住宅の話も、地域の担い手の話も、公共施設の話も、この組み替えの一部として並んでいます。
面接で計画に触れるなら、名称を挙げるだけでなく、なぜ今この課題設定なのかまで言えるようにしておきましょう。
入れ替わりの速さを、数字で押さえる
住民基本台帳では、65歳以上が35.2%、75歳以上が20.1%。65歳以上のうち半数を超える人が、すでに75歳以上です(令和8年1月1日現在)。
計画が「支える世代」と呼ぶ60代から70代の層が薄くなっていくとき、自治会や見守りの活動を誰が担うのか。行政が肩代わりするのか、担い手そのものを作り直すのか。
志望動機を福祉やまちづくりに置くなら、この分かれ道に自分の答えを持っておいてください。
計画の中身は現行版の本文で確かめる
本記事が扱っているのは、市が公表している計画の課題認識と、採用試験の受験案内で確かめられる範囲までです。
計画は改定のたびに施策も指標も変わりますので、志望分野の中身に踏み込むなら、名張市公式サイトで現行版の本文を開き、自分の関心のある分野がどの章に置かれているかを確かめてください。章の位置が頭に入っていれば、「どんな仕事に取り組みたいか」を聞かれたときの答えが一段具体になります。
POINT|「住みやすいまち」を、そのまま志望動機にしない
住みやすいから志望した、という話は誰にでも言えます。名張市で一段深く入るなら、住むための市として育ったことが今どんな課題を生んでいるか、まで踏み込んでください。まとまって入居した世代がまとまって高齢になり、まとまって空き家が出ます。その連なりを自分の言葉で説明できれば、計画の課題認識と自然に重なります。
悪い例「住みやすいまち名張市で、市民の暮らしを支える仕事がしたいです」
改善例「名張市は1960年代から住宅地として大きくなったと聞きました。同じ時期に入られた方が一緒に年を重ねていますので、これから空き家も増えていくのだと思います。住み替えや、地域の担い手が減っていく部分を支える仕事に関わっていきたいです」
あわせて確認したい公式資料
名張市は日程ごとに受験案内が分かれています。まず自分が受ける日程のものを開くこと。総合計画は、そのあとで課題を示した章から読むと頭に入ります。
- 自分が受ける日程(A日程・B日程・C日程)の名張市職員採用候補者試験の受験案内
- 総合計画「なばり新時代戦略」の現行版(とくに課題認識を示した章)
- 三重県人口減少対策方針(県全体の人口の見通しを押さえるため)
- 三重県南海トラフ地震被害想定(内陸側で想定される被害の見込みを知るため)
なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。
当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、名張市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。名張市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。
第2部|面接対策編
名張市役所の面接の概要
ここからは、令和8年度A日程の受験案内で確かめられる名張市の選抜の形と、そこから読み取れる準備の重心を整理していきます。
名張市役所の試験の流れ
名張市の職員採用候補者試験は、名張市職員試験委員会が実施しています。令和8年度はA日程・B日程・C日程の3つに分かれ、A日程が一般事務職(職務経験者・上級・中級)と土木技術職(職務経験者・上級・中級)を対象としています。
この日程で目を引くのは、第1次試験の段階ですでに集団面接が置かれていることです。筆記だけで第1次試験を通過する形ではありません。
| 項目 | 内容(令和8年度・A日程) |
|---|---|
| 日程の区分 | 令和8年度はA日程・B日程・C日程の3区分。A日程=一般事務職(職務経験者・上級・中級)および土木技術職(職務経験者・上級・中級)、B日程=土木技術職(学校推薦枠)、C日程=一般事務職(初級)、土木技術職(初級)、消防職、救急救命士、障害者対象一般事務職 |
| 第1次試験 | 【筆記試験】全職種の試験科目は基礎能力検査、性格検査。会場は全国に設置されるテストセンター(オンライン会場を含む)のうち受験者が選択した会場で、日時も受験者が選択。【集団面接】会場は名張市役所 |
| 第2次試験 | 第1次試験合格者を対象に名張市役所で実施。試験科目は個人面接(全職種)、作文試験(全職種)、集団討論(一般事務職のみ) |
| プレゼンテーション | 一般事務職(職務経験者)の個人面接では、プレゼンテーションの時間が設けられます。題などの詳細は、第1次試験結果通知の際に合格者へ通知されます |
| 筆記の方式 | 令和8年度からSPI3を導入するとともに、全国のテストセンター(オンライン会場を含む)で受験できるテストセンター方式へ変更されました |
| 各種目の配点 | 受験案内に、配点・満点の記載はありません |
| 提出書類 | 第1次試験合格者は、別途指定する日までに最終学校卒業(見込)証明書、資格証、免許証の写し等を提出します(詳細は第1次試験結果通知の際に通知) |
| 申込方法 | インターネット(パブリックコネクト)のみで、郵送および持参による受付はありません。マイページのプロフィール編集で基本情報・職歴(これまでの職歴全て)・学歴等を登録し、「学部名・自己PR欄は任意になっていますが、必ず入力してください」と案内されています |
| 併願 | A日程・B日程・C日程を併願受験することはできません。ただしエントリーしただけで一切の試験を受験しなかった場合は、未受験者として他の日程の試験を受験できます |
| 採用予定人数 | 一般事務職(職務経験者)8名程度、一般事務職(上級・中級)10名程度、土木技術職(職務経験者)3名程度、土木技術職(上級・中級)3名程度 |
