本記事では、伊賀市職員採用試験の面接対策で必要な、伊賀市の特徴・基礎データ・行政課題・重点政策・面接の流れ・想定される質問・評価の観点についてまとめています。

伊賀市役所の面接試験では、「なぜ伊賀市を志望したのか」「市職員として何に取り組みたいのか」「自分の強みや経験を市政でどう活かしたいか」といった、自治体への理解を前提とする質問が想定されます。

伊賀市の事務職は、前期日程の場合、第1次試験がテストセンター方式の適性検査で、第2次試験と第3次試験がどちらも個別面接です。市が公表する実施状況のページを見ると、段階ごとの通過率は第1次が71.6%、第2次が55.8%、第3次が60.0%で、面接の段階のほうが1回あたりの通過率は低くなっています。

高齢化率が県平均を上回り、3つの府県と境を接する広い市域を持つ市。その条件から押さえていきましょう。

第1部|自治体研究編

伊賀市の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは伊賀市の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 住民基本台帳の人口は83,351人で、三重県内14市のうち7番目の規模です(令和8年1月1日現在)。
  • 市域は558.23km²と広く、人口密度は149人/km²です。
  • 接している自治体は7つあり、うち4つは滋賀県・京都府・奈良県の市町村です。亀山市・津市・名張市のほか、滋賀県甲賀市、京都府相楽郡南山城村、奈良県の奈良市・山辺郡山添村と境を接しています。
  • 65歳以上の割合は34.4%、75歳以上は20.3%で、三重県全体の30.6%・18.2%をいずれも上回ります(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)。
  • 伊賀上野城跡の南には城下町の町並みが残ります。江戸時代には、京都・奈良と伊勢を結ぶ要衝として城下町・宿場町が栄えました。
  • 上野天神祭のダンジリ行事は、2016年にユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の一つとして登録されています。
  • 伊賀市は忍者発祥の地とされ、「忍者市宣言」を行っています。
  • 気象庁の津地方気象台は、三重県内の気候区分で上野盆地を典型的な内陸盆地気候としています。
  • 市の花はササユリ、市の木はアカマツ。市役所は伊賀市四十九町3184番地にあります。
  • 職員採用試験は伊賀市職員採用試験委員会が実施しています。名張市の試験(名張市職員試験委員会)とは別の枠組みです。

伊賀市の基礎データ

面接に向けた自治体研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「伊賀市の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

伊賀市の数字は、人口8万人台という規模と、558.23km²という市域の広さ、そして県平均を上回る高齢化率の3つを重ねると輪郭が出ます。人が広く分かれて暮らし、その中の3分の1が65歳以上。市政の優先順位は、この構図から決まっていきます。

項目内容
総人口83,351人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳。三重県内14市で7番目)
65歳以上人口28,653人(34.4%。三重県全体は30.6%)
75歳以上人口16,954人(20.3%。三重県全体は18.2%)
総面積558.23km²
人口密度149人/km²(上記の総人口と総面積から算出)
隣接自治体亀山市・津市・名張市、滋賀県甲賀市、京都府相楽郡南山城村、奈良県奈良市・山辺郡山添村
市役所所在地伊賀市四十九町3184番地
(参考)三重県の人口1,724,891人(令和8年1月1日現在の住民基本台帳)
(参考)三重県の総面積5,774.49km²(全国25位)

総人口と65歳以上・75歳以上の人口および割合は、総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」の令和8年1月1日現在の値です。三重県全体の数値も同じ統計によるもので、割合の分母にもこれを用いています。県が別に公表している推計人口や国勢調査の結果は調査の基準が異なりますので、これらの数値と並べて増減を計算することはできません。総面積・隣接自治体・市役所所在地は、当研究会が整理した基礎データによります。人口密度は、この住民基本台帳人口を総面積で割って算出した値です。三重県の総面積は令和2年10月1日時点の県公表値です。

数字から考えられる市政課題

伊賀市の年齢構成は、三重県全体より高齢化の進んだ側にあります。65歳以上が34.4%、75歳以上が20.3%。

県全体の30.6%・18.2%を、どちらも上回っています。一方、県が示す見通しでは、高齢化率が令和2年の29.9%から令和22年には36.9%へ上がり、生産年齢人口が約103万人から約79万人へ縮むとされています(出典:三重県人口減少対策方針|令和5年8月)。

