吾妻広域消防本部を受験する方に向けて、面接で問われる前提となる組織研究の材料(本部の特徴基礎データ管轄地域の特性と災害リスク消防課題重点方針)と、面接本番の流れ想定される質問評価の観点を、1ページに整理しました。

吾妻広域消防本部の面接試験では、「なぜ警察官や自衛官ではなく消防官なのか」「なぜ吾妻広域消防本部なのか」「自分の経験や強みを消防の仕事でどう活かしたいか」といった、組織への理解を前提とする質問が想定されます。標高差800mにおよぶ山岳地勢と、6つの町村に分かれる管轄の広さを知っておくと、平地の消防本部とは違う吾妻ならではの視点を交えて説明できるようになります。

本記事の掲載内容を参考に、自分の強みや関心と吾妻広域消防本部の仕事の接点を考え、面接での回答作りに役立ててください。

第1部|組織研究編

吾妻広域消防本部の特徴

本格的な面接対策をはじめる前に、まずは吾妻広域消防本部の全体像を把握しておきましょう。(時間のない方はここだけでもチェック)

  • 吾妻広域消防本部は、中之条町・長野原町・嬬恋村・草津町・高山村・東吾妻町の6町村でつくる一部事務組合「吾妻広域町村圏振興整備組合」が設置する消防本部である。職員の中核は消防吏員(消防士などの階級を持つ職員)で、119人が在籍する(うち女性3人・令和7年4月1日現在)。平成29年4月1日に現在の名称へ変更された。
  • 圏域の総面積は1,278.55km²で、群馬県の総面積の約20.1%にあたる。中央の山系によって東部(中之条町・東吾妻町・高山村)と西部(長野原町・草津町・嬬恋村)の2ブロックに分かれる。
  • 令和6年中の出動件数は火災105件・救急3,861件・救助110件で、救急が出動全体の大部分を占める。
  • 採用は構成6町村ではなく、吾妻広域町村圏振興整備組合が直接実施する試験である。第1次には組合独自の試験ではなく、群馬県町村会が実施する町村職員採用統一試験を用いる
  • 試験区分は「初級試験」の1本のみで、高卒者・大卒者を問わず同一の試験を受ける。
  • 平成30年の本白根山噴火災害では県内全消防本部への応援要請、平成16年の浅間山噴火では対策本部の設置と、火山との向き合いが本部の歴史に刻まれている。
  • 圏域内の標高差は最大800mに及び、5か所のスキー場を抱えるなど、山岳地帯としての性格を色濃く持つ。

吾妻広域消防本部の基礎データ

面接に向けた組織研究では、厳密な統計値等を大量に暗記する必要はありませんが、「吾妻広域消防本部の大体のスケール感」を知っておくことは重要です。

管内は6つの町村にまたがるため、まずは団体ごとの人口・高齢化率を押さえたうえで、職員体制・出動件数を見ていきましょう。

項目内容
管内人口49,031人(中之条町14,049人・長野原町5,018人・嬬恋村8,958人・草津町6,025人・高山村3,234人・東吾妻町11,747人の合算、令和8年1月1日現在の住民基本台帳人口)
高齢化率中之条町41.7%・長野原町41.2%・嬬恋村39.6%・草津町37.9%・高山村39.7%・東吾妻町45.5%(いずれも令和8年1月1日現在。合算・平均せず団体ごとの値)
設置形態一部事務組合(中之条町・長野原町・嬬恋村・草津町・高山村・東吾妻町の6町村で構成)
圏域面積1,278.55km²(群馬県総面積の約20.1%、令和7年4月1日現在の組合公表値)
消防吏員数119人(うち女性3人)※令和7年4月1日現在
火災出動件数105件(令和6年中)
救急出動件数3,861件(令和6年中)
救助出動件数110件(令和6年中)

管内人口・高齢化率は総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」令和8年1月1日現在によります。圏域面積は吾妻広域消防本部消防年報(令和6年度版)、消防吏員数・出動件数は総務省消防庁の全国消防本部データ検索(吾妻広域消防本部のページ)によります。