| 採用日 | 一般事務職(職務経験者)および土木技術職(職務経験者)は令和8年10月1日、令和9年1月1日、令和9年4月1日から選択でき、申込時に希望を確認しますが合否には影響しません。それ以外の職種の採用日は令和9年4月1日です |
| B日程・C日程の流れ | B日程はエントリーシート審査、筆記試験(テストセンター方式)、集団面接、個人面接。C日程は筆記試験(テストセンター方式)、集団面接・体力検査(消防職のみ)、個人面接・作文試験・集団討論。各科目がどの試験段階に属するかの内訳は、各日程の受験案内でご確認ください |
配点は公表されていませんが、人と向き合う場面の多さは並べれば分かります。A日程の一般事務職は、第1次試験で集団面接、第2次試験で個人面接と集団討論。
ひとつの選考のなかで、集団の中での振る舞いを二度、一対一の受け答えを一度、それぞれ別の形で確かめられます。職務経験者はここにプレゼンテーションが加わり、作文試験も全職種にあります。
話す力と書く力が、別々の場面で問われる設計です。
上記の試験構成は、名張市が公表している令和8年度名張市職員採用候補者試験のA日程の受験案内および採用ページにもとづく内容です。名張市の試験は名張市職員試験委員会が実施しており、伊賀市の試験(伊賀市職員採用試験委員会)とは別の枠組みです。申込に用いるパブリックコネクトは民間の申込プラットフォームで、近隣自治体との共同実施を意味するものではありません。B日程・C日程は科目の内訳が異なりますので、受験の際は必ずご自身の日程の最新の受験案内をご確認ください(出典:令和8年度名張市職員採用候補者試験受験案内(A日程)|令和8年度/名張市職員採用試験のご案内|令和8年度)
名張市役所が求める人物像
名張市の採用ページとA日程の受験案内には、求める人物像や求める職員像として公表された文言は置かれていません。手がかりになるのは、選考のなかに人と向き合う場面がどれだけ置かれているか、そして申込の段階で何を書かせているかです。
以下は、日程の組み方から逆算した見立てです。第1次試験で集団面接を通し、第2次試験で個人面接と集団討論を課します。
この並びからは、集団のなかでどう振る舞うかを、選考の早い段階から確かめておきたいという意図が読み取れます。加えて名張市は、申込時のマイページでこれまでの職歴すべてと学歴の登録を求め、任意欄である学部名と自己PRについても必ず入力するよう案内しています。
面接が始まる前に、自分で書いた自己PRが相手の手元に置かれているという前提で臨むのが安全です。
市の課題も重ねておきます。人口7万人台で、総合計画は支える世代の減少と支えられる世代の増加、ニュータウンの空き家を課題に据えています。
行政の側だけで片づく話ではなく、自治会や地域の団体、住民自身と一緒に動かす仕事が増えていく領域です。すでに動いている地域の輪に入り、そこで役割を持てる人が重く見られる場面は、この先も増えていくと見てよいと思います。
集団面接と集団討論という2つの場面は、その適性を確かめるのに向いた形式でもあります。
だからこそ、この試験で先に整えるべきなのは、当日の受け答えより申込のときに書く内容のほうです。自分で書いた自己PRが選考の途中で参照されうる以上、そこに書いた自分と当日話す自分がずれれば、それ自体が目につきます。
書く前に経験を並べ、書いたものを暗記するのではなく、書いた内容を口で説明できるところまで持っていきましょう。この順番が、名張市の選考の形に合っています。
想定される質問
面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる
当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。名張市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。
| カテゴリー | 代表質問 | ここで見られていること |
|---|---|---|
| ① 導入・アイスブレイク | 今日はどちらから来られましたか | 第1次試験の集団面接で、他の受験者が並ぶ場でも普通に話せるか |
| ② 動機・志望 | 三重県内にも市役所は多くありますが、名張市を選んだ理由は何ですか | 通勤圏として関西側へ開いた市であることを、志望の理由に織り込めているか |
| ③ 自己理解 | 申込のときに書いた自己PRを、口頭で説明してもらえますか | 任意欄でも必ず入力するよう案内されている自己PRが、そのまま質問の起点になる |
| ④ 経験・行動 | 意見の違う相手と、ひとつの結論を出した経験を教えてください | 第2次試験の集団討論と地続きの質問。押し切ったのか、間に立ってまとめたのか |
| ⑤ 学業・経歴 | これまでの職歴や学びのなかで、名張市の仕事に近いと感じるものはありますか | マイページに登録した職歴と学歴から、そのまま掘られる領域 |
| ⑥ 適性・将来 | 地域の団体や自治会と一緒に進める仕事もありますが、どう関わりますか | 支える世代の減少という市の課題を、あらかじめ想像できているか |
| ⑦ 公共性・社会性 | 最近気になった、住まいや地域に関わるニュースはありますか | 空き家や住宅団地の高齢化という市の論点に、自分の関心をつなげられるか |
ただ、この7つで差がつくことはあまりありません。受験者全員が対策してくる領域だからです。
では、どこで差がつくのか。それが次の「名張市ならでは」の質問です。
合否を分けるのは「名張市役所ならでは」の質問
どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「名張市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。