この推計は国勢調査を基準にしたもので、先ほどの住民基本台帳の数値とは分母が異なりますから、水準をそのまま並べることはできません。読み取るべきは方向のほうです。

県全体がこれから向かう年齢構成に、伊賀市はすでに片足を踏み入れています。

県が課題に挙げるのは、進学や就職を機に県外へ出る若い世代です。転出超過数の約8割を15歳から29歳が占めます(同方針)。

伊賀市の場合、接している7自治体のうち4つが滋賀県・京都府・奈良県にあるという条件が、この話に別の色をつけます。通学も通勤も、県境の向こう側が現実的な選択肢に入る位置にあるからです。

面接で伊賀市の現状を語る場面を想定して、一例を示します。

「伊賀市は65歳以上の割合が3割を超えていて、三重県全体より高いと知りました。しかも奈良や京都、滋賀と隣り合っているので、通勤や通学で県の外へ出る人も多いのではと感じています。出ていく理由をなくすというより、一度出た人が戻ってくる理由を作る仕事に関わりたいです」

伊賀市の経済・産業

ものづくりの県という背景

三重県の製造品出荷額等は令和2年で約10兆円、全国順位は9位です(全国に占めるシェアは約3.5%)。県が挙げている主な分野は、電子部品・デバイス・電子回路が約1.7兆円で全国1位、輸送用機械器具が約2.6兆円で全国6位、化学工業が約1.2兆円で全国9位(出典:三重県の製造業(工業統計・経済センサス)|令和2年)。

挙げられた3分野のなかで金額が最も大きいのは輸送用機械器具の約2.6兆円で、企業の立地相談や雇用の支援といった市の仕事は、この土台の上に置かれています。

資源はあるが、数字はこれからという観光

令和6年の三重県の観光レクリエーション入込客数は35,082千人でした。地域別の内訳は、北勢が14,262千人、伊勢志摩が10,872千人、中南勢が5,844千人、伊賀が2,385千人、東紀州が1,719千人です(出典:三重県観光レクリエーション入込客数|令和6年)。

県内で最も入込の多い北勢と比べると、伊賀への入込はおよそ6分の1の水準です。ユネスコ無形文化遺産に登録された行事があり、城下町の町並みが残り、忍者発祥の地ともされています。

資源は揃っているのに、数字にはまだ厚みが出ていません。観光を志望分野に選ぶなら、この差をどう埋めるかという問いの形で準備しておきましょう。

3つの府県に開いた市域

伊賀市が接する7つの自治体のうち、滋賀県甲賀市、京都府相楽郡南山城村、奈良県の奈良市と山辺郡山添村の4つは県外にあたります。江戸時代に京都・奈良と伊勢を結ぶ要衝として城下町・宿場町が栄えたのも、この位置の帰結です(参考:伊賀市の歴史と城下町|伊賀市公式サイト)。

市域の外との行き来が、昔も今もこの市の性格を決めています。生活圏が府県境を越えるということは、通勤や買い物だけでなく、道路や河川、消防や医療の応援といった実務でも他県の団体と向き合う場面があるということです。

市役所の仕事を市民との距離の近さだけで語ると、この面が抜け落ちます。

伊賀市の主な行政課題

県平均を上回る高齢化、558.23km²という市域、3つの府県との県境、そしてユネスコに登録された行事。伊賀市の課題は、この4つの条件のどれかに必ず紐づいています。面接で「市の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の4つを押さえておきましょう。

高齢の市民が、広い範囲に分かれて暮らす

65歳以上が34.4%、75歳以上が20.3%という構成を、558.23km²の市域と重ねてください。人口密度は149人/km²です。

支援を必要とする人が、車で移動しなければ届かない距離に散らばっているという条件は、行政サービスの設計に直結します。通院も買い物も窓口も、距離がそのまま費用になるからです。

伊賀市が公表している事務職の主な業務内容に「地域福祉の推進」が並んでいるのは、この条件と無関係ではないはずです(出典:令和8年度伊賀市職員採用試験募集要項【前期日程】|令和8年度)。

職種によって、集まる人数がまったく違う

令和8年度前期日程の実施状況を見ると、土木技術職(上級)は申込3名に対して第1次試験の受験が2名、合格は0名でした。職務経験者を対象とする土木技術職は、申込そのものが0名です。