数字から考えられる吾妻広域消防の課題

表で目立つのは、火災105件に対して救急3,861件という開きです。件数の差はおよそ37倍にのぼり119人という限られた体制で、山岳地帯に散らばる要請へどう応えるかが常に問われます

もう一つ注目したいのが、6町村すべての高齢化率が37.9%以上に達している点です。最も低い草津町で37.9%、最も高い東吾妻町では45.5%に達し、群馬県全体の高齢化率31.3%(令和6年10月1日現在。出典:群馬県年齢別人口統計調査)をどの町村も大きく上回っています。

特定の町村だけが突出しているのではなく、圏域全体が一様に高い水準にあるのが吾妻広域の特徴です。

「吾妻広域消防本部の管内では、6つの町村すべてで高齢化率が4割前後に達していると聞きました。救急の出動が令和6年に4千件近くにのぼる中で、山岳地帯特有の地理条件も踏まえた対応が求められていると考えています」

管轄地域の特性と災害リスク

山々に囲まれた東西2ブロックの地勢

  • 吾妻広域の圏域は、三国山系の支系と大洞山系が接続する中央山系によって、東部(中之条町・東吾妻町・高山村)と西部(長野原町・草津町・嬬恋村)の2ブロックに分断されており、歴史・文化にも差異が見られます。
  • 圏域内の標高差は役場所在地の比較で800mに及び、気象条件も町村によって異なります。中之条町の年平均気温13.7℃・年間降水量1,323.0mmに対し、草津町は9.3℃・1,895.0mmと差があります。
  • 上信越高原国立公園を擁し、5か所のスキー場があるなど、積雪の多い西部を中心に山岳観光地としての性格を持っています。

東西で気候も地形も異なる2つのブロックを、1つの消防本部が束ねて支えているのが吾妻広域です。西部署からは草津・嬬恋・長野原、東部署(本部併設)からは中之条・東吾妻・高山という管轄の分かれ方を頭に入れておくと、配属を意識した志望動機も語りやすくなります

本白根山・浅間山との向き合い

吾妻広域は火山と隣り合う地域です。平成30年1月23日の本白根山噴火災害では、応援協定に基づき県内全消防本部へ応援要請が行われました。

平成16年9月1日の浅間山噴火では対策本部が設置されています(出典:吾妻広域消防本部消防年報(令和6年度版)

令和6年には、白根山での雪上登山中の救助要請をはじめ、蛇骨岳・湯の丸登山道・小諸市黒斑山山頂付近・四阿山山頂付近など、山岳地帯を舞台とする防災ヘリコプター要請が相次ぎ、群馬・埼玉・長野の3県の防災ヘリコプターが連携して対応にあたりました。

航空部隊との連携をめぐる沿革

平成30年8月10日、群馬県防災ヘリコプター「はるな」が中之条町大字入山地内の山中に墜落しました。令和2年7月11日には慰霊碑の建立・除幕式が行われています。

管内では平成14年3月1日に群馬県防災航空隊・草津町との合同遭難救助訓練が実施されるなど、航空部隊との連携は以前から積み重ねられてきました(出典:前掲・吾妻広域消防本部消防年報)。いずれも消防年報の沿革に記載された事実です。

吾妻広域消防本部の主な消防課題

ここまでの数字と地域の姿を踏まえると、吾妻広域消防本部が今向き合っている課題が見えてきます。面接で「消防の課題」を聞かれたときの引き出しとして、次の5つを押さえておきましょう。

救急需要の増加

救急出動は全国的に増え続けており、令和6年中は771万8,380件と集計開始以降の最多を更新しました(出典:令和7年版 救急・救助の現況

吾妻広域消防本部の令和6年中の救急出動3,861件もこの流れの中にあります。119人という体制で、高齢化率が軒並み高い6町村の要請にどう応えていくかが、日々の運用に直結します

山岳・火山災害への備え

令和6年の防災ヘリコプター要請が山岳事案中心だったことに加え、平成30年の本白根山噴火災害・平成16年の浅間山噴火という実績を踏まえると、山岳・火山への備えは吾妻広域ならではの課題です。