| 質問テーマ | 知っておきたい名張市の事実 | 答え方のヒント |
|---|---|---|
| 人口と年齢構成 | 住民基本台帳の人口73,241人は三重県内14市で8番目。65歳以上35.2%・75歳以上20.1%で県全体の30.6%・18.2%を上回り、65歳以上25,761人のうち14,725人が75歳以上(令和8年1月1日現在) | 割合を言うだけで終えず、高齢の市民の半数以上がすでに75歳以上だという内訳まで示すと、総合計画の課題認識と話がつながります |
| なぜ県庁ではなく市役所か | 接している5自治体のうち3つは奈良県の市町村。1960年代以降、近鉄大阪線の開通と大規模住宅開発を背景に関西圏のベッドタウンとして発展した | 住民に近いという一般論の先に、生活圏が県境をまたぐ市では住民の困りごとが三重県の枠に収まらないという条件を足します |
| 総合計画 | 「なばり新時代戦略」(2023年度から)。支える世代(60代から70代)の減少、支えられる世代(75歳以上)の増加、ニュータウンの空き家増加を課題に掲げる | 計画名を挙げるだけでなく、なぜ今この課題設定なのかを市の成り立ちから説明すると、読んできた人の答えになります |
| 住宅団地の高齢化 | 人口は2000年をピークに減少し、2001年以降は転出超過が続く。まとまって供給された住宅が、まとまって年を取る局面にある | 空き家対策という言葉で止めず、住み替え、相続、地域の担い手のどれに関心があるかまで絞ると、配属後の話に近づきます |
| 選考の形 | A日程は第1次試験に筆記と集団面接、第2次試験に個人面接・作文試験・集団討論(一般事務職のみ)。職務経験者の個人面接にはプレゼンテーションがある | 自分がどの職種と日程で受けるのかを踏まえて準備の配分を語れると、案内を読み込んでいることが伝わります |
使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。
想定される評価の観点
面接は、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。名張市は求める人物像を公表していませんので、ここでは公表されている選考の形から逆算した3つの観点を挙げます。
| 評価の観点 | 面接でどう確かめられるか | 準備のポイント |
|---|---|---|
| 集団のなかで役割を取れるか | 第1次試験の集団面接と、第2次試験の集団討論(一般事務職のみ)での振る舞い | 二度あるということは、一度目の印象だけで終わらないということです。仕切る側でも支える側でもよいので、自分がどちらを取りやすいかを自覚しておきましょう |
| 書いたことを口で説明できるか | 申込時のマイページに登録した自己PR・職歴・学歴と、面接での説明が一致しているか | 自己PR欄は任意ですが、必ず入力するよう案内されています。提出前に読み返し、掘られたときに補足できる状態にしてください |
| 地域と一緒に動く力 | 自治会や地域の団体のように、すでにある集まりと関わった経験があるか | 総合計画は支える世代の減少を課題に挙げています。自分が主役だった話でなくてよいので、地域や組織のなかで誰かを支えた場面を用意しておきましょう |
なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。
本番までの準備6ステップ
ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。
- 自分が受ける日程(A日程・B日程・C日程)を先に決める。3つの日程は併願できず、いったん受験すると他の日程には進めない
- 申込はパブリックコネクトからのみです。マイページで職歴すべてと学歴を登録し、任意欄の学部名と自己PRも必ず埋める
- 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
- 自分が書いた自己PRを声に出して読み、掘られそうな箇所に補足を書き足しておく
- この記事の前半から名張市の事実を2つか3つ選び、集団討論でも個人面接でも出せる形に短くまとめる
- 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく
優先順位に注意
ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2で申込の内容を作り込み、ステップ4で自分の自己PRを口で言える状態にするほうを先にしてください。書いた内容が選考の途中で参照されうる試験では、そこが土台になります。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。
なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、名張市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。
名張市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。
さいごに
名張市のA日程は、第1次試験の段階で集団面接があり、第2次試験では個人面接と作文試験、一般事務職ならさらに集団討論が待っています。職務経験者にはプレゼンテーションも加わります。
配点は公表されていませんが、人と向き合う場面がこれだけ置かれている試験で、話す準備を後回しにする余裕はありません。関西圏のベッドタウンとして育った市が、その育ち方ゆえの局面に入っています。
そこで自分は何を担いたいのか。申込のときに書いた自己PRから話を起こし、集団の場でも一対一の場でも同じことを言えるようにしておきましょう。
そこまで来れば、この試験の形には十分に合っています。