一方、事務職(上級)には102名の申込がありました(出典:令和8年度伊賀市職員採用試験の実施状況|令和8年度前期日程)。同じ市の同じ日程でも、職種によって応募の集まり方は大きく違います。

広い市域の道路や水路を維持するには人が要りますから、技術職の受験を考えているなら、この数字そのものが志望動機の材料になります。

登録された祭りを、次の世代へ渡せるか

上野天神祭のダンジリ行事は、2016年にユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の一つとして登録されました。全国33件の行事がまとめて登録された、そのうちの一つです(出典:上野天神祭のダンジリ行事|伊賀市公式サイト)。

登録は保存の到達点ではなく、担い手を確保し続ける責任の始まりでもあります。城下町の町並みが残る場所で大規模な行事を毎年続けるには、人手と、当日の安全の両方が要ります。

高齢化が県平均より進んだ市で、地域の行事を次の世代へ渡していけるか。文化を志望分野にするなら、この問いを避けないでください。

揺れと、孤立への備え

令和8年3月に公表された三重県の南海トラフ地震被害想定は、理論上最大クラス(L2)における県全体の被害を、死者約50,000人、建物の全壊・焼失約222,000棟と見込んでいます。全壊・焼失のうち約152,000棟は揺れによるもので、死者のうち約41,000人は津波によるものです(出典:三重県南海トラフ地震被害想定|令和8年3月)。

気象庁の津地方気象台が典型的な内陸盆地気候と説明する上野盆地にある市ですから、備えの中心になるのは揺れと、道路が寸断されたあとの孤立です(参考:三重県の気候の特徴|気象庁津地方気象台)。同じ被害想定は今回、先に起きた地震のあとで残りの想定震源域が動く「半割れケース」も新たに想定へ加えたとしています。

広い市域と、一度で終わらない前提。この2つを合わせて考えるのが伊賀市の防災です。

伊賀市の重点政策|文化を継ぐことと、広い市域を回すこと

伊賀市が公表している令和8年度職員採用試験募集要項【前期日程】と前期日程のページには、求める人物像として定型化された文言や、総合計画の名称は置かれていません(2026年8月時点・当研究会調べ)。その代わり、市が公表している事務職の業務内容と、市域が抱える文化資源からは、市として守り育てたいものがはっきり読み取れます。

登録されたのは、人の営みそのもの

上野天神祭は毎年秋に行われ、そのダンジリ行事が2016年にユネスコ無形文化遺産へ登録されました。登録の対象は建物でも道具でもなく、地域の人が毎年続けてきた行事そのものです。

ここが文化財行政の難しいところで、守る対象が人の営みである以上、担い手がいなくなれば形も残りません。伊賀上野城跡の南に残る城下町の町並みも同じ構造で、建物を残すことと、そこに人が住み続けることは別の課題です。

文化の分野を志望するなら、修理や指定の話だけでなく、人をどう残すかという側まで踏み込んでおきましょう。

事務職の仕事として市が挙げているもの

伊賀市は募集要項のなかで、事務職の主な業務内容を「各種施策の企画立案・実施、庶務、経理、地域福祉の推進、課税の賦課業務などさまざまな分野での幅広い業務」と公表しています(令和8年度伊賀市職員採用試験募集要項【前期日程】)。

並びを見てください。企画も、経理も、福祉も、税も入っています。

人口8万人台で558.23km²の市域を持つ自治体では、一人の職員が複数の分野を渡り歩くのが前提だということです。志望動機で分野を絞り込みすぎると、この前提と噛み合いません。

判断の材料を先に出す市

伊賀市は、前期日程の実施状況を職種ごとに、申込者数から各段階の受験者数・合格者数・倍率まで公表しています。給与の目安も、上級(大学卒)で採用1年目が月額232,000円・年収4,034,045円程度、5年目が月額251,700円・年収4,770,661円程度、10年目が月額283,200円・年収5,312,371円程度という形で示されています(いずれも令和8年4月1日時点。同募集要項)。

受ける側が自分で判断するための材料を先に出すという姿勢が、ここに表れています。受験者の側も、その材料を読んだうえで応募したのかどうかを問われると考えておきましょう。