全国の消防本部の約99%にあたる718本部(6,661隊・令和6年4月1日現在)が加わる緊急消防援助隊の枠組みは、単独の本部では抱えきれない規模の災害への応援体制を理解するうえでの前提になります

吾妻広域も過去に新潟・福島豪雨(平成16年)や新潟県中越地震(平成16年)へ消火隊・後方支援隊を派遣した実績があります。

予防・住宅防火

令和6年中の火災105件は、救急の3,861件と比べれば少数です。

また、標高差800mの管内には市街地から高原の集落まで多様な住環境が含まれており、地域ごとに異なる予防活動の組み立てが求められます。冬場の積雪・低温という条件も、暖房器具の取り扱いなど住宅防火の啓発ポイントに直結します。

西部の草津町・嬬恋村のように冬季の観光客が多い地域と、東部の中之条町・東吾妻町のように住民中心の地域とでは、呼びかける相手も内容も変わってきます。

人材確保と女性吏員の活躍

令和7年4月1日現在の消防吏員119人のうち、女性は3人で、割合は約2.5%です。

全国平均(約3.8%・168,230人中6,386人・令和7年4月1日現在)を下回る水準にあり、国が掲げる「令和8年度当初までに5%」という目標との差はなお大きいと言えます(出典:女性消防吏員の活躍推進|消防庁

組合は女性活躍推進法の施行を受け「女性職員の活躍に関する行動計画」を策定し、消防での女性採用を積極的に進める方針を示しています

東西2ブロックにまたがる地域差への対応

中之条町・東吾妻町・高山村の東部と、長野原町・草津町・嬬恋村の西部は、気候も地形も異なります。

標高差800m・年間降水量にも大きな幅がある管内で、どちらのブロックに配属されても対応できる柔軟さが、この本部で働くうえでは欠かせません。東部署・西部署のどちらを希望するかという以前に、6町村全体への理解を持てているかが問われます。

重点方針|採用選考の設計にみる重視点

吾妻広域町村圏振興整備組合が独自に掲げた運営方針や戦略文書の類は、公式資料からは確認できませんでした。ただこの組合は、試験の得点構造や過去の合格者データを具体的な数字で公開している珍しい例です。

この章では、その公開情報から選考の重視点を読み取っていきます

体力試験の自動不合格ラインという明確な基準

第2次試験の体力試験(握力測定・座位体前屈・立幅跳び・上体起こし・反復横跳び・シャトルランの6種目)は60点満点で、40点未満は自動的に不合格となります。

女性の応募者には優遇措置があり、加算前の得点が40点以上の場合に限り、6種目の合計へ6点が加算されます。第1次試験の得点にかかわらず、この基準を下回れば不合格となる仕組みです。

公開されている過去の合格者データ

組合は、第1次試験(教養40点満点)と第2次試験の体力試験(60点満点)、両者の合計点(100点満点)について、過去6年分の合格者平均点を公式サイトで公開しています。

年度教養(40点満点)体力(60点満点)合計(100点満点)
令和7年度18.550.372.3
令和6年度20.849.571.3
令和5年度23.455.078.3
令和4年度22.353.776.0
令和3年度26.254.380.3
令和2年度27.352.079.3

出典:吾妻広域町村圏振興整備組合 職員採用試験Q&A。教養は第1次試験合格者の平均点、体力は第2次試験合格者の平均点、合計は第1次・第2次の合計平均点として公表されているもので、対象者が同一とは限りません。合格のボーダーラインそのものは非公表です。

半年間の全寮制訓練に向けた体力の目安

採用後はまず半年間、群馬県消防学校に全寮制で入校します(4月上旬から9月中旬までの初任科教育)。組合は入校前に必要な体力の目安として、懸垂20回程度・10Kmを1時間程度で走れる体力を公表しています。

基本的に消防・救急の区別なく学び、採用後数年は事務職への配属もないとされています。勤務体系は事務職を除いて原則隔日24時間2交代制で、勤務明けは1日非番です。

半年間の全寮制訓練そのものが、採用後の勤務スタイルへ適応できるかを試す最初の関門だと捉えておくとよいでしょう。

POINT|数字で示された基準に合わせて準備の的を絞る

吾妻広域消防本部は、体力試験の自動不合格ラインや過去の合格者平均点を数字で示しています。①40点未満で不合格となる体力試験の基準を下回らない体づくりをする → ②教養試験は高校卒業程度の内容を基礎から復習する → ③山岳・火山という地域特性を踏まえた志望動機を組み立てる、の順で準備しましょう。

悪い例「自然が好きなので、消防官を志望します」

改善例「体力試験の自動不合格ラインを下回らないよう、懸垂や走り込みを重ねています。吾妻広域は本白根山や浅間山などの火山を抱え、令和6年も山岳での防災ヘリコプター要請が相次いだと知りましたので、平地とは違う山岳地帯特有の災害に対応できる体力と知識を、まず身につけたいと考えています」

あわせて確認したい公式資料

山岳地帯特有の地理を伝える資料には、繰り返し目を通す価値があります。一方で体力試験の基準や提出書類に関する資料は、早い段階で一度しっかり確認しておけば十分です。

  • 令和9年度採用職員募集要項(消防職)
  • 吾妻広域消防本部消防年報
  • 職員採用試験Q&A(過去の合格者データ・体力試験の基準)
  • 吾妻広域消防本部の公式サイト

なお、情報を知っていることと、面接でその情報を使って答えられることは、まったく別の能力です。数字を覚えただけの状態では、深掘りの一言で止まってしまいます。

当研究会では「答えられる形」まで仕上げるためのテキストとして、吾妻広域消防本部専用の面接想定問答集をご用意しています。吾妻広域消防本部の採用面接で問われる可能性がある約60問の質問について、「元公務員監修の回答例」「質問の意図」「回答のコツ」「想定される深掘り」などを収録しています。

吾妻広域消防本部の想定問答集を見る

第2部|面接対策編

吾妻広域消防本部の面接の概要

ここからは、吾妻広域消防本部の面接の形式と流れ、質問の全体像、合否を分ける質問への備え方を、公式資料と当研究会の分析に基づいて整理していきます。

吾妻広域町村圏振興整備組合職員採用試験の流れ

吾妻広域消防本部の消防職採用試験は、組合が直接実施する試験です。試験は第1次(町村会統一試験)・第2次(作文・体力試験)・第3次(口述試験)の3段階で構成されています。

項目内容(令和9年度採用)
試験区分初級試験(消防職)。高卒・大卒とも同一試験
第1次試験群馬県町村会が実施する町村職員採用統一試験(適性検査・教養試験)
第2次試験作文試験(800字以内)、体力試験(女性は優遇措置あり)
第3次試験口述試験(面接により主として人物を確認)
面接の種類個別面接か集団面接かの別は募集要項・Q&A・消防長メッセージのいずれにも記載がなく、公表は確認できず。最新の募集要項でご確認ください
居住要件採用後は吾妻郡内に居住できること(応募時点の住所要件はなし)

注目してほしいのは、第1次試験が組合独自の試験ではなく、群馬県町村会が実施する統一試験だという点です。

適性検査は点数化されず最終判定の参考にとどめられ、教養試験(40点満点)だけが第1次の合否に関わります。第2次で体力試験の基準をクリアして初めて、第3次の口述試験にたどり着く仕組みです

上記は吾妻広域町村圏振興整備組合が公表する令和9年度採用職員募集要項(消防職)にもとづくものです。第1次・第3次の配点内訳は公表されていません。試験の構成・内容は年度によって異なる可能性があるため、受験の際は必ず最新の募集要項をご確認ください。

吾妻広域消防本部が求める人材

吾妻広域消防本部は、募集要項の中で消防長からのメッセージを発信しており、地域を自分の手で守りたいという強い意思と熱い気持ちを持つ人を求める姿勢を示しています。採用担当者からも、面接では力を抜いて自然体で臨み、経験を簡潔かつ論理的に話すようにという助言が公表されています。