POINT|倍率の数字を、面接の話に変える

伊賀市が公表している実施状況は、そのまま準備の設計図になります。事務職(上級)は第1次試験の受験88名に対して合格63名。そこから第2次で24名、第3次で12名まで絞られました。段階ごとの通過率にすると71.6%→55.8%→60.0%で、個別面接の2段階のほうが1回あたりの通過率は低くなります。この数字を見たうえで、自分は面接の練習に何時間を割くのか。そこまで決めて、はじめて数字を読んだことになります。

悪い例「伊賀市の倍率が高いことは調べてきました」

改善例「市が公表している実施状況のページを見て、通過率が第1次の71.6%から第2次で55.8%まで下がる試験だと分かりました。それで、自分の経験を人に話して質問してもらう練習に、いちばん時間を使ってきました」

あわせて確認したい公式資料

伊賀市は自前の採用専用サイトを持っています。まずはそこにある募集要項を最後まで読み、そのあとで市の計画へ進んでください。計画は改定のたびに名称も期間も変わりますので、必ず現行版を開くことです。

  • 令和8年度伊賀市職員採用試験の募集要項(自分が受ける職種の試験科目)と、市が公表する実施状況のページ(各段階の受験者数・合格者数・倍率)
  • 伊賀市の総合計画と、直近年度の予算に関する市の説明資料の現行版
  • 上野天神祭のダンジリ行事に関する市のページ(無形文化遺産としての位置づけを知るため)
  • 三重県人口減少対策方針(県全体の人口の見通しを押さえるため)

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、伊賀市役所専用の面接想定問答集をご用意しています。伊賀市の採用面接で問われる可能性がある質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

伊賀市役所の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

伊賀市役所の面接の概要

ここからは、令和8年度前期日程の募集要項と実施状況で確かめられる伊賀市の選抜の形と、そこから読み取れる準備の重心を整理していきます。

伊賀市役所の試験の流れ

伊賀市の職員採用試験(前期日程)は第1次から第3次までの3段階です。ただし土木技術職だけは第2次試験が最終試験で、第3次試験がありません。

第1次試験は全職種が総合適性検査(SPI3)で、会場も日時も、受験者が全国のテストセンターから選ぶ方式が採られています。第2次試験と第3次試験は、いずれも個別面接が中心です。

項目内容(令和8年度・前期日程・令和9年4月1日採用)
試験の段階第1次試験→第2次試験→第3次試験の3段階。ただし土木技術職は第2次試験が最終試験で、第3次試験はありません
第1次試験全職種で総合適性検査(SPI3)※テストセンター方式。科目内容は「職務遂行に必要な総合的な基礎能力についての択一式による試験」。事務職・土木技術職はSPI3-U、保育士はSPI3-Hを使用し、会場は全国のテストセンターから受験者が日時を選択
第2次試験事務職=個別面接。保育士=個別面接および保育実技(ピアノ弾き歌い、絵本読み聞かせ。ピアノの課題曲は受験者に事前通知)。土木技術職=個別面接
第3次試験事務職・保育士ともに個別面接
面接の内容「志望動機や自己PR、人柄などについて個別に面接を行います」と明記
集団形式令和8年度前期日程の募集要項に、集団面接・集団討論の記載はありません
各種目の配点同募集要項に、配点・満点の記載はありません
提出書類同募集要項に、面接カード等の提出書類の記載はありません
採用予定人数事務職(上級)12名程度、事務職〔職務経験者対象〕3名程度、土木技術職(上級)若干名、土木技術職〔職務経験者対象〕若干名、保育士6名程度
申込方法原則として「伊賀市職員採用専用サイト」からの電子申請
結果の通知合否の結果は受験者全員に通知され、あわせて伊賀市ホームページに合格者の受験番号が掲載されます

配点は公表されていませんが、実施状況が職種ごとに公表されているため、そこから重心を読めます。令和8年度前期日程の事務職(上級)は、申込102名に対して第1次試験の受験が88名、合格が63名(倍率1.40)。

第2次試験は受験43名・合格24名(1.79)、第3次試験は受験20名・合格12名(1.67)でした。第1次試験を通った63名のうち、最終合格まで残るのは12名です。

事務職〔職務経験者対象〕は申込19名から最終合格3名、保育士は申込16名から最終合格5名でした。段階ごとの通過率は71.6%→55.8%→60.0%で、個別面接にあたる第2次・第3次のほうが1回あたりの通過率は低くなります。

上記の試験構成は、令和8年度伊賀市職員採用試験【前期日程】(令和9年4月1日採用)の募集要項と、市が公表している同日程の実施状況にもとづく内容です。伊賀市の試験は伊賀市職員採用試験委員会が実施しており、名張市の試験(名張市職員試験委員会)とは別の枠組みです。広域の呼称である「伊賀地域」とも区別してください。試験の構成・日程・配点等は年度や日程、受験する職種によって変わりますので、受験の際は必ずご自身の職種の最新の試験情報をご確認ください。

伊賀市役所が求める人物像

伊賀市が公表している募集要項と前期日程のページには、求める人物像として定型化された文言は置かれていません(2026年8月時点・当研究会調べ)。ただし面接の内容については「志望動機や自己PR、人柄などについて個別に面接を行います」と明記されており、何を確かめる場なのかは示されています。

ここからは、公表された倍率の数字を手がかりにした推論です。事務職(上級)は第2次と第3次で個別面接を重ね、63名から12名まで絞られました。

同じ形式の面接を二度置く設計は、一度目で幅広く確かめ、二度目で深く掘るという役割分担と結びつきやすいものです。一度目に話した内容が、そのまま二度目の質問の出発点になると想定しておけば、準備の焦点は自然に定まります。

市の規模と市域も合わせて見ておきます。人口8万人台で558.23km²、市が公表する事務職の業務内容には企画立案から経理、地域福祉、課税まで並びます。一人の職員が受け持つ分野が、年数を追うごとに横へ広がっていく職場だと読めます。

加えて、接している自治体の半数以上が県外という位置ですから、市域の外の団体と話す場面も想定されます。未経験の分野に当たったとき、手をつける順番を自分で決められる人。

派手な実績より、そうした地力のほうが長く役に立つ職場でしょう。

そのうえで気に留めたいのが、伊賀市の試験には提出書類の指定がなく、面接の内容が「志望動機や自己PR、人柄など」と広く書かれていることです。書類で先に自分を説明する機会がない分、二度の個別面接で語る内容そのものが判断の材料になります。

だからこそ、想定される答えのほうから逆算して話を作るのは危険です。手持ちの経験を先に並べ、そのうち市の仕事とつながるものを前に出す。

この順番なら、二度目に掘られても答えが動きません。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。伊賀市の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク会場までは迷わずに来られましたか第1次試験を自分で選んだ会場で受けてきた人が、今日は市役所にいる。その切り替えの自然さ
② 動機・志望三重県内にも市役所は多くありますが、伊賀市を選んだ理由は何ですか近隣の市との違いを、自分の言葉で言い分けられているか
③ 自己理解人からどんな人だと言われることが多いですか募集要項が面接で確かめるとしている「人柄」に、正面から当たる質問
④ 経験・行動まわりを巻き込んで何かを続けた経験はありますか地域の行事を担い手ごと引き継いでいく仕事と重なる観点
⑤ 学業・経歴これまで学んだことのなかで、行政の仕事に近いと感じるものはありますか企画から経理、福祉、税まで幅の広い事務職の業務と、自分の学びの接点
⑥ 適性・将来市域が広く、担当も変わっていきますが、どう働きますか558.23km²という市域と、分野をまたぐ配属をあらかじめ想像できているか
⑦ 公共性・社会性最近気になった、地域に関わるニュースはありますか第1次試験のSPI3では測られない、社会への関心の出しどころ