これらに加えて、東西に分断された広い圏域を1つの組合で担う本部ならではの事情も参考になります。管内が6つの町村に分かれ、東西で気候や地形が異なる組織であれば、どちらのブロックの分署に配属されても対応できる柔軟さ、標高差の大きい地域の実情を具体的に語れるだけの理解、離れた分署のあいだで水準を保つ訓練や連携への意識が、選考でも見られやすいと考えられます。

なおここで挙げた傾向は、組合が選考基準として示したものではなく、広い圏域を複数町村で担う本部を当研究会が見比べて導いた一般論です。志望動機が特定の1町村だけで完結していると、6町村全体を見る視点を問われたときに弱くなります

草津温泉のように全国的に知られた観光地を抱える町がある一方で、山あいの集落が点在する町村もあり、観光地としてのイメージだけでなく、山岳救助や火山への備えという消防ならではの視点から地域を語れるかどうかが分かれ目になります。

想定される質問

面接で聞かれることは7つのカテゴリーに分かれる

当研究会では、全国の自治体・官公庁の面接想定問答を分析し、聞かれる質問を7つのカテゴリーに体系化しています。吾妻広域消防本部の面接も、この見取り図の上で準備すれば、基本的な抜け漏れは防げます。

カテゴリー代表質問ここで見られていること
① 導入・アイスブレイク試験会場までは、どうやって来ましたか?緊張をほぐす何気ない雑談に、素の受け答えと会話の自然さが表れます
② 動機・志望なぜ吾妻広域消防本部を志望するのですか?消防官という仕事とこの地域を、自分の言葉で選べているか
③ 自己理解あなたの短所(弱み)は何ですか?自分を客観視できているか。弱みへの向き合い方に人柄が出ます
④ 経験・行動これまでで最も困難だった経験と、どう乗り越えたかを教えてください過去の行動の事実。壁にぶつかったときの対処が現場の仕事に通じるか
⑤ 学業・経歴学生時代に力を入れたことは何ですか?物事への取り組み方の筋道を、自分の言葉で説明できるか
⑥ 適性・将来体力に自信はありますか?交替制勤務と現場活動を続けるための体力・生活習慣・覚悟
⑦ 公共性・社会性消防官(公務員)に最も必要な資質は何だと思いますか?仕事の公共性への理解と、社会の出来事への当事者意識

この7つの型は面接の骨格として活用できますが、吾妻広域消防本部を受ける理由まで踏み込めるかどうかは、次の固有質問で決まります

合否を分けるのは吾妻広域消防本部に固有の質問

「なぜ警察官や自衛官ではなく、消防官を志望するのですか」
「なぜ吾妻広域消防本部を志望するのですか」

6町村にまたがる管轄や火山との向き合い方は、暗記だけでは対応できません。自分がどれだけ地域を調べ、理解を自分の言葉に落とし込んできたかが試されます。

面接で使いやすい「吾妻広域の事実」を絞り、答え方とセットで整理しました。

質問テーマ知っておきたい吾妻広域の事実答え方のヒント
消防士としての適性・覚悟体力試験は60点満点で40点未満は自動不合格(詳細は第1部5章)明確な基準を踏まえた準備の様子を、具体的に話せるようにする
管轄地域の理解圏域は東西2ブロックに分かれ標高差800m、6町村すべての高齢化率が37.9%以上(詳細は第1部2章・4章)6町村それぞれの地理と高齢化の水準を具体的に語れるようにする
救急需要への理解令和6年中の救急出動3,861件、火災はわずか105件(詳細は第1部2章・4章)少ない火災と多い救急、その違いを踏まえた説明ができるようにする
山岳・火山災害への理解令和6年の防災ヘリ要請は山岳事案が中心、群馬・埼玉・長野3県のヘリが連携(詳細は第1部3章)平地だけでなく山岳特有のリスクへの理解を示す
居住・生活設計への理解採用後は吾妻郡内に居住できることが求められる(詳細は第2部1章)生活の拠点を管内へ移す現実性を、具体的に説明できるようにする

使い方のコツは、5つ全部を覚えることではありません。自分の志望分野に近いテーマを1〜2つ選び、「事実 → 自分の問題意識 → 消防官としてやりたいこと」という一続きの話に編んでおくことです。