もっとも、ここまでの質問はどの受験先でも誰かが準備してきます。受験者全員が対策してくる領域なので、ここでは大きな差がつきにくいのです。

では、どこで差がつくのか。それが次の「伊賀市ならでは」の質問です。

合否を分けるのは「伊賀市役所ならでは」の質問

「なぜ三重県庁ではなく、伊賀市役所なのですか」
「伊賀市の魅力と課題を、それぞれ挙げてください」

どちらも市の現状を知らなければその場では答えようがない質問ですが、逆に言えば、材料さえ持っていれば、他の受験者との違いをはっきり示せる質問でもあります。こうした質問に答えるための「伊賀市の事実」を、面接で使いやすいものに絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい伊賀市の事実答え方のヒント
人口と年齢構成住民基本台帳の人口83,351人は三重県内14市で7番目。65歳以上34.4%・75歳以上20.3%は、県全体の30.6%・18.2%を上回る(令和8年1月1日現在)県平均より高齢化が進んでいることを事実として先に置き、そのうえで558.23km²の市域と重ねると、移動を伴うサービスの話へ進めます
なぜ県庁ではなく市役所か接している7自治体のうち4つは滋賀県・京都府・奈良県の市町村。江戸時代には京都・奈良と伊勢を結ぶ要衝として城下町・宿場町が栄えた住民に近いという一般論の先に、3つの府県と隣り合う市では調整の相手が県外に及ぶという条件を足すと、位置まで調べた答えになります
上野天神祭とダンジリ行事2016年にユネスコ無形文化遺産「山・鉾・屋台行事」の一つとして登録。登録の対象は、地域の人が続けてきた行事そのもの登録された行事があるという紹介で止めず、登録後も担い手を確保し続ける必要があるという課題まで進めると、行政の側から見た話になります
選考の実施状況令和8年度前期日程の事務職(上級)は申込102名、第1次試験の合格63名、第2次24名、第3次12名。段階ごとの通過率は71.6%→55.8%→60.0%倍率を暗記した話にせず、面接の段階のほうが1回あたりの通過率は低いと読み取ったうえで、自分がどう準備してきたかへつなげます
観光の厚み令和6年の県の観光入込客数35,082千人のうち、伊賀は2,385千人。北勢の14,262千人と比べるとおよそ6分の1資源はあるが数字はこれからという現状を認めたうえで、どの層に何を届けるかという具体へ進めると、施策の話になります

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 市職員としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

面接は、これまでに実際どう行動してきたかを確かめる場です。いわゆるコンピテンシー評価が基本にあり、答えの美しさではなく、経験の中身と行動の再現性が見られています。伊賀市は求める人物像を公表していませんので、ここでは公表されている選抜の形から逆算した3つの観点を挙げます。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
二度の面接で同じ答えを出せるか第2次試験で話した内容と、第3次試験で語る内容がそろっているか提出書類の指定がない分、話した内容そのものが記録になります。エピソードを増やすのではなく、同じ話を掘り下げる方向で準備しましょう
分野をまたいで働く力担当外の仕事を引き受けた経験や、畑違いの相手と組んだ経験があるか市が公表する事務職の業務には企画立案から経理、地域福祉、課税まで並びます。1つの専門で押し切る話より、越境した場面のほうがこの市では効きます
続いている輪に入る力すでに動いている集まりに後から加わり、役割を持った経験があるか毎年続く行事や地域の活動が多い市です。ゼロから立ち上げた話がなくても、既存の輪の中で自分が担った役割を語れれば十分な材料になります

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

伊賀市は個別面接が二度ある分、この傾向はより強く出ます。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 伊賀市職員採用専用サイトで最新の募集要項を開き、自分が受ける職種に第3次試験があるかどうかを確認する(土木技術職は第2次試験が最終試験です)
  2. 第1次試験は会場と日時を自分で選ぶ方式です。予約枠が埋まる前に受験日を決めてしまう
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 市が公表する実施状況のページを読み、第1次試験を通過したあとに人数がどう絞られるかを自分の目で確かめる
  5. この記事の前半から伊賀市の事実を2つか3つ選び、二度の個別面接で同じ話を掘り下げられる形にまとめておく
  6. 声に出して練習し、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく

優先順位に注意

ステップ5の自治体研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ4で選考の実像をつかんだうえで、ステップ3の一言メモを埋めるほうを先にしてください。個別面接が二度ある試験では、答えの数より、一つの答えを掘られたときの深さが効きます。自分のことを語れない状態で市の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません。

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、伊賀市役所専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

伊賀市の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。特に試験本番までに時間がない方は、必要に応じてご活用ください。

伊賀市役所の想定問答集を見る

さいごに

伊賀市の事務職は、前期日程ではテストセンターで受ける適性検査のあとに、個別面接が二度あります。公表されている実施状況では、第1次試験を通った63名から最終合格の12名まで、面接の段階で人数が絞られていきました。

配点は公表されていませんが、どこに時間を使うべきかは、この数字が教えてくれます。県平均より高齢化が進み、3つの府県と境を接し、ユネスコに登録された行事を毎年続けている市で、自分は何を担いたいのか。

一度目に話したことを、二度目にもっと深く語れる。そこまで持っていければ、この試験の形には十分に合っています。