想定される評価の観点

吾妻広域町村圏振興整備組合は、教養試験40点満点・体力試験60点満点(40点未満は自動不合格)という、他の消防本部と比べても具体的な採点構造を公表しています

点数化されない適性検査を除けば、選考は数字で見える基準を軸に組み立てられていると言えます。以下は、この公開された構造を面接準備の観点として整理したものです。

評価の観点面接でどう確かめられるか準備のポイント
基礎学力(教養試験)高校卒業程度の一般知識・知能を安定して発揮できるか過去の合格者平均点は20点台前半で推移。基礎を固めておく
身体機能(体力試験)6種目の体力測定で自動不合格ラインを下回っていないか握力・跳躍力・柔軟性など、種目ごとの弱点を早めに把握する
人物(口述試験)意思や熱意を、自然体で簡潔に伝えられるか消防長メッセージや担当者アドバイスにあるとおり、エピソードを簡潔に論理立てて話す準備をする

なお、公務員の個人面接では、ひとつの話題に対して「そのとき、あなたは具体的に何をしたのですか」と2回、3回と深掘りされることが多いです。

吾妻広域消防本部のように口述試験が最終段階に置かれた試験ではなおさらです。自分の言葉で細部まで語れる実体験に根ざした答えを事前に用意しておきましょう。

本番までの準備6ステップ

ここまでの内容を、準備の手順に落とし込みます。

  1. 令和9年度の募集要項を読み、教養試験・体力試験の基準点と提出書類を確認する
  2. これまでの経験を棚卸しする。部活動・アルバイト・学業から、体を動かした経験や地域と関わった経験を1つずつ用意する
  3. 7カテゴリーの代表質問に、それぞれ一言メモで答えを作る
  4. 組織研究のインプットをする。この記事の前半部分を読み返し、志望分野に近い事実を2〜3個、自分の言葉で説明できるようにする
  5. 固有質問の材料を対応表から集め、「事実 → 自分の問題意識 → やりたいこと」の一続きの話に編む
  6. 実際に口に出してリハーサルし、答えるたびに「ここを掘られたら何と返すか」を書き足していく。懸垂20回程度・10Kmを1時間程度という組合公表の体力目安に沿って、トレーニングも並行して進める

優先順位に注意

ステップ4〜5の組織研究は、あくまで他の受験生と差をつけるための工程です。時間がない場合は、ステップ2の経験の棚卸しと、その経験を消防の仕事へどうつなぐかという自己分析を優先してください。

自分のことを語れない状態で吾妻広域消防本部の知識だけを増やしても、面接の評価にはつながりません

なお、面接対策を独学かつ最短ルートで仕上げたい場合は、吾妻広域消防本部専用の面接想定問答集を使う選択肢もあります。

吾妻広域消防本部の採用面接で出題が想定される質問について、1問ごとに回答例・質問の意図・NG回答までをわかりやすく解説しているので、面接での受け答えをより具体的にイメージできるようになります。

第1次から第3次まで段階を重ねる構成のため、最後の口述試験にたどり着くまでの準備は計画的に進めておきましょう。教養試験・体力試験の得点が公開されている分、自分の弱点がどこにあるかを早めに見極めて対策できる試験でもあります

吾妻広域消防本部の想定問答集を見る

さいごに

吾妻広域消防本部は、中之条町・長野原町・嬬恋村・草津町・高山村・東吾妻町という6つの町村を、119人の消防吏員で支える組合本部です。教養試験40点満点・体力試験60点満点という具体的な採点構造や、過去6年分の合格者平均点まで公開している点は、他の多くの消防本部にはない情報の厚みです。

また、標高差800mの山岳地帯で、火山とも向き合いながら救急需要の増加に応える仕事の重さを理解したうえで、自分が培ってきた経験を、この本部でどう活かせるか具体的に考えてみてください

約5万人の暮らしと、山を訪れる登山者・観光客の安全を預かる仕事を目指す皆さんが、公開された基準を最大限活かして準備を進められることを願っています。第1次の統一試験から第3次の口述試験まで、段階を1つずつ着実に越えていく粘り強さも、この試験では試されています。